説明

転写シートの製造方法及び転写シート

【課題】液状塗料から形成された塗料層を部材に転写するための転写シートを製造するにあたり、塗料層と接着層との位置ずれが生じることなく、且つ歩留まり良く安定的に転写シートを製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る転写シートの製造方法は、基材2上に離型剤を塗布成膜することで離型層3を形成する工程と、この離型層3上に液状塗料を塗布成膜することで塗料層4を形成する工程と、前記塗料層4上及びこの塗料層4からはみ出す位置に接着剤5を塗布することで接着層5を形成する工程とを含む。前記液状塗料は、レベリング剤を含有することで前記離型層3上に塗布成膜可能に調製されたものである。前記接着層6の形成の際に、前記接着剤5と前記離型層3との反発、及び前記接着剤5の表面張力によって、前記塗料層4上のみに前記接着層6を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の部材に対して塗料層を転写するために使用される転写シートの製造方法及び転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
転写シート11は、図2に示すように、基材12、離型層13、塗料層14、及び接着層16が、この順に積層された構造を有する。この転写シート11の接着層16が適宜の部材に重ねられ、或いは更に必要に応じて加熱・加圧処理が施されると、塗料層14が接着層16を介して部材の表面に接着される。この後、基材12が離型層13と共に部材から剥離されることで、部材表面への塗料層14の転写がされる。
【0003】
この種の転写シート11の製造時には、例えばまず基材12上に離型剤が塗布成膜されて離型層13が形成され、この離型層13の上に塗料が塗布成膜されて塗料層14が形成される。この塗料層14は、離型層13上に部分的に形成される。塗料の部分的な塗布は、例えばスクリーン印刷法等によってなされる。次に、塗料層14の上に接着剤が塗布されて、接着層16が形成される。接着剤の部分的な塗布も、例えばスクリーン印刷等によってなされる。
【0004】
このようにして転写シート11が製造される場合、塗料層14と接着層16との間に位置ずれが生じると、塗料層14の一部が部材に転写されなくなり、塗料層14によって表される絵柄等に欠けが生じてしまう。塗料層14と接着層16の位置を厳密に一致させることは困難であるため、転写シート11を歩留まり良く製造することは困難であった。
【0005】
このため、接着層16は図2に示されるように、塗料層14の上だけではなく、この塗料層14上から若干はみ出した位置にも形成される。この場合、接着層16の位置に僅かなずれが生じても、塗料層14の上に接着層16が確実に形成される。しかし、このような転写シート11によって塗料層14が部材に転写されると、部材の表面上で塗料層14から接着層16が縁取りのようにはみ出してしまう。外観向上のためには、このような接着層16のはみ出しがないことが好ましい。
【0006】
このような接着剤のはみ出しを不要とするための技術が、特許文献1で提案されている。この特許文献1には、特に陶磁器デザインの分野において、陶磁器にカラーコピーによるトナー画像が転写される際に使用される転写シートが示されている。この転写シートは、シート状基材にシリコン等の油性離型剤が塗布され、その上に静電式複写機またはレーザープリンターによるトナー画像が形成され、更にその上にホットメルト接着性を有する熱可塑性樹脂のエマルジョンの接着剤ヒドロゾルが刷毛等で塗布されることで、作製されている。接着剤ヒドロゾルは、トナー画像からはみ出して塗られた接着剤ヒドロゾルが、油性離型剤との反発等と、この接着剤ヒドロゾル自体の表面張力により、トナー画像上に収斂するように塗布されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4352385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術は、カラープリンター等で形成されるトナー画像の転写という特殊な用途に関するものである。一方、転写シートにおける塗料層の形成のために広く使用されているのは液状塗料である。
【0009】
しかし、特許文献1におけるような油性離型剤の上に液状塗料が塗布される場合には、液状塗料が油性離型剤ではじかれてしまい、塗料層が形成されなくなってしまう。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、液状塗料から形成された塗料層を部材に転写するための転写シートを製造するにあたり、塗料層と接着層との位置ずれが生じることなく、且つ歩留まり良く安定的に転写シートを製造する方法、及びこの方法により製造される転写シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る転写シートの製造方法は、基材上に離型剤を塗布成膜することで離型層を形成する工程と、この離型層上に液状塗料を塗布成膜することで塗料層を形成する工程と、前記塗料層上及びこの塗料層からはみ出す位置に接着剤を塗布することで接着層を形成する工程とを含む。前記液状塗料は、レベリング剤を含有することで前記離型層上に塗布成膜可能に調製されたものである。前記接着層の形成の際に、前記接着剤と前記離型層との反発、及び前記接着剤の表面張力によって、前記塗料層上のみに前記接着層を形成する。
【0012】
本発明に係る転写シートの製造方法においては、前記離型剤が、シリコーン系の離型剤又はフッ素系の離型剤であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る転写シートの製造方法においては、前記液状塗料の、B型粘度計で測定される液温25℃での粘度が、1〜5Pa・sの範囲であることも好ましい。
【0014】
本発明に係る転写シートの製造方法においては、前記接着剤の、B型粘度計で測定される液温25℃での粘度が、0.2〜0.5Pa・sの範囲であることが好ましい。
【0015】
本発明に係る転写シートは、前記転写シートの製造方法により製造され、前記接着層が前記塗料層上に、前記塗料層上からはみ出すことなく形成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液状塗料から形成された絵柄等を部材に転写するための転写シートを製造するにあたり、絵柄等の形成のための塗料層と接着層との位置ずれがない転写シートを、歩留まり良く安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)乃至(c)は、本発明の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】従来技術の一例を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
転写シート1は、基材2、離型層3、塗料層4、及び接着層6が、この順に積層した構造を有する。
【0019】
基材2の材質は特に制限されないが、材質の具体例としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の樹脂が挙げられる。基材2はフレキシブルなシート状であることが好ましい。
【0020】
離型層3は、基材2上に離型剤が塗布成膜されることで形成される。離型層3は、例えば基材2の厚み方向の片方の表面上の全体に亘って形成される。離型剤としては、シリコーン系の離型剤、フッ素系の離型剤などが挙げられる。これらの離型剤から離型層3が形成されると、離型層3と接着剤5との間の反発が特に大きくなる。
【0021】
離型層3の形成方法としては、適宜の手法が採用されるが、例えば、基材2上に離型剤がロールコート、ダイコート、フローコート、グラビアコート等の適宜の手法で塗布された後、必要に応じて加熱等の処理が施されることで、離型層3が形成される。
【0022】
離型層3の厚みは特に制限されないが、例えば15〜50μmの範囲に形成される。
【0023】
離型層3の有する離型性の指標として、セロハン粘着テープ剥離試験により測定される剥離強度が利用できる。離型層3の表面に対して、セロハン粘着テープ剥離試験を実施した際に測定される剥離強度は、100〜1000mN/50mmの範囲であることが好ましい。この剥離強度は、日東電工株式会社製のセロハン粘着テープ(No.502テープ)を用い、剥離速度0.3m/min、剥離角度180°の条件で測定される値である。尚、メラミン系の離型剤、アルキッド系の離型剤などのような、従来の転写シートで通常使用されていた離型剤から形成される離型層3の表面について測定される剥離強度は、3000mN/50mm以上である。
【0024】
塗料層4は、液状塗料が塗布成膜されることで形成される。液状塗料は、例えば樹脂成分及び着色剤を含有し、更に必要に応じて溶媒又は分散媒を含有する。
【0025】
樹脂成分としては、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド形樹脂、ポリカーボネート系樹脂などの熱可塑性樹脂;エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂等の熱硬化性樹脂;アクリル系樹脂等の紫外線硬化型樹脂などが、挙げられる。
【0026】
着色剤としては、モノアゾ染料、銅フタロシアニンキレート等の染料や、チタンホワイト、カーボンブラック、溶性アゾ系顔料、銅フタロシアニン系顔料、不溶性アゾ系顔料等の顔料が挙げられる。液状塗料は、着色剤を一種のみ含有してもよく、二種以上含有してもよい。溶媒又は分散媒としては例えばイソホロン、アノン、ソルベッソ、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール等の有機化合物が挙げら得れる。樹脂成分として水溶性の樹脂や水分散性の樹脂が使用される場合には、溶媒又は分散媒として水が用いられてもよい。
【0027】
液状塗料は,更にレベリング剤を含有する。このため液状塗料が塗布される際に、液状塗料が離型剤上ではじかれなくなり、塗料層4の成形性が向上する。レベリング剤は、液状塗料や離型剤の組成等に応じて適宜選択して使用されるが、例えばシリコーン系の界面活性剤が使用されることが好ましい。液状塗料中のレベリング剤の含有量は、液状塗料が所望の特性を発揮するように適宜設定されるが、液状塗料全体に対して0.5〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0028】
更に、液状樹脂は、離型層3からはじかれにくくなる程度の高い粘度を有することが好ましい。特に液状樹脂の、B型粘度計で測定される粘度(ロータNo.4、液温25℃)が、1〜5Pa・sの範囲であることが好ましい。
【0029】
液状塗料は、粘度調整のための増粘剤を含有してもよい。この場合、液状塗料が更に離型層3上ではじかれにくくなる。増粘剤の具体例としてはシリカ粉が挙げられる。増粘剤の含有量は、液状塗料の粘度が所定の値となるように適宜調整されるが、例えば1〜5質量%の範囲とされる。
【0030】
液状塗料は、溶媒や分散媒として水を含有する水性塗料であってもよく、有機溶剤を含有する溶剤系塗料であってもよい。但し、液状塗料中の溶媒又は分散媒の含有量は、液状塗料の粘度低下を招かない程度の量であることが好ましく、特に溶媒又は分散媒の含有量が50質量%以下であることが好ましい。
【0031】
塗料層4は、離型層3上に部分的に形成される。塗料層4の形成方法としては適宜の手法が採用されるが、例えば離型層3上に液状塗料が、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等により部分的に塗布された後、成膜されて、塗料層4が形成される。成膜時には、液状塗料がその組成に応じて、例えば乾燥されることで成膜され、或いは加熱されることで硬化して成膜され、或いは紫外線等が照射されることで硬化して成膜される。塗料層4の形成時には、着色剤の組成が異なる複数種の液体塗料が多色印刷法により塗布されることで、色彩の異なる複数の塗料層4が形成されてもよい。
【0032】
塗料層4の厚みは特に制限されないが、例えば0.5〜20μmの範囲に形成される。
【0033】
接着層6は、塗料層4の上に接着剤5が塗布されることで形成される。接着剤5としては、例えば塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド形樹脂、ポリカーボネート系樹脂などの熱可塑性樹脂を含有する感熱接着剤5や、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化型接着剤5が挙げられる。
【0034】
接着剤5としては、離型層3と反発してはじかれるものが、用いられる。更に、離型層3上に配置された接着剤5が塗料層4上に速やかに移動するためには、接着剤5の粘度ができるだけ低いことが望ましい。特にこの接着剤5の、B型粘度計で測定される粘度(ロータNo.4、液温25℃)が、0.2〜0.5Pa・sの範囲であることが好ましい。
【0035】
尚、上記のような油性の離型剤から形成される離型層3は、多くの樹脂や溶剤と反発するため、このような離型層3と反発してはじかれる接着剤5は、ごく一般的な接着剤から適宜選択して入手することが容易である。また、接着剤5の粘度も、溶剤の含有量の調整等により容易に調整され得る。
【0036】
接着剤5は、溶媒や分散媒として水を含有する水性の接着剤5であってもよく、有機溶剤を含有する溶剤系の接着剤5であってもよい。接着剤5中の溶媒又は分散媒の含有量は、接着剤5の粘度が充分低減される程度の量であることが好ましく、特に70〜90質量%の範囲であることが好ましい。
【0037】
接着層6の形成時には、接着剤5が塗料層4上に塗布され、更にこの塗料層4からはみ出す位置で離型層3上に塗布される。塗料層4上の接着剤5と、離型層3上の接着剤5とは、連続した膜となる。接着層6よりも外側における、接着剤5が塗布される領域の幅Wは、0.1〜0.5mmの範囲であることが好ましい(図1(b)参照)。接着層6の形成方法としては適宜の手法が採用されるが、例えば接着剤5が、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等により塗布された後、必要に応じて加熱乾燥されることで、接着層6が形成される。
【0038】
このようにして接着剤5が塗布されると、離型層3上では接着剤5が離型層3と反発して塗料層4上へ向けて移動し、更に接着剤5自体の表面張力によって塗料層4上のみに接着剤5が配置される。このため、塗料層4の位置と接着剤5の塗布位置とが厳密に位置合わせされていなくても、離型層3が塗料層4上に位置精度良く形成され、且つ離型層3が塗料層4からはみ出さなくなる。
【0039】
接着層6の厚みは特に制限されないが、例えば0.5〜5μmの範囲に形成される。
【0040】
この転写シート1を使用した、塗料層4の転写について説明する。塗料層4の転写時には、まず転写シート1が各種の部材の表面上に重ねられる。この状態で転写シート1の接着層6が部材の表面に接着される。例えば接着層6が感熱接着剤5から形成されている場合には、接着層6が加熱された後に冷却されることで部材の表面に接着される。接着層6が熱硬化性接着剤5から形成されている場合には、接着層6が加熱されることにより部材の表面に接着される。
【0041】
次に、基材2が離型層3と共に部材から剥離される。部材の表面上には接着層6及び塗料層4が残存し、これにより塗料層4が部材の表面上に転写される。
【0042】
このようにして塗料層4が転写シート1から部材上に転写されると、上記のように転写シート1においては離型層3が塗料層4上に位置精度良く形成され、且つ離型層3が塗料層4からはみ出さないため、部材上に転写された塗料層4からも接着層6がはみ出しにくくなる。従って、塗料層4が転写された部材の外観が良好になる。
【実施例】
【0043】
[実施例1]
厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ株式会社製、品番S25)からなる基材2と、シリコーン系の離型剤(大日精化工業株式会社製、品番SS1645)から形成された離型層3とが積層した構造を有するシート材を用意した。このシート材における離型層3の表面の剥離強度を、日東電工株式会社製のセロハン粘着テープ(No.502テープ)を用いて、剥離速度0.3m/min、剥離角度180°の条件で測定したところ、その値は800mN/50mmであった。
【0044】
液状塗料としては、エポキシ系樹脂(株式会社セイコーアドバンス製、品番1400(N))を含有し、更にレベリング剤(シリコーン系の界面活性剤、タナカケミカル株式会社製、品番TC−L01)を2質量%、増粘剤(帝国インキ製造株式会社製のシリカ粉)を2質量%、溶剤(イソホロン)を40質量%の割合で含有する塗料を用いた。この液状樹脂の粘度を、液温25℃で、ロータNo.4を使用して、B型粘度計で測定したところ、1.2Pa・sであった。
【0045】
接着剤5としては、エポキシ系樹脂(株式会社セイコーアドバンス製、品番1400(N))を含有し、更に溶剤(イソホロン)を80質量%の割合で含有する接着剤5を用いた。この接着剤5の粘度を、液温25℃で、ロータNo.4を使用して、B型粘度計で測定したところ、0.3Pa・sであった。
【0046】
シート材の離型層3の上に液状塗料をスクリーン印刷法により部分的に塗布した後、105℃で10秒間加熱することで、離型層3の上に厚み5μmの塗料層4を部分的に形成した。
【0047】
この塗料層4の上に接着剤5をスクリーン印刷法により塗布した。接着剤5の塗布位置は、塗料層4の上全体、並びにこの塗料層4の周囲にはみ出す幅Wが0.2mmの領域とした。接着剤5の塗布終了時から3秒間経過した後、接着剤5を105℃で10秒間乾燥することで、接着層6を形成した。
【0048】
[実施例2]
実施例1の場合と同じ構造を有するシート材を用意した。
【0049】
液状塗料としては、エポキシ系樹脂(帝国インキ製造株式会社製、品番MAB)を含有し、更にレベリング剤(シリコーン系の界面活性剤、帝国インキ製造株式会社製、品番SM40)を3質量%、増粘剤(帝国インキ製造株式会社製のシリカ粉)を2質量%、溶剤(イソホロン)を40質量%の割合で含有する塗料を用いた。この液状樹脂の粘度を、液温25℃で、ロータNo.4を使用して、B型粘度計で測定したところ、2.5Pa・sであった。
【0050】
このシート材の離型層3の上に実施例1の場合と同じ方法で塗料層4を形成し、更にこの塗料層4の上に実施例1の場合と同じ方法で接着層6を形成した。
【0051】
[比較例1]
実施例1において、液状塗料にレベリング剤及び増粘剤を配合しなかった。この液状樹脂の粘度を、液温25℃で、ロータNo.4を使用して、B型粘度計で測定したところ、0.4Pa・sであった。
【0052】
それ以外は実施例と同じ条件で、転写シート1の作製を試みた。
【0053】
しかし、この比較例1では液状塗料の塗布時に液状塗料が離型層3からはじかれてしまい、塗料層4が形成されず、転写シート1を作製することができなかった。
【0054】
[比較例2]
実施例1におけるシート材に代えて、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材2と、アルキッド系の離型剤から形成された離型層3とが積層した構造を有する、シート材(株式会社リンテック製、品番AL−5)を用意した。離型層3の表面について、日東電工株式会社製のセロハン粘着テープ(No.502テープ)を用い、剥離速度0.3m/min、剥離角度180°の条件で剥離強度を測定したところ、その値は4000mN/50mmであった。
【0055】
それ以外は実施例1と同じ条件で、転写シート1を作製した。
【0056】
[評価]
実施例1,2及び比較例2で得られた転写シート1を、ガラス製の瓶の表面に重ねた。熱圧着用のローラを180℃に加熱し、このローラを転写シート1の上に3.43MPaの圧力で押し付けながら、このローラを4cm/秒の速度で移動させた。次いで、転写シート1の基材2を離型層3ごと、ガラス製の瓶から剥離した。
【0057】
ガラス製の瓶に転写された塗料層4を目視で観察したところ、比較例2では塗料層4の周りに透明な接着層6による縁取りが認められた。これに対して、実施例1及び実施例2では、比較例2のような場合の縁取りは認められず、また塗料層4に欠けも認められなかった。
【符号の説明】
【0058】
1 転写シート
2 基材
3 離型層
4 塗料層
5 接着剤
6 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に離型剤を塗布成膜することで離型層を形成する工程と、この離型層上に液状塗料を塗布成膜することで塗料層を形成する工程と、前記塗料層上及びこの塗料層からはみ出す位置に接着剤を塗布することで接着層を形成する工程とを含み、
前記液状塗料が、レベリング剤を含有することで前記離型層上に塗布成膜可能に調製されたものであり、
前記接着層の形成の際に、前記接着剤と前記離型層との反発、及び前記接着剤の表面張力によって、前記塗料層上のみに前記接着層を形成する転写シートの製造方法。
【請求項2】
前記離型剤が、シリコーン系の離型剤又はフッ素系の離型剤である請求項1に記載の転写シートの製造方法。
【請求項3】
前記液状塗料の、B型粘度計で測定される液温25℃での粘度が、1〜5Pa・sの範囲である請求項1に記載の転写シートの製造方法。
【請求項4】
前記接着剤の、B型粘度計で測定される液温25℃での粘度が、0.2〜0.5Pa・sの範囲である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の転写シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法により製造され、前記接着層が前記塗料層上に、前記塗料層上からはみ出すことなく形成されている転写シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−218335(P2011−218335A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93232(P2010−93232)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(591241512)寿精版印刷株式会社 (26)
【Fターム(参考)】