説明

軸方向振動を伴うドリルヘッド

本発明は、軸方向周期振動発生器を備えるドリルヘッド(1)であって、ヘッドをモータに結合させるための装着部(2)を備え、モータが、軸の周りで装着部を回転させ、装着部(2)が、モータの回転軸と一致する長手方向軸(5)を有し、ドリルヘッド(1)がさらに、工具ホルダ(3)と、工具ホルダ(3)を装着部(2)内で保持するための弾性変形可能な手段(6)と、装着部(2)の長手方向軸(5)に沿って装着部(2)内で工具ホルダ(3)を案内するための手段(7)とを備え、さらに、ドリルヘッドの取付部が、装着部(2)と工具ホルダ(3)の間に位置決めされた、上記軸(5)の方向の往復運動の制御式発生器(8)を含むドリルヘッド(1)であって、工具ホルダと発生器が、往復運動の伝達を可能にしながら工具ホルダ(3)が受ける衝撃を減衰するのに適した長手方向結合部材(9)によって接続されるドリルヘッド(1)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向周期振動発生器を取り付けたドリルヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
穴あけ機は、長い切屑を生成するという欠点を有する。そのような長い切屑は、作業区域から迅速に除去することが難しいので、穴あけ操作における様々な問題を引き起こし、形成された穴の表面の品質を損なわせる可能性がある。
【0003】
この欠点に対する1つの改善策は、切屑の厚さを変え、切削操作を繰り返し中断することによってこれらの切屑を破砕することである。これは、一般にドリルビットと呼ばれる切削工具に軸方向振動を加えることによって実現され、この軸方向振動は、切屑の破砕をもたらす振幅及び周波数で、送り速度(材料への貫入速度)を周期的に変化させ、従って切屑の厚さを変化させる。
【0004】
同時に、(例えば多層材料に穴を開けるときに)工具を特定の時間にのみ振動させること、又は(例えば穴を開ける材料に適するように切削プロセスに応答及び適合するために)リアルタイムで周期振動の振幅及び/又は周波数を変化させることが有益な穴あけ操作がある。従って、応答が十分に速く、かつ1つの材料から別の材料への移行を認識することができる機能を備える制御可能なデバイスを提供する必要がある。
【0005】
ドリルの軸方向周期振動を使用するデバイスが既にいくつか提案されている。例えば、特許文献1に記載されているデバイスを挙げることができる。この特許文献は、工具ホルダとその駆動装着部の間の結合機構を記載しており、この結合機構は、軸方向の自律周期振動を生み出すことができるように装着部から工具ホルダを懸架する機構を構成し、それにより、被削材に工具が貫入する速度は、平均速度(当然ゼロでない)の上下で周期的に変化する。
【0006】
別の文献、即ち特許文献2は、工具ホルダ内に収容され、ワイヤレスで電源に接続された圧電又は磁気アクチュエータによって回転工具に往復軸方向運動させる、フライス工具又は穴あけ工具を開示する。このシステムは遠隔制御される。この工具は、非常に高い(超音波)周波数で、かつ非常に低い軸方向振動振幅で複合材料を機械加工する目的のものである。
【0007】
別の文献、即ち特許文献3は、周期振動ヘッドを備える工具であって、非常に高い周波数の周期振動を回転工具が受ける工具を開示する。この周波数は、発生された周期振動が工具を軸方向で共振させるように、工具の自然周波数に等しくなければならない。特許文献3に記載される解決策におけるアクチュエータは、デバイスの軸方向可動部に完全に組み込まれており、切屑を破砕するのに十分に高い振幅での運動及び静的荷重又は低周波荷重を発生することはできない。さらに、それらは共振の使用に関わるので、得られる周期振動の特性は、荷重に非常に大きく左右され、即ち機械加工操作中に生じる貫入力に大きく左右される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第994758号
【特許文献2】ドイツ特許第10343682号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/041604号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
既知のデバイスは、工具の前送り運動に軸方向周期振動を重ね合わせることによって穴あけ中に生じる切屑を破砕することに関して、汎用性のある機械に求められる品質をすべては備えていない。即ち、そのようなデバイスは、頑強であり、切屑を破砕するのに十分な振幅の軸方向周期振動を発生させることができ、既存の機械に取り付けることができ、様々な穴あけプログラムに適するように適合させることができ、とりわけ、ドリルが一回の操作で通る様々な異なる材料を考慮に入れたデバイスでなければならない。例えば、特許文献1及び特許文献3に記載されるデバイスによって発生される周期振動は荷重の影響を受けやすいことが分かっており、これは、周期振動が切削直径及び切削条件(工具や切削パラメータなど)に左右されることを意味する。また、圧電アクチュエータは壊れやすく、圧縮荷重以外の応力に耐えることができないことも知られている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題は、軸方向周期振動の発生器を備えるドリルヘッドであって、ヘッドをモータに結合させるための装着部を備え、モータが、軸の周りでの装着部の回転を駆動し、装着部が、モータの回転軸と一致する長手方向軸を有し、ドリルヘッドがさらに、工具ホルダと、工具ホルダを装着部から懸架するための弾性変形可能な懸架手段とを備え、工具ホルダと装着部がねじれモーメントを伝達することができ、ドリルヘッドがさらに、この装着部の長手方向軸に沿って装着部内で工具ホルダを案内するためのガイド手段を備え、さらに、装着部と工具ホルダの間に挿間された、上述の軸の方向の往復運動(周期振動)の制御式発生器を備えるドリルヘッドである。
【0011】
好ましくは、周期振動発生器(アクチュエータとも呼ぶ)は管状であり、圧電タイプであり、その端部の一方で工具ホルダ装着部を押し、それと同時に、本発明によるドリルヘッドは、管状発生器の内部で装着部と工具ホルダの間に形成された摺動ピボットと、各端部でそれぞれ装着部及び工具ホルダに固定された高いねじれ剛性を有する軸方向弾性外側スリーブと、所定の軸方向剛性及び低い曲げ剛性を有する環状シムとを備え、環状シムを介して工具ホルダが発生器の端部を軸方向に押す。
【0012】
スリーブとシムは、発生器に対して予荷重をかける働きをする。発生器とシムの合計の長さと、外側スリーブの自然長及び軸方向でのその弾性特性との関係により、発生器に対する予荷重を調節できるようになる。軸方向に剛性の環状シムが、発生器から生じた振動を工具ホルダに伝達できるようにし、その一方で、環状シムの曲げ可撓性は、穴あけプロセスに起因する、また摺動ピボット内に存在し得る遊びに起因する曲げモーメントの突然の変化から発生器を保護する。
【0013】
この例の実施形態の一代替形態では、装着部と工具ホルダの間のトルクの伝達は、装着部と工具ホルダの間のガイドウェイ接続(プロファイル又はスプラインシャフト上の直動玉軸受)によって行われ、それにより外側スリーブに残されている唯一の機能は、発生器に予荷重をかけることである。
【0014】
このスリーブの構造は、発生器の加熱により発生する熱の放散を促進するために、高い熱伝導率有する壁部分、又は切欠きを含む複合体であってもよい。
【0015】
別の実施形態では、ドリルヘッドは、発生器の内部で装着部と工具ホルダの間にある摺動ピボットと、各端部でそれぞれ装着部及び工具ホルダに固定された高いねじれ剛性を有する軸方向弾性外側スリーブであって、装着部と工具ホルダの間に固定された、半径方向荷重を伝達することができる少なくとも1つの偏平要素を平行に備える外側スリーブと、所定の軸方向剛性を有する環状シムとを備え、環状シムを介して工具ホルダが発生器の端部を軸方向に押す。
【0016】
前述の実施形態と同様に、発生器とシムの合計の長さと、外側スリーブの自然長及び軸方向でのその弾性特性との関係により、発生器に対する予荷重を調節できるようになる。圧電発生器は、外側スリーブと前述の可撓性要素の両方によってねじれモーメントから保護され、それらが協働することで、シムによって工具ホルダと発生器をねじれに関して隔離する必要をなくす。この手段によって、摺動ピボット接続が遊びを有するときにはその遊びが小さい場合でさえ摺動ピボット接続によって対処することができない半径方向荷重に対処することができる。第1の偏平要素と平行に、従って外側スリーブとも平行に、装着部から工具ホルダを懸架するための別の偏平要素を採用することができ、この別の偏平要素は、押圧シムの領域内に配置され、シムは隆起部を有し、隆起部は、それを通す目的で設けられた開口を通して偏平要素を通過する。軸方向に可撓性である2つの偏平要素が一緒に存在するとき、それらは、小さな軸方向運動に適したガイドウェイタイプの軸方向ガイドを形成し、半径方向荷重に対処することができ、この場合、例えばボール・ケージアセンブリによって提供される管状アクチュエータ内部の摺動ピボット接続は、もはや必ずしも必須のものではない。ただし、そのような接続(摺動ピボット)が存在すると、より容易に要素(工具ホルダ3と装着部2)を正確に位置決めして、弾性ガイド要素が組立て段階中に定位置に設置される前に所定の同軸度公差に適合させることができる。軸方向案内部が、弾性ガイド要素のみによって提供され、摺動ピボット接続が無い場合は、組立て中に工具ホルダ3を装着部2に対して正確に位置決めしなければならなくなる。
【0017】
電磁送信機/受信機システム(回転変圧器)を使用する無接触パワー伝送が好ましい。しかし、スリップリングアセンブリによる接触接続を使用することもできる。
【0018】
本発明の実施形態の1つの特定の代替形態では、発生器に、機械加工中にドリルビットが被削材に軸方向に加えている力を示すことができるセンサを組み込むことができる。このセンサは、例えば、多層圧電材料を用いて直接の圧電効果を使用してこの荷重の測定値そのものを取得することができ、又は例えばアクチュエータの変形(例えば変形ゲージ)といった間接的な測定値を取得することができ、この場合には、穴あけ荷重を求めるために信号を処理する必要がある。従って、この力の変化に関するデータを収集し、それを使用してアクチュエータを制御する、さらには使用される機械の側で切削パラメータ(瞬時切削速度、送り速度)を制御することができる。具体的には、穴あけ操作に伴う軸方向力の瞬時値のこの表示は、データ処理装置(例えばコンピュータ)上で動作するソフトウェアに含まれるモデルを使用して穴あけパラメータを修正するために信号処理装置によって解釈される変数である。典型的には、圧電センサアクチュエータに対する軸方向荷重の変化は、穴あけされる所与のアセンブリ内の1つの材料から別の材料への移行と解釈することができる。この検出により、処理装置は、検出された1つの材料から別の材料への移行の瞬間に穴あけパラメータを修正することができ、従って記憶された穴あけプログラムを参照して操作を最適化することができる。
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は、本明細書で以下に述べる本発明の一実施形態の説明から明らかになろう。
【0020】
添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるデバイスの概略断面図である。
【図2】本発明によるデバイスの第1の実施形態を通る軸方向断面図である。
【図3】図2の構成要素の分解図である。
【図4】本発明によるデバイスの第2の実施形態を通る軸方向断面図である。
【図5】図4に示されるデバイスの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1において、参照番号1で表されるドリルヘッドが、装着部2と、ドリルビット4を装着部2の回転軸5と同軸に保つための工具ホルダ3とを備える。
【0023】
装着部は、その端部2aで駆動モータM(概略的に図示される)に結合され、駆動モータMの回転軸は、装着部2の長手方向軸でもある軸5と同軸である。
【0024】
工具ホルダ3は、座金6によって装着部2に固定され、この座金6は、装着部と工具ホルダの間でトルクを伝達する特性を備え、軸5の方向に弾性変形可能である。そのような座金の一例は、特許文献1に記載されている。この座金6は、周縁にあるねじ6aによって装着部2に固定され、工具ホルダ3は、中央にあるねじ6bによって座金6に固定される。工具ホルダ3は中央部分3aを有し、この中央部分3aは、装着部の軸受7内に軸方向摺動式に案内される。
【0025】
装着部2は中空であり、その中央空洞2bが圧電アクチュエータ8を含み、圧電アクチュエータ8に印加される可変電圧によって発生される圧電アクチュエータ8の周期振動は軸5に沿った方向に向けられる。このアクチュエータの上端部は装着部の上側部品2aに固定されており、上端部において、圧電要素が、それらに予荷重をかけるハウジング内に含まれている。装着部の下側部分はそれ自体、工具ホルダの部分3aに固定される。この固定は長手方向結合部材9を使用して行われ、長手方向結合部材9は、(軸受7の遊び及び不完全性により不可避的に生じる)曲げ応力に対処する特性を備えると同時に、往復運動を伝達できるようにする。この部材9は、アクチュエータの振動端部8aをピボット10に接続させ、ピボット10は、2つのスラスト玉軸受11a及び11bによって工具ホルダの部分3aに並進可能に固定され、スラスト玉軸受11a及び11bは、座金6が壊れた場合にアクチュエータ8が工具ホルダ3からねじれて外れるようにする。
【0026】
圧電アクチュエータを制御する電源が参照番号12で図式的に示されている。この電源は、状況に応じて無接触タイプ(回転変圧器と集積回路)でも接触タイプ(摺動接点に基づくスリップリングアセンブリタイプのもの)でもよい。
【0027】
アクチュエータの能動要素の一部を、アクチュエータが受ける軸方向荷重のセンサとして使用することが有利である。このセンサからの出力が、図面に参照番号13で表されている。センサは、アクチュエータ8への電源と同様に、状況に応じて無接触又は接触タイプである。送信される信号は処理装置14に送られ、処理装置14は、出力端15で、入力信号に応じたアクチュエータ制御信号を送信する。実際、入力信号は、アクチュエータに加えられた軸方向荷重を示すことが分かっている。従ってこれは、機械加工中の被削材への工具の貫入に対する抵抗、従って加工される材料の性質を表す。例えば多層被削材の場合には、この信号の変化は境界面の通過に対応し、この通過は、穴あけ操作の進行状況の変化をもたらすことがある。この変化は、(アクチュエータに向かう伝送経路15aを介する、又はアクチュエータの電力供給源による)アクチュエータの制御に関係するだけでなく、(装置14の出力端15からの別の伝送経路15bを介して)工具の回転を駆動するモータMにも関係し、また、被削材にドリルビットが貫入する速度にも関係し、これは例えば装置14内部のメモリに記憶された設定点に依存する。アクチュエータの制御の場合と全く同様に、センサからの出力は、回転するセンサから固定された処理装置に信号を転送するため及び必要であればセンサに動力供給するための任意の適切な手段(トランスポンダなど)を使用して、好ましくは無接触で処理される。なお、工具ホルダ内部に信号処理装置のすべて又は一部を設けることも、本発明の範囲からの逸脱とはならない。
【0028】
図2及び図3では、既に説明した要素のほとんどを、同じ参照番号を使用して再び示している。装着部2が機械要素Mに結合され、機械要素Mは、モータから延び出た回転シャフトであってよく、又は例えば軸5の周りで被削材が回転している場合には固定要素でもよい。装着部2は、ボール・ケージアセンブリ又は直動玉軸受20によって工具ホルダ3のシャンク3aを受け取り、直動玉軸受20は、装着部2内への工具ホルダ3の軸方向案内部(摺動ピボット)となる。この案内部はアクチュエータ8内部に提供され、アクチュエータ8は、この例では管状であり、予荷重はかかっていない(そのままの圧電材料)。ここでは、軸方向荷重測定手段(荷重センサ)が、アクチュエータ8の外部発電機に沿って延在する歪ゲージ21の形態で示されている。
【0029】
この実施形態と図1の図の本質的な相違点は、工具ホルダ3を装着部2に結合する手段にあり、これらの手段は、穴あけ操作及び軸方向周期振動に起因するトルクを伝達することができると同時に、アクチュエータ8を、その動作を損なわせることになるねじれ又は曲げ力から保護する。
【0030】
ここでは、これらの手段は外側スリーブ22を備え、外側スリーブ22は、その一端で装着部2にねじ留めされ、その他端は、ねじ23によって工具ホルダ3に結合される。このスリーブは、ねじれに対して非常に剛性の特性を有するが、軸方向では比較的柔軟であり、所定の軸方向剛性を有する。このために、スリーブは、その周において複数のスロット24を切り抜かれ、これらのスロット24によって、スリーブは、ねじれ剛性を保ちながら軸方向に弾性となる。スロットの数及び寸法は、アクチュエータ8に加えるべき予荷重を実現するように考慮された軸方向弾性特性を与えるように決定される。しかし、この特性は、例えば荷重に対して軸方向剛性が高すぎるために振動のエネルギーを消散しすぎることがないように、このエネルギーに適合される。アクチュエータが動作するときにアクチュエータによって放出される熱を放散するために、高い熱伝導率の材料をスロットに充填することができる。スリーブ22は、第1に、装着部から工具ホルダを懸架するために使用され、第2に、切削力により生じるねじれモーメントを装着部と工具ホルダの間で伝達するために使用され、それと同時に、アクチュエータに必要な所要の予荷重を実現する。これらの機能すべてが行われるという前提で、本明細書で上述したもの以外の幾何形状をスリーブ22に関して使用することができる。従って、このスリーブは、一連の交互の内溝と外溝を備えることができ、これらが、所定の軸方向剛性を有する蛇腹の外観をスリーブに与える。
【0031】
また、結合手段は環状シム25も備え、環状シム25は、アクチュエータ8の一端と工具ホルダ3の間に挿間されて捕捉される。このシム25の材料及び幾何形状は、アクチュエータ8によって発生される軸方向周期振動の伝達が維持されるように選択されると同時に、小さいにせよ必然的に機能上の隙間を有さなければならない摺動ピボット接続を介して伝達されることがある、切削力により生じる曲げ応力を最小にするように選択される。このシム25の幾何形状に関して、シム25は、軸5に平行及び垂直な平面内に切欠きを設けられ、これらがこのシムの2つの部分を画定し、これら2つの部分はカルダンジョイントの様式で互いに接合され、圧電アクチュエータを保護する曲げ可撓性を有して、微小運動、従って小さな振幅の運動を許すことに留意されたい。
【0032】
この解決策では、工具ホルダ3がその中を貫通するチャネルCを有し、チャネルCは工具ホルダ3の軸に沿って形成され、それにより、切削区域を冷却及び/又は潤滑するために使用される任意の冷却剤及び潤滑剤のための経路を提供することに留意されたい。また、これらの冷却剤は、アクチュエータからの熱の放散を改善する働きもすることができる。強制的な冷却を行うためにアクチュエータにこの冷却剤を接触させるように、周囲の構成要素に形成される様々な封止手段及びオリフィスを設けることもできる。
【0033】
図4及び図5に示される実施形態は、上述した実施形態と非常に類似している。相違点は、装着部と工具ホルダを結合する手段に第1の追加の要素がある点である。この要素26は図1の要素6と同様であり、スリーブ22と共に、装着部2から工具ホルダ3を懸架する働きをし、また、工具とは反対側の工具ホルダの端部で接続部に半径方向剛性を追加する働きをし、それにより、摺動ピボット接続の遊びによって生じ得る横方向微小運動を防止するのに寄与する。トルクの伝達は、要素26が存在するときにそれに対して関与する場合でさえ、スリーブ22によって引き続き行われる。
【0034】
要素26と同様の第2の要素又は座金27が存在し、座金27は穴27aを有し、この穴27aを通って、環状リング25に属する隆起部25aが座金を通過して工具ホルダ3を押すことに留意されたい。シム25の隆起部を分離する中空部は、シム25によって工具ホルダ3に伝達されるアクチュエータ8の振動の振幅よりも十分に大きな寸法であり、シム25と座金27の接触を常に防止する。座金27は、外側ねじ23によってスリーブ22及び工具ホルダ3に固着され、適切な様式(特別なねじ27b)で装着部2のスピンドルに固着される。座金27の役割は、同様に、工具ホルダの工具端部に半径方向剛性を追加することであり、構成要素26と共に、小さな振幅の運動に適した可撓性案内部を備えるガイドウェイ接続を形成する。
【0035】
スリーブ22の軸方向剛性は、アクチュエータ8に課され得る予荷重に応じて決まる。実際、この荷重は、ねじ23を使用した取付け前の、シム25及びスリーブ22に面する工具ホルダの面とこのスリーブの自由端との、軸5に沿った位置の差に対応する。組立て前の上記2つの面のこの位置の差が取付け隙間を形成し、これは、構成要素の設計及び正確な製造によって決定する必要がある。ねじ23を使用した固定は、スリーブ22の弾性伸びを引き起こし、その結果、アクチュエータ8/シム25の組合せの圧縮(取付け隙間の大きさ及びスリーブ22の軸方向剛性によって決定される量)を引き起こす。
【0036】
本発明は、単純な様式で、穴あけ工具の切屑を破砕するという問題を解決することができ、また加工される材料の性質の検出に関してこの破砕、より一般には動作パラメータを監視することができ、かつ特に圧電アクチュエータの場合に同じ能動部材を使用してこれを行うことができるようにする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向周期振動の発生器を備えるドリルヘッド(1)であって、
前記ヘッド(1)をモータに結合させるための装着部(2)を備え、前記モータが、軸の周りでの前記装着部の回転を駆動し、前記装着部(2)が、前記モータの回転軸と一致する長手方向軸(5)を有し、
さらに、工具ホルダ(3)と、前記工具ホルダ(3)を前記装着部(2)から懸架し、軸方向運動を可能にするための弾性変形可能な懸架手段と、前記装着部(2)の前記長手方向軸(5)に沿って前記装着部(2)内で前記工具ホルダ(3)を案内するためのガイド手段とを備え、
さらに、前記装着部(2)と前記工具ホルダ(3)の間に挿間された、前記軸(5)の方向の往復運動の制御式発生器(8)を備えるドリルヘッド(1)において、
往復軸方向運動の前記発生機(8)が管状であり、予荷重を伴わない圧電タイプであり、その端部の一方で前記工具ホルダ装着部(2)を押すこと、及び
ドリルヘッド(1)が、前記発生器(8)内部で前記装着部(2)と前記工具ホルダ(3)の間にある摺動ピボット(20)と、各端部でそれぞれ前記装着部(2)及び前記工具ホルダ(3)に固定された高いねじれ剛性を有する軸方向弾性外側スリーブ(22)と、所定の軸方向剛性及び低い曲げ剛性を有する環状シム(25)とを備え、前記環状シム(25)を介して、前記工具ホルダ(3)が、前記発生器(8)の端部を軸方向に押して、軸方向運動を伝達できるようにしながら、前記発生器(8)に悪影響を及ぼす応力を減少させること
を特徴とする、ドリルヘッド(1)。
【請求項2】
前記外側スリーブ(22)と前記環状シム(25)が、前記発生器(8)に軸方向予荷重を加える手段を構成することを特徴とする、請求項1に記載のドリルヘッド。
【請求項3】
前記発生器(8)の内部で前記装着部(2)と前記工具ホルダ(3)の間にあり、前記工具ホルダ(3)と前記装着部(2)の間でねじれモーメントの伝達を可能にするガイドウェイ(20)と、各端部でそれぞれ前記装着部(2)及び前記工具ホルダ(3)に固定された軸方向弾性外側スリーブ(22)と、所定の軸方向剛性及び低い曲げ剛性を有する環状シム(25)とを備え、前記環状シム(25)を介して、前記工具ホルダ(3)が、前記発生器(8)の端部を軸方向に押して、軸方向運動を伝達できるようにしながら、前記発生器(8)に悪影響を及ぼす応力を減少させることを特徴とする、請求項1に記載の軸方向周期振動の発生器を備えるドリルヘッド(1)。
【請求項4】
前記発生器(8)の内部で前記装着部(2)と前記工具ホルダ(3)の間にある摺動ピボット(20)と、各端部でそれぞれ前記装着部(2)及び前記工具ホルダ(3)に固定された高いねじれ剛性を有する軸方向弾性外側スリーブ(22)であって、前記装着部(2)と前記工具ホルダ(3)の間に固定された、半径方向荷重を伝達することができる少なくとも1つの偏平要素(26、27)を平行に備える外側スリーブ(22)と、所定の軸方向剛性及び低い曲げ剛性を有する環状シム(25)とを備え、前記環状シム(25)を介して、前記工具ホルダ(3)が、前記発生器(8)の端部を軸方向に押すことを特徴とする、請求項1に記載の軸方向周期振動の発生器を備えるドリルヘッド(1)。
【請求項5】
各端部でそれぞれ前記装着部(2)及び前記工具ホルダ(3)に固定された高いねじれ剛性を有する軸方向弾性外側スリーブ(22)を備え、前記外側スリーブ(22)が、前記装着部(2)と前記工具ホルダ(3)の間に固定された、平行に取り付けられて半径方向荷重を伝達することができる2つの偏平要素(26、27)を備え、それにより可撓性要素と共に軸方向ガイドを形成し、ドリルヘッド(1)がさらに、所定の軸方向剛性及び低い曲げ剛性を有する環状シム(25)を備え、前記環状シム(25)を介して、前記工具ホルダ(3)が、前記発生器(8)の端部を軸方向に押し、軸方向運動を伝達できるようにしながら、前記発生器(8)に悪影響を及ぼす応力を減少させることを特徴とする、請求項1に記載の軸方向周期振動の発生器を備えるドリルヘッド(1)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(8)が、機械加工中に前記ドリルビットによって被削材に軸方向で加えられる力を感知するセンサ(21)を担持することを特徴とする、請求項1に記載のドリルヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−525265(P2012−525265A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507728(P2012−507728)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055690
【国際公開番号】WO2010/125090
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511262348)
【出願人】(510022510)ヨーロピアン・アエロノーティック・ディフェンス・アンド・スペース・カンパニー・イーデス・フランス (7)
【Fターム(参考)】