説明

軽量の粒子とそれより重い粒子の混合物から軽量の粒子を分離する方法及び装置

【課題】複数種類の粒子からなる混合物から他種粒子と比べて軽量(低密度)の粒子の集団を分離させる。
【解決手段】軽量の粒子とそれより重い粒子の混合物から軽量の粒子を分離する方法であって、(a)上記混合物を収集するステップと、(b)その混合物から分離装置によって前記重い粒子を分離するステップと、を有し、更に、混合物から前記重い粒子を分離する際に、分離装置として、受容器を覆うサイクロン式のセパレータと、このセパレータに装着された昇圧リングと、その内部が環状のプレナムになるよう昇圧リングの内周面沿いに形成されておりその外側周面上に位置するスリットを介し昇圧リングに連通するトンネルと、を備え、昇圧リングからスリット経由でプレナム内に入る昇圧空気の作用で、プレナム内の流れがそのプレナムの中心寄り内壁面に沿った前記軽量の粒子の流れと外周寄り内壁面に沿った前記重い粒子の流れに分離して前記重い粒子が受容器に入っていき、その結果混合物から前記軽量の粒子が分離されるように構成された装置を、使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアの混合物、例えばキャリアが混ざった廃トナーからトナーを回収して再生する方法及び装置等に関する。この方法及び装置を用いることで、軽量の目的粒子群に重量の大径粒子群が混在している混合物から目的粒子群を効率的に分離させることができる。
【背景技術】
【0002】
電子写真式のマシンからトナーを回収して再生する技術は、埋め立てや焼却に代わる処理技術として強く期待されている。トナーの種類によっては、現場から回送されてくる廃トナー即ちトナー含有廃棄物を成形機にかけることで再生可能な場合もあり、その方法としては例えば特許文献1(発明者:Laing et al.)に記載の方法が知られている。なお、この参照を以て特許文献1の全内容を本願に繰り入れることとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5888691号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既存のトナー回収/再生方法には効率が低いという問題がある。これは、昨今の電子写真式マシンに対するトナー補充がトナーそのものではなくレプレニッシャ、即ちトナーに例えば新品のキャリアを5〜40%程度混ぜた混合物により行われるためである。現像剤(キャリアに最大5%のトナーを混ぜたもの)の加齢条件を定常化するには現像剤に対するトナー補充をレプレニッシャの添加によって行うのが好ましいとはいえ、それを実行するとレプレニッシャによるキャリア追加量に比肩する量のキャリアがオーバフロー系を通じて現像剤から排出されてしまう。とりわけ、排出されたキャリアを集めるキャリア廃棄ボトルがトナー廃棄ボトルと同じボトルになっているマシンでは、その結果として、ボトル中に溜まる廃トナーにキャリアが混ざることとなる。
【0005】
廃トナーにおけるキャリアの混入率は、全体に対する重量比でおおよそ40〜50%という高い比率になることがある。このようにトナーに対するキャリアの比率が高い廃トナーに対して従来のキャリア分離手法、例えば44μm超の粒子をスクリーニングするダイレクトターボスクリーニングを適用すると、不都合にも、スクリーンブラインディングが頻繁に発生することとなってしまう。スクリーンブラインディングとは、大きくて重いキャリア粒子によってスクリーンの“目”が詰まり埋まってしまう現象であり、この現象が生じるとそのスクリーンの適正な動作はほとんど或いは全く望めなくなるので、その廃トナーからトナーを回収、再生して通常トナープロセスに戻すことは困難乃至不可能になる。
【0006】
本発明は、上掲の問題点又はその一部を解決又は緩和し、それより重い粒子が混ざっている比較的軽量(低密度)の粒子を効率的に分離できる方法及び装置、例えば重いキャリアが混入している廃トナー中からより軽いトナーを効率的に回収、再生できる方法及び装置を実現し、回収したトナーを安定的に通常トナープロセスに回付できるようにすること等を、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る方法においては、トナーとキャリアの混合物からトナーを分離するため、(a)当該混合物を収集するステップと、(b)その混合物から分離装置によってキャリアを分離するステップと、(c)キャリア分離後の残存物を分離装置につながるスクリーニング装置によりスクリーニングして各種デブリを除去するステップと、(d)デブリ除去後の残存物に必要に応じ原材料を追加して成形機にかけトナー塊(混合熔融生成物;melt mixed product)を生成するステップと、を実行する。更に、混合物からキャリアを分離する際には、分離装置として、受容器を覆うサイクロン式のセパレータ(遠心分離器)と、このセパレータに装着された昇圧リングと、その内部が環状のプレナム(室/中空部)になるよう昇圧リングの内周面沿いに形成されておりその外側周面上に位置するスリットを介し昇圧リングに連通するトンネルと、を備え、昇圧リングからスリット経由でプレナム内に入る昇圧空気の作用で、プレナム内の流れがそのプレナムの中心寄り内壁面に沿ったトナーの流れと外周寄り内壁面に沿ったキャリアの流れに分離してキャリアが受容器に入っていき、その結果混合物からトナーが分離されるように構成された装置を使用する。
【0008】
また、本発明の他の実施形態に係る装置においては、トナーとキャリアの混合物からトナーを分離するため、受容器を覆うサイクロン式のセパレータと、このセパレータの内部に面するよう装着された昇圧リングと、その内部が環状のプレナムになるよう昇圧リングの内周面沿いに形成されておりその外側周面上に位置するスリットを介し昇圧リングに連通するトンネルと、を使用する。この装置は、昇圧リングからスリット経由でプレナム内に入る昇圧空気の作用で、プレナム内の流れがそのプレナムの中心寄り内壁面に沿ったトナーの流れと外周寄り内壁面に沿ったキャリアの流れに分離してキャリアが受容器に入っていき、その結果混合物からトナーが分離されるように構成する。
【0009】
そして、本発明の更に他の実施形態に係る装置においては、トナーとキャリアの混合物からトナーを分離するため、受容器を覆うサイクロン式のセパレータと、このセパレータの内側に面するよう装着された昇圧リングと、その内部が環状のプレナムになるよう昇圧リングの内周面沿いに形成されておりその外側周面上に位置するスリットを介し昇圧リングに連通するトンネルと、を使用する。スリットの幅は約0.1〜0.3mmにする。また、セパレータの入口及び出口のうち出口は、トナーをスクリーニングするためのスクリーニング装置に通流させる。本装置は、昇圧リングからスリット経由でプレナム内に入る昇圧空気の作用で、プレナム内の流れがそのプレナムの中心寄り内壁面に沿ったトナーの流れと外周寄り内壁面に沿ったキャリアの流れに分離してキャリアが受容器に入っていき、その結果混合物からトナーが分離されるように構成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る分離装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示した分離装置のセパレータを下側から見た斜視図である。
【図3】図1に示した分離装置のセパレータを下側から(但し図2とは異なる方向から)見た斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る分離装置のセパレータを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る分離方法及び装置について説明する。これから説明する分離方法及び装置は、複数種類の粒子からなる混合物から他種粒子と比べて軽量(低密度)の粒子の集団を分離させるものであり、トナーキャリア混合物例えばキャリア含有廃トナーからトナーを分離させるのに使用することができる。この方法及び装置によれば、廃トナーからトナーを再生する処理等を格段に効率的に実施することができる。
【0012】
即ち、廃トナーは多くの場合トナーキャリア混合物であり、キャリアを残しておくと後のトナー再生処理時に支障になるので、廃トナーからキャリアを分離させることが求められている。本発明の実施形態に係る方法及び装置によって廃トナーを処理すれば、その廃トナーからほとんど又は全てのキャリアを分離、除去することができる。
【0013】
本発明の実施形態では、トナーキャリア混合物例えば廃トナー中のトナーを同混合物中の他の粒子例えばキャリアから分離させるため、その混合物に遠心力を加えるサイクロン式のセパレータを使用する。その動作点は、(トナー断片がトナー粒子から分離されるようにではなく)その混合物中のトナーがキャリアから好適に分離されるよう、設定及び調整する。この分離処理の後に残った残存物中にはキャリアがあまり又は全く含まれていないので、引き続いてそれに対してターボスクリーニングを施してもスクリーンブラインディングが生じることはほとんどない。また、スクリーニングの後に残った物質は、(必要なら相応量の原材料と共に)成形することで、新たなトナー塊に再生することができる。サイクロン式のセパレータを使用せずにスクリーニングを行った場合、キャリアによってスクリーンが目詰まりしてトナー再生処理効率が非常に落ちることとなりうるが、本発明の実施形態ではそのようなことはほとんどない。
【0014】
図1に本発明に係る分離装置5の一実施形態を示す。本装置5はトナーキャリア混合物からトナーを分離させる装置であり、受容器45をサイクロン式セパレータ10で覆った構成を有している。セパレータ10の下端には、セパレータ10と共に受容器45のカバー20を構成する昇圧リング15が装着例えば溶接されている。このリング15は例えば約0.15〜0.25bar程度気圧を高める装置である(1bar=105Pa)。また、図2はその内部を示すためセパレータ10を裏返して描いた図であり、この図から看取できるように、カバー20の内側にはリング15の内周面沿いにトンネル50が形成されている。トンネル50の内部は環状のプレナム65となっている。更に、図3に示すように、このトンネル50の外側周面に沿ってスリット25が形成されている。図3は、リング15の内壁のうちトンネル50の入口60・出口55間に位置する部分が見えるよう、図2とは180°異なる方向から描いた図である。スリット25はリング15内とプレナム65とを連通させる開口になるよう形成されているので、リング25からスリット25を介してプレナム65内に達する気流が発生しうる。発生する気流即ち高圧噴出気流の方向はプレナム65における主気流方向に対して直交している。更に、このトンネル50の入口60はカバー20を貫きセパレータ10の入口30に通じており、また同トンネル50の出口55はセパレータ10の室内に開口している。そして、カバー20には、セパレータ10の入口30の他にセパレータ10の出口35が形成されており、当該出口35はターボスクリーナ等のスクリーニング装置に通流している。従って、本装置5を通過した物質は出口35を介してスクリーニング装置に運ばれていき、そのスクリーニング装置によるスクリーニングで更にデブリが除去されることとなる。
【0015】
トナーキャリア混合物、例えばキャリアを含む廃トナーは、カバー20に形成された入口30を通る気流に乗って本分離装置5に送り込まれ、セパレータ10の一部を構成するトンネル50の中に入っていく。各種粒子群から組成される混合物を乗せてトンネル50内に流れこむこの気流を主気流と呼ぶ。主気流に乗ってトンネル50内に入った混合物はプレナム65内で遠心力の作用を受け、その混合物を組成している各種粒子群はプレナム65の外周寄り内壁面の方向に押されていく。なお、“外周寄り内壁面”とは内壁面のうちセパレータ10の中心部40から離れている方の面のことをいい、同じく“中心寄り内壁面”とは中心部40に近い方の面のことをいう。更に、このプレナム65には、リング15とトンネル50の仕切りに設けられたスリット25を介し昇圧リング15から高圧噴出気流が流入してくる。この気流は主気流に対して直交方向から吹き付けるので、主気流に乗って流れている軽いトナー粒子は同じ気流に乗っている重いキャリア粒子よりも大きく吹き飛ばされ、その結果としてトナーがキャリアから離れていく。
【0016】
即ち、トナー粒子より質量が大きいキャリア粒子はプレナム65の外周寄り内壁に割合近い場所を暫し周回し続けるが、それより質量が小さいトナー粒子は高圧噴出気流によってプレナム65内の中心寄り内壁方向に押しやられる。そのため、トンネル50の出口55を出て外周方向に寄っていく粒子は、その大半がキャリア粒子であり、カバー20の下方に連結されている受容器45例えばバレル内に沈降していく。他方、トンネル50の出口55を出てトンネル50から中心方向に寄っていく粒子は、その大半がトナー粒子であり、主気流に乗り出口35からカバー20を出て直ちにスクリーニング装置に入っていく。このように、昇圧リング15は、廃トナーをプレナム65に沿って循環させ更に昇圧空気の力でトナーをキャリアから分離させるキャリア分離ユニットとして機能している。
【0017】
本実施形態では、例えば約15:1〜1:2のトナー対キャリア比でトナーとキャリアが混ざっている混合物を処理することができる。但しこの数値は一例であり、本発明は、キャリアを含有する廃トナーからトナーを分離する、レプレニッシャに含まれているトナーを分離する等、一般に複数種類の粒子群が混ざっている混合物中の比較的重い粒子の集団から比較的軽い粒子の集団を分離して取り出す際に使用することができる。
【0018】
また、スリット25の幅は、例えば約0.1〜0.3mm、より好ましくは約0.2〜0.25mmにする。即ち、約0.1〜0.3mmの幅のスリット25を用いて本発明を実施することや、スリット25の幅を約0.25mmにし昇圧リング15による昇圧分を約0.15〜約0.25barにして実施することができる。
【0019】
更に、傾向としては、幅広のスリット25にて発生する高圧噴出気流の流速は低く、幅狭のスリット25にて発生するそれは高い。従って、粒子分離効率を高めるにはスリット25の幅を狭くする方がよいが、スリット25の幅ひいては昇圧リング15による昇圧分を設定する際には、セパレータ10乃至カバー20のサイズやその内部に流れる主気流の流量等も勘案する。即ち、高圧噴出気流が高速すぎるとトナーだけでなくキャリアもトンネル50の内側寄りに吹き飛ばされ、かなりの量のキャリアがトナーと共にターボスクリーナに送られてしまうので、キャリア粒子群中にとらわれて残るトナー粒子をほとんど全て内側に吹き飛ばせるがキャリアはほとんど吹き飛ばせない程度に高速な高圧噴出気流が生じるよう、スリット25の幅ひいてはリング15による昇圧分を設定する。
【0020】
図4に本発明に係る分離装置5の他の実施形態を示す。本実施形態におけるスリット25は複数個の縦スリット70から構成されており、またそれらの縦スリット70により昇圧リング15の全周に亘り格子75が形成されている。この縦スリット70は様々な形態で形成することができる。例えば、トンネル50の全高に亘り高圧噴出気流が主気流に作用するよう縦スリット70を形成することができる。また、縦スリット70からの高圧噴出気流の方向がプレナム65内主気流方向とは逆方向になるようにも順方向になるようにも縦スリット70を形成することができる。
【0021】
また、廃トナーの分離はトンネル50内を何周かする間に徐々に進行していく。従って、所望の分離度を実現するには、廃トナーがトンネル50に沿って所要回数以上、例えば約1〜5周程周回した後に、ターボスクリーナに吸い込まれるようにすればよい。本装置5内における周回回数次第では、廃トナー中のトナーのうち例えば約50〜70%程、工夫次第では100%近くを回収することができる。
【0022】
また、本発明はトナーキャリア混合物、例えばそのトナー対キャリア比が約15:1〜1:2の廃トナーからトナーを分離する方法として、実施することができる。本方法によれば、どのような種類のトナーキャリア混合物からもトナーを効率的に回収、再生することができる。そのため、本方法においては、まずトナーキャリア混合物を収集して分離処理に供する。分離処理工程では、その混合物例えば廃トナーから分離装置によってキャリアを分離、除外する。分離装置として使用するのは、サイクロン式のセパレータに昇圧リングを装着し、その昇圧リングの内周面上にトンネルを形成してトンネル内のプレナムに気流を通すようにした装置である。トンネル内のプレナムは、トンネルがセパレータ周沿いに形成されるため環状になる。そのプレナム内に入った気流はトンネルの出口からリターン渦流中に脱するに至るまで、即ちトンネルの全長に亘り、プレナム内に封じ込められる。従って、トンネル及びそのプレナムの長さは、例えばセパレータ周沿い角度範囲で270°以上、より好ましくは一周分から数周分に亘る長さにするとよい。セパレータ周沿いに何周かに亘り螺旋状のプレナムを延設する構成を採ることで、プレナムを長くして分離度を高めることができる。その場合、昇圧リングもプレナムに倣って螺旋状にする。
【0023】
また、昇圧リングとトンネルの仕切り上にはスリットを開口させておく。このスリットから入り込む高圧噴出気流によって、前述の通り、トナーはプレナムの中心寄り内壁面に寄っていき、それより大きくて重いキャリア粒子は、トンネルの外周寄り内壁面に沿って暫し流れた後に、カバーたるセパレータの下方に位置する受容器内に収集されていく。そのため、こうした分離処理工程をトナーが例えば約1〜5周する間続けると、キャリアが全く又はほとんどなくなる。こうしてトナーキャリア混合物からキャリアを好適に分離させたら、残った物質をスクリーニングしてその他の不要物体(デブリ)を除去する。このスクリーニングは例えばターボスクリーナ等のスクリーニング装置によって実行することができる。更に、そのスクリーニング後に残った物質を(必要なら所要量の原材料と共に)成形機にかけ、トナー塊を生成する。こうして得られたトナー塊を、例えばすり砕いて選別することで、トナー粒子を再生産することができる。
【実施例】
【0024】
上掲の形態にて本発明を実施する際には、例えばまず200リットルの容積を有する鋼製のバレルと、そのバレルに嵌め合わせてカバーにするサイクロン式のセパレータ10とを準備する。次いで、そのセパレータ10の内側に、例えば気圧を0.25bar高める昇圧リング15を装着してカバー20を形成する。このリング15の内側、リング15との仕切り上には、リング15内とトンネル50内のプレナム65とを通流させるための開口となる例えば0.2mm幅のスリット25を形成する(或いはしておく)。更に、約270°の長さを有するトンネル50がリング15の内周面に沿って且つこのスリット25に面して形成されるよう、トンネル形成部材をカバー20の内側に実装し、更にそのトンネル50をカバー20を貫く入口30に連結する。そうしたら、セパレータ10及びリング15からなるカバー20を、準備してある鋼製のバレル即ち受容器45上に嵌め付ける。そして、セパレータ10の出口35をターボスクリーナ(例えば米国ケンタッキー州フローレンス所在のSweco製のもの)のトナー送り管アップフロントに連結する。ターボスクリーナには吸引方向の気流を発生させるダウンストロームブロワが設けられており、分離装置5が連結されている状態でこのターボスクリーナを稼働させると送給用ロータリバルブからセパレータ10内に流れ込む気流が発生する。この気流は送給用ロータリバルブにてトナーキャリア混合物をピックアップし、空気もろともにセパレータ10内に引き込む。この気流即ち主気流が発生すると、セパレータ10内ではリング15からスリット25を介しプレナム65内に向かう高圧噴出気流がその主気流によって誘導発生し、トンネル50内の主気流に対して例えば直交方向から吹き付ける。ターボスクリーナによる主気流の流量が約450m3/時(流速では約25m/sec)なら、スリット25を介してリング15から供給される高圧噴出気流における昇圧分は約0.1〜0.3barにする。
【0025】
セパレータ10内の混合物中のトナーは高圧噴出気流によってキャリアから分離されてトンネル50の中心寄り内壁面に寄っていき、他方でキャリアはトンネル50の外側寄り内壁面に沿って暫し流れ続ける。キャリア粒子は重いのでやがてトンネル50から出て鋼製のバレル即ち受容器45内に沈降していく。これに対して、トナー粒子は軽いのでそのまま主気流に乗り続け、トンネル50を出てターボスクリーナ内に入っていく。
【0026】
この装置5を用いた分離実験の結果から、廃トナーをサイクロトロン式セパレータ10内で2周させた後にターボスクリーナに送り込むと、その廃トナー中のトナーのうち約70%を回収できることが判明している。
【符号の説明】
【0027】
5 分離装置、10 サイクロン式のセパレータ、15 昇圧リング、20 カバー、25 スリット、30 セパレータの入口、35 セパレータの出口、40 中心部、45 受容器、50 トンネル、55 トンネルの出口、60 トンネルの入口、65 環状のプレナム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量の粒子とそれより重い粒子の混合物から軽量の粒子を分離する方法であって、
(a)上記混合物を収集するステップと、
(b)その混合物から分離装置によって前記重い粒子を分離するステップと、
を有し、
更に、混合物から前記重い粒子を分離する際に、分離装置として、受容器を覆うサイクロン式のセパレータと、このセパレータに装着された昇圧リングと、その内部が環状のプレナムになるよう昇圧リングの内周面沿いに形成されておりその外側周面上に位置するスリットを介し昇圧リングに連通するトンネルと、を備え、昇圧リングからスリット経由でプレナム内に入る昇圧空気の作用で、プレナム内の流れがそのプレナムの中心寄り内壁面に沿った前記軽量の粒子の流れと外周寄り内壁面に沿った前記重い粒子の流れに分離して前記重い粒子が受容器に入っていき、その結果混合物から前記軽量の粒子が分離されるように構成された装置を、使用する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記スリットを経由した昇圧空気の方向はプレナムにおける主気流方向に対して直交している方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記スリットは複数個の縦スリットから構成されており、前記縦スリットにより前記昇圧リングの全周に亘り格子が形成されている方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記縦スリットを経由した昇圧空気の方向はプレナムにおける主気流方向と逆方向になっている方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、前記縦スリットを経由した昇圧空気の方向はプレナムにおける主気流方向と順方向になっている方法。
【請求項6】
軽量の粒子とそれより重い粒子の混合物から軽量の粒子を分離する装置であって、
受容器を覆うサイクロン式のセパレータと、このセパレータの内部に面するよう装着された昇圧リングと、その内部が環状のプレナムになるよう昇圧リングの内周面沿いに形成されておりその外側周面上に位置するスリットを介し昇圧リングに連通するトンネルと、を備え、
昇圧リングからスリット経由でプレナム内に入る昇圧空気の作用で、プレナム内の流れがそのプレナムの中心寄り内壁面に沿った前記軽量の粒子の流れと外周寄り内壁面に沿った前記重い粒子の流れに分離して前記重い粒子が受容器に入っていき、その結果混合物から前記軽量の粒子が分離される装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記スリットを経由した昇圧空気の方向はプレナムにおける主気流方向に対して直交している装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、前記スリットは複数個の縦スリットから構成されており、前記縦スリットにより前記昇圧リングの全周に亘り格子が形成されている装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記縦スリットを経由した昇圧空気の方向はプレナムにおける主気流方向と逆方向になっている装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置であって、前記縦スリットを経由した昇圧空気の方向はプレナムにおける主気流方向と順方向になっている装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−196673(P2012−196673A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118299(P2012−118299)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【分割の表示】特願2007−315355(P2007−315355)の分割
【原出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】