説明

軟水装置

【課題】水路における水流を利用して発電を行う発電手段と蓄電手段とを備えた軟水装置において、装置の未使用状態が続いても、装置内の被給電部への電力供給を確実に行う。
【解決手段】原水中に含まれる硬度分を除去する軟水生成部2とともに、原水ライン3における水流を利用して発電を行う発電手段5と、この発電手段5で発電した電力を装置内の被給電部であるバルブ駆動装置16へ供給する電力として蓄える蓄電手段13とを備える軟水装置1であって、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記原水ライン3,前記軟水生成部2および軟水ライン4からなる水路への通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記水路に水流を発生させる水流発生手段14を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原水に含まれる硬度分を除去する軟水装置に関し、とくに一般家庭用および病院用など、工業用以外の民生用の軟水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軟水装置は、軟水生成部として、ナトリウム型またはカリウム型のイオン交換樹脂を収容した樹脂収容部を備える。そして、この樹脂収容部へ原水ラインから原水を供給し、この原水中に含まれる硬度分,すなわちカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンをナトリウムイオンまたはカリウムイオンと置換させることにより軟水を生成し、この軟水を軟水ラインから供給するようになっている。
【0003】
ところで、たとえば前記軟水装置を浴室に設置する場合、装置で使用する電力を装置外部から供給しようとすると、漏電遮断の対策などの煩雑な工事を伴う。そこで、このように装置で使用する電力を装置外部から供給することが困難な場所に設置する軟水装置として、装置の使用時,すなわち原水ラインを介して前記軟水生成部へ原水を供給して軟水を生成し、この軟水を前記軟水生成部から軟水ラインを介して供給するときに、前記原水ライン,前記軟水生成部および前記軟水ラインからなる水路における水流を利用して発電を行う発電手段と、この発電手段で発電した電力を蓄える蓄電手段とを備え、この蓄電手段から装置内の被給電部へ電力を供給する軟水装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−51854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記軟水装置の未使用状態が続いて前記水路への通水を停止している時間が長くなり、前記発電手段による発電が行われない時間が長くなると、前記蓄電手段の蓄電量が放電によって減少し、前記被給電部へ十分な電力を供給することができなくなるおそれがある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、水路における水流を利用して発電を行う発電手段と蓄電手段とを備えた軟水装置において、装置の未使用状態が続いても、装置内の被給電部への電力供給を確実に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、原水中に含まれる硬度分を除去する軟水生成部とともに、水路における水流を利用して発電を行う発電手段と、この発電手段で発電した電力を装置内の被給電部へ供給する電力として蓄える蓄電手段とを備える軟水装置であって、前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記水路への通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記水路に水流を発生させる水流発生手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記発電手段を、前記軟水生成部と接続され前記水路の一部を構成する原水ラインに設け、さらにこの原水ラインには前記発電手段の下流側に排水ラインを接続し、また前記水流発生手段にあっては、前記原水ラインへの通水を停止している状態において前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記原水ラインへの通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記原水ラインから前記排水ラインへの水流を発生させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の前記発電手段を、前記軟水生成部と接続され前記水路の一部を構成する原水ラインに設け、さらに前記原水ラインにおける前記発電手段の下流側と、前記軟水生成部から軟水を取り出す軟水ラインとを接続するバイパスラインを設け、また前記水流発生手段にあっては、前記原水ラインへの通水を停止している状態において前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記原水ラインへの通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記原水ラインから前記バイパスラインへの水流を発生させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記流路への通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記水流発生手段によって前記水路に水流を発生させることで、前記発電手段による発電が行われ、その発電電力が前記蓄電手段へ蓄えられる。これにより、前記軟水装置の未使用状態が続いても、前記蓄電手段から前記被給電部への電力供給を確実に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記原水ラインへの通水を停止している状態において前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記原水ラインへの通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記水流発生手段によって前記原水ラインから前記排水ラインへの水流を発生させることにより、前記発電手段による発電が行われ、その発電電力が前記蓄電手段へ蓄えられる。このとき、前記原水ラインから前記排水ラインへ水が流れ、前記軟水生成部への通水は行われないので、この軟水生成部において、原水に含まれる硬度分を除去するイオン交換樹脂のイオン交換能力が早期に低下してしまうことを防止することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記原水ラインへの通水を停止している状態において前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記原水ラインへの通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記水流発生手段によって前記原水ラインから前記バイパスラインへの水流を発生させることにより、前記発電手段による発電が行われ、その発電電力が前記蓄電手段へ蓄えられる。このとき、前記原水ラインから前記バイパスラインへ水が流れ、前記軟水生成部への通水は行われないので、この軟水生成部において、前記イオン交換樹脂のイオン交換能力が早期に低下してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、この発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
まず、この発明の第一実施形態について説明する。図1は、この発明に係る軟水装置の第一実施形態の構成を示す概略的な説明図である。
【0013】
この第一実施形態で示す軟水装置1は、一般家庭の浴室(図示省略)で使用される湯水に含まれる硬度分を除去する浴室用の軟水装置であり、この軟水装置1は、軟水生成部2と、この軟水生成部2と接続された原水ライン3および軟水ライン4とを備えている。
【0014】
前記軟水生成部2は、イオン交換樹脂(図示省略)により、原水中に含まれる硬度分を吸着除去して軟水を生成するようになっている。
【0015】
前記原水ライン3は、前記浴室内の湯水混合栓(図示省略)と接続されている。また、前記原水ライン3には、発電手段5および原水バルブ6が設けられている。
【0016】
前記軟水ライン4は、前記軟水装置1に設けられている吐水部7およびシャワー部8と接続されており、前記吐水部7と接続されている吐水ライン9と、前記シャワー部8と接続されているシャワーライン10とに分岐している。前記吐水ライン9には吐水バルブ11が設けられ、前記シャワーライン10にはシャワーバルブ12が設けられている。
【0017】
前記発電手段5は、前記原水ライン3における水流を利用して発電を行う発電機(図示省略)を備えて構成されている。前記発電手段5で発電された電力は、蓄電手段13に蓄えられるようになっている。そして、前記蓄電手段13に蓄えられた電力は、前記軟水装置1内に備えられた後述するバルブ駆動装置16(たとえば、モータや電磁コイル)などの被給電部へ供給されるようになっている。
【0018】
前記蓄電手段13としては、たとえばコンデンサや蓄電池などが用いられる。ここで、前記蓄電手段13としてコンデンサを用いれば、後述するように前記バルブ駆動装置によって前記原水バルブ6,前記吐水バルブ11および前記シャワーバルブ12を駆動させるために必要な電圧を低コストで確保することができる。
【0019】
前記軟水装置1は、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4に水流を発生させる水流発生手段14を備えている。この水流発生手段14としては、前記原水バルブ6,前記吐水バルブ11および前記シャワーバルブ12を備えており、さらに前記蓄電手段13と接続された制御部15と、この制御部15と接続され、前記各バルブ6,11,12を開状態または閉状態にする前記バルブ駆動装置16とを備えている。そして、前記制御部15は、前記各バルブ6,11,12を閉状態にして前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4への通水を停止している状態において、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記発電手段5による発電を行わせるため、前記蓄電手段13から前記バルブ駆動装置16へ給電させてこれを駆動させ、前記原水バルブ6と、前記吐水バルブ11および/または前記シャワーバルブ12を開状態にして前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4に水流を発生させるようになっている。
【0020】
また、前記制御部15は、前記軟水装置1を使用するとき、使用者が装置筐体(図示省略)に設けられた操作ボタン(図示省略)を操作することにより、前記蓄電手段13から前記バルブ駆動装置16へ給電させてこれを駆動させ、前記原水バルブ6と、前記吐水バルブ11および/または前記シャワーバルブ12とを開状態にするようになっている。これにより、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4へ通水され、前記軟水生成部2において軟水が生成されるようになっている。また、このときの前記原水ライン3における水流を利用して前記発電手段5による発電が行われるようになっている。
【0021】
さて、前記軟水装置1の使用時,すなわち前記浴室(図示省略)内へ軟水を供給するときは、前記バルブ駆動装置16により、前記原水バルブ6と、前記吐水バルブ11および/または前記シャワーバルブ12を開状態にする。これにより、前記湯水混合栓(図示省略)から供給された原水が、前記原水ライン3を介して前記樹脂収容部2へ流入し、この原水中に含まれる硬度分が前記イオン交換樹脂(図示省略)によって除去されて軟水が生成され、この軟水が前記軟水ライン4を介して前記浴室(図示省略)へ供給される。
【0022】
そして、前記浴室内へ軟水を供給するとき、前記原水ライン3を原水が流れると、この水流を利用して前記発電手段5で発電され、発電された電力は、前記蓄電手段13に蓄えられる。この蓄電手段13に蓄えられた電力は、前記被給電部である前記バルブ駆動装置16へ供給される。
【0023】
前記軟水装置1では、軟水の供給を行わないとき,すなわち前記原水バルブ6,前記吐水バルブ11および前記シャワーバルブ12を閉状態にし、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4への通水を停止しているときには、前記原水ライン3に水流が発生しないため、前記発電手段5による発電が行われない。そこで、前記軟水装置1では、前記バルブ駆動装置16へ電力を供給できなくなる前に、前記発電手段5による発電を行うため、前記水流発生手段14により、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4に水流を発生させる。前記水流発生手段14による水流の発生について具体的に説明すると、前記制御部15は、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記蓄電手段13から前記バルブ駆動装置16へ電力を供給させてこの駆動モーター16を駆動させ、前記原水バルブ6と、前記吐水バルブ11および/または前記シャワーバルブ12とを開状態にし、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4に水流を発生させる。このとき、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4を流れる水は、前記吐水部2または前記シャワー部3から装置外へ排出される。
【0024】
以上説明した前記軟水装置1によれば、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記水流発生手段14によって前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4に水流を発生させることで、前記発電手段5による発電が行われ、その発電電力が前記蓄電手段13へ蓄えられる。これにより、前記軟水装置1の未使用状態が続いても、前記蓄電手段13から前記被給電部である前記バルブ駆動装置16への電力供給を確実に行うことができる。
【0025】
また、前記蓄電手段13として前記蓄電池を用いた場合は、こまめに充電した方が劣化を抑えることができるが、前記蓄電手段13への充電が長時間行われないために、容量いっぱいの充放電が行われると、早期に劣化するおそれがある。しかし、前記軟水装置1によれば、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記水流発生手段14によって前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4に水流を発生させて前記発電手段5による発電が行われるので、前記蓄電手段13へこまめに充電することができ、その早期劣化を防止することができる。
【0026】
つぎに、前記第一実施形態の変形例について説明する。前記水流発生手段14は、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4への通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4に水流を発生させるようになっていてもよい。
【0027】
ここで、前記所定時間とは、前記蓄電手段13が、その蓄電容量まで蓄電されている状態から、放電により、前記バルブ駆動装置16を駆動できる最低限の蓄電量となるまでに要する時間である。
【0028】
前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4が通水停止状態にあるか否かは、たとえば前記発電手段5による発電時に前記蓄電手段13へ入力されるパルスの有無により判定することができる。また、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4が通水停止状態にあるか否かは、前記原水ライン3または前記軟水ライン4にフロースイッチ(図示省略)または圧力スイッチ(図示省略)を設け、これらフロースイッチまたは圧力スイッチから前記制御部15へ流量検知信号を入力するようにし、この流量検知信号の有無によって判定することもできる。したがって、たとえば前記制御部15は、前記発電手段5から前記蓄電手段13へ前記パルスが入力されなくなってから所定時間が経過したとき、もしくは前記フロースイッチまたは前記圧力スイッチから前記制御部15へ流量検知信号が所定時間入力されなかったとき、前記蓄電手段13から前記バルブ駆動装置16へ給電させてこれを駆動させ、前記原水バルブ6と、前記吐水バルブ11および/または前記シャワーバルブ12とを開状態にし、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4に水流を発生させるようになっていてもよい。
【0029】
(第二実施形態)
つぎに、この発明の第二実施形態について説明する。図2は、この発明に係る軟水装置の第二実施形態の構成を示す概略的な説明図である。図2において、前記第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0030】
第二実施形態の軟水装置20では、前記発電手段5と前記原水バルブ6との間の前記原水ライン3に、排水ライン21が接続されている。この排水ライン21には、前記バルブ駆動装置16によって開状態または閉状態とされる排水バルブ22が設けられている。
【0031】
また、前記軟水装置20では、前記水流発生手段14は、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4への通水を停止している状態において、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記原水ライン3から前記排水ライン21への水流を発生させるようになっている。すなわち、前記軟水装置20は、前記水流発生手段14として、前記制御部15,前記バルブ駆動装置16および前記排水バルブ22を備え、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4への通水を停止している状態において、前記制御部15が、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記蓄電手段13から前記バルブ駆動装置16へ給電させてこれを駆動させ、前記排水バルブ22のみを開状態にし、前記原水ライン3から前記排水ライン21への水流を発生させるようになっている。
【0032】
さて、前記軟水装置20では、前記第一実施形態と同様にして軟水の供給を行う。そして、軟水の供給を行わないとき、すなわち前記原水バルブ6,前記吐水バルブ11および前記シャワーバルブ12を閉状態にし、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4への通水を停止しているとき、前記バルブ駆動装置16へ電力を供給できなくなる前に、前記発電手段5による発電を行うため、前記水流発生手段14により、前記原水ライン3から前記排水ライン21への水流を発生させる。前記水流発生手段14による水流の発生について具体的に説明すると、前記制御部15は、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記蓄電手段13から前記バルブ駆動装置16へ給電させてこれを駆動させ、前記排水バルブ22のみを開状態にし、前記原水ライン3から前記排水ライン21への水流を発生させる。
【0033】
以上説明した前記軟水装置20によれば、前記第一実施形態の軟水装置1と同様の効果を得ることができるほか、前記水流発生手段14によって水流を発生させたとき、前記原水ライン3から前記排水ライン21へ水が流れ、前記軟水生成部2への通水は行われないので、前記イオン交換樹脂(図示省略)のイオン交換能力が早期に低下してしまうことを防止することができる。
【0034】
ここで、前記第二実施形態の軟水装置20にあって、前記水流発生手段14によって前記原水ライン3から前記排水ライン21への水流を発生させるのは、前記第一実施形態の変形例と同様に、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン5への通水を停止している状態が所定時間以上継続したときであってもよい。
【0035】
(第三実施形態)
つぎに、この発明の第三実施形態について説明する。図3は、この発明に係る軟水装置の第三実施形態の構成を示す概略的な説明図である。図3において、前記第一,第二実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0036】
第三実施形態の軟水装置30にあっては、前記発電手段5と前記原水バルブ6との間の前記原水ライン3と、前記軟水ライン4における前記吐水バルブ11の下流側の前記吐水ライン9とを接続するバイパスライン31が設けられている。このバイパスライン31には、前記バルブ駆動装置16によって開状態および閉状態とされるバイパスバルブ32が設けられておりいる。
【0037】
また、前記軟水装置30では、前記水流発生手段14は、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4への通水を停止している状態において、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記原水ライン3から前記バイパスライン31への水流を発生させるようになっている。すなわち、前記軟水装置30は、前記水流発生手段14として、前記制御部15,前記バルブ駆動装置16および前記バイパスバルブ32を備え、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4への通水を停止している状態において、前記制御部15が、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記蓄電手段13から前記バルブ駆動装置16へ給電させてこれを駆動させ、前記バイパスバルブ32のみを開状態にし、前記原水ライン3から前記バイパスライン31への水流を発生させるようになっている。
【0038】
さて、前記軟水装置30では、前記第一,第二実施形態と同様にして軟水の供給を行う。そして、軟水の供給を行わないとき、すなわち前記原水バルブ6,前記吐水バルブ11および前記シャワーバルブ12を閉状態にし、前記原水ライン5,前記軟水生成部4および前記軟水ライン6への通水を停止しているとき、前記バルブ駆動装置16へ電力を供給できなくなる前に、前記発電手段5による発電を行うため、前記水流発生手段14により、前記原水ライン3から前記バイパスライン31への水流を発生させる。前記水流発生手段14による水流の発生について具体的に説明すると、前記制御部15は、前記蓄電手段13の蓄電量が所定値以下となったとき、前記蓄電手段13から前記バルブ駆動装置16へ給電させてこれを駆動させ、前記バイパスバルブ32のみを開状態にし、前記原水ライン3から前記バイパスライン31への水流を発生させる。
【0039】
以上説明した前記軟水装置30によれば、前記第一,第二実施形態の軟水装置1,20と同様の効果を得ることができるほか、前記水流発生手段14によって水流を発生させたとき、前記原水ライン3から前記バイパスライン31へ水が流れ、前記軟水生成部2への通水は行われないので、前記イオン交換樹脂(図示省略)のイオン交換能力が早期に低下してしまうことを防止することができる。
【0040】
ここで、前記第三実施形態の軟水装置30にあって、前記水流発生手段14によって前記原水ライン3から前記バイパスライン31への水流を発生させるのは、前記第一,第二実施形態の変形例と同様に、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4への通水を停止している状態が所定時間以上継続したときであってもよい。
【0041】
以上、この発明を前記各実施形態によって説明したが、この発明は前記各実施形態に限られるものではなく、その主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。たとえば、前記発電手段5は、前記軟水ライン4に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明に係る軟水装置の第一実施形態の構成を示す概略的な説明図である。
【図2】この発明に係る軟水装置の第二実施形態の構成を示す概略的な説明図である。
【図3】この発明に係る軟水装置の第三実施形態の構成を示す概略的な説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1,20,30 軟水装置
2 軟水生成部
3 原水ライン
4 軟水ライン
5 発電手段
13 蓄電手段
14 水流発生手段
16 バルブ駆動装置(被給電部)
21 排水ライン
31 バイパスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水中に含まれる硬度分を除去する軟水生成部とともに、水路における水流を利用して発電を行う発電手段と、この発電手段で発電した電力を装置内の被給電部へ供給する電力として蓄える蓄電手段とを備える軟水装置であって、
前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記水路への通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記水路に水流を発生させる水流発生手段を備えることを特徴とする軟水装置。
【請求項2】
前記発電手段を、前記軟水生成部と接続され前記水路の一部を構成する原水ラインに設け、さらにこの原水ラインには前記発電手段の下流側に排水ラインを接続し、また前記水流発生手段にあっては、前記原水ラインへの通水を停止している状態において前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記原水ラインへの通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記原水ラインから前記排水ラインへの水流を発生させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の軟水装置。
【請求項3】
前記発電手段を、前記軟水生成部と接続され前記水路の一部を構成する原水ラインに設け、さらに前記原水ラインにおける前記発電手段の下流側と、前記軟水生成部から軟水を取り出す軟水ラインとを接続するバイパスラインを設け、また前記水流発生手段にあっては、前記原水ラインへの通水を停止している状態において前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下となったとき、または前記原水ラインへの通水を停止している状態が所定時間以上継続したとき、前記原水ラインから前記バイパスラインへの水流を発生させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の軟水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−80280(P2008−80280A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264828(P2006−264828)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】