説明

転圧式健康器具

【課題】末梢系への適切な刺激・踏圧調整・快適な使用感・構造上の安定性と強度・低コストなどを満足させることのできる足用・手用の転圧式健康器具を提供する。
【解決手段】多数の転圧ローラ31を保持した平行な支軸21〜24が枠体11の上面側に前後配列されて、その枠体11の両側部14・15にわたり架設されている。枠体11の中央領域Z2にある3本以上の支軸22〜24が隆起部22b〜24cを有している。その3本以上の支軸うちで、最前列支軸22と最後列支軸23との間には最高位の隆起部24cを有する最高位支軸24が介在している。枠体11の上面側には支軸21〜24で前後回転自在に支持された多数の転圧ローラ33が点在分布している。転圧ローラ31のうちで支軸22〜24の隆起部22b〜24cにある各転圧ローラ31がそれぞれ所定の隆起高さを保持し、それ以外の転圧ローラ31が平坦状に並んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体の末梢系を刺激するタイプの転圧式健康器具に関する。より詳しくは、多数の転圧ローラを利用した押す力(圧力)と転がり摩擦(摩擦力)とで手足の末梢神経・末梢血管・筋肉などを刺激活性化し、それによって、健康を回復させたり維持したり増進させたりするための転圧式健康器具に関する。
【背景技術】
【0002】
健康の回復・維持・増進をはかるための療法としては「按摩」「マッサージ」「指圧」などが古くから国内で普及している。これらのうちで、揉むことを主体にした按摩(揉捏法)は、筋肉の硬結を取り除くことで筋組織の循環をよくし、それによって新陳代謝や栄養機能を盛んにするものである。一方でマッサージ(軽擦法)は、主に循環系を撫でることで血液やリンパの循環を促したりする。これも新陳代謝を盛んにし、栄養機能や抵抗力を強くするから、内臓機能やホルモン分泌に有意な影響を与えることとなる。さらに指圧は、生体に現れる反応点を対象として主に一点加圧の刺激を与えるものである。指圧の場合は一点加圧に対する反射機転によって神経や筋の機能を調整したり生体の変調を矯正したりするから、自然治癒力の促進・疲労原因の除去・健康の増進などに効果があるとされている。
【0003】
これらの療法は、安全で副作用がなく、簡単で誰にでも実施でき、しかも効果が早い。そのため一般への浸透も顕著である。これとともに、「按摩」「マッサージ」「指圧」を簡易かつ効果的に実施するための健康器具が数多く提供されている。
【0004】
下記の特許文献1に開示されたものはこの種の健康器具として開発された発明品の一例である。これについていうと、特許文献1の足裏刺激健康器具は、多数の押圧刺激付与体が支持棒を介してフレームに回転自在に取り付けられたものである。さらにいうと、これはソロバン玉のようなローラ形状をした多数の回転自在な押圧刺激付与体が、その外周部をフレーム上面より突出させながら縦横に並んでいるものである。したがって特許文献1のものはソロバンに似た構造物といえる。この足裏刺激健康器具を使用するときは、多数の押圧刺激付与体を足で踏みつけながらその足を前後動させる。こうすることで足裏のツボ(抹消神経や血管の末端が集まっている特定のポイント)が万遍なく刺激されるから、それが自然治癒力の促進・疲労原因の除去・健康の増進など既述の効果をあげることになる。
【0005】
【特許文献1】特開平09−075415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の足裏刺激健康器具は構造が簡潔で格別の使用難度もともなわない。それに動力源も不要である。したがってこれは、足裏を刺激するタイプの健康器具として望ましい技術といえる。とはいえ特許文献1に記載のものは、ツボの効果的な刺激・器具の使用性・器具の強度や耐久性・器具の製作性などについて、下記(1)〜(5)で指摘するところの改善の余地が残されている。
(01)特許文献1のものは全ての押圧刺激付与体が共通の平面上で同一レベルにある。これを足で踏みつけることにより刺激を得るのであるが、その際に押圧刺激付与体が足裏の凹み(土踏まず)に接触しないことが少なからずある。そのため足裏全面を余すところなく踏圧刺激することができない。特許文献1の足裏刺激健康器具では、また、押圧刺激付与体について列単位で高低差をつけたり、一列中における各押圧刺激付与体の外径を異ならせたりすることも実施されているが、これらの技術内容をしても足裏全面を余すところなく踏圧刺激するのが困難である。
(02)特許文献1の足裏刺激健康器具では、フレームの両側壁を内外に貫通する態様で支持棒が両端支持されている。かかる支持構造の場合は、支持棒をフレーム上面よりも高く支持することができない。その結果、当該支持棒で保持された各押圧刺激付与体などは、その半分以上の部分がフレーム内に陥没することとなり、フレーム上面への突出量が小さいものになる。このように各押圧刺激付与体がフレーム内に陥没しているものでは、足裏に対する十分な踏圧刺激が得られない。
(03)特許文献1の足裏刺激健康器具は、各押圧刺激付与体がフレーム内に陥没しているため、それらの上に足を乗せて前後動させたとき、爪先や踵がフレーム前後壁に衝突したり足裏の両側がフレーム両側壁に擦れたりするおそれがある。
(04)特許文献1の足裏刺激健康器具で各押圧刺激付与体のフレーム内陥没量を小さくするとき、フレーム両側壁に対する貫通孔の位置をできるだけ高くして支持棒を高位置で両端支持しなければならない。このようにした場合は、貫通孔の上面におけるフレーム両側壁の肉厚が極端に小さくなり、そこが構造上の脆弱部になる。つまり貫通孔の上面側においてフレームの割れや欠けが発生しやすくなる。
(05)特許文献1の足裏刺激健康器具は、各支持棒の両端部がフレーム両側壁を貫通しているものである。このような構造のものは、各支持棒とフレームとの組み合わせ構造に技術的な配慮が足りないため、健康器具全体の強度を高めることができず、逆に上記のような不具合をもたらす。
(06)末梢系を刺激して健康の増進などをはかるとき、足裏だけでなく、掌を刺激することも有効である。この掌刺激健康器具について、特許文献1は技術示唆を与えるような開示をしていない。
【0007】
本発明はこのような技術上の課題に鑑み、末梢系への適切な刺激・踏圧調整・快適な使用感・構造上の安定性と強度・低コストなどを満足させることのできる転圧式健康器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(11)本発明に係る足用の転圧式健康器具は、所期の目的を達成するための第一の課題解決手段として下記の技術内容を特徴とするものである。すなわち、第一課題解決手段としての足用の転圧式健康器具は、貫通孔を軸心部に有していて周方向に沿う転圧刺激用の環状突起を外周面に有している多数の転圧ローラと、多数の転圧ローラを横列に保持して回転自在に支持するための多数の支軸と、多数の支軸を縦列に組み付けるための枠体とを備えていること、および、多数の転圧ローラを貫通してこれらを横列かつ回転自在に保持しているそれぞれの支軸が、互いに平行する前後間隔を保持して枠体の上面側に前後配列されているとともにその枠体の両側部にわたり架設されて両端支持されていること、および、各支軸を前側領域のもの・後側領域のもの・その前側後側領域間にある中央領域のものに三分したとき、その中央領域にある3本以上の支軸が、枠体両側部間の中間部から枠体の一側部に向けて登り勾配で隆起する隆起部をそれぞれ有しており、かつ、当該3本以上の支軸のうちの最前列支軸と最後列支軸との間には最高位の隆起部を有する最高位支軸が介在していること、および、枠体上面側の枠内領域には、それぞれの支軸で前後回転自在に支持された多数の転圧ローラが前後左右に隣接して点在分布していること、および、それら転圧ローラのうちで支軸の隆起部にある各転圧ローラがそれぞれ所定の隆起高さを保持しているとともにそれ以外の転圧ローラが平坦状に並んでいることを特徴とする。
(12)本発明に係る足用の転圧式健康器具は、第二の課題解決手段として下記の技術内容を特徴とするものである。すなわち、第二課題解決手段としての足用の転圧式健康器具は、上記(11)に記載されたものにおいて、それぞれの支軸が下向きの縦軸部を両端部に有するものからなり、それら縦軸部が枠体両側部の上面より立ち上げ固定されて該各支軸が枠体の両側部にわたり架設されている。
(13)本発明に係る手用の転圧式健康器具は、所期の目的を達成するための第三の課題解決手段として下記の技術内容を特徴とするものである。すなわち、第三課題解決手段としての手用の転圧式健康器具は、貫通孔を軸心部に有していて周方向に沿う転圧刺激用の環状突起を外周面に有している多数の転圧ローラと、多数の転圧ローラを横列に保持して回転自在に支持するためのアーチ形のものであって両端に下向きの縦軸部を有する多数の支軸と、多数の支軸を縦列に組み付けるための枠体とを備えていること、および、多数の転圧ローラを貫通してこれらを横列かつ回転自在に保持しているそれぞれの支軸が、互いに平行する前後間隔を保持して枠体の上面側に前後配列されているとともに該各支軸の両縦軸部が枠体両側部の上面より立ち上げ固定されて枠体両側部にわたり架設されていること、および、枠体上面側の枠内領域には、それぞれの支軸で前後回転自在に支持された多数の転圧ローラが、前後左右に隣接して、かつ、前後方向に長いアーチ面状をなして点在分布していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る足用の転圧式健康器具はつぎのような効果を有する。
(21)足用の転圧式健康器具については、使用者がその上に足を乗せて踏みつけたとき、隆起した配列状態にある一部の転圧ローラ群がその環状突起を通じて足裏の凹み部分(土踏まず)に密着し、かつ、平坦な配列状態にあるに残部の転圧ローラ群もその環状突起を通じて足裏の他の部分に密着するようになる。この状態で足を数回となく前後動させると、それにともなって前後回転する各転圧ローラが、踏圧に対する反力によって足裏の全域をほとんど余すことなく転圧刺激する。これは足裏の各ツボを過不足なく適切に刺激するというのであるから、足の末梢神経・末梢血管・筋肉などを活性化することにつながる。したがって、実施日とか一日あたりの実施回数とかを定め、このような転圧刺激を反復継続的に実施することにより、健康の回復・維持・増進などを安全かつ簡易にはかることができる。これは、また、足裏に刺激を与えるときに足の運動も同時実施するのであるから、老若男女を問わず、健康面でとくによいものになる。
(22)足裏には「裏内庭」「湧泉」「足心」「失眠」など多くのツボがある。なかでも足裏の土踏まずにある「湧泉」は、全身の体力を向上させて内臓の働きを高める上で重要とされている。自明のとおり土踏まずは個人差で凹みの度合いが異なるものである。加えて器具踏み込みによる踏圧も、各人の好みや身体状況に応じて強弱を加減すべきものである。これに対する足用の転圧式健康器具は、所定の中央領域にある3本以上の支軸が枠体両側部間の中間部から枠体の一側部に向けて登り勾配で隆起しており、これによる隆起部にも転圧ローラが存在するものである。したがってこの隆起部への土踏まずの被せ具合や踏み込み具合を加減することで、上記の踏圧を適切に調整することができる。一例として、土踏まずの凹みが大きい者とか強い踏圧が必要な者の場合は、隆起部の高い側にまで土踏まずを被せて器具を踏み込めばよい。他の一例として、土踏まずの凹みが小さい者とか弱い踏圧で足りる者の場合は、土踏まずの被せ具合を隆起部の低い側にとどめながら踏み込めばよい。さらにその他の場合は、隆起部の低位側に高位側までの範囲内において土踏まずの被せ具合を変化させればよい。これは、器具に対する足乗せ位置を変化させるだけの容易さで、適切な踏圧調整が行えるということである。
(23)足用の転圧式健康器具は既述のとおり、その上に足を乗せて踏みつけたときの反力で使用者が刺激を受けるものである。この際の踏圧は、土踏まずの部分も含めて使用者が加減でき、それによって心地よい足裏刺激を得ることができるから、かかる用法において快適な使用を保証することができる。
(24)足用の転圧式健康器具についていうと、枠体の両側部にわたり架設される各支軸がそれぞれの両端部に下向きの縦軸部を有している実施形態がある。このような縦軸部のある支軸の場合は、その縦軸部を枠体両側部の上面より立ち上げて固定することにより所定部間に架設される。支軸とその組付構造がこのようなものであるときは、各転圧ローラを枠体内に陥没させることなく枠体上に保持するのが容易である。また、このような支軸で保持された各転圧ローラのそれぞれ上半分以上が枠体上に突出しているものは、各転圧ローラの外径が比較的小さい場合やこれに大きな踏圧を掛けた場合であっても、足裏が枠体内に没したりすることがない。したがって、器具の上に足を乗せて前後動させたとき、爪先や踵が枠体前後壁に衝突したり足裏の両側が枠体両側壁に擦れたりするおそれがないものとなる。
(25)上記のように、支軸両端部の下向き縦軸部が枠体両側部の上面より立ち上がるところの足用の転圧式健康器具は、その下向き縦軸部を介してそれぞれの支軸を枠体にしっかりと固定することができるものである。しかも各支軸の縦軸部がその枠体両側部を脆弱にすることもない。一方で各支軸は枠体両側部をカスガイ(鎹)のように緊結する。これで足用の転圧式健康器具は、構造上の安定性と強度とを十分に確保する。
(26)足用の転圧式健康器具は上記で明らかなように、使用者自身が踏圧を掛けながら足を前後動させ、それによって末梢系に対する刺激を得るものである。これには格別の動力源を要しない。それに主要な部品種も枠体・支軸・転圧ローラなどと少なく、全体の構成も簡潔である。したがって、これらに依存して足用の転圧式健康器具を低コストで提供することができる。
【0010】
本発明に係る手用の転圧式健康器具はつぎのような効果を有する。
(31)手用の転圧式健康器具については、使用者がその上に手を置いて押しつけたとき、これに対応する各転圧ローラの環状突起が掌や指の内面に密着する。この状態で手を前後動させると、それにともなって前後回転する各転圧ローラが、押圧に対する反力によって手の内面全域をほとんど余すことなく転圧刺激する。これは手の内面にある各ツボを過不足なく適切に刺激するということであるから、手の末梢神経・末梢血管・筋肉などを活性化することにつながる。したがって、実施日とか一日あたりの実施回数とかを定め、かかる転圧刺激を反復継続的に実施することにより、健康の回復・維持・増進などを安全かつ簡易にはかることができる。これは、また、手の内面に刺激を与えるときに手の運動も同時実施するのであるから、老若男女を問わず、健康面でとくによいものになる。
(32)手の内面にも「中衝」「労宮」「小符」などのツボがある。これらのツボも、それを刺激することで身体の諸器官や生理的機能を向上できるといわれている。手についていえば、掌に凹みがあり、手指を限度まで伸ばしたときに各指が反り返る。逆に、力を抜いて各指を閉じ気味にしたり、少し曲げ加減にして各指を弛めたりするときは、掌から各指先に至る手の内面全体が自然と緩慢なアーチ形(俗称カマボコ形)になり、または、そのような手の形にすることが無理なく行える。これに対する手用の転圧式健康器具は、各支軸で前後回転自在に支持された多数の転圧ローラが、枠体上面側の枠内領域において、前後左右に隣接し前後方向に長いアーチ面状をなして点在分布しているものである。このような転圧ローラ群の上に手を置いたときは、手の内面もアーチ形になってそのほぼ全体が転圧ローラ群に密着するようになる。ゆえに、この状態で手の内面を転圧ローラ群に押しつけ、かつ、繰り返し前後動させることにより、上記の有効な転圧刺激が簡単に実現することとなる。
(33)手用の転圧式健康器具は既述のとおり、その上に手を乗せて押しつけたときの反力で使用者が刺激を受けるものである。この際の押圧は、掌部分も含めて使用者が加減でき、それによって心地よい手の内面刺激を得ることができるから、かかる用法において快適な使用を保証することができる。
(34)手用の転圧式健康器具においては、アーチ形の支軸が各転圧ローラを枠体上に保持する。具体的には各転圧ローラの上半分以上が枠体上に突出する。手用の転圧式健康器具がこのようなものであるときは、各転圧ローラの外径が比較的小さい場合やこれに大きな押圧を掛けた場合でも、手の内面が枠体内に没することがない。したがって器具の上に手を置いて前後動させたとき、指先含む手の周囲部が枠体の前後壁や両側壁に衝突したり擦れたりするおそれがない。
(35)手用の転圧式健康器具で各支軸はアーチ形に依存した強度を有するものである。かかる支軸は、その両端部にある下向き縦軸部を介して枠体にしっかりと固定することができるものである。しかも各支軸の縦軸部がその枠体両側部を脆弱にすることもない。一方で各支軸は枠体両側部をカスガイ(鎹)のように緊結する。これらによって手用の転圧式健康器具は、構造上の安定性と強度とを十分に確保する。
(36)手用の転圧式健康器具は上記で明らかなように、使用者自身が押圧を掛けながら手を前後動させ、それによって末梢系への刺激を得るものである。これには格別の動力源を要しない。それに主要な部品種も枠体・支軸・転圧ローラなどと少なく、全体の構成も簡潔である。したがってこれらに依存し、手用の転圧式健康器具を低コストで提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
はじめに、本発明に係る転圧式健康器具について、足用器具の実施形態を添付の図面に基づき説明する。
【0012】
図1〜図5に例示された足用の転圧式健康器具において、11は枠体を示し、21は支軸を示し、31は転圧ローラを示す。
【0013】
図1〜図2を参照して枠体11は、複数の枠材を四角形の枠形に組み立てることにより構成されたものである。したがって枠体11は、前側部12・後側部13・左側部14・右側部15を有している。これらのうちで、右側部15の上面中央領域には、高さを増すための突出部16が一体形成されている。枠体11については、前側部12と後側部13および/または左側部14と右側部15がそれぞれ内外二重の枠材からなることもある。枠体11の上面は全開されている。枠体11の下面は全開・全閉・一部閉鎖(一部開放)のいずれかである。図示例の枠体11は図1〜図2のとおり一部閉鎖(一部開放)されたものである。すなわち枠体11の中央部が開放されているとともに枠体11の前側下面や後側下面に底部17が設けられてそこが閉鎖されている。図1〜図2の枠体11には、また、その四隅部の下面に板状の滑り止め材18が取り付けられている。枠体11が滑り止め効果のある材質からなるとき、滑り止め材18は省略されたりする。
【0014】
上記のような枠体11において、前側部12・後側部13・左側部14・右側部15・底材16などを構成するための枠材や底材は、木製・合成樹脂製(硬質ゴム製も含む)・金属製、または、これらによる複合材製のいずれかである。滑り止め材18は、滑り止め効果のあるゴムまたは合成樹脂からなる。このような構成材料を用いて枠体11を組み立て構成するとき、それらの構成材料は、材質に応じ、金具止め手段・接着手段・溶接手段などのうちのいずれか一つ以上の手段で相互に固定される。枠体11の大きさは、長さ≒300〜400mm、幅≒120〜200mm、高さ≒20〜50mmである。その代表的一例をあげると、木製枠体11の場合に、長さ=350mm、幅=140mm、高さ=30mmである。
【0015】
図1〜図2を参照して支軸21〜24は、その両端部に一体形成された下向きの縦軸部25・26を有するものである。代表的な一例として縦軸部25・26は、その下端が釘と同様な尖鋭形である。支軸21は両縦軸部25・26間にわたる部分が水平部21aとなっている。支軸22の場合は、水平部22aと傾斜した隆起部22b・22cとが両縦軸部25・26の間にある。支軸23の場合は、水平部23aと傾斜した隆起部23b・23cとが両縦軸部25・26の間にある。さらに支軸24の場合は、水平部24aと傾斜した隆起部24b・24cとが両縦軸部25・26間にある。したがって各支軸22〜24は、それぞれ、一つの水平部(22a・23a・24a)と二つの隆起部(22b・22c・23b・23c・24b・24c)とによる三部分を両縦軸部25・26の間に有するものといえる。支軸22の両隆起部22b・22cにおいては、相対的に低い隆起部22bが下向きに湾曲した凹曲線からなり、相対的に高い隆起部22cが上向きに湾曲した凸曲線からなる。支軸23の両隆起部23b・23cにおいては、相対的に低い隆起部23bが下向きに湾曲した凹曲線からなり、相対的に高い隆起部23cが上向きに湾曲した凸曲線からなる。さらに支軸24の両隆起部24b・24cにおいては、相対的に低い隆起部24bが下向きに湾曲した凹曲線からなり、相対的に高い隆起部24cが上向きに湾曲した凸曲線からなる。この図示例のものにおいて、水平線を基準にした場合の各隆起部22b・22c・23b・23c・24b・24cの高さは、(22b=23b)<(22c=23c)<(24b)<(24c)のようになる。
【0016】
上記の各支軸21〜24で代表的な構成材料は金属である。その典型的な一例をあげれば鋼のような金属である。このほか各支軸21〜24がFRPやその他の合成樹脂系高強度材料からなることもある。各支軸21〜24の直径は2〜4mmの範囲内にある。各支軸21〜24の両端部にわたる寸法は、枠体11の両側部(左側部14・右側部15)間の寸法に対応するものである。
【0017】
図1〜図2における各転圧ローラ31は、図3(A)に明示されているとおり、二つの截頭円錐体を底面で突き合わせ合体したような形状をしている。これをたとえていうと、ソロバン玉のような形状である。各転圧ローラ31は軸心部に貫通孔32を有し、外周面には周方向に沿う転圧刺激用の環状突起33がある。この転圧ローラ31は図3(B)のようなものでもよく、図3(C)のようなものでもよい。ちなみに図3(B)のものは環状突起33が図3(A)のものよりも尖鋭化しており、図3(C)のものは環状突起33がブレードのような薄板状になっている。
【0018】
各転圧ローラ31は、木製・合成樹脂製(硬質ゴム製も含む)・金属製、または、これらによる複合材製のいずれかである。各転圧ローラ31は最大直径部(環状突起33)の寸法が10〜30mmの範囲内にあり、軸方向の寸法が6〜15mmの範囲内にある。転圧ローラ31の代表的一例は、木製のものにおいて最大直径部の寸法=15mm、軸方向の寸法=8mmである。
【0019】
図1〜図2を参照して足用の転圧式健康器具はつぎのように組み立て構成される。各支軸21〜24は、これらの両縦軸部25・26間で所定数の転圧ローラ31を回転自在に保持するものであるから、これらには、ローラ貫通孔32を貫通する態様で所定数の転圧ローラ31がそれぞれ嵌め込まれる。さらに転圧ローラを保持している各支軸21〜24の両側部には、転圧ローラ離脱防止用として、リング状ないしチューブ状のストッパ27が嵌め込まれる。ストッパ27はゴム製・合成樹脂製・金属製のいずれかである。ストッパ27は、必要に応じ、接着やその他の手段で各支軸21〜24の所定部に固定されたりする。また、ストッパ27の内側にワッシャが嵌め込まれることもある。このようにして所定数の転圧ローラ31が装備された各支軸21〜24は、互いに平行する前後間隔を保持して枠体11の上面側に前後配列されるとともに枠体11の両側部(左側部14・右側部15)にわたって架設され、これによって両端支持される。具体的には、各支軸21〜24の両縦軸部25・26が、枠体11の左側部14上面・右側部15上面よりそれらの内部に差し込まれて該各支軸21〜24が所定部間に所定の配列状態で架設される。
【0020】
上記の各支軸21〜24を、図1のように前側領域Z1のものと後側領域Z3のものとその間の中央領域Z2にあるものとに三分したとき、中央領域Z2にある3本以上の支軸22〜24は、枠体両側部間の中間部から枠体一側部に向けて登り勾配で隆起する隆起部すなわち前記隆起部22b・22c・23b・23c・24b・24cを有している。さらにいうと、当該3本以上の支軸22〜24のうちの最前列支軸22と最後列支軸23との間には、最高位の隆起部24cを有する最高位支軸24が介在する。したがってこの実施形態の器具の場合、枠体11の上面側における枠内領域に、それぞれの支軸21〜24で前後回転自在に支持された多数の転圧ローラ31が前後左右に隣接して点在分布している。また、それら転圧ローラ31のうちでは、支軸22〜24の隆起部22b・22c・23b・23c・24b・24cにある各転圧ローラ31がそれぞれ所定の隆起高さを保持しており、かつ、それ以外の転圧ローラ31が平坦状に並んでいる。このような隆起部付き支軸22〜24の本数は3〜9本ぐらいが望ましい。その場合における各支軸22〜24の隆起部は、最高位支軸24から前方や後方の支軸に向かうにしたがい段階的に低くなるものである。
【0021】
足用の転圧式健康器具について、上記の実施形態は一例にすぎないものである。他の一例としては図3のように、隆起部のない支軸21および/または隆起部のある支軸22〜24が、枠体11の両側部(左側部14・右側部15)を貫通する態様で両端支持されることもある。このような手段で枠体11両側部間にわたり架設される支軸21〜24の場合は、その両端部の縦軸部25・26が省略される。
【0022】
本発明に係る足用の転圧式健康器具について、健康回復・健康維持・健康増進などを目的としてこれを使用するときは以下のようになる。すなわち図5のように、使用者が足用の本発明器具上に足を乗せて各転圧ローラ31の上面側を適当な力で踏み込み、この状態で足を図5の矢印方向へ繰り返し前後動させる。このようにするときは、隆起状態にある各転圧ローラ31や平坦状に並んでいる各転圧ローラ31の環状突起33が、足裏全域(土踏まずも含む)を余すところなく転圧刺激するようになる。より詳しくは、ローラ踏圧の反力やローラの転がり摩擦によって、按摩・マッサージ・指圧などと同等もしくはこれに準じた刺激が足裏全域に与えられ、それによって足の末梢神経・末梢血管・筋肉などが活性化する。それに足の前後運動が相乗効果をもたらす。
【0023】
本発明に係る足用の転圧式健康器具は前後反転することで右足にも左足にも適用できるが、通常は二つの当該器具を一対として備えておき、両足裏の刺激を同時行うのが望ましい。二つの当該器具を同時使用するときは、椅子などに腰を掛け、足もとの前に置いた両器具上に両足を乗せて上記のように踏み込み、両足の前後動を同じく、または、互い違いにして行えばよい。この場合の足の前後動は各自が設定した任意回数でよい。一例をあげると、両足合計で40往復となる前後動回数を1セットにして1日3セットぐらいを実施すればよい。
【0024】
つぎに、本発明に係る転圧式健康器具について、手用器具の実施形態を添付の図面に基づき説明する。
【0025】
図6〜図8を参照して枠体11は、右側部15に突出部16がない点を除き、前記実施形態のものと実質的に同じかそれに準じて構成されているものである。したがって図6〜図8に例示された枠体11については、前記実施形態の内容を参照することで説明を省略する。
【0026】
図6〜図8の実施形態で枠体11の大きさは、長さ≒250〜400mm、幅≒110〜200mm、高さ≒15〜40mmである。その代表的一例をあげると、木製枠体11の場合に、長さ=330mm、幅=135mm、高さ=25mmである。
【0027】
図6〜図8を参照して支軸21は、前記実施形態と同様、その両端部に一体形成された下向きの縦軸部25・26を有するものである。代表的な一例として、この縦軸部25・26も、その下端が釘と同様な尖鋭形である。かかる支軸21は、また、両縦軸部25・26間にわたる部分がアーチ形の湾曲部21bとなっている。図6〜図8の各支軸21に関するその他の事項は、前記実施形態の内容と実質的に同じかそれに準ずる。したがって図6〜図8に例示された支軸21に関する構成材料・寸法・その他については、前記実施形態の内容を参照することで説明を省略する。
【0028】
図6〜図8における各転圧ローラ31も、前記実施形態のものと実質的に同じかそれに準じて構成されているものである。したがって図6〜図8に例示された枠体11については、前記実施形態の内容を参照することで説明を省略する。もちろん図6〜図8の実施形態でも、図3(A)に明示された転圧ローラ31のほか、図3(B)〜(C)のような転圧ローラ31も採用できる。
【0029】
図6〜図8で各転圧ローラ31は、最大直径部(環状突起33)の寸法が8〜30mmの範囲内にあり、軸方向の寸法が6〜15mmの範囲内にある。転圧ローラ31の代表的一例は、木製のもので最大直径部の寸法=12mm、軸方向の寸法=8mmである。
【0030】
図6〜図8のような手用の転圧式健康器具も、前記実施形態と同様にして以下のように組み立て構成される。各支軸21は、これらの両縦軸部25・26間で所定数の転圧ローラ31を回転自在に保持するものであるから、これらには、ローラ貫通孔32を貫通する態様で所定数の転圧ローラ31がそれぞれ嵌め込まれる。さらに転圧ローラを保持している各支軸21の両側部には、前記と同様、転圧ローラ離脱防止用のストッパ27が嵌め込まれるほか、必要時応じてワッシャが嵌め込まれる。こうして所定数の転圧ローラ31が装備された各支軸21は、互いに平行する前後間隔を保持して枠体11の上面側に前後配列されるとともに枠体11の両側部(左側部14・右側部15)にわたって架設され、これにより両端支持される。具体的には、各支軸21の両縦軸部25・26が、枠体11の左側部14上面・右側部15上面よりそれらの内部に差し込まれて該各支軸21が所定部間に所定の配列状態で架設される。
【0031】
図6〜図8の実施形態でも、枠体11の上面側における枠内領域には、各支軸21で前後回転自在に支持された多数の転圧ローラ31が前後左右に隣接して、かつ、前後方向に長いアーチ面状をなして点在分布している。
【0032】
本発明に係る手用の転圧式健康器具について、健康回復・健康維持・健康増進などを目的としてこれを使用するときは以下のようになる。すなわち図8のように、使用者が手用の本発明器具上に手を置いて各転圧ローラ31の上面側を適当な力で押し込み、この状態で手を図8の矢印方向へ繰り返し前後動させる。このようにするときは、掌や指の内面に密着する各転圧ローラ31の環状突起33が、手の内面全域をほとんど余すことなく転圧刺激するようになる。より詳しくは、ローラ踏圧の反力やローラの転がり摩擦によって、按摩・マッサージ・指圧などと同等もしくはこれに準じた刺激が手の内面全域に与えられ、それによって手の末梢神経・末梢血管・筋肉などが活性化する。それに手の前後運動が相乗効果をもたらす。
【0033】
本発明に係る手用の転圧式健康器具は右手にも左手にも適用できるが、通常は二つの当該器具を一対として備えておき、右手内面の刺激と左手内面の刺激を同時に行うのが望ましい。二つの当該器具を同時使用するときは、机の上などに載せた両器具上に両手を置いて上記のように押しつけ、両手の前後動を同じく、または、互い違いにして行えばよい。この場合の手の前後動は各自が設定した任意回数でよい。一例でいうと、両手合計で40往復となる前後動回数を1セットにして1日3セットぐらいを実施すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る手用・足用の転圧式健康器具は、製作が簡単で使用も容易である。それでいて従来技術の課題を解消し、末梢系への適切な刺激・踏圧調整・快適な使用感・構造上の安定性と強度・低コストなどを満足させるものである。したがって産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る足用の転圧式健康器具についてその一実施形態を示した斜視図である。
【図2】図1の転圧式健康器具におけるそれぞれ要部の縦断面図である。
【図3】図1の転圧式健康器具で用いられる各種転圧ローラの正面図である。
【図4】本発明に係る足用の転圧式健康器具について他の一実施形態を示した要部縦断面図である。
【図5】図1の転圧式健康器具の使用状態を略示した斜視図である。
【図6】本発明に係る手用の転圧式健康器具についてその一実施形態を示した斜視図である。
【図7】図6の転圧式健康器具における要部の縦断面図である。
【図8】図6の転圧式健康器具の使用状態を略示した斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
11 枠体
12 枠体の前側部
13 枠体の後側部
14 枠体の左側部
15 枠体の右側部
21 支軸
21a 支軸の水平部
21b 支軸の湾曲部
22 支軸(最前列支軸)
22a 支軸の水平部
22b 支軸の隆起部
22c 支軸の隆起部
23 支軸(最後列支軸)
23a 支軸の水平部
23b 支軸の隆起部
23c 支軸の隆起部
24 支軸(最高位支軸)
24a 支軸の水平部
24b 支軸の隆起部
24c 支軸の隆起部
25 支軸の縦軸部
26 支軸の縦軸部
31 転圧ローラ
32 転圧ローラの貫通孔
33 転圧ローラの環状突起
Z2 中央領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を軸心部に有していて周方向に沿う転圧刺激用の環状突起を外周面に有している多数の転圧ローラと、多数の転圧ローラを横列に保持して回転自在に支持するための多数の支軸と、多数の支軸を縦列に組み付けるための枠体とを備えていること、および、多数の転圧ローラを貫通してこれらを横列かつ回転自在に保持しているそれぞれの支軸が、互いに平行する前後間隔を保持して枠体の上面側に前後配列されているとともにその枠体の両側部にわたり架設されて両端支持されていること、および、各支軸を前側領域のもの・後側領域のもの・その前側後側領域間にある中央領域のものに三分したとき、その中央領域にある3本以上の支軸が、枠体両側部間の中間部から枠体の一側部に向けて登り勾配で隆起する隆起部をそれぞれ有しており、かつ、当該3本以上の支軸のうちの最前列支軸と最後列支軸との間には最高位の隆起部を有する最高位支軸が介在していること、および、枠体上面側の枠内領域には、それぞれの支軸で前後回転自在に支持された多数の転圧ローラが前後左右に隣接して点在分布していること、および、それら転圧ローラのうちで支軸の隆起部にある各転圧ローラがそれぞれ所定の隆起高さを保持しているとともにそれ以外の転圧ローラが平坦状に並んでいることを特徴とする足用の転圧式健康器具。
【請求項2】
それぞれの支軸が下向きの縦軸部を両端部に有するものからなり、それら縦軸部が枠体両側部の上面より立ち上げ固定されて該各支軸が枠体の両側部にわたり架設されている請求項1に記載の足用の転圧式健康器具。
【請求項3】
貫通孔を軸心部に有していて周方向に沿う転圧刺激用の環状突起を外周面に有している多数の転圧ローラと、多数の転圧ローラを横列に保持して回転自在に支持するためのアーチ形のものであって両端に下向きの縦軸部を有する多数の支軸と、多数の支軸を縦列に組み付けるための枠体とを備えていること、および、多数の転圧ローラを貫通してこれらを横列かつ回転自在に保持しているそれぞれの支軸が、互いに平行する前後間隔を保持して枠体の上面側に前後配列されているとともに該各支軸の両縦軸部が枠体両側部の上面より立ち上げ固定されて枠体両側部にわたり架設されていること、および、枠体上面側の枠内領域には、それぞれの支軸で前後回転自在に支持された多数の転圧ローラが、前後左右に隣接して、かつ、前後方向に長いアーチ面状をなして点在分布していることを特徴とする手用の転圧式健康器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−142293(P2008−142293A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332701(P2006−332701)
【出願日】平成18年12月9日(2006.12.9)
【出願人】(306042555)
【Fターム(参考)】