説明

転写媒体の製造装置及び製造方法

【課題】転写媒体の生産速度を向上させる。
【解決手段】本発明は、下地インクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ下地ノズル列と、接着液を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ接着ノズル列と、前記下地ノズル列及び前記接着ノズル列を移動方向に移動させるキャリッジとを備え、前記キャリッジの移動中に前記下地ノズル列の前記ノズルから前記下地インクを吐出すると共に、前記下地インクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記下地インク及び前記接着液を塗布した転写媒体を製造することを特徴とする転写媒体の製造装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写媒体の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを基材上に付着させて形成した文字その他の画像のパターンを、被転写媒体に転写する転写媒体が知られている。この転写媒体において、例えば、特許文献1に記載されるように、パターン形状に合わせて、例えばスクリーン印刷版を用いて当該パターン上に接着液を塗布する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−314879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクリーン印刷版の他、フレキソ、及びグラビア等の印刷版を用いて画像パターンや接着液パターンを形成する場合、転写媒体の少量多品種生産では製版にコストがかかるため、不向きである。そこで、転写媒体の少量多品種生産において製造コストを安価に抑えるため、インクジェットヘッドからインク及び接着液を吐出して基材に付着させることにより、基材上に着色層及び接着層を順に形成して転写媒体を製造する方法が考えられる。
【0005】
ところで、被転写媒体に転写された着色層の視覚的効果を考慮して、着色層とは別に下地層を形成することがある。例えば、被転写媒体の地色の影響を低減させるため、被転写媒体と着色層との間に遮光性のある白地層を形成することが考えられる。また、被転写媒体の地色の影響を低減させるため、着色層とは無関係に、単に白地層を形成することも考えられる。若しくは、着色層に形成されたカラー画像に金属光沢性を持たせるため、被転写媒体と着色層との間にメタリック層を形成することが考えられる。このような下地層(例えば白地層やメタリック層など)を被転写媒体に形成するためには、転写媒体を製造する際に、下地層を形成することになる。
【0006】
しかし、インクジェット方式によって転写媒体を製造する際に、下地層及び接着層を単に順次形成しただけでは、工程数が増えてしまい、転写媒体の生産速度が低下する。
【0007】
本発明は、転写媒体の生産速度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、カラーインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並ぶカラーノズル列と、下地インクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ下地ノズル列と、接着液を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ接着ノズル列と、前記カラーノズル列、前記下地ノズル列及び前記接着ノズル列を移動方向に移動させるキャリッジとを備え、前記キャリッジの移動中に前記カラーノズル列の前記ノズルから前記カラーインクを吐出し、前記キャリッジの移動中に前記下地ノズル列の前記ノズルから前記下地インクを吐出すると共に、前記下地インクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記カラーインクの塗布された領域に前記下地インク及び前記接着液を塗布した転写媒体を製造することを特徴とする。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1Aは、基材の構成の説明図である。図1Bは、基材の表面に形成される着色層、下地層及び接着層の説明図である。図1Cは、転写媒体から被転写媒体への転写の様子の説明図である。
【図2】図2は、記録装置1の全体構成ブロック図である。
【図3】図3Aは、記録装置1の概略断面図であり、図3Bは、記録装置1の概略上面図である。
【図4】図4は、ヘッド41の下面のノズルの説明図である。
【図5】図5は、インターレース方式による記録方法の説明図である。
【図6】図6は、インターレース方式で着色層を形成した後に白地層を形成するときの記録方法の説明図である。
【図7】図7は、別の表記方法の説明図である。
【図8】図8は、比較例の記録方法の説明図である。
【図9】図9A〜図9Cは、比較例の記録方法の各層の形成の様子の説明図である。
【図10】図10は、第1実施形態のヘッド41の下面のノズルの説明図である。
【図11】図11A及び図11Bは、第1実施形態の記録方法の説明図である。
【図12】図12A〜図12Cは、第1実施形態の記録方法の各層の形成の様子の説明図である。
【図13】図13は、第1実施形態の第1変形例のヘッド41の説明図である。
【図14】図14は、第1実施形態の第2変形例のヘッドの説明図である。
【図15】図15A及び図15Bは、第1実施形態の第2変形例の記録方法の説明図である。
【図16】図16Aは、第1実施形態の第3変形例のヘッド41の説明図である。図16Bは、第1実施形態の第3変形例の記録方法の説明図である。
【図17】図17Aは、第1実施形態の第3変形例の記録方法の各層の形成の様子の説明図である。図17Bは、第1実施形態の第3変形例の転写媒体の構成の説明図である。
【図18】図18A及び図18Bは、オーバーラップ方式による記録方法の説明図である。
【図19】図19は、第2実施形態の転写媒体の構成の説明図である。
【図20】図20A及び図20Bは、混在層の形成方法の概要の説明図である。
【図21】図21Aは、第2実施形態のヘッド41の下面のノズルの説明図である。図21Bは、第2実施形態の記録方法の説明図である。
【図22】図22は、第2実施形態の白ノズル列と接着ノズル列の記録方法の説明図である。
【図23】図23は、図22の領域Aにおける8個のラスタラインのドットの様子の説明図である。
【図24】図24Aは、第3実施形態の転写媒体の構成の説明図である。図24Bは、第3実施形態の記録方法の説明図である。
【図25】図25Aは、第4実施形態の転写媒体の構成の説明図である。図25Bは、第4実施形態の記録方法の説明図である。
【図26】図26Aは、第5実施形態の記録装置1の概略断面図であり、図26Bは、記録装置1の概略上面図である。
【図27】図27Aは、第5実施形態のヘッドユニット40における複数のヘッド41の配置の説明図であり、図27Bは、ヘッド41におけるノズルの配置の説明図である。
【図28】図28は、第5実施形態の記録方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0012】
下地インクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ下地ノズル列と、接着液を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ接着ノズル列と、前記下地ノズル列及び前記接着ノズル列を移動方向に移動させるキャリッジとを備え、前記キャリッジの移動中に前記下地ノズル列の前記ノズルから前記下地インクを吐出すると共に、前記下地インクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記下地インク及び前記接着液を塗布した転写媒体を製造することを特徴とする転写媒体の製造装置が明らかとなる。
このような製造装置によれば、転写媒体の生産速度を向上させることができる。
【0013】
カラーインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並ぶカラーノズル列であって、前記キャリッジにより前記移動方向に移動するカラーノズル列を備え、前記キャリッジの移動中に前記カラーノズル列の前記ノズルから前記カラーインクを吐出し、前記キャリッジの移動中に前記下地ノズル列の前記ノズルから前記下地インクを吐出すると共に、前記下地インクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記カラーインクの塗布された領域に前記下地インク及び前記接着液を塗布した転写媒体を製造することが望ましい。これにより、着色層、下地層及び接着層を備えた転写媒体の生産速度を向上させることができる。
【0014】
前記下地インクを吐出する前記ノズルは、前記接着液を吐出する前記ノズルよりも前記移動方向の下流側に位置し、前記カラーインクの塗布された領域の上に前記下地インクを塗布した後、前記下地インクの塗布された領域の上に前記接着液を塗布することによって、前記転写媒体を製造することが望ましい。これにより、着色層、下地層、接着層が順に積層した転写媒体の生産速度を向上させることができる。
【0015】
前記キャリッジは往復移動可能であり、前記キャリッジが往路に移動するときと、前記キャリッジが復路に移動するときとで、前記下地インク及び前記接着液を吐出するノズルの少なくとも一部が変更されることによって、前記キャリッジの移動中に前記下地インクを吐出するノズルが前記接着ノズル列よりも前記移動方向の下流側に位置することが望ましい。これにより、双方向記録をしながら下地層の上に接着層を形成できる。
【0016】
前記移動方向に並ぶ複数の画素において、前記下地インクが塗布された後に前記接着液が塗布される画素と、前記接着液が塗布された後に前記下地インクが塗布される画素とが混在することが望ましい。これにより、下地層の定着性・密着性が向上する。
【0017】
前記キャリッジが往復移動可能であり、前記キャリッジが往路に移動するときに前記下地インク及び前記接着液が塗布される画素の間に、前記キャリッジが復路に移動するときに前記下地インク及び前記接着液が塗布される画素が位置することが望ましい。これにより、混在層を形成できる。
【0018】
前記カラーインクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記カラーインクの塗布される領域の前記移動方向に並ぶ複数の画素において、前記カラーインクが塗布された後に前記接着液が塗布される画素と、前記接着液が塗布された後に前記カラーインクが塗布される画素とが混在することが望ましい。これにより、着色層の定着性・密着性が向上する。
【0019】
前記接着剤の塗布された領域に前記カラーインクを吐出することによって、カラードットの下に接着ドットを形成することが望ましい。これにより、着色層の定着性・密着性が向上する。
【0020】
下地インクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ下地ノズル列と、接着液を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ接着ノズル列と、前記下地ノズル列及び前記接着ノズル列を移動方向に移動させるキャリッジとを備えた製造装置を準備し、前記キャリッジの移動中に前記下地ノズル列の前記ノズルから前記下地インクを吐出すると共に、前記下地インクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記下地インク及び前記接着液を塗布した転写媒体を製造することを特徴とする転写媒体の製造方法が明らかとなる。
このような製造方法によれば、転写媒体の生産速度を向上させることができる。
【0021】
===転写媒体===
まず、転写媒体の構造について簡単に説明する。ここでは基本的な構造について説明する。
【0022】
本明細書において、「転写媒体」とは、被転写媒体に転写するための転写元の媒体を意味する。転写媒体は、基材や、被転写媒体に転写される層(例えば接着層等)を少なくとも含む媒体である。また、「被転写媒体」とは、転写先の媒体、即ちターゲットを意味する。
【0023】
図1Aは、基材の構成の説明図である。基材は、シート状又はフィルム状の形状をしている。ここで、「基材」とは、着色層や接着層などのパターンを転写するために用いられる支持体を意味する。ここでは、基材として、厚さ25μmのPETフィルムが用いられている。但し、基材の材質はこれに限られるものではなく、例えば他のプラスチック、金属、木材、紙などが用いられても良い。
【0024】
図1Aに示すように、基材の表面には、予め離型層及び保護層が形成されている。
離型層は、転写媒体から被転写媒体への転写性(箔切れ性)を高めるための層である。ここでの離型層は、ポリエチレンワックス系の離型剤を乾燥させた層である。但し、離型層はこれに限られるものではなく、例えばシリコーン系離型剤、フッ素系離型剤などが用いられても良い。保護層は、被転写媒体に転写された着色層や下地層の耐刷性を高めるための層である。
【0025】
離型層及び保護層は、基材の表面に予め形成されているが、これに限られるものではない。例えば、離型層及び保護層が後述する記録装置(転写媒体製造装置)によって形成されても良い。また、転写媒体から被転写媒体への転写性(箔切れ性)や、転写された着色層の耐刷性などを確保できるのであれば、基材の表面に離型層や保護層は無くても良い。
【0026】
図1Bは、基材の表面に形成される着色層、下地層及び接着層の説明図である。
着色層は、カラー画像を構成する層である。着色層は、カラーインク(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなど)を基材の表面に塗布することによって、形成される。図中の着色層は、転写媒体上において、保護層の上側(基材の上側)に形成される。
【0027】
下地層は、被転写媒体に転写された画像の下地を形成するための層である。ここでは、下地層は、転写後に被転写媒体と着色層との間に位置するように、転写媒体上において着色層の上側に形成される。
例えば、下地層として、例えば白地層やメタリック層などが形成される。白地層は、白インクを塗布することによって形成される遮光性のある層である。遮光性のある白地層が転写後に被転写媒体と着色層との間に位置することによって、カラー画像(着色層)の視認性が向上する。着色層が無い場合においても、遮光性のある白地層が被転写媒体に転写されることによって、被転写媒体の地色を隠す効果がある。また、メタリック層は、メタリックインクを塗布することによって形成される金属光沢性のある層である。転写後にカラー画像(着色層)の下に金属画像(メタリック層)が位置することによって、カラー画像が金属光沢を帯びて視認されるようになる。このように、下地層は、着色層の視覚的効果を考慮して形成される層である。下地層を形成するためのインク(白インクやメタリックインク)のことを「下地インク」と呼ぶ(但し、このインクは「特色インク」と呼ばれることもある)。
【0028】
接着層は、着色層などを被転写媒体に接着させるための層である。接着層は、接着液を塗布することによって、形成される。図中の接着層は、転写媒体上において下地層の上側に形成される。例えば、接着液として、エマルション形態の熱可塑性樹脂を含む水性液体が用いられる。接着液を塗布した後に乾燥させて形成した接着層は、その段階では接着力が弱い状態である。このため、転写媒体の製造後に、接着層が基材の裏面と接触するように転写媒体を巻き取ることが可能である。なお、接着層は、転写時に加熱されることによって、接着性を有することになる。
【0029】
図中では、着色層、下地層及び接着層の各層が明確に分離して描かれているが、実際には、各層が明確に分離しているとは限らない。例えば、着色層を形成するカラーインクが十分に乾燥する前に下地層を形成する白インクが塗布されると、カラーインクと白インクとが一部混ざることがある。
【0030】
また、図1Bの説明図は、転写媒体の製造工程の順序も示している。例えば、図中の転写媒体の場合、基材(保護層)の上に、まず着色層を形成するためのカラーインクが塗布され、次に白地層を形成するための白インク又はメタリックインクが塗布され、最後に接着層を形成するための接着剤が塗布されることによって、転写媒体が製造されることが示されている。
【0031】
インクジェット方式で各層が形成される場合には、必ずしも図に示された順の積層構造になるとは限らない。例えば、着色層のカラー画像が淡い画像の場合には、カラーインクで形成されたドット(カラードット)が分散するため、カラードット間に隙間があり、このような着色層の上に下地層が形成されれば、保護層の上にカラーインクではなく白インクが塗布されることがあり得る。このため、本明細書において「層」と説明されていても、その層を形成する画像の内容に応じて、その層に隙間があることがある。なお、下地層や接着層は塗り潰すような画像(塗り潰し画像)に基づいて液体が全面に塗布されるためドット間の隙間はあまり無いが、着色層のカラー画像は、デザインに応じた色に基づいてカラーインクが形成されるため、ドット間の隙間が生じやすい。下地層となる白画像や金属画像を淡くデザインした場合には、下地層を構成するドットの間に隙間が空くこともある。
【0032】
図1Cは、転写媒体から被転写媒体への転写の様子の説明図である。
基材の裏面側から転写媒体を加熱すると、転写媒体の表面に位置する接着層に接着力が生じる。このため、加熱した転写媒体を被転写媒体の転写面に接触させると、基材上の層構造(転写箔)が剥離して、被転写媒体に転写される。転写後の被転写媒体上には、上(表面側)から順に、保護層、着色層、下地層、接着層が形成(転写)される。転写後の被転写媒体のことを「転写物」と呼ぶことがある。
【0033】
被転写媒体の転写面が曲面であっても、その曲面にカラー画像を形成することが容易である。このため、自動車の内装、ノートパソコンの外装、携帯電話の外装、化粧品容器、文房具などの様々な形状の被転写媒体に転写を行うことが可能である。但し、被転写媒体の転写面は、曲面に限られるものではなく、平面であっても良い。
【0034】
なお、ここでは転写媒体の基本的な構造を説明したが、後述する実施形態では、転写媒体の構造が基本的な構造と異なることがある。但し、ここで説明した転写媒体の基本的な構造を理解できれば、各実施形態の構造も理解可能である。
【0035】
===記録装置(転写媒体の製造装置)===
図2は、記録装置1の全体構成ブロック図であり、図3Aは、記録装置1の概略断面図であり、図3Bは、記録装置1の概略上面図である。以下、記録装置1とコンピューター90が接続された記録システムを例に挙げて実施形態を説明する。
【0036】
記録装置1は、インクジェット方式で基材上に転写媒体を構成する層(例えば着色層など)を記録(形成)する装置である。この記録装置1は、インクジェットプリンターとほぼ同様の構成であり、転写媒体を製造するための転写媒体製造装置となる。
【0037】
コントローラー10は、記録装置1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター90と記録装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、記録装置1内の状況を検出器群60が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0038】
搬送ユニット20は、媒体S(図1Aの基材)が連続する方向(搬送方向、図中のX方向)に、媒体Sを上流側から下流側に搬送する。モーターによって搬送ローラー21を回転させることによって記録前の媒体Sを液体塗布領域に供給し、その後、記録後の媒体S(図1Bの転写媒体)を巻取機構によりロール状に巻き取る。図3A及び図3Bでは、媒体Sの搬送経路が真っ直ぐになっているが、適宜ローラーなどを用いて搬送経路を屈曲させても良い。
【0039】
キャリッジユニット30は、ヘッドを移動方向(媒体Sの幅方向、図中のY方向)に往復移動させるものである。キャリッジユニット30は、ヘッド41を搭載するキャリッジ31と、キャリッジを往復移動させるためのキャリッジ移動機構32とを有する。
【0040】
ヘッドユニット40は、キャリッジ31に設けられたヘッド41を有する。ヘッド41の下面には、液体(カラーインク、下地インク、接着液など)を吐出するノズルが設けられている。ヘッド41の構成(ノズルの配置)については、後述する。
【0041】
乾燥ユニット50は、媒体Sに塗布された液体を乾燥させるためのものである。乾燥ユニットとして、例えば温風ヒーターなどが用いられる。
【0042】
記録装置1は、キャリッジ31を移動方向に移動させる動作(パス)と、搬送動作とを交互に繰り返す。このとき、コントローラー10は、各パスを行う際に、キャリッジユニット30を制御して、キャリッジ31を移動方向に移動させるとともに、ヘッドユニット40を制御して、ヘッド41の所定のノズルから液体を吐出させ、媒体Sに液体を塗布させる。また、コントローラー10は、搬送ユニット20を制御して、搬送動作の際に所定の搬送量にて媒体Sを搬送方向に搬送させる。
【0043】
パスと搬送動作が繰り返されることによって、液体の塗布された領域が徐々に乾燥ユニット50に向かって搬送される。そして、乾燥ユニット50に対向する位置において、媒体Sに塗布された液体が乾燥させられて、転写媒体が完成する。その後、完成した転写媒体が巻き取り機構によりロール状に巻き取られる。
【0044】
===参考説明===
<ノズルの配置>
図4は、ヘッド41の下面のノズルの説明図である。なお、図示した構成は参考説明のためのものであり、後述する本実施形態のヘッド41は、これとは異なる構成になることがある。
【0045】
ヘッド41は、ここでは6個のノズル列を備えている。6個のノズル列は、ブラックノズル列(K)と、シアンノズル列(C)と、マゼンタノズル列(M)と、イエローノズル列(Y)と、白ノズル列(W)と、接着液を吐出するための接着ノズル列(A)である。ブラックノズル列、シアンノズル列、マゼンタノズル列及びイエローノズル列は、カラー画像(着色層)を記録するためのカラーインクを吐出するノズル列(カラーノズル列)である。白ノズル列は、白画像(下地層)を記録するための白インクを吐出するノズル列である。接着ノズル列は、接着画像(接着層)を記録するための接着液を吐出するノズル列である。
【0046】
各ノズル列は、それぞれ180個のノズルから構成されている。各ノズル列の180個のノズルは、1/180インチ間隔のノズルピッチで搬送方向に沿って並んでいる(つまり、図中のLは1インチである)。あるノズル列から液体を断続的に吐出することによって、キャリッジ31が移動方向に1回移動する毎に(1回のパス毎に)、1/180インチ間隔で多数のドット列が記録されることになる。媒体に記録するドットの間隔がDであるとき、整数kを用いてノズルピッチを“k×D”と表すことがある。例えば、720dpiの解像度で画像を記録する場合、Dは1/720インチなので、k=4である。
【0047】
<インターレース方式1>
図5は、インターレース方式による記録方法の説明図である。図には、パス1〜パス4におけるヘッド(ノズル列)の位置とドットの記録の様子が示されている。
【0048】
説明の都合上、複数あるノズル列のうちの一つのノズル列のみを示し、ノズル数も少なくしている(ここでは12個)。図中の黒丸で示されるノズルは、液体を吐出可能なノズルである。一方、白丸で示されるノズルは、液体を吐出不可のノズルである。また、説明の便宜上、ノズル列が(媒体Sに対して)移動しているように描かれているが、同図はヘッドと媒体との相対的な位置を示すものであって、実際には媒体Sが搬送方向に搬送される。また、説明の都合上、各ノズルが数ドット(図中の丸印)しか記録していないように示されているが、実際には、移動方向に移動するノズルから間欠的に液滴が吐出されるので、移動方向に多数のドットが並ぶことになる。このドットの列をラスタラインともいう。黒丸で示されるドットは、最後のパスで記録されるドットであり、白丸で示されるドットは、それ以前のパスで記録されたドットである。
【0049】
「インターレース方式」では、kが2以上であり、1回のパスで記録されるラスタラインの間に記録されないラスタラインが挟まれるような記録方法になる。例えば、図に示した記録方法では、1回のパスで記録されるラスタラインの間に、3本のラスタラインが挟まれている。
【0050】
インターレース方式では、媒体が搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで記録されたラスタラインのすぐ上のラスタラインを記録する。このように搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)液体を吐出可能なノズル数N(整数)はkと互いに素の関係にあること、(2)搬送量FはN・Dに設定されること、が条件となる。
【0051】
同図では、ノズル列は搬送方向に並ぶ12個のノズルを有する。ノズルピッチk×Dの整数kは4なので、インターレース方式の条件である「Nとkが互いに素の関係」を満たすため、全てのノズルは用いられずに、11個のノズル(ノズル♯1〜ノズル♯11)が用いられる。また、11個のノズルが用いられるため、媒体は搬送量11・Dにて搬送される。その結果、180dpi(4・D)のノズルピッチのノズル列を用いて、720dpi(=D)のドット間隔にて媒体にドットが記録される。なお、180個のノズルを備えたノズル列によってインターレース方式を行う場合、179個のノズルを用いたパスと、179・Dの搬送量の搬送動作とが交互に繰り返されることになる。
【0052】
ノズル数Nが十分多ければ、搬送量は、インクを吐出するノズル列の領域の長さ(=ノズルピッチ×ノズル数)のおよそ1/k程度と考えることが可能である。つまり、インクを吐出するノズル列の領域が長いほど、搬送量が長くなる。
【0053】
インターレース方式の場合、ノズルピッチ幅の連続するラスタラインが完成するためには、k回のパスが必要となる。例えば、180dpiのノズルピッチのノズル列を用いて720dpiのドット間隔にて連続する4つのラスタラインが完成するためには、4回のパスが必要となる。同図によれば、パス3のノズル♯3が記録したラスタラインよりも搬送方向上流側に、連続的なラスタラインがドット間隔Dにて記録されることが示されている。
【0054】
<インターレース方式2>
図6は、インターレース方式で着色層を形成した後に白地層を形成するときの記録方法の説明図である。図中では、カラーノズル列のノズルを丸印で示し、白ノズル列のノズルを三角印で示している。ここでは、説明の簡略化のため、着色層と白地層の2層だけを記録するものとする。
【0055】
2層を重ねて記録する場合、搬送方向上流側の半分のノズルを用いて下側の層(先に形成される層)を形成し、搬送方向下流側の半分のノズルを用いて上側の層(後に形成される層)を形成する。ここでは、着色層を形成してから白地層を形成するため、カラーノズル列では搬送方向上流側の半分のノズル(ノズル♯7〜12)が用いられ、白ノズル列では搬送方向下流側の半分のノズル(ノズル♯1〜6)が用いられる。但し、インターレース方式の条件((1)インクを吐出可能なノズル数N(整数)はkと互いに素の関係にあること、(2)搬送量FはN・Dに設定されること)を満たすために、6個のノズルのうちの5個のノズルから液体が吐出されると共に、媒体が搬送量5・Dにて搬送される。
【0056】
図に示すようにドットを記録することによって、いずれのラスタラインの位置においても、カラーノズル列のノズルによってカラードットが形成されてから、白ノズル列のノズルによって白ドットが形成されている。例えば、図中の点線の位置のラスタラインでは、パス1のカラーノズル列のノズル♯10がカラードットを形成した後、パス5の白ノズル列のノズル♯5が白ドットを形成する。
【0057】
このため、カラードットから構成されるカラー画像(着色層)の上に、白ドットから構成される白画像(下地層)を形成することができる。
【0058】
<表記方法について>
図6は、説明の簡略化のため、実際のノズル数よりも減らして描かれている。但し、実際のノズル数は多いため、記録方法を説明する際に図6のように図示することは困難である。そこで、別の表記方法を用いて図示することがある。
【0059】
図7は、別の表記方法の説明図である。図7は、図4に示すヘッドを用いつつ、図6に示すようにカラー画像(着色層)の上に白画像(下地層)を重ねて記録することを示している。このように、液体を吐出するノズルの占める領域を黒く塗り潰すことによって、個々のノズルの吐出状態を示さずに記録方法を説明することがある。
【0060】
インターレース方式で図7に示すように記録を行う場合には、各ノズル列のノズル数が180個であれば、カラーノズル列では搬送方向上流側の90個のノズルが用いられ、白ノズル列では搬送方向下流側の90個のノズルが用いられることになる。そして、インターレース方式の条件を満たすために、90個のノズルのうちの89個のノズルから液体が吐出されると共に、媒体が搬送量89・Dにて搬送されることになる。ノズル数Nが十分多ければ、搬送量は、インクを吐出するノズル列の長さ(ノズル列の半分の長さ)のおよそ1/k程度である。図7を見れば、このようなことが理解可能である。
【0061】
===比較例===
図8は、比較例の記録方法の説明図である。
【0062】
比較例の記録方法では、各ノズル列を3分割し、それぞれのノズル列の1/3の領域のノズルから液体を吐出する。カラーノズル列では搬送方向上流側の1/3の領域のノズルが用いられ、白ノズル列では中央部分の1/3の領域のノズルが用いられ、接着ノズル列では搬送方向下流側の1/3の領域のノズルが用いられる。なお、比較例においてインターレース方式で図8に示すように記録を行う場合、各ノズル列のノズル数が180個であれば、カラーノズル列では搬送方向上流側の60個のノズルが用いられ、白ノズル列では中央部分の60個のノズルが用いられ、接着ノズル列では搬送方向下流側の60個のノズルが用いられることになる。そして、インターレース方式の条件を満たすために、60個のノズルのうちの59個のノズルから液体が吐出されると共に、媒体が搬送量59・Dにて搬送されることになる。
【0063】
比較例においても、搬送量は、ノズル数Nが十分多ければ、インクを吐出するノズル列の領域の長さのおよそ1/k程度である。但し、比較例では、インクを吐出するノズル列の長さは、ノズル列の長さLの1/3の領域であるため、比較的短くなる。
【0064】
図9A〜図9Cは、比較例の記録方法の各層の形成の様子の説明図である。
【0065】
比較例では、着色層の形成が完了した後に下地層の形成が開始され、下地層の形成が完了した後に接着層の形成が開始されることになる。つまり、比較例では、着色層、下地層及び接着層の形成工程が別々になっているため、3工程を必要としている。
【0066】
このように、比較例では、工程数が多く、搬送量が短いため、転写媒体の生産速度が低い。
【0067】
===第1実施形態===
図10は、第1実施形態のヘッド41の下面のノズルの説明図である。
【0068】
第1実施形態のヘッド41は、8個のノズル列を備えている。8個のノズル列は、4色分のカラーノズル列と、2個の白ノズル列と、2個の接着ノズル列である。8個のノズル列は、キャリッジの移動方向に沿って並ぶように、配置されている。2個の白ノズル列は、接着ノズル列を挟むように、配置されている。
【0069】
図11A及び図11Bは、第1実施形態の記録方法の説明図である。
【0070】
第1実施形態の記録方法では、各ノズル列を2分割し、それぞれのノズル列の1/2の領域から液体を吐出する。カラーノズル列では搬送方向上流側の1/2のノズルが用いられ、白ノズル列及び接着ノズル列では搬送方向下流側の1/2のノズルが用いられる。つまり、第1実施形態では、白インクを吐出するノズルと、接着液を吐出するノズルは、搬送方向の位置が同じである。言い換えると、第1実施形態では、白インクを吐出するノズルと、接着液を吐出するノズルが、移動方向に並んでいる。
【0071】
第1実施形態では、双方向記録時のヘッド41の移動方向に応じて、白インク及び接着液を吐出するノズルが異なる。但し、いずれの場合においても、白インクを吐出するノズルは、接着液を吐出するノズルに対して、移動方向の下流側に位置する。例えば、図11Aに示すように、ヘッド41が図中の左側から右側に移動する往路のパスの場合には、白インクを吐出するノズルは、接着液を吐出するノズルに対して、右側に位置する。これとは逆に、図11Bに示すように、ヘッド41が図中の右側から左側に移動する復路のパスの場合には、白インクを吐出するノズルは、接着液を吐出するノズルに対して、左側に位置する。
【0072】
図12A〜図12Cは、第1実施形態の記録方法の各層の形成の様子の説明図である。
【0073】
まず、図12Aに示すように、着色層の形成工程が行われる。インターレース方式で図11A及び図11Bに示すようにカラーノズル列を用いて記録を行う場合、各ノズル列のノズル数が180個であれば、カラーノズル列の搬送方向上流側の90個のノズルが用いられることになる。そして、インターレース方式の条件を満たすために、90個のノズルのうちの89個のノズルから液体が吐出されると共に、媒体が搬送量89・Dにて搬送されることになる。このため、比較例と比べて、搬送量が長くなり、着色層の形成完了が短時間で済む。
【0074】
次に、図12B及び図12Cに示すように、下地層と接着層の形成が行われる。インターレース方式で図11A及び図11Bに示すように白ノズル列及び接着ノズル列を用いて記録を行う場合、白ノズル列及び接着ノズル列のそれぞれの搬送方向下流側の90個のノズルが用いられることになる。そして、インターレース方式の条件を満たすために、90個のノズルのうちの89個のノズルから液体が吐出される(搬送量は、89・Dである)。
【0075】
第1実施形態においても、搬送量は、ノズル数Nが十分多ければ、インクを吐出するノズル列の領域の長さのおよそ1/k程度である。つまり、インクを吐出するノズル列の領域が長いほど、搬送量が長くなる。第1実施形態では、インクを吐出するノズル列の領域が比較例よりも長いため、比較例と比べて搬送量が長くなる。この結果、下地層及び接着層の形成完了が短時間で済む。
【0076】
図12Bに示すようにヘッド41が図中の左側から右側に移動する往路のパスの場合には、白インクを吐出するノズルが、接着液を吐出するノズルに対して、右側に位置しているため、下地層が形成された直後に、その上に接着層が形成される。これとは逆に、図12Cに示すようにヘッド41が図中の右側から左側に移動する復路のパスの場合には、白インクを吐出するノズルは、接着液を吐出するノズルに対して、左側に位置しているため、この場合も、下地層が形成された直後に、その上に接着層が形成される。つまり、往路及び復路のいずれの場合にも、下地層が形成された後に、接着層が形成される。
【0077】
以上の通り、第1実施形態では、カラーインクを吐出するノズルよりも搬送方向下流側において、白ノズル列のノズルから白インクを吐出するとともに、白インクを吐出するノズルと移動方向に並ぶ位置のノズルから接着液を吐出することによって、カラーインクの塗布された領域(着色層)の上に白地インク及び接着液を塗布している。このように転写媒体を製造しているため、着色層の形成が完了した後に、下地層と接着層の形成が一緒に開始されることになる。つまり、比較例とは異なり、第1実施形態では、着色層の形成工程の後、下地層及び接着層の2層形成工程が行われるため、2工程で済む。このように、第1実施形態では、比較例と比べて、工程数を減らすことができ、搬送量も長いため、転写媒体の生産速度が速くなる。
【0078】
また、第1実施形態では、白インクを吐出するノズルは、接着液を吐出するノズルよりも移動方向の下流側に位置している。これにより、着色層(カラーインクの塗布された領域)の上側に白インクを塗布して下地層を形成した後に、下地層(下地インクの塗布された領域)の上に接着液を塗布することができる。
【0079】
なお、第1実施形態では、キャリッジを往復移動させて、双方向記録を行っている。そして、キャリッジが往路に移動するときと(図11A、図12B参照)、復路に移動するときとで(図11B、図12C参照)、白インク及び接着液を吐出するノズルを変更している。これにより、キャリッジがどちらに移動する場合であっても、白インクを吐出するノズルを、接着液を吐出するノズルよりも移動方向の下流側に位置させることができる。
【0080】
<第1実施形態の変形例1>
図13は、第1実施形態の第1変形例のヘッド41の説明図である。第1変形例のヘッド41は、白ノズル列(W)の代わりに、メタリックノズル列(Me)を備えている。
【0081】
このように、下地層を形成するノズル列は、白インクを吐出する白ノズル列に限られず、メタリックインクを吐出するメタリックノズル列でも良い。もちろん、ヘッド41が、白ノズル列とメタリックノズル列の両方を備えていても良い。
【0082】
<第1実施形態の変形例2>
図14は、第1実施形態の第2変形例のヘッドの説明図である。第2変形例では、キャリッジ31に2つのヘッド(第1ヘッド41A、第2ヘッド41B)が設けられている。
【0083】
第1ヘッド41Aは、カラーインクを吐出する8個のノズル列を備えている。8個のノズル列は、前述の4色のノズル列(CMYK)と、ライトマゼンタインクを吐出するライトマゼンタノズル列(Lm)と、ライトシアンインクを吐出するライトシアンノズル列(Lc)と、オレンジインクを吐出するオレンジノズル列(Or)と、グリーンインクを吐出するグリーンノズル列(Gr)である。このように、第2変形例では、吐出可能なカラーインクの種類を増やすことができる。
【0084】
第2ヘッド41Bは、8個のノズル列を備えている。第2ヘッド41Bの8個のノズル列のうち、2個のノズル列は白ノズル列(W)であり、2個のノズル列はメタリックノズル列(Me)であり、2個のノズル列は第1接着ノズル列(A1)であり、2個のノズル列は第2接着ノズル列(A2)である。第1接着ノズル列(A1)が吐出する第1接着液と、第2接着ノズル列(A2)が吐出する第2接着液は、異なる種類の接着剤である。例えば、第1接着液は、被転写媒体がプラスチックの場合に適した接着液であり、第2接着液は、被転写媒体が金属の場合に適した接着液である。このように、第2変形例では、吐出可能な下地インクや接着液の種類を増やすことができる。
【0085】
第1ヘッド41Aは、第2ヘッド41Bに対して搬送方向上流側に位置している。これにより、着色層を形成した後に、下地層及び接着層を形成することが可能になる。
【0086】
図15A及び図15Bは、第1実施形態の第2変形例の記録方法の説明図である。
【0087】
第2変形例の記録方法では、第1ヘッド41Aの各ノズル列は、全ての領域のノズルを用いてカラーインクを吐出できる。このため、第2変形例では、搬送量が長くなり、着色層の形成完了が短時間で済む。
【0088】
第2変形例では、第2ヘッド41Bの1個の白ノズル列と1個の接着ノズル列の全ての領域のノズルが用いられる。つまり、第2変形例においても、白インクを吐出するノズルと、接着液を吐出するノズルは、搬送方向の位置が同じである。言い換えると、第2変形例においても、白インクを吐出するノズルと、接着液を吐出するノズルが、移動方向に並んでいる。このため、第2変形例においても、下地層と接着層の形成が一緒に開始されることになる。
【0089】
また、第2変形例においても、双方向記録時のキャリッジ31の移動方向に応じて、白インク及び接着液を吐出するノズルが異なる。但し、いずれの場合においても、白インクを吐出するノズルは、接着液を吐出するノズルに対して、移動方向の下流側に位置する。例えば、図15Aに示すように、キャリッジ31が図中の左側から右側に移動する往路のパスの場合には、白インクを吐出するノズルは、接着液を吐出するノズルに対して、右側に位置する。これとは逆に、図15Bに示すように、ヘッド41が図中の右側から左側に移動する復路のパスの場合には、白インクを吐出するノズルは、接着液を吐出するノズルに対して、左側に位置する。このため、往路及び復路のいずれの場合にも、下地層が形成された後に、接着層が形成される。
【0090】
第2変形例においても、着色層の形成が完了した後に、下地層と接着層の形成が一緒に開始されるため、2工程で済む。更に、第2変形例では、インクを吐出するノズルの領域が更に長くなるため、搬送量が更に長くなり、転写媒体の生産速度が速くなる。
【0091】
また、第2変形例によれば、着色層を形成するときに、カラーノズル列の全ての領域のノズルを用いてカラーインクを吐出できるため、インクを吐出しないノズルの数を減らすことができ、カラーインクの乾燥によるノズルの目詰まりを抑制できる。
【0092】
<第3変形例>
図16Aは、第1実施形態の第3変形例のヘッド41の説明図である。第3変形例では、2個の接着ノズル列が、白ノズル列を挟むように、配置されている。
【0093】
図16Bは、第1実施形態の第3変形例の記録方法の説明図である。カラーノズル列の用い方については、既に説明した第1実施形態と同様である。
【0094】
第3変形例においても、白ノズル列及び接着ノズル列では搬送方向下流側の半分の領域のノズルが用いられる。つまり、第3変形例においても、白インクを吐出するノズルと、接着液を吐出するノズルは、搬送方向の位置が同じである。言い換えると、第3変形例においても、白インクを吐出するノズルと、接着液を吐出するノズルが、移動方向に並んでいる。さらに、第3変形例では、前述の第1実施形態と異なり、2個の白ノズル列の両方が用いられると共に、2個の接着ノズル列の両方が用いられている。
【0095】
図17Aは、第1実施形態の第3変形例の記録方法の各層の形成の様子の説明図である。図17Bは、第1実施形態の第3変形例の転写媒体の構成の説明図である。
【0096】
第3変形例では、2個の接着ノズル列が白ノズル列を挟むように配置されているため、接着ノズル列が、白ノズル列に対して、移動方向の下流側と上流側の両方に配置されている。このため、白ノズル列から白インクが吐出されると共に、2個の接着ノズル列から接着液が吐出されると、着色層の上に接着層が形成された直後に、その上に下地層が形成される。また、その下地層が形成された直後に、その上に接着層が形成される。つまり、第3変形例では、接着層−下地層−接着層の3層の形成が一緒に開始されることになる。また、第3変形例では、着色層の形成工程の後、接着層−下地層−接着層の3層形成工程が行われるため、2工程で済む。
【0097】
第3変形例の転写媒体は、着色層と下地層との間にも接着層が形成されている。これにより、着色層と下地層との定着性・密着性が向上する。特に、下地層の遮蔽性を向上させるために粒径の大きな顔料の白インク(例えばTiO2を含有する白インク)が用いられた場合、粒径が大きいために下地層の定着性・密着性が損なわれるおそれがあるが、この第3変形例によれば、白地層の定着性・密着性を維持することができる。このため、第3変形例は、粒径の大きな顔料の白インク(例えばTiO2を含有する白インク)が用いられた場合に特に有利である。
【0098】
更に、第3変形例では、2個の白ノズル列を用いて下地層を形成している。これにより、前述の第1実施形態と比べて、下地層に塗布する白インクの量を増やすことができる。この結果、遮光性の高い白地層を形成でき、カラー画像(着色層)の視認性が向上する。
【0099】
<第4変形例>
前述のインターレース方式によれば1つのラスタラインを1つのノズルで記録しているが、複数のノズルで各ラスタラインを記録することも可能である。
【0100】
図18A及び図18Bは、オーバーラップ方式による記録方法の説明図である。図18Aは、パス1〜パス4におけるヘッドの位置とドットの記録の様子を示し、図18Bは、パス1〜パス8におけるヘッドの位置とドットの記録の様子を示している。
【0101】
「オーバーラップ方式」とは、各ラスタラインを複数のノズルで記録する記録方法である。例えば、図18A及び図18Bにおける記録方法では、各ラスタラインは、2つのノズルで記録されている。
【0102】
オーバーラップ方式では、パス毎に、各ノズルが、数ドットおきに間隔を空けてドットを記録する。そして、他のパスにおいて、間隔を空けて記録されたドットの間に他のノズルが補完するように(ドットの間を埋めるように)ドットを記録することにより、1つラスタラインが複数のノズルにより記録される。このようにM回のパスにて1つのラスタラインが記録される場合、「オーバーラップ数M」と定義する。
【0103】
図18A及び図18Bでは、各ノズルは1ドットおきに間隔を空けてドットを記録するので、パス毎に奇数番目の画素又は偶数番目の画素にドットが記録される。そして、1つのラスタラインが2つのノズルにより記録されているので、オーバーラップ数M=2になる。
【0104】
オーバーラップ方式において、搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)N/Mが整数であること、(2)N/Mはkと互いに素の関係にあること、(3)搬送量Fが(N/M)・Dに設定されること、が条件となる。
【0105】
図18A及び図18Bでは、ノズル列は搬送方向に並ぶ12個のノズルを有する。ノズルピッチk×Dの整数kは4なので、オーバーラップ方式の条件である「N/Mとkが互いに素の関係」を満たすために、全てのノズルは用いられずに、10個のノズルが用いられる。また、10個のノズルが用いられるため、媒体は搬送量5・Dにて搬送される。その結果、例えば、180dpi(4・D)のノズルピッチのノズル列を用いて、720dpi(=D)のドット間隔にて媒体にドットが記録される。
【0106】
1つのラスタラインがM個のノズルにより記録される場合、ノズルピッチ分のラスタラインが完成するためには、k×M回のパスが必要となる。例えば、図18A及び図18Bでは、1つのラスタラインが2つのノズルにより記録されているので、4つのラスタラインが完成するためには、8回のパスが必要となる。同図によれば、パス1のノズル♯9及びパス5のノズル♯4が記録したラスタラインよりも搬送方向上流側に、連続的なラスタラインがドット間隔Dにて記録されることが示されている。
【0107】
図18A及び図18Bでは、パス1では各ノズルが奇数画素にドットを記録し、パス2では各ノズルが偶数画素にドットを記録し、パス3では各ノズルが奇数画素にドットを記録し、パス4では各ノズルが偶数画素にドットを記録する。つまり、前半の4回のパスでは、奇数画素−偶数画素−奇数画素−偶数画素の順にドットが記録される。そして、後半の4回のパス(パス5〜パス8)では、前半の4回のパスと逆の順にドットが記録され、偶数画素−奇数画素−偶数画素−奇数画素の順にドットが記録される。なお、パス9以降のドットの記録順は、パス1からのドット記録順と同様である。
【0108】
そして、第4変形例として、前述のインターレース方式の代わりに、上記のオーバーラップ方式を採用しても良い。オーバーラップ方式が採用された場合においても、例えば前述の図11A及び図11Bのように、各ノズル列を2分割し、それぞれのノズル列の半分の領域から液体を吐出することが可能である。
【0109】
オーバーラップ方式で図11A及び図11Bに示すようにノズル列を用いて記録を行う場合、各ノズル列のノズル数が180個であれば、カラーノズル列の搬送方向上流側の90個のノズルが用いられるとともに、白ノズル列及び接着ノズル列のそれぞれの搬送方向下流側の90個のノズルが用いられることになる。そして、1つのラスタラインを2つのノズルにより形成する際には、オーバーラップ数M=2のオーバーラップ方式の条件を満たすために、90個のノズルから液体が吐出されると共に、媒体が搬送量45・Dにて搬送されることになる。
【0110】
このように、図11A及び図11Bに示すようにノズル列を用いて、インターレース方式ではなくオーバーラップ方式にて、転写媒体の着色層、下地層及び接着層を形成することも可能である。オーバーラップ方式の場合においても、インターレース方式の場合と同様に、インクを吐出するノズル列の領域が長いほど、搬送量が長くなる。このため、図11A及び図11Bに示すようにノズル列を用いれば、図8に示す比較例と比べてインクを吐出するノズル列の領域が長いので、比較例と比べて搬送量が長くなる。これにより、転写媒体の生産速度が速くなる。
【0111】
===第2実施形態===
<第2実施形態の概要>
下地層の遮蔽性を向上させるために粒径の大きな顔料の白インク(例えばTiO2を含有する白インク)が用いられることがある。但し、粒径の大きい顔料を含有する下地インクで下地層を形成すると、下地層の定着性・密着性が損なわれるおそれがある。仮に下地層の定着性・密着性が劣っていると、転写時に下地層で剥離が起こり、被転写媒体への転写に異常が生じるおそれがある。
【0112】
そこで、第2実施形態の転写媒体は、以下に説明するような構成にすることによって、下地層の定着性・密着性を向上させている。
【0113】
図19は、第2実施形態の転写媒体の構成の説明図である。第2実施形態では、着色層の上側に、下地インク及び接着液から構成された混在層が形成される。混在層の或る画素では、下地インクによって形成されたドット(下地ドット)の上に、接着液によって形成されたドット(接着ドット)が形成されるが、混在層の別の画素では、接着ドットの上に下地ドットが形成されている。つまり、混在層では、下地ドットの上に接着ドットが形成された画素と、接着ドットの上に下地ドットが形成された画素とが混在する。
【0114】
図20A及び図20Bは、混在層の形成方法の概要の説明図である。図20Aに示すように、キャリッジが往路を移動するパスでは、下地ノズル列のノズル(下地ノズル)が接着ノズル列のノズル(接着ノズル)に対してキャリッジの移動方向下流側に位置しているため、下地ドットの上に接着ドットが形成される。一方、図20Bに示すように、キャリッジが復路を移動するパスでは、接着ノズルが下地ノズルに対してキャリッジの移動方向下流側に位置しているため、接着ドットの上に下地ドットが形成される。
【0115】
そこで、第2実施形態では、双方向記録を行うことによって、混在層を形成する。
【0116】
<第2実施形態について>
図21Aは、第2実施形態のヘッド41の下面のノズルの説明図である。第2実施形態のヘッド41は、6個のノズル列を備えている。第2実施形態のヘッド41は、前述の図10の第1実施形態のヘッドと比較すると、ヘッド41が備えているノズル列の数が少ない。このため、第2実施形態では、ヘッド41の幅を短くできる。
【0117】
6個のノズル列は、4色分のカラーノズル列と、1個の白ノズル列と、1個の接着ノズル列である。第2実施形態のヘッド41は、前述の図10の第1実施形態のヘッドと比較すると、白ノズル列と接着ノズル列が1個ずつ少なくない。これは、後述するように、キャリッジの移動方向に関わらず液体を吐出するノズルを変更しないためである。
【0118】
図21Bは、第2実施形態の記録方法の説明図である。
【0119】
第2実施形態においても、各ノズル列を2分割し、それぞれのノズル列の半分の領域から液体を吐出する。カラーノズル列では搬送方向上流側の半分の領域のノズルが用いられ、白ノズル列及び接着ノズル列では搬送方向下流側の半分の領域のノズルが用いられる。つまり、第2実施形態においても、白インクを吐出するノズルと、接着液を吐出するノズルは、搬送方向の位置が同じである。言い換えると、第2実施形態においても、白インクを吐出するノズルと、接着液を吐出するノズルが、移動方向に並んでいる。
【0120】
第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、双方向記録時のヘッドの移動方向に関わらず、白インクを吐出するノズルや接着液を吐出するノズルは同じである。また、第2実施形態では、インターレース方式による記録は行わず、オーバーラップ方式による記録が行われる。
【0121】
図22は、第2実施形態の白ノズル列と接着ノズル列の記録方法の説明図である。ここでは、説明の都合上、白ノズル列及び接着ノズル列の搬送方向下流側の半分の領域のノズルを12個としている。また、図中の黒く塗り潰されたノズルは、液体を吐出可能なノズルである。
【0122】
図に示すように、白ノズル列と接着ノズル列のそれぞれの動作に着目すると、いずれもオーバーラップ方式に従って記録を行っている。また、白インクを吐出する白ノズル(ノズル♯1〜10)の搬送方向の位置と、接着液を吐出する接着ノズル(ノズル♯1〜10)の搬送方向の位置とが同じである。また、第2実施形態においても、双方向記録が行われている。図に示すように、パス1、3、6、8ではキャリッジが往路を移動し、パス2、4、5、7ではキャリッジが復路を移動する。
【0123】
図23は、図22の領域Aにおける8個のラスタラインのドットの様子の説明図である。図中では、白ドットを白丸印で示し、接着ドットを黒三角印で示し、白ドットと接着ドットの上下関係を白丸印と黒三角印の上下関係で示している。ここでは説明の簡略化のため、全ての画素に白ドット及び接着ドットを形成している。
【0124】
領域Aの上から奇数番目のラスタラインに注目すると、奇数画素にはキャリッジが往路に移動するパスでドットが形成され、偶数画素にはキャリッジが復路に移動するパスでドットが形成される。例えば、領域Aの上から1番目のラスタラインは、キャリッジが往路に移動するパス1のときに奇数画素にノズル♯9によってドットが形成され、キャリッジが復路に移動するパス5のときに偶数画素にノズル♯4によってドットが形成される。この結果、領域Aの上から奇数番目のラスタラインでは、奇数画素では接着ドットの上に白ドットが形成され、偶数画素では白ドットの上に接着ドットが形成される。
【0125】
一方、領域Aの上から偶数番目のラスタラインに注目すると、奇数画素にはキャリッジが復路に移動するパスでドットが形成され、偶数画素にはキャリッジが往路に移動するパスでドットが形成される。例えば、領域Aの上から2番目のラスタラインは、キャリッジが復路に移動するパス2のときに奇数画素にノズル♯8によってドットが形成され、キャリッジが往路に移動するパス6のときに偶数画素にノズル♯3によってドットが形成される。この結果、領域Aの上から奇数番目のラスタラインでは、奇数画素では白ドットの上に接着ドットが形成され、偶数画素では接着ドットの上に白ドットが形成される。
【0126】
このように、領域Aでは、いずれのラスタラインにおいても、キャリッジが往路に移動するパスでドットが形成される画素と、キャリッジが復路に移動するパスでドットが形成される画素とが、移動方向に交互に並んでいる。言い換えると、いずれのラスタラインにおいても、白ドットの上に接着ドットが形成された画素と画素の間に、接着ドットの上に白ドットが形成された画素が位置する。この結果、いずれのラスタラインにおいても、白ドットの上に接着ドットが形成された画素と、接着ドットの上に白ドットが形成された画素とが混在している。
【0127】
なお、オーバーラップ方式にて双方向記録を行うと共に、キャリッジが往路に移動するパスでドットが形成される画素と、キャリッジが復路に移動するパスでドットが形成される画素とが、移動方向に交互に並んでいれば、領域Aとは別の領域においても、白ドットの上に接着ドットが形成された画素と画素の間に、接着ドットの上に白ドットが形成された画素が位置することになる。つまり、領域Aとは別の領域においても、白ドットの上に接着ドットが形成された画素と、接着ドットの上に白ドットが形成された画素とが、移動方向に交互に並ぶように、各ラスタラインを形成することができる。
【0128】
以上説明した第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ヘッド41の搬送方向下流側では、白インクを吐出するノズルと接着液を吐出するノズルの搬送方向の位置を同じにしているので、工程数を減らすことができ、搬送量も長くできる。
【0129】
また、第2実施形態では、白インクを吐出するノズルと接着液を吐出するノズルの搬送方向の位置を同じにしつつ、オーバーラップ方式で双方向記録を行っている。これにより、着色層の上側に、白インク及び接着液から構成された混在層を形成することができる。この結果、転写媒体の白地層の定着性・密着性が向上し、転写時の白地層の剥離を抑制できる。
【0130】
特に、白地層の遮蔽性を向上させるために粒径の大きな顔料の白インク(例えばTiO2を含有する白インク)が用いられた場合、粒径が大きいために白地層の定着性・密着性が損なわれるおそれがあるが、この第2実施形態によれば、白地層の定着性・密着性を維持することができる。このため、第2実施形態は、粒径の大きな顔料の白インク(例えばTiO2を含有する白インク)が用いられた場合に特に有利である。
【0131】
<第2実施形態の変形例>
上記の第2実施形態の構成において、白ノズル列の代わりにメタリックノズル列を備えても良い。そして、メタリックインクを吐出するノズルと接着液を吐出するノズルの搬送方向の位置を同じにしつつ、オーバーラップ方式で双方向記録を行えば、メタリックインク及び接着液から構成された混在層を形成することができる。
【0132】
また、第2実施形態においても、前述の第1実施形態の変形例2(図14A)と同様に、キャリッジ31に2つのヘッドを設けても良い。
【0133】
===第3実施形態===
前述の第2実施形態では下地層の定着性・密着性を向上させているが、カラー画像(着色層)の定着性・密着性を向上させたいことがある。特に、粒径の大きい顔料を含有するカラーインクで着色層を形成するような場合には、着色層の定着性・密着性が損なわれ、転写時に箔切れの生じるおそれや、転写時に保護層が被転写媒体に転写されないおそれがある。
【0134】
そこで、第3実施形態の転写媒体は、以下に説明するような構成にすることによって、カラー画像(着色層)の定着性・密着性を向上させている。
【0135】
図24Aは、第3実施形態の転写媒体の構成の説明図である。第3実施形態では、図に示した領域のノズルを用いつつ、オーバーラップ方式で双方向記録を行う。
【0136】
第3実施形態では、着色層として、カラーインク及び接着液から構成された第1混在層が形成される。第1混在層の或る画素では、カラーインクによって形成されたドット(カラードット)の上に、接着液によって形成されたドット(接着ドット)が形成されるが、第1混在層の別の画素では、接着ドットの上にカラードットが形成されている。つまり、第1混在層では、カラードットの上に接着ドットが形成された画素と、接着ドットの上にカラードットが形成された画素とが混在する。
【0137】
なお、第1混在層の上側には、第2実施形態と同様に、下地インク及び接着液から構成された第2混在層が形成される。
【0138】
図24Bは、第3実施形態の記録方法の説明図である。第2実施形態の図21Bに示す記録方法と比較すると、第3実施形態では、接着ノズル列の搬送方向上流側の半分の領域のノズルも用いられている。
【0139】
第3実施形態では、着色層として第1混在層を形成するために、カラーノズル列の搬送方向上流側の半分の領域のノズルが用いられると共に、接着ノズル列の搬送方向上流側の半分の領域のノズルが用いられる。つまり、第1混在層を形成するためにカラーインクを吐出するノズルと、第1混在層を形成するために接着液を吐出するノズルは、搬送方向の位置が同じである。言い換えると、第1混在層を形成するためにカラーインクを吐出するノズルと、第1混在層を形成するために接着液を吐出するノズルが、移動方向に並んでいる。
【0140】
そして、前述の図22に示すような記録方法と同様に、カラーインクを吐出するノズルと接着液を吐出するノズルの搬送方向の位置を同じにしつつ、オーバーラップ方式で双方向記録を行う。このように記録すれば、カラードットの上に接着ドットが形成された画素と、接着ドットの上にカラードットが形成された画素とを混在させた第1混在層を形成することができる。これにより、第1混在層の構成要素の一部であるカラー画像の定着性・密着性を向上させることができ、転写時のカラー画像の転写性が向上する。つまり、カラー画像の全体をくくって被転写媒体に転写できるようになる。
【0141】
なお、第3実施形態においても、ヘッド41の搬送方向下流側では、白インクを吐出するノズルと接着液を吐出するノズルの搬送方向の位置を同じにしているので、工程数を減らすことができ、搬送量も長くできる。
【0142】
また、第3実施形態においても、ヘッド41の搬送方向下流側では、白インクを吐出するノズルと接着液を吐出するノズルの搬送方向の位置を同じにしつつ、オーバーラップ方式で双方向記録が行われる。これにより、着色層の上側に、白インク及び接着液から構成された混在層を形成することができる。この結果、転写媒体の白地層の定着性・密着性が向上し、転写時の白地層の剥離を抑制できる。
【0143】
===第4実施形態===
図25Aは、第4実施形態の転写媒体の構成の説明図である。前述の第3実施形態では、カラーインク及び接着液から構成される第1混合層を形成したが、この第4実施形態では、着色層と保護層との間に接着層を形成している。これにより、カラー画像(着色層)と保護層との定着性・密着性を向上させることができ、保護層を被転写媒体に正常に転写することができる。
【0144】
なお、着色層の上側には、第2実施形態とほぼ同様に、下地インク及び接着液から構成された混在層が形成される。
【0145】
図25Bは、第4実施形態の記録方法の説明図である。第4実施形態では、図に示した領域のノズルを用いつつ、オーバーラップ方式で双方向記録を行う。
【0146】
第4実施形態の記録方法では、各ノズル列を3分割し、それぞれのノズル列の1/3の領域のノズルが用いられる。カラーノズル列では中央部分の1/3の領域のノズルが用いられ、白ノズル列では搬送方向下流側の1/3のノズルが用いられ、接着ノズル列では、搬送方向上流側の1/3の領域のノズルと、搬送方向下流側の1/3の領域のノズルが用いられる。
【0147】
オーバーラップ方式で図に示すように記録を行う場合、各ノズル列のノズル数が180個であれば、カラーノズル列では中央部分の60個のノズルが用いられ、白ノズル列では搬送方向下流側の60個のノズルが用いられ、接着ノズル列では搬送方向上流側の60個のノズルと、搬送方向下流側の60個のノズルが用いられることになる。そして、1つのラスタラインを2つのノズルにより形成する際には、オーバーラップ数M=2のオーバーラップ方式の条件を満たすために、60個のノズルのうちの58個のノズルから液体が吐出されると共に、媒体が搬送量29・Dにて搬送されることになる。
【0148】
第4実施形態では、接着ノズル列の搬送方向上流側の1/3の領域のノズルによって、保護層の上に接着層が形成される。そして、接着層の形成が完了した後に、カラーノズル列の中央部分の1/3の領域のノズルによって、接着層の上に着色層(カラー画像)が形成される。その後、着色層の形成が完了した後に、白ノズル列及び接着ノズル列の搬送方向下流側の1/3の領域のノズルによって、混在層が形成される。つまり、第4実施形態では、接着層の形成工程、着色層の形成工程、及び、混在層の形成工程の全部で3工程が必要になる。
【0149】
第4実施形態においても、白インクを吐出するノズルと接着液を吐出するノズルの搬送方向の位置を同じにすることによって、混在層の形成工程を1工程にできるので、工程数を減らすことができ、搬送量も長くできる。もし仮に着色層の上側に下地層と接着層を別々の工程で形成することにすると、全部で4工程が必要になり、工程数が増えてしまう。また、この場合、各ノズル列を4分割して、それぞれのノズル列の1/4の領域のノズルを用いて各層を形成することになるため、第4実施形態と比較して、搬送量も短くなり、転写媒体の生産速度が遅くなってしまう。
【0150】
===第5実施形態===
前述の実施形態では、各ノズル列のノズルは搬送方向(X方向)に並んでおり、ノズル列(ヘッド)は幅方向(Y方向)に移動していた。但し、ノズル列のノズルの並ぶ方向は、搬送方向(X方向)に限られるものではない。また、ノズル列(ヘッド)の移動方向も媒体の幅方向(Y方向)に限られるものではない。
【0151】
図26Aは、第5実施形態の記録装置1の概略断面図であり、図26Bは、記録装置1の概略上面図である。
【0152】
第5実施形態のキャリッジユニット30は、キャリッジ31をXY方向に移動させるためのキャリッジ移動機構として、X軸ステージ32Xと、Y軸ステージ32Yとを有する。X軸ステージ32Xは、ヘッドユニット40を搭載したキャリッジ31をX方向に移動させることができる。Y軸ステージ32Yは、X軸ステージ32とともにキャリッジ31をY方向に移動させることができる。
【0153】
図27Aは、第5実施形態のヘッドユニット40における複数のヘッド41の配置の説明図であり、図27Bは、ヘッド41におけるノズルの配置の説明図である。ここでは、ヘッドユニット40が15個のヘッド41(1)〜41(15)を有する。ヘッドユニット40において、15個のヘッド41は、千鳥状にY方向に並んでいる。説明のため、Y方向上端側のヘッド41から順に、第1ヘッド41(1)、第2ヘッド41(2)、…、第15ヘッド41(15)と呼ぶ。
【0154】
各ヘッド41は、X方向に並ぶ6個のノズル列を備えている。6個のノズル列は、ブラックノズル列(K)と、シアンノズル列(C)と、マゼンタノズル列(M)と、イエローノズル列(Y)と、白ノズル列(W)と、接着液を吐出するための接着ノズル列(A)である。ブラックノズル列、シアンノズル列、マゼンタノズル列及びイエローノズル列は、カラー画像(着色層)を記録するためのカラーインクを吐出するノズル列(カラーノズル列)である。
【0155】
各ノズル列は、それぞれ180個のノズルから構成されている。各ノズル列の180個のノズルは、1/180インチ間隔のノズルピッチで並んでいる。また、各ノズル列の180個のノズルは、Y方向(幅方向)に沿って並んでいる。説明のため、Y方向の上端側のノズルから順に小さい番号を付す(#1〜#180)。
【0156】
Y方向に隣り合うヘッド(例えば、ヘッド41(1),41(2))のうち、上端側のヘッド(ヘッド41(1))の下端の4つのノズル(#177ノズル、#178ノズル、#179ノズル、及び、#180ノズル)と下端側のヘッド(ヘッド41(2))の上端の4つのノズル(#1ノズル、#2ノズル、#3ノズル、及び、#4ノズル)とのY方向に関する位置が一致している。このような関係が成立するように、ヘッド41(1)からヘッド41(15)が配置されている。このように15個のヘッド51を配置することによって、ヘッドユニット40を1つの大きなヘッド(仮想ヘッド)とみなすことができる。言い換えると、このように15個のヘッド51を配置することによって、各色の15個のノズル列を1つの大きなノズル列(仮想ノズル列)とみなすことができる。そして、ヘッドユニット40をX方向に移動させることでヘッド41(1)からヘッド41(15)にカバーされる領域にインクを吐出することができる。15個のノズル列を1つの大きなノズル列とみなした場合、ヘッド41(2)の#1ノズルは#177ノズルとなり、#2ノズルは#178ノズルとなり、#3ノズルは#179ノズルとなり、#4ノズルは#180ノズルとなる。重複するノズルが存在する場合、いずれか一方のノズルからインクを吐出しても良いし、重複するノズルが互いを補完しながらインクを吐出しても良い。
【0157】
図28は、第5実施形態の記録方法の説明図である。説明の都合上、15個のノズル列を1つの仮想ノズル列とみなすとともに、その仮想ノズル列を構成するノズルの数を5個に減らしている。
【0158】
第5実施形態では、記録装置1は、キャリッジ31をX方向に移動させる動作(パス)と、キャリッジ31をY方向に移動させる相対移動動作とを交互に繰り返す。各パスを行う際に、コントローラー10は、キャリッジ31をX方向に移動させるとともに、ヘッド41の所定のノズルから液体を吐出させ、媒体Sに液体を塗布させる。また、各パスの間の相対移動動作を行う際に、コントローラー10は、ドットピッチ(ここでは1/720インチ)と同じ送り量でキャリッジ31をY方向に移動させる。パスと相対移動動作が繰り返されることによって、720dpiの解像度の画像を記録領域に形成することができる。
【0159】
転写媒体を製造する際には、まず、コントローラー10は、カラーノズル列(K、C、M、Y)を用いて図28に示すようにパスと相対移動動作とを交互に繰り返し、カラードットから構成されるカラー画像(着色層)を形成する。このとき、コントローラー10は、双方向記録を行うことができる。次に、コントローラー10は、キャリッジ31のY方向の位置を戻した上で、白ノズル列(W)と接着ノズル列(A)とを用いて図28に示すようにパスと相対移動動作とを交互に繰り返し、着色層の上に、白画像(下地層)と接着画像(接着層)とを形成する。このとき、コントローラー10は、白ノズル列が接着ノズル列よりも移動方向下流側になるように、キャリッジ31を移動させる(つまり、双方向記録は行われない)。これにより、下地層が形成された直後に接着層が形成される。
【0160】
なお、記録領域において着色層、下地層及び接着層が形成された後、コントローラー10は、搬送ユニット20に媒体を搬送方向(X方向)に搬送させて、液体の塗布された領域を乾燥ユニット50に通過させて液体を乾燥させて、転写媒体を完成させる。また、コントローラー10は、搬送ユニット20に媒体を搬送方向(X方向)に搬送させて、媒体の未記録の領域を記録領域に供給させる。
【0161】
第5実施形態においても、着色層の形成が完了した後に、下地層と接着層の形成が一緒に開始されることになる。つまり、比較例とは異なり、着色層の形成工程の後、下地層及び接着層の2層形成工程が行われるため、2工程で済む。
【0162】
===その他===
上記の実施形態は、主としてプリンターについて記載されているが、その中には、印刷装置、印刷方法、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体等の開示が含まれていることは言うまでもない。
【0163】
また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0164】
<転写媒体について>
前述の実施形態では、転写媒体に着色層、下地層及び接着層が形成されていた。但し、例えば被転写媒体が透明であるような場合に被転写媒体を遮光するため、下地層(背景画像)を転写したい場合がある。このような場合には、必ずしも転写媒体に着色層を形成しなくても良い。
【0165】
そして、転写媒体に着色層を形成しない場合においても、白ノズル列のノズルから白インクを吐出するとともに、白インクを吐出するノズルと移動方向に並ぶ位置のノズルから接着液を吐出することによって、媒体に白地インク及び接着液を塗布することができる。このように転写媒体を製造すれば、下地層と接着層の形成が一緒に開始されることになる。この結果、下地層の形成と接着層の形成とを別々の工程で行う場合と比べて、下地層と接着層の形成工程を減らすことができる。なお、転写媒体に着色層を形成しない場合には、前述のヘッド41にカラーノズル列を設けなくても良い。
【0166】
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0167】
1 プリンター、10 コントローラー、
11 インターフェース部、12 CPU、
13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジ移動機構、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 乾燥ユニット、60 検出器群、
90 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地インクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ下地ノズル列と、
接着液を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ接着ノズル列と、
前記下地ノズル列及び前記接着ノズル列を移動方向に移動させるキャリッジと
を備え、
前記キャリッジの移動中に前記下地ノズル列の前記ノズルから前記下地インクを吐出すると共に、前記下地インクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記下地インク及び前記接着液を塗布した転写媒体を製造する
ことを特徴とする転写媒体の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製造装置であって、
カラーインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並ぶカラーノズル列であって、前記キャリッジにより前記移動方向に移動するカラーノズル列を備え、
前記キャリッジの移動中に前記カラーノズル列の前記ノズルから前記カラーインクを吐出し、
前記キャリッジの移動中に前記下地ノズル列の前記ノズルから前記下地インクを吐出すると共に、前記下地インクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記カラーインクの塗布された領域に前記下地インク及び前記接着液を塗布した転写媒体を製造する
ことを特徴とする転写媒体の製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の製造装置であって、
前記下地インクを吐出する前記ノズルは、前記接着液を吐出する前記ノズルよりも前記移動方向の下流側に位置し、
前記カラーインクの塗布された領域の上に前記下地インクを塗布した後、前記下地インクの塗布された領域の上に前記接着液を塗布することによって、前記転写媒体を製造する
ことを特徴とする製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の製造装置であって、
前記キャリッジは往復移動可能であり、
前記キャリッジが往路に移動するときと、前記キャリッジが復路に移動するときとで、前記下地インク及び前記接着液を吐出するノズルの少なくとも一部が変更されることによって、前記キャリッジの移動中に前記下地インクを吐出するノズルが前記接着ノズル列よりも前記移動方向の下流側に位置する
ことを特徴とする製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造装置であって、
前記移動方向に並ぶ複数の画素において、前記下地インクが塗布された後に前記接着液が塗布される画素と、前記接着液が塗布された後に前記下地インクが塗布される画素とが混在する
ことを特徴とする製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の製造装置であって、
前記キャリッジが往復移動可能であり、
前記キャリッジが往路に移動するときに前記下地インク及び前記接着液が塗布される画素の間に、前記キャリッジが復路に移動するときに前記下地インク及び前記接着液が塗布される画素が位置する
ことを特徴とする製造装置。
【請求項7】
請求項2に記載の製造装置であって、
前記カラーインクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記カラーインクの塗布される領域の前記移動方向に並ぶ複数の画素において、前記カラーインクが塗布された後に前記接着液が塗布される画素と、前記接着液が塗布された後に前記カラーインクが塗布される画素とが混在する
ことを特徴とする製造装置。
【請求項8】
請求項2に記載の製造装置であって、
前記接着剤の塗布された領域に前記カラーインクを吐出することによって、カラードットの下に接着ドットを形成する
ことを特徴とする製造装置。
【請求項9】
下地インクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ下地ノズル列と、接着液を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ接着ノズル列と、前記下地ノズル列及び前記接着ノズル列を移動方向に移動させるキャリッジとを備えた製造装置を準備し、
前記キャリッジの移動中に前記下地ノズル列の前記ノズルから前記下地インクを吐出すると共に、前記下地インクを吐出する前記ノズルと前記移動方向に並ぶ位置の前記ノズルから前記接着液を吐出することによって、前記下地インク及び前記接着液を塗布した転写媒体を製造する
ことを特徴とする転写媒体の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図1】
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【図9】
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【図12】
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【図17】
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【図19】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−250504(P2012−250504A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126503(P2011−126503)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】