軟組織を骨に付着させるためのシステム及び方法
軟組織804を、骨806などの硬質材料に固定するための方法及び装置をここに開示する。ベースとトップを有する骨アンカー810を記載し、縫合材808がベースの面とトップの面の間に押し付けられて、アンカー810に縫合材808が固定される。また、骨806に骨アンカー810を挿入し、アンカーベースに対してアンカートップを移動させてアンカーベースとアンカートップとの間に縫合材808を挟み込むために使用する挿入器具812を記載する。また、軟組織804及び骨806を突き通すアンカー800及びこれに関連する挿入器具802を記載する。骨アンカー800、810を使用し、複数本の縫合材によって骨806に軟組織804を広い面積に亘って押し付けることができる方法を記載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置及び医学的処置に関する。より詳細には、本発明は、骨などの硬質の材料に対して軟組織を固定するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科医が、腱やその他の軟らかい結合組織などの軟組織を、骨に付着させることを要する医学的処置が存在する。よくある例の1つに回旋腱板の断裂があり、この場合には棘上筋腱が上腕骨から分離して、痛みを引き起こし、腕を上げることや外側に回すことができなくなってしまう。断裂した回旋腱板を治療するには通常、外科的手技によって、各種の方法で断裂した腱を骨に縫い合わせる。手技の中には、大きく切開して、肩峰から三角筋を完全に切り離すことを要するものがある。腱を固定する目的で、縫合材を骨に通すための口径の小さな穴が骨に開けられる。こうした大きな切開の措置では外傷が残り、痛みが長引き、回復に時間がかかってしまう。他の処置では、小さく切開し、関節鏡視下の技術を用いて口径の小さな穴を開けるか、又は骨アンカーを使用して縫合糸を取り付ける。しかし、関節鏡法を用いて、手術部位で縫合糸を巧みに扱うことは困難である。また、縫合時の糸結びを用いて縫合糸を骨アンカーに固定する場合に、結び目をきつく締めながら、縫合糸の張力を適切に調整することは難しい。同様に、アンカーを骨に挿入する前に、縫合糸を骨アンカーに取り付ける場合、アンカーを骨に挿入する際に、適切な張力が縫合糸にかかるのに適した取付ポイントを判断することは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、縫合時の糸結びを伴わずにアンカーを骨に挿入した後、縫合糸を関節鏡視下で骨アンカーに対して簡単に取り付けられるようにする方法及び装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、特に関節鏡視下の手技、回旋腱板手術などに好適であるが、これに限らない。より包括的には、本発明は、結び目を作らずに、縫合糸を固体に固定することが望ましい如何なる手技にも用いることができ、これには関節鏡視下の手技に限らず、切開手術も含まれ、膀胱頸の懸吊、腱や靭帯の付着又は治療、人工装具の取付、そして回旋腱板の治療など、種々の目的に用いることができる。
ある実施形態において、本発明は、縫合糸を骨に固定するためのアンカーを含んでおり、骨の中へ堅固に固定されるように適合されたアンカーベースと、該アンカーベースに連結されるとともに、該アンカーベースに対して基端側に配置される縫合糸固定機構と、を有し、該機構が、当該機構内へと側方に移動される縫合糸を受け入れて固定するように適合されているアンカーである。
【0005】
別の実施形態において、本発明は、骨に縫合糸を固定するためのアンカーであって、骨の中へ堅固に固定されるように適合されたアンカーベースと、該アンカーベースに連結されて、該アンカーベースに対して基端側に位置する第1の面と、前記アンカーベースに連結されて、前記アンカーベースに対して基端側に位置する第2の面と、を含んでおり、前記第1の面及び前記第2の面は、少なくとも2つの配置構成において相対的に位置されるように適合されており、前記配置構成の一方では、前記第1の面と前記第2の面との間に隙間が存在して、該隙間へと縫合糸を側方に移動させることによって、該縫合糸が前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるようにし、もう一方の配置構成では、前記第1の面と前記第2の面との間に縫合糸が堅固に挟み込まれるように、前記第1の面と前記第2の面とが接近しているアンカーを有する。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、軟組織の上に縫合糸を渡して、アンカーを骨に挿入し、この挿入後に、縫合糸の端部をアンカーの如何なる穴にも通すことなく、かつ結び目を作らずに、アンカーに縫合糸を固定する方法である。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、
挿入前に第1のアンカーに対して堅固に固定されている縫合糸を備えた当該第1のアンカーを軟組織に挿通させ、骨に前記第1のアンカーを挿入し、軟組織の上に縫合糸を渡し、縫合糸を渡した後で縫合糸を第2のアンカーに対して堅固に固定する方法である。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、軟組織が、骨表面に近い第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面と、を有しており、該方法は、縫合糸の第1の部分を軟組織の前記第2の面に挿入し、縫合糸の第2の部分を軟組織の第2の面の上に渡し、縫合糸が結び付けられていない第1のアンカーを骨に挿入し、縫合糸の前記第1の部分が、軟組織の前記第2の面から出ないという条件下において、挿入された第1のアンカーに対して縫合糸を堅固に固定することを含む方法である。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、予め縫合糸が結び付けられた第1のアンカーを軟組織に挿通させ、該第1のアンカーを骨に挿入し、縫合糸が結び付けられていない第2のアンカーを骨に挿入し、軟組織の上に縫合糸を渡し、挿入された第2のアンカーに対して縫合糸を堅固に固定することを含む方法である。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、第1、第2、及び第3のアンカーを骨に挿入し、軟組織の上で第1及び第2のアンカーに対して第1の縫合糸を堅固に固定し、軟組織の上で第1及び第3のアンカーに対して第2の縫合糸を堅固に固定することを含む方法である。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、骨の中へ堅固に固定されるように適合され、第1の基端面を有するアンカーベースと、アンカートップと、を備え、該アンカートップは、前記アンカーベースに連結される先端部、及び第1の先端面を有する第1の基端部を有し、前記アンカートップは少なくとも2つの配置構成において前記アンカーベースと連結するように適合されており、前記配置構成の一方では、骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、骨の表面より上の前記第1の基端面と前記第1の先端面との間を縫合糸が自由に通るように、前記第1の先端面が骨表面の上に位置し、もう一方の配置構成では、縫合糸が前記第1の基端面と前記第1の先端面との間で堅固に挟み込まれるように、前記第1の先端面が前記第1の基端面に接近しているアンカーである。
【0012】
別の実施形態での本発明は、縫合糸を骨に固定するためのアンカーにおいて、開放端を有する略中空の円筒であって、その壁の一部分には、当該円筒が応力を受けて変形して側方突出部を形成するために切り込みをもつようにされた円筒と、開放端とは反対側で前記円筒に連結される尖った先端であって、骨を突き通すように適合された尖った先端と、この尖った先端に連結された縫合糸の受入部であって、縫合糸が該受入部に取り付けられて前記円筒を通って延び、前記開放端から出るように、略中空の円筒内に配置される受入部と、を備えたアンカーである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
各種の実施形態において、縫合糸が取り付けられた1本以上の骨アンカーを利用して、骨に軟組織を付着させることができる。本明細書で使用する「縫合糸」とは、2本以上のアンカーの間に張り渡すことができる任意の可撓性構造を指しており、従来の縫合材、1本又は複数本の撚り糸、あるいはメッシュ構造などを含むが、これらには限定されない。一部の実施形態において、縫合糸が軟組織の表面上に渡され、この縫合糸によって軟組織が骨に対して押し付けられる。ある実施形態では、1本の縫合糸が1本の骨アンカーに取り付けられる。図1に示す例に限定されないが、本例では、例えば、傾斜マットレス縫合(incline mattress stitch)によって、軟組織12に縫合糸10を縫い合わせてから、骨16に挿入した1本の骨アンカー14に対して縫合糸10を固定している。但し、別の実施形態では、1本の縫合糸が複数本の骨アンカーに取り付けられる。複数の骨アンカーを使用すれば、縫合材によって軟組織を骨に押し付ける面積(footprint)が広がる。また、図2に示す一例では、2本の骨アンカーを使用しているが、本例に限定されない。1本のアンカー20が内側の位置で軟組織12の下に配置され、別のアンカー22が軟組織12の側方に配置されている。この両アンカーに対して縫合糸10が取り付けられている。
【0014】
一実施形態では、内側の骨アンカー20が挿入されてから初めて、側方の骨アンカー22に縫合糸10が取り付けられ、軟組織12の上に縫合糸10が渡される。また、ある実施形態では、内側の骨アンカー20を挿入する前に、内側の骨アンカー20に縫合糸10が取り付けられる。よって、この実施形態において、外科医は、軟組織12の下から軟組織12を通して縫合糸を渡す必要がない。ある実施形態において、手技は、縫合糸10が予め取り付けられている内側の骨アンカー20を、軟組織12に挿入することを必要とする。そして、軟組織12を骨16に対して側方に引くために、内側の骨アンカー20は、骨16に対して側方に移動することができる。軟組織12を適切な位置に配置した後で、内側の骨アンカー20は骨16に挿入することができる。それから、側方の骨アンカー22が骨16に挿入される。次に縫合糸10が軟組織12の上に渡されて、側方の骨アンカー22に取り付けられる。一部の実施形態において、側方の骨アンカー22は、結び目を作ることなく、また側方の骨アンカー22の穴に縫合糸10を挿通させることなく、縫合糸10が取り付けられるようになっている。
【0015】
一部の実施形態では、複数本のアンカーと複数本の縫合糸を用いて、軟組織を骨に押し付けるための、更に広い面積を提供する。例えば、図3Aに示すように、3本のアンカーが、2本の縫合糸26、28とともに使用される。別の形態では、3本のアンカーの間にメッシュ(網目)構造29を張り渡してもよい。また別の例では、図3Bに示すように、4本のアンカーが2本の縫合糸とともに使用される。更に別の例では、図3Cに示すように、4本のアンカーが4本の縫合糸とともに使用される。一部の実施形態では、個々の縫合糸が、連続した長い縫合糸の一部分である。例えば、図3Aにおいて、縫合糸26、28が、1本の長い縫合糸の一部分であって、縫合糸26、28は内側の骨アンカー20において繋がっている。当業者には分かるように、使用可能な任意の本数のアンカー及び縫合糸の配置が存在する。
【0016】
一部の実施形態において、内側の骨アンカー20は、軟組織12及び骨16を容易に突き通すことができるように設計されている。一部の実施形態において、側方の骨アンカー22は、該骨アンカー22の挿入後に、これらのアンカーが縫合材を容易に捕捉できるように設計されている。これらの設計上の特徴を併せもつことで、軟組織12に対して縫合糸を押し付ける面積が広がり、外科医が実施し易い縫合システム及び方法を提供する。例えば、一部の実施形態において、手技全体を関節鏡視下で実施することができ、その際、外科医は、任意選択で縫合糸が予め取り付けられている内側の骨アンカー20を第1ポートから挿入し、側方のアンカー22を第2ポートから挿入して、第2ポートの内側から縫合糸を捕捉することによって、軟組織12の上に縫合糸を渡し、側方のアンカー22に縫合糸を固定するだけで済む。したがって、縫合材を捕捉するように構成されたアンカーと、軟組織及び骨を簡単に突き通すように構成されたアンカーについて、特定の実施形態を以下に記載する。
【0017】
縫合糸キャプチャリング(捕捉)アンカー
【0018】
一実施形態は骨アンカーであって、骨の中にアンカーを挿入した後で、容易に縫合糸を捕捉して固定できるようにする。ある実施形態において、この骨アンカーは、縫合糸固定機構を含み、該機構は、骨アンカーの基端(すなわち、骨の表面と外科医に最も近い端部)に位置される。ある実施形態において、この縫合糸固定機構により、縫合糸を、当該機構内へと側方に向けて移動させることができる。「側方に(laterally)」とは、縫合糸の軸に対してほぼ直交する方向において縫合糸を移動させることにより、縫合糸が当該機構内へと移動し得ることを意味する。換言すれば、縫合糸の一端を本機構に通さずに、縫合糸を機構内へと移動させることができる。ある実施形態において、縫合糸は、結び目を作らずに、機構内に固定して取り付けることができる。また、「堅固に固定される(fixedly secured)」とは、固定機構内にある縫合糸が、骨アンカーに対して容易に移動できないことを意味する。
【0019】
ある実施形態は、骨アンカーの2つの面の間で縫合材を挟み込むことによって、縫合材を簡単に取り付けることができる骨アンカーである。この骨アンカーについては、縫合材を取り付けることなく、骨の中に挿入されるように構成できる。縫合糸固定機構の2つの面は、この2つの面の間に隙間を形成するように離間し得る。縫合材が2つの面の間を通されて、所望の張力をかけられた後で、2つの面をともに押し付け合うことによりそれらの間に縫合材を挟み込む。
【0020】
ある実施形態において、骨アンカーは2つの部分、アンカーベース及びアンカートップから構成される。このアンカーベースは、基端面が上方を向いた状態で、骨に開いた穴に挿入されるように設計することができる。またアンカートップは、先端部(遠位部)を介してアンカーベースに連結することができる。アンカートップの基端部(近位部)は、アンカーベースの基端面へと向かう、下向きの先端面を有することができる。アンカートップのアンカーベースへの連結については、ある配置構成にてアンカートップを位置させることができるように、アンカートップがアンカーベースに対して移動可能になっており、この配置構成において、アンカーベースの基端面と、アンカートップの基端部の先端面との間には隙間がある。また別の配置構成において、アンカーベースの基端面と、アンカートップの基端部の先端面との間には、あってもごく僅かな空間しかできないように、アンカートップの基端部が位置される。このため、最初の配置構成では、2つの面の間に縫合材を容易に通して所望の張力をかけることができる。また、第2の配置構成では、骨アンカーに縫合糸が固定されるように、縫合材を2つの面の間に挟み込むことができる。
【0021】
アンカーベース100の一実施形態を図4A〜4Dに示す。図4Aは、アンカーベース100の側面部101及び底部102を示す斜視図である。アンカーベース100の底部102については、骨にアンカーベース100を挿入し易いように、好ましくはテーパが付与されている。一部の実施形態において、アンカーベース100を挿入し易いように、骨に予め穴が開けられる。また別の実施形態では、アンカーベース100が直接骨に打ち込まれ、穴が形成される。ねじ込みの推進作用によりアンカーベース100を骨に挿入できるように、アンカーベース100の側面部101は、ねじ山104を備えている。一部の実施形態において、アンカーベース100は、ねじ山104が骨に挿入し始めるようにするためにねじ立て(tapped)がなされ、その後、アンカーベース100が骨に螺入される。骨に穴が事前に開けられる場合、ねじ山が穴の側面を介して骨と係合するように、好ましくは、穴がねじ山104の直径より小さい直径をもって開けられる。アンカーベース100を骨に固定するために、ねじ山以外の手段を用いてもよいことは勿論である。例えば、角度付きの突出部を使用して、アンカーベース100を挿入する際の抵抗よりも取り外す際の抵抗の方が大きくなるようにしてもよい。この突出部は、固定的(static)であってもよいし、アンカーの挿入後に展開可能(deployable)であってもよい。
【0022】
アンカーベース100の上部は、該アンカーベース100を骨に押し込み易く、あるいは螺入し易くするための構造106を有することが好ましく、図示の実施形態では六角ナット構造部106を有しており、これにより、アンカーベース100を骨に螺入させるための六角ナットドライバとの係合が容易となる。ねじ込みの推進作用のために使用する工具と係合するように、六角ナット構造部106以外の他の公知技術による構造を用いてもよいことはいうまでもなく、この構造については、アンカーベース100の上部に窪みをもつこともでき、また、アンカーベース100の上部から外側へ延びているものでもよく、これに代わって、本構造がアンカーベース100の側面に形成されてもよい。
【0023】
図4B、つまりアンカーベース100の上部と側面の斜視図を参照すると、上部(基端部)は、アンカートップを受け入れるための穴108を中心部に有しており、これについて以下に説明する。また、アンカーベース100の上部は、穴108と同心とされる環状溝110などの縫合糸把持構造を有する。この溝110のために、アンカーベース100の基端面は平坦でなく、上面112、114、底面116、及び側面118、120を有する。一部の実施形態では、これらの面の一部又は全てについて、波形状又は溝などの表面加工が施される場合があり、これは、その面に対して押し付けられる縫合材が移動しないように防ぐためである。図には溝を設けた面を示しているが、アンカーベース100の他の形状の基端面も考えられることは明らかであり、これには、複数の同心状の溝、一連の突出した縁、V字形の溝、又はアンカーベース100の上端部、つまり基端部に対して縫合糸をしっかりと固持することができる他の如何なる好適な構造も含まれる。
【0024】
アンカーベース100にある穴108は、アンカーベース100の中心(「軸方向の」)孔に通じる開口である。この中心孔の側面は、該中心孔に挿入される物品(ラチェット構造部122など)を保持するための構造を有することが好ましい。図4Cは、中央のラチェットブッシング126を示しており、これは中心孔と嵌合し、ラチェット構造部122を有する。図4Cの実施形態において、ラチェット構造部122は、ブッシング126にU字型の切り込みを入れることによって形成されている。このU字型の切り込みは、ラチェット構造部122を構成するタブ(爪)を規定している。尚、ラチェット構造を作り出すために他の形状及び方法を用いてもよいことはいうまでもない。ラチェットブッシング126の目的は、アンカートップを受け入れて、これをアンカーベース100に固定することである。アンカートップをアンカーベース100に固定するために、摩擦による嵌合又はねじ切りなど、他の方法を用いてもよいことは勿論である。更に、アンカートップは、穴108とブッシング126以外の手段を用いて、アンカーベース100に連結することができる。例えば、アンカートップについては、中心ではなく周辺部に設けた構造によってアンカーベースに連結するか、あるいはヒンジによって連結してもよい。
【0025】
図4Dは、アンカーベース100の中心部を通る断面を示す。本図には、中心孔130と溝110を示している。また、基端面112、114、116、118、120が明らかにされている。中心孔130は、アンカーベース100を完全に貫通していないことが好ましい。その代わりに、小孔132がアンカーベース100の先端部102に設けられる。小孔132は、アンカー挿入器具に連結されたワイヤを受け入れるために使用される。小孔132とは別の構造を、ワイヤの取り付けに用いることや、ワイヤ以外の他の手段を、アンカー挿入器具へのアンカーの固定のために用いてもよいことは勿論である。
【0026】
図5A〜5Cは、アンカートップ200の一実施形態を示している。図5Aは、アンカートップ200の側面及び上部の斜視図であり、図5Bはアンカートップ200の側面及び底部の斜視図である。アンカートップ200は2つの部位、先端部202と基端部204を有する。先端部202は、細長いシャフトをもち、その長手方向が、先端部202の軸に沿うものとされる。一連の溝、他の接合用若しくはロック用の面又は構造206が、シャフトの外面の一部分に沿って存在する。先端部202は、アンカーベース100の中心孔130に挿入されるように設計されている。アンカーベース100にあるラチェット構造部122は溝206と係合し、アンカートップ200をアンカーベース100に連結する。先端部202が下方に移動するにつれて、ラチェット構造部122が溝206に嵌め込まれて、先端部202が中心孔130内を先端方向において容易に移動するように、ラチェット構造部122はその向きが決められている。しかし、ラチェット構造部122が溝206に嵌め込まれると、先端部202が基端側に移動することが禁止される。このようにして、アンカートップ200は、アンカーベース100の内部へと徐々に下がっていくことができる。ラチェット構造部122は中心孔130のほぼ全面に存在するため(図4C参照)、アンカートップ200は、数箇所でアンカーベース100と連結し得る。換言すれば、一実施形態において、アンカートップ200がアンカーベース100に固定される限り、アンカートップ200がアンカーベース100の内部へと徐々に移動されるようにすることを要しない。
【0027】
アンカートップ200の基端部204は概ね円筒形状をもち、先端部202よりも大きな直径とされる。好ましくは、穴208を基端部204の中心に設けることができる。また、図5Bを参照すると、先端部202の底部が穴210をもつ。穴208、210は、アンカートップ200を貫通する中心孔へと通じている。この中心孔によって、前述のワイヤが、アンカートップ200を通って延び、アンカーベース100の底部の孔132に固定され、これにより、アンカーベース100の底部をアンカー挿入器具に取り付けることができ、その一方で、アンカートップ200をアンカーベース100の底部に向けて移動させることがまだ可能である。また、図5Bには、基端部204がその先端面に溝212を有することを示している。このように、基端部204の先端面は平坦でなく、先端を向いた面214、216及び側方を向いた面218、220を有する。一部の実施形態において、これらの面の一部又は全てについて、波形状又は溝などの表面加工が施される場合があり、これは、その面に対して押し付けられる縫合材が移動しないように防ぐためである。一部の実施形態では、基端部204の先端面の表面加工が、アンカーベース100の基端面の表面加工と一致する。例示した実施形態では一例のみを示しており、基端部204の他の形状の先端面を使用してもよいことは勿論である。図5Cは、アンカートップ200の中心を通る断面を示す。この図では、中心孔226が、面214、216、218、220及び溝206と同様に示されている。
【0028】
図6A、6Bは断面を示しており、アンカートップ200がアンカーベース100に対し如何にして連結されて、組み上がったアンカー300を形成するかを示している。図6Aにおいて、アンカートップ200は、基端部204がアンカーベース100から離れた状態で、アンカーベース100に連結されている。アンカートップ200は、アンカーベース100の中心孔130内へと延びる先端部202によって、アンカーベース100に固定されている。先端部202は、先端部202の溝206と係合するラチェット構造(図示せず)によって固定されている。アンカートップ200の中心孔226とアンカーベース100の中心孔130によって、ワイヤがアンカー300の上部まで延び、かつ該ワイヤを孔132に固定することが可能となる。別の実施形態では、ワイヤが中心孔130内の他の位置に固定されるようにしてもよい。このようにして、ワイヤは、アンカー挿入器具に連結されることで、アンカーアセンブリ300全体を保持することができ、その状態でも、アンカートップ200を、アンカーベース100及びワイヤに対して移動させることが可能である。
【0029】
図6Bは、アンカーアセンブリ300を示しており、アンカートップ200の先端部202が、アンカーベース100の中心孔130内で完全に下がっている。この構成では、アンカーベース100の基端面112、114、116、118、120と、アンカートップ200の基端部204の先端面214、216、218、220とが通路302、304を形成していることが見て取れる。通路302、304としては、縫合糸が通路302、304を通る際、アンカー300に縫合糸が堅固に取り付けられるように縫合糸が押し付けられる寸法になっていることが好ましい。
【0030】
本発明の別の実施形態は、図1〜3に示したようなアンカーを挿入して取り扱うために設計された挿入器具である。このような挿入器具400の1つが、図7A、7Bに示されている。挿入器具400は、ハンドル402と外管404を有する。図7Aに示すように、ハンドル402はカバー403を有する。図7Bは、カバー403を取り外した状態の挿入器具400を示している。図7A、7Bには示していないが、内管が外管404内に配され、ワイヤがこの内管に配されている。以下に詳述するように、内管と外管を使用して、図4〜6に示したようなアンカー300を操作することができる。ワイヤを使用して、挿入器具400がアンカー300に連結できることは、前述した通りである。また、挿入器具400は、外管操作部406とワイヤ操作部408を備える。外管操作部406は、リリースボタン410を有する。外管操作部406は、外管404に対して堅固に取り付けられている。リリースボタン410が押されると、外管操作部406は、ハンドル402及び内管に対して長手方向に移動することができる。このように、外管操作部406が移動すると、外管404も移動する。
【0031】
ワイヤ操作部408は、ワイヤ把持部410を有し、そこにワイヤが取り付けられている。ワイヤは、ワイヤ把持部410からハンドル402を通り、そして内管を通って延びる。ある実施形態では、ワイヤ操作部408もまた、リリースボタン412を有する。リリースボタン412が押されると、ワイヤ操作部408がハンドル402に押し付けられてワイヤに接触し、ワイヤに張力が加わる。使用時に、張力が加わると、アンカーベース100が挿入器具400に対して移動する。ワイヤ操作部408によってワイヤに十分な張力が付与されると、ワイヤが孔132内のその接続点又はワイヤに沿った他の所定位置で、アンカー300から離脱して自由になる。アンカー300にワイヤを固定するために、適切で脆弱な取り付け手段であれば、どのようなものを用いてもよいことはいうまでもない。例えば、ワイヤが摩擦により孔132に固定されていてもよく、またワイヤが、ワイヤ自体よりも弱い溶接部によってアンカーベース100に溶接されていてもよいし、切り離したいワイヤ部分の強度を弱くしてもよい。一実施形態では、適切な力を加えたときに折れる脆弱領域をワイヤに形成するために、ワイヤに切り目が入れられる。
【0032】
外管404の先端414が、内管420、ワイヤ422及びアンカー300とともに、図8においてより詳細に図示されている。外管404の端部は、アンカーベース100の六角ナット構造部106を受け入れるための六角ナットドライバ構造424をもつことができる。当然、アンカーベース100を容易に配置できるように、他の任意の好適な係合構造を、挿入器具400とアンカーベース100に設けるようにしてもよい。前述のように、ワイヤ422は、内管420からアンカートップ200の中心孔へと延びて、アンカーベース100に取り付けられる。一部の有利な実施形態では、アンカートップ200の基端部204が、内管420の端部426と突き合わされて終端となるように、ワイヤ長及び張力が調整される。
【0033】
図9A〜9Eは、挿入器具400及びアンカー300を使用して、アンカー300を骨に挿入し、該アンカーに縫合糸を取り付ける方法を示している。図9Aは、骨にアンカー300を挿入するための構成を示す。外管404と外管操作部406(図7A、7B参照)は、内管420とハンドル402(図7、8参照)に対して配置され、これは、外管404が、アンカーベース100の六角ナット構造部106と係合するためである。この構成において、アンカートップ200が、図6Aに示すようにアンカーベース100に対して位置していると有利である。そして、図9Aの構成では、外科医が挿入器具400のハンドル402を回転させることにより、骨にアンカーベース100をねじ込むことができる(図7A、7B参照)。
【0034】
骨にアンカーベース100が挿入されると、外管404が、例えば図9Bのように、内管420及びハンドル402に対して後方にスライドして、アンカートップ200が露出する。その後、図9Cに示すように、1本以上の縫合糸600を、アンカートップ200の基端部204の先端面602とアンカーベース100の基端面604との間の隙間へと側方に移動させることによって、縫合糸をこの隙間に配置することができる。縫合糸600には、手動で所望の張力をかけることができる。一部の実施形態では、アンカートップ200の先端部202に抗して縫合糸600を引っ張ることによって、縫合糸600に張力がかけられる。
【0035】
縫合糸600に適切な張力をかけた後で、ワイヤ操作部408を押してワイヤに張力をかけると、その結果、挿入器具400のハンドル402と内管420がアンカーベース100に向けて下げられ、図9Dに示すように、内管420が、アンカートップ200をアンカーベース100の底部へと徐々に移動させる。アンカートップ200が軸方向に押し下げられると、縫合糸600が、アンカートップ200の基端部204の先端面602とアンカーベース100の基端面604との間に挟み込まれる(図9Cも参照)。縫合糸がこのように挟み込まれると、縫合糸が、図6Bに示す通路302、304内で押圧されて、アンカー300に固定される。挟み込み領域でのアンカートップ200とアンカーベース100との間の嵌合については、縫合糸600がその場に挟まれた場合に、縫合糸600が堅固に保持されるが、切断されないようになっている。縫合糸に接触する可能性のある適切な縁部については、好ましくは縫合糸を傷つけないように面取りされるか又は丸くなっている。アンカートップ200がアンカーベース100へと十分に移動した後で、ワイヤ422がそのアンカーベース100との連結から切り離されるように、挿入器具400のワイヤ操作部408(図7A、7Bを参照)がテンションワイヤ422(図8参照)に益々押し付けられる。このため、図9Eに示すように、縫合糸600が堅固に取り付けられた状態で、アンカー300が挿入器具400から解放される。
【0036】
アンカー300を挿入して操作するための特定の挿入器具について記載したが、上記のアンカー300の一部を操作して骨にアンカーを挿入し、このアンカーに縫合材を固定するために、挿入器具の他の設計を用いてもよいことは勿論である。例えば、アンカーを挿入するための道具と、縫合材を固定するための道具を、別個にして使用することが可能である。また、代替の実施形態では、処置の間中、アンカーベース100がアンカートップ200に連結されてもよく、あるいは骨にアンカーベースのみを挿入して、その後、アンカートップ200の先端部をアンカーベース100の穴108へと軸方向にスライドさせることによって、アンカートップを付設することもできる。
【0037】
当業者には分かるように、アンカー300及び挿入器具400により、骨に対して縫合糸を簡単に取り付けられるシステムが提供される。周囲組織の損傷を最小限に抑えつつ、アンカー300を骨に挿入することができる。必要となるのは、外管404とアンカーベース100の直径をもったアクセス(接近)経路のみである。更に、追加の器具装備を部位に挿入することなく、また、結び目などの面倒な取り付け操作を行わなくても、アンカー300に縫合糸を堅固に取り付けて、張力をかけることができる。また、予め縫合材を取り付けることなく骨にアンカーを挿入し、その後、結び目を作らずにアンカーに縫合糸を取り付けるようにした、本システムによって示される一般的な原理について、図4〜9に示した特定の実施形態以外の任意の適したシステムを使用して実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
組織及び骨への刺通アンカー
【0039】
一実施形態は、軟組織と、その下の骨を突き刺すように適合された骨アンカーである。ある実施形態では、縫合材が刺通骨アンカーに予め取り付けられることで、移植後に、縫合糸が骨アンカーから軟組織の上部を通って、これを軟組織の上に容易に渡すことができる。ある実施形態において、刺通骨アンカーは、2つの配置構成をとり、第1の配置構成では、軟組織及び骨を容易に刺し通すために径が小さく、第2の展開された配置構成では、突出部などの構造物が展開されることで、骨アンカーが骨から簡単に外れないように防止する。
【0040】
ある実施形態において、アンカーは略中空の円筒を有しており、その壁の一部には切り込みが入っており、これは軸方向の応力を受けて円筒が変形して、側方突出部が形成されるようにするためである。この側方突出部により、アンカーが、展開後に骨から簡単に外れないように防ぐことができる。一実施形態では、アンカーが、中空円筒に連結されるとともに、軟組織及び骨を突き通すための尖った先端を有する。また、ある実施形態では、縫合糸が、中空円筒の内部で、尖った先端に予め取り付けられている。別の実施形態では、縫合糸が、刺通アンカーの他の位置、例えば、中空円筒の基端部に予め取り付けられている。
【0041】
図10A、10Bには、展開可能な刺通アンカーの一実施形態が示されている。図10Aでは、展開前の状態のアンカーが示されている。アンカーは、略中空の円筒650を有し、円筒650の側面に複数の切り込み652が設けられている。円筒650は、一端部654が開口している。他端部には、尖った先端656が配されており、これにより、アンカーを軟組織及び骨に刺し通すことができる。図10Bには、展開した状態のアンカーが示されている。円筒650が切り込み652に沿って潰れるように、応力が軸方向に付与されるが、これは、2つの側方ウィング660を形成するためである。これらの側方ウィング660は、アンカーが骨から外れないように防止する。ヒンジ662は、各ウィングの一端を、アンカー本体の上部又は下部の一方に連結している。これらのヒンジは、アンカーが展開される時点において、アンカー本体に接する平面において変形して折り曲げられる。材料片664は、アンカー本体の各側面において上部ウィングと下部ウィングを連結して、この2枚のウィングの間のヒンジとして機能するとともに、変形時には、この2枚のウィングの位置合わせを支援する。連結した片664に近接するウィングの先端は、丸くなった縁部666を利用することで、変形時における一定した位置合わせ及び円滑な移行を保証する。当業者にはいうまでもないが、応力を受けて側方突出部を形成することになる、変形可能な構造を作り出すために、円筒650における切り込みの形状をいくつでも使用可能である。
【0042】
一部の実施形態では、縫合糸を取り付けてアンカー挿入器具に係合させるための構造を円筒650内に配置することができる。一実施形態では、このような構造が、円筒650内でアンカーの先端656に連結される。図11は、そのような実施形態の1つを示している。先端656には構造体670が付設されており、その内部を通る穴672が存在する。この構造体670は、円筒650に対して先端656を取り付けるために、円筒650の内面と係合するように適合される。取り付け機構については、強制的な嵌合、摩擦による嵌合、ねじ、溶接、接着剤又はその他任意の適した手段によることが可能である。アンカーに縫合糸を取り付けるために、縫合材が穴672に通される。先端656に縫合材を固定するには、縫合糸を構造体670の周囲に結び付けるか、穴672から抜けないようにする結び目を縫合糸の端部に作るか、構造体670と円筒650の内部との間で縫合糸を挟み込むか、溶接又は接着剤によって構造体670に縫合糸を付着させるか、あるいはその他任意の適した手段によって行うことができる。一実施形態では、アンカーの使用前に、縫合材がアンカーの先端656に取り付けられる。
【0043】
また、アンカー挿入器具の取り付け構造部674が、先端656に連結される。この構造部674は、ワイヤや他の任意の適した手段によって、アンカー挿入器具に連結することができる。この時点におけるアンカー挿入器具とアンカーとの間の取り付けは、前述のようにアンカーを展開させるため、アンカーに軸応力を付与するのに使用される。また、この時点における取り付けは、展開前にアンカーを挿入器具に付設した状態に保持する役目を果たす。
【0044】
前述したアンカーの使用に適したアンカー挿入器具の一実施形態が図12に示されている。アンカー挿入器具は把持用のハンドル700を備え、このハンドル700には、ハンドル700に対して固定されたアウタースリーブ702が付設されている。刺通アンカー704は、スリーブ702の端部に配されている。展開用のレバー706は、以下に記載するようにアンカー704を展開させて取り外すために、使用者によって押される。安全スイッチ708は、アンカー704が早まって展開されないように防ぐために設けられる。余分の縫合糸を保持するため、ハンドル700の基端部にはスプール710が設けられる。また、挿入器具の内部の部品に手がとどくように、リッド712が設けられている。
【0045】
図13は、挿入器具と連結されたアンカー704を示している。前述のように、アンカー704は、側面に切り込みをもった中空の円筒650及び尖った先端656を有する。更に、図11に示すように、縫合糸を受け入れる穴672と、挿入器具の取付構造部674が、円筒650内の尖った先端656に付設されている。挿入器具のアウタースリーブ702は、円筒650の開放端654の上に嵌まっているか、あるいは開放端654と面一である。このため、アウタースリーブ702は、挿入中にアンカー704の上部を安定に保持することができる。代替の実施形態において、アウタースリーブ702は、円筒650が骨に挿入されている間に、円筒650が変形しないように防ぐために、円筒650の全長に亘って嵌合し得る。この代替の実施形態において、アウタースリーブ702は、アンカーの展開前に引き込まれてもよい。内管720は、アウタースリーブ702及び中空の円筒650内に配置され、アンカーの先端656の上面に接触する(図11参照)。内管720は、アンカー704の構造補強を提供し、アンカー704が骨又は組織に押し付けられている間、アンカー704の先端に接触してこれを押す。内管720は、挿入時においてハンドル700及びアウタースリーブ702に対して固定されるが、アンカー704の展開時においては、アンカーの円筒650が潰れている間に、内管720がアウタースリーブ702に対して軸方向に移動できるように、安全スイッチ708を切り替えることによって内管720が解放される。ワイヤは内管720の内部に位置し、ハンドル700の内部から、内管720を通ってアンカー704まで達して、アンカー挿入器具の取付構造部674に取り付けられる。展開時にはレバー706が押されて、ワイヤがハンドル700に向けて軸方向に引っ張られる。ワイヤが軸方向に移動すると、アンカー704がアウタースリーブ702に押し付けられて、円筒650に圧力が加わり、円筒650が変形して展開する。円筒650が潰れている間、内管720も、ハンドル700の方へ軸方向に移動する。ワイヤに更に圧力が加わると、ワイヤがアンカー挿入器具の取付構造部674から離れて自由になり、挿入器具がアンカー704から解放される。縫合材は、ハンドル700の内部から内管720を通って延び、穴672(図11参照)に通されてアンカー704に取り付けられている。アンカー挿入器具がアンカー704から切り離されると、挿入器具が引き抜かれ、アンカーの挿入及び展開がなされ、縫合糸が、円筒650の開放端654から出た状態となる。この状態でも、縫合糸は、内管720、ハンドル700を通り、スプール710に巻かれて挿入器具にまだ繋がっている。尚、ここに記載した刺通アンカーを挿入して展開するために、他の挿入器具及び機構を使用してもよいことは当業者に明らかである。例えば、先端656を手前側に引っ張ることによってアンカー704に軸方向の応力を付与するのではなく、円筒650を先端方向に押して円筒650を変形させることもできる。
【0046】
図14はハンドル700を切断した図であり、アンカー挿入器具の内部の仕組みを示している。縫合材は、挿入器具の先端において刺通アンカーに取り付けられ、内管720の中心孔を通って、ハンドル700内の孔750を通る。そして、縫合材はハンドル700の端部の穴752を通って、スプール710に巻き付けられており、このスプールはハンドル700に一体化し得る。また、アンカーにおける、アンカー挿入器具の取付構造部674に取り付けられるワイヤもまた、内管720の中心孔を通って、プーリ754の周りを進んで、点756においてハンドル700に対して堅固に取り付けられる。プーリ754は、レバー706に取り付けられる。レバー706が押下されると、プーリ754がハンドル700の後端に向かって移動し、アンカーに取り付けられたワイヤが引き込まれる。プーリ754を使用することで、ワイヤは、プーリ754が移動する距離の2倍の距離をもって引き込まれることになる。
【0047】
安全スイッチ708は、この安全スイッチ708が正しい位置にない場合に、レバー706が押されないようにし、内管720が移動しないように防いでいる。安全機構は、ハンドル700内に配置されたドラム760を介して働き、該ドラムに安全スイッチ708が取り付けられている。安全スイッチ708を動かすと、ハンドル700内でドラム760が回転する。図15は、ドラム760と安全スイッチ708の機構をより詳細に示している。内管720はドラム760の中心孔を通っている。ドラム760のもう一方の端には、内管720がストッパー762に取り付けられている。このストッパー762は、展開用のワイヤ及び縫合糸を通すための貫通孔764を有する。ストッパー762は、ドラム760の端部において空洞766内に配置される。同様に形成された第2の空洞がハンドル700内に配置される。ドラム760の空洞766が、ハンドル700において合致する空洞と位置合わせされるように、安全スイッチ708とドラム760が回転されたときにのみ、ストッパー762及び取り付けられた内管720が、ハンドル700に対して軸方向に移動可能となる。2つの空洞が位置合わせされると、ストッパー762が、空洞766からハンドル700内の空洞へと移動可能となり、内管720が軸方向に移動され、アンカーの展開が可能となる。
【0048】
また、ドラム760は溝768を有する。ばね式のスライドピン770(図14参照)がレバー706に連結される。溝768がピン770と位置合わせされるように、ドラム760及びスイッチ708が回転されたときにのみ、レバー706が移動できるようになる。このため、ストッパー762とピン770は、スイッチ708が正しい位置にない限り、アンカーが展開されないように防いでいる。
【0049】
当業者には明らかであるが、展開可能なアンカーを展開するとともに、早計にアンカーが展開されないように防ぐための安全機構を提供するために、別の機構を用いてもよい。
【0050】
刺通アンカー及び縫合糸キャプチャリングアンカーの使用例
【0051】
前述のアンカーは、軟組織を骨に取り付けるための外科的手技において使用することができる。このような手技の一例が、図16A〜16Fに示されている。図16Aにおいて、前述のようにアンカー挿入器具802に取り付けられた刺通アンカー800を、下にある骨806から剥離した軟組織804に突き通す。図16Bにおいて、軟組織804を骨806に対して側方に引き伸ばすために、アンカー挿入器具802が骨806に対して側方に移動される。軟組織804が所望の位置まで引っ張られると、前述のように、骨806にアンカー800が挿入されてアンカー800が展開され、アンカー800から挿入器具802が離脱し、このとき、縫合糸808がアンカー800に取り付けられており、軟組織804を通って延びている。挿入器具802をハンマーで打ち付けるか、あるいは軸方向の力を付与する、その他任意の適した手段によって、骨806にアンカー800が挿入される。図16Cには、縫合糸808が取り付けられた、展開した状態のアンカー800を示している。縫合糸808は挿入器具802内に延びている。
【0052】
次に、図16Dに示すように、前述した挿入器具812を用いて、縫合糸キャプチャリングアンカー810が骨806に挿入される。そして、図16Eにおいて、挿入器具812が後退して、縫合糸キャプチャリング(捕捉)機構が露出する。次に、縫合糸808が、軟組織804の上に渡されて、縫合糸キャプチャリング機構内へと側方に移動されて、引っ張られる。最終的に、図16Fに示すように、縫合糸808を捕捉するために縫合糸キャプチャリング機構が配置されて、アンカー挿入器具812がアンカー810から引き離され、縫合糸808が切断されて、挿入器具802から切り離される。その結果、骨アンカー808と骨アンカー810との間に1本の縫合糸808が渡されて、これが軟組織804を骨806に押し付ける。尚、複数のアンカー及び縫合糸を用いて、図2、3に示したような配置や変形例を実現することができる。
【0053】
数多くのステッチ、縫合糸を渡すパターン、及びアンカーパターンを用いて、ここに記載した方法及び装置によって軟組織を骨に固定できることは勿論である。これらの変形例並びに前述したアンカー装置及び挿入器具の設計における変形例については本開示の範囲内である。
【0054】
軟組織を骨に付着させるための方法
【0055】
各種の実施形態には、骨に軟組織を付着させるための方法が含まれる。一部の実施形態において、方法は上記した骨アンカーの使用を含む。一実施形態では、骨アンカーが骨に挿入されて、アンカー挿入後に、結び目を作ることなく、また縫合糸をアンカーの穴に通すことなく、縫合糸が軟組織の上に渡されて、アンカーに固定される。また一部の実施形態において、縫合糸は、縫合糸を固定機構まで側方に移動させることによってアンカーに固定される。一実施形態では、縫合糸をアンカーに固定する際に、アンカーの少なくとも2つの表面の間に縫合糸が挟み込まれる。一実施形態では、縫合糸をアンカーに固定した後で、アンカーがそれ以上骨に挿入されることはない。
【0056】
別の実施形態において、縫合糸が予め取り付けられた第1のアンカーが、軟組織を貫通して骨に挿入される。そして、縫合糸は、軟組織の上に渡されて、第2の骨アンカーに対して堅固に固定することができる。一実施形態において、第1のアンカーは、軟組織及び骨を直接突き通すことによって挿入される。一実施形態では、第1のアンカーが外れないように防ぐために、第1のアンカーにおいて側方突出部が展開される。一実施形態では、縫合糸が、挿入前の第2の骨アンカーに結び付けられ、挿入後に堅固に固定される。これに関して、「結び付ける」とは、縫合糸が骨アンカーに取り付けられるが、骨アンカーに対してある程度移動し得るように、かたく固定しないことを意味する。代替の実施形態では、第2の骨アンカーの挿入中に、縫合糸が第2の骨アンカーに結び付けられない。
【0057】
別の実施形態において、縫合糸の第1の部分が軟組織の手前側の面に挿入される。次に、縫合糸の第2の部分(例えば、挿入された部分に対して手前側の部分)が、軟組織の手前側の面上に渡され、骨アンカーに対して堅固に固定される。一実施形態では、縫合糸の第1の部分を、軟組織の手前側の面から戻すことなく、手技を実施し得る。一実施形態において、この結果は、軟組織を貫通して骨に挿入されるアンカーに対して、縫合糸の第1の部分を取り付けることで実現される。
【0058】
一実施形態では、縫合糸が予め結び付けられた第1のアンカーを、軟組織に貫通して骨に挿入することを含む。そして、縫合糸が軟組織の上に渡されて、第2のアンカーに対して堅固に固定される。一実施形態では、予め結び付けられた縫合糸が、挿入前に第1のアンカーに堅固に固定される。代替の実施形態では、予め結び付けられた縫合糸が、挿入前に、第1のアンカーに対して移動することができ、挿入後に堅固に固定される。
【0059】
別の実施形態において、複数本の縫合糸が複数のアンカーに取り付けられる。一実施形態では、少なくとも3本のアンカーが骨に挿入される。第1の縫合糸が第1のアンカーと第2のアンカーとの間に取り付けられ、第2の縫合糸が第1のアンカーと第3のアンカーとの間に取り付けられる。一実施形態では、第1のアンカーが軟組織の下に配置され、第2のアンカー及び第3のアンカーが軟組織の側方に配置される。代替の実施形態では、第1のアンカーが軟組織の側方に配置され、第2のアンカー及び第3のアンカーが軟組織の下に配置される。一部の実施形態では、複数本の縫合糸が、軟組織の下に配置されるアンカーに対して、それらの挿入前に堅固に固定される。一実施形態において、異なる縫合糸には個々に張力がかけられる。
【0060】
各種の実施形態において、骨アンカーに対して縫合糸を堅固に固定する前に、縫合糸に張力がかけられる。一実施形態において、張力をかけることは、例えば、外科医が適切な器具を用いて縫合糸を掴んでから引っ張るなど、縫合糸に手動で張力をかけることで行われる。一実施形態では、縫合糸を引っ張る際に、てこの作用を与えるために縫合糸が骨アンカーに押し付けられる。例えば、縫合糸は、引っ張る前に、その一部をアンカーの基端部に巻き付けることができる。
【0061】
各種の実施形態及び例を参照して本発明を記載したが、本発明の趣旨から逸脱することなく、数多くの様々な変更が可能なことは勿論である。したがって、本発明は特許請求の範囲のみによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】1本の骨アンカーとステッチを用いて軟組織を骨に付着させることを示す図である。
【図2】2本の骨アンカーとそれらの間で伸びる縫合糸を使って軟組織を骨に付着させることを示す図である。
【図3A】軟組織を骨に付着させるための、骨アンカー及び縫合糸のパターンの各種配置を示す図である。
【図3B】軟組織を骨に付着させるための、骨アンカー及び縫合糸のパターンの各種配置を示す図である。
【図3C】軟組織を骨に付着させるための、骨アンカー及び縫合糸のパターンの各種配置を示す図である。
【図4A】骨に挿入可能な、2つの部分からなる縫合糸アンカーのベースを示す図である。
【図4B】骨に挿入可能な、2つの部分からなる縫合糸アンカーのベースを示す図である。
【図4C】骨に挿入可能な、2つの部分からなる縫合糸アンカーのベースを示す図である。
【図4D】骨に挿入可能な、2つの部分からなる縫合糸アンカーのベースを示す図である。
【図5A】2つの部分からなる縫合糸アンカーのトップを示す図である。
【図5B】2つの部分からなる縫合糸アンカーのトップを示す図である。
【図5C】2つの部分からなる縫合糸アンカーのトップを示す図である。
【図6A】図4A〜4Dの縫合糸アンカーベースに挿入された、図5A〜5Cの縫合糸アンカートップを示す図である。
【図6B】図4A〜4Dの縫合糸アンカーベースに挿入された、図5A〜5Cの縫合糸アンカートップを示す図である。
【図7A】縫合糸アンカー挿入器具を示す図である。
【図7B】縫合糸アンカー挿入器具を示す図である。
【図8】骨への取付及び縫合糸アンカーの取り扱いための縫合糸アンカー挿入器具の構成部分を示す図である。
【図9A】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図9B】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図9C】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図9D】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図9E】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図10A】展開されていない状態の刺通骨アンカーを示す図である。
【図10B】展開された状態の刺通骨アンカーを示す図である。
【図11】刺通骨アンカーの先端を示す図である。
【図12】刺通骨アンカーを挿入するためのアンカー挿入器具を示す図である。
【図13】刺通骨アンカーとアンカー挿入器具との接続部分を示す図である。
【図14】骨アンカー挿入器具を切断して示す図である。
【図15】骨アンカー挿入器具用の安全スイッチ機構を示す図である。
【図16A】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16B】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16C】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16D】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16E】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16F】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置及び医学的処置に関する。より詳細には、本発明は、骨などの硬質の材料に対して軟組織を固定するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科医が、腱やその他の軟らかい結合組織などの軟組織を、骨に付着させることを要する医学的処置が存在する。よくある例の1つに回旋腱板の断裂があり、この場合には棘上筋腱が上腕骨から分離して、痛みを引き起こし、腕を上げることや外側に回すことができなくなってしまう。断裂した回旋腱板を治療するには通常、外科的手技によって、各種の方法で断裂した腱を骨に縫い合わせる。手技の中には、大きく切開して、肩峰から三角筋を完全に切り離すことを要するものがある。腱を固定する目的で、縫合材を骨に通すための口径の小さな穴が骨に開けられる。こうした大きな切開の措置では外傷が残り、痛みが長引き、回復に時間がかかってしまう。他の処置では、小さく切開し、関節鏡視下の技術を用いて口径の小さな穴を開けるか、又は骨アンカーを使用して縫合糸を取り付ける。しかし、関節鏡法を用いて、手術部位で縫合糸を巧みに扱うことは困難である。また、縫合時の糸結びを用いて縫合糸を骨アンカーに固定する場合に、結び目をきつく締めながら、縫合糸の張力を適切に調整することは難しい。同様に、アンカーを骨に挿入する前に、縫合糸を骨アンカーに取り付ける場合、アンカーを骨に挿入する際に、適切な張力が縫合糸にかかるのに適した取付ポイントを判断することは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、縫合時の糸結びを伴わずにアンカーを骨に挿入した後、縫合糸を関節鏡視下で骨アンカーに対して簡単に取り付けられるようにする方法及び装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、特に関節鏡視下の手技、回旋腱板手術などに好適であるが、これに限らない。より包括的には、本発明は、結び目を作らずに、縫合糸を固体に固定することが望ましい如何なる手技にも用いることができ、これには関節鏡視下の手技に限らず、切開手術も含まれ、膀胱頸の懸吊、腱や靭帯の付着又は治療、人工装具の取付、そして回旋腱板の治療など、種々の目的に用いることができる。
ある実施形態において、本発明は、縫合糸を骨に固定するためのアンカーを含んでおり、骨の中へ堅固に固定されるように適合されたアンカーベースと、該アンカーベースに連結されるとともに、該アンカーベースに対して基端側に配置される縫合糸固定機構と、を有し、該機構が、当該機構内へと側方に移動される縫合糸を受け入れて固定するように適合されているアンカーである。
【0005】
別の実施形態において、本発明は、骨に縫合糸を固定するためのアンカーであって、骨の中へ堅固に固定されるように適合されたアンカーベースと、該アンカーベースに連結されて、該アンカーベースに対して基端側に位置する第1の面と、前記アンカーベースに連結されて、前記アンカーベースに対して基端側に位置する第2の面と、を含んでおり、前記第1の面及び前記第2の面は、少なくとも2つの配置構成において相対的に位置されるように適合されており、前記配置構成の一方では、前記第1の面と前記第2の面との間に隙間が存在して、該隙間へと縫合糸を側方に移動させることによって、該縫合糸が前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるようにし、もう一方の配置構成では、前記第1の面と前記第2の面との間に縫合糸が堅固に挟み込まれるように、前記第1の面と前記第2の面とが接近しているアンカーを有する。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、軟組織の上に縫合糸を渡して、アンカーを骨に挿入し、この挿入後に、縫合糸の端部をアンカーの如何なる穴にも通すことなく、かつ結び目を作らずに、アンカーに縫合糸を固定する方法である。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、
挿入前に第1のアンカーに対して堅固に固定されている縫合糸を備えた当該第1のアンカーを軟組織に挿通させ、骨に前記第1のアンカーを挿入し、軟組織の上に縫合糸を渡し、縫合糸を渡した後で縫合糸を第2のアンカーに対して堅固に固定する方法である。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、軟組織が、骨表面に近い第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面と、を有しており、該方法は、縫合糸の第1の部分を軟組織の前記第2の面に挿入し、縫合糸の第2の部分を軟組織の第2の面の上に渡し、縫合糸が結び付けられていない第1のアンカーを骨に挿入し、縫合糸の前記第1の部分が、軟組織の前記第2の面から出ないという条件下において、挿入された第1のアンカーに対して縫合糸を堅固に固定することを含む方法である。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、予め縫合糸が結び付けられた第1のアンカーを軟組織に挿通させ、該第1のアンカーを骨に挿入し、縫合糸が結び付けられていない第2のアンカーを骨に挿入し、軟組織の上に縫合糸を渡し、挿入された第2のアンカーに対して縫合糸を堅固に固定することを含む方法である。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、軟組織を骨に付着させるための方法であって、第1、第2、及び第3のアンカーを骨に挿入し、軟組織の上で第1及び第2のアンカーに対して第1の縫合糸を堅固に固定し、軟組織の上で第1及び第3のアンカーに対して第2の縫合糸を堅固に固定することを含む方法である。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、骨の中へ堅固に固定されるように適合され、第1の基端面を有するアンカーベースと、アンカートップと、を備え、該アンカートップは、前記アンカーベースに連結される先端部、及び第1の先端面を有する第1の基端部を有し、前記アンカートップは少なくとも2つの配置構成において前記アンカーベースと連結するように適合されており、前記配置構成の一方では、骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、骨の表面より上の前記第1の基端面と前記第1の先端面との間を縫合糸が自由に通るように、前記第1の先端面が骨表面の上に位置し、もう一方の配置構成では、縫合糸が前記第1の基端面と前記第1の先端面との間で堅固に挟み込まれるように、前記第1の先端面が前記第1の基端面に接近しているアンカーである。
【0012】
別の実施形態での本発明は、縫合糸を骨に固定するためのアンカーにおいて、開放端を有する略中空の円筒であって、その壁の一部分には、当該円筒が応力を受けて変形して側方突出部を形成するために切り込みをもつようにされた円筒と、開放端とは反対側で前記円筒に連結される尖った先端であって、骨を突き通すように適合された尖った先端と、この尖った先端に連結された縫合糸の受入部であって、縫合糸が該受入部に取り付けられて前記円筒を通って延び、前記開放端から出るように、略中空の円筒内に配置される受入部と、を備えたアンカーである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
各種の実施形態において、縫合糸が取り付けられた1本以上の骨アンカーを利用して、骨に軟組織を付着させることができる。本明細書で使用する「縫合糸」とは、2本以上のアンカーの間に張り渡すことができる任意の可撓性構造を指しており、従来の縫合材、1本又は複数本の撚り糸、あるいはメッシュ構造などを含むが、これらには限定されない。一部の実施形態において、縫合糸が軟組織の表面上に渡され、この縫合糸によって軟組織が骨に対して押し付けられる。ある実施形態では、1本の縫合糸が1本の骨アンカーに取り付けられる。図1に示す例に限定されないが、本例では、例えば、傾斜マットレス縫合(incline mattress stitch)によって、軟組織12に縫合糸10を縫い合わせてから、骨16に挿入した1本の骨アンカー14に対して縫合糸10を固定している。但し、別の実施形態では、1本の縫合糸が複数本の骨アンカーに取り付けられる。複数の骨アンカーを使用すれば、縫合材によって軟組織を骨に押し付ける面積(footprint)が広がる。また、図2に示す一例では、2本の骨アンカーを使用しているが、本例に限定されない。1本のアンカー20が内側の位置で軟組織12の下に配置され、別のアンカー22が軟組織12の側方に配置されている。この両アンカーに対して縫合糸10が取り付けられている。
【0014】
一実施形態では、内側の骨アンカー20が挿入されてから初めて、側方の骨アンカー22に縫合糸10が取り付けられ、軟組織12の上に縫合糸10が渡される。また、ある実施形態では、内側の骨アンカー20を挿入する前に、内側の骨アンカー20に縫合糸10が取り付けられる。よって、この実施形態において、外科医は、軟組織12の下から軟組織12を通して縫合糸を渡す必要がない。ある実施形態において、手技は、縫合糸10が予め取り付けられている内側の骨アンカー20を、軟組織12に挿入することを必要とする。そして、軟組織12を骨16に対して側方に引くために、内側の骨アンカー20は、骨16に対して側方に移動することができる。軟組織12を適切な位置に配置した後で、内側の骨アンカー20は骨16に挿入することができる。それから、側方の骨アンカー22が骨16に挿入される。次に縫合糸10が軟組織12の上に渡されて、側方の骨アンカー22に取り付けられる。一部の実施形態において、側方の骨アンカー22は、結び目を作ることなく、また側方の骨アンカー22の穴に縫合糸10を挿通させることなく、縫合糸10が取り付けられるようになっている。
【0015】
一部の実施形態では、複数本のアンカーと複数本の縫合糸を用いて、軟組織を骨に押し付けるための、更に広い面積を提供する。例えば、図3Aに示すように、3本のアンカーが、2本の縫合糸26、28とともに使用される。別の形態では、3本のアンカーの間にメッシュ(網目)構造29を張り渡してもよい。また別の例では、図3Bに示すように、4本のアンカーが2本の縫合糸とともに使用される。更に別の例では、図3Cに示すように、4本のアンカーが4本の縫合糸とともに使用される。一部の実施形態では、個々の縫合糸が、連続した長い縫合糸の一部分である。例えば、図3Aにおいて、縫合糸26、28が、1本の長い縫合糸の一部分であって、縫合糸26、28は内側の骨アンカー20において繋がっている。当業者には分かるように、使用可能な任意の本数のアンカー及び縫合糸の配置が存在する。
【0016】
一部の実施形態において、内側の骨アンカー20は、軟組織12及び骨16を容易に突き通すことができるように設計されている。一部の実施形態において、側方の骨アンカー22は、該骨アンカー22の挿入後に、これらのアンカーが縫合材を容易に捕捉できるように設計されている。これらの設計上の特徴を併せもつことで、軟組織12に対して縫合糸を押し付ける面積が広がり、外科医が実施し易い縫合システム及び方法を提供する。例えば、一部の実施形態において、手技全体を関節鏡視下で実施することができ、その際、外科医は、任意選択で縫合糸が予め取り付けられている内側の骨アンカー20を第1ポートから挿入し、側方のアンカー22を第2ポートから挿入して、第2ポートの内側から縫合糸を捕捉することによって、軟組織12の上に縫合糸を渡し、側方のアンカー22に縫合糸を固定するだけで済む。したがって、縫合材を捕捉するように構成されたアンカーと、軟組織及び骨を簡単に突き通すように構成されたアンカーについて、特定の実施形態を以下に記載する。
【0017】
縫合糸キャプチャリング(捕捉)アンカー
【0018】
一実施形態は骨アンカーであって、骨の中にアンカーを挿入した後で、容易に縫合糸を捕捉して固定できるようにする。ある実施形態において、この骨アンカーは、縫合糸固定機構を含み、該機構は、骨アンカーの基端(すなわち、骨の表面と外科医に最も近い端部)に位置される。ある実施形態において、この縫合糸固定機構により、縫合糸を、当該機構内へと側方に向けて移動させることができる。「側方に(laterally)」とは、縫合糸の軸に対してほぼ直交する方向において縫合糸を移動させることにより、縫合糸が当該機構内へと移動し得ることを意味する。換言すれば、縫合糸の一端を本機構に通さずに、縫合糸を機構内へと移動させることができる。ある実施形態において、縫合糸は、結び目を作らずに、機構内に固定して取り付けることができる。また、「堅固に固定される(fixedly secured)」とは、固定機構内にある縫合糸が、骨アンカーに対して容易に移動できないことを意味する。
【0019】
ある実施形態は、骨アンカーの2つの面の間で縫合材を挟み込むことによって、縫合材を簡単に取り付けることができる骨アンカーである。この骨アンカーについては、縫合材を取り付けることなく、骨の中に挿入されるように構成できる。縫合糸固定機構の2つの面は、この2つの面の間に隙間を形成するように離間し得る。縫合材が2つの面の間を通されて、所望の張力をかけられた後で、2つの面をともに押し付け合うことによりそれらの間に縫合材を挟み込む。
【0020】
ある実施形態において、骨アンカーは2つの部分、アンカーベース及びアンカートップから構成される。このアンカーベースは、基端面が上方を向いた状態で、骨に開いた穴に挿入されるように設計することができる。またアンカートップは、先端部(遠位部)を介してアンカーベースに連結することができる。アンカートップの基端部(近位部)は、アンカーベースの基端面へと向かう、下向きの先端面を有することができる。アンカートップのアンカーベースへの連結については、ある配置構成にてアンカートップを位置させることができるように、アンカートップがアンカーベースに対して移動可能になっており、この配置構成において、アンカーベースの基端面と、アンカートップの基端部の先端面との間には隙間がある。また別の配置構成において、アンカーベースの基端面と、アンカートップの基端部の先端面との間には、あってもごく僅かな空間しかできないように、アンカートップの基端部が位置される。このため、最初の配置構成では、2つの面の間に縫合材を容易に通して所望の張力をかけることができる。また、第2の配置構成では、骨アンカーに縫合糸が固定されるように、縫合材を2つの面の間に挟み込むことができる。
【0021】
アンカーベース100の一実施形態を図4A〜4Dに示す。図4Aは、アンカーベース100の側面部101及び底部102を示す斜視図である。アンカーベース100の底部102については、骨にアンカーベース100を挿入し易いように、好ましくはテーパが付与されている。一部の実施形態において、アンカーベース100を挿入し易いように、骨に予め穴が開けられる。また別の実施形態では、アンカーベース100が直接骨に打ち込まれ、穴が形成される。ねじ込みの推進作用によりアンカーベース100を骨に挿入できるように、アンカーベース100の側面部101は、ねじ山104を備えている。一部の実施形態において、アンカーベース100は、ねじ山104が骨に挿入し始めるようにするためにねじ立て(tapped)がなされ、その後、アンカーベース100が骨に螺入される。骨に穴が事前に開けられる場合、ねじ山が穴の側面を介して骨と係合するように、好ましくは、穴がねじ山104の直径より小さい直径をもって開けられる。アンカーベース100を骨に固定するために、ねじ山以外の手段を用いてもよいことは勿論である。例えば、角度付きの突出部を使用して、アンカーベース100を挿入する際の抵抗よりも取り外す際の抵抗の方が大きくなるようにしてもよい。この突出部は、固定的(static)であってもよいし、アンカーの挿入後に展開可能(deployable)であってもよい。
【0022】
アンカーベース100の上部は、該アンカーベース100を骨に押し込み易く、あるいは螺入し易くするための構造106を有することが好ましく、図示の実施形態では六角ナット構造部106を有しており、これにより、アンカーベース100を骨に螺入させるための六角ナットドライバとの係合が容易となる。ねじ込みの推進作用のために使用する工具と係合するように、六角ナット構造部106以外の他の公知技術による構造を用いてもよいことはいうまでもなく、この構造については、アンカーベース100の上部に窪みをもつこともでき、また、アンカーベース100の上部から外側へ延びているものでもよく、これに代わって、本構造がアンカーベース100の側面に形成されてもよい。
【0023】
図4B、つまりアンカーベース100の上部と側面の斜視図を参照すると、上部(基端部)は、アンカートップを受け入れるための穴108を中心部に有しており、これについて以下に説明する。また、アンカーベース100の上部は、穴108と同心とされる環状溝110などの縫合糸把持構造を有する。この溝110のために、アンカーベース100の基端面は平坦でなく、上面112、114、底面116、及び側面118、120を有する。一部の実施形態では、これらの面の一部又は全てについて、波形状又は溝などの表面加工が施される場合があり、これは、その面に対して押し付けられる縫合材が移動しないように防ぐためである。図には溝を設けた面を示しているが、アンカーベース100の他の形状の基端面も考えられることは明らかであり、これには、複数の同心状の溝、一連の突出した縁、V字形の溝、又はアンカーベース100の上端部、つまり基端部に対して縫合糸をしっかりと固持することができる他の如何なる好適な構造も含まれる。
【0024】
アンカーベース100にある穴108は、アンカーベース100の中心(「軸方向の」)孔に通じる開口である。この中心孔の側面は、該中心孔に挿入される物品(ラチェット構造部122など)を保持するための構造を有することが好ましい。図4Cは、中央のラチェットブッシング126を示しており、これは中心孔と嵌合し、ラチェット構造部122を有する。図4Cの実施形態において、ラチェット構造部122は、ブッシング126にU字型の切り込みを入れることによって形成されている。このU字型の切り込みは、ラチェット構造部122を構成するタブ(爪)を規定している。尚、ラチェット構造を作り出すために他の形状及び方法を用いてもよいことはいうまでもない。ラチェットブッシング126の目的は、アンカートップを受け入れて、これをアンカーベース100に固定することである。アンカートップをアンカーベース100に固定するために、摩擦による嵌合又はねじ切りなど、他の方法を用いてもよいことは勿論である。更に、アンカートップは、穴108とブッシング126以外の手段を用いて、アンカーベース100に連結することができる。例えば、アンカートップについては、中心ではなく周辺部に設けた構造によってアンカーベースに連結するか、あるいはヒンジによって連結してもよい。
【0025】
図4Dは、アンカーベース100の中心部を通る断面を示す。本図には、中心孔130と溝110を示している。また、基端面112、114、116、118、120が明らかにされている。中心孔130は、アンカーベース100を完全に貫通していないことが好ましい。その代わりに、小孔132がアンカーベース100の先端部102に設けられる。小孔132は、アンカー挿入器具に連結されたワイヤを受け入れるために使用される。小孔132とは別の構造を、ワイヤの取り付けに用いることや、ワイヤ以外の他の手段を、アンカー挿入器具へのアンカーの固定のために用いてもよいことは勿論である。
【0026】
図5A〜5Cは、アンカートップ200の一実施形態を示している。図5Aは、アンカートップ200の側面及び上部の斜視図であり、図5Bはアンカートップ200の側面及び底部の斜視図である。アンカートップ200は2つの部位、先端部202と基端部204を有する。先端部202は、細長いシャフトをもち、その長手方向が、先端部202の軸に沿うものとされる。一連の溝、他の接合用若しくはロック用の面又は構造206が、シャフトの外面の一部分に沿って存在する。先端部202は、アンカーベース100の中心孔130に挿入されるように設計されている。アンカーベース100にあるラチェット構造部122は溝206と係合し、アンカートップ200をアンカーベース100に連結する。先端部202が下方に移動するにつれて、ラチェット構造部122が溝206に嵌め込まれて、先端部202が中心孔130内を先端方向において容易に移動するように、ラチェット構造部122はその向きが決められている。しかし、ラチェット構造部122が溝206に嵌め込まれると、先端部202が基端側に移動することが禁止される。このようにして、アンカートップ200は、アンカーベース100の内部へと徐々に下がっていくことができる。ラチェット構造部122は中心孔130のほぼ全面に存在するため(図4C参照)、アンカートップ200は、数箇所でアンカーベース100と連結し得る。換言すれば、一実施形態において、アンカートップ200がアンカーベース100に固定される限り、アンカートップ200がアンカーベース100の内部へと徐々に移動されるようにすることを要しない。
【0027】
アンカートップ200の基端部204は概ね円筒形状をもち、先端部202よりも大きな直径とされる。好ましくは、穴208を基端部204の中心に設けることができる。また、図5Bを参照すると、先端部202の底部が穴210をもつ。穴208、210は、アンカートップ200を貫通する中心孔へと通じている。この中心孔によって、前述のワイヤが、アンカートップ200を通って延び、アンカーベース100の底部の孔132に固定され、これにより、アンカーベース100の底部をアンカー挿入器具に取り付けることができ、その一方で、アンカートップ200をアンカーベース100の底部に向けて移動させることがまだ可能である。また、図5Bには、基端部204がその先端面に溝212を有することを示している。このように、基端部204の先端面は平坦でなく、先端を向いた面214、216及び側方を向いた面218、220を有する。一部の実施形態において、これらの面の一部又は全てについて、波形状又は溝などの表面加工が施される場合があり、これは、その面に対して押し付けられる縫合材が移動しないように防ぐためである。一部の実施形態では、基端部204の先端面の表面加工が、アンカーベース100の基端面の表面加工と一致する。例示した実施形態では一例のみを示しており、基端部204の他の形状の先端面を使用してもよいことは勿論である。図5Cは、アンカートップ200の中心を通る断面を示す。この図では、中心孔226が、面214、216、218、220及び溝206と同様に示されている。
【0028】
図6A、6Bは断面を示しており、アンカートップ200がアンカーベース100に対し如何にして連結されて、組み上がったアンカー300を形成するかを示している。図6Aにおいて、アンカートップ200は、基端部204がアンカーベース100から離れた状態で、アンカーベース100に連結されている。アンカートップ200は、アンカーベース100の中心孔130内へと延びる先端部202によって、アンカーベース100に固定されている。先端部202は、先端部202の溝206と係合するラチェット構造(図示せず)によって固定されている。アンカートップ200の中心孔226とアンカーベース100の中心孔130によって、ワイヤがアンカー300の上部まで延び、かつ該ワイヤを孔132に固定することが可能となる。別の実施形態では、ワイヤが中心孔130内の他の位置に固定されるようにしてもよい。このようにして、ワイヤは、アンカー挿入器具に連結されることで、アンカーアセンブリ300全体を保持することができ、その状態でも、アンカートップ200を、アンカーベース100及びワイヤに対して移動させることが可能である。
【0029】
図6Bは、アンカーアセンブリ300を示しており、アンカートップ200の先端部202が、アンカーベース100の中心孔130内で完全に下がっている。この構成では、アンカーベース100の基端面112、114、116、118、120と、アンカートップ200の基端部204の先端面214、216、218、220とが通路302、304を形成していることが見て取れる。通路302、304としては、縫合糸が通路302、304を通る際、アンカー300に縫合糸が堅固に取り付けられるように縫合糸が押し付けられる寸法になっていることが好ましい。
【0030】
本発明の別の実施形態は、図1〜3に示したようなアンカーを挿入して取り扱うために設計された挿入器具である。このような挿入器具400の1つが、図7A、7Bに示されている。挿入器具400は、ハンドル402と外管404を有する。図7Aに示すように、ハンドル402はカバー403を有する。図7Bは、カバー403を取り外した状態の挿入器具400を示している。図7A、7Bには示していないが、内管が外管404内に配され、ワイヤがこの内管に配されている。以下に詳述するように、内管と外管を使用して、図4〜6に示したようなアンカー300を操作することができる。ワイヤを使用して、挿入器具400がアンカー300に連結できることは、前述した通りである。また、挿入器具400は、外管操作部406とワイヤ操作部408を備える。外管操作部406は、リリースボタン410を有する。外管操作部406は、外管404に対して堅固に取り付けられている。リリースボタン410が押されると、外管操作部406は、ハンドル402及び内管に対して長手方向に移動することができる。このように、外管操作部406が移動すると、外管404も移動する。
【0031】
ワイヤ操作部408は、ワイヤ把持部410を有し、そこにワイヤが取り付けられている。ワイヤは、ワイヤ把持部410からハンドル402を通り、そして内管を通って延びる。ある実施形態では、ワイヤ操作部408もまた、リリースボタン412を有する。リリースボタン412が押されると、ワイヤ操作部408がハンドル402に押し付けられてワイヤに接触し、ワイヤに張力が加わる。使用時に、張力が加わると、アンカーベース100が挿入器具400に対して移動する。ワイヤ操作部408によってワイヤに十分な張力が付与されると、ワイヤが孔132内のその接続点又はワイヤに沿った他の所定位置で、アンカー300から離脱して自由になる。アンカー300にワイヤを固定するために、適切で脆弱な取り付け手段であれば、どのようなものを用いてもよいことはいうまでもない。例えば、ワイヤが摩擦により孔132に固定されていてもよく、またワイヤが、ワイヤ自体よりも弱い溶接部によってアンカーベース100に溶接されていてもよいし、切り離したいワイヤ部分の強度を弱くしてもよい。一実施形態では、適切な力を加えたときに折れる脆弱領域をワイヤに形成するために、ワイヤに切り目が入れられる。
【0032】
外管404の先端414が、内管420、ワイヤ422及びアンカー300とともに、図8においてより詳細に図示されている。外管404の端部は、アンカーベース100の六角ナット構造部106を受け入れるための六角ナットドライバ構造424をもつことができる。当然、アンカーベース100を容易に配置できるように、他の任意の好適な係合構造を、挿入器具400とアンカーベース100に設けるようにしてもよい。前述のように、ワイヤ422は、内管420からアンカートップ200の中心孔へと延びて、アンカーベース100に取り付けられる。一部の有利な実施形態では、アンカートップ200の基端部204が、内管420の端部426と突き合わされて終端となるように、ワイヤ長及び張力が調整される。
【0033】
図9A〜9Eは、挿入器具400及びアンカー300を使用して、アンカー300を骨に挿入し、該アンカーに縫合糸を取り付ける方法を示している。図9Aは、骨にアンカー300を挿入するための構成を示す。外管404と外管操作部406(図7A、7B参照)は、内管420とハンドル402(図7、8参照)に対して配置され、これは、外管404が、アンカーベース100の六角ナット構造部106と係合するためである。この構成において、アンカートップ200が、図6Aに示すようにアンカーベース100に対して位置していると有利である。そして、図9Aの構成では、外科医が挿入器具400のハンドル402を回転させることにより、骨にアンカーベース100をねじ込むことができる(図7A、7B参照)。
【0034】
骨にアンカーベース100が挿入されると、外管404が、例えば図9Bのように、内管420及びハンドル402に対して後方にスライドして、アンカートップ200が露出する。その後、図9Cに示すように、1本以上の縫合糸600を、アンカートップ200の基端部204の先端面602とアンカーベース100の基端面604との間の隙間へと側方に移動させることによって、縫合糸をこの隙間に配置することができる。縫合糸600には、手動で所望の張力をかけることができる。一部の実施形態では、アンカートップ200の先端部202に抗して縫合糸600を引っ張ることによって、縫合糸600に張力がかけられる。
【0035】
縫合糸600に適切な張力をかけた後で、ワイヤ操作部408を押してワイヤに張力をかけると、その結果、挿入器具400のハンドル402と内管420がアンカーベース100に向けて下げられ、図9Dに示すように、内管420が、アンカートップ200をアンカーベース100の底部へと徐々に移動させる。アンカートップ200が軸方向に押し下げられると、縫合糸600が、アンカートップ200の基端部204の先端面602とアンカーベース100の基端面604との間に挟み込まれる(図9Cも参照)。縫合糸がこのように挟み込まれると、縫合糸が、図6Bに示す通路302、304内で押圧されて、アンカー300に固定される。挟み込み領域でのアンカートップ200とアンカーベース100との間の嵌合については、縫合糸600がその場に挟まれた場合に、縫合糸600が堅固に保持されるが、切断されないようになっている。縫合糸に接触する可能性のある適切な縁部については、好ましくは縫合糸を傷つけないように面取りされるか又は丸くなっている。アンカートップ200がアンカーベース100へと十分に移動した後で、ワイヤ422がそのアンカーベース100との連結から切り離されるように、挿入器具400のワイヤ操作部408(図7A、7Bを参照)がテンションワイヤ422(図8参照)に益々押し付けられる。このため、図9Eに示すように、縫合糸600が堅固に取り付けられた状態で、アンカー300が挿入器具400から解放される。
【0036】
アンカー300を挿入して操作するための特定の挿入器具について記載したが、上記のアンカー300の一部を操作して骨にアンカーを挿入し、このアンカーに縫合材を固定するために、挿入器具の他の設計を用いてもよいことは勿論である。例えば、アンカーを挿入するための道具と、縫合材を固定するための道具を、別個にして使用することが可能である。また、代替の実施形態では、処置の間中、アンカーベース100がアンカートップ200に連結されてもよく、あるいは骨にアンカーベースのみを挿入して、その後、アンカートップ200の先端部をアンカーベース100の穴108へと軸方向にスライドさせることによって、アンカートップを付設することもできる。
【0037】
当業者には分かるように、アンカー300及び挿入器具400により、骨に対して縫合糸を簡単に取り付けられるシステムが提供される。周囲組織の損傷を最小限に抑えつつ、アンカー300を骨に挿入することができる。必要となるのは、外管404とアンカーベース100の直径をもったアクセス(接近)経路のみである。更に、追加の器具装備を部位に挿入することなく、また、結び目などの面倒な取り付け操作を行わなくても、アンカー300に縫合糸を堅固に取り付けて、張力をかけることができる。また、予め縫合材を取り付けることなく骨にアンカーを挿入し、その後、結び目を作らずにアンカーに縫合糸を取り付けるようにした、本システムによって示される一般的な原理について、図4〜9に示した特定の実施形態以外の任意の適したシステムを使用して実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
組織及び骨への刺通アンカー
【0039】
一実施形態は、軟組織と、その下の骨を突き刺すように適合された骨アンカーである。ある実施形態では、縫合材が刺通骨アンカーに予め取り付けられることで、移植後に、縫合糸が骨アンカーから軟組織の上部を通って、これを軟組織の上に容易に渡すことができる。ある実施形態において、刺通骨アンカーは、2つの配置構成をとり、第1の配置構成では、軟組織及び骨を容易に刺し通すために径が小さく、第2の展開された配置構成では、突出部などの構造物が展開されることで、骨アンカーが骨から簡単に外れないように防止する。
【0040】
ある実施形態において、アンカーは略中空の円筒を有しており、その壁の一部には切り込みが入っており、これは軸方向の応力を受けて円筒が変形して、側方突出部が形成されるようにするためである。この側方突出部により、アンカーが、展開後に骨から簡単に外れないように防ぐことができる。一実施形態では、アンカーが、中空円筒に連結されるとともに、軟組織及び骨を突き通すための尖った先端を有する。また、ある実施形態では、縫合糸が、中空円筒の内部で、尖った先端に予め取り付けられている。別の実施形態では、縫合糸が、刺通アンカーの他の位置、例えば、中空円筒の基端部に予め取り付けられている。
【0041】
図10A、10Bには、展開可能な刺通アンカーの一実施形態が示されている。図10Aでは、展開前の状態のアンカーが示されている。アンカーは、略中空の円筒650を有し、円筒650の側面に複数の切り込み652が設けられている。円筒650は、一端部654が開口している。他端部には、尖った先端656が配されており、これにより、アンカーを軟組織及び骨に刺し通すことができる。図10Bには、展開した状態のアンカーが示されている。円筒650が切り込み652に沿って潰れるように、応力が軸方向に付与されるが、これは、2つの側方ウィング660を形成するためである。これらの側方ウィング660は、アンカーが骨から外れないように防止する。ヒンジ662は、各ウィングの一端を、アンカー本体の上部又は下部の一方に連結している。これらのヒンジは、アンカーが展開される時点において、アンカー本体に接する平面において変形して折り曲げられる。材料片664は、アンカー本体の各側面において上部ウィングと下部ウィングを連結して、この2枚のウィングの間のヒンジとして機能するとともに、変形時には、この2枚のウィングの位置合わせを支援する。連結した片664に近接するウィングの先端は、丸くなった縁部666を利用することで、変形時における一定した位置合わせ及び円滑な移行を保証する。当業者にはいうまでもないが、応力を受けて側方突出部を形成することになる、変形可能な構造を作り出すために、円筒650における切り込みの形状をいくつでも使用可能である。
【0042】
一部の実施形態では、縫合糸を取り付けてアンカー挿入器具に係合させるための構造を円筒650内に配置することができる。一実施形態では、このような構造が、円筒650内でアンカーの先端656に連結される。図11は、そのような実施形態の1つを示している。先端656には構造体670が付設されており、その内部を通る穴672が存在する。この構造体670は、円筒650に対して先端656を取り付けるために、円筒650の内面と係合するように適合される。取り付け機構については、強制的な嵌合、摩擦による嵌合、ねじ、溶接、接着剤又はその他任意の適した手段によることが可能である。アンカーに縫合糸を取り付けるために、縫合材が穴672に通される。先端656に縫合材を固定するには、縫合糸を構造体670の周囲に結び付けるか、穴672から抜けないようにする結び目を縫合糸の端部に作るか、構造体670と円筒650の内部との間で縫合糸を挟み込むか、溶接又は接着剤によって構造体670に縫合糸を付着させるか、あるいはその他任意の適した手段によって行うことができる。一実施形態では、アンカーの使用前に、縫合材がアンカーの先端656に取り付けられる。
【0043】
また、アンカー挿入器具の取り付け構造部674が、先端656に連結される。この構造部674は、ワイヤや他の任意の適した手段によって、アンカー挿入器具に連結することができる。この時点におけるアンカー挿入器具とアンカーとの間の取り付けは、前述のようにアンカーを展開させるため、アンカーに軸応力を付与するのに使用される。また、この時点における取り付けは、展開前にアンカーを挿入器具に付設した状態に保持する役目を果たす。
【0044】
前述したアンカーの使用に適したアンカー挿入器具の一実施形態が図12に示されている。アンカー挿入器具は把持用のハンドル700を備え、このハンドル700には、ハンドル700に対して固定されたアウタースリーブ702が付設されている。刺通アンカー704は、スリーブ702の端部に配されている。展開用のレバー706は、以下に記載するようにアンカー704を展開させて取り外すために、使用者によって押される。安全スイッチ708は、アンカー704が早まって展開されないように防ぐために設けられる。余分の縫合糸を保持するため、ハンドル700の基端部にはスプール710が設けられる。また、挿入器具の内部の部品に手がとどくように、リッド712が設けられている。
【0045】
図13は、挿入器具と連結されたアンカー704を示している。前述のように、アンカー704は、側面に切り込みをもった中空の円筒650及び尖った先端656を有する。更に、図11に示すように、縫合糸を受け入れる穴672と、挿入器具の取付構造部674が、円筒650内の尖った先端656に付設されている。挿入器具のアウタースリーブ702は、円筒650の開放端654の上に嵌まっているか、あるいは開放端654と面一である。このため、アウタースリーブ702は、挿入中にアンカー704の上部を安定に保持することができる。代替の実施形態において、アウタースリーブ702は、円筒650が骨に挿入されている間に、円筒650が変形しないように防ぐために、円筒650の全長に亘って嵌合し得る。この代替の実施形態において、アウタースリーブ702は、アンカーの展開前に引き込まれてもよい。内管720は、アウタースリーブ702及び中空の円筒650内に配置され、アンカーの先端656の上面に接触する(図11参照)。内管720は、アンカー704の構造補強を提供し、アンカー704が骨又は組織に押し付けられている間、アンカー704の先端に接触してこれを押す。内管720は、挿入時においてハンドル700及びアウタースリーブ702に対して固定されるが、アンカー704の展開時においては、アンカーの円筒650が潰れている間に、内管720がアウタースリーブ702に対して軸方向に移動できるように、安全スイッチ708を切り替えることによって内管720が解放される。ワイヤは内管720の内部に位置し、ハンドル700の内部から、内管720を通ってアンカー704まで達して、アンカー挿入器具の取付構造部674に取り付けられる。展開時にはレバー706が押されて、ワイヤがハンドル700に向けて軸方向に引っ張られる。ワイヤが軸方向に移動すると、アンカー704がアウタースリーブ702に押し付けられて、円筒650に圧力が加わり、円筒650が変形して展開する。円筒650が潰れている間、内管720も、ハンドル700の方へ軸方向に移動する。ワイヤに更に圧力が加わると、ワイヤがアンカー挿入器具の取付構造部674から離れて自由になり、挿入器具がアンカー704から解放される。縫合材は、ハンドル700の内部から内管720を通って延び、穴672(図11参照)に通されてアンカー704に取り付けられている。アンカー挿入器具がアンカー704から切り離されると、挿入器具が引き抜かれ、アンカーの挿入及び展開がなされ、縫合糸が、円筒650の開放端654から出た状態となる。この状態でも、縫合糸は、内管720、ハンドル700を通り、スプール710に巻かれて挿入器具にまだ繋がっている。尚、ここに記載した刺通アンカーを挿入して展開するために、他の挿入器具及び機構を使用してもよいことは当業者に明らかである。例えば、先端656を手前側に引っ張ることによってアンカー704に軸方向の応力を付与するのではなく、円筒650を先端方向に押して円筒650を変形させることもできる。
【0046】
図14はハンドル700を切断した図であり、アンカー挿入器具の内部の仕組みを示している。縫合材は、挿入器具の先端において刺通アンカーに取り付けられ、内管720の中心孔を通って、ハンドル700内の孔750を通る。そして、縫合材はハンドル700の端部の穴752を通って、スプール710に巻き付けられており、このスプールはハンドル700に一体化し得る。また、アンカーにおける、アンカー挿入器具の取付構造部674に取り付けられるワイヤもまた、内管720の中心孔を通って、プーリ754の周りを進んで、点756においてハンドル700に対して堅固に取り付けられる。プーリ754は、レバー706に取り付けられる。レバー706が押下されると、プーリ754がハンドル700の後端に向かって移動し、アンカーに取り付けられたワイヤが引き込まれる。プーリ754を使用することで、ワイヤは、プーリ754が移動する距離の2倍の距離をもって引き込まれることになる。
【0047】
安全スイッチ708は、この安全スイッチ708が正しい位置にない場合に、レバー706が押されないようにし、内管720が移動しないように防いでいる。安全機構は、ハンドル700内に配置されたドラム760を介して働き、該ドラムに安全スイッチ708が取り付けられている。安全スイッチ708を動かすと、ハンドル700内でドラム760が回転する。図15は、ドラム760と安全スイッチ708の機構をより詳細に示している。内管720はドラム760の中心孔を通っている。ドラム760のもう一方の端には、内管720がストッパー762に取り付けられている。このストッパー762は、展開用のワイヤ及び縫合糸を通すための貫通孔764を有する。ストッパー762は、ドラム760の端部において空洞766内に配置される。同様に形成された第2の空洞がハンドル700内に配置される。ドラム760の空洞766が、ハンドル700において合致する空洞と位置合わせされるように、安全スイッチ708とドラム760が回転されたときにのみ、ストッパー762及び取り付けられた内管720が、ハンドル700に対して軸方向に移動可能となる。2つの空洞が位置合わせされると、ストッパー762が、空洞766からハンドル700内の空洞へと移動可能となり、内管720が軸方向に移動され、アンカーの展開が可能となる。
【0048】
また、ドラム760は溝768を有する。ばね式のスライドピン770(図14参照)がレバー706に連結される。溝768がピン770と位置合わせされるように、ドラム760及びスイッチ708が回転されたときにのみ、レバー706が移動できるようになる。このため、ストッパー762とピン770は、スイッチ708が正しい位置にない限り、アンカーが展開されないように防いでいる。
【0049】
当業者には明らかであるが、展開可能なアンカーを展開するとともに、早計にアンカーが展開されないように防ぐための安全機構を提供するために、別の機構を用いてもよい。
【0050】
刺通アンカー及び縫合糸キャプチャリングアンカーの使用例
【0051】
前述のアンカーは、軟組織を骨に取り付けるための外科的手技において使用することができる。このような手技の一例が、図16A〜16Fに示されている。図16Aにおいて、前述のようにアンカー挿入器具802に取り付けられた刺通アンカー800を、下にある骨806から剥離した軟組織804に突き通す。図16Bにおいて、軟組織804を骨806に対して側方に引き伸ばすために、アンカー挿入器具802が骨806に対して側方に移動される。軟組織804が所望の位置まで引っ張られると、前述のように、骨806にアンカー800が挿入されてアンカー800が展開され、アンカー800から挿入器具802が離脱し、このとき、縫合糸808がアンカー800に取り付けられており、軟組織804を通って延びている。挿入器具802をハンマーで打ち付けるか、あるいは軸方向の力を付与する、その他任意の適した手段によって、骨806にアンカー800が挿入される。図16Cには、縫合糸808が取り付けられた、展開した状態のアンカー800を示している。縫合糸808は挿入器具802内に延びている。
【0052】
次に、図16Dに示すように、前述した挿入器具812を用いて、縫合糸キャプチャリングアンカー810が骨806に挿入される。そして、図16Eにおいて、挿入器具812が後退して、縫合糸キャプチャリング(捕捉)機構が露出する。次に、縫合糸808が、軟組織804の上に渡されて、縫合糸キャプチャリング機構内へと側方に移動されて、引っ張られる。最終的に、図16Fに示すように、縫合糸808を捕捉するために縫合糸キャプチャリング機構が配置されて、アンカー挿入器具812がアンカー810から引き離され、縫合糸808が切断されて、挿入器具802から切り離される。その結果、骨アンカー808と骨アンカー810との間に1本の縫合糸808が渡されて、これが軟組織804を骨806に押し付ける。尚、複数のアンカー及び縫合糸を用いて、図2、3に示したような配置や変形例を実現することができる。
【0053】
数多くのステッチ、縫合糸を渡すパターン、及びアンカーパターンを用いて、ここに記載した方法及び装置によって軟組織を骨に固定できることは勿論である。これらの変形例並びに前述したアンカー装置及び挿入器具の設計における変形例については本開示の範囲内である。
【0054】
軟組織を骨に付着させるための方法
【0055】
各種の実施形態には、骨に軟組織を付着させるための方法が含まれる。一部の実施形態において、方法は上記した骨アンカーの使用を含む。一実施形態では、骨アンカーが骨に挿入されて、アンカー挿入後に、結び目を作ることなく、また縫合糸をアンカーの穴に通すことなく、縫合糸が軟組織の上に渡されて、アンカーに固定される。また一部の実施形態において、縫合糸は、縫合糸を固定機構まで側方に移動させることによってアンカーに固定される。一実施形態では、縫合糸をアンカーに固定する際に、アンカーの少なくとも2つの表面の間に縫合糸が挟み込まれる。一実施形態では、縫合糸をアンカーに固定した後で、アンカーがそれ以上骨に挿入されることはない。
【0056】
別の実施形態において、縫合糸が予め取り付けられた第1のアンカーが、軟組織を貫通して骨に挿入される。そして、縫合糸は、軟組織の上に渡されて、第2の骨アンカーに対して堅固に固定することができる。一実施形態において、第1のアンカーは、軟組織及び骨を直接突き通すことによって挿入される。一実施形態では、第1のアンカーが外れないように防ぐために、第1のアンカーにおいて側方突出部が展開される。一実施形態では、縫合糸が、挿入前の第2の骨アンカーに結び付けられ、挿入後に堅固に固定される。これに関して、「結び付ける」とは、縫合糸が骨アンカーに取り付けられるが、骨アンカーに対してある程度移動し得るように、かたく固定しないことを意味する。代替の実施形態では、第2の骨アンカーの挿入中に、縫合糸が第2の骨アンカーに結び付けられない。
【0057】
別の実施形態において、縫合糸の第1の部分が軟組織の手前側の面に挿入される。次に、縫合糸の第2の部分(例えば、挿入された部分に対して手前側の部分)が、軟組織の手前側の面上に渡され、骨アンカーに対して堅固に固定される。一実施形態では、縫合糸の第1の部分を、軟組織の手前側の面から戻すことなく、手技を実施し得る。一実施形態において、この結果は、軟組織を貫通して骨に挿入されるアンカーに対して、縫合糸の第1の部分を取り付けることで実現される。
【0058】
一実施形態では、縫合糸が予め結び付けられた第1のアンカーを、軟組織に貫通して骨に挿入することを含む。そして、縫合糸が軟組織の上に渡されて、第2のアンカーに対して堅固に固定される。一実施形態では、予め結び付けられた縫合糸が、挿入前に第1のアンカーに堅固に固定される。代替の実施形態では、予め結び付けられた縫合糸が、挿入前に、第1のアンカーに対して移動することができ、挿入後に堅固に固定される。
【0059】
別の実施形態において、複数本の縫合糸が複数のアンカーに取り付けられる。一実施形態では、少なくとも3本のアンカーが骨に挿入される。第1の縫合糸が第1のアンカーと第2のアンカーとの間に取り付けられ、第2の縫合糸が第1のアンカーと第3のアンカーとの間に取り付けられる。一実施形態では、第1のアンカーが軟組織の下に配置され、第2のアンカー及び第3のアンカーが軟組織の側方に配置される。代替の実施形態では、第1のアンカーが軟組織の側方に配置され、第2のアンカー及び第3のアンカーが軟組織の下に配置される。一部の実施形態では、複数本の縫合糸が、軟組織の下に配置されるアンカーに対して、それらの挿入前に堅固に固定される。一実施形態において、異なる縫合糸には個々に張力がかけられる。
【0060】
各種の実施形態において、骨アンカーに対して縫合糸を堅固に固定する前に、縫合糸に張力がかけられる。一実施形態において、張力をかけることは、例えば、外科医が適切な器具を用いて縫合糸を掴んでから引っ張るなど、縫合糸に手動で張力をかけることで行われる。一実施形態では、縫合糸を引っ張る際に、てこの作用を与えるために縫合糸が骨アンカーに押し付けられる。例えば、縫合糸は、引っ張る前に、その一部をアンカーの基端部に巻き付けることができる。
【0061】
各種の実施形態及び例を参照して本発明を記載したが、本発明の趣旨から逸脱することなく、数多くの様々な変更が可能なことは勿論である。したがって、本発明は特許請求の範囲のみによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】1本の骨アンカーとステッチを用いて軟組織を骨に付着させることを示す図である。
【図2】2本の骨アンカーとそれらの間で伸びる縫合糸を使って軟組織を骨に付着させることを示す図である。
【図3A】軟組織を骨に付着させるための、骨アンカー及び縫合糸のパターンの各種配置を示す図である。
【図3B】軟組織を骨に付着させるための、骨アンカー及び縫合糸のパターンの各種配置を示す図である。
【図3C】軟組織を骨に付着させるための、骨アンカー及び縫合糸のパターンの各種配置を示す図である。
【図4A】骨に挿入可能な、2つの部分からなる縫合糸アンカーのベースを示す図である。
【図4B】骨に挿入可能な、2つの部分からなる縫合糸アンカーのベースを示す図である。
【図4C】骨に挿入可能な、2つの部分からなる縫合糸アンカーのベースを示す図である。
【図4D】骨に挿入可能な、2つの部分からなる縫合糸アンカーのベースを示す図である。
【図5A】2つの部分からなる縫合糸アンカーのトップを示す図である。
【図5B】2つの部分からなる縫合糸アンカーのトップを示す図である。
【図5C】2つの部分からなる縫合糸アンカーのトップを示す図である。
【図6A】図4A〜4Dの縫合糸アンカーベースに挿入された、図5A〜5Cの縫合糸アンカートップを示す図である。
【図6B】図4A〜4Dの縫合糸アンカーベースに挿入された、図5A〜5Cの縫合糸アンカートップを示す図である。
【図7A】縫合糸アンカー挿入器具を示す図である。
【図7B】縫合糸アンカー挿入器具を示す図である。
【図8】骨への取付及び縫合糸アンカーの取り扱いための縫合糸アンカー挿入器具の構成部分を示す図である。
【図9A】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図9B】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図9C】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図9D】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図9E】縫合糸アンカー挿入器具を用いて骨に縫合糸アンカーを挿入し、縫合材を縫合糸アンカーに取り付ける、縫合糸アンカーの取り扱いを示す図である。
【図10A】展開されていない状態の刺通骨アンカーを示す図である。
【図10B】展開された状態の刺通骨アンカーを示す図である。
【図11】刺通骨アンカーの先端を示す図である。
【図12】刺通骨アンカーを挿入するためのアンカー挿入器具を示す図である。
【図13】刺通骨アンカーとアンカー挿入器具との接続部分を示す図である。
【図14】骨アンカー挿入器具を切断して示す図である。
【図15】骨アンカー挿入器具用の安全スイッチ機構を示す図である。
【図16A】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16B】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16C】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16D】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16E】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【図16F】刺通骨アンカーと縫合糸キャプチャリングアンカーを使用して軟組織を骨に付着させるための方法を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、
骨の中へ堅固に固定されるように適合されたアンカーベースと、
前記アンカーベースに連結されるとともに、前記アンカーベースに対して基端側に配置される縫合糸固定機構と、を有し、該縫合糸固定機構が、当該機構へと側方に移動される縫合糸を受け入れて固定するように適合されているアンカー。
【請求項2】
前記アンカーベースは、前記アンカーベースが骨から外れることに抵抗するように適合された側方突出部を備える請求項1に記載のアンカー。
【請求項3】
前記側方突出部は、前記アンカーベースを骨にねじ込めるように適合されたねじ山を含む請求項2に記載のアンカー。
【請求項4】
前記縫合糸固定機構は2つ以上の面を有し、当該2つの面をともに押し付け合うことによって前記縫合糸を固定するように構成されている請求項1に記載のアンカー。
【請求項5】
前記縫合糸が、挟み込まれる前に前記2つの面の間で側方へ自由に移動し得るように、前記2つの面が配置されている請求項4に記載のアンカー。
【請求項6】
縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、
骨の中へ堅固に固定されるように適合されたアンカーベースと、
前記アンカーベースに連結されて、前記アンカーベースに対して基端側に位置する第1の面と、
前記アンカーベースに連結されて、前記アンカーベースに対して基端側に位置する第2の面と、を備え、
前記第1の面及び前記第2の面は、少なくとも2つの配置構成において相対的に位置されるように適合されており、前記配置構成の一方では、前記第1の面と前記第2の面との間に隙間が存在して、該隙間へと前記縫合糸を側方に移動させることによって、前記縫合糸が前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるようにし、もう一方の配置構成では、前記第1の面と前記第2の面との間に前記縫合糸が堅固に挟み込まれるように、前記第1の面と前記第2の面とが接近しているアンカー。
【請求項7】
骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、前記第1の面が骨表面と同一面とされるか又は骨表面の下となる請求項6に記載のアンカー。
【請求項8】
前記第1の面は凹みを備え、前記第2の面は前記第1の面の凹みに嵌合するように適合された突出部を備える請求項6に記載のアンカー。
【請求項9】
骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、前記第1の面がほぼ基端側を向き、前記第2の面がほぼ先端側を向いている請求項6に記載のアンカー。
【請求項10】
前記第1の面が前記アンカーベースの基端面であり、前記第2の面が前記アンカーベースに連結するように適合されたアンカートップの先端面である請求項9に記載のアンカー。
【請求項11】
第3の面と、該第3の面を向いた第4の面と、を更に備え、前記第3の面及び前記第4の面は、少なくとも2つの配置構成において相対的に位置されるように適合されており、相対的な配置構成の一方では、骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、前記第4の面が骨表面の上にあって、前記第3の面と前記第4の面との間に隙間が存在して、前記縫合糸が骨表面より上の前記第3の面と前記第4の面との間を自由に通るようにされ、また、もう一方の相対的な配置構成では、前記第3の面と前記第4の面との間に縫合糸が堅固に挟み込まれるように、前記第3の面と前記第4の面とが接近している請求項6に記載のアンカー。
【請求項12】
骨に前記アンカーベースが堅固に固定され、かつ骨表面より上の前記第1の面と前記第2の面との間に前記縫合糸が配置されるように前記第1の面と第2の面との間に隙間が存在する場合において、前記第2の面が骨表面の上に位置するように適合されている請求項6に記載のアンカー。
【請求項13】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、
前記軟組織の上に縫合糸を渡し、
アンカーを骨に挿入して、
前記挿入の後に、前記縫合糸の端部を前記アンカーの如何なる穴にも通すことなく、かつ結び目を作らずに、前記アンカーに前記縫合糸を固定する方法。
【請求項14】
前記固定において、前記縫合糸を縫合糸固定機構まで側方に移動させることを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記固定後に、前記アンカーが骨にそれ以上挿入されないようにした請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記挿入において、前記アンカーを骨にねじ込むことを含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記固定において、前記アンカーの2つ以上の面の間に前記縫合糸を挟み込むことを含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記固定の前に前記縫合糸を渡す請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記縫合糸の渡し、前記アンカーの挿入、及び前記縫合糸の固定を、関節鏡視下で行う請求項13に記載の方法。
【請求項20】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、
挿入前に第1のアンカーに対して堅固に固定されている縫合糸を備えた当該第1のアンカーを前記軟組織に挿通させ、
骨に前記第1のアンカーを挿入し、
前記軟組織の上に前記縫合糸を渡し、
前記縫合糸を渡した後に、前記縫合糸を第2のアンカーに対して堅固に固定する方法。
【請求項21】
前記軟組織に前記第1のアンカーを挿通させた後、骨に前記第1のアンカーを挿入する前において、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために、前記第1のアンカーを骨に対して側方に移動させることを更に含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記軟組織に前記第1のアンカーを挿通させる際に、前記第1のアンカーにより前記軟組織を直接突き通すことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
骨に前記第1のアンカーを挿入する際には、穴を穿孔することなく、前記第1のアンカーにより骨を直接突き通すことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
骨に前記第1のアンカーを挿入する際には、前記第1のアンカーにおける側方突出部を展開させるとともに、該側方突出部は、前記第1のアンカーが外れるのを防ぐように適合されている請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記縫合糸を渡す際には、前記第2のアンカーに前記縫合糸を結び付けることなく、前記軟組織の上に前記縫合糸を渡すことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記縫合糸を堅固に固定する際に、
前記縫合糸が結び付けられた第2のアンカーを骨に挿入し、
前記縫合糸に張力をかけ、
前記第2のアンカーに前記縫合糸を堅固に固定することをこの順序で含む請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記第2のアンカーを挿入するステップは、該アンカーが前記軟組織を貫通することなく、該アンカーを骨に直接挿入することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記縫合糸を堅固に固定する際に、
縫合糸が結び付けられていない第2のアンカーを骨に挿入し、
前記縫合糸に張力をかけ、
前記縫合糸を前記第2のアンカーに対して堅固に固定することをこの順序で含む請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記縫合糸を堅固に固定するステップは、結び目を作ることなく行われる請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記縫合糸を堅固に固定するステップは、前記第2のアンカーの如何なる穴にも前記縫合糸を通すことなく行われる請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記アンカーを挿入するステップ、前記縫合糸を渡すステップ、及び前記縫合糸を堅固に固定するステップを関節鏡視下で行う請求項20に記載の方法。
【請求項32】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、該軟組織が、骨表面に近い第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面と、を有し、前記方法は、
縫合糸の第1の部分を、前記軟組織の前記第2の面に挿入し、
前記縫合糸の第2の部分を、前記軟組織の前記第2の面の上に渡し、
縫合糸が結び付けられていない第1のアンカーを骨に挿入し、
前記縫合糸の前記第1の部分が、前記軟組織の前記第2の面から出ないという条件下において、挿入された前記第1のアンカーに対して前記縫合糸を堅固に固定することを含む方法。
【請求項33】
前記縫合糸の前記第1の部分が第2のアンカーに堅固に固定されるとともに、前記第2の面に前記第1の部分を挿入するステップは、前記第2のアンカーを前記第2の面に挿入することを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第2のアンカーを前記第2の面に挿入した後で、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために前記第2のアンカーを骨に対して側方に移動させ、その後、前記第2のアンカーを骨に挿入することを更に含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記縫合糸を堅固に固定するステップが、結び目を作ることなく行われる請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記縫合糸を堅固に固定するステップの前に、前記縫合糸に張力をかけることを更に含む請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記張力をかける際に、使用者が前記縫合糸を掴んで引っ張ることを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記縫合糸を引っ張る間中、前記縫合糸が前記第1のアンカーに接触している請求項37に記載の方法。
【請求項39】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、
予め縫合糸が結び付けられた第1のアンカーを前記軟組織に挿通させ、
前記第1のアンカーを骨に挿入し、
縫合糸が結び付けられていない第2のアンカーを骨に挿入し、
前記軟組織の上に前記縫合糸を渡し、
挿入された前記第2のアンカーに対して前記縫合糸を堅固に固定することを含む方法。
【請求項40】
前記軟組織に前記第1のアンカーを挿通させた後、骨に前記第1のアンカーを挿入する前において、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために、前記第1のアンカーを骨に対して側方に移動させることを更に含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のアンカーを骨に挿入した後で、予め結び付けられた前記縫合糸を前記第1のアンカーに対して堅固に固定することを更に含む請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のアンカーを前記軟組織に挿入する際に、前記第1のアンカーにおける側方突出部を展開させるとともに、該側方突出部は、前記第1のアンカーが外れるのを防ぐように適合されている請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記縫合糸を堅固に固定するステップが、結び目を作ることなく行われる請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記縫合糸を堅固に固定するステップの前に、前記縫合糸に張力をかけることを更に含む請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記張力をかける際に、使用者が前記縫合糸を掴んで引っ張ることを含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記縫合糸を引っ張る間中、前記縫合糸が前記第2のアンカーに接触している請求項45に記載の方法。
【請求項47】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、
第1、第2、及び第3のアンカーを骨に挿入し、
前記軟組織を超えて前記第1及び第2のアンカーに対して第1の縫合糸を堅固に固定し、
前記軟組織を超えて前記第1及び第3のアンカーに対して第2の縫合糸を堅固に固定することを含む方法。
【請求項48】
前記第1のアンカーは前記軟組織の下に配置され、前記第2及び第3のアンカーは前記軟組織の側方に配置される請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第1及び第2の縫合糸は、骨への挿入前に、前記第1のアンカーに対して堅固に固定される請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1のアンカーを挿入する際に、前記第1のアンカーにより前記軟組織に直接突き通して、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために前記第1のアンカーを骨に対して側方に移動させ、穴を穿孔することなく、前記第1のアンカーにより骨を直接突き通すことを含む請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記第1のアンカーを挿入する際に、前記第1のアンカーにおける側方突出部を展開させるとともに、前記側方突出部は、前記第1のアンカーが外れるのを防ぐように適合されている請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記第1のアンカーの挿入中に、前記第1及び第2の縫合糸が前記第2又は第3のアンカーに結び付けられていない請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のアンカーが前記軟組織の側方に配置され、前記第2及び第3のアンカーが前記軟組織の下に配置される請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記第1及び第2の縫合糸は、骨への挿入前に、前記第2及び第3のアンカーに対して堅固に固定される請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第2及び第3のアンカーを挿入する際に、前記第2及び第3のアンカーにより前記軟組織を直接突き通して、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために前記第2及び第3のアンカーを骨に対して側方に移動させて、穴を穿孔することなく、前記第2及び第3のアンカーにより骨を直接突き通すことを含む請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記第2及び第3のアンカーを挿入する際に、前記第2及び第3のアンカーにおける側方突出部を展開させるとともに、該側方突出部は、前記第2及び第3のアンカーが外れるのを防ぐように適合されている請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記第2及び第3のアンカーの挿入中に、前記第1及び第2の縫合糸が前記第1のアンカーに結び付けられていない請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の縫合糸を堅固に固定する前に前記第1の縫合糸に張力をかけ、
前記第2の縫合糸を堅固に固定する前に前記第2の縫合糸に独立して張力をかけることを更に含む請求項47に記載の方法。
【請求項59】
縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、
骨の中へ堅固に固定されるように適合され、第1の基端面を有するアンカーベースと、
アンカートップと、を備え、
前記アンカートップは、前記アンカーベースに連結される先端部、及び第1の先端面を有する第1の基端部を有し、前記アンカートップは少なくとも2つの配置構成において前記アンカーベースと連結するように適合されており、前記配置構成の一方では、骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、骨表面より上の前記第1の基端面と前記第1の先端面との間を縫合糸が自由に通るように、前記第1の先端面が骨表面の上に位置し、もう一方の配置構成では、縫合糸が前記第1の基端面と前記第1の先端面との間で堅固に挟み込まれるように、前記第1の先端面が前記第1の基端面に接近しているアンカー。
【請求項60】
前記アンカーベースは、前記アンカートップの前記先端部を受け入れるように適合された軸方向の孔を含む請求項59に記載のアンカー。
【請求項61】
前記軸方向の孔は側方突出部を有しており、前記アンカートップの前記先端部は、前記先端部が前記軸方向の孔に対して基端側に移動するのを阻止するために、前記側方突出部に係合するように適合された凹みを備える請求項60に記載のアンカー。
【請求項62】
前記第1の基端面は凹みを有し、前記第1の先端面は前記第1の基端面の凹みに嵌合するように適合された突出部を含む請求項59に記載のアンカー。
【請求項63】
前記アンカートップは、第2の先端面を有する第2の基端部を更に備えており、前記第1の基端部は第2の基端面を有し、前記第1の基端部及び第2の基端部は、少なくとも2つの配置構成において相対的に位置されるように適合されており、相対的な配置構成の一方では、骨表面より上の前記第2の基端面と第2の先端面との間を縫合糸が自由に通るように、前記第2の基端面と第2の先端面との間に隙間が存在し、もう一方の相対的な配置構成では、縫合糸が前記第2の基端面と第2の先端面との間で堅固に挟み込まれるように、前記第2の基端面と第2の先端面とが接近している請求項59に記載のアンカー。
【請求項64】
縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、
開放端を有する略中空の円筒であって、その壁の一部分には、当該円筒が応力を受けて変形して側方突出部を形成するために切り込みをもつようにされた円筒と、
前記開放端とは反対側で前記円筒に連結される尖った先端であって、骨を突き通すように適合された尖った先端と、
前記尖った先端に連結された縫合糸の受入部であって、縫合糸が該受入部に取り付けられて前記円筒を通って延び、前記開放端から出るように、前記した略中空の円筒内に配置される受入部と、
を備えたアンカー。
【請求項65】
前記側方突出部は、互いに向かい合った2つの突出部から構成される請求項64に記載のアンカー。
【請求項66】
前記先端に連結され、前記円筒を通って延びるとともに前記開放端から出る応力誘起部材を更に備え、前記応力誘起部材を基端側に前記円筒から引き抜くために力を加えた場合に、前記円筒が変形するように適合されている請求項64に記載のアンカー。
【請求項67】
前記応力誘起部材は、前記円筒の変形後に引き続き力を加えると前記先端から離脱するように適合されている請求項66に記載のアンカー。
【請求項68】
前記応力誘起部材がワイヤである請求項66に記載のアンカー。
【請求項69】
前記縫合糸の受入部が小穴を含む請求項64に記載のアンカー。
【請求項70】
前記縫合糸が前記小穴を通る場合に、前記縫合糸が前記受入部と前記略中空の円筒との間に堅固に挟み込まれるように、前記縫合糸の受入部はその寸法が設定されている、請求項69に記載のアンカー。
【請求項1】
縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、
骨の中へ堅固に固定されるように適合されたアンカーベースと、
前記アンカーベースに連結されるとともに、前記アンカーベースに対して基端側に配置される縫合糸固定機構と、を有し、該縫合糸固定機構が、当該機構へと側方に移動される縫合糸を受け入れて固定するように適合されているアンカー。
【請求項2】
前記アンカーベースは、前記アンカーベースが骨から外れることに抵抗するように適合された側方突出部を備える請求項1に記載のアンカー。
【請求項3】
前記側方突出部は、前記アンカーベースを骨にねじ込めるように適合されたねじ山を含む請求項2に記載のアンカー。
【請求項4】
前記縫合糸固定機構は2つ以上の面を有し、当該2つの面をともに押し付け合うことによって前記縫合糸を固定するように構成されている請求項1に記載のアンカー。
【請求項5】
前記縫合糸が、挟み込まれる前に前記2つの面の間で側方へ自由に移動し得るように、前記2つの面が配置されている請求項4に記載のアンカー。
【請求項6】
縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、
骨の中へ堅固に固定されるように適合されたアンカーベースと、
前記アンカーベースに連結されて、前記アンカーベースに対して基端側に位置する第1の面と、
前記アンカーベースに連結されて、前記アンカーベースに対して基端側に位置する第2の面と、を備え、
前記第1の面及び前記第2の面は、少なくとも2つの配置構成において相対的に位置されるように適合されており、前記配置構成の一方では、前記第1の面と前記第2の面との間に隙間が存在して、該隙間へと前記縫合糸を側方に移動させることによって、前記縫合糸が前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるようにし、もう一方の配置構成では、前記第1の面と前記第2の面との間に前記縫合糸が堅固に挟み込まれるように、前記第1の面と前記第2の面とが接近しているアンカー。
【請求項7】
骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、前記第1の面が骨表面と同一面とされるか又は骨表面の下となる請求項6に記載のアンカー。
【請求項8】
前記第1の面は凹みを備え、前記第2の面は前記第1の面の凹みに嵌合するように適合された突出部を備える請求項6に記載のアンカー。
【請求項9】
骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、前記第1の面がほぼ基端側を向き、前記第2の面がほぼ先端側を向いている請求項6に記載のアンカー。
【請求項10】
前記第1の面が前記アンカーベースの基端面であり、前記第2の面が前記アンカーベースに連結するように適合されたアンカートップの先端面である請求項9に記載のアンカー。
【請求項11】
第3の面と、該第3の面を向いた第4の面と、を更に備え、前記第3の面及び前記第4の面は、少なくとも2つの配置構成において相対的に位置されるように適合されており、相対的な配置構成の一方では、骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、前記第4の面が骨表面の上にあって、前記第3の面と前記第4の面との間に隙間が存在して、前記縫合糸が骨表面より上の前記第3の面と前記第4の面との間を自由に通るようにされ、また、もう一方の相対的な配置構成では、前記第3の面と前記第4の面との間に縫合糸が堅固に挟み込まれるように、前記第3の面と前記第4の面とが接近している請求項6に記載のアンカー。
【請求項12】
骨に前記アンカーベースが堅固に固定され、かつ骨表面より上の前記第1の面と前記第2の面との間に前記縫合糸が配置されるように前記第1の面と第2の面との間に隙間が存在する場合において、前記第2の面が骨表面の上に位置するように適合されている請求項6に記載のアンカー。
【請求項13】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、
前記軟組織の上に縫合糸を渡し、
アンカーを骨に挿入して、
前記挿入の後に、前記縫合糸の端部を前記アンカーの如何なる穴にも通すことなく、かつ結び目を作らずに、前記アンカーに前記縫合糸を固定する方法。
【請求項14】
前記固定において、前記縫合糸を縫合糸固定機構まで側方に移動させることを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記固定後に、前記アンカーが骨にそれ以上挿入されないようにした請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記挿入において、前記アンカーを骨にねじ込むことを含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記固定において、前記アンカーの2つ以上の面の間に前記縫合糸を挟み込むことを含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記固定の前に前記縫合糸を渡す請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記縫合糸の渡し、前記アンカーの挿入、及び前記縫合糸の固定を、関節鏡視下で行う請求項13に記載の方法。
【請求項20】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、
挿入前に第1のアンカーに対して堅固に固定されている縫合糸を備えた当該第1のアンカーを前記軟組織に挿通させ、
骨に前記第1のアンカーを挿入し、
前記軟組織の上に前記縫合糸を渡し、
前記縫合糸を渡した後に、前記縫合糸を第2のアンカーに対して堅固に固定する方法。
【請求項21】
前記軟組織に前記第1のアンカーを挿通させた後、骨に前記第1のアンカーを挿入する前において、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために、前記第1のアンカーを骨に対して側方に移動させることを更に含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記軟組織に前記第1のアンカーを挿通させる際に、前記第1のアンカーにより前記軟組織を直接突き通すことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
骨に前記第1のアンカーを挿入する際には、穴を穿孔することなく、前記第1のアンカーにより骨を直接突き通すことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
骨に前記第1のアンカーを挿入する際には、前記第1のアンカーにおける側方突出部を展開させるとともに、該側方突出部は、前記第1のアンカーが外れるのを防ぐように適合されている請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記縫合糸を渡す際には、前記第2のアンカーに前記縫合糸を結び付けることなく、前記軟組織の上に前記縫合糸を渡すことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記縫合糸を堅固に固定する際に、
前記縫合糸が結び付けられた第2のアンカーを骨に挿入し、
前記縫合糸に張力をかけ、
前記第2のアンカーに前記縫合糸を堅固に固定することをこの順序で含む請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記第2のアンカーを挿入するステップは、該アンカーが前記軟組織を貫通することなく、該アンカーを骨に直接挿入することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記縫合糸を堅固に固定する際に、
縫合糸が結び付けられていない第2のアンカーを骨に挿入し、
前記縫合糸に張力をかけ、
前記縫合糸を前記第2のアンカーに対して堅固に固定することをこの順序で含む請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記縫合糸を堅固に固定するステップは、結び目を作ることなく行われる請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記縫合糸を堅固に固定するステップは、前記第2のアンカーの如何なる穴にも前記縫合糸を通すことなく行われる請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記アンカーを挿入するステップ、前記縫合糸を渡すステップ、及び前記縫合糸を堅固に固定するステップを関節鏡視下で行う請求項20に記載の方法。
【請求項32】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、該軟組織が、骨表面に近い第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面と、を有し、前記方法は、
縫合糸の第1の部分を、前記軟組織の前記第2の面に挿入し、
前記縫合糸の第2の部分を、前記軟組織の前記第2の面の上に渡し、
縫合糸が結び付けられていない第1のアンカーを骨に挿入し、
前記縫合糸の前記第1の部分が、前記軟組織の前記第2の面から出ないという条件下において、挿入された前記第1のアンカーに対して前記縫合糸を堅固に固定することを含む方法。
【請求項33】
前記縫合糸の前記第1の部分が第2のアンカーに堅固に固定されるとともに、前記第2の面に前記第1の部分を挿入するステップは、前記第2のアンカーを前記第2の面に挿入することを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第2のアンカーを前記第2の面に挿入した後で、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために前記第2のアンカーを骨に対して側方に移動させ、その後、前記第2のアンカーを骨に挿入することを更に含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記縫合糸を堅固に固定するステップが、結び目を作ることなく行われる請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記縫合糸を堅固に固定するステップの前に、前記縫合糸に張力をかけることを更に含む請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記張力をかける際に、使用者が前記縫合糸を掴んで引っ張ることを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記縫合糸を引っ張る間中、前記縫合糸が前記第1のアンカーに接触している請求項37に記載の方法。
【請求項39】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、
予め縫合糸が結び付けられた第1のアンカーを前記軟組織に挿通させ、
前記第1のアンカーを骨に挿入し、
縫合糸が結び付けられていない第2のアンカーを骨に挿入し、
前記軟組織の上に前記縫合糸を渡し、
挿入された前記第2のアンカーに対して前記縫合糸を堅固に固定することを含む方法。
【請求項40】
前記軟組織に前記第1のアンカーを挿通させた後、骨に前記第1のアンカーを挿入する前において、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために、前記第1のアンカーを骨に対して側方に移動させることを更に含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のアンカーを骨に挿入した後で、予め結び付けられた前記縫合糸を前記第1のアンカーに対して堅固に固定することを更に含む請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のアンカーを前記軟組織に挿入する際に、前記第1のアンカーにおける側方突出部を展開させるとともに、該側方突出部は、前記第1のアンカーが外れるのを防ぐように適合されている請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記縫合糸を堅固に固定するステップが、結び目を作ることなく行われる請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記縫合糸を堅固に固定するステップの前に、前記縫合糸に張力をかけることを更に含む請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記張力をかける際に、使用者が前記縫合糸を掴んで引っ張ることを含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記縫合糸を引っ張る間中、前記縫合糸が前記第2のアンカーに接触している請求項45に記載の方法。
【請求項47】
軟組織を骨に付着させるための方法であって、
第1、第2、及び第3のアンカーを骨に挿入し、
前記軟組織を超えて前記第1及び第2のアンカーに対して第1の縫合糸を堅固に固定し、
前記軟組織を超えて前記第1及び第3のアンカーに対して第2の縫合糸を堅固に固定することを含む方法。
【請求項48】
前記第1のアンカーは前記軟組織の下に配置され、前記第2及び第3のアンカーは前記軟組織の側方に配置される請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第1及び第2の縫合糸は、骨への挿入前に、前記第1のアンカーに対して堅固に固定される請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1のアンカーを挿入する際に、前記第1のアンカーにより前記軟組織に直接突き通して、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために前記第1のアンカーを骨に対して側方に移動させ、穴を穿孔することなく、前記第1のアンカーにより骨を直接突き通すことを含む請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記第1のアンカーを挿入する際に、前記第1のアンカーにおける側方突出部を展開させるとともに、前記側方突出部は、前記第1のアンカーが外れるのを防ぐように適合されている請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記第1のアンカーの挿入中に、前記第1及び第2の縫合糸が前記第2又は第3のアンカーに結び付けられていない請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のアンカーが前記軟組織の側方に配置され、前記第2及び第3のアンカーが前記軟組織の下に配置される請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記第1及び第2の縫合糸は、骨への挿入前に、前記第2及び第3のアンカーに対して堅固に固定される請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第2及び第3のアンカーを挿入する際に、前記第2及び第3のアンカーにより前記軟組織を直接突き通して、前記軟組織を骨に対して側方に移動させるために前記第2及び第3のアンカーを骨に対して側方に移動させて、穴を穿孔することなく、前記第2及び第3のアンカーにより骨を直接突き通すことを含む請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記第2及び第3のアンカーを挿入する際に、前記第2及び第3のアンカーにおける側方突出部を展開させるとともに、該側方突出部は、前記第2及び第3のアンカーが外れるのを防ぐように適合されている請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記第2及び第3のアンカーの挿入中に、前記第1及び第2の縫合糸が前記第1のアンカーに結び付けられていない請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の縫合糸を堅固に固定する前に前記第1の縫合糸に張力をかけ、
前記第2の縫合糸を堅固に固定する前に前記第2の縫合糸に独立して張力をかけることを更に含む請求項47に記載の方法。
【請求項59】
縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、
骨の中へ堅固に固定されるように適合され、第1の基端面を有するアンカーベースと、
アンカートップと、を備え、
前記アンカートップは、前記アンカーベースに連結される先端部、及び第1の先端面を有する第1の基端部を有し、前記アンカートップは少なくとも2つの配置構成において前記アンカーベースと連結するように適合されており、前記配置構成の一方では、骨に前記アンカーベースが堅固に固定される場合に、骨表面より上の前記第1の基端面と前記第1の先端面との間を縫合糸が自由に通るように、前記第1の先端面が骨表面の上に位置し、もう一方の配置構成では、縫合糸が前記第1の基端面と前記第1の先端面との間で堅固に挟み込まれるように、前記第1の先端面が前記第1の基端面に接近しているアンカー。
【請求項60】
前記アンカーベースは、前記アンカートップの前記先端部を受け入れるように適合された軸方向の孔を含む請求項59に記載のアンカー。
【請求項61】
前記軸方向の孔は側方突出部を有しており、前記アンカートップの前記先端部は、前記先端部が前記軸方向の孔に対して基端側に移動するのを阻止するために、前記側方突出部に係合するように適合された凹みを備える請求項60に記載のアンカー。
【請求項62】
前記第1の基端面は凹みを有し、前記第1の先端面は前記第1の基端面の凹みに嵌合するように適合された突出部を含む請求項59に記載のアンカー。
【請求項63】
前記アンカートップは、第2の先端面を有する第2の基端部を更に備えており、前記第1の基端部は第2の基端面を有し、前記第1の基端部及び第2の基端部は、少なくとも2つの配置構成において相対的に位置されるように適合されており、相対的な配置構成の一方では、骨表面より上の前記第2の基端面と第2の先端面との間を縫合糸が自由に通るように、前記第2の基端面と第2の先端面との間に隙間が存在し、もう一方の相対的な配置構成では、縫合糸が前記第2の基端面と第2の先端面との間で堅固に挟み込まれるように、前記第2の基端面と第2の先端面とが接近している請求項59に記載のアンカー。
【請求項64】
縫合糸を骨に固定するためのアンカーであって、
開放端を有する略中空の円筒であって、その壁の一部分には、当該円筒が応力を受けて変形して側方突出部を形成するために切り込みをもつようにされた円筒と、
前記開放端とは反対側で前記円筒に連結される尖った先端であって、骨を突き通すように適合された尖った先端と、
前記尖った先端に連結された縫合糸の受入部であって、縫合糸が該受入部に取り付けられて前記円筒を通って延び、前記開放端から出るように、前記した略中空の円筒内に配置される受入部と、
を備えたアンカー。
【請求項65】
前記側方突出部は、互いに向かい合った2つの突出部から構成される請求項64に記載のアンカー。
【請求項66】
前記先端に連結され、前記円筒を通って延びるとともに前記開放端から出る応力誘起部材を更に備え、前記応力誘起部材を基端側に前記円筒から引き抜くために力を加えた場合に、前記円筒が変形するように適合されている請求項64に記載のアンカー。
【請求項67】
前記応力誘起部材は、前記円筒の変形後に引き続き力を加えると前記先端から離脱するように適合されている請求項66に記載のアンカー。
【請求項68】
前記応力誘起部材がワイヤである請求項66に記載のアンカー。
【請求項69】
前記縫合糸の受入部が小穴を含む請求項64に記載のアンカー。
【請求項70】
前記縫合糸が前記小穴を通る場合に、前記縫合糸が前記受入部と前記略中空の円筒との間に堅固に挟み込まれるように、前記縫合糸の受入部はその寸法が設定されている、請求項69に記載のアンカー。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【公表番号】特表2008−501428(P2008−501428A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515586(P2007−515586)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019454
【国際公開番号】WO2006/060035
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(307025207)ケイエフエックス メディカル コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019454
【国際公開番号】WO2006/060035
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(307025207)ケイエフエックス メディカル コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
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