説明

転がり軸受

【課題】封入された潤滑剤の多くが潤滑に寄与する状態が長期間にわたって維持され長寿命な転がり軸受を提供する。
【解決手段】深溝玉軸受は、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体3と、内輪1及び外輪2の間に転動体3を転動自在に保持する保持器4と、非接触形の密封装置5,5と、を備えている。内輪1と外輪2と密封装置5,5とで囲まれた軸受内部空間内には、両軌道面1a,2aと転動体3の転動面3aとの潤滑を行う潤滑剤Lが配されている。内輪1,外輪2,保持器4,及び密封装置5の各軸受部品の表面のうち軸受内部空間に面する部分には、撥油性被膜が被覆されており、優れた撥油性が付与されている。この撥油性被膜は、軸受部品を構成する母材と化学結合した状態で被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受は、内部に封入された潤滑油,グリース等の潤滑剤により潤滑されるが、封入された潤滑剤の全てが軌道面、転動面等の潤滑が必要な部位に供給されるとは限らず、封入された潤滑剤の一部しか潤滑に寄与しない場合があり、軸受寿命が短くなる一因となっていた。
そこで、封入された潤滑剤の流動性を向上させることにより、潤滑が必要な部位に多くの潤滑剤を供給し潤滑に寄与させて、転がり軸受を長寿命化する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
特許文献1に開示の転がり軸受は、その表面のうち潤滑剤と接触する軸受内部表面に撥水・撥油性被膜が形成されているため、潤滑剤は撥水・撥油性被膜上から弾かれて流動性が向上し、潤滑が必要な部位に供給される。よって、潤滑に寄与する潤滑剤の量が増加するため、転がり軸受が長寿命となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−255492号公報
【特許文献2】特開2010−121668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術においては、撥水・撥油性被膜は、軸受内部表面に撥水・撥油剤を塗布し乾燥することにより形成されているため、撥水・撥油性被膜が十分な耐久性を有しているとは言えなかった。そのため、転がり軸受を使用するに従って、撥水・撥油性被膜が徐々に損傷、剥離して、潤滑剤の流動性を向上させる効果が長期間にわたって維持されないおそれがあった。その結果、潤滑が必要な部位に供給される潤滑剤の量が徐々に減少していき、寿命に悪影響が及ぶおそれがあった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、封入された潤滑剤の多くが潤滑に寄与する状態が長期間にわたって維持され長寿命な転がり軸受を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明の態様は次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係る転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪の軌道面と前記外輪の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪と前記外輪との間に形成される軸受内部空間内に配され前記両軌道面と前記転動体との潤滑を行う潤滑剤と、を備え、前記内輪及び前記外輪の表面のうち前記軸受内部空間に面する部分の少なくとも一部に、撥油性被膜が被覆されており、この撥油性被膜は前記内輪又は前記外輪の母材と化学結合した状態で被覆されていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の他の態様に係る転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪の軌道面と前記外輪の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪と前記外輪との間に前記転動体を転動自在に保持する保持器と、前記内輪と前記外輪とのうち一方の軌道輪に取り付けられ他方の軌道輪に滑り接触又は隙間を空けて対向する密封装置と、前記内輪と前記外輪との間に形成される軸受内部空間内に配され前記両軌道面と前記転動体との潤滑を行う潤滑剤と、を備え、前記内輪、前記外輪、前記保持器、及び前記密封装置の表面のうち前記軸受内部空間に面する部分の少なくとも一部に、撥油性被膜が被覆されており、この撥油性被膜は前記内輪、前記外輪、前記保持器、又は前記密封装置の母材と化学結合した状態で被覆されていることを特徴とする。
【0007】
これらの転がり軸受においては、撥油性被膜は、金属酸化物からなり前記母材と化学結合している中間層と、前記中間層の上に積層された撥油層との2層構造を有していることが好ましい。
さらに、前記中間層は金属酸化物粒子を含有しており、それにより前記中間層の表面に凹凸が形成されていることが好ましい。
【0008】
さらに、前記中間層は、金属アルコキシドの加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであり、前記撥油層は、シリコンとフッ素化炭化水素基とを備えるフッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであることが好ましい。
さらに、前記金属アルコキシドの加水分解反応は、加熱された前記母材に金属アルコキシドを接触させることにより行われることが好ましい。
さらに、前記金属アルコキシド及び前記フッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応は、pHの制御によって促進されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の転がり軸受においては、潤滑剤を弾いて流動性を向上させ、潤滑に寄与する潤滑剤の量を増加させる撥油性被膜が、母材と化学結合した状態で被覆されているので、撥油性被膜の耐久性が優れている。よって、封入された潤滑剤の多くが潤滑に寄与する状態が長期間にわたって維持されるので、本発明の転がり軸受は長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る転がり軸受の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図2】表面処理により形成された撥油性被膜の中間層及び撥油層を説明する概念図である。
【図3】焼付き耐久試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る転がり軸受の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る転がり軸受の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。また、図2は、表面処理が施されて形成された撥油性被膜の中間層及び撥油層を説明する概念図である。
図1に示す深溝玉軸受は、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体(玉)3と、内輪1及び外輪2の間に転動体3を転動自在に保持する保持器4と、非接触形の密封装置5,5と、を備えている。そして、内輪1と外輪2と密封装置5,5とで囲まれた軸受内部空間内には、両軌道面1a,2aと転動体3の転動面3aとの潤滑を行う潤滑剤L(例えば潤滑油,グリース)が配されている。
【0012】
密封装置5は略環状の部材であり、その外端部5aが外輪2の内周面の軸方向両端部に取り付けられている。図1においては、外輪2の内周面の軸方向両端部に形成された溝2b(凹部)に、密封装置5の外端部5aが加締められて嵌入されている。そして、密封装置5の内端部5bが、内輪1の外周面に隙間C(ラビリンス隙間)を空けて対向している。内輪1の外周面のうち内端部5bに対向する部分である対向面1bは、内端部5bと隙間Cを介して対向することによりラビリンスを形成している。
【0013】
なお、外輪2が本発明の構成要件である「一方の軌道輪(密封装置が取り付けられた軌道輪)」に相当し、内輪1が本発明の構成要件である「他方の軌道輪(密封装置が滑り接触又は隙間を空けて対向する軌道輪)」に相当する。もちろん、密封装置5の内端部5bが内輪1に取り付けられ、外端部5aが外輪2の内周面に隙間Cを空けて対向している構成としても差し支えない。また、密封装置5は、外輪2の内周面の軸方向片側端部のみに取り付けられていてもよい。さらに、密封装置5は、内輪1と外輪2とのうち一方の軌道輪に取り付けられ他方の軌道輪に滑り接触する接触形の密封装置(例えばゴムシール)であってもよい。
【0014】
内輪1,外輪2,及び転動体3は、転がり軸受の軌道輪や転動体の素材として一般的に採用される鉄鋼材料(例えばステンレス鋼,軸受鋼)で構成されている。ただし、他種の金属や樹脂やセラミックで構成することもできる。また、密封装置5は、鋼等の金属材料で構成されており、例としては鋼板製のシールドがあげられる。ただし、ゴム,プラスチック等の高分子材料で構成されていてもよく、例としてはゴムシール,プラスチックシールがあげられる。また、金属製の芯金を有するタイプの高分子材料製密封装置でもよい。さらに、保持器4は、転がり軸受の保持器の素材として一般的に採用される樹脂材料(例えばポリアミド,ポリフェニレンスルフィド)又は金属材料(例えば鋼,黄銅,アルミニウム合金)で構成されている。
【0015】
このような構成の深溝玉軸受において、内輪1,外輪2,保持器4,及び密封装置5の各軸受部品の表面のうち軸受内部空間に面する部分には、後述する表面処理が施されて撥油性被膜が被覆されており、優れた撥油性が付与されている。しかも、この撥油性被膜は、前記軸受部品を構成する母材と化学結合した状態で被覆されている。
軸受内部空間内に封入されている潤滑剤Lは、撥油性被膜から弾かれて流動性が向上し、撥油性被膜上に留まらず活発に移動する。そのため、撥油性被膜が形成されていない部分、すなわち軌道面1a,2aや転動体3の転動面3a等の潤滑が必要な部位に、潤滑剤Lが継続的に供給される。
【0016】
よって、潤滑に寄与する潤滑剤Lの量が増加するため、本実施形態の深溝玉軸受は長寿命である。また、軸受内部空間内に封入する潤滑剤Lの量を、通常よりも削減することも可能となる。さらに、本実施形態の深溝玉軸受においては、撥油性被膜が軸受部品の母材と化学結合した状態で被覆されているので、撥油性被膜の耐久性が優れている。よって、封入された潤滑剤Lの多くが潤滑に寄与する状態が長期間にわたって維持されるので、本実施形態の転がり軸受は極めて長寿命である。
【0017】
なお、軸受内部空間に面する部分とは、具体的には、内輪1の外周面(ただし軌道面1aは除く)、外輪2の内周面(ただし軌道面2aは除く)、保持器4の表面(ただし転動体3と接触する部分は除く)、及び密封装置5の内側面(すなわち、転動体3と対向する側の面)の4つの面である。撥油性被膜を被覆した効果を十分に得るためには、これら各面の全体部分(軌道面1a,2a等は除く)に撥油性被膜を被覆することが好ましいが、各面の一部分に撥油性被膜を被覆しても効果を得ることができる。また、これら4つの面の全てに撥油性被膜を被覆することが好ましいが、これら4つの面のうち1つ〜3つの面に撥油性被膜を被覆しても効果を得ることができる。
【0018】
また、密封装置5の内端部5b、密封装置5の外端部5a、内輪1の対向面1b、及び外輪2の溝2bの内面に撥油性被膜が形成されていれば、内輪1と密封装置5との間の隙間Cの周辺部分(内端部5b及び対向面1b)に撥油性が付与されるため、潤滑剤Lが弾かれて、隙間Cからの潤滑剤Lの漏出が生じにくい。また、密封装置5と外輪2との固定部分(例えば、外端部5aの一部分と溝2bの内面との間に形成されたカシメ部隙間)からも潤滑剤Lの漏出が生じる場合があるが、外端部5aと溝2bの内面にも撥油性被膜が形成されて撥油性が付与されていれば、潤滑剤Lが弾かれて、前記固定部分からの潤滑剤Lの漏出が生じにくい。潤滑剤Lの漏出が生じにくいため、深溝玉軸受は潤滑性に優れ寿命低下が生じにくい。
【0019】
そして、撥油性被膜の撥油性は優れているので、潤滑剤Lが、粘性の高いグリースである場合のみならず、粘性の低い潤滑油である場合も、漏出が生じにくい。しかも、潤滑油の軸受内部空間内への封入量が多い場合(オイルプレーティング潤滑において使用される程度の封入量よりも多い場合)、軸受が高速回転で使用される場合、軸受が高温下で使用される場合、軸受の温度が変化する場合(例えば温度が上昇する場合)など、潤滑剤Lの漏出が極めて生じやすい条件であっても、潤滑剤Lの漏出を十分に防止することが可能である。
【0020】
なお、密封装置5の内端部5b、密封装置5の外端部5a、内輪1の対向面1b、及び外輪2の溝2bの内面のうち1箇所に撥油性被膜が形成されていれば、潤滑剤Lの漏出が生じにくいという効果が奏されるが、奏される効果の高さを考慮すれば、前記4箇所中の複数箇所に撥油性被膜が形成されていることが好ましく、前記4箇所全てに撥油性被膜が形成されていることが最も好ましい。
【0021】
この撥油性被膜は、金属酸化物からなり前記母材と化学結合している中間層と、この中間層の上に積層された撥油層との2層構造を有していることが好ましい。また、中間層は金属酸化物粒子を含有しており、それにより中間層の表面に凹凸が形成されていることが好ましい。中間層の表面が凹凸状であると、中間層の表面積率(表面が平滑面である場合の表面積に対する比率)が大きくなる。そうすると、中間層の上に積層される撥油層の表面積率も大きくなるとともに、高密度な撥油層が形成されることとなるので、撥油層の撥油性が高まるとともに、撥油層が中間層に強固に結合する。
【0022】
さらに、中間層は、金属アルコキシドの加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであることが好ましく、撥油層は、シリコンとフッ素化炭化水素基とを備えるフッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであることが好ましい。このような撥油性被膜は、油を弾く撥油性とともに水を弾く撥水性も有するため、隙間Cから軸受内部空間内への水の侵入も抑制される。
【0023】
このとき、金属アルコキシドの加水分解反応は、加熱されて高温の前記母材に金属アルコキシドを接触させることにより行われることが好ましい。そうすれば、金属アルコキシドの加水分解反応が高温下で進行することとなるので、同反応が加速されて、金属アルコキシドと母材との反応点が増加する。その結果、生成する中間層がより強固で緻密になるとともに、中間層と母材との結合がより強固となる。また、金属アルコキシド及びフッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応は、pHの制御によって促進されていることが好ましい。
【0024】
ここで、前記表面処理の一例について、図2を参照しながら説明する。この例の表面処理は、軸受部品10(内輪1,外輪2,保持器4,及び密封装置5)の表面に優れた撥水性及び撥油性を付与する撥水撥油処理であって、下記の2つの工程からなる。
まず、第一工程は、2種の溶液を順次接触させることにより、軸受部品10の表面に中間層20を形成する工程である。
すなわち、シリコン,チタン,及びアルミニウムのうち少なくとも1種の金属と炭素数が1個以上6個以下のアルコキシ基とを備える金属アルコキシドと、水と、炭素数が1個以上6個以下のアルコールと、平均粒径が1nm以上200nm以下の金属酸化物粒子と、を含有し且つpHが6以下である第一の溶液を軸受部品10に接触させて、第一の溶液の溶質及び固形分を軸受部品10の表面に付着させる。
【0025】
このとき、加熱された軸受部品10に第一の溶液を接触させることが好ましい。そうすれば、前述したように、生成する中間層20がより強固で緻密になるとともに、中間層20と軸受部品10との結合がより強固となる。軸受部品10は、80℃以上100℃以下に加熱することが好ましい。80℃未満であると、第一の溶液の揮発成分の揮発に時間を要し、軸受部品10の表面から固形分が流出してしまうおそれがある。一方、100℃超過であると、金属アルコキシドの加水分解反応が十分に進行する前に第一の溶液の揮発成分が揮発してしまうため、金属アルコキシドと軸受部品10との反応性が低下して、中間層20と軸受部品10との化学結合が不十分となるおそれがある。その結果、撥油性被膜が軸受部品10から脱落してしまうおそれがある。
【0026】
次に、第一の溶液を接触させた軸受部品10に、pHが11以上13以下である第二の溶液をさらに接触させると、脱水縮合反応が生じて、前記金属の酸化物(すなわち、シリコン,チタン,及びアルミニウムのうち少なくとも1種の金属の酸化物)からなる中間層20が軸受部品10の表面に対して化学結合された状態で形成する。
この化学結合は、軸受部材10の表面に存在する水酸基を介して行われる。よって、軸受部品10が金属製である場合(すなわち、母材が金属である場合)は問題ないが、軸受部品10が高分子材料製である場合(すなわち、母材が高分子材料である場合)は、軸受部品10の表面が疎水性であり、表面に存在する水酸基が少ないある場合があるので、このような軸受部品10に対しては、第一工程の前に、軸受部材10の表面に親水性を付与する親水化処理を施して、水酸基の数を増加させることが好ましい。親水化処理の種類は特に限定されるものではないが、例えば、プラズマ処理,グロー放電,コロナ放電,紫外線照射等により表面に水酸基を形成する処理があげられる。
【0027】
次に、第二工程は、軸受部品10の表面に形成された中間層20に2種の溶液を順次接触させることにより、中間層20の上に撥油層30を形成する工程である。
すなわち、シリコン,チタン,及びアルミニウムのうち少なくとも1種の金属とフッ素とを備えるカップリング剤と、水と、炭素数が1個以上6個以下のアルコールと、を含有し且つpHが6以下である第三の溶液を、中間層20に接触させた上、pHが11以上13以下である第四の溶液をさらに接触させると、中間層20とカップリング剤との反応が生じて、中間層20の上に撥油層30が形成する。
【0028】
第一工程において、第一の溶液のpHを6以下とすることにより、金属アルコキシドの加水分解が促進される。また、第二の溶液のpHを11以上13以下とすることにより、金属アルコキシドの前記加水分解により生じた水酸基(OH基)と、軸受部品10の表面に存在する水酸基(OH基)との脱水縮合反応が促進される。その結果、中間層20は、軸受部品10の表面に対して化学的に強固に結合された状態で形成される。
【0029】
さらに、第一工程においては、中間層20が軸受部品10の表面に形成する際に、第一の溶液に含有されている金属酸化物粒子が軸受部品10の表面に結合するため、高密度な中間層20が形成される。また、金属酸化物粒子に起因して、中間層20の表面が凹凸状となるため、中間層20の表面積率(表面が平滑面である場合の表面積に対する比率)が大きくなる。そうすると、第二工程で積層される撥油層30の表面積率も大きくなるとともに、高密度な撥油層30が形成されることとなるので、撥油層30の撥水性及び撥油性が高まるとともに、撥油層30が中間層20に強固に結合する。なお、このような効果を得るためには、前記表面積率は1.1以上であることが好ましい。
【0030】
金属アルコキシドの種類は、アルコキシ基の炭素数が1個以上6個以下のものであれば特に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,テトラメトキシチタネート,テトラエトキシチタネート,テトラプロポキシチタネート,テトラブトキシチタネート,トリメトキシアルミネート,トリエトキシアルミネート,トリプロポキシアルミネートがあげられる。
【0031】
また、金属アルコキシドは、上記のようなアルコキシ基のみを備えるものに限らず、アルコキシ基とアルキル基又はハロゲン基とを備えるものを用いてもよい。例えば、上記の各種金属アルコキシドが備える複数のアルコキシ基のうち1〜3個(金属がアルミニウムの場合は1〜2個)が、炭素数が1個以上6個以下のアルキル基(例えばメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基)やハロゲン基(例えばフッ素,塩素,臭素,ヨウ素)に置き換わったものを用いてもよい。
【0032】
具体的には、モノメチルトリメトキシ金属化合物,モノメチルトリエトキシ金属化合物,モノエチルトリメトキシ金属化合物,モノエチルトリエトキシ金属化合物等のモノアルキルトリアルコキシ金属化合物があげられる。また、ジメチルジメトキシ金属化合物,ジメチルジエトキシ金属化合物,ジエチルジメトキシ金属化合物,ジエチルジエトキシ金属化合物等のジアルキルジアルコキシ金属化合物があげられる。さらに、トリメチルメトキシ金属化合物,トリメチルエトキシ金属化合物,トリエチルメトキシ金属化合物,トリエチルエトキシ金属化合物等のトリアルキルアルコキシ金属化合物があげられる。さらに、モノハロトリアルコキシ金属化合物,ジハロジアルコキシ金属化合物,トリハロモノアルコキシ金属化合物があげられる。
【0033】
さらに、金属アルコキシドの代わりに金属のハロゲン化合物を用いることも可能である。すなわち、シリコン,チタン,アルミニウムのフッ化物,塩化物,臭化物,ヨウ化物である。具体例としては、テトラクロロシランがあげられる。
これらの金属アルコキシドや金属のハロゲン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
【0034】
さらに、第一の溶液には、炭素数が1個以上6個以下の低級アルコールを使用するが、低級アルコールを含有することにより金属アルコキシドの溶解性が高められ、安定した溶液が得られる。低級アルコールの例としては、メタノール,エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,ブタノール,ヘキサノール,シクロヘキサノールがあげられるが、エタノールがより好ましい。
【0035】
さらに、金属酸化物粒子の種類は特に限定されるものではなく、シリカ,チタニア,アルミナの他、マグネシア,酸化カルシウム,酸化亜鉛等の微粒子を使用することができる。ただし、金属酸化物粒子の金属種は、金属アルコキシドや金属のハロゲン化合物が備える金属の種類と同一であることが好ましい。すなわち、金属酸化物粒子としては、シリカ,チタニア,アルミナが好ましい。
【0036】
金属酸化物粒子の平均粒径(平均一次粒径)は、1nm以上200nm以下である必要がある。1nm未満であると、前述の表面積率を大きくする効果が小さくなり、200nm超過であると、金属酸化物粒子が軸受部品10の表面から脱落しやすくなる。このような不都合がより生じにくくするためには、金属酸化物粒子の平均粒径は2nm以上100nm以下であることが好ましく、2nm以上80nm以下であることがより好ましく、10nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。
【0037】
また、第一の溶液中の金属酸化物粒子の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満であると、高密度な中間層20が形成されにくくなり、5質量%超過であると、軸受部品10の表面に金属酸化物粒子が過度に重なった状態で堆積することとなり、それに伴って金属酸化物粒子が軸受部品10の表面から脱落しやすくなる。
【0038】
金属酸化物粒子の形状は特に限定されるものではなく、球形,矩形,扁平形,繊維状,ウィスカー状等のものを問題なく使用することができる。例えば、繊維状のものであれば、繊維長が1nm以上200nm以下のものを使用するとよい。また、異なる形状の複数種の金属酸化物粒子を混合して用いることもできる。さらに、金属酸化物粒子は多孔質であってもよい。
【0039】
第一の溶液の組成の一例を示すと、1質量%以上10質量%以下の金属アルコキシドと、1質量%以上20質量%以下の水と、30質量%以上95質量%以下のアルコールと、0.1質量%以上5質量%以下の金属酸化物粒子とを混合し、塩酸等の酸によりpHを6以下に調整したものがあげられる。この場合は、酸以外の成分を予め混合し、金属酸化物粒子が均一になるように数十分間〜数時間撹拌した後に、最後に酸を用いてpHの調整を行うことが好ましい。
【0040】
第二の溶液は、pHの条件が満たされていれば特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩を含有する水溶液が好ましい。例えば、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩,炭酸水素塩の水溶液や、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液が好適であり、水酸化ナトリウム水溶液が特に好適である。なお、各種のpH緩衝剤を併用してもよい。
【0041】
次に、第二工程において、第三の溶液のpHを6以下とすることにより、カップリング剤の加水分解が促進される。また、第四の溶液のpHを11以上13以下とすることにより、カップリング剤の前記加水分解により生じた水酸基(OH基)と、中間層20の表面に存在する水酸基(OH基)との脱水縮合反応が促進される。その結果、撥油層30は、中間層20の表面に対して化学的に強固に結合された状態で形成される。
【0042】
カップリング剤の種類は、シリコン,チタン,及びアルミニウムのうち少なくとも1種の金属とフッ素とを備えているならば特に限定されるものではないが、これらの金属とフッ素化炭化水素基とを備えているカップリング剤が好ましく、フッ素系シランカップリング剤がより好ましい。
フッ素系シランカップリング剤の具体例としては、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロトリクロロシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロドデシルトリエトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシランがあげられる。
【0043】
ただし、カップリング剤が備える金属の種類は、第一の溶液に含有される金属アルコキシドや金属のハロゲン化合物が備える金属の種類、又は、金属酸化物粒子の金属種と同一であることが好ましい。
さらに、第三の溶液には、炭素数が1個以上6個以下の低級アルコールを使用するが、低級アルコールを含有することによりカップリング剤の溶解性が高められ、安定した溶液が得られる。低級アルコールの例としては、メタノール,エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,ブタノール,ヘキサノール,シクロヘキサノールがあげられるが、エタノールがより好ましい。
【0044】
さらに、第四の溶液は、pHの条件が満たされていれば特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩を含有する水溶液が好ましい。例えば、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩,炭酸水素塩の水溶液や、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液が好適であり、水酸化ナトリウム水溶液が特に好適である。なお、各種のpH緩衝剤を併用してもよい。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態の深溝玉軸受は、保持器4及び密封装置5を備えていたが、保持器4及び密封装置5の一方又は両方を備えていなくてもよい。
【0045】
また、撥油性被膜を母材の表面に被覆した後に、被覆された撥油性被膜にプラズマ処理を施してもよい。前記化学結合により撥油性被膜が母材の表面に強固に結合することに加えて、プラズマ処理により撥油性被膜の強度が高くなるため、撥油性被膜の耐久性が向上する。その結果、優れた撥油性が長期間にわたって発揮される。プラズマ処理の条件は特に限定されるものではなく、例えば圧力条件は、大気圧でもよいし、減圧でもよい。
【0046】
さらに、本実施形態においては、転がり軸受の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は深溝玉軸受以外の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0047】
〔実施例〕
以下に、実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。呼び番号6203の深溝玉軸受用の内輪、外輪、及びシールに、前述のような表面処理を施して、表面に撥油性被膜を形成した。内輪及び外輪は高炭素クロム鋼第2種(SUJ2)製であり、熱処理が施されて硬さがHRC60に調整された後、研削加工が施されたものである。また、シールは、非接触形のニトリルゴム(NBR)製ゴムシールである。
【0048】
まず、表面処理に用いる第一〜第四の溶液に相当する溶液A〜Cについて説明する。第一の溶液に相当する溶液Aは、テトラエトキシシラン6.1質量%、水6.1質量%、エタノール87.0質量%、平均一次粒径が30nmのシリカ粒子0.8質量%を含有し、塩酸によりpHを3.0に調整されたものである。なお、溶液Aは、まずエタノールと水とテトラエトキシシランと塩酸とを超音波を用いて混合した後に、シリカ粒子を加え密封防爆型ホモジナイザーで撹拌し、さらに30分間静置したものである。
【0049】
また、第二及び第四の溶液に相当する溶液Bは、pH12の水酸化ナトリウム水溶液である。
さらに、第三の溶液に相当する溶液Cは、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン16.0質量%、水5.5質量%、エタノール78.5質量%を混合し、塩酸によりpHを3.0に調整し、3時間静置したものである。
なお、溶液A及び溶液C(第一及び第三の溶液)のpHは、金属アルコキシドやフッ素系シランカップリング剤の加水分解反応が最も促進されるpH3に調整した。また、溶液B(第二及び第四の溶液)のpHは、前記脱水縮合反応が最も促進されるpH12に調整した。
【0050】
次に、これらの溶液を用いた表面処理について説明する。
(シールの表面処理について)
シールにプラズマ照射を施して表面を親水化した後に、メタノール中で超音波洗浄し、乾燥させた。そして、クリーンオーブン中に5分間保持して、シールを80℃に加熱した。次に、80℃に加熱したシールを、約25℃の溶液Aに浸漬し引き上げた。すると、溶液Aの揮発成分が速やかに揮発するとともに、テトラエトキシシランの加水分解が促進されてシラノールになり、続いてシラノールの脱水縮重合によりシリカとなった。
【0051】
溶液Aが蒸発したら、シールを速やかに約25℃の溶液B中に入れ、30分間浸漬した。ここで、テトラエトキシシランの加水分解により生じた水酸基(OH基)と、シールの表面に存在する水酸基(OH基)との脱水縮合反応が生じる。30分間浸漬したらシールを引き上げて、エタノールで洗浄した。そして、120℃のクリーンオーブン中で30分間乾燥を行い、冷却後エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、得られたシールの表面には、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
【0052】
次に、このシールを、約25℃の溶液Cに30分間浸漬した。浸漬中は、溶液Cを緩やかに撹拌した。30分間浸漬したらシールを引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ30分間浸漬した。30分間浸漬したらシールを引き上げて、エタノールで洗浄した。そして、120℃のクリーンオーブン中で30分間乾燥を行い、冷却後エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜(中間層)の上に撥油層が形成されたシールが得られた。
【0053】
(内輪及び外輪の表面処理について)
内輪及び外輪をメタノール中で超音波洗浄し、乾燥させた。そして、クリーンオーブン中に5分間保持して、内輪及び外輪を80℃に加熱した。次に、80℃に加熱した内輪及び外輪の軌道面以外の表面に、約25℃の前記溶液Aを塗布した。すると、溶液Aの揮発成分が速やかに揮発するとともに、テトラエトキシシランの加水分解が促進されてシラノールになり、続いてシラノールの脱水縮重合によりシリカとなった。
【0054】
溶液Aが蒸発したら、速やかに約25℃の溶液Bを同じ部分に塗布して、30分間放置した。ここで、テトラエトキシシランの加水分解により生じた水酸基(OH基)と、内輪及び外輪の表面に存在する水酸基(OH基)との脱水縮合反応が生じる。30分間経過したら、内輪及び外輪をエタノールで洗浄した。そして、160℃のクリーンオーブン中で30分間乾燥を行い、冷却後エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、得られた内輪及び外輪の表面には、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
【0055】
次に、この内輪及び外輪の軌道面以外の表面に、約25℃の前記溶液Cを塗布した後、約25℃の溶液Bをさらに塗布して、30分間放置した。その後、内輪及び外輪をエタノールで洗浄したら、160℃のクリーンオーブン中で30分間乾燥を行い、冷却後エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜(中間層)の上に撥油層が形成された内輪及び外輪が得られた。
このようにして得られた内輪,外輪,及びシールと、上記表面処理を施していない一般的な内輪,外輪,及びシールと、上記表面処理を施していない一般的な転動体(玉)とを、表1に示すように適宜組み合わせて、呼び番号6203の深溝玉軸受を組み立てた。
【0056】
【表1】

【0057】
そして、軸受内部空間にグリースを封入した。このグリースの基油はポリオールエステル油(40℃における動粘度が26.0mm2 /s)であり、増ちょう剤は12−ヒドロキシステアリン酸リチウムである。また、このグリースには、添加剤としてアミン系酸化防止剤,フェノール系酸化防止剤,防錆剤,及び金属不活性化剤が配合されている。さらに、グリースの封入量は、表1に示す通りである。
【0058】
これらの深溝玉軸受を下記の条件で回転させ、焼付きが生じるまでの時間を評価した。焼付き耐久試験の結果を、図3のグラフに示す。実施例1,2と比較例との比較から、内輪、外輪、シールのうちいずれかの表面(軸受内部空間に面する部分)に撥油性被膜を被覆すれば、寿命が向上することが分かる。また、実施例3から、潤滑剤の封入量の削減が可能であることが分かる。
回転速度 :14500min-1
温度 :120℃又は140℃
アキシアル荷重:196N
ラジアル荷重 :19.6N
【符号の説明】
【0059】
1 内輪
1a 軌道面
1b 対向面
2 外輪
2a 軌道面
2b 溝
3 転動体
3a 転動面
4 保持器
5 密封装置
5a 外端部
5b 内端部
10 軸受部品
20 中間層
30 撥油層
C 隙間
L 潤滑剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪と、外輪と、前記内輪の軌道面と前記外輪の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪と前記外輪との間に形成される軸受内部空間内に配され前記両軌道面と前記転動体との潤滑を行う潤滑剤と、を備え、
前記内輪及び前記外輪の表面のうち前記軸受内部空間に面する部分の少なくとも一部に、撥油性被膜が被覆されており、この撥油性被膜は前記内輪又は前記外輪の母材と化学結合した状態で被覆されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項2】
内輪と、外輪と、前記内輪の軌道面と前記外輪の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪と前記外輪との間に前記転動体を転動自在に保持する保持器と、前記内輪と前記外輪とのうち一方の軌道輪に取り付けられ他方の軌道輪に滑り接触又は隙間を空けて対向する密封装置と、前記内輪と前記外輪との間に形成される軸受内部空間内に配され前記両軌道面と前記転動体との潤滑を行う潤滑剤と、を備え、
前記内輪、前記外輪、前記保持器、及び前記密封装置の表面のうち前記軸受内部空間に面する部分の少なくとも一部に、撥油性被膜が被覆されており、この撥油性被膜は前記内輪、前記外輪、前記保持器、又は前記密封装置の母材と化学結合した状態で被覆されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項3】
前記撥油性被膜は、金属酸化物からなり前記母材と化学結合している中間層と、前記中間層の上に積層された撥油層との2層構造を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受。
【請求項4】
前記中間層は金属酸化物粒子を含有しており、それにより前記中間層の表面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の転がり軸受。
【請求項5】
前記中間層は、金属アルコキシドの加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであり、前記撥油層は、シリコンとフッ素化炭化水素基とを備えるフッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の転がり軸受。
【請求項6】
前記金属アルコキシドの加水分解反応は、加熱された前記母材に金属アルコキシドを接触させることにより行われることを特徴とする請求項5に記載の転がり軸受。
【請求項7】
前記金属アルコキシド及び前記フッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応は、pHの制御によって促進されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の転がり軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−113340(P2013−113340A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258068(P2011−258068)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】