説明

軌道分岐部の異物除去装置

【課題】レールの強度に影響を与えることなく、且つレール保守作業の手間を削減することができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供する。
【解決手段】軌道分岐部100には、軌道と垂直な方向に配置される横まくらぎ105と軌道に沿って配置される縦まくらぎ106とが組み合わされて構成されるまくらぎ構造が配置される。配管ユニット13においてノズルユニット14に接続するヘッダー配管15は、少なくとも一部が縦まくらぎ106に内蔵される。空気源装置11からの圧縮空気を供給する空気配管12は、横まくらぎ105の長手方向における端部において配管ユニット13に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基本レールとこの基本レールに対して当接及び離間可能なトングレールとを有する軌道分岐部において設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、降雪地方では、鉄道の軌道分岐部において、電熱式、熱風式、温水式等の融雪装置が用いられている。しかし、このような融雪装置によると、車両が軌道分岐部を通過する際にその振動によって落とされる落下雪氷を短時間で溶かすことが難しく、また、雪氷がバラスト(軌道において敷き詰められた砕石や砂利)上に落下した際の衝撃による飛石等を除去することはできない。そこで、圧縮空気を噴射することで軌道分岐部における基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する異物除去装置が提案されている(特許文献1乃至特許文献7参照)。
【0003】
上記特許文献1乃至特許文献7に開示された異物除去装置においては、ノズルが設けられた配管ユニットの取り付け構成や、空気源装置から軌道分岐部におけるレール間(基本レールとトングレールとの間)に配置される配管ユニットに圧縮空気を供給する配管の構成が異なっている。まず、特許文献1及び特許文献2においては、配管ユニットがレールに対してそのレールの腹部に設けた孔にボルトを挿通させて取り付けられる異物除去装置が開示されている。また、特許文献3においては、レールの底面に沿って配置される特殊な構造の挟持金具を用いるとともにレールストッパの取付ボルトを利用することで、配管ユニットがレールに対して取り付けられた異物除去装置が開示されている。これらの特許文献1乃至特許文献3に開示された異物除去装置は、空気源装置から軌道分岐部における一方のレール間に取り付けられる配管ユニットに対して、1本の配管で圧縮空気が供給されるように構成されている。また、特許文献4乃至特許文献6においては、配管ユニットをレールに固定する取り付け用の部材(ボルトやねじ等)が中空構造で設けられ、その内部が圧縮空気を配管ユニットに供給する供給通路として構成されている異物除去装置が開示されている。また、特許文献7においては、配管ユニットが各まくらぎに設けられている異物除去装置が開示されている。これらの特許文献4乃至特許文献7に開示された異物除去装置は、空気源装置から軌道分岐部における一方のレール間に配置される配管ユニットに圧縮空気を供給する配管は複数に分岐している。
【0004】
【特許文献1】特開平6−240605号公報(第2−3頁、第1図、第3図)
【特許文献2】特開平7−54317号公報(第2−3頁、第1−2図)
【特許文献3】特開2000−144602号公報(第3頁、第1−7図)
【特許文献4】特開2000−144670号公報(第3頁、第1−2図、第5図)
【特許文献5】特開平7−54318号公報(第3頁、第1−2図)
【特許文献6】特開2001−131935号公報(第4頁、第2−3図)
【特許文献7】特開平6−240606号公報(第2−3頁、第1図、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に開示の異物除去装置では、配管ユニットをレールに取り付けるための孔をレールに対して加工する必要があるため、レールの強度に影響を与えてしまうとともに、レール交換等の保守作業時に異物除去装置の取り外し及び取り付けのための手間も多くかかることになってしまう。また、特許文献3に開示の異物除去装置では、レールストッパの取り付けボルトを利用するとともに特殊な構造の金具でレールに固定する必要があることから、レール交換等のレール保守作業時の手間が多くかかることになってしまう。また、特許文献4乃至特許文献6に開示の異物除去装置では、特許文献1及び特許文献2の場合と同様に、配管ユニットをレールに取り付けるための孔加工が必要となってしまう。そして、特許文献4乃至特許文献6の異物除去装置では、配管ユニットをレールに取り付けるための部材の内部を圧縮空気の供給通路として利用できるが、レールの強度確保のためにレールに加工される孔の径が制限されることになる。このため、各ノズルから噴射される圧縮空気の量を必要量確保する観点から、空気源装置から複数に分岐して配管ユニットに圧縮空気を供給する配管構造が必要となってしまう。これにより、レール交換等の保守作業時の手間が多くかかり、とくに、軌道を整備するためにバラストを突き固める軌道突固め作業(いわゆる、マルタイ工事)の際には、複数の分岐配管を全て取り外す作業が必要となり、レール保守作業の手間が多く費やされることになってしまう。また、特許文献7に開示の異物除去装置では、各まくらぎに配管ユニットが取り付けられるため、複数に分岐した配管のそれぞれから圧縮空気を供給する構造となってしまい、特許文献4乃至特許文献6と同様、レール交換やマルタイ工事等のレール保守作業時に多くの手間が費やされることになってしまう。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、レールの強度に影響を与えることなく、且つレール保守作業の手間を削減することができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、基本レールと当該基本レールに対して当接及び離間可能なトングレールとを有する軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで前記基本レールと前記トングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置であって、圧縮空気を噴射するノズルを有するノズルユニットと、前記ノズルユニットに接続するヘッダー配管を有する配管ユニットと、前記配管ユニットを介して前記ノズルユニットに圧縮空気を供給する空気源装置と、を備えている。そして、第1発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、前記軌道分岐部には、軌道と垂直な方向に配置される横まくらぎと軌道に沿って配置される縦まくらぎとが組み合わされて構成されるまくらぎ構造が配置され、前記ヘッダー配管は、少なくとも一部が前記縦まくらぎに内蔵され、前記空気源装置からの圧縮空気を供給する空気配管は、前記横まくらぎの長手方向における端部において前記配管ユニットに接続することを特徴とする。
【0008】
この発明によると、横まくらぎと縦まくらぎとが組み合わされるまくらぎ構造に対して、配管ユニットにおいてノズルユニットに接続するヘッダー配管が、縦まくらぎに内蔵されるように配設される。このため、ノズルユニットやヘッダー配管を取り付けるための加工がレールに施されることが無く、レールの強度に影響を及ぼしてしまうことが防止されることになる。そして、縦まくらぎ内における十分に余裕のあるスペースを活用してヘッダー配管を配置できるため、各ノズルから噴射される圧縮空気の量を必要量確保する観点から十分な大きさのヘッダー配管を容易に配設することができる。さらに、圧縮空気を供給する空気配管が、横まくらぎの長手方向における端部にて配管ユニットに接続するようになっている。このため、上記空気配管を配管ユニットに接続するに際して、レールや転轍機等との設備的な干渉がほとんど無く、各ノズルから噴射される圧縮空気の必要量を確保するのに十分な径の大きさの空気配管を接続することができる。これにより、ノズルが多く設けられたヘッダー配管であっても、1本の空気配管を接続することで必要な量の圧縮空気の供給を確保することができる。また、上記のように、縦まくらぎにヘッダー配管が配設されて横まくらぎの端部にて空気配管が配管ユニットに接続する構成のため、レール交換やマルタイ工事等のレール保守作業の際には、ノズルユニットや配管ユニットを取り外す必要がなく、空気配管を取り外す手間もほとんどかからなくなる。このため、従来技術に比して、レール保守作業の手間が大幅に削減されることになる。
従って、レールの強度に影響を与えることなく、且つレール保守作業の手間を削減することができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供することができる。
【0009】
第2発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記縦まくらぎの上面には、スリット状の開口が形成され、前記ヘッダー配管の上面には、前記開口を塞ぐとともに当該ヘッダー配管を前記縦まくらぎに対して固定するブラケット部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この発明によると、縦まくらぎの上面のスリット状の開口をブラケット部が塞ぐようにヘッダー配管が配置されることで、ヘッダー配管が縦まくらぎに対して内蔵されるように配置されて固定されることになる。このため、縦まくらぎへ内蔵された状態となるようにヘッダー配管を取り付けることを簡単に行うことができ、異物除去装置を軌道分岐部に配設する施工作業の容易化を図ることができる。
【0011】
第3発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明又は第2発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記配管ユニットは、前記ヘッダー配管から分岐し、当該ヘッダー配管に連通するとともに前記横まくらぎに少なくとも一部が内蔵されて当該横まくらぎの端部で前記空気配管に接続する分岐配管を有することを特徴とする。
【0012】
この発明によると、ヘッダー配管から分岐する分岐配管を横まくらぎに内蔵するように配置することで、空気配管を横まくらぎの端部にて容易に配管ユニットに対して接続することができる。そして、上記分岐配管は横まくらぎに内蔵されているため、レール等との設備的な干渉が無く、且つ、レール交換やマルタイ工事等のレール保守作業の際に空気配管を取り外す手間がほとんどかからない構成を容易に実現することができる。
【0013】
第4発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかの軌道分岐部の異物除去装置において、前記ノズルユニットは、前記ノズルが上面側に配置される平板状のプレートを備えるとともに、前記ノズルから噴射される圧縮空気が斜め上方に向かって噴射されるように形成され、前記プレートは、軌道に沿う方向で前記ノズルが圧縮空気を噴射する方向の先端側において、斜め上方に向かって突出するように形成されているスロープ部を有することを特徴とする。
【0014】
この発明によると、ノズルから噴射される圧縮空気によって、雪や飛石などの異物を斜め上方に向かって吹き飛ばし、効率よく除去することができる。そして、ノズルが上面側に配置されるプレートには、圧縮空気の噴射方向の先端側において、斜め上方に向かって突出するスロープ部が形成されている。このため、圧縮空気が噴射されるノズルの斜め上方の領域に対する下方の領域への異物の落下が、プレートのスロープ部によって防止されることになる。また、スロープ部の上に落下した異物も、ノズルから噴射される圧縮空気によって吹き飛ばされて除去されることになる。これにより、ノズルからの圧縮空気が到達しにくい領域に異物が入り込んでしまうことを防止できる。また、ノズルの配設個数の増大を図らなくても、上記プレートが設けられたノズルユニットを構成することで、より少ない個数のノズルで効率よく異物を除去することができ、異物除去装置の加工や組み立ての工数や部材点数の節減を図ることができる。
【0015】
第5発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第4発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記プレートは、軌道と垂直な方向で側方に向かって平板状に広がる側方平板部をさらに有することを特徴とする。
【0016】
この発明によると、軌道と垂直な方向で側方に広がる側方平板部がプレートに設けられているため、ノズルの側方の領域に異物が入り込んでしまうことをこの側方平板部によって防止できる。尚、側方平板部の上に落下した異物は、その箇所に対して圧縮空気の噴射方向の後方側に位置するノズルから噴射される圧縮空気によって吹き飛ばされて除去されることになる。このため、第4発明と同様に、より少ない個数のノズルで効率よく異物を除去することができる。
【0017】
第6発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明乃至第5発明のいずれかの軌道分岐部の異物除去装置において、前記ノズルユニットは、前記ヘッダー配管の上面側に配置され、当該ヘッダー配管に連通する中空部が形成されているノズル本体と、前記ノズル本体の上面側に配置され、前記ノズル本体の前記中空部に連通するとともに斜め上方に向かって開口するノズル孔が形成されているブロック体として設けられている前記ノズルと、を有していることを特徴とする。
【0018】
この発明によると、ヘッダー配管に供給された圧縮空気は、ノズル本体の中空部を介して、ブロック体として設けられたノズルに形成されたノズル孔へと流動し、このノズル孔から斜め上方に向かって噴射される。このため、斜め上方に向かって圧縮空気を噴射するノズルユニットについて、中空部が形成されたノズル本体とノズル孔が形成されたブロック体とにより、簡単な構成で容易に実現することができる。
【0019】
第7発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明乃至第6発明のいずれかの軌道分岐部の異物除去装置において、前記ノズルユニットは、圧縮空気を斜め上方に向かって噴射するように形成されるとともに軌道に沿って並んで配置される複数の前記ノズルを備え、前記複数のノズルとして、軌道に沿う方向で前記ノズルが圧縮空気を噴射する方向において前方側に配置される第1ノズルと後方側に配置される第2ノズルとが備えられ、前記第2ノズルにおいて斜め上方に向かって開口するノズル孔の中心線の延長方向が前記第1ノズルの上方を通過するように、前記第2ノズルが形成されていることを特徴とする。
【0020】
この発明によると、軌道に沿って並ぶ前方側の第1ノズル及び後方側の第2ノズルからは、圧縮空気が斜め上方に向かって噴射される。そして、第2ノズルは、そのノズル孔の中心線の延長方向が第1ノズルの上方を通過するように、形成されている。このため、第2ノズルから噴射される圧縮空気は、第1ノズルから噴射される圧縮空気の上方の領域で斜め上方に向かって噴射されることになる。従って、前後に並ぶ複数のノズルから噴射される圧縮空気は、重複する領域への噴射が抑制されるとともに上下に広がる領域に効率よく分散されて噴射されることになる。このため、より少ない個数のノズルで効率よく異物を除去するノズル配置構成を実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、レールの強度に影響を与えることなく、且つレール保守作業の手間を削減することができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明の実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置は、軌道分岐部において設けられて圧縮空気を噴射することで基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する軌道分岐部の異物除去装置として広く適用できるものである。
【0023】
(軌道分岐部の構成)
図1は、本発明の一実施の形態に係る軌道分岐部の異物除去装置1(以下、単に「異物除去装置1」という)とこの異物除去装置1が設けられた軌道分岐部100とを示す平面図である。図1に示すように、この軌道分岐部100においては、一対の基本レール101、101、一対のトングレール102、102、転轍機103、グリッドまくらぎ104等が設置されている。一対の基本レール101、101は、所定の間隔を離間した状態で配設され、この一対の基本レール101、101間に、一対のトングレール102、102が配設されている。基本レール101及びトングレール102は、グリッドまくらぎ104上に床板107及びベアリング床板108を介して配設されており、トングレール102がベアリング床板108により移動可能に構成されている。これにより、各トングレール102は、各基本レール101に対して当接及び離間可能に設けられている。また、各トングレール102の端部同士は、転轍機103に備えられる転轍棒103aによって一定間隔が維持された状態で連結されている。そして、図示しない制御装置からの指令に基づいて転轍機103が作動することにより、基本レール101に対してトングレール102が当接又は離間する方向に移動し、軌道分岐部100における走行レールの切り換え動作(ポイントの切り換え動作)が行われるようになっている。
【0024】
また、軌道分岐部100に配置されるグリッドまくらぎ104は、横まくらぎ105と縦まくらぎ106とが組み合わされて構成されるまくらぎ構造を備えている。横まくらぎ105は、軌道(路盤上に配置されるレール、まくらぎ、道床などの構造物)と垂直な方向に配置され、縦まくらぎ106は、軌道に沿って配置されている。図1に例示するグリッドまくらぎ104においては、横まくらぎ105として、平行に配置される一対の縦まくらぎ106の両方に対して掛け渡されるように組み合わされる長まくらぎと、長まくらぎよりも短くてそれぞれ縦まくらぎ106に組み合わされる短まくらぎと、が備えられている。横まくらぎ105における短まくらぎ、及び縦まくらぎ106は、例えば、鋼材料を用いた中空の角パイプ状に形成されている。横まくらぎ105における長まくらぎは、例えば、レールからの荷重を支持する両端部分が鋼材料を用いた中空の角パイプ状に形成され、この両端部分がガラス繊維とウレタン樹脂との複合材料により形成された連結部分を介して連結された構造として形成されている。そして、横まくらぎ105と縦まくらぎ106とは、溶接により接合されている。尚、本実施形態では、短く分割された構造の縦まくらぎ106が横まくらぎ105を連結する構成のグリッドまくらぎ104を例示したが、この通りなくても、本発明を適用できる。例えば、長く連続する縦まくらぎに対して各横まくらぎが組み合わされるグリッドまくらぎ等でも本発明を適用できる。即ち、横まくらぎと縦まくらぎとが組み合わされるまくらぎ構造であれば、その組み合わされる形態によらず、本発明を適用することができる。
【0025】
(異物除去装置の全体構成)
次に、本実施形態に係る異物除去装置1の構成について説明する。異物除去装置1は、上述した軌道分岐部100に設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レール101とトングレール102との間に落下した雪や飛石などの異物を除去するために設置される。図1に示すように、空気源装置11、空気配管12、配管ユニット13、ノズルユニット14等を備えて構成されている。空気源装置11は、軌道分岐部100における軌道の近傍に配置されている。一方、配管ユニット13及びノズルユニット14は、軌道分岐部100における基本レール101とトングレール102との間、及びその近傍の領域において、基本レール101が途中から緩やかに湾曲している分岐線側(図1において空気源装置11が配置されている側)とその反対側で基本レール101が真っ直ぐに延びている基準線側(空気源装置11が配置される側とは反対側)とにそれぞれ配置されている。
【0026】
また、空気配管12は、空気源装置11と配管ユニット13とを接続して空気源装置11からの圧縮空気を配管ユニット13に供給する供給配管として設けられている。この空気配管12としては、図1に示すように、分岐線側の配管ユニット13と基準線側の配管ユニット13とにそれぞれ接続するように、複数(2本)設けられている。尚、基準線側の配管ユニット13に接続する空気配管12は、軌道を横断するよう配置されるため、レールと干渉しないように、中途部分が適宜バラスト内に埋設されて配設される。また、図1に示すように、各空気配管12は、横まくらぎ105の長手方向(軌道と垂直な方向)における端部において各配管ユニット13に接続するように配設されている。
【0027】
(空気源装置の構成)
図2は、空気源装置11を示す空気回路図である。図1及び図2に示す空気源装置11は、配管ユニット13を介してノズルユニット14に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源として設けられており、コンプレッサ18、空気タンク19、電磁切換弁20a、20bなどを備えて構成されている。コンプレッサ19にて生成された圧縮空気は、空気タンク19へと貯留されるようになっている。空気タンク19には、電磁切換弁20a及び空気配管12を介して、分岐線側の基本レール101及びトングレール102の間及びその近傍領域に配置される配管ユニット13及びノズルユニット14が接続されている。同様に、空気タンク19には、電磁切換弁20b及び空気配管12を介して、空気源装置11が配置される側とは反対側の基本レール101及びトングレール102の間の領域に配置される配管ユニット13及びノズルユニット14が接続されている。
【0028】
上述した空気源装置11において図示しない制御装置からの指令に基づいて電磁切換弁20a及び電磁切換弁20bがそれぞれ遮断位置(図2に示す状態)から連通位置に切り換えられることで、各電磁切換弁20a、20bの下流側に接続された配管ユニット13及びノズルユニット14を介して圧縮空気が噴射されることになる。尚、本実施形態の空気源装置11はコンプレッサ18を備えて構成されているが、このコンプレッサ18が共有される状態で備えられているものであってもよい。例えば、空気源装置11のコンプレッサ18から、軌道分岐部100とは異なる軌道分岐部に対応する空気源装置でコンプレッサが設けられていない空気源装置の空気タンクにも圧縮空気が供給されるように構成されていてもよい。また、空気源装置11が、その逆の構成(空気源装置11にコンプレッサ18が設けられておらず、他の空気源装置のコンプレッサから圧縮空気が空気タンク19に供給される構成)を備えるものであってもよい。
【0029】
(配管ユニットの構成)
図3は、図1のA−A線矢視位置における断面を示した図であり、基本レール101についてはその図示を省略し、縦まくらぎ106についてはその内部の状態を図示したものである。図4は、軌道分岐部100の基準線側における配管ユニット13の一部を基本レール101及びトングレール102とともに拡大して示す平面図である。また、図5は、配管ユニット13についてその長手方向における一部を示す図であり、配管ユニット13の平面図(図5(a))と、図5(a)のE線矢視方向から見た配管ユニット13の正面図(図5(b))と示す図である。図1、図3乃至図5に示すように、配管ユニット13は、分岐線側及び基準線側にそれぞれ配設されている。そして、各配管ユニット13は、それぞれヘッダー配管15、分岐配管16、ブラケット部17等を備えて構成されている。
【0030】
図3乃至図5によく示すように、ヘッダー配管15は、中空の角パイプ状に形成され、両端部がいずれも閉じられた状態に形成されている。このヘッダー配管15は、例えば、鋼材料で形成されている。そして、ヘッダー配管15は、横まくらぎ105を介して直列に連結された縦まくらぎ106に沿ってその内部に配置されている。即ち、ヘッダー配管15は、縦まくらぎ106と、横まくらぎ105において縦まくらぎ105の間に配置される部分とに対して、内蔵されるように配設されている(図3参照)。また、ヘッダー配管15には、その長手方向に沿ってその上面側において複数のノズルユニット14が直列に配置されている。後述するように、ヘッダー配管15内の中空部は各ノズルユニット14に連通し、ヘッダー配管15と各ノズルユニット14とが接続されている。尚、図5(a)に示すように、ヘッダー配管15及びブラケット部17の両方には、ノズルユニット14への連通孔21が形成されている。
【0031】
図6は、図5のD−D線矢視断面を示した図である。図1、図3乃至図6に示すように、分岐配管16は、ヘッダー配管15から分岐するようにヘッダー配管15に接続する配管構造として設けられている。この分岐配管16は、その中空部がヘッダー配管15の中空部に連通するよう形成されている。そして、分岐配管16は、横まくらぎ105に沿って配置されるとともに、この横まくらぎ105に内蔵されるように配置されている(図1、図3、図4参照)。また、分岐配管16は、前述したように、横まくらぎ105の端部で空気配管12に接続するように配設されている(図1参照)。
【0032】
図7は、図4のB−B線矢視位置での断面図(図7(a))と、図4のC−C線矢視位置での断面図(図7(b))とを示したものである。図5乃至図7によく示すように、ブラケット部17は、細長い平板状に形成されており、ヘッダー配管15の上面に溶接により接合されている。ブラケット部17には、ヘッダー配管15の中空部とノズルユニット14とを連通する連通孔21が形成されている(図7参照)。そして、図7によく示すように、縦まくらぎ106の上面にはスリット状の細長い開口22が形成され、この開口22を塞ぐようにブラケット部17が溶接によって縦まくらぎ106に対して取り付けられる。このとき、ブラケット部17の上面と縦まくらぎ106の上面とが同一の平面に位置するように、又は互いに近接した平面にそれぞれ位置するように、ブラケット部17が縦まくらぎ106に対して取り付けられる。開口22を塞ぐようにブラケット部17が縦まくらぎ106に取り付けられることで、ブラケット部17に接合されたヘッダー配管15が、縦まくらぎ106に対して固定されることになる。尚、このようにブラケット部17を介してヘッダー配管15が縦まくらぎ106に固定されることで、ヘッダー配管15は縦まくらぎ106に内蔵された状態で配置されることになる。
【0033】
(ノズルユニットの構成)
ノズルユニット14は、空気源装置11から供給された圧縮空気を基本レール101とトングレール102との間の領域に噴射するノズル機構として設けられている。このノズルユニット14は、図1、図3、図4に示すように、配管ユニット13に対してその上面側において軌道に沿って(配管ユニット13の長手方向に沿って)直列に配設されている。また、図8はノズルユニット14の平面図を示したものであり、図9は図8のF線矢視方向から見たノズルユニット14の正面図を示したものである。また、図10は、図9のG−G線矢視位置での断面図(図10(a))及び図9のH−H線矢視位置での断面図(図10(b))を示したものである。図7乃至図10に示すように、ノズルユニット14は、ノズル本体23、ノズル24、プレート25等を備え、これらが溶接により一体的に接合されて構成されている。
【0034】
ノズル本体23は、図7乃至図10に示すように、両端部が閉じられた中空の角パイプ状に形成され、ブラケット部17に溶接により接合されてヘッダー配管15の上面側に配置されている。そして、ノズル本体23には、ヘッダー配管15の内部(中空部)に対して連通孔21を介して連通する中空部が形成されている。
【0035】
圧縮空気を噴射するノズル24は、図7乃至図10に示すように、ノズル本体23の上面側に配置され、ノズルユニット14において複数(本実施形態では2つ)設けられており、この複数のノズル24が軌道に沿って(ノズル本体23の長手方向に沿って)並んで配置されている。ノズル24としては、第1ノズル24aと第2ノズル24bとが備えられており、いずれも、ノズル本体23の中空部に連通するとともに斜め上方に向かって開口するノズル孔26が形成されているブロック体として設けられている。このノズル孔26から圧縮空気が噴射されることで、斜め上方に向かって圧縮空気が噴射されることになる。尚、図3においては、ノズル24から斜め上方に噴射される圧縮空気の経路を一点鎖線で示している。また、各ノズル24a、24bにおいて、ノズル孔26は3つ形成されており、3つのノズル孔26は、それぞれの中心線が軌道の方向に対して斜めに広がって位置するように異なる角度に形成されている。これにより、各ノズル24a、24bから噴射される圧縮空気は、軌道方向に対して斜め方向において噴射範囲が広がるように噴射されることになる。
【0036】
また、第1ノズル24aは、軌道に沿う方向でノズル24が圧縮空気を噴射する方向において前方側に配置され、第2ノズル24bは、同方向において後方側に配置されている。そして、図7、図9、図10に示すように、第2ノズル24bは、そのノズル孔26の開口位置が第1ノズル24aのノズル孔26の開口位置よりも高い位置で開口するように、第1ノズル24aよりもブロック体としての高さが高くなるよう形成されている。これにより、第2ノズル24bは、斜め上方に向かって開口するそのノズル孔26の中心線(図9にて一点鎖線で示す中心線P)の延長方向が第1ノズル24aの上方を通過するように形成されている。
【0037】
プレート25は、図7乃至図10に示すように、その上面側にノズル24、その下面側にノズル本体23がそれぞれ配置される平板状に形成されている。このプレート25に対してノズル24とノズル本体23とがそれぞれ溶接されることで、ノズルユニット14が一体的に構成されている。また、プレート25においては、側方平板部27とスロープ部28とが設けられている。側方平板部27は、軌道と垂直な方向(ノズル本体23と垂直な方向)で側方に向かって平板状に広がる部分として形成されている。スロープ部28は、軌道に沿う方向(ノズル本体23の長手方向)でノズル24が圧縮空気を噴射する方向の先端側において、斜め上方に向かって突出する平板状の部分として形成されている。図4にも示すように、側方平板部27及びスロープ部28は、基本レール101とトングレール102との間の領域において広がるように配置されている。
【0038】
尚、図3及び図7によく示すように、ノズルユニット14において高さの高い位置にある第2ノズル24bの上面やスロープ部28の先端部分は、トングレール102の下面よりも高さが低い位置に位置するように、ノズルユニット14が配置されている。このため、転轍機103の作動によりトングレール102が移動しても、ノズルユニット14と干渉することがないようにノズルユニット14が配置されている。
【0039】
(異物除去装置の作動)
上述した異物除去装置1は、図示しない制御装置が、例えば、異物の落下検知センサ(図示せず)や降雪センサ(図示せず)等の各種センサでの検知結果、或いは転轍機103の動作信号(ポイントの切り換え信号)等の各種機器の動作指令信号などに基づいて、電磁切換弁20a又は電磁切換弁20bの切り換え指令が発せられることで作動して、異物除去動作が行われることになる。車両運行中の時間帯等の異物除去動作が必要となる可能性のある時間帯においては、図2に示す空気源装置11において、コンプレッサ18から供給される圧縮空気は、空気タンク19に貯留されている。そして、上記のように、制御装置からの指令に基づいて各電磁切換弁20a、20bが図2に示す遮断位置から連通位置に切り換えられることで、空気タンク19に貯留された圧縮空気が、各電磁切換弁20a、20bを介して各空気配管12へと流動することになる。
【0040】
空気配管12へと流動した圧縮空気は、分岐配管16を通じてヘッダー配管15の中空部へとさらに流動する(図1、図3、図6参照)。そして、この圧縮空気は、ヘッダー配管15から連通孔21を通過してノズル本体23の中空部へと流動し(図7参照)、さらにノズル24のノズル孔26から斜め上方に向かって噴射されることになる(図3、図9参照)。このとき、各ノズル24においては、複数のノズル孔26から側方にも広がって圧縮空気が噴射される。これによって、軌道分岐部100における基本レール101とトングレール102との間に落下した異物が、ノズル24から噴射される圧縮空気によって吹き飛ばされて除去されることになる。また、プレート25に側方平板部27とスロープ部28とが設けられているため、プレート25よりも下方に異物が落下してしまうことも防止されることになる。
【0041】
(異物除去装置の効果)
以上説明した異物除去装置1によると、横まくらぎ105と縦まくらぎ106とが組み合わされるまくらぎ構造のグリッドまくらぎ104に対して、配管ユニット13においてノズルユニット14に接続するヘッダー配管15が、縦まくらぎ106に内蔵されるように配設される。このため、ノズルユニット14やヘッダー配管15を取り付けるための加工が基本レール101及びトングレール102に施されることが無く、これらのレールの強度に影響を及ぼしてしまうことが防止されることになる。そして、縦まくらぎ106内における十分に余裕のあるスペースを活用してヘッダー配管15を配置できるため、各ノズル24から噴射される圧縮空気の量を必要量確保する観点から十分な大きさのヘッダー配管15を容易に配設することができる。さらに、圧縮空気を供給する空気配管12が、横まくらぎ105の長手方向における端部にて配管ユニット13に接続するようになっている。このため、空気配管12を配管ユニット13に接続するに際して、レールや転轍機等との設備的な干渉がほとんど無く、各ノズル24から噴射される圧縮空気の必要量を確保するのに十分な径の大きさの空気配管12を接続することができる。これにより、ノズル24が多く設けられたヘッダー配管15であっても、1本の空気配管12を接続することで必要な量の圧縮空気の供給を確保することができる。また、上記のように、縦まくらぎ106にヘッダー配管15が配設されて横まくらぎ105の端部にて空気配管12が配管ユニット13に接続する構成のため、レール交換やマルタイ工事等のレール保守作業の際には、ノズルユニット14や配管ユニット13を取り外す必要がなく、空気配管12を取り外す手間もほとんどかからなくなる。このため、従来技術に比して、レール保守作業の手間が大幅に削減されることになる。
【0042】
従って、レールの強度に影響を与えることなく、且つレール保守作業の手間を削減することができる、軌道分岐部100の異物除去装置1を提供することができる。
【0043】
また、異物除去装置1によると、縦まくらぎ106の上面のスリット状の開口22をブラケット部17が塞ぐようにヘッダー配管15が配置されることで、ヘッダー配管15が縦まくらぎ106に対して内蔵されるように配置されて固定されることになる。このため、縦まくらぎ106へ内蔵された状態となるようにヘッダー配管15を取り付けることを簡単に行うことができ、異物除去装置1を軌道分岐部100に配設する施工作業の容易化を図ることができる。
【0044】
また、異物除去装置1によると、ヘッダー配管15から分岐する分岐配管16を横まくらぎ105に内蔵するように配置することで、空気配管12を横まくらぎ105の端部にて容易に配管ユニット13に対して接続することができる。そして、分岐配管16は横まくらぎ105に内蔵されているため、レール等との設備的な干渉が無く、且つ、レール交換やマルタイ工事等のレール保守作業の際に空気配管12を取り外す手間がほとんどかからない構成を容易に実現することができる。
【0045】
また、異物除去装置1によると、ノズル24から噴射される圧縮空気によって、雪や飛石などの異物を斜め上方に向かって吹き飛ばし、効率よく除去することができる。そして、ノズル24が上面側に配置されるプレート25には、圧縮空気の噴射方向の先端側において、斜め上方に向かって突出するスロープ部28が形成されている。このため、圧縮空気が噴射されるノズル24の斜め上方の領域に対する下方の領域への異物の落下が、プレート25のスロープ部28によって防止されることになる。また、スロープ部28の上に落下した異物も、ノズル24から噴射される圧縮空気によって吹き飛ばされて除去されることになる。これにより、ノズル24からの圧縮空気が到達しにくい領域に異物が入り込んでしまうことを防止できる。また、ノズル24の配設個数の増大を図らなくても、スロープ部28を有するプレート25が設けられたノズルユニット14を構成することで、より少ない個数のノズル24で効率よく異物を除去することができ、異物除去装置1の加工や組み立ての工数や部材点数の節減を図ることができる。
【0046】
また、異物除去装置1によると、軌道と垂直な方向で側方に広がる側方平板部27がプレート25に設けられているため、ノズル24の側方の領域に異物が入り込んでしまうことをこの側方平板部27によって防止できる。尚、側方平板部27の上に落下した異物は、その箇所に対して圧縮空気の噴射方向の後方側に位置するノズル24から噴射される圧縮空気によって吹き飛ばされて除去されることになる。このため、より少ない個数のノズル24で効率よく異物を除去することができる。
【0047】
また、異物除去装置1によると、ヘッダー配管15に供給された圧縮空気は、ノズル本体23の中空部を介して、ブロック体として設けられたノズル24に形成されたノズル孔26へと流動し、このノズル孔26から斜め上方に向かって噴射される。このため、斜め上方に向かって圧縮空気を噴射するノズルユニット14について、中空部が形成されたノズル本体23とノズル孔26が形成されたブロック体とにより、簡単な構成で容易に実現することができる。
【0048】
また、異物除去装置1によると、軌道に沿って並ぶ前方側の第1ノズル24a及び後方側の第2ノズル24bからは、圧縮空気が斜め上方に向かって噴射される。そして、第2ノズル24bは、そのノズル孔26の中心線Pの延長方向が第1ノズル24aの上方を通過するように、形成されている。このため、第2ノズル24bから噴射される圧縮空気は、第1ノズル24aから噴射される圧縮空気の上方の領域で斜め上方に向かって噴射されることになる。従って、前後に並ぶ複数のノズル24から噴射される圧縮空気は、重複する領域への噴射が抑制されるとともに上下に広がる領域に効率よく分散されて噴射されることになる。このため、より少ない個数のノズル24で効率よく異物を除去するノズル配置構成を実現することができる。
【0049】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例を実施することができる。
【0050】
(1)本実施形態では、ヘッダー配管が、横まくらぎを介して直列に連結された縦まくらぎに沿ってその内部に配置される場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、長く連続する縦まくらぎに対して各横まくらぎが組み合わされるまくらぎ構造において縦まくらぎに沿ってヘッダー配管の全部が内蔵されるものであってもよく、種々の形態で組み合わされるまくらぎ構造に対して、本発明を適用することができる。
【0051】
(2)本実施形態では、ヘッダー配管の上面に設けられたブラケット部が縦まくらぎの上面の開口を塞ぎ、ブラケット部の上面と縦まくらぎの上面とがほぼ同一の平面に位置するように、ヘッダー配管が縦まくらぎに取り付けられる場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、図11に示す変形例のようにヘッダー配管が縦まくらぎに取り付けられるものであってもよい。
【0052】
図11(a)は、変形例に係る配管ユニット31についての軌道と垂直な断面を縦まくらぎ106及びノズルユニット14とともに示した断面図である。配管ユニット31は、ブラケット部が設けられておらず、ヘッダー配管15が縦まくらぎ106に対して直接に溶接により固定されるように構成されている。そして、縦まくらぎ106の上面に形成された開口部32は、ノズルユニット14におけるノズル本体23によって塞がれた状態になっている。尚、開口部32は、ノズル本体23の下面側で塞ぐことが可能な大きさに形成されている。この配管ユニット31のように構成される場合であっても、本発明を適用することができる。
【0053】
図11(b)は、変形例に係る配管ユニット33についての軌道と垂直な断面を縦まくらぎ106及びノズルユニット14とともに示した断面図である。配管ユニット33においては、ブラケット部34が設けられ、このブラケット部34はヘッダー配管15の上面に対して溶接により接合されている。ブラケット部34には連通孔35が形成され、この連通孔35を介してヘッダー配管15の中空部とノズルユニット14におけるノズル本体23の中空部とが連通された状態になっている。そして、縦まくらぎ106の上面にスリット状に形成された開口36がブラケット部34によって塞がれるようにして、このブラケット部34が縦まくらぎ106に取り付けられている。これにより、ヘッダー配管15が縦まくらぎ106に対して内蔵されるようにして固定されることになる。さらに、ブラケット部34は、複数のボルトによって縦まくらぎ106の上面に取り付けられており、このため、縦まくらぎ106の上面に対して、ブラケット部34が段状に高さが高くなるように取り付けられることになる。この配管ユニット33のように構成される場合であっても、本発明を適用することができる。
【0054】
(3)本実施形態では、ノズルユニットのプレートにスロープ部や側方平板部が設けられた場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、このようなスロープ部や側方平板部が設けられていないものや、他の形状にプレートが形成されるものであっても、本発明を適用することができる。
【0055】
(4)ノズルユニットにおけるノズル本体やノズルについては、本実施形態に例示した形状に限らず、他の形状に形成されるものであってもよい。また、ノズルユニットにおけるノズルの配置や個数についても、本実施形態に例示した形態に限らず、変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、軌道分岐部に設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置として、広く適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施の形態に係る軌道分岐部の異物除去装置とこの異物除去装置が設けられた軌道分岐部とを示す平面図である。
【図2】図1に示す異物除去装置における空気源装置を示す空気回路図である。
【図3】図1のA−A線矢視位置において一部を省略して示す断面図である。
【図4】図1に示す異物除去装置における配管ユニットの一部を基本レール及びトングレールとともに拡大して示す平面図である。
【図5】図4に示す配管ユニットについてその長手方向における一部を示す平面図及び正面図である。
【図6】図5のD−D線矢視断面図である。
【図7】図4のB−B線矢視断面図及びC−C線矢視断面図である。
【図8】図1に示す異物除去装置におけるノズルユニットの平面図である。
【図9】図8に示すノズルユニットの正面図である。
【図10】図9のG−G線矢視断面図及びH−H線矢視断面図である。
【図11】配管ユニットの変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 軌道分岐部の異物除去装置
11 空気源装置
12 空気配管
13 配管ユニット
14 ノズルユニット
15 ヘッダー配管
24、24a、24b ノズル
100 軌道分岐部
101 基本レール
102 トングレール
105 横まくらぎ
106 縦まくらぎ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本レールと当該基本レールに対して当接及び離間可能なトングレールとを有する軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで前記基本レールと前記トングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置であって、
圧縮空気を噴射するノズルを有するノズルユニットと、
前記ノズルユニットに接続するヘッダー配管を有する配管ユニットと、
前記配管ユニットを介して前記ノズルユニットに圧縮空気を供給する空気源装置と、
を備え、
前記軌道分岐部には、軌道と垂直な方向に配置される横まくらぎと軌道に沿って配置される縦まくらぎとが組み合わされて構成されるまくらぎ構造が配置され、
前記ヘッダー配管は、少なくとも一部が前記縦まくらぎに内蔵され、
前記空気源装置からの圧縮空気を供給する空気配管は、前記横まくらぎの長手方向における端部において前記配管ユニットに接続することを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記縦まくらぎの上面には、スリット状の開口が形成され、
前記ヘッダー配管の上面には、前記開口を塞ぐとともに当該ヘッダー配管を前記縦まくらぎに対して固定するブラケット部が設けられていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記配管ユニットは、前記ヘッダー配管から分岐し、当該ヘッダー配管に連通するとともに前記横まくらぎに少なくとも一部が内蔵されて当該横まくらぎの端部で前記空気配管に接続する分岐配管を有することを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記ノズルユニットは、前記ノズルが上面側に配置される平板状のプレートを備えるとともに、前記ノズルから噴射される圧縮空気が斜め上方に向かって噴射されるように形成され、
前記プレートは、軌道に沿う方向で前記ノズルが圧縮空気を噴射する方向の先端側において、斜め上方に向かって突出するように形成されているスロープ部を有することを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項5】
請求項4に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記プレートは、軌道と垂直な方向で側方に向かって平板状に広がる側方平板部をさらに有することを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記ノズルユニットは、
前記ヘッダー配管の上面側に配置され、当該ヘッダー配管に連通する中空部が形成されているノズル本体と、
前記ノズル本体の上面側に配置され、前記ノズル本体の前記中空部に連通するとともに斜め上方に向かって開口するノズル孔が形成されているブロック体として設けられている前記ノズルと、
を有していることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記ノズルユニットは、圧縮空気を斜め上方に向かって噴射するように形成されるとともに軌道に沿って並んで配置される複数の前記ノズルを備え、
前記複数のノズルとして、軌道に沿う方向で前記ノズルが圧縮空気を噴射する方向において前方側に配置される第1ノズルと後方側に配置される第2ノズルとが備えられ、
前記第2ノズルにおいて斜め上方に向かって開口するノズル孔の中心線の延長方向が前記第1ノズルの上方を通過するように、前記第2ノズルが形成されていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−263900(P2009−263900A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111755(P2008−111755)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】