説明

転写装置及び画像形成装置

【課題】転写対向部材の帯電による異常放電を防止することができる転写装置を提供する。
【解決手段】本発明は、表面に画像を担持するためのベルト10と、電源24から転写電圧が印加される転写部材12と、ベルト10を介して転写部材12に対向して配設された転写対向部材8とを備えた転写装置におけるものである。当該転写装置は、転写対向部材8の表面に当接する導電性の当接部材25を備えると共に、当接部材25を接地させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を記録媒体に転写するための転写装置、及びその転写装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置として、感光体の表面に形成されたトナー画像を記録用紙等に直接転写するいわゆる直接転写方式のものと、感光体上のトナー画像を中間転写体としての中間転写ベルトを介して記録用紙等に転写するいわゆる間接転写方式のものが知られている。
【0003】
図10に、直接転写方式の画像形成装置の一例を示す。
この直接転写方式の画像形成装置1Aは、無端状のベルト部材から成る感光体ベルト2Aと、帯電装置3Aと、現像装置4Aと、露光装置5Aと、感光体ベルト2Aを介して互いに対向して配設された転写ローラ6A及び転写対向ローラ7A等を備える。
【0004】
図10に示す画像形成装置の画像形成工程及び転写工程について説明する。
まず、感光体ベルト2Aを図の矢印の方向に走行させ、帯電装置3Aによって感光体ベルト2Aの表面を帯電させる。次に、露光装置5Aによって感光体ベルト2Aの帯電面を露光して、感光体ベルト2A上に静電潜像が形成される。そして、静電潜像に現像装置4Aからトナーが供給され、感光体ベルト2A上にトナー画像が形成される。また、図示しない給紙部から記録用紙Pが送り出され、上記感光体ベルト2A上のトナー画像とタイミングを合わせて、記録用紙Pが転写ローラ6Aと転写対向ローラ7Aとの間の転写位置へ搬送される。そして、図示しない電源から転写ローラ6Aに転写電圧が印加されることにより、感光体ベルト2A上のトナー画像が記録用紙Pへ静電的に転写される。
【0005】
また、図11に、間接転写方式の画像形成装置の一例を示す。
この間接転写方式の画像形成装置1Bは、ドラム状に形成された複数の感光体ドラム2Bと、各感光体ドラム2Bに対応して配設された複数の帯電装置3B及び複数の現像装置4Bと、露光装置5Bと、中間転写ベルト6Bと、中間転写ベルト6Bを介して各感光体ドラム2Bに対向して配設された複数の一次転写ローラ7Bと、中間転写ベルト6Bを介して互いに対向して配設された二次転写ローラ8B及び転写対向ローラ9B等を備える。
【0006】
図11に示す画像形成装置の画像形成工程及び転写工程について説明する。
まず、各感光体ドラム2Bを図の矢印の方向に回転させ、各帯電装置3Bによって各感光体ドラム2Bの表面を帯電させる。次に、露光装置5Bによって各感光体ドラム2Bの帯電面を露光して各感光体ドラム2B上に静電潜像を形成する。そして、それぞれの静電潜像に各現像装置4Bからトナーが供給され、各感光体ドラム2B上にトナー画像が形成される。各感光体ドラム2B上のトナー画像は、図示しない電源からの転写電圧を各一次転写ローラ7Bに印加することにより、図の矢印の方向に走行する中間転写ベルト6Bに静電的に一次転写される。また、図示しない給紙部から送り出された記録用紙Pが、中間転写ベルト6B上のトナー画像とタイミングを合わせて、二次転写ローラ8Bと転写対向ローラ9Bとの間の二次転写位置へ搬送される。そして、図示しない電源から二次転写ローラ8Bに転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト6B上のトナー画像が記録用紙Pへ静電的に二次転写される。
【0007】
図10に示す直接転写方式の画像形成装置において、転写ローラ6Aに印加された転写電圧により生じる転写電流の一部は、転写対向ローラ7Aを介してグランドに流れ込むように構成されている。また、図11に示す間接転写方式の画像形成装置においても、二次転写ローラ8Bに印加された転写電圧により生じる転写電流の一部は、転写対向ローラ9Bを介してグランドに流れ込むようになっている。
【0008】
ところが、感光体ベルトや中間転写ベルトの耐久寿命の末期になると、ベルトの成分やベルトの内部に混入した異物、トナー等が転写対向ローラの表面に付着し、それによって転写対向ローラの表面が薄い膜で覆われるフィルミングと呼ばれる現象が生じる。転写対向ローラにフィルミングが生じた結果、転写対向ローラの電気抵抗が上昇すると、転写対向ローラから転写電流をうまくグランドに流すことができず、転写対向ローラの表面が帯電し、ある時に異常放電を起こす。このような異常放電が画像の転写時に発生した場合は、転写画像に放電跡が形成され画像不良が生じる虞がある。また、異常放電による電流が転写ローラを介して電源に逆流することによって、電源基盤に異常をきたす虞もある。
【0009】
一方、従来の画像形成装置には、転写対向ローラの表面に付着した異物等を除去する清掃手段としてブラシを備えているものがある(例えば、下記特許文献1参照)。この場合、転写対向ローラの回転に伴ってブラシが転写対向ローラの表面に摺接するようになっており、ブラシによって転写対向ローラの表面上の異物等を物理的・機械的に除去することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記フィルミングは、電気的に染み出したベルトの成分が転写対向ローラの表面に付着することによって生じるため、ブラシ等の物理的・機械的な清掃手段では、フィルミングを除去することは困難である。また、フィルミング以外に、転写対向ローラの表層部分が通電により劣化した結果、その特性が変化することによっても、転写対向ローラの表面の電気抵抗が上昇することがある。この場合は、転写対向ローラの表面をクリーニングしても転写対向ローラの帯電を防止することはできない。
【0011】
そこで、本発明は斯かる事情に鑑み、転写対向ローラの帯電による異常放電を防止することができる転写装置、及びその転写装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、表面に画像を担持するためのベルトと、電源から転写電圧が印加される転写部材と、前記ベルトを介して前記転写部材に対向して配設された転写対向部材とを備えた転写装置において、前記転写対向部材の表面に当接する導電性の当接部材を備えると共に、当該当接部材を接地させたものである。
【0013】
転写対向部材の表面に導電性の当接部材を当接させて接地しているので、フィルミングや劣化などによって転写対向部材の電気抵抗が上昇しても、転写部材に転写電圧が印加されることによって生じる転写電流を、当接部材を介してグランドに流すことができる。これにより、転写対向部材の表面の帯電、及びそれにより生じる異常放電を防ぐことができ、転写画像に放電跡が生じたり、放電による電流が電源へ逆流したりするなどの不具合を防止することができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の転写装置において、前記当接部材の電気抵抗を10Ω以下としたものである。
【0015】
当接部材の電気抵抗を10Ω以下にすることによって、転写対向部材の帯電や異常放電が生じやすい条件下であっても、転写対向部材の帯電や異常放電を防止することが可能となる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の転写装置において、前記転写対向部材が回転体である場合、当該回転体の表面の異物を除去する清掃手段を設けたものである。
【0017】
転写対向部材としての回転体の表面に異物が付着すると、その異物が回転体の回転に伴って回転体と当接部材との間に挟まり、回転体と当接部材との当接箇所において隙間が生じることがある。これにより、回転体(転写対向部材)に対する当接部材の当接が不良となると、当接部材を通じて転写電流をグランドに流す機能が低下する、あるいはその機能を果たせなくなる虞がある。
【0018】
そこで、回転体の表面の異物を除去する清掃手段を設けることにより、回転体と当接部材との間に異物が挟まるのを防止することができ、回転体対する当接部材の当接を良好に維持することが可能となる。これにより、回転体(転写対向部材)の帯電防止効果を安定して発揮することができる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の転写装置において、前記転写対向部材が回転体であって、前記当接部材を導電性シートで構成した場合、前記回転体に前記導電性シートを当接させる方向を、前記回転体の回転方向に対してトレーリング方向としたものである。
【0020】
導電性シートを回転体の回転方向に対してトレーリング方向に当接させた場合は、回転体の回転に伴う導電性シートの捲れや巻き込みが発生しにくくなる。導電性シートの捲れや巻き込みを防止することにより、導電性シートの破損(傷付き等)や回転体(転写対向部材)に対する当接不良を防止することができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の転写装置において、前記転写対向部材が回転体であって、前記当接部材を導電性シートで構成した場合、前記回転体に前記導電性シートを当接させる方向を、前記回転体の回転方向に対してカウンター方向としたものである。
【0022】
導電性シートをカウンター方向に当接させた場合は、トレーリング方向に当接させた場合に比べ、回転体(転写対向部材)に対する当接部材の当接位置が、ベルトと回転体(転写対向部材)との接触開始位置から遠くなる。このため、前記接触開始位置のベルト走行方向の上流側に、ベルト裏面クリーニング部材等を配設するスペースを確保することができる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項5に記載の転写装置において、前記導電性シートの前記回転体に対する当接圧を1N/m以上となるようにしたものである。
【0024】
導電性シートの当接方向を、回転体の回転方向に対してカウンター方向とし、さらに、回転体に対する導電性シートの当接圧を1N/m以上としたことによって、導電性シートによって回転体の表面に付着した異物を除去することができる。すなわち、この場合、導電性シートは、回転体に対する帯電防止手段及び清掃手段としての機能を兼ねる。従って、回転体の表面の異物を除去する専用の清掃手段を別途設ける必要がないので、部品点数を削減して小型化及びコスト低減を図り得る。
【0025】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の転写装置において、前記当接部材を導電性シートで構成し、当該導電性シートにそれよりも剛性の高い当接補助部材を付設したものである。
【0026】
導電性シートにそれより剛性の高い当接補助部材を付設することによって、導電性シートの見かけ上の剛性を向上させることが可能となる。これにより、導電性シートが剛性の低い部材で形成されていても、転写対向部材に対する導電性シートの当接圧を十分に確保することができ、導電性シートを介して転写電流をグランドに流すことができる。また、これにより、導電性シートの材料に剛性の低いものも適用可能となるため、材料の選択範囲が広がる。
【0027】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の転写装置において、前記当接部材を、接地経路の少なくとも一部を形成する支持部材に、導電性の両面粘着テープを介して取り付けたものである。
【0028】
当接部材の支持部材への取付を両面粘着テープで行うことによって、ネジ等の締結部材を使用して当接部材の取付を行うよりも、取付作業が簡単になると共に、省スペース化及び小型化を図れる。さらに、両面粘着テープは安価であるので、製造コストの低減も図ることが可能である。
【0029】
請求項9の発明は、請求項8に記載の転写装置において、前記導電性の両面粘着テープにスリットを形成したものである。
【0030】
両面粘着テープにスリットを形成することによって、当接部材と両面粘着テープとの線膨張係数の違いによる伸縮量の差を吸収することができ、当接部材の変形を防止することが可能となる。これにより、転写対向部材に対する当接部材の当接を良好に維持することができ、転写対向部材の帯電防止効果を安定して発揮することが可能となる。
【0031】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の転写装置において、前記転写対向部材を、芯金の外周に中抵抗の表層部を配設したローラで構成したものである。
【0032】
中抵抗の表層部にフィルミングや通電劣化などが生じた結果、表層部の電気抵抗が上昇すると、異常放電が生じる虞がある。このような場合でも、表層部の表面に導電性の当接部材を当接させて接地することにより、当接部材を介して転写電流グランドに流すことができる。これにより、表層部の帯電により生じる異常放電を防ぐことができ、転写画像に放電跡が生じたり、放電による電流が電源へ逆流したりするなどの不具合を防止することができる。
【0033】
請求項11の発明は、請求項10に記載の転写装置において、前記芯金を接地したものである。
【0034】
転写対向部材の表層部と芯金の両方を接地させることにより、表層部と芯金の両方からグランドに転写電流を流すことができ、転写対向部材の帯電及び異常放電を確実に防止することができる。
【0035】
請求項12の発明は、請求項1から11のいずれか1項に記載の転写装置を備えた画像形成装置である。
【0036】
本発明の転写装置を画像形成装置に適用可能である。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、転写対向部材が帯電することによる異常放電を防止することができるので、放電跡のない良好な転写画像を得ることができると共に、放電による電流が電源へ逆流することによる異常を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1に係る構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例2に係る構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例3に係る構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例4に係る構成を示す図である。
【図6】本発明の実施例5に係る構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例6に係る構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例7に係る構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例8に係る構成を示す図である。
【図10】直接転写方式の画像形成装置の概略構成図である。
【図11】間接転写方式の画像形成装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、画像形成装置本体100に対して着脱可能に構成された4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。そこで、1つのプロセスユニット1Yを例にその構成を説明する。
【0040】
プロセスユニット1Yは、像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2の表面にトナー(現像剤)を供給する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備えている。
【0041】
上記感光体2は円筒形に形成された感光体ドラムである。この感光体ドラムは、図の時計回りに周速100〜180mm/sで回転するように構成されている。上記帯電ローラ3は感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転によって帯電ローラ3は従動回転する。また、帯電ローラ3は、図示しない高圧電源によりDCあるいはDCにACが重畳されたバイアスが印加されるようになっている。上記現像装置4は、現像剤としてのトナーを図示しない高圧電源から供給される現像バイアスによって感光体2へ転移させるように構成されている。ここでは、現像剤として磁性体を含んだ1成分現像剤を使用しているが、トナーとキャリアを有する2成分現像剤を使用することも可能である。
【0042】
図1において、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段としての露光装置7が配設されている。露光装置7は、レーザダイオードを用いたレーザビームスキャナやLED等を適用可能である。一方、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置6が配設されている。転写装置6は、無端状のベルトから構成される中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、駆動ローラ8及び従動ローラ9に張架され、図の矢印の方向に周回走行可能に構成されている。また、従動ローラ9に、中間転写ベルト10に張力を付与するためのテンションローラとしての機能も持たせている。なお、中間転写ベルト10を張架している各ローラ8,9は、図示しない側板によってその軸方向両端を回転可能に支持されている。
【0043】
上記中間転写ベルト10に用いる材質としては、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、TPE(サーモプラスチックエラストマー)等にカーボンブラック等の導電性材料を分散させた樹脂フィルム状のエンドレスベルトとしたものを用いることができる。本実施形態では、ベルト引張弾性率1000〜2000[MPa](引張弾性率:ISOR1184−1970に準拠して測定。試験片:幅15[mm]、長さ150[mm]、引張速度:1[mm/min]、つかみ具間距離:100[mm])のTPEにカーボンブラックを添加した単層構造の構成で厚さ90〜160[μm]、ベルト幅230[mm]のベルトを用いた。
【0044】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。本実施例では、一次転写ローラ11として金属製ローラを適用しているが、これ以外に、導電性ブレードや導電性スポンジローラ等を一次転写手段として適用することも可能である。各一次転写ローラ11は中間転写ベルト10を介して感光体2に圧接されており、各感光体2と中間転写ベルト10との間に一次転写ニップN1を形成している。また、一次転写ローラ11は、図示しない単独の高圧電源から所定の転写電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0045】
また、駆動ローラ8に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。すなわち、本実施例では、駆動ローラ8は、中間転写ベルト10を介して二次転写ローラ12に対向して配設された転写対向ローラとされている。以下、駆動ローラ8を転写対向ローラ8と呼ぶことにする。二次転写ローラ12は、中間転写ベルト10を介して転写対向ローラ8に圧接されており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト10との間に二次転写ニップN2を形成している。二次転写ローラ12は、図示しない高圧電源から所定の転写電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0046】
二次転写ローラ12は、SUS等の金属製芯金上に、導電性材料によって106〜1010[Ω]の抵抗値となるように調製されたウレタン等の弾性層を被覆することで構成されている。その材料としては、イオン導電性ローラ(ウレタン+カーボン分散、NBR、ヒドリン)や電子導電タイプのローラ(EPDM)等が用いることができる。本実施形態ではφ20[mm]、アスカーC硬度35〜50[°]の発泡ローラとしてのウレタンローラを用いている。なお、二次転写ローラ12の抵抗値は、伝導性の金属製板に二次転写ローラ12を設置し、芯金両端部に片側4.9[N](両側で合計9.8[N])の荷重を掛けた状態にて、芯金と金属製板との間に1000[V]の電圧を印加した時に流れる電流値から算出したものである。
【0047】
また、中間転写ベルト10の外周面には、ベルトクリーニング装置21が配設されている。ベルトクリーニング装置21は、中間転写ベルト10の外周面に当接するベルトクリーニングブレード21aを有する。このベルトクリーニングブレード21aは中間転写ベルト10の走行方向に対してカウンター方向に配設されている。また、ベルトクリーニング装置21から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置6の下方に配設された廃トナー収容器22の入り口部に接続されている。
【0048】
画像形成装置本体100の下部には、記録媒体としての記録用紙Pを収容した給紙カセット23や、給紙カセット23から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ14等が設けてある。また、画像形成装置本体100内には、記録用紙Pを画像形成装置本体100の上面に設けたストック部20へと搬送するための搬送経路Rが形成されている。この搬送経路Rにおいて、給紙ローラ14と二次転写ローラ12との間には、一対のレジストローラ15a,15bが配設されている。また、二次転写ローラ12よりも、搬送経路Rの搬送方向下流側(図の上方)には、記録用紙P上の画像を定着させるための定着装置16が配設されている。定着装置16は、加熱ローラ17と加圧ローラ18等を有する。加熱ローラ17と加圧ローラ18は互いに圧接されており、それらの間に定着ニップN3を形成している。また、搬送経路Rの搬送方向下流端部には、記録用紙Pを装置外に排出するための一対の排紙ローラ19a,19bが配設されている。
【0049】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
画像形成動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置7からレーザ光がそれぞれ照射されて、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として可視像化される。
【0050】
駆動ローラとしての転写対向ローラ8が図の反時計回りに回転駆動されることによって、中間転写ベルト10が図の矢印で示す方向に周回走行する。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップN1において転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップN1において形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上に順次重ね合わさるように静電的に転写(一次転写)される。かくして中間転写ベルト10はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。
【0051】
トナー画像が転写された後の各感光体2の表面に付着する残留トナーは、各クリーニングブレード5によって感光体2の表面から除去され、次いで、その表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0052】
また、給紙ローラ14が回転することによって、給紙カセット23から記録用紙Pが搬送経路Rに送り出される。搬送経路Rに送り出された記録用紙Pは、レジストローラ15a,15bによってタイミングを計られて、二次転写ローラ12と転写対向ローラ8との間の二次転写ニップN2に送られる。このとき二次転写ローラ12に、中間転写ベルト10上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、二次転写ニップN2に転写電界が形成される。そして、二次転写ニップN2に形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上のトナー画像が記録用紙P上に一括して静電的に転写(二次転写)される。トナー画像が転写された記録用紙Pは定着手段16へと搬送され、記録用紙Pが加熱ローラ17と加圧ローラ18との間の定着ニップN3を通過する際に熱と圧が加えられてトナー画像が熔融されて定着される。トナー画像が定着された記録用紙Pは、排紙ローラ19a、19bによってストック部20へと排出される。また、転写後の中間転写ベルト10上に残留するトナーは、ベルトクリーニングブレード21aによって除去される。そして、除去されたトナーは、廃トナー収容器22へ搬送され回収される。
【0053】
以上の説明は、記録用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0054】
以下、上記本発明の画像形成装置が備える転写装置6の構成について説明する。
【実施例1】
【0055】
図2に、本発明の実施例1に係る構成を示す。図2は、本発明の上記転写装置6の転写ニップN2の周辺領域を示す概略構成図である。また、図2において、図1と同一の符号は同じ部材を示している。
【0056】
図2に示すように、転写対向ローラ8は、金属製の芯金81と、その芯金81の表面を被覆するように配設された表層部82によって構成されている。表層部82は、中間転写ベルト10に対するグリップ性を高め搬送性を向上させるために、摩擦係数の高いゴム材等で形成されている。さらに、このゴム材等にカーボンやチタン等の導電性材料を混ぜて、表層部82の電気抵抗を10〜10[Ω]の範囲内に設定している。このように、表層部82を中抵抗とすることにより、電源24(高圧電源)から二次転写ローラ12に転写電圧を印加した際に生じる転写電流の一部を、二次転写ニップN2を通過中の記録用紙P(図示省略)、中間転写ベルト10を通して、転写対向ローラ8からグランドに流すようにしている。
【0057】
また、転写対向ローラ8の外周面には、導電性の当接部材25を当接させている。ここでは、当接部材25として導電性シート26を用いている。導電性シート26の材料としては、特に、電気抵抗が10Ω以下の材料を適用することが好ましい。なお、当接部材25として、導電性の布(除電布)等を用いることも可能である。
【0058】
この場合、導電性シート26の当接方向は、転写対向ローラ8の回転方向に対してトレーリング方向となるようにしている。すなわち、導電性シート26の転写対向ローラ8に当接する先端部が臨む方向と、転写対向ローラ8の回転方向とが同じ方向となるように、導電性シート26を配設している。
【0059】
また、導電性シート26は接地されている。具体的には、接地経路30の一部を形成する金属製の支持部材27に導電性シート26が取り付けてある。なお、この支持部材27は、転写装置6の左右の側板を支持する部材でもある。
【実施例2】
【0060】
図3に、本発明の実施例2に係る構成を示す。
この実施例2は基本的に上記実施例1と同様に構成されているが、実施例2では、さらに接地経路31を介して転写対向ローラ8の芯金81の内周面を接地している。これ以外の構成は、上記実施例1と同様であるので説明を省略する。また、図3において図2と同一の符号は、図2と同じ部材を示している。
【実施例3】
【0061】
図4に、本発明の実施例3に係る構成を示す。
この実施例3も基本的に上記実施例1と同様に構成されているが、実施例3では、さらに転写対向ローラ8の表面を清掃する清掃手段としてのクリーニング部材29を設けている。このクリーニング部材29はブレード状の部材で形成されているが、ブラシローラやスポンジローラ等をクリーニング部材として使用してもよい。これ以外の構成は、上記実施例1と同様であるので説明を省略する。また、図4において図2と同一の符号は、図2と同じ部材を示している。
【実施例4】
【0062】
図5に、本発明の実施例4に係る構成を示す。
図5に示す実施例4では、中間転写ベルト10の裏面(内周面)に接触するベルト裏面クリーニング部材32を設けている。この場合、ベルト裏面クリーニング部材32は、中間転写ベルト10と転写対向ローラ8との接触開始位置Eの近く(又は接触開始位置Eに対して中間転写ベルト10の走行方向の上流側)に配設されている。また、この場合、導電性シート26の当接方向を、転写対向ローラ8の回転方向に対してカウンター方向としている。すなわち、導電性シート26の転写対向ローラ8に当接する先端部が臨む方向と、転写対向ローラ8の回転方向とが互いに逆方向となるように、導電性シート26を配設している。以上、図5に示す実施例4おいて、上述の構成以外は、上記実施例1と同様であるので説明を省略する。また、図5において図2と同一の符号は、図2と同じ部材を示している。
【実施例5】
【0063】
図6に、実施例5に係る構成を示す。図6では、導電性シート26(当接部材25)及び支持部材27等を拡大して示し、中間転写ベルト10、二次転写ローラ12、転写対向ローラ8等は図示省略している。
図6に示す実施例5は、導電性シート26の図の上面に、導電性シート26よりも剛性の高い当接補助部材33を付設している。一方、導電性シート26の図の下面は、支持部材27に取り付けられている。この実施例では、当接補助部材33として、PET(ポリエチレンテレフタレート)シートを適用しているが、これ以外の部材であっても適用可能である。このように、導電性シート26にそれより剛性の高い当接補助部材33を付設することによって、導電性シート26の見かけ上の剛性が向上する。また、当接補助部材33としてのPETシートの厚さを変更することによって、導電性シート26の見かけ上の剛性を変更することが可能である。なお、ここでは、厚さ0.1mmのPETシートを用いている。転写対向ローラ8の表面に当接させるのは、上記各実施例と同様に、導電性シート26側とする。以上、図6に示す実施例5おいて、上述の構成以外は、上記実施例1と同様であるので説明を省略する。
【実施例6】
【0064】
図7に、本発明の実施例6に係る構成を示す。
図7に示す導電性シート26には、上記図6に示す実施例5と同様に、当接補助部材33が付設されている。また、図7に示す実施例6では、導電性シート26の当接方向を、転写対向ローラ8の回転方向に対してカウンター方向としている。さらに、この場合、転写対向ローラ8に対する導電性シート26の当接圧(接点線圧)を1N/m以上となるようにしている。以上、図7に示す実施例6おいて、上述の構成以外は、上記実施例1と同様であるので説明を省略する。また、図7において図2と同一の符号は、図2と同じ部材を示している。
【実施例7】
【0065】
図8に、本発明の実施例7に係る構成を示す。図8では、導電性シート26(当接部材25)及び支持部材27等を拡大して示し、中間転写ベルト10、二次転写ローラ12、転写対向ローラ8等は図示省略している。
図8に示すように、ここでは、導電性シート26を、両面粘着テープ28を介して支持部材27に取り付けている。この両面粘着テープ28は、導電性シート26が良好に接地されるように導電性の部材で構成されている。これ以外の構成は、上記実施例1と同様であるので説明を省略する。
【実施例8】
【0066】
図9に、本発明の実施例8に係る構成を示す。
図9に示す実施例8では、図8に示す上記実施例7と同様に、導電性シート26を、導電性の両面粘着テープ28を介して支持部材27に取り付けている。ただし、図9に示す粘着テープ28は、図8に示す粘着テープ28と異なり、厚さ方向に貫通した複数のスリット28aが形成されている。なお、スリット28aは、少なくとも1つ形成されていれば、その個数は特に限定しない。これ以外の構成は、上記実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0067】
以下、本発明の各実施例の作用・効果について説明する。
【0068】
本発明に係る転写装置において、転写対向ローラ8の表層部82にフィルミングが生じたり、表層部82が通電劣化してその特性が変化したりすると、表層部82の電気抵抗が上昇し、転写電流が表層部82を介して芯金81からグランドに流れにくくなることがある。しかし、このような場合であっても、上記各実施例では、転写対向ローラ8の外周面に導電性シート26を当接させて接地してあるので、導電性シート26を介して転写電流をグランドに流すことができ、転写対向ローラ8の帯電、及びそれにより生じる異常放電を防止することができる。従って、本発明の各実施例によれば、記録用紙上の転写画像に放電跡が生じるのを防いで良好な画像形成を行うことができると共に、放電による電流が二次転写ローラ12の電源24へ逆流することによる電源24の異常を防止することができる。
【0069】
また、転写装置によっては、二次転写ローラ12の表面に付着したトナーを除去するために、二次転写ローラ12に画像転写時に印加するバイアスと逆極性のバイアスを印加するように構成されているものがある。すなわち、二次転写ローラ12にトナーの帯電極性と同極性のバイアスを印加して、二次転写ローラ12とトナーとの間に反発力(斥力)を発生させることによって、二次転写ローラ12に付着したトナーを中間転写ベルト10へ転移させ、ベルトクリーニング装置などによって中間転写ベルトからトナーを除去する。このように、二次転写ローラ12にプラスとマイナスのバイアスが交互に印加される場合、特に、上記転写対向ローラ8の帯電及び異常放電が顕著に発生する虞があるが、上記導電性シート26の材料として、電気抵抗が10Ω以下の材料を適用することによって、転写対向ローラ8の帯電や異常放電を防止することが可能である。
【0070】
また、図3に示す実施例2のように、転写対向ローラ8の表層部82と芯金81の両方を接地させてもよい。この場合は、表層部82と芯金81の両方からグランドに転写電流を流すことができ、転写対向ローラ8の帯電及び異常放電を確実に防止することができる。
【0071】
転写対向ローラ8の表面にトナー等の異物が付着すると、その異物が転写対向ローラ8の回転に伴って転写対向ローラ8と導電性シート26との間に挟まり、転写対向ローラ8と導電性シート26との当接箇所において隙間が生じることがある。これにより、転写対向ローラ8に対する導電性シート26の当接が不良となると、導電性シート26を通じて転写電流をグランドに流す機能が低下する、あるいはその機能を果たせなくなる虞がある。
【0072】
そこで、図4に示す実施例3のように、転写対向ローラ8の表面を清掃するクリーニング部材29を設けることにより、転写対向ローラ8の表面の異物を除去することができ、転写対向ローラ8と導電性シート26との間に異物が挟まるのを防止することができる。これにより、転写対向ローラ8に対する導電性シート26の当接を良好に維持することができ、転写対向ローラ8の帯電防止効果を安定して発揮することが可能となる。
【0073】
また、中間転写ベルト10の裏面に付着した異物が、中間転写ベルト10の走行に伴って中間転写ベルト10と転写対向ローラ8との間に侵入することがある。中間転写ベルト10と転写対向ローラ8との間に侵入した異物が凝集されて成長すると、その成長した異物が原因で中間転写ベルト10の表面に凸部が形成される。このように、中間転写ベルト10の表面に凸部が形成された場合は、中間転写ベルト10に対する二次転写ローラ12の当接やベルトクリーニング部材の当接が良好に行われなくなり、画像の転写不良やクリーニング不良などの不具合が生じる虞がある。
【0074】
上記の問題を解決するため、図5に示す実施例4のように、中間転写ベルト10の裏面にベルト裏面クリーニング部材32を設け、ベルト裏面クリーニング部材32によって中間転写ベルト10の裏面に付着した異物を除去することが望ましい。さらに、より効果的に中間転写ベルト10と転写対向ローラ8との間に異物が侵入しないようにするには、ベルト裏面クリーニング部材32は、中間転写ベルト10と転写対向ローラ8との接触開始位置E(図5参照)の近くに配設されることが好ましい。
【0075】
そのため、図5に示す実施例4では、導電性シート26の当接方向を、転写対向ローラ8の回転方向に対してカウンター方向となるようにしている。つまり、導電性シート26をカウンター方向に当接させた場合は、トレーリング方向に当接させた場合(図2参照)に比べ、転写対向ローラ8に対する導電性シート26の当接位置を、中間転写ベルト10と転写対向ローラ8との接触開始位置Eから遠くすることができ、ベルト裏面クリーニング部材32等を配設するスペースを確保することができる。
【0076】
なお、図2に示す実施例1などのように、導電性シート26を転写対向ローラ8の回転方向に対してトレーリング方向に当接させた場合は、カウンター方向に当接させた場合に比べ、転写対向ローラ8の回転に伴う導電性シート26の捲れや巻き込みが発生しにくくなる利点がある。導電性シート26の捲れや巻き込みを防止することにより、導電性シート26の損傷(傷付き等)や転写対向ローラ8に対する当接不良を防止することができる。ただし、導電性シート26をカウンター方向に当接させた場合でも、例えば、導電性シート26の材料に摩擦係数の小さな材料を適用するなどによって、導電性シート26と転写対向ローラ8との間に生じる摩擦抵抗を低減させるようにすれば、導電性シート26の捲れや巻き込みを防止することが可能である。
【0077】
上記のように導電性シート26を通して転写電流をグランドに流すには、転写対向ローラ8に対する導電性シート26の当接圧を、一定値以上にする必要がある。しかし、導電性シート26が剛性の低い(軟らかい)部材で形成されている場合は、必要な当接圧を確保できないことも考えられる。
【0078】
そのため、図6に示す実施例5のように、導電性シート26にそれより剛性の高い当接補助部材33を付設することによって、導電性シート26の見かけ上の剛性を向上させることが可能である。これにより、導電性シート26が剛性の低い部材で形成されていても、当接補助部材33を付設することによって、転写対向ローラ8に対する当接圧を十分に確保することができる。さらに、導電性シート26の見かけ上の剛性を向上させることにより、転写対向ローラ8の回転に伴う導電性シート26の捲れや巻き込みを抑制することもできる。また、このような構成を採用することによって、導電性シート26の材料に剛性の低いものも適用可能となるため、材料の選択範囲が広がる。
【0079】
図7に示す実施例6では、導電性シート26の当接方向を、転写対向ローラ8の回転方向に対してカウンター方向とし、さらに、転写対向ローラ8に対する導電性シート26の当接圧(接点線圧)を1N/m以上となるようにしている。このように導電性シート26の当接方向と当接圧を設定することにより、導電性シート26によって転写対向ローラ8の表面に付着した異物を除去することができる。すなわち、この導電性シート26は、転写対向ローラ8に対する帯電防止手段及び清掃手段としての機能を兼ねる。従って、図7に示す実施例6は、図4に示す実施例3のように、転写対向ローラ8を清掃するクリーニング部材29を別途設ける必要がないので、部品点数を削減して小型化やコスト低減を図り得る。なお、図7では、導電性シート26に当接補助部材33を付設しているが、転写対向ローラ8に対する導電性シート26の当接圧を1N/m以上確保できれば、当接補助部材33を省略することも可能である。
【0080】
また、図8に示す実施例7のように、導電性シート26の支持部材27への取付を、両面粘着テープ28によって行う場合は、ネジ等の締結部材を使用して導電性シート26の取付を行う場合よりも、取付作業が簡単になると共に、省スペース化及び小型化を図れる。さらに、両面粘着テープ28は安価であるので、製造コストの低減も図ることが可能である。
【0081】
また、画像形成装置の使用環境によっては、装置内の温度や湿度等が大幅に変化する場合があるため、導電性シート26と両面粘着テープ28との線膨張係数の違いから、それぞれの伸縮量に差が生じ、その結果、導電性シート26の先端部に波打ちやヨレが発生することがある。そして、導電性シート26の先端部に波打ちやヨレ等の変形が生じて、導電性シート26の先端部と転写対向ローラ8との間に隙間が発生すると、導電性シート26を通じて転写電流をグランドに流す機能が低下する、あるいはその機能を果たせなくなる虞がある。
【0082】
そこで、図9に示す実施例8のように、両面粘着テープ28にスリット28aを形成することによって、導電性シート26と両面粘着テープ28との線膨張係数の違いによる伸縮量の差を吸収することができ、導電性シート26の波打ちやヨレ等の変形を防止することが可能となる。これにより、転写対向ローラ8に対する導電性シート26の当接を良好に維持することができ、転写対向ローラ8の帯電防止効果を安定して発揮することが可能となる。
【0083】
以上、本発明について説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、転写対向部材として、回転体である転写対向ローラ以外に、回転しないパッド等の部材を適用してもよい。また、上記実施例では、本発明の構成を間接転写方式の画像形成装置に適用した場合を例に挙げているが、図10に示すような直接転写方式の画像形成装置にも、本発明の構成を適用可能である。具体的には、図10に示す転写対向ローラ7Aに導電性の当接部材を当接させて接地することにより、転写対向ローラ7Aの帯電及び異常放電を防止することができる。また、本発明の構成を、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
6 転写装置
10 中間転写ベルト(ベルト)
12 二次転写ローラ(転写部材)
24 電源
25 当接部材
26 導電性シート
27 支持部材
28 両面粘着テープ
28a スリット
29 クリーニング部材(清掃手段)
30 接地経路
31 接地経路
33 当接補助部材
81 芯金
82 表層部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開2008−209602号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に画像を担持するためのベルトと、電源から転写電圧が印加される転写部材と、前記ベルトを介して前記転写部材に対向して配設された転写対向部材とを備えた転写装置において、
前記転写対向部材の表面に当接する導電性の当接部材を備えると共に、当該当接部材を接地させたことを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記当接部材の電気抵抗を10Ω以下とした請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記転写対向部材が回転体である場合、当該回転体の表面の異物を除去する清掃手段を設けた請求項1又は2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記転写対向部材が回転体であって、前記当接部材を導電性シートで構成した場合、前記回転体に前記導電性シートを当接させる方向を、前記回転体の回転方向に対してトレーリング方向とした請求項1から3のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項5】
前記転写対向部材が回転体であって、前記当接部材を導電性シートで構成した場合、前記回転体に前記導電性シートを当接させる方向を、前記回転体の回転方向に対してカウンター方向とした請求項1から3のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項6】
前記導電性シートの前記回転体に対する当接圧を1N/m以上となるようにした請求項5に記載の転写装置。
【請求項7】
前記当接部材を導電性シートで構成し、当該導電性シートにそれよりも剛性の高い当接補助部材を付設した請求項1から6のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項8】
前記当接部材を、接地経路の少なくとも一部を形成する支持部材に、導電性の両面粘着テープを介して取り付けた請求項1から7のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項9】
前記導電性の両面粘着テープにスリットを形成した請求項8に記載の転写装置。
【請求項10】
前記転写対向部材を、芯金の外周に中抵抗の表層部を配設したローラで構成した請求項1から9のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項11】
前記芯金を接地した請求項10に記載の転写装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−262093(P2010−262093A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111760(P2009−111760)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】