車輪検知装置
【課題】自転車/自動二輪車併用駐車場で、その車種を判別する。
【解決手段】第1のビームB1を車路EDの面から離間して自転車の最小タイヤの中心位置とほぼ等しい高さに配置し、第2のビームB2は前記第1のビームB1から自転車のタイヤの厚みよりも長く、且つ、自動二輪車のタイヤの厚みよりも短い距離を隔てて進行方向斜め下に配置し、第3のビームB3は前記第2のビームB2よりさらに第1、第2のビームB1,B2を結ぶラインの方向にオフセットした位置の上方で、且つ、前記第1、第2のビームB1,B2の車路面EDからの高さの中間に配置し、第4のビームB4は前記第2のビームB2よりさらに第1、第2のビームB1,B2を結ぶラインの方向にオフセットした位置の下方で、且つ、前記第2のビームB2と車路面EDとの中間の高さ配置し、各ビームB1〜B4の受光検知パターンから自転車と自動二輪車とそれ以外の異物を判別して出力する。
【解決手段】第1のビームB1を車路EDの面から離間して自転車の最小タイヤの中心位置とほぼ等しい高さに配置し、第2のビームB2は前記第1のビームB1から自転車のタイヤの厚みよりも長く、且つ、自動二輪車のタイヤの厚みよりも短い距離を隔てて進行方向斜め下に配置し、第3のビームB3は前記第2のビームB2よりさらに第1、第2のビームB1,B2を結ぶラインの方向にオフセットした位置の上方で、且つ、前記第1、第2のビームB1,B2の車路面EDからの高さの中間に配置し、第4のビームB4は前記第2のビームB2よりさらに第1、第2のビームB1,B2を結ぶラインの方向にオフセットした位置の下方で、且つ、前記第2のビームB2と車路面EDとの中間の高さ配置し、各ビームB1〜B4の受光検知パターンから自転車と自動二輪車とそれ以外の異物を判別して出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車や自動二輪車の入場と出場を管理する自転車/自動二輪車併用駐車場で使用されて好適な車輪検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道駅前や大型ショッピングモールの周辺には有料や無料の駐輪場が設置されてきたが、自動二輪車(バイク)用の駐車場に関しては、未だ整備が行き届いていないのが現状である。この解決手段としては自動二輪車専用の駐車場を設置する方法もあるが、最近では既存の駐輪場を自動二輪車も併用で収容出来る様に改良し、駐車場の入場口や出場口で車種を判別して、自動二輪車であれば自転車よりも若干割高な駐車場利用料金を徴収するといった運用が増えてきている。
【0003】
そこで、車種を正確に判別することができる判別装置の必要性が生じており、その結果、例えば特許文献1によって、5つのビームを投光する車両検知装置と、車両検知装置からの検知信号に基づいて各ビームを遮った車両を判別する車両判別装置とからなる車両判別システムにおいて、車両判別装置は車両の進行に伴って移動する車輪により各ビームが遮光されるのに対応して、車両検知装置から出力される検知信号により表わされる各ビームの遮光の状態及び変化に基づいて、車両が自転車かバイクかを判別することにより、確実に自転車とバイクを判別でき、既存の駐車場に簡単に安価で設置可能な車両判別システムの技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−304725
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の車両判別システムを用いた自転車/自動二輪車併用駐車場において、自転車と自動二輪車を判別できる様に考慮された車両判別システムは、誤って、若しくは故意に自転車や自動二輪車の車輪以外のもの、例えば利用者の足などが車両判別用の検知ビームを遮ってしまうと、自転車や自動二輪車の判別が出来なくなる問題があった。この問題に対しては、駐車場の運用上の注意書きなどに、自転車や自動二輪車以外のもので検知ビームを遮らない様に明記して、注意を喚起することにより対処していたが、反面、この誤動作を悪用して駐車場使用料金を安く算出させる不正行為発生の割合が高くなっている問題があって、不正行為に対して強固に防衛可能なシステムになっていないのが実情であった。
【0006】
また、従来の車両判別システムでは、自動二輪車の車輪のタイヤとリムを含む断面高さが自転車のそれとは異なるという特徴を利用して、自転車と自動二輪車を判別しているが、自動二輪車のタイヤの空気圧が低めだった場合に、誤って、若しくは故意に利用者が検知ビーム付近で車輪上方より体重を加えてタイヤを扁平な状態に押しつぶしたりすると、自動二輪車を自転車として認識してしまう誤検知が生じる可能性があり、この誤検知を利用して駐車場使用料金を安く算出させる不正行為にも強固な対策が求められていた。
【0007】
従って本発明の技術的課題は、利用者の足などが車両判別用の検知ビームを遮ったり、或いは、検知ビーム付近で前輪上方より体重を加えてタイヤを扁平な状態にしたとしても、誤検知が生じることがなく、不正行為に対して強固な防衛機能を発揮する車種判別システムが施された車輪検知装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る車輪検知装置は、自転車若しくは自動二輪車が走行する車路の両脇に対向させて設置した一対の発光受光装置の一側から発光される複数本のビームの他側での受光検知パターンに従って、自転車と自動二輪車を検知する車輪検知装置であって、
少なくとも基準となるビームを車路高さより想定される最小径の前輪径近傍の高さに配置して、その位置で前記複数本のビームが検知した前輪の外径部とリム内径部までの厚みの差によって、前輪のタイヤの厚みを判別して、自転車と自動二輪車を識別することを特徴としている。
【0009】
(2) 上記課題を解決するために、本発明の請求項2に係る車輪検知装置は、自転車若しくは自動二輪車が走行する車路の両脇に対向させて設置した一対の発光受光装置の一側から発光される複数本のビームの他側での受光検知パターンに従って、自転車と自動二輪車を検知する車輪検知装置であって、前記複数本のビームのうち、第1のビーム(B1)は、車路面から離間して自転車の最小タイヤの中心位置とほぼ等しい高さにあり、第2のビーム(B2)は、前記第1のビーム(B1)から自転車のタイヤの厚み(W1)よりも長く、且つ、自動二輪車のタイヤの厚み(W2)よりも短い距離を隔てて進行方向斜め下に配置され、第3のビーム(B3)は、前記第2のビーム(B2)よりさらに第1第2のビーム(B1)、(B2)を結ぶラインの方向にオフセットした位置の上方で、且つ、前記第1第2のビーム(B1)、(B2)の車路面からの高さの中間に配置され、第4のビーム(B4)は、前記第2のビーム(B2)よりさらに第1第2のビーム(B1)、(B2)を結ぶラインの方向にオフセットした位置の下方で、且つ、前記第2のビーム(B2)と車路面との中間の高さに配置されていて、各ビームの他側での受光検知パターンから自転車と自動二輪車とそれ以外の異物を判別して出力することを特徴としている。
【0010】
(3)上記の課題を解決するために、本発明の請求項3に係る車輪検知装置は、前記各ビームのうちの何れか1つ若しくは2つのビームの発光方向を、他のビームと異ならせしめることを特徴としている。
【0011】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、基準となるビームが検知した前輪の外径部とリム内径部までの厚みの差、即ち、前輪のタイヤの厚みが薄い場合は自転車と判別し、タイヤが厚い場合は自動二輪車と識別することにより、自転車と自動二輪車を正確に識別することを可能にする。
【0012】
上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、第1のビームと第2のビームが両方遮蔽した状態の有無で自転車と自動二輪車を識別でき、これらのビームが床面から離間して前輪の進行方向前側を検知するために、利用者の足と重なって検知することが極力防止できてエラー発生を少なく抑えることができる。また、タイヤの空気圧が低い状態でも前輪の前側を検知しているために、タイヤのつぶれ具合に判定が左右されず、意図的にタイヤをつぶして誤検知させるような不正を、確実に防止することができる。
【0013】
更に、上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、第1のビームと第2のビームが両方透過する状態で自転車との判定を行い、仮に検知する前輪が大きく進行方向に対して曲がっていたとしても、まっすぐな状態と比較してほとんど前輪の検知状態に差が無く、正確に自転車としての検知を行うことができる。
【0014】
上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、近隣にある複数のビーム同士での干渉や誤検知が確実に防止できて、車両検知装置を高性能に実現できる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べた次第で、本発明の車輪検知装置によれば、利用者の足などの異物が車両判別用の検知ビームを遮って誤動作を生じたり、検知ビーム付近で車輪上方より体重を加えてタイヤを扁平な状態にしても、誤検知が生じたりすることがなく、不正行為に対して強固な車種判別システムを搭載した車輪検知装置を実現できるものであって、有料の自転車/自動二輪車併用駐車場の入場口や出場口に設置して、頗る好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る車輪検知装置が搭載された自転車/自動二輪車併用駐車場の入場車路の概観図。
【図2】本発明の実施例に係る車輪検知装置の概観図。
【図3】本発明の実施例に係る車輪検知装置の側面図。
【図4】本発明の実施例に係る車輪検知装置の詳細図。
【図5】本発明の実施例に係る車輪検知装置が大径タイヤの自転車を検知している場合の動作説明図。
【図6】本発明の実施例に係る車輪検知装置が小径タイヤの自転車を検知している場合の動作説明図。
【図7】本発明の実施例に係る車輪検知装置が自動二輪車(バイク)を検知している場合の動作説明図。
【図8】本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作フロー図。
【図9】本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作説明図。
【図10】本発明の他の実施例に係る車輪検知装置の概観図。
【図11】本発明の実施例に係る車輪検知装置の詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る車輪検知装置の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明の一実施例に係る車輪検知装置が搭載された自転車/自動二輪車併用駐車場(以下、単に駐車場と称す)の入場車路ED部分の概観図である。図1において、入場車路EDには両脇に路肩ES,ETが形成され、その片側の路肩EDに駐車券発行機10が設置されている。なお、入場車路EDの車路幅は、自転車/自動二輪車が二台同時に進行することが出来ない程度の幅に抑えており、路肩ES,ETには図示しないが、規制バリヤーが設置され、利用者が入場車路EDの途中から路肩ES,ETにはみ出したり抜け出して行ったりして行ったりする様な事は出来ない仕組みに成っている。
【0018】
また、上記駐車券発行機10よりも進行方向奥側には、一対の車輪検知装置11,12が、両路肩ES,ETに夫々一側と他側に分離されて設置されている。利用者Hは自転車A又は自動二輪車M(図7参照)を入場車路EDに進入させるにあたり、自転車Aや自動二輪車Mに乗車したままでも良いが、図の様に一旦降車してハンドルを押しながら進入することが一般的である。もちろん、駐車場管理者が運用上危険回避のために降車して進入することを義務付けている場合もある。
【0019】
図示しないが、図1の入場車路EDの前後にはゲート装置が夫々設置され、車路EDに入場する手前側のゲート装置と車路EDから退場する奥側のゲート装置と、前記駐車券発行機10と、前記一対の車輪検知装置11,12と、さらに図示しないが前記手前側と奥側のゲート装置の近傍にも、自転車Aや自動二輪車Mや利用者Hを検知するセンサーが設置されている。
【0020】
本発明の車輪検知装置はゲート装置の近傍のセンサーとして使用される場合もあるが、むしろ入場車路EDにあっては前記駐車券発行機10の近傍に設置されて、自転車Aか自動二輪車Mかを正確に識別するために用いられるものである。また出場車路(図示省略)に設置される場合には、前記駐車券発行機10に変えて料金精算機(図示省略)が使用されるが、その料金精算機の近傍に本発明の車輪検知装置が設置されて使用される。
【0021】
図1の状態で図示したように自転車Aが入場車路EDに進入して来た場合、自転車Aの前輪ASが一対の車輪検知装置11,12の間の所定の位置に達すると、自転車Aか自動二輪車Mかの判別信号が出力され、その信号を駐車券発行機10が受信し、進入したのが自転車Aである場合は、自転車Aであることが駐車券発行機10に認識される。次いで、駐車券発行機10は自動的に自転車用の駐車券を発行するか、若しくは「発券ボタンを押して駐車券をおとり下さい」の様なメッセージを適宜出力し、利用者Hが発券ボタン10Hを押下した際に、自転車用の駐車券を発行するようにしても良い。
【0022】
なお、自転車用の駐車券とは、駐車券(図示省略)に自転車を示すフラグが記録されているが、それ以外は入場日付と時刻と駐車券番号と駐車券発行機の機械番号などが図示しない磁気ストライプに記録され、表面にもそれらの情報が視認可能に印字された駐車券である。反対に自動二輪車Mを判別した場合には、自動二輪車Mを示すフラグが記録される。
【0023】
図2は本発明の実施例に係る車輪検知装置11,12の概観図であり、一側の車輪検知装置11には、ケース内部に4箇所の受光部11A,11B,11C,11D(赤外線受光素子)が、図示した所定の位置に配置されている。他側の車輪検知装置12には、ケース内部に4箇所の発光部12A,12B,12C,12D(赤外線発光素子)が所定の位置に配置されている。もちろん各々の位置関係は同じであり、即ち車路EDの中央ラインに対して左右対称の関係にある。
【0024】
一方、他側の車両検知装置12のケース内には、上述した発光部12A〜12Dの取付機構部(図示省略)が設けられ、各発光素子12A〜12Dから図示しない配線を介して一側の車輪検知装置11に接続されている。一側の車輪検知装置11のケース内部には、上述した受光部11A〜11Dの取付機構部や各受光素子からの配線(いずれも図示省略)と、前記の各発光部12A〜12Dからの配線が設けられ、これ等各配線は内部の図示しない制御部に接続されており、且つ、当該ケース内部には、その他電源部や設定操作部(いずれも図示省略)などが設けられている。
【0025】
更に、一側の車輪検知装置11は図示しない配線を介して駐車券発行機10に接続され、後述する車種判別信号やリセット信号の入出力部や電源供給路が、入場車路EDや路肩ES,ETに埋設されて配線されている。
【0026】
本発明の実施例では、上述した発光部12A〜12Dと受光部11A〜11Dには、赤外線ビームを用いたセンサーを使用しているが、赤外線に限らずに赤色可視光線方式のセンサーでも良いし、超音波やマイクロ波やレーザー光線を用いる方式でも実現可能であって、センサーの指向性やスポット径やセンサー素子の価格を考慮して適宜決定すれば良い。
【0027】
図3は、本発明の実施例に係る一側の車輪検知装置11の側面図を示し、一側の車輪検知装置11を他側の車輪検知装置12側から見た状態を示している。図の様に一側の車輪検知装置11には第1〜第4のビーム受光部11A〜11Dが夫々所定の位置に受光口を開口して設置されており、その内部には前述の赤外線受光素子が配置されている。他側の車輪検知装置12もこれと全く同じ位置関係で4つの発光口が開口して夫々赤外線発光部12A〜12Dが配置されている。
【0028】
次に、上記各受光部11A〜11Dの配置を図に従って説明すると、まず進行方向手前側で、入場車路EDの地面より離間した位置に、第1のビーム(以下第1ビームB1と称す)の受光部11Aが配置され、当該第1ビームB1の受光部11Aから進行方向に斜め下方向に推移した位置に第2のビーム(以下第2ビームB2と称す)の受光部11Bが配置されている。さらに第1、第2ビームB1、B2の受光部11A,11Bを結ぶラインとほぼ直角で、第2ビームB2を通る仮想ラインを、若干斜め下にオフセットした位置の上方側に、第3のビーム(以下第3ビームB3と称す)の受光部11Cが配置され、その仮想ラインの下方側に第4のビーム(以下第4ビームB4と称す)の受光部11Dが配置されている。
<センサー配置詳細説明>
【0029】
図4(1)と(2)は本発明の実施例に係る車輪検知装置の詳細図を示し、前述の4つのビームB1〜B4の受光部11A〜11Dの配置の詳細な位置関係を示す。まず前述の第1ビームB1の受光部11Aは、車路EDの面から最も離間して、自転車Aの最小タイヤASLの中心位置とほぼ等しい高さにある。そして、上記第1ビームB1が、前記特許請求の範囲の請求項1に記載の基準となるビームを構成している。
【0030】
具体的には、図4(1)において、想定される自転車Aの最小タイヤASLの径は、JIS規格上では12.5インチで、およそ直径320mmであるから、第1ビームB1の受光部11Aの高さは車路EDの面より160mm前後の高さに配置されているが、好適には、最小タイヤASLの凹み等を考慮して140mmから160mmの間の高さに配置されるのが好ましい。しかし、タイヤ径の中心位置よりも高い場合には、泥除けなどのパーツによって適正に車輪を検知しないことが懸念されるが、極力高い方が良い。
【0031】
第1と第2のビームB1、B2の受光部11Aと11Bの高さが極力高い方が良いという理由は、各ビームB1とB2の受光部11A,11Bが両方遮蔽した状態の有無で自転車Aと自動二輪車Mを識別でき、これらのビームB1,B2が路面から離間して前輪ASの進行方向前側を検知するために、利用者Hの足HLと重なって検知することが極力防止できて、エラー発生の割合を少なく抑えられるからである。また、最小タイヤASLの空気圧が低い状態でも、前輪ASの前側を検知しているために最小タイヤASLのつぶれ具合に左右されず、意図的に最小タイヤASLをつぶして誤検知させるような不正が防止できるからである。
【0032】
次に、前述の第2ビームB2の受光部11Bは、第1ビームB1の受光部11AからL1の距離を隔てて進行方向斜め下に配置され、当該L1の距離は、自転車Aの最小タイヤ外径D3とリム内径D4の差、即ち自転車AのタイヤASRの厚みW1よりも若干長い距離に設定されており、且つ、自動二輪車MのタイヤMSLの外径Bとリム内径Dの差、即ち、図4(2)に示す自動二輪車MのタイヤMSLの厚みW2よりも短い距離に設定されている。
【0033】
この際の自転車AのタイヤASRの厚みW1は想定される最大値を採用し、一方で自動二輪車MのタイヤMSLの厚みW2は想定される最小値を採用する。具体的には自転車AのタイヤASRの厚みW1はおよそ60mm以下であり、自動二輪車MのタイヤMSLの厚みW2はおよそ80mm以上である。よって上記第1ビームB1と第2ビームB2のビーム間隔L1は70mm前後に設定している。また、両ビームB1〜B2を結ぶラインの角度はおよそ45度の下向きに設定している。
【0034】
次に、前述の第3ビームB3は、第1及び第2の各ビームB1、B2の受光部11A,11Bを結ぶラインとほぼ直角で、第2のビームB2を通る仮想ラインを、さらに第1と第2のビームB1、B2を結ぶラインの方向にオフセットした位置の上方にあり、オフセット寸法L2は最大タイヤを想定して、その変形や設置誤差を考慮して10mm程度とし、さらに車路EDの面からの高さは第1のビームB1よりも低く、第1と第2の各ビームB1、B2高さのほぼ中間に配置している。
【0035】
さらに前述の第4のビームB4は、第1と第2の各ビームB1、B2の受光部11A,11Bを結ぶラインとほぼ直角で、第2のビームB2を通る仮想ラインを、さらに第1と第2のビームB1、B2を結ぶラインの方向にオフセットした位置の下方にあり、オフセット寸法L3は最小タイヤASLを想定して、その変形や設置誤差を考慮して10mm程度とし、さらに車路面EDからの高さは第2のビームB2よりも低くて、少なくとも車路EDの面よりも高く、且つ、第2のビームB2高さのほぼ中間から3分の2程度の高さに配置している。
【0036】
なお、前述のオフセット寸法L2、L3は、第1と第2のビームB1、B2の受光部11A,11Bを結ぶラインとほぼ直角で、第2のビームB2を通る仮想ラインを、さらに第1と第2のビームB1、B2を結ぶラインの方向にオフセットした距離で示してもよいが、実際に使用する場合の想定される自転車Aの最大のタイヤASRと最小のタイヤASLが夫々進行方向に移動した際に、最大のタイヤASRが第3のビームB3を、最小のタイヤASLが第4のビームB4を遮蔽する位置までの進行方向の距離を考慮して決定しており、諸々の誤差やタイヤの変形を考慮して、前述の通りオフセット寸法L2、L3で10mm程度とした。
【0037】
これらの位置関係の詳細は、使用する赤外線式センサーのビーム径や近接する素子との干渉具合や、設置位置調整の正確さを考慮のうえで決定すればよい。また、発光側の各ビームB1〜B4の位置関係もこれと全く同じ位置関係にあり、即ち車路EDの中央ラインに対して対称な配置となっている。
<動作説明>
【0038】
図5(1)〜(6)は本発明の実施例に係る車輪検知装置11,12の動作説明図であり、まず最大径タイヤASRの自転車A1の動作を示す。(1)では自転車A1の前輪が車輪検知装置11と12の間まで達していないので、全てのビームB1〜B4はすべてON(透過)状態である。自転車A1が進行するとまず(2)の位置に達し、第1のビームB1のみOFF(遮蔽)状態となる。さらに自転車A1が進行すると(3)の位置に達し、第1のビームB1がONしてそれ以外のビームB2〜B4もONのままという状態となる。すぐさま(4)の位置に達して第2のビームB2がOFFし、次に(5)の位置に達して第のビームB3がOFFする。さらに進行すると、(6)の位置に達して第4のビームB4もOFFとなる。この一連の検知状態において、上記(5)の検知状態に成った時点で、最大タイヤASRの自転車A1の判定を出力することが出来る。
【0039】
図6は本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作説明図であり、最小タイヤASLの自転車A2の動作を示す。(1)では自転車A2の前輪が車輪検知装置11,12まで達していないので、全てのビームB1〜B4はすべてON(透過)状態である。自転車が進行するとまず(2)の位置に達し、第1のビームB1のみOFF(遮蔽)状態となる。さらに自転車A2が進行すると(3)の位置に達し、第1のビームB1がONしてそれ以外のビームB2〜B4もONのままという状態となる。すぐさま(4)の位置に達して第2のビームB2がOFFし、次に(5)の位置に達して第4のビームB4がOFFする。さらに進行すると(6)の位置に達して第3のビームB3もOFFとなる。この一連の検知状態において、(5)の検知状態に成った時点で、最小タイヤASLの自転車A2の判定を出力することが出来る。
【0040】
即ち、図5に示す最大タイヤASR、図6に示す最小タイヤASL、若しくはその中間の径のタイヤであっても、自転車Aであれば前述の通り、(1)全てのビームB1〜B4は全てON、(2)第1のビームB1のみOFF、(3)第1のビームB1がONしてそれ以外のビームB2〜B4もONのまま、(4)第2のビームB2がOFF、(5)第3のビームB3or
第4のビームB4の一方がOFF、(6)第3のビームB3 or
第4のビームB4の他方がOFF、という検知状態に成る。そこで(5)の段階で自転車の判定を出力するが、(6)を検知してからでも良い。また、(5)、(6)で第3、第4のビームが同時にOFFすることもあり得る。
【0041】
図7は本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作説明図であり、自動二輪車Mの動作を示す。
(1)では自動二輪車Mの前輪MAが車輪検知装置11,12まで達していないので、全てのビームB1〜B4はON(透過)状態である。自動二輪車Mが進行するとまず(2)の位置に達し、第1のビームB1がOFFとなる。さらに自動二輪車Mが進行すると(3)の位置に達し、第1のビームB1がOFFで、且つ、第2のビームB2がOFFの状態となる。前述の自転車A1,A2の検知状態と異なるので、この時点で自動二輪車Mの判定を出力することが出来る。さらに自動二輪車Mが進行すると(4)の位置に達するが、その時点で第1のビームB1がONするかどうかは自動二輪車MのタイヤMAのホイール形状などによって一様ではない。また、第2のビームB2がOFFとなるか第3のビームB3がOFFとなるかは、自動二輪車Mのタイヤ径によって異なる。
【0042】
いずれにせよ、自動二輪車Mであれば、(1)ビームB1〜B4はすべてON、(2)第1のビームB1のみOFF、(3)第1のビームB1がOFFのままで第2のビームB2がOFF、という検知状態に成った時点で自動二輪車Mの判定を出力するが、この判定は(4)を検知してからでも良い。
【0043】
この様に本発明の実施例では、B1〜B4で示した4本のビームの検知状態(ON/OFF状態)から、自転車Aか自動二輪車Mかの判別を行い、それらの独特の検知パターンが成立した時点で判別信号を出力するように工夫されている。また、これらの検知パターンを仮に利用者Hが足HLなどをかざして発生させようとしても、車路EDから離間した高さに夫々が配置された各ビームB1〜B4を前述のパターン通りに検知させることは、たまたま生じることはあっても、意図的に不正な目的でこれを成そうとすることはほとんど不可能であるといえる。
【0044】
図8は本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作フローを示し、前述の検知パターンのいずれかが成立するかによって、自転車Aを判定出力をするか、自動二輪車Mを判定出力をするかを切り替えている。また、いずれのパターンにも該当しない場合には、ステップS11に示すとおりエラー出力を行い、一旦ステップS1に戻って処理を再開する。
【0045】
なお、ステップS5で自転車Aの判定出力をするか、又は、ステップS8で自動二輪車Mの判定出力をすると、その出力は前述の駐車券発行機10に入力されて所望のデータを記録印字して駐車券が発券され、その駐車券を利用者が抜き取ると進行方向前方のゲート装置(図示省略)が開状態となり、利用者が入場車路EDから退出することができる。
【0046】
そして利用者の退出を別途ゲート近傍のセンサー(図示省略)で検知すると、駐車券発行機10はゲート装置に対してゲート閉の指令を出力すると共に、車輪検知装置11,12にはリセット信号を出力する。ステップS6でそのリセット信号の入力を受けると、車輪検知装置11,12の動作は一通り終了する。
【0047】
図9は本発明の実施例に係る車輪検知装置11,12の動作説明図であり、自動二輪車Mの進行状態を示す。本発明の構成の利点は、自転車Aと自動二輪車Mの判別を正確に行い、且つ、意図的に判別状態を誤検知させるような不正を防止することにあるが、例えば(1)にあるように自動二輪車Mを車輪検知装置11,12に進行させながら、(2)のようにハンドルMHに体重FPをかけて前輪のタイヤMAを符号MXで示す如く凹ました場合、(空気圧を減らせておけば容易に成される)、若しくはパンクした車両Mを押している場合、本発明の実施例においては(2)の状態が前述の図7(3)の検知状態と全く同じパターンとなるため、この様な状態で検知しても正確に自動二輪車Mであると判別することが出来る。
【0048】
また、本発明のもうひとつの利点は、前輪タイヤの検知を、図1又は図9で示した前輪タイヤAS又はMAの進行方向前側で行うので、利用者がハンドルを押しているときなどに意図せずに足HL(図1参照)が前輪タイヤAS又はMA付近にかかってしまっても、その足HLをタイヤMAと一緒に判定してしまってエラーを出すようなことを、ほとんどの場合に防ぐことが出来る。もちろん意図的に足HLを前に突き出してタイヤAS及びMAの位置にかざせば、エラーとなる可能性はあるが、意図せずにタイヤAS、MAと足HLを並走させてしまっても、それがエラーになりにくいという効果が十分に発揮できる。
【0049】
さらに本発明の利点として、各ビームB1〜B4が車路EDの面から離間した状態にあり、各々の位置関係が正確に配置されていれば、仮に車路EDの面がゆがんでいたり、水勾配のために中央部が若干高くなっていたりしても、自転車Aや自動二輪車Mの判別に支障はほとんどないという利点もあげられ、全体的に各ビームB1〜B4間の相対的な位置関係を維持できれていれば、性能が設置状態によって左右されにくいため、製造工場で十分調整しておけば出荷して現地で設置した際の調整工程が従来よりも削減できる。
【0050】
<他の実施例1>
図10は本発明の他の実施例に係る車輪検知装置の概観図である。本発明の実施の難しい箇所として、各ビームB1〜B4が比較的近隣に配置されていることがあるが、これによって隣接するビームによって干渉を起こしたり誤検知したりしないよう、例えば4本のビームB1〜B4のうちの2本づつを、図示の如く発光部12A,12B,11X,11Yと受光部11A,11B,12X,12Yを左右交互に設けて、異なる方向から発光させるのも効果的である。
【0051】
さらに同方向からのビームB1〜B4同士については、偏光レンズを介して偏光角度を異ならせて、干渉に強くすることも有効である。もちろんパルス駆動を行って発光と受光をタイミングを異ならせて検知する手段も有効であり、これらを組み合わせることで、近隣位置に配置した複数のビームの干渉や誤検知を確実に防止することが出来る。
【0052】
また、図11は本発明の実施例に係る車輪検知装置の詳細図であり、本発明の利点として自転車Aの前輪ASL又はASRが曲がった状態でも、確実に自転車Aとして検知することを説明した図である。(1)は車路EDの上方より見た平面図であり、(2)は側方より見た図である。特に自転車AでもタイヤASLの小さいものほど、(1)で示した様に通路内を進行する際にハンドルを曲げることでタイヤASLが大きく曲がる事がある。図では45度曲げた状態を示している。
【0053】
図11(2)では想定上の最小タイヤASLの自転車Aが車両検知装置11,12に検知される際に、タイヤASLが(1)の様に45度曲がった場合と、まっすぐの状態を比較して示している。自転車Aの最小タイヤASLが45度曲がっていた場合であっても、第1と第2のビームB1とB2の間にタイヤ外径Xとリム内径Y(図6(2)参照)が納まることで、まっすぐな状態と同じ検知状態が得られる。これにより、自転車AのタイヤASLが45度曲がっていても(45度曲がって進行しても)、確実に自転車としての判定を行うことが出来る。
【0054】
図11(2)を詳細に説明すると、まっすぐのタイヤASLと45度曲がったタイヤASLで最も側方視で異なるのは、タイヤASLの斜め下と斜め上の外径差の部分であるが、この部分にほとんど掛からずに第1と第2のビームB1とB2でタイヤASLを検知することができ、その際に第4のビームB4がまだ検知していない状態も得られているため、本発明の実施例においては、45度程度曲がったタイヤASLであっても、正確に自転車Aとの判定をすることができることが明確に示されている。
<他の実施例2>
【0055】
特に図示しないが、本発明の実施例の車輪検知装置11,12を車路EDの進行方向に2セットを近接させて配置すると、これらの検知信号のパターンが同じように繰り返されたかどうかを判定に追加する事ができ、利用者の足HLと自転車A若しくは自動二輪車Mの識別が確実に成される。
【0056】
特に小動物が徘徊する可能性がある場所であったり、利用者がペットを連れて利用することまで考慮すると、本発明の実施例の車輪検知装置11,12を2セット近接させて配置して夫々の検知信号パターンが2回っ繰り返された場合にのみ、自転車A若しくは自動二輪車Mの検知信号を出力することで、極めて誤検知しにくい強固な車輪検知装置が実現する。
【0057】
なお、本発明の実施例で説明した車輪検知装置の構成は一例で、上記に述べた本発明の実施形態は本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の技術は、有料の自転車/自動二輪車併用駐車場の入場口や出場口に設置されて利用されることが見込まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
10 駐車券発行機
ED 入場車路(車路面)
11,12 車輪検知装置
B1〜B4 ビーム
11A〜11D 受光部
12A〜12D 発光部
A 自転車
M 自動二輪車
AS,MS 前輪
H 利用者
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車や自動二輪車の入場と出場を管理する自転車/自動二輪車併用駐車場で使用されて好適な車輪検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道駅前や大型ショッピングモールの周辺には有料や無料の駐輪場が設置されてきたが、自動二輪車(バイク)用の駐車場に関しては、未だ整備が行き届いていないのが現状である。この解決手段としては自動二輪車専用の駐車場を設置する方法もあるが、最近では既存の駐輪場を自動二輪車も併用で収容出来る様に改良し、駐車場の入場口や出場口で車種を判別して、自動二輪車であれば自転車よりも若干割高な駐車場利用料金を徴収するといった運用が増えてきている。
【0003】
そこで、車種を正確に判別することができる判別装置の必要性が生じており、その結果、例えば特許文献1によって、5つのビームを投光する車両検知装置と、車両検知装置からの検知信号に基づいて各ビームを遮った車両を判別する車両判別装置とからなる車両判別システムにおいて、車両判別装置は車両の進行に伴って移動する車輪により各ビームが遮光されるのに対応して、車両検知装置から出力される検知信号により表わされる各ビームの遮光の状態及び変化に基づいて、車両が自転車かバイクかを判別することにより、確実に自転車とバイクを判別でき、既存の駐車場に簡単に安価で設置可能な車両判別システムの技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−304725
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の車両判別システムを用いた自転車/自動二輪車併用駐車場において、自転車と自動二輪車を判別できる様に考慮された車両判別システムは、誤って、若しくは故意に自転車や自動二輪車の車輪以外のもの、例えば利用者の足などが車両判別用の検知ビームを遮ってしまうと、自転車や自動二輪車の判別が出来なくなる問題があった。この問題に対しては、駐車場の運用上の注意書きなどに、自転車や自動二輪車以外のもので検知ビームを遮らない様に明記して、注意を喚起することにより対処していたが、反面、この誤動作を悪用して駐車場使用料金を安く算出させる不正行為発生の割合が高くなっている問題があって、不正行為に対して強固に防衛可能なシステムになっていないのが実情であった。
【0006】
また、従来の車両判別システムでは、自動二輪車の車輪のタイヤとリムを含む断面高さが自転車のそれとは異なるという特徴を利用して、自転車と自動二輪車を判別しているが、自動二輪車のタイヤの空気圧が低めだった場合に、誤って、若しくは故意に利用者が検知ビーム付近で車輪上方より体重を加えてタイヤを扁平な状態に押しつぶしたりすると、自動二輪車を自転車として認識してしまう誤検知が生じる可能性があり、この誤検知を利用して駐車場使用料金を安く算出させる不正行為にも強固な対策が求められていた。
【0007】
従って本発明の技術的課題は、利用者の足などが車両判別用の検知ビームを遮ったり、或いは、検知ビーム付近で前輪上方より体重を加えてタイヤを扁平な状態にしたとしても、誤検知が生じることがなく、不正行為に対して強固な防衛機能を発揮する車種判別システムが施された車輪検知装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る車輪検知装置は、自転車若しくは自動二輪車が走行する車路の両脇に対向させて設置した一対の発光受光装置の一側から発光される複数本のビームの他側での受光検知パターンに従って、自転車と自動二輪車を検知する車輪検知装置であって、
少なくとも基準となるビームを車路高さより想定される最小径の前輪径近傍の高さに配置して、その位置で前記複数本のビームが検知した前輪の外径部とリム内径部までの厚みの差によって、前輪のタイヤの厚みを判別して、自転車と自動二輪車を識別することを特徴としている。
【0009】
(2) 上記課題を解決するために、本発明の請求項2に係る車輪検知装置は、自転車若しくは自動二輪車が走行する車路の両脇に対向させて設置した一対の発光受光装置の一側から発光される複数本のビームの他側での受光検知パターンに従って、自転車と自動二輪車を検知する車輪検知装置であって、前記複数本のビームのうち、第1のビーム(B1)は、車路面から離間して自転車の最小タイヤの中心位置とほぼ等しい高さにあり、第2のビーム(B2)は、前記第1のビーム(B1)から自転車のタイヤの厚み(W1)よりも長く、且つ、自動二輪車のタイヤの厚み(W2)よりも短い距離を隔てて進行方向斜め下に配置され、第3のビーム(B3)は、前記第2のビーム(B2)よりさらに第1第2のビーム(B1)、(B2)を結ぶラインの方向にオフセットした位置の上方で、且つ、前記第1第2のビーム(B1)、(B2)の車路面からの高さの中間に配置され、第4のビーム(B4)は、前記第2のビーム(B2)よりさらに第1第2のビーム(B1)、(B2)を結ぶラインの方向にオフセットした位置の下方で、且つ、前記第2のビーム(B2)と車路面との中間の高さに配置されていて、各ビームの他側での受光検知パターンから自転車と自動二輪車とそれ以外の異物を判別して出力することを特徴としている。
【0010】
(3)上記の課題を解決するために、本発明の請求項3に係る車輪検知装置は、前記各ビームのうちの何れか1つ若しくは2つのビームの発光方向を、他のビームと異ならせしめることを特徴としている。
【0011】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、基準となるビームが検知した前輪の外径部とリム内径部までの厚みの差、即ち、前輪のタイヤの厚みが薄い場合は自転車と判別し、タイヤが厚い場合は自動二輪車と識別することにより、自転車と自動二輪車を正確に識別することを可能にする。
【0012】
上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、第1のビームと第2のビームが両方遮蔽した状態の有無で自転車と自動二輪車を識別でき、これらのビームが床面から離間して前輪の進行方向前側を検知するために、利用者の足と重なって検知することが極力防止できてエラー発生を少なく抑えることができる。また、タイヤの空気圧が低い状態でも前輪の前側を検知しているために、タイヤのつぶれ具合に判定が左右されず、意図的にタイヤをつぶして誤検知させるような不正を、確実に防止することができる。
【0013】
更に、上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、第1のビームと第2のビームが両方透過する状態で自転車との判定を行い、仮に検知する前輪が大きく進行方向に対して曲がっていたとしても、まっすぐな状態と比較してほとんど前輪の検知状態に差が無く、正確に自転車としての検知を行うことができる。
【0014】
上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、近隣にある複数のビーム同士での干渉や誤検知が確実に防止できて、車両検知装置を高性能に実現できる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べた次第で、本発明の車輪検知装置によれば、利用者の足などの異物が車両判別用の検知ビームを遮って誤動作を生じたり、検知ビーム付近で車輪上方より体重を加えてタイヤを扁平な状態にしても、誤検知が生じたりすることがなく、不正行為に対して強固な車種判別システムを搭載した車輪検知装置を実現できるものであって、有料の自転車/自動二輪車併用駐車場の入場口や出場口に設置して、頗る好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る車輪検知装置が搭載された自転車/自動二輪車併用駐車場の入場車路の概観図。
【図2】本発明の実施例に係る車輪検知装置の概観図。
【図3】本発明の実施例に係る車輪検知装置の側面図。
【図4】本発明の実施例に係る車輪検知装置の詳細図。
【図5】本発明の実施例に係る車輪検知装置が大径タイヤの自転車を検知している場合の動作説明図。
【図6】本発明の実施例に係る車輪検知装置が小径タイヤの自転車を検知している場合の動作説明図。
【図7】本発明の実施例に係る車輪検知装置が自動二輪車(バイク)を検知している場合の動作説明図。
【図8】本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作フロー図。
【図9】本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作説明図。
【図10】本発明の他の実施例に係る車輪検知装置の概観図。
【図11】本発明の実施例に係る車輪検知装置の詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る車輪検知装置の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明の一実施例に係る車輪検知装置が搭載された自転車/自動二輪車併用駐車場(以下、単に駐車場と称す)の入場車路ED部分の概観図である。図1において、入場車路EDには両脇に路肩ES,ETが形成され、その片側の路肩EDに駐車券発行機10が設置されている。なお、入場車路EDの車路幅は、自転車/自動二輪車が二台同時に進行することが出来ない程度の幅に抑えており、路肩ES,ETには図示しないが、規制バリヤーが設置され、利用者が入場車路EDの途中から路肩ES,ETにはみ出したり抜け出して行ったりして行ったりする様な事は出来ない仕組みに成っている。
【0018】
また、上記駐車券発行機10よりも進行方向奥側には、一対の車輪検知装置11,12が、両路肩ES,ETに夫々一側と他側に分離されて設置されている。利用者Hは自転車A又は自動二輪車M(図7参照)を入場車路EDに進入させるにあたり、自転車Aや自動二輪車Mに乗車したままでも良いが、図の様に一旦降車してハンドルを押しながら進入することが一般的である。もちろん、駐車場管理者が運用上危険回避のために降車して進入することを義務付けている場合もある。
【0019】
図示しないが、図1の入場車路EDの前後にはゲート装置が夫々設置され、車路EDに入場する手前側のゲート装置と車路EDから退場する奥側のゲート装置と、前記駐車券発行機10と、前記一対の車輪検知装置11,12と、さらに図示しないが前記手前側と奥側のゲート装置の近傍にも、自転車Aや自動二輪車Mや利用者Hを検知するセンサーが設置されている。
【0020】
本発明の車輪検知装置はゲート装置の近傍のセンサーとして使用される場合もあるが、むしろ入場車路EDにあっては前記駐車券発行機10の近傍に設置されて、自転車Aか自動二輪車Mかを正確に識別するために用いられるものである。また出場車路(図示省略)に設置される場合には、前記駐車券発行機10に変えて料金精算機(図示省略)が使用されるが、その料金精算機の近傍に本発明の車輪検知装置が設置されて使用される。
【0021】
図1の状態で図示したように自転車Aが入場車路EDに進入して来た場合、自転車Aの前輪ASが一対の車輪検知装置11,12の間の所定の位置に達すると、自転車Aか自動二輪車Mかの判別信号が出力され、その信号を駐車券発行機10が受信し、進入したのが自転車Aである場合は、自転車Aであることが駐車券発行機10に認識される。次いで、駐車券発行機10は自動的に自転車用の駐車券を発行するか、若しくは「発券ボタンを押して駐車券をおとり下さい」の様なメッセージを適宜出力し、利用者Hが発券ボタン10Hを押下した際に、自転車用の駐車券を発行するようにしても良い。
【0022】
なお、自転車用の駐車券とは、駐車券(図示省略)に自転車を示すフラグが記録されているが、それ以外は入場日付と時刻と駐車券番号と駐車券発行機の機械番号などが図示しない磁気ストライプに記録され、表面にもそれらの情報が視認可能に印字された駐車券である。反対に自動二輪車Mを判別した場合には、自動二輪車Mを示すフラグが記録される。
【0023】
図2は本発明の実施例に係る車輪検知装置11,12の概観図であり、一側の車輪検知装置11には、ケース内部に4箇所の受光部11A,11B,11C,11D(赤外線受光素子)が、図示した所定の位置に配置されている。他側の車輪検知装置12には、ケース内部に4箇所の発光部12A,12B,12C,12D(赤外線発光素子)が所定の位置に配置されている。もちろん各々の位置関係は同じであり、即ち車路EDの中央ラインに対して左右対称の関係にある。
【0024】
一方、他側の車両検知装置12のケース内には、上述した発光部12A〜12Dの取付機構部(図示省略)が設けられ、各発光素子12A〜12Dから図示しない配線を介して一側の車輪検知装置11に接続されている。一側の車輪検知装置11のケース内部には、上述した受光部11A〜11Dの取付機構部や各受光素子からの配線(いずれも図示省略)と、前記の各発光部12A〜12Dからの配線が設けられ、これ等各配線は内部の図示しない制御部に接続されており、且つ、当該ケース内部には、その他電源部や設定操作部(いずれも図示省略)などが設けられている。
【0025】
更に、一側の車輪検知装置11は図示しない配線を介して駐車券発行機10に接続され、後述する車種判別信号やリセット信号の入出力部や電源供給路が、入場車路EDや路肩ES,ETに埋設されて配線されている。
【0026】
本発明の実施例では、上述した発光部12A〜12Dと受光部11A〜11Dには、赤外線ビームを用いたセンサーを使用しているが、赤外線に限らずに赤色可視光線方式のセンサーでも良いし、超音波やマイクロ波やレーザー光線を用いる方式でも実現可能であって、センサーの指向性やスポット径やセンサー素子の価格を考慮して適宜決定すれば良い。
【0027】
図3は、本発明の実施例に係る一側の車輪検知装置11の側面図を示し、一側の車輪検知装置11を他側の車輪検知装置12側から見た状態を示している。図の様に一側の車輪検知装置11には第1〜第4のビーム受光部11A〜11Dが夫々所定の位置に受光口を開口して設置されており、その内部には前述の赤外線受光素子が配置されている。他側の車輪検知装置12もこれと全く同じ位置関係で4つの発光口が開口して夫々赤外線発光部12A〜12Dが配置されている。
【0028】
次に、上記各受光部11A〜11Dの配置を図に従って説明すると、まず進行方向手前側で、入場車路EDの地面より離間した位置に、第1のビーム(以下第1ビームB1と称す)の受光部11Aが配置され、当該第1ビームB1の受光部11Aから進行方向に斜め下方向に推移した位置に第2のビーム(以下第2ビームB2と称す)の受光部11Bが配置されている。さらに第1、第2ビームB1、B2の受光部11A,11Bを結ぶラインとほぼ直角で、第2ビームB2を通る仮想ラインを、若干斜め下にオフセットした位置の上方側に、第3のビーム(以下第3ビームB3と称す)の受光部11Cが配置され、その仮想ラインの下方側に第4のビーム(以下第4ビームB4と称す)の受光部11Dが配置されている。
<センサー配置詳細説明>
【0029】
図4(1)と(2)は本発明の実施例に係る車輪検知装置の詳細図を示し、前述の4つのビームB1〜B4の受光部11A〜11Dの配置の詳細な位置関係を示す。まず前述の第1ビームB1の受光部11Aは、車路EDの面から最も離間して、自転車Aの最小タイヤASLの中心位置とほぼ等しい高さにある。そして、上記第1ビームB1が、前記特許請求の範囲の請求項1に記載の基準となるビームを構成している。
【0030】
具体的には、図4(1)において、想定される自転車Aの最小タイヤASLの径は、JIS規格上では12.5インチで、およそ直径320mmであるから、第1ビームB1の受光部11Aの高さは車路EDの面より160mm前後の高さに配置されているが、好適には、最小タイヤASLの凹み等を考慮して140mmから160mmの間の高さに配置されるのが好ましい。しかし、タイヤ径の中心位置よりも高い場合には、泥除けなどのパーツによって適正に車輪を検知しないことが懸念されるが、極力高い方が良い。
【0031】
第1と第2のビームB1、B2の受光部11Aと11Bの高さが極力高い方が良いという理由は、各ビームB1とB2の受光部11A,11Bが両方遮蔽した状態の有無で自転車Aと自動二輪車Mを識別でき、これらのビームB1,B2が路面から離間して前輪ASの進行方向前側を検知するために、利用者Hの足HLと重なって検知することが極力防止できて、エラー発生の割合を少なく抑えられるからである。また、最小タイヤASLの空気圧が低い状態でも、前輪ASの前側を検知しているために最小タイヤASLのつぶれ具合に左右されず、意図的に最小タイヤASLをつぶして誤検知させるような不正が防止できるからである。
【0032】
次に、前述の第2ビームB2の受光部11Bは、第1ビームB1の受光部11AからL1の距離を隔てて進行方向斜め下に配置され、当該L1の距離は、自転車Aの最小タイヤ外径D3とリム内径D4の差、即ち自転車AのタイヤASRの厚みW1よりも若干長い距離に設定されており、且つ、自動二輪車MのタイヤMSLの外径Bとリム内径Dの差、即ち、図4(2)に示す自動二輪車MのタイヤMSLの厚みW2よりも短い距離に設定されている。
【0033】
この際の自転車AのタイヤASRの厚みW1は想定される最大値を採用し、一方で自動二輪車MのタイヤMSLの厚みW2は想定される最小値を採用する。具体的には自転車AのタイヤASRの厚みW1はおよそ60mm以下であり、自動二輪車MのタイヤMSLの厚みW2はおよそ80mm以上である。よって上記第1ビームB1と第2ビームB2のビーム間隔L1は70mm前後に設定している。また、両ビームB1〜B2を結ぶラインの角度はおよそ45度の下向きに設定している。
【0034】
次に、前述の第3ビームB3は、第1及び第2の各ビームB1、B2の受光部11A,11Bを結ぶラインとほぼ直角で、第2のビームB2を通る仮想ラインを、さらに第1と第2のビームB1、B2を結ぶラインの方向にオフセットした位置の上方にあり、オフセット寸法L2は最大タイヤを想定して、その変形や設置誤差を考慮して10mm程度とし、さらに車路EDの面からの高さは第1のビームB1よりも低く、第1と第2の各ビームB1、B2高さのほぼ中間に配置している。
【0035】
さらに前述の第4のビームB4は、第1と第2の各ビームB1、B2の受光部11A,11Bを結ぶラインとほぼ直角で、第2のビームB2を通る仮想ラインを、さらに第1と第2のビームB1、B2を結ぶラインの方向にオフセットした位置の下方にあり、オフセット寸法L3は最小タイヤASLを想定して、その変形や設置誤差を考慮して10mm程度とし、さらに車路面EDからの高さは第2のビームB2よりも低くて、少なくとも車路EDの面よりも高く、且つ、第2のビームB2高さのほぼ中間から3分の2程度の高さに配置している。
【0036】
なお、前述のオフセット寸法L2、L3は、第1と第2のビームB1、B2の受光部11A,11Bを結ぶラインとほぼ直角で、第2のビームB2を通る仮想ラインを、さらに第1と第2のビームB1、B2を結ぶラインの方向にオフセットした距離で示してもよいが、実際に使用する場合の想定される自転車Aの最大のタイヤASRと最小のタイヤASLが夫々進行方向に移動した際に、最大のタイヤASRが第3のビームB3を、最小のタイヤASLが第4のビームB4を遮蔽する位置までの進行方向の距離を考慮して決定しており、諸々の誤差やタイヤの変形を考慮して、前述の通りオフセット寸法L2、L3で10mm程度とした。
【0037】
これらの位置関係の詳細は、使用する赤外線式センサーのビーム径や近接する素子との干渉具合や、設置位置調整の正確さを考慮のうえで決定すればよい。また、発光側の各ビームB1〜B4の位置関係もこれと全く同じ位置関係にあり、即ち車路EDの中央ラインに対して対称な配置となっている。
<動作説明>
【0038】
図5(1)〜(6)は本発明の実施例に係る車輪検知装置11,12の動作説明図であり、まず最大径タイヤASRの自転車A1の動作を示す。(1)では自転車A1の前輪が車輪検知装置11と12の間まで達していないので、全てのビームB1〜B4はすべてON(透過)状態である。自転車A1が進行するとまず(2)の位置に達し、第1のビームB1のみOFF(遮蔽)状態となる。さらに自転車A1が進行すると(3)の位置に達し、第1のビームB1がONしてそれ以外のビームB2〜B4もONのままという状態となる。すぐさま(4)の位置に達して第2のビームB2がOFFし、次に(5)の位置に達して第のビームB3がOFFする。さらに進行すると、(6)の位置に達して第4のビームB4もOFFとなる。この一連の検知状態において、上記(5)の検知状態に成った時点で、最大タイヤASRの自転車A1の判定を出力することが出来る。
【0039】
図6は本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作説明図であり、最小タイヤASLの自転車A2の動作を示す。(1)では自転車A2の前輪が車輪検知装置11,12まで達していないので、全てのビームB1〜B4はすべてON(透過)状態である。自転車が進行するとまず(2)の位置に達し、第1のビームB1のみOFF(遮蔽)状態となる。さらに自転車A2が進行すると(3)の位置に達し、第1のビームB1がONしてそれ以外のビームB2〜B4もONのままという状態となる。すぐさま(4)の位置に達して第2のビームB2がOFFし、次に(5)の位置に達して第4のビームB4がOFFする。さらに進行すると(6)の位置に達して第3のビームB3もOFFとなる。この一連の検知状態において、(5)の検知状態に成った時点で、最小タイヤASLの自転車A2の判定を出力することが出来る。
【0040】
即ち、図5に示す最大タイヤASR、図6に示す最小タイヤASL、若しくはその中間の径のタイヤであっても、自転車Aであれば前述の通り、(1)全てのビームB1〜B4は全てON、(2)第1のビームB1のみOFF、(3)第1のビームB1がONしてそれ以外のビームB2〜B4もONのまま、(4)第2のビームB2がOFF、(5)第3のビームB3or
第4のビームB4の一方がOFF、(6)第3のビームB3 or
第4のビームB4の他方がOFF、という検知状態に成る。そこで(5)の段階で自転車の判定を出力するが、(6)を検知してからでも良い。また、(5)、(6)で第3、第4のビームが同時にOFFすることもあり得る。
【0041】
図7は本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作説明図であり、自動二輪車Mの動作を示す。
(1)では自動二輪車Mの前輪MAが車輪検知装置11,12まで達していないので、全てのビームB1〜B4はON(透過)状態である。自動二輪車Mが進行するとまず(2)の位置に達し、第1のビームB1がOFFとなる。さらに自動二輪車Mが進行すると(3)の位置に達し、第1のビームB1がOFFで、且つ、第2のビームB2がOFFの状態となる。前述の自転車A1,A2の検知状態と異なるので、この時点で自動二輪車Mの判定を出力することが出来る。さらに自動二輪車Mが進行すると(4)の位置に達するが、その時点で第1のビームB1がONするかどうかは自動二輪車MのタイヤMAのホイール形状などによって一様ではない。また、第2のビームB2がOFFとなるか第3のビームB3がOFFとなるかは、自動二輪車Mのタイヤ径によって異なる。
【0042】
いずれにせよ、自動二輪車Mであれば、(1)ビームB1〜B4はすべてON、(2)第1のビームB1のみOFF、(3)第1のビームB1がOFFのままで第2のビームB2がOFF、という検知状態に成った時点で自動二輪車Mの判定を出力するが、この判定は(4)を検知してからでも良い。
【0043】
この様に本発明の実施例では、B1〜B4で示した4本のビームの検知状態(ON/OFF状態)から、自転車Aか自動二輪車Mかの判別を行い、それらの独特の検知パターンが成立した時点で判別信号を出力するように工夫されている。また、これらの検知パターンを仮に利用者Hが足HLなどをかざして発生させようとしても、車路EDから離間した高さに夫々が配置された各ビームB1〜B4を前述のパターン通りに検知させることは、たまたま生じることはあっても、意図的に不正な目的でこれを成そうとすることはほとんど不可能であるといえる。
【0044】
図8は本発明の実施例に係る車輪検知装置の動作フローを示し、前述の検知パターンのいずれかが成立するかによって、自転車Aを判定出力をするか、自動二輪車Mを判定出力をするかを切り替えている。また、いずれのパターンにも該当しない場合には、ステップS11に示すとおりエラー出力を行い、一旦ステップS1に戻って処理を再開する。
【0045】
なお、ステップS5で自転車Aの判定出力をするか、又は、ステップS8で自動二輪車Mの判定出力をすると、その出力は前述の駐車券発行機10に入力されて所望のデータを記録印字して駐車券が発券され、その駐車券を利用者が抜き取ると進行方向前方のゲート装置(図示省略)が開状態となり、利用者が入場車路EDから退出することができる。
【0046】
そして利用者の退出を別途ゲート近傍のセンサー(図示省略)で検知すると、駐車券発行機10はゲート装置に対してゲート閉の指令を出力すると共に、車輪検知装置11,12にはリセット信号を出力する。ステップS6でそのリセット信号の入力を受けると、車輪検知装置11,12の動作は一通り終了する。
【0047】
図9は本発明の実施例に係る車輪検知装置11,12の動作説明図であり、自動二輪車Mの進行状態を示す。本発明の構成の利点は、自転車Aと自動二輪車Mの判別を正確に行い、且つ、意図的に判別状態を誤検知させるような不正を防止することにあるが、例えば(1)にあるように自動二輪車Mを車輪検知装置11,12に進行させながら、(2)のようにハンドルMHに体重FPをかけて前輪のタイヤMAを符号MXで示す如く凹ました場合、(空気圧を減らせておけば容易に成される)、若しくはパンクした車両Mを押している場合、本発明の実施例においては(2)の状態が前述の図7(3)の検知状態と全く同じパターンとなるため、この様な状態で検知しても正確に自動二輪車Mであると判別することが出来る。
【0048】
また、本発明のもうひとつの利点は、前輪タイヤの検知を、図1又は図9で示した前輪タイヤAS又はMAの進行方向前側で行うので、利用者がハンドルを押しているときなどに意図せずに足HL(図1参照)が前輪タイヤAS又はMA付近にかかってしまっても、その足HLをタイヤMAと一緒に判定してしまってエラーを出すようなことを、ほとんどの場合に防ぐことが出来る。もちろん意図的に足HLを前に突き出してタイヤAS及びMAの位置にかざせば、エラーとなる可能性はあるが、意図せずにタイヤAS、MAと足HLを並走させてしまっても、それがエラーになりにくいという効果が十分に発揮できる。
【0049】
さらに本発明の利点として、各ビームB1〜B4が車路EDの面から離間した状態にあり、各々の位置関係が正確に配置されていれば、仮に車路EDの面がゆがんでいたり、水勾配のために中央部が若干高くなっていたりしても、自転車Aや自動二輪車Mの判別に支障はほとんどないという利点もあげられ、全体的に各ビームB1〜B4間の相対的な位置関係を維持できれていれば、性能が設置状態によって左右されにくいため、製造工場で十分調整しておけば出荷して現地で設置した際の調整工程が従来よりも削減できる。
【0050】
<他の実施例1>
図10は本発明の他の実施例に係る車輪検知装置の概観図である。本発明の実施の難しい箇所として、各ビームB1〜B4が比較的近隣に配置されていることがあるが、これによって隣接するビームによって干渉を起こしたり誤検知したりしないよう、例えば4本のビームB1〜B4のうちの2本づつを、図示の如く発光部12A,12B,11X,11Yと受光部11A,11B,12X,12Yを左右交互に設けて、異なる方向から発光させるのも効果的である。
【0051】
さらに同方向からのビームB1〜B4同士については、偏光レンズを介して偏光角度を異ならせて、干渉に強くすることも有効である。もちろんパルス駆動を行って発光と受光をタイミングを異ならせて検知する手段も有効であり、これらを組み合わせることで、近隣位置に配置した複数のビームの干渉や誤検知を確実に防止することが出来る。
【0052】
また、図11は本発明の実施例に係る車輪検知装置の詳細図であり、本発明の利点として自転車Aの前輪ASL又はASRが曲がった状態でも、確実に自転車Aとして検知することを説明した図である。(1)は車路EDの上方より見た平面図であり、(2)は側方より見た図である。特に自転車AでもタイヤASLの小さいものほど、(1)で示した様に通路内を進行する際にハンドルを曲げることでタイヤASLが大きく曲がる事がある。図では45度曲げた状態を示している。
【0053】
図11(2)では想定上の最小タイヤASLの自転車Aが車両検知装置11,12に検知される際に、タイヤASLが(1)の様に45度曲がった場合と、まっすぐの状態を比較して示している。自転車Aの最小タイヤASLが45度曲がっていた場合であっても、第1と第2のビームB1とB2の間にタイヤ外径Xとリム内径Y(図6(2)参照)が納まることで、まっすぐな状態と同じ検知状態が得られる。これにより、自転車AのタイヤASLが45度曲がっていても(45度曲がって進行しても)、確実に自転車としての判定を行うことが出来る。
【0054】
図11(2)を詳細に説明すると、まっすぐのタイヤASLと45度曲がったタイヤASLで最も側方視で異なるのは、タイヤASLの斜め下と斜め上の外径差の部分であるが、この部分にほとんど掛からずに第1と第2のビームB1とB2でタイヤASLを検知することができ、その際に第4のビームB4がまだ検知していない状態も得られているため、本発明の実施例においては、45度程度曲がったタイヤASLであっても、正確に自転車Aとの判定をすることができることが明確に示されている。
<他の実施例2>
【0055】
特に図示しないが、本発明の実施例の車輪検知装置11,12を車路EDの進行方向に2セットを近接させて配置すると、これらの検知信号のパターンが同じように繰り返されたかどうかを判定に追加する事ができ、利用者の足HLと自転車A若しくは自動二輪車Mの識別が確実に成される。
【0056】
特に小動物が徘徊する可能性がある場所であったり、利用者がペットを連れて利用することまで考慮すると、本発明の実施例の車輪検知装置11,12を2セット近接させて配置して夫々の検知信号パターンが2回っ繰り返された場合にのみ、自転車A若しくは自動二輪車Mの検知信号を出力することで、極めて誤検知しにくい強固な車輪検知装置が実現する。
【0057】
なお、本発明の実施例で説明した車輪検知装置の構成は一例で、上記に述べた本発明の実施形態は本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の技術は、有料の自転車/自動二輪車併用駐車場の入場口や出場口に設置されて利用されることが見込まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
10 駐車券発行機
ED 入場車路(車路面)
11,12 車輪検知装置
B1〜B4 ビーム
11A〜11D 受光部
12A〜12D 発光部
A 自転車
M 自動二輪車
AS,MS 前輪
H 利用者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車若しくは自動二輪車が走行する車路の両脇に対向させて設置した一対の発光受光装置の一側から発光される複数本のビームの他側での受光検知パターンに従って、自転車と自動二輪車を検知する車輪検知装置であって、
少なくとも基準となるビームを車路高さより想定される最小径の前輪径近傍の高さに配置して、その位置で前記複数本のビームが検知した前輪の外径部とリム内径部までの厚みの差によって、前輪のタイヤの厚みを判別して、自転車と自動二輪車を識別することを特徴とする車両検知装置。
【請求項2】
自転車若しくは自動二輪車が走行する車路の両脇に対向させて設置した一対の発光受光装置の一側から発光される1本又は複数本のビームの他側での受光検知パターンに従って、自転車と自動二輪車を検知する車輪検知装置であって、
上記複数本のビームのうち、第1のビーム(B1)は、車路面から離間して自転車の最小タイヤの中心位置とほぼ等しい高さにあり、第2のビーム(B2)は、前記第1のビーム(B1)から自転車のタイヤの厚み(W1)よりも長く、且つ、自動二輪車のタイヤの厚み(W2)よりも短い距離を隔てて進行方向斜め下に配置され、第3のビーム(B3)は、前記第2のビーム(B2)よりさらに第1第2のビーム(B1)、(B2)を結ぶラインの方向にオフセットした位置の上方で、且つ、前記第1第2のビーム(B1)、(B2)の車路面からの高さの中間に配置され、第4のビーム(B4)は、前記第2のビーム(B2)よりさらに第1第2のビーム(B1)、(B2)を結ぶラインの方向にオフセットした位置の下方で、且つ、前記第2のビーム(B2)と車路面との中間の高さに配置されていて、各ビームの他側での受光検知パターンから自転車と自動二輪車とそれ以外の異物を判別して出力することを特徴とする請求項1に記載の車両検知装置。
【請求項3】
前記各ビームのうちの何れか1つ若しくは2つのビームの発光方向を、他のビームと異ならせしめることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両検知装置。
【請求項1】
自転車若しくは自動二輪車が走行する車路の両脇に対向させて設置した一対の発光受光装置の一側から発光される複数本のビームの他側での受光検知パターンに従って、自転車と自動二輪車を検知する車輪検知装置であって、
少なくとも基準となるビームを車路高さより想定される最小径の前輪径近傍の高さに配置して、その位置で前記複数本のビームが検知した前輪の外径部とリム内径部までの厚みの差によって、前輪のタイヤの厚みを判別して、自転車と自動二輪車を識別することを特徴とする車両検知装置。
【請求項2】
自転車若しくは自動二輪車が走行する車路の両脇に対向させて設置した一対の発光受光装置の一側から発光される1本又は複数本のビームの他側での受光検知パターンに従って、自転車と自動二輪車を検知する車輪検知装置であって、
上記複数本のビームのうち、第1のビーム(B1)は、車路面から離間して自転車の最小タイヤの中心位置とほぼ等しい高さにあり、第2のビーム(B2)は、前記第1のビーム(B1)から自転車のタイヤの厚み(W1)よりも長く、且つ、自動二輪車のタイヤの厚み(W2)よりも短い距離を隔てて進行方向斜め下に配置され、第3のビーム(B3)は、前記第2のビーム(B2)よりさらに第1第2のビーム(B1)、(B2)を結ぶラインの方向にオフセットした位置の上方で、且つ、前記第1第2のビーム(B1)、(B2)の車路面からの高さの中間に配置され、第4のビーム(B4)は、前記第2のビーム(B2)よりさらに第1第2のビーム(B1)、(B2)を結ぶラインの方向にオフセットした位置の下方で、且つ、前記第2のビーム(B2)と車路面との中間の高さに配置されていて、各ビームの他側での受光検知パターンから自転車と自動二輪車とそれ以外の異物を判別して出力することを特徴とする請求項1に記載の車両検知装置。
【請求項3】
前記各ビームのうちの何れか1つ若しくは2つのビームの発光方向を、他のビームと異ならせしめることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−48599(P2012−48599A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191763(P2010−191763)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
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