説明

車輪旋盤

【課題】同期させて真上から下降させる検芯部などを用いず簡易な構成で車輪の輪軸中心と主軸中心を一致させることができ、しかも車輪の真上でなく車輪円周上の一点の位置、例えば高さ一定の移動測定部でその高さにある外縁の輪軸中心からの水平距離を測定することで、自動的に適正な持ち上げ必要量(リフタ必要移動量)を算出し上昇させれば、常に主軸に適正に固定でき、装置の簡素化なども可能で、組付け・調整工数の大幅な低減も見込める車輪旋盤を提供すること。
【解決手段】車輪1の外縁の一点を測定する外縁位置測定部5と、この測定値と、既知の寸法値とからリフタ必要移動量Hを算出するリフタ必要移動量演算部6を、車輪1を持ち上げるリフタ装置3の作動を制御するリフタ制御装置4に備えた車輪旋盤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道車両などの新規車輪の成形切削や走行により摩耗あるいは変形した車輪の削正を行う車輪旋盤であって、車輪を持ち上げて輪軸中心を主軸中心に合せる検芯装置を備えた車輪旋盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車輪を切削あるいは削正する場合、例えば敷設したレール上を転動させて車輪軸の左右に設けた車輪を導入し、この双方の車輪をリフタ装置で持ち上げて、主軸台に回転自在に支持された主軸に固定装置によって固定し加工するが、この際車輪の輪軸中心と主軸中心(加工中心)を一致させて主軸にジョーでチャックしたり左右から(ヘッドストックとテールストックなどにより)押さえ付けるなどして主軸に固定するものである。
【0003】
従来、このような車輪をリフタ装置で持ち上げて輪軸中心と主軸中心を一致させるために検芯装置を備えているが、この検芯装置は、例えば車輪を下側から持ち上げると同時に、車輪真上に配置した検芯部を前記車輪の持ち上げと同期させて下降させ、この検芯部が車輪の外縁の真上に当接した位置で持ち上げを停止し、更に車輪の外径寸法の大小に応じて微調整することで輪軸中心と主軸中心を自動的に一致させることができるように構成している。
【0004】
更に説明すれば、従来の検芯装置は、主軸中心がリフタ装置の持ち上げ部と真上の検芯部との中間位置となるように主軸を横設した構成とし、リフタ装置は前記持ち上げ部となる二個の支承ローラとこれを昇降する支承ローラ昇降装置とで構成し、この二個の支承ローラを車輪の下部に当接して持ち上げるに際して、この二個の支承ローラと同期させて持ち上げ速度と同じ速度で前記真上の検芯部を下降させる構成とし、常にこの両者の中間点に主軸中心があることになるから、この持ち上げられる車輪に検芯部が当接したときにこの車輪の持ち上げを停止すれば車輪の正確な外径が不知であっても輪軸中心と主軸中心とを常に略一致できることになる。
【0005】
そして更に二個の支承ローラで車輪を持ち上げる構成のため車輪外径の大小に応じた誤差が生じることになるがこれを補正すれば、輪軸中心と主軸中心とは許容誤差範囲内に常に自動的に一致させることができることとなる。
【0006】
しかしながら、このような従来の検芯装置は、二個の支承ローラによって安定性良く持ち上げて検芯できることになるが、同期下降させる検芯部を車輪の真上に配置しなければならないため、機構が複雑となり、機体の小型化及び低コスト化が困難であった。
【0007】
また、前述のように検芯部とリフタ装置の昇降を同期させなければならないため、機構が複雑となり、各部の位置決めや調整に多大な時間を要し、実用上様々な問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−267302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、同期させて真上から下降させる検芯部などを用いず簡易な構成で車輪の輪軸中心と主軸中心を一致させることができ、しかも車輪の真上でない車輪円周上の一点の位置、例えば高さ一定の移動測定部でその高さにある一の外縁の輪軸中心からの水平距離を測定することで、自動的に適正な持ち上げ量(リフタ必要移動量)を算出しこのリフタ必要移動量だけ車輪を上昇させれば、常に自動的に輪軸中心と主軸中心が一致する高さとなり主軸に適正に固定できるから、検芯のための機構を真上に設けなければならない制限もなく、装置の簡素化、小型化、低コスト化なども可能で、また複雑な位置決め操作や調整操作なども要せず簡単な測定操作、例えば真上でない車輪円周上の他の一点の位置測定だけでリフタ必要移動量を算出でき、組付け・調整工数の大幅な低減が見込めるなど極めて実用性に優れた検芯装置を備えた車輪旋盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0011】
車輪1を持ち上げて輪軸中心を主軸2の中心に合せて固定し車輪1を切削若しくは削正する車輪旋盤において、前記車輪1を持ち上げるリフタ装置3と、このリフタ装置3を作動させて前記車輪1の輪軸中心が前記主軸2の中心に一致する高さまでのリフタ必要移動量Hだけ前記車輪1を上昇させるリフタ制御装置4とを備え、このリフタ制御装置4は、前記車輪1の外縁の一点を測定する外縁位置測定部5と、この外縁位置測定部5の測定値と、前記車輪1の外径若しくは前記車輪1の輪軸中心の高さを算出するために必要な既知の寸法値とから前記リフタ必要移動量Hを算出するリフタ必要移動量演算部6とを備えた構成としたことを特徴とする車輪旋盤に係るものである。
【0012】
また、前記外縁位置測定部5は、前記車輪1の真上ではない側部外縁の一の測定位置の高さbと前記車輪1の輪軸中心からの水平距離aとを検知する測定装置で構成したことを特徴とする請求項1記載の車輪旋盤に係るものである。
【0013】
また、基準位置に対して所定高さbで水平移動自在に設けた前記外縁位置測定部5で、前記車輪1の真上ではない前記所定高さbの車輪円周上の一点を検知することで、この測定位置での高さbにおける前記輪軸中心からの水平距離aを測定し、この高さbと水平距離aとの双方の値を前記測定値として、若しくは前記一方の高さbは前記既知の寸法値とし前記他方の水平距離aを前記測定値として前記リフタ必要移動量演算部6に出力して前記リフタ必要移動量Hを算出するように前記リフタ制御装置4を構成したことを特徴とする請求項2記載の車輪旋盤に係るものである。
【0014】
また、前記リフタ装置3は、前記車輪1を支承する二個の支承ローラ7とこの支承ローラ7を上昇させて前記車輪1を持ち上げる支承ローラ昇降装置8とで構成し、この支承ローラ昇降装置8を前記リフタ制御装置4により制御して、前記支承ローラ7を上昇させることで前記車輪1を前記リフタ必要移動量Hだけ上昇させるように構成し、このリフタ必要移動量Hは、前記リフタ制御装置4の前記リフタ必要移動量演算部6で算出するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車輪旋盤に係るものである。
【0015】
また、前記リフタ装置3の前記二個の支承ローラ7の軸間距離2dとこの支承ローラ7の径cと、前記主軸2の中心の高さhと、又は更に前記外縁位置測定部5の測定位置の高さbと前記輪軸中心からの水平距離aとのいずれか一方の値とを前記既知の寸法値とし、前記測定位置の高さbと前記輪軸中心からの水平距離aとの双方若しくはいずれか一方を外縁位置測定部5の測定値とし、この既知の寸法値と測定値とから前記演算式によって前記リフタ必要移動量Hを算出するように前記リフタ必要移動量演算部6を構成したことを特徴とする請求項4記載の車輪旋盤に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、同期させて真上から下降させる検芯部などを用いず簡易な構成で車輪の輪軸中心と主軸中心を一致させることができ、しかも車輪の真上でない車輪円周上の一点の位置、例えば高さ一定の移動測定部でその高さにある一の外縁の輪軸中心からの水平距離を測定することで、自動的に適正な持ち上げ量(リフタ必要移動量)を算出しこのリフタ必要移動量だけ車輪を上昇させれば、常に自動的に輪軸中心と主軸中心が一致する高さとなり主軸に適正に固定できるから、検芯のための機構を真上に設けなければならない制限もなく、装置の簡素化、小型化、低コスト化なども可能で、また複雑な位置決め操作や調整操作なども要せず簡単な測定操作、例えば真上でない車輪円周上の他の一点の位置測定だけでリフタ必要移動量を算出でき、組付け・調整工数の大幅な低減が見込めるなど極めて実用性に優れた検芯装置を備えた車輪旋盤となる。
【0017】
また、請求項2,3記載の発明においては、リフタ必要移動量を算出するために必要な測定値の測定も容易で、またこの測定部も簡易な構造で容易に実現できるため、一層実用性に優れた画期的な車輪旋盤となる。
【0018】
また、請求項4記載の発明においては、二個の支承ローラで持ち上げるため、常に安定性良く持ち上げることができ、特に請求項5記載の発明においては、二個の支承ローラで持ち上げる場合に生じる誤差も含めて適正なリフタ必要移動量を、例えばこの二個の支承ローラの軸間距離と各支承ローラの径などの既知の寸法値と、他の一点(車輪外縁)の位置の測定値とによって算出することができ、二個の支承ローラで持ち上げる構成である上、適正なリフタ必要移動量を常に算出し適正な高さに持ち上げることができる極めて画期的な車輪旋盤となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例の持ち上げ前の説明側面図である。
【図2】本実施例の持ち上げ前の車輪の外縁を測定することを示す説明平面図である。
【図3】本実施例の持ち上げ前の車輪外縁測定時の説明正面図(図2のA−A線正断面図)である。
【図4】本実施例のリフタ必要移動量を持ち上げて適正高さに持ち上げた状態の説明側面図である。
【図5】本実施例のリフタ必要移動量を持ち上げて適正高さに持ち上げた状態で固定装置を作動して主軸に固定したセット完了状態の説明側面図である。
【図6】本実施例の概略構成説明図である。
【図7】本実施例の各既知の寸法値と測定値を示す説明図である。
【図8】本実施例のリフタ必要移動量演算部の演算式の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0021】
必要な既知の寸法値と、外縁位置測定部5によって測定される最低限必要な測定値とによって、車輪1の外径(半径)や基準位置からの車輪1の輪軸中心の高さを求めることで、主軸中心と輪軸中心とが一致する高さとなる車輪1の適正な持ち上げ必要量H(リフタ必要移動量)をリフタ制御装置4のリフタ必要移動量演算部6で算出し、このリフタ制御装置4によりリフタ装置3を作動制御して前記リフタ必要移動量演算部6により算出した計算値のリフタ必要移動量だけ車輪1を持ち上げることで、主軸中心と輪軸中心とは常に自動的に常に一致することになる。
【0022】
従って、外縁位置測定部5による車輪円周上の一点の測定値と機械製造時の各部の既知の寸法値となる計算値(リフタ必要移動量H)だけリフタ装置3により車輪1を持ち上げることで、車輪1を常に自動的に適正位置に持ち上げて主軸2に固定でき、削正などを行うことができることとなり、従来のような真上から同期下降させる検芯部を用いる必要がないため真上という制限はなくなり、上部スペースの省力化が図れると共に同期構造も不要となるため、装置の簡素化や小型化などが図られ、また組付け・調整工数の大幅な低減も見込めることとなる。
【0023】
即ち、例えば二個の支承ローラ7で持ち上げる場合は、持ち上げ前の基準位置からの主軸中心の高さhの他、二個の支承ローラ7の軸間距離2dと支承ローラ7の半径cと、他の一点の測定値、即ち車輪1の真上でなく側部外縁の位置を測定することで、車輪1の径(外径φDや半径R)や輪軸中心の基準位置からの高さYなどを求めることができ、前記主軸中心の高さhと輪軸中心の高さYの差Hをリフタ必要移動量Hとしてリフタ制御装置4のリフタ必要移動量演算部6で算出することができ、このリフタ制御装置4によりリフタ装置3の支承ローラ昇降装置8を制御してリフタ必要移動量Hだけ二個の支承ローラ7を持ち上げ駆動すれば、常に自動的に車輪1を前記両中心が一致する適正位置に持ち上げることができることとなる。
【0024】
また、例えばこの車輪1の円周上の一点(側部外縁の一点)の測定位置を測定する場合、予め所定高さbで水平移動自在に外縁位置測定部5を設け、この外縁位置測定部5を水平移動してその高さbの外縁を接触あるいは非接触で検知することで、この測定位置の高さbと輪軸中心からの水平距離aを測定する。この場合、例えばこの高さbは既知の寸法値として予め入力しておきこの水平距離aだけを測定値として外縁位置測定部5よりリフタ必要移動量演算部6へ出力するように構成しても良く、この場合はこのように単に側方から外縁位置測定部5を水平移動させて外縁を検知したところでこの水平距離aを測定するだけで良く(水平移動量xを測定して出力し、水平距離aは前記演算部6で算出しても良いし、水平移動量xに基づいて求めた水平距離aを測定値として出力しても良いという意味である)、従来のように真上に検芯部を設けたり同期させたりする必要もなく極めて簡単な構成にして簡単な操作で測定でき、この測定値と既知の寸法値とによって前記リフタ必要移動量Hを自動算出できるため、一層装置の簡素化・小型化・低コスト化が可能な構成で、組付け・調整工数の大幅な低減も見込めるなど極めて実用性に優れた検芯装置を備えた車輪旋盤となる。
【実施例】
【0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、主軸台に回転自在に主軸2を横設し、この主軸中心と車輪1の輪軸中心とを一致させてセンタリング保持すると共に、車輪1を押さえ付けて主軸2に車輪1を固定する押さえ付け固定部10(ヘッドストック,テールストックなど)からなる固定装置11を主軸2に設け、この開閉する各押さえ付け固定部10との間の下方に導入される車輪1を持ち上げてこの押さえ付け固定部10間の適正な高さ(前記両中心が一致する高さ)に上昇させるリフタ装置3を設けている。
【0027】
本実施例では、床面に導入用のレール9を敷設し、車輪軸12の左右に設けた車輪1をこのレール9上を転動させてリフタ装置3上に導入し、この双方の車輪1を前述のようにリフタ装置3で輪軸中心が主軸中心と一致する高さまで持ち上げ、前記固定装置11の押さえ付け固定部10を閉じてセンタリング保持すると共に押さえ付け双方の車輪1を主軸2に車輪軸12毎固定しセットする構成としている。
【0028】
即ち、本実施例は、車輪1を支持して持ち上げるリフタ装置3と、このリフタ装置3を作動させて前記車輪1の輪軸中心が前記主軸2の中心に一致する高さまでのリフタ必要移動量Hだけ前記車輪1を上昇させるリフタ制御装置4とを備えた構成としている。このリフタ装置3は、本実施例では、各車輪1を支承する各二個の支承ローラ7とこの支承ローラ7を上昇させる支承ローラ昇降装置8とで構成し、この支承ローラ昇降装置8を前記リフタ制御装置4により制御して、前記支承ローラ7を上昇させることで前記車輪1を前記リフタ必要移動量Hだけ上昇させるように構成し、このリフタ必要移動量Hは、前記リフタ制御装置4の前記リフタ必要移動量演算部6で算出するように構成している。
【0029】
また、このリフタ制御装置4は、前記車輪1の円周上の側部外縁の一点を測定する外縁位置測定部5と、この外縁位置測定部5の測定値と、前記車輪1の外径φDや前記車輪1の輪軸中心の高さhを算出するために必要な既知の寸法値とから前記リフタ必要移動量Hを算出するリフタ必要移動量演算部6とを備えた構成とし、この計測部となる外縁位置測定部5は、前記車輪1の真上ではない側部外縁の一の測定位置の高さbと前記車輪1の輪軸中心からの水平距離aとを検知する測定装置で構成している。
【0030】
具体的には、本実施例では、基準位置に対して所定高さbで水平移動自在に設けた前記外縁位置測定部5で、前記車輪1の真上ではない前記所定高さbの側部外縁を検知することで、この測定位置での高さbにおける前記輪軸中心からの水平距離aを測定し、この高さbは前記既知の寸法値とし前記水平距離aを前記測定値として前記リフタ必要移動量演算部6に出力するように前記リフタ制御装置4を構成している。
【0031】
即ち、リフタ装置3の二個の支承ローラ7の軸間距離2d(この1/2をd)と、この支承ローラ7の半径cと、前記主軸2の中心の高さhと、更に前記外縁位置測定部5の測定位置の高さbとを前記既知の寸法値とし、前記測定位置の前記輪軸中心からの水平距離aを外縁位置測定部5の測定値とし、この既知の寸法値と測定値とから演算式によって前記リフタ必要移動量Hを算出するようにリフタ必要移動量演算部6を構成している。
【0032】
本実施例では、リフタ装置3の支承ローラ7の中心を結ぶ高さを高さ方向における基準位置としているが、本実施例の前記外縁位置測定部5は、前述のようにこの基準位置から所定高さbで外縁を検知可能な測定部13を水平移動自在に設け、この測定部13を側方から車輪1に向けて移動して外縁を検知したところの水平移動量を測定する構成とし、この水平移動量xに基づいて輪軸中心からその検知した外縁の水平距離aを算出しこれを測定値としてリフタ必要移動量演算部6へ出力するように構成している。
【0033】
このように測定部13の水平移動量xから水平距離aを求めて出力しても良いし、直接水平距離aが測定されるように水平移動の基準位置を設定しても良いし、この水平移動量xや水平方向の基準位置からの距離を出力してリフタ必要移動量演算部6で水平距離aを算出するように構成しても良く、この測定値は、既知の寸法値に加えてリフタ必要移動量Hを算出するのに必要な車輪1の円周上の外縁位置の測定値であれば良いものである。
【0034】
また、このように外縁位置測定部5は前記測定部13を水平移動自在に設けることで、真上に同期下降させる検芯部を設けた従来構成に比して極めて簡易な構成で実現でき、その測定も極めて容易となるが、上下方向に移動自在に設け、水平距離aを既知の寸法値とし上下方向の移動量から高さbを測定値として出力するように構成することもでき、この場合上下方向に移動自在に外縁位置測定部5を設ける構造となるが、真上に設ける必要はなくまた同期させる必要はないため従来構成に比して十分簡素化でき小型化や低コスト化も、また組付け・調整工数の低減なども図れる。
【0035】
また、測定部13は接触式でも良いし、非接触式でも良い。例えば非接触式の測定部として設けた発光部と受光部との間を外縁が遮ることで外縁を非接触検知する構成としても良い。
【0036】
また、次に本実施例のリフタ必要移動量演算部6でリフタ必要移動量Hを算出する演算式の一例及びその概要について説明する。
【0037】
本実施例では、支承ローラ7の中心を結ぶ高さを基準位置とし、この基準位置から車輪1の輪軸中心までの高さをY、主軸中心までの高さをhとし、h−Yが算出するリフタ必要移動量Hである。
【0038】
このリフタ必要移動量Hの演算式は、図7に示すように、
a:測定位置(b高さ)における輪軸中心からの水平距離(測定値)
b:測定位置の高さ(外縁位置測定部5の水平移動高さ)
c:支承ローラ7の半径
d:支承ローラ7の軸間距離の1/2(中心間距離の1/2)
R:不知の車輪半径
φD:不知の車輪直径
としたとき、図8に示す通りで、図8に示す演算概要に基づいて演算プログラムを組み、これによりサーボモータで構成したリフタ装置3(支承ローラ昇降装置8)を駆動制御する構成としている。
【0039】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0040】
1 車輪
2 主軸
3 リフタ装置
4 リフタ制御装置
5 外縁位置測定部
6 リフタ必要移動量演算部
7 支承ローラ
8 支承ローラ昇降装置
H リフタ必要移動量
a 水平距離
b (測定位置の)高さ
c (支承ローラの)径
2d (支承ローラの)軸間距離
h (主軸中心の)高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を持ち上げて輪軸中心を主軸の中心に合せて固定し車輪を切削若しくは削正する車輪旋盤において、前記車輪を持ち上げるリフタ装置と、このリフタ装置を作動させて前記車輪の輪軸中心が前記主軸の中心に一致する高さまでのリフタ必要移動量だけ前記車輪を上昇させるリフタ制御装置とを備え、このリフタ制御装置は、前記車輪の外縁の一点を測定する外縁位置測定部と、この外縁位置測定部の測定値と、前記車輪の外径若しくは前記車輪の輪軸中心の高さを算出するために必要な既知の寸法値とから前記リフタ必要移動量を算出するリフタ必要移動量演算部とを備えた構成としたことを特徴とする車輪旋盤。
【請求項2】
前記外縁位置測定部は、前記車輪の真上ではない側部外縁の一の測定位置の高さと前記車輪の輪軸中心からの水平距離とを検知する測定装置で構成したことを特徴とする請求項1記載の車輪旋盤。
【請求項3】
基準位置に対して所定高さで水平移動自在に設けた前記外縁位置測定部で、前記車輪の真上ではない前記所定高さの車輪円周上の一点を検知することで、この測定位置での高さにおける前記輪軸中心からの水平距離を測定し、この高さと水平距離との双方の値を前記測定値として、若しくは前記一方の高さは前記既知の寸法値とし前記他方の水平距離を前記測定値として前記リフタ必要移動量演算部に出力して前記リフタ必要移動量を算出するように前記リフタ制御装置を構成したことを特徴とする請求項2記載の車輪旋盤。
【請求項4】
前記リフタ装置は、前記車輪を支承する二個の支承ローラとこの支承ローラを上昇させて前記車輪を持ち上げる支承ローラ昇降装置とで構成し、この支承ローラ昇降装置を前記リフタ制御装置により制御して、前記支承ローラを上昇させることで前記車輪を前記リフタ必要移動量だけ上昇させるように構成し、このリフタ必要移動量は、前記リフタ制御装置の前記リフタ必要移動量演算部で算出するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車輪旋盤。
【請求項5】
前記リフタ装置の前記二個の支承ローラの軸間距離とこの支承ローラの径と、前記主軸の中心の高さと、又は更に前記外縁位置測定部の測定位置の高さと前記輪軸中心からの水平距離とのいずれか一方の値とを前記既知の寸法値とし、前記測定位置の高さと前記輪軸中心からの水平距離との双方若しくはいずれか一方を外縁位置測定部の測定値とし、この既知の寸法値と測定値とから前記演算式によって前記リフタ必要移動量を算出するように前記リフタ必要移動量演算部を構成したことを特徴とする請求項4記載の車輪旋盤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−224744(P2011−224744A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98144(P2010−98144)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(391029819)株式会社オーエム製作所 (34)
【Fターム(参考)】