転動型入力装置と触感連動型プログラム
【課題】 タッチパネルを装備した既存の機器に着脱可能に装着するか、指に装着して使用することで、タッチパネルの操作に反発力の触感を付加することのできる転動型入力装置と、その反発力と連動するようにプログラムを動作させることで、プログラムの実行状況を反発力を通じて触覚的に把握したり、指が感じる力とゲームシーン内の力が連動して臨場感を高めたりすることのできる触感連動型プログラムを与えること。
【解決手段】 指とタッチパネルの間に転動する転動体を介在させ、転動体が潰れるように変形したり、転動したりする際に反発力を指に与えるようにし、タッチパネルの接触位置検出手段を利用して、これらの反発力を推定し、推定された反発力と連動してプログラムが動作するようにした。
【解決手段】 指とタッチパネルの間に転動する転動体を介在させ、転動体が潰れるように変形したり、転動したりする際に反発力を指に与えるようにし、タッチパネルの接触位置検出手段を利用して、これらの反発力を推定し、推定された反発力と連動してプログラムが動作するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触感に基づき操作するユーザインターフェイスやゲームに用いる入力装置とプログラムに関する。
【0002】
近年、タッチパッド、タッチパネル、タッチディスプレイといった指やスタイラスでタッチして操作する接触位置検出装置(以下タッチパネルと総称する)が普及している。こうした装置では指や器具でタッチパネル表面を接触することによって接触地点の座標を入力する。本発明では、指とタッチパネルの間に転動体と呼ぶ機構を介在させて、単に座標を入力することに留まらず、ダイヤルやホイール、あるいはボタンや十字キー、キーボード等の入力デバイスの触感を与えながら、これらのデバイスの機能を兼ねて、さらにゲームの遊戯内容に即した反力(反発力)や凹凸感を指に返しながら、ゲームの進行をコントロールする多様な情報入力を行うための装置とプログラムを与える。タッチパネルの表面は平坦、リジッドであるため、タッチしても位置や反応を知るための特段の触感がないが、前記転動体を介在することによって、反発力や凹凸感といった触覚刺激を操作中の指に加え、これらの触覚刺激に連動させてプログラムを動作させることにより、操作位置や応答を触覚を通じて確認しながら、直感的に分かりやすく、プログラムやゲームを操作できるようにする。
【背景技術】
【0003】
従来、タッチパネル表面には指やスタイラスと呼ばれるペン状の器具で接触して座標情報を入力していた。しかしながら、いずれの場合にも、触覚的手掛かりが不足していたため、接触位置を視覚的に確認する必要があり、また接触した結果、正しく入力が行われているか確認する場合にも、視覚や聴覚を通じて確認する必要があった。
【0004】
この問題に対処するため、本発明では、視覚や聴覚だけではなく、触覚を通じて、接触位置等の入力内容や入力に対する反応を確認できるようにして、ユーザインターフェイスやゲームの操作性や臨場感を向上することを目的とし、指とタッチパネルの間に介在する入力デバイスとその入力デバイスを効果的に利用した触感連動型プログラムを与える。従来から各種の触覚フィードバックデバイスが開発されているが、タッチパネルと指の間に介在するデバイスを通じて上記問題を解決しようとする試みは従来なく、この点に本発明の新規性がある。
【0005】
本発明に関連する特許文献を以下に示す。
【特許文献1】特開平9−128149号公報
【特許文献2】特開2001−306238号公報
【0006】
特許文献1と2では、タッチパネル上でローラ状の転動体を転がす操作によってデータや指令を入力する方法が示されている。しかしながら、いずれの手法も転動体を情報入力の手段としてのみ用いており、触覚的手掛かりを付加する手段としては利用しておらず、そのための工夫も与えられていなかった。
【0007】
それに対して本発明では転動体を指に凹凸感のみならず、反発力を加える手段として用いており、こうした触覚的手掛かりに同期してプログラムが動作するようにすることによって、プログラムの動作を触覚を通じて確認できるようにして、ユーザインターフェイスの操作性やゲームの臨場感を向上している。また本発明では、それ自体が単独に機能していて、指やスタイラスによっても操作できるタッチパネルに、転動型入力装置を必要に応じて別途装着したり、指側に装着したりして使用する。そのためにタッチパネルまたは指に転動型入力装置を着脱可能とするための構造を設けているが、従来技術には、転動型入力デバイスをタッチパネルや指に着脱可能に装着する構造は見受けられない。このように既存のタッチパネルのセンサ機能(接触位置検出機構)を活用して転動を検出するようにすることで、転動型入力装置側のセンサ機能を省き、デバイスコストを大幅に削減することが可能になった。また本発明の一つの実施形態においては転動型入力装置を指に装着するための構造を設けているが、従来には転動型入力装置を指に装着してタッチパネルを操作するという発想自体が存在していなかった。従来のジョイスティック等には、見方によっては、位置検出機能を備えたセンサ上で、転動体とも解釈できる構造が動いてデータを入力しているものがあるかも知れないが、本発明と異なり、装置自体がセンサ機能を内蔵するため構造が複雑となりコストも高くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の状況に鑑みて考案されたものであり、触覚手掛かりが欠如していたタッチパネルの操作に対して、指とタッチパネルの間に特殊な器具を介在させることによって、操作中の指に反発力や凹凸感の触感を与え、これらの触感と同期するようにプログラムを制御することによって、ユーザインターフェイスの操作性やゲームの臨場感を向上させ、さらにタッチパネルのセンサ機能を活用することで低コストに実現することのできる転動型入力装置と触感連動型プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために考案された、本発明の請求項1に記載の転動型入力装置は、それ自体が単独で機能するタッチパネルやタッチスクリーン、タッチディスプレイといった接触位置検出手段を備えたパネルに、転動体部分がパネル上に来るように着脱可能に装着され、該パネルに直接的または間接的に接触しながら転動する転動体と、前記転動体の転動運動を妨げるように転動方向と逆方向に働く力を生成する反発力生成手段とを備えたことを特徴とする。ここで間接的に接触するとは、転動体とパネルの間に容易に変形する膜や布などを介在して接触することを意味する。
【0010】
また請求項2に記載の転動型入力装置は、指に装着されて、その指によって接触位置検出手段を備えたパネルに押し付けられて、該パネルに直接的または間接的に接触しながら指の動きと共に転動する転動体と、前記転動体の転動運動を妨げるように転動方向と逆方向に働く力を生成する反発力生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また請求項3に記載の触感連動型プログラムは、請求項1または2に記載した転動型入力装置と共に使われるプログラムであって、プログラム中に設定される量やベクトル(例えばカーソル動作速度や方向やスクロール量やスクロール方向、その他所定のパラメータの値を定める量やベクトル)や、ゲーム内の仮想的に設定されたオブジェクトに加える仮想的な力の大きさや方向等を定める変数やベクトルの値を、前記反発力の大きさまたは方向に関連付けて(例えば、両者の大小関係や方向に対応が取れる様に、あるいは大きさや角度が概比例するように)定めることを特徴とする。
【0012】
また請求項4に記載の触感連動型プログラムは、請求項3に記載の触感連動型プログラムにおいて、前記反発力の大きさまたは方向を、前記接触位置検出手段が検出する接触位置に基づいて算出することを特徴とする。
【0013】
また請求項5に記載の転動型入力装置では、請求項1または2に記載の転動型入力装置において、その転動体が指から加わる力に応じて変形する機構または素材で構成され、この変形の程度に応じて、元の形状に復帰するように反発力を生成する手段または弾力性を備え、かつこの変形の程度をパネルが備えている接触位置検出手段を通じて入力することを特徴とする。例えば、抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルの中には、複数の点で同時にパネルに接触すると、それらの接触点に接触面積を加味した重心位置を接触位置として検出するものがある。こうしたパネルでは、パネル上の一点に一定の面積で基準用接触子が接触しながら、別の一点において転動体がパネルと直接的または間接的に接触し、その接触面積の大きさが転動体の変形の程度に応じて変わると、変形の程度によって接触している二点の重心位置が変わるので、パネルが検出する重心位置を通じて変形の程度を検出することが可能になる。
【0014】
さらに請求項6に記載の触感連動型プログラムは、請求項5に記載した転動型入力装置と共に用いられるプログラムであって、プログラム中の所定の変数値を前記変形の程度に関連付けて定める(例えば概比例するように定める)ことを特徴とする。
【0015】
最後に請求項7に記載の転動型入力装置では、請求項1に記載の転動型入力装置において、転動体の上部表面の指と接する部分に、転動体の転動方向と直交する方向に回転または揺動する手段(以下、単に回転体という。)を設けたことを特徴とする。転動体下部の表面を転動する方向(前後方向)にだけでなく、それと直交する方向(左右方向)にも湾曲した曲面とすると、前記回転体に指を当てて、回転体を回転させながら指を左右に動かすと、転動体上の指で加圧する位置が左右方向に変化するので、転動体下部の左右方向に湾曲した曲面がパネルと接触する位置が左右方向に変わり、この左右方向の接触位置の変化でもって、転動体上の指の左右方向の運動を検出することができる。こうして指の多様な運動を区別して多様な情報を入力できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、既存のタッチパネルのセンサ能力を活用することで、センサ機能を省いてコストを大幅に削減できる、着脱式または指装着式の転動型入力装置を与え、その転動量や変形量を反発力を通じて操作者にフィードバックする機構を付加し、その反発力と連動して動作するプログラムを用いることによって、操作者が操作内容や操作量を反発力の大きさや方向を通じて触覚的に把握できるようにし、ゲームプログラム等のオブジェクトに加える力の大きさや方向と反発力の大きさや方向を関連付けることで、ゲームプレイ時の臨場感を向上した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の転動型入力装置は、それと別個に用意されている接触位置検出手段を備えたパネルと組み合わせて使用する。以下、接触位置検出手段を備えたパネルをタッチパネルと呼ぶことにする。本発明の請求項1に係る転動型入力装置80は、着脱可能に装着する機構を通じて、タッチパネル2を備えた別個の装置に必要に応じて取り付けて使用する。例えば図8に示す構成例では、転動型入力装置80は、転動体1、この転動体をタッチパネル2から所定の間隔をあけて設置するためのアーム5、アーム5と転動体1とを繋ぐバネ4、およびアーム5の一端に設けられタッチパネル2へ固定するための基部6で構成されている。この転動型入力装置80のアーム5の基部6を、タッチパネル2を備えた別個の装置100に設けられたスロット7に挿入することによって、転動型入力装置80を装着し、基部6をスロットから抜き出すことによって、転動型入力装置80を取り外すことができる。なおアーム5はU字型に曲がって、タッチパネル2の面上にせり出しており、アーム5の先端からバネ4を通じて転動体1の両端を両側に引っ張り、転動体1をタッチパネル面から所定の高さで宙吊りにし、バネ4の張力によりタッチパネル面と転動体下部面の間には所定の間隙が保たれている。
【0018】
ここでタッチパネル2は、電極間の接触関係を通じて加圧位置を検出するようにマトリックス状に配列した電極や、接触位置に応じて抵抗値を変える抵抗膜、静電容量の変化を通じて指の接近位置を検出する電極配列等によって構成され、その表面上で転がる転動体1が直接的または間接的にパネルに接触する位置を検出する。静電容量型タッチパネルを利用する場合には、それに接触する転動体や膜が適当な誘電率や導電率を備えていることが望ましい。以下に示す構成例の中では、図10のみが転動体が間接的にパネルに接触する構成例を示しており、それ以外はすべて直接的に接触する例になっている。直接的に接触する場合には、転動体下部8の表面はタッチパネル2の表面に直接接触するが、間接的に接触する場合には、転動体はゴムや布のように柔軟性を備えた素材でできた膜や帯を間に介してタッチパネルに接触する。図10の構成例では、シリコンゴム膜50がタッチパネル2の表面から所定の間隙を隔てて張られており、指で押された転動体31は転動するにつれて異なる位置でシリコンゴム膜を押して、押されて変形したシリコンゴム膜がタッチパネルに接触して、接触位置(51、52)の情報が入力する。
【0019】
図1、5、6、9の構成例では、転動体(ビア樽型転動体1、及び球状転動体31、車輪付転動体75)をバネ4やゴム20等の弾性のある紐でパネル上に吊るすことで、パネル2から所定間隔をもって支持し、指で転動体の所定位置を加圧してパネルに押し付けることで転動体の下部面をパネルに接触させる(図2(a)(d))。そしてパネルに押し付けたまま指を動かすことで転動体を転がすように回転させて接触位置が移動するようにする(図2(b)(e))。さらに必要に応じて転動体上で加圧する位置を変えたときに転動体が傾斜する構造とし、この傾斜によって転がり方向と直交する方向にも接触位置が変わるようにする(図4(b)(d))。あるいは転動体下部を半球状とし、転動体上部に接する指で前後左右に動かして転動体を揺すると下部半球面がパネル上で転がり、両者の間の接触位置が前後左右に動くようにする(図9〜12)。
【0020】
以上のように転動体が転がるにつれて弾性を持つ紐が引っ張られて伸びるが、この紐が元の長さに戻ろうとする力で転動体を復帰するように反発力が働くようにする。これが反発力生成手段となる。そしてこの反発力と連動・同期するようにプログラムを制御することによって、操作者は、反発力を通じてプログラムの動作状況を把握することができる。また反発力の大きさや方向を通じて、自分が加えている操作が正しいか確認して、加える力の大きさや方向を調整することができる。ここで上記の紐は図5の20のように2本を並べて張るようにして転動体を吊るすと、転動体1から指を離して中立状態に復帰した時に、常に転動体の同じ面がパネル側を向くように転動体の姿勢を維持することができる。図1のように一本のバネを用いて反発力を生成しようとすると、バネを使用しているうちにその構成材が疲労等により変形し、当初の中立点に復帰できなくなる場合がある。一方、図5に示すように転動体の両端のそれぞれを2本のシリコンゴムの紐で引っ張る方式では、転動体を確実に中立点に復帰することが可能であり、反発力も確実に生成できるので、反発力生成手段としてより有効に機能する。
【0021】
具体的に図1の構成例では、パネル2の面上に突き出ている支持用アーム5にビス9でつながったバネ4で転動体下部8の両端をそれぞれ左右に引っ張ることで転動体をパネル2上に吊り上げている。ここで転動体下部8の表面とタッチパネル2の表面の間には微小な空隙が空いている。また転動体には隆起3を設けて触覚的に指で触れている位置を確認できるようにしている。図2に転動体を指で転がす様子を示すが、まず(a)のように転動体の中央部を指で押すと、横側面図(d)に示すように転動体下部はタッチパネル2に11の位置で接触する。(d)(e)(f)から分かるように転動体下部のパネル接触部の断面形状は円弧になっているため、転動体をタッチパネル2の表面に押し付けたまま指を前後方向に動かすと、転動体は所定の角度の範囲内で前後に転がり、タッチパネルとの接触位置は(e)の11及び(f)の12の位置に移動する。(b)に示すように転動体をタッチパネルに押し付けたまま転動体を黒矢印の方向に転がすと、バネ4が伸びて、それを戻すように白矢印の方向に反発力F1が発生する。このときの移動量Dの長さに依存して反発力F1の大きさが定まるので、長さDをタッチパネル2の位置検出手段82を通じて計測することで、反発力F1の大きさを求めることができる。同様に転動体を逆方向に転がした時の様子を(c)(f)に示すが、この場合には反発力F1の方向は逆になり、その大きさはやはり移動量Dの長さに依存して定まる。
【0022】
図3には、図1の転動型入力装置80において、転動体の上部1を下部8に対して図の左方向にスライド移動させて、転動体下部8とタッチパネルの接触点をスライド移動前の(b)の11からスライド移動後の(c)の13に移動する様子を示している。転動体の形状において重要な点は、転動体下部の表面形状がラグビーボールの曲面の形状をしており、転動する方向だけでなく、それと直交する方向にも表面が湾曲しており、タッチパネルとの接触点が1つに制限されることである。そしてこのように転動方向と直交する方向にも転動体下部表面が湾曲しているために、(c)のように指を転動体上部1に乗せたまま14の矢印の方向に動かすと転動体上部1は下部8に対してスライド移動し、指から転動体に加わる圧力の重心点も14の方向に移動して、転動体下部8とパネルの接触点は11から13へ移動する。このスライド移動は操作者が指で黒矢印14の方向へ力を加えることによって起こり、指を離せば転動体上部1は転動体内部に仕込まれたバネの働きで元の位置に復帰する。またこのバネが指に図の白矢印の方向へ反発力F3を加える反発力生成手段として機能する。
【0023】
図4では、指が最初に転動体に触れる際に、(a)に示すように転動体上部の隆起部分3の位置に触れ、(b)に示すように転動体を押し下げてその下部をタッチパネルに接触させた後で(c)のように指を17の矢印の方に動かしている。ここで隆起部分3は操作者に指の位置に関する触覚的な手掛かりを与えるために設けられている。この場合にも、転動体下部8の表面がラグビーボール状に湾曲していることが重要であり、そのために転動体下部8は指から転動体に加わる力の重心点15においてタッチパネルに接触することになる。また(c)のようにさらに指を17の方向に動かすと転動体上部1は下部8に対してスライド移動して、重心点と共に接触点も16へ移動する。そして指には反発力F3が加わることになる。
【0024】
図5の構成例では、図1と同様の転動体をバネ4の代わりにシリコンゴム20でタッチパネル2の上に引っ張って吊るしている。ここで22はシリコンゴムの紐を抑えて止めるための板であり、23はその板を留めるビス、そして21はフレームである。図5のように転動体の両端のそれぞれに2本のシリコンゴムを付けて引っ張ると中立時に転動体の姿勢を一定に保ちやすい。
【0025】
本発明の請求項7に係る転動型入力装置80は、転動体の上部表面の指と接する部分に、前記転動体の転動方向と直交する方向に回転する回転体を設けている。こうすると指は転動体上面に接触したまま、転動体を前後に転動させることで前後に動くことができるし、また同時に回転体を左右に回転させることで左右に動かすこともできる。指が転動体上を左右に移動して指から転動体に加える加圧点の位置が左右に移動すれば、転動体下面が左右に湾曲した曲面である場合に、転動体とタッチパネルの接触点の位置も左右に移動する。従って、指で転動体をタッチパネルに押し付けたまま、回転体の回転によって指を左右に動かすと、タッチパネルへの接触点は転動体とパネルが接触したままの状態で左右に移動し、そのことでもって、指を回転体上で左右に動かす運動を他の運動と区別して検出して、その操作に応じた指令やデータを入力することができる。例えば、図6の構成例では、図1や図5で用いていた転動体上部1を下部8に対してスライド移動させる機構の代わりに、車輪71を導入し、転動体上部に設けた回転軸72の周りに車輪71が回転するようにして、車輪上に乗せた指が転動体をタッチパネル2に押し付けるように下方向に力を加えながら、車輪の回転方向(転動体の転動方向と直交する方向)に動くことができるようにしたものである。こうして指を転動体上に乗せたまま、車輪の回転方向に動かすと、転動体に指から加わる力の重心位置も指と共に移動して、転動体下部8とタッチパネル2との接触点は転動方向と直交する方向に動く。こうしてタッチパネルとの接触点を転動方向(転動体の転動方向)とそれと直交する方向(車輪71の回転方向)のいずれにも自在に動かすことができるようになる。
【0026】
ここで車輪を転動体に設置する方法には、図7の(a)(b)に示す方法と、(c)(d)に示す方法がある。(a)(b)に示す方法では車輪の回転軸72の軸受70は2つの車輪71aと71bに挟まれている。そのため指で車輪を回す時に指は軸受にぶつかりにくい。一方、(c)(d)に示す方法では、車輪71の回転軸72の軸受70は車輪の外側にあるため、車輪上で指を動かす際に指が軸受にぶつかり易くなる。
【0027】
以上の構成例では転動体としてラグビーボール形状のものを用いていたが、図9に示す構成例では転動体31は球形状をしている。球形状であれば、転動体上部が下部に対してスライド移動する機構を導入しなくとも、また転動体上部に車輪を設けなくとも、球自体が前後左右に転動することで、タッチパネル上の接触点を2次元的に動かすことができる。図9の構成例ではボール31のみならずアーム33もアームと転動体をつなぐ紐32もいずれも柔軟に変形するシリコンゴムによって一体成型されている。そのためボール31を転動させるときにはアーム33と紐32が変形してボールの姿勢が変わり、変形したシリコンゴム素材が元の形状に戻ろうとする際に転動に対する反発力が発生し、それが反発力生成手段として機能することになる。
【0028】
以上までの構成例では転動体は、その両端をバネやシリコンゴムで両側に引くことによって、タッチパネル上で吊上げるようにして支持していた。一方、図10には、それと異なる転動体の支持方法を示す。図10には、ボール状の転動体31を縦に割った断面図を示している。このボール状転動体31にはその底部から円柱状の穴が開けられており、その中にバネ44が収納されている。バネの上端は円柱状の穴の上部に取り付け金具45で取り付けられている。またバネの下端は、シリコンゴム膜50に取り付け部材41を介して接続されている。シリコンゴム膜50はタッチパネル2のパネル表面から一定の間隙をおいて張られており、指でボール状転動体31の上部を下方向に押すと(b)のようにシリコンゴム膜が変形し、ボール状転動体下部は、間にシリコンゴム膜や取り付け部材41を挟んで、タッチパネル2に51の位置で接触する。また(c)に示すように指でボール状転動体31をタッチパネル2に押しつけながら、指を図に向かって左方向に動かすと、バネ44が伸びた上で、ボール状転動体31は左側に転動し、押されて変形したシリコンゴム膜を介して、52の位置でタッチパネル表面に接触する。この際にバネ44は元の長さに戻ろうとして、反発力F1が図中の矢印の向きに指に加わり、これがこの方式の反発力生成手段として機能する。この反発力の大きさは、タッチパネル上の接触位置52に基づき算出することができる。なお図17に示すようにバネ44の代わりに伸縮性のあるシリコンゴム77を用い、これをやはりシリコンゴムでできた膜50と一体形成し、77の細くなった先端部78を(c)に示すようにシリコンゴムでできたボール状転動体31の穴に通した後で、これを引っ張ることで、(d)に示すように77の膨らんだ部分76をボール状転動体31内部の空洞部75に引きずり込んで77と31を接合し、その後で(d)の破線79で78を切断することによって、低コストかつ簡易に(a)に示す構造を生産することができる。
【0029】
本発明の請求項2に係る転動型入力装置80は、転動体を指に装着する点に特色がある。請求項1に係る転動型入力装置80では転動体をタッチパネル側に装着し、それを指で操作したが、請求項2に係る転動型入力装置80では転動体を指側に装着し、タッチパネルに触れる際に指とタッチパネルの間に転動体を挟むようにして、転動体を介してタッチパネルに接触する。転動体は指に装着されていても、指の表面上で転動できる自由度を持つように、例えば、バネやゴム紐の弾力性によって指に引き付けるように固定される。そのような転動型入力装置80の構成例を図11に示す。ここでボール状転動体31は図10と同じ構造を持ち、図10と同じ原理で取り付け部材41を介して、指側に巻きつけたバンド42aに取り付ける。43はバンドのバックル、バンド42bは42aのバックル通過後の延長部分であり、図には含まれていないが、さらに、その延長上の端部はタッチパネル2の筺体につながり、転動型入力装置80の紛失を防ぐとともに、タッチパネル筺体の落下を防ぐストラップとしても機能する。(b)には(a)を親指先端側から見た側面図を示す。
【0030】
図12には、図11のボール状転動体の断面と転動の原理を示す。(a)は親指の先端側から見た側面図で、ボール状転動体31については縦に割った時の断面を示している。42cは親指の周りをぐるりと巻いたバンドであり、このバンドに、取り付け部材41を介してバネ44の一端が取り付けられている。このバネはボール状転動体31に開けられた円柱状の穴を通り、その他端が取り付け金具45によって穴の底に接合されている。(b)には親指の横方向から見た側面図を示す。46は転動する前に転動体31がパネル2と接触している点である。(c)には指を横に動かしてボール状転動体を転動させたときの様子を、また(d)には指を後方に動かしてボール状転動体を転動させたときの様子を示す。いずれの場合にも指の動きと共にボール状転動体が転動し、接触点が47に移動している。またこのときにバネ44が伸びて、それが縮んで元に戻ろうと指をF1方向に押す反発力を発生する。これが反発力生成手段として機能することになる。
【0031】
請求項5に係る転動型入力装置80では、転動体を叩いたり潰したりした時に転動体が変形し、その変形量に応じて反発力を生じる。例えば転動体のタッチパネルと接触する側の面をシリコンゴム等の柔軟性と弾力性を備えた材料で曲面状に形成すると、転動体に圧力をかけてタッチパネルに押し付けるときに上記曲面は潰れて、広い面積でタッチパネルに接触する。またそれが復帰しようとするときに指に反発力を返すようになる。またタッチパネルとの接触面積を通じて転動体の変形量や転動体に加わる圧力、及び指に返る反発力を算出できる。もちろん別に圧電素子などの圧力センサを用意して、タッチパネルに加わる圧力を検出して、そこから指に返る反発力を算出してもよい。転動体とタッチパネルの接触面積はタッチパネル側のセンサが検出する抵抗値や静電容量値、あるいは導通する電極の数等を通じて検出することができる。このような原理に基づく転動型入力装置80を図13に示す。ここで円形の断面55は上述したラグビーボール状転動体の断面とみなしても良いし、ボール状転動体の断面とみなしても良い。いずれの場合にも転動体が中空のゴムなどで変形しやすい素材で形成されていると、(a)のように軽い力でパネル2に押し付けられている場合の転動体とパネルの接触点56における接触面積は小さくなり、(b)のように強い力で押しつけられて転動体が変形して潰れている場合の転動体とパネルの接触点57における接触面積は大きくなる。また(b)では押し潰された転動体55が元の形状に復帰しようとして、反発力F2を発生する。この反発力の大きさは57の接触面積を何らかの方法で計測することで算出できる。
【0032】
例えば、抵抗膜方式のタッチパネルでは、同時に2点でタッチパネルに接触する場合に、それらの接触点位置に接触面積を重み付けて平均化した位置(重心位置)を接触位置として検出する。そこで58に示すように、パネル上の一点に常に一定の面積で基準用接触子が接触しているようにしておくと、(a)のように56の接触面積が58の接触面積とほぼ同じであるときには、タッチパネルが検出する接触位置は、これらの2点の接触位置にほぼ同じ接触面積を重み付けて平均化して求まる重心位置、すなわち56と58のほぼ中間になる図中のPの位置となる。また(b)のように57の接触面積が58の接触面積よりも大きくなる場合には、タッチパネルが検出する接触位置は、これらの2点の接触位置のうち57の方が大きな接触面積を重み付けられて重心位置が求められるため、57側に寄った図中のQの位置になる。このように接触面積の大きさが転動体の変形の程度に応じて変わると、変形の程度によって接触している二点の重心位置が変わるので、タッチパネルが検出する重心位置を通じて変形の程度を検出することが可能になる。
【0033】
以上に述べてきた転動型入力装置80ではいずれも、転動体をタッチパネルに押しつけながら指を動かすと、転動体を支持するバネやゴム紐が伸びて、転動体は指表面とタッチパネル表面に挟まれたまま、これらの両表面との接触点を変えながら転動する。この際にタッチパネル上の接触点を検出すれば、転動体の転動量を算出することができる。また転動する時にバネやゴム紐が伸びるため、これらが元の長さに戻ろうとして反発力が生じる。この反発力は、転動体がタッチパネルに接触してから、接触したまま転動して接触点が移動する際の接触位置の移動量(変化量)を通じて算出することができるので、反発力に同期するようにプログラムを制御することができる。請求項1に係る転動型入力装置80では、接触位置の移動量で間接的に反発力を算出する代わりに、転動体を引っ張る紐の張力を力センサや歪センサ等で直接検出して反発力を算出することもできるが、請求項2に係る転動型入力装置80は指側に装着するため、電力を供給したり、信号を通信したりすることが困難であり、上述したようにパネル側で検出できる接触点の移動量を通じて反発力を算出することが望ましい。
【0034】
本発明の請求項3に係る触感連動型プログラムでは、上述したように算出される反発力とプログラム中の所定の変数値を連携させる(関連付けて定める)ことによって、反発力を通じて操作内容を把握できるようにしたり、ゲームの臨場感を向上したりする。すなわち操作者は転動体を転がす際に指の感じる反発力の大きさによって、プログラム中の所定の変数に設定している値がどの程度の大きさか分かるし、また反発力の方向を通じて、プログラム中の所定のベクトルの方向をどのように定めているのか把握することもできる。もちろんベクトルの代わりに角度を定める変数の値を反発力の方向に合わせて定めても良い。またゲームでは、例えばシューティングゲームでボールや玉をシュートする力の強さを反発力に関連付け、あるいはシュートする方向を反発力の方向に合わせて定めることで、指の感じる力とゲーム中のオブジェクトに作用する力が一致して臨場感を高めることができる。特にパチンコ等、現実にも弾性のある紐を引いたり、離した時の反発力やはじけたりする感覚が操作上重要となるゲームでは、本発明の転動型入力装置80が生成する反発力が現実の反発力と類似したものとなるため臨場感は高くなる。
【0035】
例えば、図14にはバット60でボール61を打つゲームのシーンを示すが、バットを構えて引く際の角度やスイング量62あるいはバットがボールを打つ強さ等を、転動型入力装置80の転動量や転動型入力装置80が指に返す反発力と大小関係の対応が取れるように定めると、ゲームのプレイヤーは指に加わる反発力を通じてバットを引く角度やボールを打つ力の強さを把握できる。すなわちゲームの中の力を現実の力で把握できるのでゲームの臨場感が高まる。また画面中のバットの角度を注視しなくとも、力の加減で触覚的にバットの角度やボールを打つ強さを把握できる。63はボールの軌跡を示すが、ボールがバットに当たって跳ね返る時の速度やバットを振る力が、転動体を引いて放す時の速度や力に対応して定まるようにすると良い。またボールとバットが衝突するかどうかを、転動体を放す時刻と放す直前に指に加わっている反発力等に基づき決定すると良いが、これらの時刻と反発力はいずれもタッチパネルの接触状況・接触位置検出機能によって検出できる。
【0036】
請求項6に係る触感連動型プログラムでは、図13に示すように転動体に圧力を加えて変形させたときの変形量や反発力に連動させて(関連付けて)プログラム中の変数値を定める。例えば、ボクシングゲームやモグラたたきゲーム等でオブジェクトを叩いたり潰したりする要素がゲームのプレイ内容に含まれる場合には、請求項5に係る転動型入力装置80を用いて、転動体を叩いて潰した時の変形量や反発力を検出し、その変形量や反発力の大きさに関連付けて、相手やモグラに与えるダメージ等の変数値を定めると、ゲームの内容と転動体に加える操作とが直観的に連携が取れるようになり、ゲームの臨場感が増すようになる。
【0037】
図18は、上述の転動型入力装置80を用いてデータ入力を行うコンピュータ装置89の機能ブロック図である。コンピュータ装置89は、データを入力する入力部85、入力したデータを用いて演算処理を実行する演算処理部87、演算結果を出力する表示部86、および、データを保存する記憶部88で構成されている。また、入力部85は、パネル81と接触位置検出手段82とで構成されるタッチパネル2と、このタッチパネル2を介してデータを入力する転動型入力装置80とから構成されている。なお、コンピュータ装置89は、汎用のパーソナルコンピュータでも良いし、専用のゲーム機などであっても良い。
【0038】
次に、上記のコンピュータ装置89の演算処理部87で動作するプログラムの実施例について説明する。図15と図16には、本発明のプログラムの実施例のフローチャートを示す。これらは本発明の転動型入力装置80と組み合わせて使用するプログラムの一実施例である。まず図15にはメインプログラムのフローチャートを示すが、Step 1で転動体から指に加わる反発力に関連させて定める各種変数の値を初期化している。Step 2では転動型入力装置80から与える各種計測値J(例えば、直接計測した反発力、反発力に関わる転動体のタッチパネルとの接触位置を示す座標値やその変化量、転動体のタッチパネルとの接触面積等)へ周期的にアクセスし、Step 3ではアクセスして得た値に基づいて、Step 1で初期値を定めた変数の値を周期的に更新する。またはStep 3´では転動体とタッチパネルとの接触点の位置Pや接触面積Sから反発力の大きさや方向を算出し、その結果に基づきこれらの変数を更新する。次にStep 4でプログラムG(図16に示すような具体的なアプリケーションのプログラム)を実行するが、場合によってはStep 3とStep 3´を省き、Jの値に依存して直接プログラムGを実行しても良い。プログラムGを所定のステップ実行した後、Step 5で終了条件が満たされるまでは、周期的にStep 2に戻り、繰り返しJの値をスキャンして、上記の手続きを繰り返す。
【0039】
図16には図15のStep 4に記載されていたプログラムGの内容を示す。プログラムGはアプリケーションの内容に依存して変わるが、転動体が指に与える反発力、あるいはそれに依存した何らかの検出量に連動するようにプログラムを動作させる点はアプリケーションに依存せずに共通で、本発明の本質的要素となるので欠けることはない。図16に示すプログラムGは、特に図14に示したバットでボールを打つゲームに関するプログラムになっているが、ここではゲーム中のバットを引いて構える角度や、バットのスイングの加速度や速さ、ボールを打つ強さ、ボールの加速度や速さ、ボールの運動条件、ボールとバットの衝突条件等を転動体から指が受ける反発力と連動するように定めている。プログラムGでは、まず図15のメインプログラムから呼び出された後で、Step G1で転動体のタッチパネルとの接触状況を確認する。転動体がタッチパネルと接触している場合には、転動体が指に加える反発力F1(これは転動体がタッチパネルに最初に接触してから接触したまま移動する量に基づき算出される)に基づきバットの構え時に引く角度を定める。続いてStep G8で運動方程式などに基づきボールの位置を求め、Step G2で決定したバットの角度も用いて、両者の衝突条件も調べた上で、ボールとバットを表示部86の画面に表示する。
【0040】
一方、Step G1で転動体がタッチパネルに接触していないことが確認された場合には、Step G3で、次の3つの手続きを各々の実行条件が満たされるか注意した上で実行する。(1)前時点にタッチパネルに転動体が接していた場合には、バットを振る運動をF1の大きさに応じた速度または加速度で開始し、バットスイング開始済フラグを1に設定する。(2)バットスイング開始済フラグが1になっている場合には、バットの運動を継続する。(3)前時点にタッチパネルに転動体が接しておらず運動開始フラグが0になっている場合には、ここでは何もせずに次のステップへ進む。このステップ後でStep G4に進み、そこでバットスイング終了条件が成立するか確認し、例えばスイング開始後所定時間経ってバットを振り切ったことが確認された場合などには、Step G5でバットスイング開始済フラグを0に設定する。またバットスイング終了条件が成立しない場合には、Step G6でボール衝突条件が成立するか確認する。ボールとバットの運動状況を調べて、両者の衝突条件が成立する場合には、Step G7で反発力F1とバットとボールの運動状況に基づき、ボールの運動条件を衝突後の運動条件に変更し、Step G7で運動方程式等によりバットの姿勢やボールの位置などを求めて画面に表示する。またStep G6で衝突条件が成立しなかった場合には、以前のボール運動条件のままStep G8に入り、やはりボールとバットを画面に表示する。Step G8終了後はメインプログラムに戻って、手続きを継続する。
【0041】
なお以上に述べた転動型入力装置と触感連動型プログラムでは、転動体が指に加える反発量と併せて、振動生成器が生成する振動を用いることによって、一層触覚を有効活用してユーザインターフェイスやゲームの操作性や臨場感を向上することができる。例えば、この振動生成器は、転動体の転動角度が所定量に到達した時、または転動体のパネル上での接触位置が所定位置に到達したとき、あるいは反発力が所定量で発生するとき、ボールがバットにぶつかるなどプログラム中で所定の条件が満たされた場合、または外部機器からの所定の指令が与えられたときに振動して、手指に操作の達成やゲーム中の特定イベントの発生を通知するメッセージを振動によって通知するように構成しても良い。特にユーザインターフェイスにおいては、所定の操作が行われて入力が確かに受け入れられたことを操作者の触覚を通じて通知する目的に振動を使用すると良い。例えば転動体が所定の角度転がるたびに発生することもあるし、ディスプレイの表示内容に同期して、カーソルが目標地点に到達したとき等に振動するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の転動型入力装置の一実施例について、(a)は上面図、(b)は前方側面図、(c)は横側面図を示す。
【図2】図1の転動型入力装置の実施例で指を前後に動かして転動体を転がす様子と、その際に生じる反発力を示す図である。(a)(b)(c)は指で操作中の転動型入力装置の上面図で、(d)(e)(f)はそれぞれ(a)(b)(c)に対応する横側面図である。
【図3】図1の転動型入力装置の実施例で指を左右に動かして転動体上部をスライド移動する様子と、その際に生じる反発力を示す図である。(a)は上面図、(b)(c)前方側面図で、(d)(e)は(b)(c)に対応する横側面図である。
【図4】図1の転動型入力装置の実施例で、指で転動体の左側隆起部に触れてタッチパネルに転動体が接触するように押し付けた後、指を左右に動かして転動体上部をスライド移動する様子と、その際に生じる反発力を示す図である。(a)は上面図、(b)(c)前方側面図で、(d)(e)は(b)(c)に対応する横側面図である。
【図5】図1の転動型入力装置の反発力生成手段を改良するため、バネの代わりに2本のシリコンゴム紐で転動体を吊るすようにした反発力生成手段を示す斜視図である。
【図6】図1の転動部の上部スライド機構の代わりに車輪を導入して、転動体をタッチパネルに接触するように押しつけながら指を左右に円滑に動かすことを可能とした転動体を示す斜視図である。
【図7】図6の転動体に車輪を設置する異なる方式を比較して示す図である。(a)は車軸受けを指に当たりにくくした構成、(b)は車軸受けが指に当たりやすい構成の前方側面図であり、(b)(c)はそれぞれ(a)(b)に対応する横側面図である。
【図8】本発明の転動体入力装置をパネルに着脱可能に取り付ける機構を示す側面図と上面図である。
【図9】球状転動体とそれを支持するアームと紐をすべてシリコンゴムで一体形成した転動型入力装置の実施例を示す斜視図である。
【図10】タッチパネル上に張った弾性膜に球状転動体を一本のバネで引き付けるように留めることによって、球状転動体を前後左右のいずれの方向にも対称に同じ力で転動できるようにし、また反発力も等方的に生成されるようにした転動型入力装置を示す側面断面図である。(a)は中立状態、(b)は転動体を下方に指で押した様子、(c)は転動体を転動させた様子を示す。
【図11】本発明の転動型入力装置のうちで指に装着するタイプを示す図である。親指にバンドで装着した様子で(a)は横側面図、(b)は指の前方から見た側面図である。
【図12】図11に示した指装着型転動体を転動させる様子を示す図である。(a)はタッチパネルに接触して転動する前の様子、(b)は転動後の様子を指の前方から見た側面図で示す。(b)は(a)に対応する横側面図であり、(d)は別の方向に転動させる様子を横側面図で示す。
【図13】転動体を指で圧迫して変形させた際の変形量を転動体のタッチパネルとの接触面積の変化を通じて検出する手段を示す図である。(a)は変形前の様子、(b)は変形後の様子をいずれも側面図で示す。
【図14】バットでボールを打つゲームで画面に表示された1シーンを示す図である。
【図15】触感連動型プログラムのメインプログラムの一例をフローチャートで示す図である。
【図16】触感連動型プログラムのメインプログラムから呼ばれるアプリケーションプログラムの一例をフローチャートで示す図である。
【図17】図10に示す転動型入力装置を、バネの代わりに膜と一体になったシリコンゴムを用いて低コストに生産する方法を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態による転動型入力装置を利用するコンピュータ装置の機能ブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、触感に基づき操作するユーザインターフェイスやゲームに用いる入力装置とプログラムに関する。
【0002】
近年、タッチパッド、タッチパネル、タッチディスプレイといった指やスタイラスでタッチして操作する接触位置検出装置(以下タッチパネルと総称する)が普及している。こうした装置では指や器具でタッチパネル表面を接触することによって接触地点の座標を入力する。本発明では、指とタッチパネルの間に転動体と呼ぶ機構を介在させて、単に座標を入力することに留まらず、ダイヤルやホイール、あるいはボタンや十字キー、キーボード等の入力デバイスの触感を与えながら、これらのデバイスの機能を兼ねて、さらにゲームの遊戯内容に即した反力(反発力)や凹凸感を指に返しながら、ゲームの進行をコントロールする多様な情報入力を行うための装置とプログラムを与える。タッチパネルの表面は平坦、リジッドであるため、タッチしても位置や反応を知るための特段の触感がないが、前記転動体を介在することによって、反発力や凹凸感といった触覚刺激を操作中の指に加え、これらの触覚刺激に連動させてプログラムを動作させることにより、操作位置や応答を触覚を通じて確認しながら、直感的に分かりやすく、プログラムやゲームを操作できるようにする。
【背景技術】
【0003】
従来、タッチパネル表面には指やスタイラスと呼ばれるペン状の器具で接触して座標情報を入力していた。しかしながら、いずれの場合にも、触覚的手掛かりが不足していたため、接触位置を視覚的に確認する必要があり、また接触した結果、正しく入力が行われているか確認する場合にも、視覚や聴覚を通じて確認する必要があった。
【0004】
この問題に対処するため、本発明では、視覚や聴覚だけではなく、触覚を通じて、接触位置等の入力内容や入力に対する反応を確認できるようにして、ユーザインターフェイスやゲームの操作性や臨場感を向上することを目的とし、指とタッチパネルの間に介在する入力デバイスとその入力デバイスを効果的に利用した触感連動型プログラムを与える。従来から各種の触覚フィードバックデバイスが開発されているが、タッチパネルと指の間に介在するデバイスを通じて上記問題を解決しようとする試みは従来なく、この点に本発明の新規性がある。
【0005】
本発明に関連する特許文献を以下に示す。
【特許文献1】特開平9−128149号公報
【特許文献2】特開2001−306238号公報
【0006】
特許文献1と2では、タッチパネル上でローラ状の転動体を転がす操作によってデータや指令を入力する方法が示されている。しかしながら、いずれの手法も転動体を情報入力の手段としてのみ用いており、触覚的手掛かりを付加する手段としては利用しておらず、そのための工夫も与えられていなかった。
【0007】
それに対して本発明では転動体を指に凹凸感のみならず、反発力を加える手段として用いており、こうした触覚的手掛かりに同期してプログラムが動作するようにすることによって、プログラムの動作を触覚を通じて確認できるようにして、ユーザインターフェイスの操作性やゲームの臨場感を向上している。また本発明では、それ自体が単独に機能していて、指やスタイラスによっても操作できるタッチパネルに、転動型入力装置を必要に応じて別途装着したり、指側に装着したりして使用する。そのためにタッチパネルまたは指に転動型入力装置を着脱可能とするための構造を設けているが、従来技術には、転動型入力デバイスをタッチパネルや指に着脱可能に装着する構造は見受けられない。このように既存のタッチパネルのセンサ機能(接触位置検出機構)を活用して転動を検出するようにすることで、転動型入力装置側のセンサ機能を省き、デバイスコストを大幅に削減することが可能になった。また本発明の一つの実施形態においては転動型入力装置を指に装着するための構造を設けているが、従来には転動型入力装置を指に装着してタッチパネルを操作するという発想自体が存在していなかった。従来のジョイスティック等には、見方によっては、位置検出機能を備えたセンサ上で、転動体とも解釈できる構造が動いてデータを入力しているものがあるかも知れないが、本発明と異なり、装置自体がセンサ機能を内蔵するため構造が複雑となりコストも高くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の状況に鑑みて考案されたものであり、触覚手掛かりが欠如していたタッチパネルの操作に対して、指とタッチパネルの間に特殊な器具を介在させることによって、操作中の指に反発力や凹凸感の触感を与え、これらの触感と同期するようにプログラムを制御することによって、ユーザインターフェイスの操作性やゲームの臨場感を向上させ、さらにタッチパネルのセンサ機能を活用することで低コストに実現することのできる転動型入力装置と触感連動型プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために考案された、本発明の請求項1に記載の転動型入力装置は、それ自体が単独で機能するタッチパネルやタッチスクリーン、タッチディスプレイといった接触位置検出手段を備えたパネルに、転動体部分がパネル上に来るように着脱可能に装着され、該パネルに直接的または間接的に接触しながら転動する転動体と、前記転動体の転動運動を妨げるように転動方向と逆方向に働く力を生成する反発力生成手段とを備えたことを特徴とする。ここで間接的に接触するとは、転動体とパネルの間に容易に変形する膜や布などを介在して接触することを意味する。
【0010】
また請求項2に記載の転動型入力装置は、指に装着されて、その指によって接触位置検出手段を備えたパネルに押し付けられて、該パネルに直接的または間接的に接触しながら指の動きと共に転動する転動体と、前記転動体の転動運動を妨げるように転動方向と逆方向に働く力を生成する反発力生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また請求項3に記載の触感連動型プログラムは、請求項1または2に記載した転動型入力装置と共に使われるプログラムであって、プログラム中に設定される量やベクトル(例えばカーソル動作速度や方向やスクロール量やスクロール方向、その他所定のパラメータの値を定める量やベクトル)や、ゲーム内の仮想的に設定されたオブジェクトに加える仮想的な力の大きさや方向等を定める変数やベクトルの値を、前記反発力の大きさまたは方向に関連付けて(例えば、両者の大小関係や方向に対応が取れる様に、あるいは大きさや角度が概比例するように)定めることを特徴とする。
【0012】
また請求項4に記載の触感連動型プログラムは、請求項3に記載の触感連動型プログラムにおいて、前記反発力の大きさまたは方向を、前記接触位置検出手段が検出する接触位置に基づいて算出することを特徴とする。
【0013】
また請求項5に記載の転動型入力装置では、請求項1または2に記載の転動型入力装置において、その転動体が指から加わる力に応じて変形する機構または素材で構成され、この変形の程度に応じて、元の形状に復帰するように反発力を生成する手段または弾力性を備え、かつこの変形の程度をパネルが備えている接触位置検出手段を通じて入力することを特徴とする。例えば、抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルの中には、複数の点で同時にパネルに接触すると、それらの接触点に接触面積を加味した重心位置を接触位置として検出するものがある。こうしたパネルでは、パネル上の一点に一定の面積で基準用接触子が接触しながら、別の一点において転動体がパネルと直接的または間接的に接触し、その接触面積の大きさが転動体の変形の程度に応じて変わると、変形の程度によって接触している二点の重心位置が変わるので、パネルが検出する重心位置を通じて変形の程度を検出することが可能になる。
【0014】
さらに請求項6に記載の触感連動型プログラムは、請求項5に記載した転動型入力装置と共に用いられるプログラムであって、プログラム中の所定の変数値を前記変形の程度に関連付けて定める(例えば概比例するように定める)ことを特徴とする。
【0015】
最後に請求項7に記載の転動型入力装置では、請求項1に記載の転動型入力装置において、転動体の上部表面の指と接する部分に、転動体の転動方向と直交する方向に回転または揺動する手段(以下、単に回転体という。)を設けたことを特徴とする。転動体下部の表面を転動する方向(前後方向)にだけでなく、それと直交する方向(左右方向)にも湾曲した曲面とすると、前記回転体に指を当てて、回転体を回転させながら指を左右に動かすと、転動体上の指で加圧する位置が左右方向に変化するので、転動体下部の左右方向に湾曲した曲面がパネルと接触する位置が左右方向に変わり、この左右方向の接触位置の変化でもって、転動体上の指の左右方向の運動を検出することができる。こうして指の多様な運動を区別して多様な情報を入力できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、既存のタッチパネルのセンサ能力を活用することで、センサ機能を省いてコストを大幅に削減できる、着脱式または指装着式の転動型入力装置を与え、その転動量や変形量を反発力を通じて操作者にフィードバックする機構を付加し、その反発力と連動して動作するプログラムを用いることによって、操作者が操作内容や操作量を反発力の大きさや方向を通じて触覚的に把握できるようにし、ゲームプログラム等のオブジェクトに加える力の大きさや方向と反発力の大きさや方向を関連付けることで、ゲームプレイ時の臨場感を向上した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の転動型入力装置は、それと別個に用意されている接触位置検出手段を備えたパネルと組み合わせて使用する。以下、接触位置検出手段を備えたパネルをタッチパネルと呼ぶことにする。本発明の請求項1に係る転動型入力装置80は、着脱可能に装着する機構を通じて、タッチパネル2を備えた別個の装置に必要に応じて取り付けて使用する。例えば図8に示す構成例では、転動型入力装置80は、転動体1、この転動体をタッチパネル2から所定の間隔をあけて設置するためのアーム5、アーム5と転動体1とを繋ぐバネ4、およびアーム5の一端に設けられタッチパネル2へ固定するための基部6で構成されている。この転動型入力装置80のアーム5の基部6を、タッチパネル2を備えた別個の装置100に設けられたスロット7に挿入することによって、転動型入力装置80を装着し、基部6をスロットから抜き出すことによって、転動型入力装置80を取り外すことができる。なおアーム5はU字型に曲がって、タッチパネル2の面上にせり出しており、アーム5の先端からバネ4を通じて転動体1の両端を両側に引っ張り、転動体1をタッチパネル面から所定の高さで宙吊りにし、バネ4の張力によりタッチパネル面と転動体下部面の間には所定の間隙が保たれている。
【0018】
ここでタッチパネル2は、電極間の接触関係を通じて加圧位置を検出するようにマトリックス状に配列した電極や、接触位置に応じて抵抗値を変える抵抗膜、静電容量の変化を通じて指の接近位置を検出する電極配列等によって構成され、その表面上で転がる転動体1が直接的または間接的にパネルに接触する位置を検出する。静電容量型タッチパネルを利用する場合には、それに接触する転動体や膜が適当な誘電率や導電率を備えていることが望ましい。以下に示す構成例の中では、図10のみが転動体が間接的にパネルに接触する構成例を示しており、それ以外はすべて直接的に接触する例になっている。直接的に接触する場合には、転動体下部8の表面はタッチパネル2の表面に直接接触するが、間接的に接触する場合には、転動体はゴムや布のように柔軟性を備えた素材でできた膜や帯を間に介してタッチパネルに接触する。図10の構成例では、シリコンゴム膜50がタッチパネル2の表面から所定の間隙を隔てて張られており、指で押された転動体31は転動するにつれて異なる位置でシリコンゴム膜を押して、押されて変形したシリコンゴム膜がタッチパネルに接触して、接触位置(51、52)の情報が入力する。
【0019】
図1、5、6、9の構成例では、転動体(ビア樽型転動体1、及び球状転動体31、車輪付転動体75)をバネ4やゴム20等の弾性のある紐でパネル上に吊るすことで、パネル2から所定間隔をもって支持し、指で転動体の所定位置を加圧してパネルに押し付けることで転動体の下部面をパネルに接触させる(図2(a)(d))。そしてパネルに押し付けたまま指を動かすことで転動体を転がすように回転させて接触位置が移動するようにする(図2(b)(e))。さらに必要に応じて転動体上で加圧する位置を変えたときに転動体が傾斜する構造とし、この傾斜によって転がり方向と直交する方向にも接触位置が変わるようにする(図4(b)(d))。あるいは転動体下部を半球状とし、転動体上部に接する指で前後左右に動かして転動体を揺すると下部半球面がパネル上で転がり、両者の間の接触位置が前後左右に動くようにする(図9〜12)。
【0020】
以上のように転動体が転がるにつれて弾性を持つ紐が引っ張られて伸びるが、この紐が元の長さに戻ろうとする力で転動体を復帰するように反発力が働くようにする。これが反発力生成手段となる。そしてこの反発力と連動・同期するようにプログラムを制御することによって、操作者は、反発力を通じてプログラムの動作状況を把握することができる。また反発力の大きさや方向を通じて、自分が加えている操作が正しいか確認して、加える力の大きさや方向を調整することができる。ここで上記の紐は図5の20のように2本を並べて張るようにして転動体を吊るすと、転動体1から指を離して中立状態に復帰した時に、常に転動体の同じ面がパネル側を向くように転動体の姿勢を維持することができる。図1のように一本のバネを用いて反発力を生成しようとすると、バネを使用しているうちにその構成材が疲労等により変形し、当初の中立点に復帰できなくなる場合がある。一方、図5に示すように転動体の両端のそれぞれを2本のシリコンゴムの紐で引っ張る方式では、転動体を確実に中立点に復帰することが可能であり、反発力も確実に生成できるので、反発力生成手段としてより有効に機能する。
【0021】
具体的に図1の構成例では、パネル2の面上に突き出ている支持用アーム5にビス9でつながったバネ4で転動体下部8の両端をそれぞれ左右に引っ張ることで転動体をパネル2上に吊り上げている。ここで転動体下部8の表面とタッチパネル2の表面の間には微小な空隙が空いている。また転動体には隆起3を設けて触覚的に指で触れている位置を確認できるようにしている。図2に転動体を指で転がす様子を示すが、まず(a)のように転動体の中央部を指で押すと、横側面図(d)に示すように転動体下部はタッチパネル2に11の位置で接触する。(d)(e)(f)から分かるように転動体下部のパネル接触部の断面形状は円弧になっているため、転動体をタッチパネル2の表面に押し付けたまま指を前後方向に動かすと、転動体は所定の角度の範囲内で前後に転がり、タッチパネルとの接触位置は(e)の11及び(f)の12の位置に移動する。(b)に示すように転動体をタッチパネルに押し付けたまま転動体を黒矢印の方向に転がすと、バネ4が伸びて、それを戻すように白矢印の方向に反発力F1が発生する。このときの移動量Dの長さに依存して反発力F1の大きさが定まるので、長さDをタッチパネル2の位置検出手段82を通じて計測することで、反発力F1の大きさを求めることができる。同様に転動体を逆方向に転がした時の様子を(c)(f)に示すが、この場合には反発力F1の方向は逆になり、その大きさはやはり移動量Dの長さに依存して定まる。
【0022】
図3には、図1の転動型入力装置80において、転動体の上部1を下部8に対して図の左方向にスライド移動させて、転動体下部8とタッチパネルの接触点をスライド移動前の(b)の11からスライド移動後の(c)の13に移動する様子を示している。転動体の形状において重要な点は、転動体下部の表面形状がラグビーボールの曲面の形状をしており、転動する方向だけでなく、それと直交する方向にも表面が湾曲しており、タッチパネルとの接触点が1つに制限されることである。そしてこのように転動方向と直交する方向にも転動体下部表面が湾曲しているために、(c)のように指を転動体上部1に乗せたまま14の矢印の方向に動かすと転動体上部1は下部8に対してスライド移動し、指から転動体に加わる圧力の重心点も14の方向に移動して、転動体下部8とパネルの接触点は11から13へ移動する。このスライド移動は操作者が指で黒矢印14の方向へ力を加えることによって起こり、指を離せば転動体上部1は転動体内部に仕込まれたバネの働きで元の位置に復帰する。またこのバネが指に図の白矢印の方向へ反発力F3を加える反発力生成手段として機能する。
【0023】
図4では、指が最初に転動体に触れる際に、(a)に示すように転動体上部の隆起部分3の位置に触れ、(b)に示すように転動体を押し下げてその下部をタッチパネルに接触させた後で(c)のように指を17の矢印の方に動かしている。ここで隆起部分3は操作者に指の位置に関する触覚的な手掛かりを与えるために設けられている。この場合にも、転動体下部8の表面がラグビーボール状に湾曲していることが重要であり、そのために転動体下部8は指から転動体に加わる力の重心点15においてタッチパネルに接触することになる。また(c)のようにさらに指を17の方向に動かすと転動体上部1は下部8に対してスライド移動して、重心点と共に接触点も16へ移動する。そして指には反発力F3が加わることになる。
【0024】
図5の構成例では、図1と同様の転動体をバネ4の代わりにシリコンゴム20でタッチパネル2の上に引っ張って吊るしている。ここで22はシリコンゴムの紐を抑えて止めるための板であり、23はその板を留めるビス、そして21はフレームである。図5のように転動体の両端のそれぞれに2本のシリコンゴムを付けて引っ張ると中立時に転動体の姿勢を一定に保ちやすい。
【0025】
本発明の請求項7に係る転動型入力装置80は、転動体の上部表面の指と接する部分に、前記転動体の転動方向と直交する方向に回転する回転体を設けている。こうすると指は転動体上面に接触したまま、転動体を前後に転動させることで前後に動くことができるし、また同時に回転体を左右に回転させることで左右に動かすこともできる。指が転動体上を左右に移動して指から転動体に加える加圧点の位置が左右に移動すれば、転動体下面が左右に湾曲した曲面である場合に、転動体とタッチパネルの接触点の位置も左右に移動する。従って、指で転動体をタッチパネルに押し付けたまま、回転体の回転によって指を左右に動かすと、タッチパネルへの接触点は転動体とパネルが接触したままの状態で左右に移動し、そのことでもって、指を回転体上で左右に動かす運動を他の運動と区別して検出して、その操作に応じた指令やデータを入力することができる。例えば、図6の構成例では、図1や図5で用いていた転動体上部1を下部8に対してスライド移動させる機構の代わりに、車輪71を導入し、転動体上部に設けた回転軸72の周りに車輪71が回転するようにして、車輪上に乗せた指が転動体をタッチパネル2に押し付けるように下方向に力を加えながら、車輪の回転方向(転動体の転動方向と直交する方向)に動くことができるようにしたものである。こうして指を転動体上に乗せたまま、車輪の回転方向に動かすと、転動体に指から加わる力の重心位置も指と共に移動して、転動体下部8とタッチパネル2との接触点は転動方向と直交する方向に動く。こうしてタッチパネルとの接触点を転動方向(転動体の転動方向)とそれと直交する方向(車輪71の回転方向)のいずれにも自在に動かすことができるようになる。
【0026】
ここで車輪を転動体に設置する方法には、図7の(a)(b)に示す方法と、(c)(d)に示す方法がある。(a)(b)に示す方法では車輪の回転軸72の軸受70は2つの車輪71aと71bに挟まれている。そのため指で車輪を回す時に指は軸受にぶつかりにくい。一方、(c)(d)に示す方法では、車輪71の回転軸72の軸受70は車輪の外側にあるため、車輪上で指を動かす際に指が軸受にぶつかり易くなる。
【0027】
以上の構成例では転動体としてラグビーボール形状のものを用いていたが、図9に示す構成例では転動体31は球形状をしている。球形状であれば、転動体上部が下部に対してスライド移動する機構を導入しなくとも、また転動体上部に車輪を設けなくとも、球自体が前後左右に転動することで、タッチパネル上の接触点を2次元的に動かすことができる。図9の構成例ではボール31のみならずアーム33もアームと転動体をつなぐ紐32もいずれも柔軟に変形するシリコンゴムによって一体成型されている。そのためボール31を転動させるときにはアーム33と紐32が変形してボールの姿勢が変わり、変形したシリコンゴム素材が元の形状に戻ろうとする際に転動に対する反発力が発生し、それが反発力生成手段として機能することになる。
【0028】
以上までの構成例では転動体は、その両端をバネやシリコンゴムで両側に引くことによって、タッチパネル上で吊上げるようにして支持していた。一方、図10には、それと異なる転動体の支持方法を示す。図10には、ボール状の転動体31を縦に割った断面図を示している。このボール状転動体31にはその底部から円柱状の穴が開けられており、その中にバネ44が収納されている。バネの上端は円柱状の穴の上部に取り付け金具45で取り付けられている。またバネの下端は、シリコンゴム膜50に取り付け部材41を介して接続されている。シリコンゴム膜50はタッチパネル2のパネル表面から一定の間隙をおいて張られており、指でボール状転動体31の上部を下方向に押すと(b)のようにシリコンゴム膜が変形し、ボール状転動体下部は、間にシリコンゴム膜や取り付け部材41を挟んで、タッチパネル2に51の位置で接触する。また(c)に示すように指でボール状転動体31をタッチパネル2に押しつけながら、指を図に向かって左方向に動かすと、バネ44が伸びた上で、ボール状転動体31は左側に転動し、押されて変形したシリコンゴム膜を介して、52の位置でタッチパネル表面に接触する。この際にバネ44は元の長さに戻ろうとして、反発力F1が図中の矢印の向きに指に加わり、これがこの方式の反発力生成手段として機能する。この反発力の大きさは、タッチパネル上の接触位置52に基づき算出することができる。なお図17に示すようにバネ44の代わりに伸縮性のあるシリコンゴム77を用い、これをやはりシリコンゴムでできた膜50と一体形成し、77の細くなった先端部78を(c)に示すようにシリコンゴムでできたボール状転動体31の穴に通した後で、これを引っ張ることで、(d)に示すように77の膨らんだ部分76をボール状転動体31内部の空洞部75に引きずり込んで77と31を接合し、その後で(d)の破線79で78を切断することによって、低コストかつ簡易に(a)に示す構造を生産することができる。
【0029】
本発明の請求項2に係る転動型入力装置80は、転動体を指に装着する点に特色がある。請求項1に係る転動型入力装置80では転動体をタッチパネル側に装着し、それを指で操作したが、請求項2に係る転動型入力装置80では転動体を指側に装着し、タッチパネルに触れる際に指とタッチパネルの間に転動体を挟むようにして、転動体を介してタッチパネルに接触する。転動体は指に装着されていても、指の表面上で転動できる自由度を持つように、例えば、バネやゴム紐の弾力性によって指に引き付けるように固定される。そのような転動型入力装置80の構成例を図11に示す。ここでボール状転動体31は図10と同じ構造を持ち、図10と同じ原理で取り付け部材41を介して、指側に巻きつけたバンド42aに取り付ける。43はバンドのバックル、バンド42bは42aのバックル通過後の延長部分であり、図には含まれていないが、さらに、その延長上の端部はタッチパネル2の筺体につながり、転動型入力装置80の紛失を防ぐとともに、タッチパネル筺体の落下を防ぐストラップとしても機能する。(b)には(a)を親指先端側から見た側面図を示す。
【0030】
図12には、図11のボール状転動体の断面と転動の原理を示す。(a)は親指の先端側から見た側面図で、ボール状転動体31については縦に割った時の断面を示している。42cは親指の周りをぐるりと巻いたバンドであり、このバンドに、取り付け部材41を介してバネ44の一端が取り付けられている。このバネはボール状転動体31に開けられた円柱状の穴を通り、その他端が取り付け金具45によって穴の底に接合されている。(b)には親指の横方向から見た側面図を示す。46は転動する前に転動体31がパネル2と接触している点である。(c)には指を横に動かしてボール状転動体を転動させたときの様子を、また(d)には指を後方に動かしてボール状転動体を転動させたときの様子を示す。いずれの場合にも指の動きと共にボール状転動体が転動し、接触点が47に移動している。またこのときにバネ44が伸びて、それが縮んで元に戻ろうと指をF1方向に押す反発力を発生する。これが反発力生成手段として機能することになる。
【0031】
請求項5に係る転動型入力装置80では、転動体を叩いたり潰したりした時に転動体が変形し、その変形量に応じて反発力を生じる。例えば転動体のタッチパネルと接触する側の面をシリコンゴム等の柔軟性と弾力性を備えた材料で曲面状に形成すると、転動体に圧力をかけてタッチパネルに押し付けるときに上記曲面は潰れて、広い面積でタッチパネルに接触する。またそれが復帰しようとするときに指に反発力を返すようになる。またタッチパネルとの接触面積を通じて転動体の変形量や転動体に加わる圧力、及び指に返る反発力を算出できる。もちろん別に圧電素子などの圧力センサを用意して、タッチパネルに加わる圧力を検出して、そこから指に返る反発力を算出してもよい。転動体とタッチパネルの接触面積はタッチパネル側のセンサが検出する抵抗値や静電容量値、あるいは導通する電極の数等を通じて検出することができる。このような原理に基づく転動型入力装置80を図13に示す。ここで円形の断面55は上述したラグビーボール状転動体の断面とみなしても良いし、ボール状転動体の断面とみなしても良い。いずれの場合にも転動体が中空のゴムなどで変形しやすい素材で形成されていると、(a)のように軽い力でパネル2に押し付けられている場合の転動体とパネルの接触点56における接触面積は小さくなり、(b)のように強い力で押しつけられて転動体が変形して潰れている場合の転動体とパネルの接触点57における接触面積は大きくなる。また(b)では押し潰された転動体55が元の形状に復帰しようとして、反発力F2を発生する。この反発力の大きさは57の接触面積を何らかの方法で計測することで算出できる。
【0032】
例えば、抵抗膜方式のタッチパネルでは、同時に2点でタッチパネルに接触する場合に、それらの接触点位置に接触面積を重み付けて平均化した位置(重心位置)を接触位置として検出する。そこで58に示すように、パネル上の一点に常に一定の面積で基準用接触子が接触しているようにしておくと、(a)のように56の接触面積が58の接触面積とほぼ同じであるときには、タッチパネルが検出する接触位置は、これらの2点の接触位置にほぼ同じ接触面積を重み付けて平均化して求まる重心位置、すなわち56と58のほぼ中間になる図中のPの位置となる。また(b)のように57の接触面積が58の接触面積よりも大きくなる場合には、タッチパネルが検出する接触位置は、これらの2点の接触位置のうち57の方が大きな接触面積を重み付けられて重心位置が求められるため、57側に寄った図中のQの位置になる。このように接触面積の大きさが転動体の変形の程度に応じて変わると、変形の程度によって接触している二点の重心位置が変わるので、タッチパネルが検出する重心位置を通じて変形の程度を検出することが可能になる。
【0033】
以上に述べてきた転動型入力装置80ではいずれも、転動体をタッチパネルに押しつけながら指を動かすと、転動体を支持するバネやゴム紐が伸びて、転動体は指表面とタッチパネル表面に挟まれたまま、これらの両表面との接触点を変えながら転動する。この際にタッチパネル上の接触点を検出すれば、転動体の転動量を算出することができる。また転動する時にバネやゴム紐が伸びるため、これらが元の長さに戻ろうとして反発力が生じる。この反発力は、転動体がタッチパネルに接触してから、接触したまま転動して接触点が移動する際の接触位置の移動量(変化量)を通じて算出することができるので、反発力に同期するようにプログラムを制御することができる。請求項1に係る転動型入力装置80では、接触位置の移動量で間接的に反発力を算出する代わりに、転動体を引っ張る紐の張力を力センサや歪センサ等で直接検出して反発力を算出することもできるが、請求項2に係る転動型入力装置80は指側に装着するため、電力を供給したり、信号を通信したりすることが困難であり、上述したようにパネル側で検出できる接触点の移動量を通じて反発力を算出することが望ましい。
【0034】
本発明の請求項3に係る触感連動型プログラムでは、上述したように算出される反発力とプログラム中の所定の変数値を連携させる(関連付けて定める)ことによって、反発力を通じて操作内容を把握できるようにしたり、ゲームの臨場感を向上したりする。すなわち操作者は転動体を転がす際に指の感じる反発力の大きさによって、プログラム中の所定の変数に設定している値がどの程度の大きさか分かるし、また反発力の方向を通じて、プログラム中の所定のベクトルの方向をどのように定めているのか把握することもできる。もちろんベクトルの代わりに角度を定める変数の値を反発力の方向に合わせて定めても良い。またゲームでは、例えばシューティングゲームでボールや玉をシュートする力の強さを反発力に関連付け、あるいはシュートする方向を反発力の方向に合わせて定めることで、指の感じる力とゲーム中のオブジェクトに作用する力が一致して臨場感を高めることができる。特にパチンコ等、現実にも弾性のある紐を引いたり、離した時の反発力やはじけたりする感覚が操作上重要となるゲームでは、本発明の転動型入力装置80が生成する反発力が現実の反発力と類似したものとなるため臨場感は高くなる。
【0035】
例えば、図14にはバット60でボール61を打つゲームのシーンを示すが、バットを構えて引く際の角度やスイング量62あるいはバットがボールを打つ強さ等を、転動型入力装置80の転動量や転動型入力装置80が指に返す反発力と大小関係の対応が取れるように定めると、ゲームのプレイヤーは指に加わる反発力を通じてバットを引く角度やボールを打つ力の強さを把握できる。すなわちゲームの中の力を現実の力で把握できるのでゲームの臨場感が高まる。また画面中のバットの角度を注視しなくとも、力の加減で触覚的にバットの角度やボールを打つ強さを把握できる。63はボールの軌跡を示すが、ボールがバットに当たって跳ね返る時の速度やバットを振る力が、転動体を引いて放す時の速度や力に対応して定まるようにすると良い。またボールとバットが衝突するかどうかを、転動体を放す時刻と放す直前に指に加わっている反発力等に基づき決定すると良いが、これらの時刻と反発力はいずれもタッチパネルの接触状況・接触位置検出機能によって検出できる。
【0036】
請求項6に係る触感連動型プログラムでは、図13に示すように転動体に圧力を加えて変形させたときの変形量や反発力に連動させて(関連付けて)プログラム中の変数値を定める。例えば、ボクシングゲームやモグラたたきゲーム等でオブジェクトを叩いたり潰したりする要素がゲームのプレイ内容に含まれる場合には、請求項5に係る転動型入力装置80を用いて、転動体を叩いて潰した時の変形量や反発力を検出し、その変形量や反発力の大きさに関連付けて、相手やモグラに与えるダメージ等の変数値を定めると、ゲームの内容と転動体に加える操作とが直観的に連携が取れるようになり、ゲームの臨場感が増すようになる。
【0037】
図18は、上述の転動型入力装置80を用いてデータ入力を行うコンピュータ装置89の機能ブロック図である。コンピュータ装置89は、データを入力する入力部85、入力したデータを用いて演算処理を実行する演算処理部87、演算結果を出力する表示部86、および、データを保存する記憶部88で構成されている。また、入力部85は、パネル81と接触位置検出手段82とで構成されるタッチパネル2と、このタッチパネル2を介してデータを入力する転動型入力装置80とから構成されている。なお、コンピュータ装置89は、汎用のパーソナルコンピュータでも良いし、専用のゲーム機などであっても良い。
【0038】
次に、上記のコンピュータ装置89の演算処理部87で動作するプログラムの実施例について説明する。図15と図16には、本発明のプログラムの実施例のフローチャートを示す。これらは本発明の転動型入力装置80と組み合わせて使用するプログラムの一実施例である。まず図15にはメインプログラムのフローチャートを示すが、Step 1で転動体から指に加わる反発力に関連させて定める各種変数の値を初期化している。Step 2では転動型入力装置80から与える各種計測値J(例えば、直接計測した反発力、反発力に関わる転動体のタッチパネルとの接触位置を示す座標値やその変化量、転動体のタッチパネルとの接触面積等)へ周期的にアクセスし、Step 3ではアクセスして得た値に基づいて、Step 1で初期値を定めた変数の値を周期的に更新する。またはStep 3´では転動体とタッチパネルとの接触点の位置Pや接触面積Sから反発力の大きさや方向を算出し、その結果に基づきこれらの変数を更新する。次にStep 4でプログラムG(図16に示すような具体的なアプリケーションのプログラム)を実行するが、場合によってはStep 3とStep 3´を省き、Jの値に依存して直接プログラムGを実行しても良い。プログラムGを所定のステップ実行した後、Step 5で終了条件が満たされるまでは、周期的にStep 2に戻り、繰り返しJの値をスキャンして、上記の手続きを繰り返す。
【0039】
図16には図15のStep 4に記載されていたプログラムGの内容を示す。プログラムGはアプリケーションの内容に依存して変わるが、転動体が指に与える反発力、あるいはそれに依存した何らかの検出量に連動するようにプログラムを動作させる点はアプリケーションに依存せずに共通で、本発明の本質的要素となるので欠けることはない。図16に示すプログラムGは、特に図14に示したバットでボールを打つゲームに関するプログラムになっているが、ここではゲーム中のバットを引いて構える角度や、バットのスイングの加速度や速さ、ボールを打つ強さ、ボールの加速度や速さ、ボールの運動条件、ボールとバットの衝突条件等を転動体から指が受ける反発力と連動するように定めている。プログラムGでは、まず図15のメインプログラムから呼び出された後で、Step G1で転動体のタッチパネルとの接触状況を確認する。転動体がタッチパネルと接触している場合には、転動体が指に加える反発力F1(これは転動体がタッチパネルに最初に接触してから接触したまま移動する量に基づき算出される)に基づきバットの構え時に引く角度を定める。続いてStep G8で運動方程式などに基づきボールの位置を求め、Step G2で決定したバットの角度も用いて、両者の衝突条件も調べた上で、ボールとバットを表示部86の画面に表示する。
【0040】
一方、Step G1で転動体がタッチパネルに接触していないことが確認された場合には、Step G3で、次の3つの手続きを各々の実行条件が満たされるか注意した上で実行する。(1)前時点にタッチパネルに転動体が接していた場合には、バットを振る運動をF1の大きさに応じた速度または加速度で開始し、バットスイング開始済フラグを1に設定する。(2)バットスイング開始済フラグが1になっている場合には、バットの運動を継続する。(3)前時点にタッチパネルに転動体が接しておらず運動開始フラグが0になっている場合には、ここでは何もせずに次のステップへ進む。このステップ後でStep G4に進み、そこでバットスイング終了条件が成立するか確認し、例えばスイング開始後所定時間経ってバットを振り切ったことが確認された場合などには、Step G5でバットスイング開始済フラグを0に設定する。またバットスイング終了条件が成立しない場合には、Step G6でボール衝突条件が成立するか確認する。ボールとバットの運動状況を調べて、両者の衝突条件が成立する場合には、Step G7で反発力F1とバットとボールの運動状況に基づき、ボールの運動条件を衝突後の運動条件に変更し、Step G7で運動方程式等によりバットの姿勢やボールの位置などを求めて画面に表示する。またStep G6で衝突条件が成立しなかった場合には、以前のボール運動条件のままStep G8に入り、やはりボールとバットを画面に表示する。Step G8終了後はメインプログラムに戻って、手続きを継続する。
【0041】
なお以上に述べた転動型入力装置と触感連動型プログラムでは、転動体が指に加える反発量と併せて、振動生成器が生成する振動を用いることによって、一層触覚を有効活用してユーザインターフェイスやゲームの操作性や臨場感を向上することができる。例えば、この振動生成器は、転動体の転動角度が所定量に到達した時、または転動体のパネル上での接触位置が所定位置に到達したとき、あるいは反発力が所定量で発生するとき、ボールがバットにぶつかるなどプログラム中で所定の条件が満たされた場合、または外部機器からの所定の指令が与えられたときに振動して、手指に操作の達成やゲーム中の特定イベントの発生を通知するメッセージを振動によって通知するように構成しても良い。特にユーザインターフェイスにおいては、所定の操作が行われて入力が確かに受け入れられたことを操作者の触覚を通じて通知する目的に振動を使用すると良い。例えば転動体が所定の角度転がるたびに発生することもあるし、ディスプレイの表示内容に同期して、カーソルが目標地点に到達したとき等に振動するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の転動型入力装置の一実施例について、(a)は上面図、(b)は前方側面図、(c)は横側面図を示す。
【図2】図1の転動型入力装置の実施例で指を前後に動かして転動体を転がす様子と、その際に生じる反発力を示す図である。(a)(b)(c)は指で操作中の転動型入力装置の上面図で、(d)(e)(f)はそれぞれ(a)(b)(c)に対応する横側面図である。
【図3】図1の転動型入力装置の実施例で指を左右に動かして転動体上部をスライド移動する様子と、その際に生じる反発力を示す図である。(a)は上面図、(b)(c)前方側面図で、(d)(e)は(b)(c)に対応する横側面図である。
【図4】図1の転動型入力装置の実施例で、指で転動体の左側隆起部に触れてタッチパネルに転動体が接触するように押し付けた後、指を左右に動かして転動体上部をスライド移動する様子と、その際に生じる反発力を示す図である。(a)は上面図、(b)(c)前方側面図で、(d)(e)は(b)(c)に対応する横側面図である。
【図5】図1の転動型入力装置の反発力生成手段を改良するため、バネの代わりに2本のシリコンゴム紐で転動体を吊るすようにした反発力生成手段を示す斜視図である。
【図6】図1の転動部の上部スライド機構の代わりに車輪を導入して、転動体をタッチパネルに接触するように押しつけながら指を左右に円滑に動かすことを可能とした転動体を示す斜視図である。
【図7】図6の転動体に車輪を設置する異なる方式を比較して示す図である。(a)は車軸受けを指に当たりにくくした構成、(b)は車軸受けが指に当たりやすい構成の前方側面図であり、(b)(c)はそれぞれ(a)(b)に対応する横側面図である。
【図8】本発明の転動体入力装置をパネルに着脱可能に取り付ける機構を示す側面図と上面図である。
【図9】球状転動体とそれを支持するアームと紐をすべてシリコンゴムで一体形成した転動型入力装置の実施例を示す斜視図である。
【図10】タッチパネル上に張った弾性膜に球状転動体を一本のバネで引き付けるように留めることによって、球状転動体を前後左右のいずれの方向にも対称に同じ力で転動できるようにし、また反発力も等方的に生成されるようにした転動型入力装置を示す側面断面図である。(a)は中立状態、(b)は転動体を下方に指で押した様子、(c)は転動体を転動させた様子を示す。
【図11】本発明の転動型入力装置のうちで指に装着するタイプを示す図である。親指にバンドで装着した様子で(a)は横側面図、(b)は指の前方から見た側面図である。
【図12】図11に示した指装着型転動体を転動させる様子を示す図である。(a)はタッチパネルに接触して転動する前の様子、(b)は転動後の様子を指の前方から見た側面図で示す。(b)は(a)に対応する横側面図であり、(d)は別の方向に転動させる様子を横側面図で示す。
【図13】転動体を指で圧迫して変形させた際の変形量を転動体のタッチパネルとの接触面積の変化を通じて検出する手段を示す図である。(a)は変形前の様子、(b)は変形後の様子をいずれも側面図で示す。
【図14】バットでボールを打つゲームで画面に表示された1シーンを示す図である。
【図15】触感連動型プログラムのメインプログラムの一例をフローチャートで示す図である。
【図16】触感連動型プログラムのメインプログラムから呼ばれるアプリケーションプログラムの一例をフローチャートで示す図である。
【図17】図10に示す転動型入力装置を、バネの代わりに膜と一体になったシリコンゴムを用いて低コストに生産する方法を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態による転動型入力装置を利用するコンピュータ装置の機能ブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触位置検出手段を備えたパネルに着脱可能に装着され、該パネル上で転動する転動体と、前記転動体の転動運動を妨げるように転動方向と逆方向に働く力を生成する反発力生成手段とを備えた転動型入力装置。
【請求項2】
指に装着され、接触位置検出手段を備えたパネル上で転動する転動体と、前記転動体の転動運動を妨げるように転動方向と逆方向に働く力を生成する反発力生成手段とを備えた転動型入力装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した転動型入力装置と共に使われるプログラムであって、プログラム中の所定の変数値を前記反発力の大きさまたは方向に関連付けて定めることを特徴とする触感連動型プログラム。
【請求項4】
前記触感連動型プログラムは、前記反発力の大きさ及び方向を前記接触位置検出手段が検出する接触位置に基づいて算出することを特徴とする請求項3に記載の触感連動型プログラム。
【請求項5】
前記転動型入力装置において、前記転動体は、指から加わる力に応じて変形する機構または素材で構成され、前記変形の程度に応じて、元の形状に復帰するように反発力を生成する手段または弾力性を備え、かつ前記変形の程度を前記パネルの接触位置検出手段を通じて入力することを特徴とする請求項1または2に記載の転動型入力装置。
【請求項6】
請求項5に記載した転動型入力装置と共に用いられるプログラムであって、プログラム中の所定の変数値を前記変形の程度に関連付けて定めることを特徴とする触感連動型プログラム。
【請求項7】
前記転動体の上部表面の指と接する部分に、前記転動体の転動方向と直交する方向に回転または揺動する手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の転動型入力装置。
【請求項1】
接触位置検出手段を備えたパネルに着脱可能に装着され、該パネル上で転動する転動体と、前記転動体の転動運動を妨げるように転動方向と逆方向に働く力を生成する反発力生成手段とを備えた転動型入力装置。
【請求項2】
指に装着され、接触位置検出手段を備えたパネル上で転動する転動体と、前記転動体の転動運動を妨げるように転動方向と逆方向に働く力を生成する反発力生成手段とを備えた転動型入力装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した転動型入力装置と共に使われるプログラムであって、プログラム中の所定の変数値を前記反発力の大きさまたは方向に関連付けて定めることを特徴とする触感連動型プログラム。
【請求項4】
前記触感連動型プログラムは、前記反発力の大きさ及び方向を前記接触位置検出手段が検出する接触位置に基づいて算出することを特徴とする請求項3に記載の触感連動型プログラム。
【請求項5】
前記転動型入力装置において、前記転動体は、指から加わる力に応じて変形する機構または素材で構成され、前記変形の程度に応じて、元の形状に復帰するように反発力を生成する手段または弾力性を備え、かつ前記変形の程度を前記パネルの接触位置検出手段を通じて入力することを特徴とする請求項1または2に記載の転動型入力装置。
【請求項6】
請求項5に記載した転動型入力装置と共に用いられるプログラムであって、プログラム中の所定の変数値を前記変形の程度に関連付けて定めることを特徴とする触感連動型プログラム。
【請求項7】
前記転動体の上部表面の指と接する部分に、前記転動体の転動方向と直交する方向に回転または揺動する手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の転動型入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−59254(P2009−59254A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227212(P2007−227212)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人科学技術振興機構、独創的シーズ展開事業大学発ベンチャー創出推進「機器の簡単確実な操作を実現するハプティックユーザインターフェースの研究開発」にかかる委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人科学技術振興機構、独創的シーズ展開事業大学発ベンチャー創出推進「機器の簡単確実な操作を実現するハプティックユーザインターフェースの研究開発」にかかる委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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