説明

転写部材および画像形成装置

【課題】画像形成動作中においても、中間転写ベルトと安定して接触できる転写部材および該転写部材を用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体12上に担持されたトナー像を中間転写ベルト31に転写して画像を得る画像形成装置において使用され、中間転写ベルト31の内面に面接触する転写帯電部材62と、この転写帯電部材62を像担持体12に押圧する押圧部材61とからなる転写部材63であって、該転写部材63は、転写帯電部材62である樹脂シートと、押圧部材61である弾性体との同時加硫による一体成形品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に担持されたトナー像を、中間転写ベルトに転写する転写部材および該転写部材を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置として、像担持体上に担持されたトナー像を中間転写ベルトに転写して画像を得る画像形成装置において、像担持体と転写ローラとにニップされる中間転写ベルト上に像担持体上のトナー像を転写する方式の画像形成装置がある。
【0003】
ここで、中間転写ベルトと転写ローラとが接触している付近に、中間転写ベルトと転写ローラとが小さな間隙を挟んで対向する部分ができる。この小さな間隙ができる部分には、境界が不明瞭な転写電界が形成されることになり、特に転写領域の上流側で、いわゆるトナー像の飛散等、転写性が悪化する要因になり得る。一方で、中間転写ベルト内面に接触する他の転写部材として、転写ブレードが知られている(特許文献1参照)。転写ブレードは、転写ブレードと中間転写ベルトが小さな間隙を挟んで対向する部分が極めて小さく、上述のように境界が不明瞭な転写電界の形成が小さく、上述の転写性の悪化も発生しにくい。ただし、転写ブレードを用いる画像形成装置においては、いわゆる転写領域が狭いことによる転写効率の低下が懸念される。
【0004】
上述の背景に基づいて、転写ブレードのように、ブレードのエッジで中間転写ベルトと接触する転写部材とは異なり、中間転写ベルトに面接触できる例えば直方体のような転写部材を用いることが提案されている(特許文献2および特許文献3参照)。特許文献2には、転写部材のフィルムに使用できる物質が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献2のような中間転写ベルトに面接触する転写部材は、中間転写ベルトとの接触面積が大きくなるため摩擦抵抗が大きくなり、中間転写ベルトの移動に伴い中間転写ベルトとの接触が連続的でなくなり転写電界の発生が不安定になることもある。また、転写部材の摩擦抵抗が安定しなければ、画像にズレが生じる。また、場合によっては、転写部材がホルダーから外れたり、転写部材自体がちぎれたりするような現象が発生するに至ることもあり得る。
【特許文献1】特開2007−41242号公報
【特許文献2】特開平09−120218号公報
【特許文献3】特開2007−156455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3は、上記した問題を解決する目的でなされたものであり、転写部材を支持する支持部材を揺動可能にすることで、転写部材に大きな摩擦力が生じそうになった場合に、転写部材が中間転写ベルトの回転方向に傾いて中間転写ベルトから受ける摩擦力が軽減され、画像形成動作中においても転写部材が中間転写ベルトと安定して接触できるようになっている。特許文献3の転写部材は、また、弾性体を圧縮バネによって中間転写ベルトの内面に押圧させており、さらに弾性体と中間転写ベルトの間にシート(フィルム)を介在させて中間転写ベルトに面接触させている。
【0007】
しかしながら、特許文献3のように、弾性体でフィルムを中間転写ベルトに押し付けると、中間転写ベルトの移動に伴い弾性体が変形し、接触面積が変化して転写電界の発生が不安定になるおそれがあるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、画像形成動作中においても、中間転写ベルトと安定して接触できる転写部材および該転写部材を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の転写部材は、像担持体上に担持されたトナー像を中間転写ベルトに転写して画像を得る画像形成装置において、上記中間転写ベルトの内面に面接触する転写帯電部材と、この転写帯電部材を上記像担持体に押圧する押圧部材とからなる転写部材であって、該転写部材は、上記転写帯電部材である樹脂シートと、上記押圧部材である弾性体との同時加硫による一体成形品であることを特徴とする。また、上記樹脂シートの押圧部材側全面が上記弾性体と同時加硫されていることを特徴とする。
【0010】
上記樹脂シートが、ベース樹脂に、少なくとも、導電性付与材および潤滑性付与材を配合した導電性樹脂組成物からなるシート材であることを特徴とする。
【0011】
上記導電性樹脂組成物は、上記ベース樹脂100重量部に対して、上記導電性付与材が2〜15重量部、上記潤滑性付与材が0.5〜5重量部、それぞれ配合されていることを特徴とする。
【0012】
上記ベース樹脂がポリエチレン(以下、ポリエチレンをPEと記す)樹脂、ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂であり、上記導電性付与材が導電性カーボンであり、上記潤滑性付与材がポリテトラフルオロエチレン(以下、ポリテトラフルオロエチレンをPTFEと記す)樹脂粉末、黒鉛粉末およびシリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末であることを特徴とする。また、上記弾性体がエチレン−プロピレン系ゴムであることを特徴とする。
【0013】
上記転写帯電部材である樹脂シートと、上記押圧部材である弾性体との同時加硫において接着剤が使用されていないことを特徴とする。
【0014】
上記PE樹脂が、分子量100万〜400万の非射出成形性の超高分子量ポリエチレン樹脂(以下、超高分子量ポリエチレンをUHMWPEと記す)であることを特徴とする。
【0015】
上記導電性カーボンが、ケッチェンブラックであることを特徴とする。また、このケッチェンブラックは、一次粒子径が30nm〜38nmであることを特徴とする。また、このケッチェンブラックは、BET比表面積が1000〜1500m2/gであることを特徴とする。
【0016】
上記粉末が、平均粒子径5〜30μmの粉末であることを特徴とする。また、上記PTFE樹脂粉末が、アルキルビニルエーテルで変性された変性PTFE樹脂粉末であることを特徴とする。また、上記黒鉛粉末が、固定炭素98.5重量%以上の人造黒鉛であることを特徴とする。また、上記シリコーン樹脂粉末が、球状のシリコーン樹脂粉末であることを特徴とする。
【0017】
上記樹脂シートの表面抵抗値(JIS K7194)が、1.0×10〜1.0×1012Ω/□(Ω/sq)であることを特徴とする。また、上記樹脂シートの厚さが、0.04〜1.0mmであることを特徴とする。
【0018】
上記樹脂シートの表面は、上記非射出成形性UHMWPE樹脂の粒子同士の粒界に上記導電性付与材と上記潤滑性付与材とが配されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、この像担持体に接触しながら移動する中間転写ベルトと、この中間転写ベルトの表面に上記像担持体上のトナー像を転写する転写部材とを備えた画像形成装置であって、この転写部材として上記本発明の転写部材を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の転写部材(請求項1)は、中間転写ベルトの内面に面接触する転写帯電部材と、この転写帯電部材を像担持体に押圧する押圧部材とからなり、上記転写帯電部材である樹脂シートと、上記押圧部材である弾性体との同時加硫による一体成形品であるので、中間転写ベルトの移動によって弾性体が変形することが無い。そのため、中間転写ベルトの内面と転写帯電部材との接触面積が変化することが無く、転写電界の発生の安定化が達成できる。また、転写部材に大きな摩擦力が生じそうになった場合に、転写部材が中間転写ベルトの回転方向に変形して中間転写ベルトから受ける摩擦力が軽減される。これにより、画像形成動作中においても、転写部材が中間転写ベルトと安定して面接触することができる。そのため、均一かつ安定な表面抵抗値を有し、画像ズレを生じさせない転写部材となる。
【0021】
請求項2に記載の転写部材は、転写帯電部材である樹脂シートの押圧部材側全面が弾性体と同時加硫されているので、より広い転写領域が確保できる。
【0022】
請求項3に記載の転写部材は、その転写帯電部材である樹脂シートが、ベース樹脂に、少なくとも、導電性付与材および潤滑性付与材を配合した導電性樹脂組成物からなるシート材であるので、低摩擦抵抗で中間転写ベルトと摺接することができる。このため、転写部材に大きな摩擦力が生じる危険性が低くなる。
【0023】
請求項4に記載の転写部材は、上記樹脂シートを構成する導電性樹脂組成物が、ベース樹脂100重量部に対して、導電性付与材が2〜15重量部、潤滑性付与材が0.5〜5重量部、それぞれ配合されているので、中間転写ベルトとの摺動トルクを、より低く安定化することができる。
【0024】
請求項5に記載の転写部材は、上記ベース樹脂がPE樹脂、ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂であり、上記導電性付与材が導電性カーボンであり、上記潤滑性付与材がPTFE樹脂粉末、黒鉛粉末およびシリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末であるので、摩擦抵抗が低くかつ安定し、中間転写ベルトと安定して接触できる。そのため、画像ズレが生じない。
【0025】
請求項6に記載の転写部材は、上記弾性体がエチレン−プロピレン系ゴムであるので、樹脂シートとの同時加硫による一体成形が容易にできる。また、PE樹脂、ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂をベース樹脂とする樹脂シートとの同時加硫による一体成形で加硫接着剤が不要にできるため、転写部材の導電特性が維持できる。
【0026】
請求項8に記載の転写部材は、ベース樹脂のPE樹脂が、分子量100万〜400万の非射出成形性のUHMWPE樹脂であるので、低摩擦特性、耐摩耗特性を併せ持つ転写部材となる。
【0027】
請求項9に記載の転写部材は、導電性カーボンが、ケッチェンブラックであるので、表面抵抗値の安定性が優れる転写部材となる。また、請求項10に記載の転写部材は、上記ケッチェンブラックの一次粒子径が30〜38nmであるので少量の配合量であっても所望の表面抵抗値が得られる転写部材となる。また、請求項11に記載の転写部材は、上記ケッチェンブラックのBET比表面積が1000〜1500m/gであるので、少量の配合量であっても表面抵抗値の安定性がより優れる転写部材となる。
【0028】
請求項12に記載の転写部材は、潤滑性付与材である、PTFE樹脂粉末、黒鉛粉末、シリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末が、平均粒子径5〜30μmの粉末であるので、低摩擦特性の安定性に優れる転写部材となる。
【0029】
請求項13、14、15に記載の転写部材は、PTFE樹脂粉末がアルキルビニルエーテルで変性された変性PTFE樹脂粉末であるので、また、黒鉛粉末が固定炭素98.5重量%以上の人造黒鉛であるので、また、シリコーン樹脂粉末が球状のシリコーン樹脂粉末であるので、耐摩耗性を犠牲にすることなく低摩擦特性に優れる転写部材となる。
【0030】
請求項16に記載の転写部材は、表面抵抗値(JIS K7194)が1.0×10〜1.0×1012Ω/□であるので、電源からの転写バイアスを中間転写ベルトに印加することができる。
【0031】
請求項17に記載の転写部材は、転写帯電部材である樹脂シートの厚さが0.04〜1.0mmであるので、中間転写ベルト内面への面接触が容易になる。
【0032】
請求項18に記載の転写部材は、転写帯電部材である樹脂シートの表面が、上記非射出成形性UHMWPE樹脂の粒子同士の粒界に上記導電性付与材と上記潤滑性付与材とが配されている構造であるので、導電性付与材の配合量が少量であっても表面抵抗値の安定性が優れる。
【0033】
本発明の画像形成装置(請求項19)は、トナー像を担持する像担持体と、この像担持体に接触しながら移動する中間転写ベルトと、この中間転写ベルトの表面に上記像担持体上のトナー像を転写する転写部材とを備えた画像形成装置であり、上記転写部材として本発明の転写部材を用いたことを特徴とするので、中間転写ベルトと転写帯電部材との摩擦抵抗が低くかつ安定するので、画像ズレの生じない画像形成装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係る画像形成装置の一実施例を図1〜図3を参照して説明する。図1に示す画像形成装置は、形成できるトナー像の色が異なる4つの画像形成ステーションを備えたカラープリンタである。図1に示すように、この画像形成装置は、各画像形成ステーションに着脱可能に装着された各色に対応するプロセスカートリッジ10と、光学ユニット20と、中間転写ユニット30と、記録材供給ユニット40と、定着ユニット50とをそれぞれ備えている。ここで、光学ユニット20は画像情報に対応したレーザー光を照射可能なものであり、記録材供給ユニット40は各給送カセットから記録材Pを二次転写領域に搬送するものであり、定着ユニット50は定着ローラ51および加圧ローラ52を有し、記録材P上のトナー像に熱と圧力を加えることで記録材P上にトナー像の定着を行なうものである。
【0035】
図1におけるプロセスカートリッジ10および中間転写ユニット30の周辺拡大図を図2に示す。図2に示すように、プロセスカートリッジ10は、それぞれ、電子写真感光体(像担持体)である感光ドラム12、帯電手段13、現像装置14およびクリーニング装置15を有する。
【0036】
中間転写ユニット30は、無端状のベルトである中間転写ベルト31、および中間転写ベルト31を回転移動可能に支持する3つのローラ32、33、34を備えている。また、中間転写ユニット30は、各感光ドラム12に形成されたトナー像を中間転写ベルト31に転写する一次転写手段60を備えている。
【0037】
中間転写ベルト31は、感光ドラム12と一次転写手段60との間を移動する。各一次転写領域において各感光ドラム12上に形成されたトナー像は各一次転写手段60によって、中間転写ベルト31上で重ね合わせるようにして順次に転写される。
【0038】
上記構成を有する画像形成装置における画像形成工程を図1および図2により説明する。プロセスカートリッジ10において、感光ドラム12が帯電手段13(図2参照)によって一様に帯電される。その後、光学ユニット20から照射されたレーザー光によって感光ドラム12上に静電潜像が形成される。そして、上記静電潜像が現像装置14(図2参照)によって現像されてトナー像が形成される。
【0039】
感光ドラム12上に形成されたトナー像は、一次転写手段60の作用によって中間転写ベルト31上に一次転写される。一次転写が終了した感光ドラム12はクリーニング装置15(図2参照)によってドラム表面に残留したトナーがクリーニングされる。各感光ドラム上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト31上に順次重ねて転写される。
【0040】
一方、記録材Pは給送カセットから記録材供給ユニット40によって二次転写領域に搬送される。二次転写領域に搬送された記録材Pには、二次転写ローラ36の作用によって中間転写ベルト31上に形成されたトナー像が転写される。トナー像を転写された記録材Pは定着ユニット50に搬送され、定着ローラ51と加圧ローラ52のニップ部にてトナー像が定着され、排出トレイ53上に排出される。
【0041】
図2に示すように、中間転写ベルト31は、張架され、駆動手段からの駆動を伝達されて回転駆動する駆動ローラ32、33、34によって回転される。一方、各プロセスカートリッジ10の感光ドラム12は、中間転写ベルト31の回転周速とほぼ等速の周速で回転される。
【0042】
中間転写ベルト31の内側には、各感光ドラム12に対向する位置に、転写手段である一次転写手段60が配置されている。一次転写手段60には電源35が接続され、所定の電流値の転写バイアスが印加される。電源35によって、転写手段60に電流が供給され、転写手段60に対向した感光ドラム12上のトナー像が中間転写ベルト31上に静電的に引き寄せられる。
【0043】
図3に一次転写手段60の周辺拡大図を示す。図3に示すように、一次転写手段60は、転写部材63と、転写部材63の支持部材であるホルダー64とで構成される。さらに、ホルダー64を中間転写ベルト31の内面側に押圧する圧縮バネを設けてもよい。
【0044】
転写部材63は、導電性を有する弾性体(ゴム、エラストマ、スポンジ等)である押圧部材61と、後述の導電性樹脂組成物からなる樹脂シートである転写帯電部材62とを、接合面62bで同時加硫により接着し、一体成形品としたものである。転写帯電部材62において、同時加硫により押圧部材61と接合を行なう接合面62bは、転写帯電部材62と押圧部材61との接着性を高くするとともに広い転写領域を確保するため、転写帯電部材62の押圧部材側の全面であることが好ましい。
【0045】
ホルダー64に粘着テープによって固定された押圧部材61は、断面が略コの字形状の弾性体からなり、転写帯電部材62を中間転写ベルト31の内面(下表面)に接触面62aで面接触させると共に中間転写ベルト31の外面(上表面)を感光ドラム12に弾性的に押圧している。中間転写ベルト31が矢印方向に移動(回転)すると、転写帯電部材62と中間転写ベルト31とが摺動する。シート材である転写帯電部材62は、弾性体である押圧部材61によって、ベルト移動方向に所定の領域をもって中間転写ベルト31と密着(接触)する。特に、押圧部材61の薄肉部61bは柔軟性に優れることから、転写帯電部材62が常に中間転写ベルト31の内面に追従して面接触することができ、安定した転写性能が得られる。
【0046】
転写帯電部材62は、ベース樹脂としてのPE樹脂に、少なくとも、導電性付与材としての導電性カーボン、および、潤滑性付与材としてのPTFE樹脂粉末、黒鉛粉末、シリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末、を含む導電性樹脂組成物からなるシート材(樹脂シート)である。ベース樹脂としては、上記PE樹脂の他に、ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂も使用できる。これらの合成樹脂は、中間転写ベルトとの摩擦特性が優れるとともに、ゴム、エラストマ等の弾性体との同時加硫成形において接着性が優れる。
【0047】
押圧部材61には、エチレン−プロピレン系ゴムの採用が望ましい。エチレン−プロピレン系ゴムは、耐薬品性、耐摩耗性、耐防振性に優れるため、画像形成装置の押圧部材61として好適に使用できる。また、エチレン−プロピレン系ゴムは、PE樹脂、ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂製のシート材との同時加硫において、加硫接着剤の使用が不要になる。このため、導電性が損なわれない。中でもエチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下EPDMと記す)は、通常の硫黄加硫が可能であり、加硫時間も短くできるため特に好ましい。
【0048】
転写帯電部材62を上記の導電性樹脂組成物からなるシート材とすることで、導電性と低摩擦特性、トルク安定性に優れる。この導電性樹脂組成物を構成する各材料の詳細を以下で説明する。
【0049】
本発明に用いる導電性樹脂組成物のベース樹脂であるPE樹脂は、非射出成形性のUHMWPE樹脂であることが好ましい。UHMWPE樹脂は、エチレンを重合して得られる結晶性の熱可塑性樹脂であるPE樹脂の通常2万〜30万の分子量を、50万〜700万までに高めたPE樹脂であり、このものは非粘着性、低摩擦特性を有し、絶縁性が高く静電気を帯びやすい。UHMWPE樹脂の中でも特に分子量が100万を越えるものは、溶融時の粘度が極めて高く、ほとんど流動しないため、通常の射出成形法によって成形することは非常に困難であり、圧縮成形またはラム押出し成形によって成形される。このような非射出成形性のUHMWPE樹脂は、射出成形可能なUHMWPE樹脂より低摩擦特性であり、また、耐摩耗性にも優れているため、相手材である中間転写ベルト31を摩耗させることなく、自己の摩耗も極めて少ない。よって、低摩擦特性および導電性の経時的安定性が優れるようになる。非射出成形性UHMWPE樹脂からシート材を形成するには、圧縮成形によって円筒形に成形した後、かつら剥きのように切削加工することで行なう。
【0050】
本発明に用いる非射出成形性UHMWPE樹脂の重量平均分子量は、100万〜400万であることが好ましい。分子量をこの範囲とすることで、低摩擦特性がさらに優れ、耐摩耗特性が向上する。このような非射出成形性UHMWPE樹脂としては、三井化学社製、商品名ハイゼックスミリオン(重量平均分子量50万〜600万)、ミペロン(重量平均分子量200万)が挙げられる。
【0051】
シート材である転写帯電部材62は、その表面抵抗値(JIS K7194)が、1.0×102〜1.0×1012Ω/□であることが好ましい。表面抵抗値が1.0×1012Ω/□より大きいと導電性が確保できなくなり、中間転写ベルトにトナー像が転写されない。表面抵抗値が1.0×102Ω/□より小さいとバイアスリーク(放電)が生じるおそれがある。バイアスリークが発生すると、感光ドラム表面や中間転写ベルト表面にピンホールが形成され、その部分で転写不良が生じ、画質低下を招くことになる。
【0052】
導電性付与材となる導電性カーボンとしては、カーボンファイバーやカーボンナノチューブ、フラーレン、またはカーボンパウダーがあり、いずれも使用できる。これらの中で、カーボンパウダーは形状異方性が無くコストパフォーマンスに優れるため好ましい。カーボンパウダーとしてはカーボンブラックがある。導電性カーボンに、カーボンブラックを採用することで、少量の配合であってもシート材の表面抵抗値が所望の範囲とすることができる。カーボンを少量配合することによるメリットは、シート材を製造する上での均一分散性であり、これにより低摩擦特性の不安定化を抑えることができる。
【0053】
カーボンブラックとしては、サーマルブラック法、アセチレンブラック法等の分解法、チャンネルブラック法、ガスファーネスブラック法、オイルファーネスブラック法、松煙法、ランプブラック法等の不完全燃焼法のいずれの製法で製造されたものも使用できるが、導電性の観点からファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)が好ましく用いられ、このうちケッチェンブラックが導電性に優れるためより好ましい。
【0054】
特に、一次粒子径が30〜38nmのケッチェンブラックを採用すると少量の配合量であっても所望の表面抵抗値が得られるシート材となるので好ましい。また、BET比表面積1000〜1500m2/gのケッチェンブラックを採用すると少量の配合量であっても表面抵抗値の安定性が優れるシート材となるので好ましい。このようなケッチェンブラックとしては、ケッチェンブラックインターナショナル社製ケッチェンブラックEC−600JDが挙げられる。
【0055】
導電性付与材の配合量は、ベース樹脂100重量部に対して、2〜15重量部であることが以下の理由から好ましい。導電性付与材の配合量が2重量部より少量であれば、シート材の表面抵抗値が1.0×1012Ω/□より大きくなり導電性が確保できなくなり、15重量部より多量になればシート材の表面抵抗値が1.0×102Ω/□より小さくなりバイアスリークが生じるおそれがある。また、低摩擦特性および耐摩耗特性にも悪影響を及ぼす。
【0056】
なお、押圧部材61の表面抵抗値も転写帯電部材62と同じ理由から1.0×102〜1.0×1012Ω/□であることが好ましい。押圧部材61は、ゴム、エラストマ、スポンジ等の弾性体から形成されており、導電性付与材として導電性カーボンが配合されている。導電性カーボンとしては、上記した理由から、カーボンブラックとして、一次粒子径30〜38nmのケッチェンブラックやBET比表面積1000〜1500m2/gのケッチェンブラックが好適に採用できる。
【0057】
潤滑性付与材となるPTFE樹脂粉末、黒鉛粉末、シリコーン樹脂粉末のいずれか一以上の粉末を配合することにより、シート材の低摩擦特性が安定する。また、これらの潤滑性付与材を配合することにより、非射出成形性UHMWPE樹脂の粒子同士の界面に導電性付与材が均一に分散しやすくなり、導電性付与材の配合量が少量であっても表面抵抗値の安定性が優れるようになると考えられる。
【0058】
PTFE樹脂粉末は、成形用の粉末であってもよく、固体潤滑剤用の粉末であってもよい。また、アルキルビニルエーテルで変性された変性PTFE樹脂粉末であれば、低摩擦特性を維持したままシート材の耐摩耗性を高めることができるので好ましい。
【0059】
黒鉛粉末は、天然黒鉛と人造黒鉛に大別され、人造黒鉛は製造工程中にできるカーボランダムのため潤滑性能を阻害されることと、黒鉛化の十分に進んだ黒鉛を造ることが難しいため一般的には潤滑剤には適していないとされている。天然黒鉛は完全に黒鉛化されたものが産出されるため、非常に高い潤滑特性を有しており固体潤滑剤として適している。しかし、不純物を多く含み、この不純物が潤滑性を低下させるため、不純物を除去しなければならないが、完全に除去することは困難である。
【0060】
本発明に好ましい黒鉛粉末は、低摩擦特性を維持したままシート材の耐摩耗性を向上することができるので、固定炭素98.5%以上の人造黒鉛である。
【0061】
シリコーン樹脂粉末は、球状のシリコーン樹脂が低摩擦特性の安定性に優れ好適に使用できる。本発明におけるシリコーン樹脂粉末は、メチルシルセスキオキサン単位およびフェニルシルセスキオキサン単位からなるか、又はフェニルシルセスキオキサン単位からなり、メチルシルセスキオキサン単位は(CH3)SiO3/2、フェニルシルセスキオキサン単位は(C65)SiO3/2で示され、また、(CH32(C65)SiO1/2、(CH33SiO1/2、(C653SiO1/2、(CH3)(C652SiO1/2、(CH32SiO2/2、(C652SiO2/2、(CH3)(C65)SiO2/2およびSiO4/2を少量含んでいてもよい。上記球状のシリコーン樹脂は、耐摩耗性の低下を防止する特性を有する。シリコーン樹脂粉末として、球状のシリコーン樹脂粉末を採用することにより、低摩擦特性を維持したままシート材の耐摩耗性を向上することができるので好ましい。
【0062】
潤滑性付与材としての上記粉末の配合量は、ベース樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部であることが以下の理由から好ましい。上記粉末の配合量が0.5重量部より少量であれば、シート材に所望の低摩擦特性が付与されず、5重量部より多量になればシート材の耐摩耗特性が低下するおそれがある。
【0063】
各粉末を、平均粒子径が5〜30μmの範囲のものを使用することによって、シート材の低摩擦特性の安定性に優れる。粉末の平均粒子径が5μmより小径であれば、シート材を製造する上での均一分散性が低下するおそれがあり、低摩擦特性の安定性への影響が考えられる。30μmより大径であればシート材の強度が低下するおそれがある。なお、平均粒子径はマイクロトラック法により測定される。
【0064】
樹脂シート(シート材)である転写帯電部材62の厚さは、0.04〜1.0mmであり、この範囲の厚みにすることで中間転写ベルト31の内面への面接触が容易になる。シート材の厚さが0.04mmより薄いとシート材の取り扱い性が悪くなり、弾性体との加硫成形において金型内への配置が困難となる。1.0mmより厚くなると柔軟性が悪くなるため中間転写ベルト31の内面への面接触性が低下する。
【0065】
ベース樹脂として非射出成形性UHMWPE樹脂を用いた場合の転写帯電部材62の製造方法は以下のとおりである。ベース樹脂である非射出成形性UHMWPE樹脂と、導電性付与材である導電性カーボンと、潤滑性付与材であるPTFE樹脂粉末、黒鉛粉末、シリコーン樹脂粉末のいずれか一以上の粉末の各原料を秤量し、均一混合物とする。この均一混合物を成形金型内に投入し、予備成形、焼成、本成形からなる圧縮成形によって成形素材であるビレットを成形する。このビレットを旋盤に取り付け、かつら剥きのごとくスカイブ加工することによりシート材として製造する。
【0066】
本発明の転写部材において、転写帯電部材と、押圧部材とを同時加硫によって一体成形する方法としては、例えば、金型のキャビティの内面に沿って樹脂シートである転写帯電部材を配置し、型締めを行なった後、押圧部材の材料となる未加硫ゴムをキャビティに注入し、その後金型内で、所定条件にて、樹脂シートとゴムとを同時加硫させて一体成形することができる。
【0067】
転写部材63の全体の形状としては、感光ドラム12に対して中間転写ベルト31を面接触できる形状であればよく、図3に示した形状の他に、例えば図4に示す各形状とすることもできる。なお、図4に示した各形状は、向かって上方向に感光ドラムが配置される状態を示した長手方向から見た断面形状であり、感光ドラムの軸長さと同等の長さを有している。また、図4の断面形状は感光ドラムに押圧されていない状態であり、特に(f)、(g)、(h)の転写部材63は感光ドラムに押圧されると、立ち上がった部分が右方向に折れ曲がった状態となる。このように、転写部材63の長手方向の断面形状が、図3、図4に示した形状のように弾性形状を有しているため、転写部材63を中間転写ベルトの内面に押圧させるための圧縮バネを省略することができる。
【0068】
上述した実施の形態では、色の異なる画像形成部を4つ使用した構成を例示したが、この使用個数は限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
【0069】
また上述した実施形態では、画像形成装置としてレーザープリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であってもよい。転写部に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0070】
実施例および比較例に用いる原材料を一括して以下に示す。また、配合割合を表1に示す。
[転写帯電部材である樹脂シート材]
(1)非射出成形性UHMWPE樹脂:三井化学社製;ハイゼックスミリオン240S、重量平均分子量は200万である。
(2)カーボンブラック:ケッチェンブラックインターナショナル社製;ケッチェンブラックEC−600JD、1次粒子径は34nmであり、BET比表面積は、1270m2/gである。
(3)PTFE樹脂粉末:喜多村社製;KTL−610、平均粒子径12μmである。
(4)黒鉛粉末:Timcal Graphite and Carbon社製;TIMREX KS−25、固定炭素99.9重量%、平均粒子径25μmである。
(5)シリコーン樹脂粉末:信越化学工業社製;KMP−590、平均粒子径2μmである。
(6)射出成形可能UHMWPE樹脂:三井化学社製;リュブマー、重量平均分子量は50万である。
[押圧部材である弾性体]
(7)EPDM:住友化学社製;エスプレンEPDM 501A
(8)発泡ウレタン樹脂:イノアックコーポレーション社製;EAS−1
【0071】
実施例1〜実施例3および比較例1の試験片は次のように製造した。
実施例1〜実施例3は、表1に示した配合割合で樹脂シート材の原材料をヘンシェルミキサー乾式混合機にてドライブレンドし、プレス機を用いて0.5MPaの圧力を加え、外径φ122mm、内径φ64mm、高さ100mmの円筒素形材を予備成形し、370℃で5時間焼成した。焼成された円筒素形材を用いて、スカイブ加工にて厚さ0.2mmのシート材を得た。このシート材を縦50mm、横50mmの形状にカットし、これをゴム成形金型内(縦50mm、横50mm、厚さ1.5mm)に配置して、EPDMの加硫成形によって縦50mm、横50mm、厚さ1.5mmの樹脂シートとEPDMの複合一体試験片を成形した。なお、加硫成形条件は、金型温度180℃、保持時間7分である。この複合一体試験片を幅10mmの短冊状にカットし、樹脂シート面を外側に二つ折りにして、二つ折りにした内側の間に2mmのスペーサを挟み込んで折り曲げ面とスペーサの間に、4mmの空隙が形成できるように両面テープでスペーサと複合一体試験片のゴム面を接着し摺動試験片を作製した。
【0072】
比較例1は、表1に示した配合割合で樹脂シート材の原材料をヘンシェルミキサー乾式混合機にてドライブレンドし、2軸溶融押出機によってペレットを製造した。このペレットを射出成形機で、直径40mm、幅10mmの円柱素形材に成形した後、この円柱素形材を切削加工して、厚さ0.2mm、横10mm、縦4mmに仕上げた。このカット材を発泡ポリウレタン樹脂(横10mm、縦4mm、厚さ5mm)に両面テープで接着し摺動試験片を作製した。
【0073】
これらの摺動試験片を用いて、ピンオンディスク型試験機によりディスク回転時の摺動試験片の状態を観察した。試験条件は、相手材ディスクにポリブチレンナフタレート樹脂(中間転写ベルト材)を用い、相手材の表面温度が80℃、面圧0.07MPa、滑り速度30m/min、無潤滑、運転開始から10時間後の状態である。また、このときの動摩擦係数と摩耗深さを測定し、動摩擦係数の測定結果を図5に、摩耗深さの測定結果を図6にそれぞれ示した。なお、動摩擦係数は、初期および10時間毎に測定し30時間まで測定を行ない、摩耗深さは30時間後の測定値である。
【0074】
また、実施例1〜実施例3および比較例1の厚さ0.2mmのシート材を用いて、表面抵抗値(JIS K7194に準拠)を測定し、測定結果を表1に併記した。また、実施例2のシート材表面の顕微鏡(×500)写真を図7に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
形状観察の結果、実施例1〜実施例3の摺動試験片は相手ディスクの回転中において形状変化が無かったが、比較例1の摺動試験片は相手ディスクの回転中において発泡ポリウレタン樹脂が回転方向に引きずられるような変形が認められた。表面抵抗値は、表1に示したとおり、実施例1〜実施例3、比較例1のシート材のいずれも1.0×102〜1.0×1012Ω/□の範囲にあった。動摩擦試験では、図5、図6に示したとおり、実施例1〜実施例3の摺動試験片は初期の摩擦係数が低く、30時間の試験運転において摩擦係数の変化が小さく、耐摩耗性も満足していた。また、従来技術である比較例1は、実施例と比較して試験片自体の摩耗量が比較的大きい結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の転写部材は、転写帯電部材である樹脂シートと、押圧部材である弾性体との同時加硫による一体成形品であり、画像形成動作中においても、転写部材が中間転写ベルトと安定して面接触することができ、均一かつ安定な表面抵抗値を有し、画像ズレを生じさせないので、種々の画像形成装置に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の画像形成装置を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の中間転写ユニット等を示す図である。
【図3】本発明の転写部材を示す図である。
【図4】本発明の転写部材の他の例を示す図である。
【図5】本発明の転写部材の摩耗深さの経時変化を示す図である。
【図6】本発明の転写部材の摩耗深さを示す図である。
【図7】実施例2のシート材表面の拡大写真およびその模式図である。
【符号の説明】
【0079】
10 プロセスカートリッジ
12 感光ドラム(像担持体)
13 帯電手段
14 現像装置
15 クリーニング装置
20 光学ユニット
30 中間転写ユニット
31 中間転写ベルト
32、33、34 駆動ローラ
35 電源
36 二次転写ローラ
40 記録材供給ユニット
50 定着ユニット
51 定着ローラ
52 加圧ローラ
53 排出トレイ
60 一次転写手段
61 押圧部材
62 転写帯電部材
62a 接触面
62b 接合面
63 転写部材
64 ホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に担持されたトナー像を中間転写ベルトに転写して画像を得る画像形成装置において、前記中間転写ベルトの内面に面接触する転写帯電部材と、この転写帯電部材を前記像担持体に押圧する押圧部材とからなる転写部材であって、
該転写部材は、前記転写帯電部材である樹脂シートと、前記押圧部材である弾性体との同時加硫による一体成形品であることを特徴とする転写部材。
【請求項2】
前記樹脂シートの押圧部材側全面が前記弾性体と同時加硫されていることを特徴とする請求項1記載の転写部材。
【請求項3】
前記樹脂シートが、ベース樹脂に、少なくとも、導電性付与材および潤滑性付与材を配合した導電性樹脂組成物からなるシート材であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の転写部材。
【請求項4】
前記導電性樹脂組成物は、前記ベース樹脂100重量部に対して、前記導電性付与材が2〜15重量部、前記潤滑性付与材が0.5〜5重量部、それぞれ配合されていることを特徴とする請求項3記載の転写部材。
【請求項5】
前記ベース樹脂がポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂であり、前記導電性付与材が導電性カーボンであり、前記潤滑性付与材がポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末、黒鉛粉末およびシリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末であることを特徴とする請求項3または請求項4記載の転写部材。
【請求項6】
前記弾性体がエチレン−プロピレン系ゴムであることを特徴とする請求項5記載の転写部材。
【請求項7】
前記転写帯電部材である樹脂シートと、前記押圧部材である弾性体との同時加硫において接着剤が使用されていないことを特徴とする請求項6記載の転写部材。
【請求項8】
前記ポリエチレン樹脂が、分子量100万〜400万の非射出成形性超高分子量ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一項記載の転写部材。
【請求項9】
前記導電性カーボンが、ケッチェンブラックであることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか一項記載の転写部材。
【請求項10】
前記ケッチェンブラックは、一次粒子径が30〜38nmであることを特徴とする請求項9記載の転写部材。
【請求項11】
前記ケッチェンブラックは、BET比表面積が1000〜1500m2/gであることを特徴とする請求項9または請求項10記載の転写部材。
【請求項12】
前記粉末が、平均粒子径5〜30μmの粉末であることを特徴とする請求項5ないし請求項11のいずれか一項記載の転写部材。
【請求項13】
前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末が、アルキルビニルエーテルで変性された変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末であることを特徴とする請求項5ないし請求項12のいずれか一項記載の転写部材。
【請求項14】
前記黒鉛粉末が、固定炭素98.5重量%以上の人造黒鉛であることを特徴とする請求項5ないし請求項12のいずれか一項記載の転写部材。
【請求項15】
前記シリコーン樹脂粉末が、球状のシリコーン樹脂粉末であることを特徴とする請求項5ないし請求項12のいずれか一項記載の転写部材。
【請求項16】
前記樹脂シートの表面抵抗値(JIS K7194)が、1.0×10〜1.0×1012Ω/□であることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか一項記載の転写部材。
【請求項17】
前記樹脂シートの厚さは、0.04〜1.0mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか一項記載の転写部材。
【請求項18】
前記樹脂シートの表面は、前記非射出成形性超高分子量ポリエチレン樹脂の粒子同士の粒界に前記導電性付与材と前記潤滑性付与材とが配されていることを特徴とする請求項8ないし請求項17のいずれか一項記載の転写部材。
【請求項19】
トナー像を担持する像担持体と、この像担持体に接触しながら移動する中間転写ベルトと、この中間転写ベルトの表面に前記像担持体上のトナー像を転写する転写部材と、を備えた画像形成装置であって、
前記転写部材は、請求項1ないし請求項18のいずれか一項記載の転写部材であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−85651(P2010−85651A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254011(P2008−254011)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】