説明

輪状形成術用システム

【課題】輪状形成術用人工器官及び人工器官のホルダを含む輪状形成術用システムを提供する
【解決手段】好ましい実施形態では、ホルダが、上面、下面、及び概ね心臓弁の環の構成に対応する周方向表面を有する第1ホルダ構成要素を含む。輪状形成用人工器官が、周方向表面の隣に配置され、その周囲に少なくとも部分的に延在する。ホルダは、第1ホルダ構成要素に結合され、その上に延在する第2ホルダ構成要素も含むことが好ましい。少なくとも1つの下方向に延在する剛性の貫入部材が、第2構成要素に装着され、人工器官内に延在して、これを周方向表面の隣に保持する。周方向表面は、人工器官の下面に並んで延在し、人工器官が下方向に移動して貫入部材から離れることを防止する少なくとも1つの外側に延在する部材を含むことが好ましい。第2ホルダ構成要素は、貫入部材を人工器官から引き出し、ホルダから人工器官を取り外せるよう、第1ホルダ構成要素に対して上方向に移動可能であることが好ましい。他の実施形態も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に外科用ツール(tools)に、特に輪状形成術用(annuloplasty)リング及び帯などの人工器官との組合せで使用する外科用ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
輪状形成術用リング及び帯は、僧坊弁及び三尖弁輪状復位(tricuspid annular reduction)など、様々な外科用措置に有用である。これらの措置では、最初に縫合糸(sutures)を弁環(valve annulus)の全部又は部分に間隔をあけて配置する。弁環の復位が望ましい領域で環を通る縫合糸は、例えば4mmの間隔で相互から等間隔で隔置される。次に、この縫合糸を、例えば2mmなど、環を通る場合より小さい間隔の輪状形成術用リング又は帯に通す。縫合糸をリング又は帯に通すプロセスは、人工器官を弁環上に保持している間に実行する。次に、リングを下げて弁環と接触させ、環を収縮させて、弁環の周囲で復位を実行する。この基本的手順を使用して、僧坊弁及び三尖弁の両方の輪状膨脹を矯正する。
【0003】
縫合糸を輪状形成術用リングに通すために、リングは固定具又は何らかの流儀のツール内に保持することが望ましい。初期の一つのツールは、Pilling Instruments製で、ベース付近に周方向の溝を設けた錐体の一般的形状をとる。溝の周囲でリングを受けるためにツールを収縮できるよう、錐体には、長手方向のスリットも設けた。ツールは、ねじを切った取っ手によって保持するような構成である。
【0004】
より最近のホルダ設計が、米国特許第6,283,993号で開示され、ここでは人工器官を通る縫合糸を使用して、これをホルダの周方向溝に保持する。代替設計が米国特許第5,011,481号で開示され、これは人工器官をホルダ上に保持するためにこれを通る縫合糸と組み合わせて半径方向及び下方向に延在するフィンガを使用する。更に別の代替設計が米国特許第5,522,884号で開示され、ここでは調節用の縫合糸をリング内で締め付けて、これを収縮させ、ホルダ上の周方向溝に入れることにより、調節可能な輪状形成術用リングをそのホルダ上に保持する。輪状形成術用可撓性帯及びリングの例も、以上で引用した特許で開示され、それは全て参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,283,993号
【特許文献2】米国特許第5,011,481号
【特許文献3】米国特許第5,522,884号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、輪状形成術用人工器官で使用する改良型ホルダに向けられる。ホルダは、特に僧坊弁又は三尖弁復位技術を実行する際に外科医を補助するよう構成され、通常はすぐに使用できるようにしてある輪状形成術用リング又は帯と組み合わせて提供される。ホルダは、上面、下面、及び概ね弁環の形状に対応する外周面とを有する扁円リング構成要素の一般的形態をとる。人工器官は、この周面に少なくとも一部に延在し、縫合糸が人工器官を通る間、この表面に沿って着脱式に保持される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、縫合糸を通し、弁環の配置後に人工器官を解放する間、ホルダ上に人工器官を保持する機構を指向する改良点を提供する。幾つかの実施形態では、輪状形成術用リングを通る縫合糸によって、輪状形成術用リングをホルダに保持するのではなく、リングは、返し、ピン、ペグ、又は針などの下方向に延在する貫入部材によって保持され、これは輪状形成術用人工器官に入り、縫合糸が人工器官を通る間、これをホルダに保持する。これらの貫入部材は、金属又は成形したプラスチックで作成することができ、容易に外方向に偏向して、輪状形成術用人工器官がホルダから離れて外方向に動作できることがないほど十分に剛性である。貫入部材は、鋭利な先端又は比較的鈍い先端を有することができる。
【0008】
好ましい実施形態の幾つかは、2つの構成要素から成るホルダを使用し、ここで第1構成要素は、周囲に人工器官を装着する周方向の表面を含み、第2構成要素は貫入部材を担持する。これらの実施形態では、第1構成要素は通常、半径方向に延在する突起を含み、これは、第2構成要素が上方向に動作するまで、人工器官が下方向に動作して貫入部材から離れるのを防止する。これらの実施形態の幾つかでは、第1及び第2ホルダ構成要素が相互に保持され、他の実施形態では、相互から取り外すことができる。
【0009】
幾つかの実施形態では、第1及び第2ホルダ構成要素は、縫合糸が人工器官を通っている間、第1及び第2構成要素を相互に結合する1本又は複数の縫合糸によって相互に隣接して保持される。これらの実施形態では、第1及び第2構成要素は、これを相互に保持する1本又は複数の縫合糸を切断した後、相互に対して動作可能になる。他の実施形態では、輪状形成術用人工器官をホルダ上に維持するために、縫合糸を使用するが、ホルダ自体の構造に統合した切断機構を設けることにより、人工器官の解放が単純になる。第1及び第2ホルダ構成要素は、概ね剛性のプラスチックで成形することが好ましいが、場合によっては金属又は他の材料で作成してもよい。
【0010】
本発明の実施形態は概ね、縫合糸を人工器官に通している間に、輪状形成術用人工器官を保持し、リングを下方向で、弁環上の意図された位置へと動作させた後に、ホルダから解放するため、単純化され、より簡単に使用される機構を提供することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】縫合糸を輪状形成術用人工器官に通した後の先行技術の輪状形成術用人工器官及びホルダを示す図である。
【図2】先行技術の輪状形成術用人工器官ホルダの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による2つの構成要素から成る輪状形成術用人工器官ホルダの上から見た斜視図である。
【図4】第1及び第2構成要素が相互から分離された図3の実施形態の2つの構成要素の斜視図である。
【図5】輪状形成術用人工器官を除去した状態で図3の実施形態の第1構成要素の斜視図である。
【図6】図3の実施形態の一部を通る断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による2つの構成要素から成る輪状形成術用人工器官ホルダ及び関連する取っ手の斜視図である。
【図8】取っ手を除去した状態で図7の実施形態の上から見た斜視図である。
【図9】図7の実施形態の下から見た斜視図である。
【図10】図7の実施形態の下から見た斜視図であり、輪状形成術用人工器官を解放するために、第1構成要素から上方向に動作させた第2構成要素を示す図である。
【図11】図11Aは、図7の実施形態の第1及び第2構成要素の一部を通る断面図であり、人工器官とホルダ構成要素との相互接続を示す。図11Bは、図7の実施形態の第1及び第2構成要素の一部を通る断面図であり、人工器官とホルダ構成要素との相互接続を示す。
【図12】図12Aは、外科的修復措置と組み合わせた図7のホルダの使用を示す破断図である。図12Bは、外科的修復措置と組み合わせた図7のホルダの使用を示す破断図である。
【図13】本発明の第3の実施形態による2つの構成要素から成る輪状形成術用人工器官ホルダの上から見た斜視図である。
【図14】図13の実施形態の斜視図であり、輪状形成術用人工器官をホルダから解放するための第1構成要素に対する第2構成要素の上方向の動作を示す。
【図15】図13の実施形態の第1及び第2構成要素の一部を通る断面図であり、人工器官をホルダ上に保持する機構を示す。
【図16】図17で示したのと同じ第1及び第2構成要素の部分を通る断面図であり、第1構成要素に対する第2構成要素の上方向の動作、及び輪状形成術用人工器官の解放を示す。
【図17】本発明の第4の実施形態による2つの構成要素から成る輪状形成術用人工器官を上から見た斜視図である。
【図18】図19のホルダの実施形態の第1及び第2構成要素の分離を示す斜視図である。
【図19】輪状形成術用人工器官を除去した状態で図19の実施形態の第1構成要素を示す図である。
【図20】本発明の第5の実施形態による2つの構成要素から成る輪状形成術用人工器官ホルダの上から見た斜視図である。
【図21】図20の実施形態の下から見た第2の斜視図である。
【図22】第1及び第2構成要素が相互から分離した状態で、図20の実施形態の斜視図である。
【図23】輪状形成術用人工器官をホルダから外した状態で、図20の実施形態の第1構成要素の斜視図である。
【図24】本発明の第6の実施形態による2つの構成要素から成る輪状形成術用人工器官ホルダの上から見た斜視図である。
【図25】図25の実施形態から輪状形成術用人工器官を外したことを示す斜視図である。
【図26】本発明の第7の実施形態による2つの構成要素から成る輪状形成術用人工器官ホルダの上から見た斜視図である。
【図27】第1及び第2構成要素を相互から分離した状態の図26の実施形態を示す図である。
【図28】第1構成要素の構造のさらなる詳細を示すために、輪状形成術用人工器官を外した状態の図26の実施形態の第1構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、先行技術による2つの部片から成る輪状形成術用ホルダの斜視図である。特に、図示のようなホルダシステムは、2000年にMedtronic,Inc.によって出版された小冊子「Medtronic Duran Flexible Annuloplasty Systems In Service Guide」(出版番号UC200004685EN)に記載され、これは参照により全体が本明細書に組み込まれる。ホルダシステムは取っ手16を含み、これは金属又はプラスチックで作成してよく、幾つかの実施形態では、シャフトを手作業で再構成できるようにするため、可鍛性のシャフトを含んでよい。シャフトは、ホルダ自体にスナップ式に填め込み、これは硬質プラスチックで成形された2つの構成要素10及び12を含む。
【0013】
ホルダの上部構成要素10は透明で、テンプレートとして働き、弁三角の位置を示すマーク、及び輪状形成術用人工器官13の周囲に縫合糸を配置する際に補助する一定間隔のマークを含む。図示のように、人工器官の第1構成要素12は人工器官の第2構成要素10に着脱自在に固定され、輪状形成用人工器官13が、第1ホルダ構成要素12の周方向表面の周囲に装着される。
【0014】
図示のように、縫合糸14は、輪状形成術用人工器官を埋め込む従来の手法によると、弁環18を通り、上及び外方向へと人工器官13自体を通っている。次に、ホルダシステムを使用して、環18の上面に隣接して位置するよう、縫合糸に沿って人工器官13を下方向に移動させる。ホルダの第2構成要素10は、これを相互に保持する縫合糸を切断することにより、第1構成要素12から除去し、弁環に隣接して位置する第1ホルダ構成要素12の周囲に装着したリングを残すことができる。この図では見えないが、ホルダの第1構成要素12は大きい中心オリフィスを含み、したがって人工器官13がホルダの第1構成要素12上に残っている間に、心臓弁リーフレットの癒合を保証する試験を遂行することができる。Medtronic, Inc.が市販している特定の製品では、第1ホルダ構成要素12からの人工器官13の着脱性は、人工器官をホルダ上に保持する縫合糸の切断によって遂行された。
【0015】
図2は、取り付けた輪状形成術用人工器官13と組み合わせた、図1に図示のホルダの第1及び第2構成要素の断面図である。この図では、ホルダの第2構成要素10に、取っ手16(図1)と着脱式に係合するよう構成され、形成された窪み15を設けてあることが分かる。この図では、第1ホルダ構成要素12が概ね17で示した大きい中心開口部を画定することも分かり、第2ホルダ構成要素10を除去した後に、これを通して関連する心臓弁の作用を観察することができる。上述したように、構成要素10は、切断可能な縫合糸によって構成要素12に保持され、人工器官13は同様に、切断可能な縫合糸によって構成要素に装着状態で維持される。これらの縫合糸によって人工器官13をホルダの第1構成要素12に装着するには、手作業が必要であり、ホルダ及び人工器官を備えるシステムの生産の費用及び複雑さが高くなる。また、人工器官13を第1ホルダ12から解放するには、人工器官を第1ホルダ構成要素12に保持する縫合糸を複数回切断する必要があり、これで人工器官をホルダから解放する手順が複雑になる。
【0016】
図3は、本発明の第1の実施形態による2つの構成要素から成る輪状形成術用弁ホルダの上面からの斜視図である。ホルダは第1構成要素102を含み、その周囲に輪状形成術用人工器官104が装着され、第2構成要素100が、縫合糸106によって第1構成要素に着脱式に固定される。縫合糸106は、ホルダの第1及び第2構成要素の両方を通り、スロット107にて切断すると、第1及び第2構成要素を相互から解放する。第2構成要素は、図1に図示した取っ手16と対応する取っ手を着脱式に受けるため、図2で示したものに対応する形成された窪み108を含む。以下で検討する代替実施形態の場合と同様、窪み108は、取っ手に接続するためにスナップ留め、ねじ付きボア、又は他の機構で置換してよい。
【0017】
図4は、相互から隔置された図3のホルダの構成要素を、2つの構成要素の下から見た状態で示す。この図では、ホルダの第2構成要素100に、構成要素100の周囲の間隔をあけた位置で延在する一連の突出した返し又はピン114を設けることが分かる。使用時には、これらのバー又はピンが人工器官104内に貫入し、ホルダ104をホルダ上に保持する機構の一部を備える。これもリングの周囲に位置する突起112を設けて、第2ホルダ構成要素上の第1ホルダ構成要素102の位置合わせを補助する。以下で説明するように、第1ホルダ構成要素の変形を防止するために、長方形の突起110を設ける。縫合糸106が概略的に図示され、これが辿る路が、第2構成要素100に形成された穴を通り、第1構成要素に形成されたタブ124内を延在することを示す。使用時には、言うまでもなく縫合糸を締め付けて、構成要素を相互に隣接して保持し、縫合糸の端部を上部構成要素100に係留する。
【0018】
ホルダの第1構成要素102は、概ね開放リングの形態をとり、これは周囲に輪状形成術用人工器官104を装着した周方向の表面を有する。開放リングには、半径方向外側に延在する突起120を設け、これは人工器官104の下面に隣接して位置し、それに沿って延在する。図示のように、これらの突起は、ピン114の位置に対応する位置にあり、人工器官104がピン114を離れて下方向に移動することを防止する。第1ホルダ構成要素102によって画定された開放リングの端部には、内側に延在する突起122を設け、これは鉗子又は止血鉗子で把持することができる。これらの突起は、相互に向かって移動すると、ホルダ構成要素102の周囲を減少させ、突起120上の人工器官104の取り外しを容易にする。
【0019】
使用時には、人工器官104を第1構成要素102に装着し、第1構成要素を縫合糸106によって第2構成要素100の隣に固定する。この構成では、ピン114が、突起120の上の領域で人工器官104を通り、したがって人工器官104をピン114から離して下方向に移動させることができない。また、長方形の突起110を、第1ホルダ構成要素102の内側に向いた突起122の間に配置し、突起122が相互に向かって移動するのを防止し、第1構成要素102の周がこれに対応して減少することを防止する。
【0020】
外科的措置の間、図1で示したような縫合糸は、弁環から人工器官102を通って上昇し、ホルダの第1及び第2構成要素100、102は相互に隣接して配置され、人工器官104をホルダ上に保持する。輪状形成術用人工器官104が縫合糸に沿って下方向に滑動し、心臓弁の環の隣に配置された後、ホルダの第1及び第2構成要素102、100を接続する縫合糸106が切断され、これにより第2ホルダ構成要素100が第1ホルダ構成要素102から離れて上方向に移動することができる。第2ホルダ構成要素が上方向に移動した結果、ピン114が人工器官104から外れ、長方形の突起110が第1構成要素の内側に延在する突起122の間から外れる。これで、外科医は、突起122を鉗子又は止血鉗子で強く挟んで相互に向かって移動させることによって第1構成要素102の外周を減少させ、突起120上の人工器官104の取り外しを更に容易にすることができる。
【0021】
図5は、輪状形成術用人工器官104を除去した状態で、ホルダの第1構成要素100を示す。この図では、ホルダの第1構成要素が半径方向に突出した周方向のフランジ126を含むことが分かり、これは第1構成要素100に装着すると、輪状形成術用人工器官104の上面に沿って位置する。また、半径方向に延在するフランジ126に一連の穴123を設け、ピン114がこれを通ることも分かり、同様にこの特定の実施形態では、構成要素100に装着した場合に、人工器官の下縁に隣接して位置し、半径方向に延在する突起120にも、ピン114の下部先端を受ける穴121を設ける。
【0022】
第1及び第2構成要素と人工器官の構造的相互関係が、図6で更に詳細に図示され、これは人工器官104を取り付けた状態の構成要素100及び102の一部を通る断面図である。この図では、ホルダの第1構成要素102を第2構成要素100に隣接して配置すると、ピン114が構成要素102の半径方向に延在する上部フランジ126の穴123を下方向に通り、人工器官104を通って、輪状形成術用人工器官104の下面に隣接して延在し、半径方向に延在する突起120の穴121に入る。この機械的連結は、人工器官がホルダから外れるのを防止する。第1構成要素102に対して第2ホルダ構成要素100が上方向に移動すると、ピン114が引き出され、その後に輪状形成術用人工器官104を解放することができる。
【0023】
図示の特定の実施形態では、ピン114が人工器官104中を最後まで延在し、半径方向に延在する下部突起120の対応する窪み121に入る。他の実施形態では、ピン114を短縮することができ、これは最後まで延在するか、半径方向に延在する下部突起120に入る必要がない。ピン114が突起120まで延在するか、好ましくはその中に入ることは、上記で引用したMedtronicのパンフレットで例証されたようなDuran(登録商標)の人工器官の場合のように、輪状形成術用人工器官104の可撓性又は伸張性が非常に高い場合、特に望ましい。
【0024】
この特徴は、輪状形成術用人工器官104が、例えば全て参照により全体が本明細書に組み込まれ、Howanecその他に発行された米国特許第6,183,512号、Cosgroveその他に発行された米国特許第5,350,420号、又はLamその他に発行された米国特許第5,104,407号で説明されているように、概ね剛性であるか、伸張性がない人工器官である場合、それほど有利ではない。これらの特許に記載されているように、人工器官104は、含まれるプラスチック又は金属の引っ張り補強材又は成形プラスチック又は金属インサートによって伸張性をなくすことができる。
【0025】
図示のような人工器官104は、輪状形成術用リングの形態をとることができるが、ホルダは帯とともに使用してもよい。このような場合、ピン114は、その端部に隣接した帯を通るよう配置することが好ましい。
【0026】
図7は、取っ手209を取り付けた状態の本発明による2つの構成要素から成るホルダの第2の実施形態の斜視図である。この実施形態では、輪状形成術用人工器官204を第1ホルダ構成要素202の外周表面に対して装着し、これは第2ホルダ構成要素200に当てて保持される。第2ホルダ構成要素200には、スナップ取り付け具210が設けられ、取っ手209の端部にあるピンと係合する。スナップ取り付け具は、取っ手209と接続するために、ねじ付き窪み又は他の機械的機構と置換してよい。
【0027】
スナップ取り付け具210は着脱式ベース211に装着され、これはベース211に捕捉された縫合糸213によって構成要素200のクロスバー208に保持される。取っ手209及びベース211は、スロット215にて縫合糸213を切断した後、一緒に取り外される。縫合糸206は、構成要素202の隣に構成要素200を保持する。縫合糸206は、溝207及び205の近傍で構成要素200に締結される。溝207にて切断すると、構成要素200は解放されて、構成要素202に対して上方向に移動し、以下で更に詳細に説明するように、輪状形成術用人工器官204を解放する。
【0028】
この図では、構成要素200及び202を備えるアセンブリを通して有意の開口部が画定され、これによって弁リーフレットの癒合を試験することができる。構成要素200の縁部とクロスバー208の間で開口部を延在する縫合糸206の部分を使用して、図12A及び図12Bに関連して更に詳細に検討するように、損傷した腱索を有するリーフレットを修復する際に外科医を補助することができる。
【0029】
図8は、図7で示したようなホルダ構成要素202及び200及び人工器官204の上から見た斜視図であり、縫合糸213を切断した後に取っ手209及びベース211を取り外すことを示す。図示のような好ましい実施形態は、取っ手を装着した比較的小さいベース211を使用するが、代替実施形態では、切断可能な縫合糸によって構成要素200に保持され、図1及び図2に関して検討したようなテンプレートで、ベース211を置換することができる。あるいは、ベース211を省略し、代わりにスナップ取り付け具210をクロスバー208の一部として形成することができる。
【0030】
図9は、輪状形成術用人工器官204と組み合わせた第1及び第2ホルダ構成要素202及び200の下からの図である。数字を付けた要素は、図7のそれに対応する。この図では、第1及び第2ホルダ構成要素202、200を相互にぴったり隣接して保持するための縫合糸206の経路指示を、更に示す。縫合糸206は、1つしか見えていないノット201によってその周囲の隣で構成要素202に締結される。次に、縫合糸206の自由端が、構成要素200を通って上方向に延在し、スロット207(図7)を通り、L字形スロット221に沿って構成要素200を通って下方向に戻り、構成要素202を通る開口を介してクロスバー208のスロット229へと延在する。次に、縫合糸206はクロスバー208を通って上方向に通り、スロット205(図7)に沿ってクロスバー208を通って下方向に戻り、ノット203で締結され、これをクロスバーに保持する。
【0031】
作動中は、人工器官の第1及び第2構成要素は、図3から図6で図示されて上記で検討したホルダの第1及び第2構成要素と同様の流儀で働く。第1及び第2ホルダ構成要素202、200を、図示のように相互にぴったり隣接して配置した場合、構成要素200から下方向に延在するピン214(本図では見えない)が人工器官204を通って延在する。突起220は、人工器官204の下面に隣接した第1ホルダ構成要素202から半径方向外側に延在し、人工器官が下降してピン214から外れることを防止する。
【0032】
この機械的相互関係を、図10及び図11Aで更に詳細に図示し、以下で検討する。解放すると、構成要素200は、ピン214を人工器官204から引き出すのに十分なほど上方向に移動することができる。突起220は、構成要素200が上方向に移動した後、内側に屈曲して、人工器官204の取り外しを促進できるよう構成される。この機構は、図10及び図11Aに関しても更に詳細に検討する。ホルダ構成要素200及び202は、図12Bに関連して更に詳細に説明するホルダの領域224で、相互作用するタブ及び溝によって相互に機械的に捕捉される。
【0033】
図10は、輪状形成術用人工器官204と組み合わせて第1及び第2ホルダ構成要素202及び200の下からの図である。数字を付けた要素は、図7から図9のそれに対応する。この図では、縫合糸206がスロット207にて切断され、これによりホルダ構成要素200をホルダ構成要素202から上方向にわずかに移動させることができる。ホルダ構成要素200は、ピン214を人工器官204から引き出すのに十分なほど上方向に移動している。人工器官204は、突起220上で取り外され、これを弁環に隣接した位置に残す。この図では、ピン214が、構成要素202の上縁に隣接して位置する周方向フランジ226の開口又は中断部223を通して延在することが分かる。図11Aで更に詳細に図示するように、構成要素200の周方向壁228が突起220の上方向に移動し、もはや内側への動作を防止しなくなった後、突起220は内側に旋回し、ホルダからの人工器官204の取り外しを促進することができる。
【0034】
図示の特定の実施形態では、ピン214が人工器官204を通して最後まで延在し、半径方向に延在する下部突起220の対応する穴221に入る。他の実施形態では、ピン214を短縮することができ、これは最後まで延在するか、半径方向に延在する下部突起220内に延在する必要がない。以上で検討したように、ピン214が突起120へ、又は好ましくはその中へと延在すると、輪状形成術用人工器官204の可撓性又は伸張性が非常に高い場合、特に望ましく、輪状形成術用人工器官204が概ね剛性であるか、伸張性が低い人工器官である場合、それほど有利でない。図示のような人工器官204が輪状形成術用リングの形態をとる場合、ホルダは帯とともに使用してもよい。このような場合、ピン214は、その端部の隣で帯を通るよう配置することが好ましい。
【0035】
図11Aは、第1ホルダ構成要素200、第2ホルダ構成要素202及び人工器官204の組合せの一部を通る断面図を示す。この図では、第2ホルダ構成要素が上方向に移動する前の状態を示す。ピン214は、上部構成要素220の外側に延在するフランジ226(図10)の開口部223を通り、人工器官204を通って延在して、突起220の穴221にて終了する。外側に延在する突起220は、人工器官204が下方向に移動してピン214から離れることを防止する。第1構成要素200の厚さは、219で減少させて蝶番ポイントを画定し、周方向壁228の上方向の動作が生じた後に、突起220が内側に旋回できるようにすることが好ましい。
【0036】
図11Bは、第1及び第2ホルダ構成要素202、200及び人工器官204を備えるアセンブリの一部の断面図を示す。この断面図は、図9及び図10で示した領域224の一つを通して見たものである。ホルダ構成要素200及び202は、溝215内に滑動自在に配置された突起又はタブ213によって相互に保持され、これによって溝215の下端217が突起213と接触するまで、第2構成要素200が上方向に移動することができる。この機構は、第2ホルダ構成要素200の上方向の移動を制限し、第1及び第2ホルダ構成要素200、202を図10で示すように相互に保持する。
【0037】
図12A及び図12Bは、輪状形成術用人工器官の配置と組み合わせて時々実行されるような破損腱索(腱)の外科的修復との組合せで、縫合糸206の使用を示す破断図である。関係のある基本的手順が、Journal Of Cardiovascular Surgery(1999;14:471-481)で発表されたDuranの論文「Surgical Techniques For The Repair Of Anterior-Mitral Leaflet Prolapse」に記載され、これは参照により全体が本明細書に組み込まれる。図12Aで示すように、二重アーム(double-armed)の縫合糸252を最初に外科用綿撒糸258によって乳頭筋256に取り付ける。あるいは、Duranの論文に記載されているように、複数の腱を交換すべき場合、縫合糸のループを乳頭筋に取り付け、1つ又は複数の弁リーフレット(leaflet; 小葉)に取り付けるために複数の二重アームの縫合糸がループを通る。縫合糸252は、破損した腱255を置換するよう意図される。縫合糸252の自由端は、上方向に通り、破損した腱によって以前は乳頭筋256に取り付けられていた弁リーフレット250の縁部に縫合される。
【0038】
上記で引用したDuranの論文に記載されているような手順では、ノット254(knot; 結び目)の適切な配置を決定するためのリーフレット250の高さ調節、リーフレット250への縫合糸252の結合は、適切なリーフレットの高さを調節するためにリーフレットを通り、鉗子によって上方向に保持された追加の縫合糸によって遂行された。本発明に関して、輪状形成術用人工器官204を下方向に移動させ、弁環に縫合した後、ノット254が締結される適切なポイントを決定するガイドとして縫合糸206を使用し、リーフレット250が隣接するリーフレット251と適切に癒合することを保証する。
【0039】
ノット254は一連のノットを備え、第1ノットは縫合糸206の周囲に締結される。残りのノットは、その後に締結する。このタイプの1つ又は複数の修復は、破損した腱の数に応じて、輪状形成術用人工器官ホルダを通る開口部に延在する縫合糸206の部分に沿って実行される。上記の図7から図9で図示したような実施形態では、縫合糸206が輪状形成術用人工器官ホルダを通る開口部を横断するにつれ、その路は、僧坊弁のリーフレットの癒合線をほぼ近似し、この特定の手術におけるその使用を促進するよう意図される。縫合糸206にとって他に可能な経路は、他に可能な弁修復手術との組合せで置換することができる。
【0040】
図12Bは、縫合糸252を弁リーフレット250に係留するためのノット254の生成を更に詳細に示す。この図では、縫合糸252の自由端の一方が、弁リーフレットを通って上昇し、弁リーフレットの縁部を取り巻いて再びリーフレットを通るが、他の自由端は、単に弁リーフレットを通って上昇することが分かる。自由端は、縫合糸206の周囲で相互に結び合わされ、縫合糸252を弁リーフレット250に安全に係留するために十分な数のノットが提供されるまで、一連のノットが継続される。
【0041】
リーフレットの修復が終了した後、以上で検討したようにスロット207(図7)にて縫合糸206を切断し、輪状形成術用ホルダ構成要素200が構成要素202(図10)に対して上昇し、人工器官204を解放できるようにする。これにより、ホルダアセンブリが上昇して弁環から離れるにつれ、縫合糸206の切断端部を1つ又は複数のノット254を通して引っ張ることができる。縫合糸206は、上記で検討した修復措置を促進するために好ましい機構を提供するが、外科的修復が終了した後、ノット254からこの構造を取り外すために措置をとるなら、他のタイプの引っ張り部材又は棒又はバーなどのより剛性の部材を含め、他の構造でこれを置換することが可能である。
【0042】
図13は、本発明による2つの構成要素から成る輪状形成術用人工器官ホルダの第3の実施形態の斜視図である。図13のホルダは、上記で検討したホルダの動作と同様の流儀で動作し、第2ホルダ構成要素300から下方向に延在して人工器官304に入る返しによって、第1ホルダ構成要素302の周方向外面に隣接して輪状形成術用人工器官304を維持する。第1及び第2ホルダ構成要素302及び300は、タブ301の開口部306を通って第1ホルダ構成要素302から上方向に延在する縫合糸(本図では図示せず)によって、相互に隣接して保持される。人工器官304の下面の隣で第1ホルダ構成要素302から半径方向外側に延在する周方向の隆起320によって、人工器官304が下方向に移動し、第2ホルダ構成要素300から下方向に延在する返しから離れることが防止される。様々な構成要素の相互関係を、図17及び図18で更に詳細に図示し、以下で検討する。
【0043】
図14は、出っ張り301(図13)を通して延在する縫合糸を切断して、第2ホルダ構成要素300が第1ホルダ構成要素302から上方向に移動できるようにした後の第1及び第2ホルダ構成要素302及び300を示す。この構成で、輪状形成術用人工器官304に入る返しを、次に人工器官から外し、第1ホルダ構成要素302の周方向外面から人工器官304を外せるようにする。この動作を図15及び図16で更に詳細に図示し、以下で検討する。
【0044】
図15及び図16は、第1及び第2ホルダ構成要素302及び300及び人工器官304を備えるアセンブリの部分を通る断面図である。この図は、タブ301の近傍でアセンブリを通って切り取られ、タブの開口部306を通って、第1構成要素に対する第2構成要素300の上方向の動作を防止する縫合糸309を示す。下方向に延在する返し314は、第2ホルダ構成要素300から下方向に延在して、輪状形成術用人工器官304に入り、これは人工器官304の下縁の隣に配置されて半径方向に延在するフランジ320によって、返し314に対して下方向への動作が防止される。返し314は、間隔を置いて配置され、構成要素301の周囲に延在する。
【0045】
人工器官が図示のように帯である場合は、突起314をその端部付近で帯と係合するよう配置することが望ましい。突起は人工器官を通って隆起320まで延在しないので、図示されたようなこの実施形態は、上述したように伸張性がない輪状形成術用帯で最も有用になる。しかし、図示のような実施形態は、多少伸張性がある輪状形成術用リング又は帯でもなお有用である。あるいは、隆起320に到達するか、それに入るよう返し314を延長すると、ホルダは伸張性のある帯及びリングにとって更に有用になる。
【0046】
第1及び第2ホルダ構成要素302、300は、第2ホルダ構成要素300内に形成されたボア307内に位置して上方向に延在する返し305を備える機構によって、相互に保持される。第2ホルダ構成要素300の上方向の動作は、返し305がボア307の下面と係合すると終了する。図16は、第1ホルダ構成要素302に対する第2ホルダ構成要素300の動作の上限を示す。図16でラベルが付いた全ての要素は、図15のそれに対応する。
【0047】
図17は、本発明による2つの部片から成る輪状形成術用人工器官ホルダの第4実施形態の上面から見た斜視図である。この場合、人工器官404は第1構成要素400の周方向表面の周囲に装着され、これはスロット407で切断可能な縫合糸406によって第2構成要素402に着脱式に固定される。この実施形態では、第2構成要素402は、上記の図1及び図2に関連して説明した先行技術のMedtronicの人工器官と関連して検討したものと同様の流儀で、単にテンプレートとして働き、第1構成要素400への人工器官404の保持には関与しない。第2構成要素402には、図1の取っ手16に対応する取っ手と着脱式に係合するため、開口408を設ける。
【0048】
図18は、図19のホルダアセンブリの上面からの斜視図であり、第1、第2ホルダ構成要素402、400の相互関係、及び縫合糸406による相互接続を概略的に示す。言うまでもなく、組み付けると、縫合糸406が引っ張られて、第1及び第2構成要素を相互にしっかり保持し、その端部が第2ホルダ構成要素400内に捕捉される。この図では、第1ホルダ構成要素402には、下方向に延在するピン(本図では見えない)を担持して外側に延在する周方向の上縁403が設けられていることが分かり、ピンは人工器官404内に貫入し、これを第1ホルダ構成要素402上に保持するのを補助する。人工器官404を保持する機構を、図21で更に詳細に示す。
【0049】
図19は、人工器官404を除去した状態で構成要素の下側から見た第1ホルダ構成要素402の斜視図である。この図では、半径方向フランジ403から下方向に延在するピン414が設けられていることが分かる。半径方向に延在する突起420も設けられ、これはホルダの周方向表面に装着されると、人工器官404の下面と並んで第1構成要素402から外側に延在する。この実施形態では、突起420が複数のピン414のうち対応するそれと正反対に位置していないが、それでもホルダの第1構成要素402に装着した人工器官404を維持するために、同様の流儀で作用する。
【0050】
本発明のホルダのこの特定の実施形態は、帯の端部405の付近でピン414を人工器官404に埋め込んだ状態で、輪状形成術用帯で使用するのに特に適している。第1ホルダ構成要素からの帯の取り外しは、最初に帯404の端部405を、帯の端部の隣でピン414から離すことにより遂行される。これで、帯は隣接する突起420上及びその周囲で外側に延在することができ、これに対応する残りのピン414及び突起420からの帯の取り外しが、同様の流儀で遂行される。
【0051】
ピン414が人工器官を通って突起420まで延在しないので、図示のようなこの実施形態は、上述したように伸張性がない輪状形成術用帯に最も有用となる。しかし、図示のような実施形態は、多少伸張性がある輪状形成術用リング又は帯でもなお有用である。
【0052】
図20は、本発明による2つの構成要素から成るホルダの第5実施形態の斜視図である。本発明のこの版では、人工器官504は第1構成要素502の周方向外面の周囲に装着されるが、人工器官自体に貫入するピン又は他の構造を必要としない機構によって保持される。以上の実施形態と同様に、第2ホルダ構成要素500は、スロット507にて切断可能な縫合糸506によって第1ホルダ構成要素502に固定され、これによって図3から図6で図示した実施形態との関連で上記で検討したものと同様の方法で、第2ホルダ構成要素500を解放し、第1ホルダ構成要素に対して第2ホルダ構成要素を上方向に移動することができる。第2構成要素500には、下方向に延在するフィンガ514を設け、これは第1構成要素502上の突起(本図では見えない)との組合せで作用し、人工器官504をホルダに保持する。人工器官を維持するホルダ及び機構の構造を、図21から図22で更に詳細に示す。
【0053】
図21は、図20のホルダの下面を示す斜視図である。この図では、縫合糸506がタブ524の穴を通り、上記で検討した流儀で第1及び第2構成要素502、500を相互に保持することが分かる。この図では、第1ホルダ構成要素502が、上記で検討した図3から図6に示した実施形態の第1ホルダ構成要素102の構成と概ね対応することも明白である。第1構成要素502は、開放端に隣接して内側に延在する突起522を設けた開放リングとして同様に構成し、これは第2構成要素500から下方向に延在する長方形の突起510によって相互に向かう動作が防止され、突起520が相互に対して動作するのを防止する。
【0054】
人工器官504は、第1ホルダ構成要素502の周囲に隔置された、下方向に延在するフィンガ514と半径方向に延在する突起520との相互作用によってホルダアセンブリに維持される。第1及び第2構成要素が相互に隣接する状態で、下方向に延在するフィンガが、第1構成要素502の周方向外縁から人工器官504が外側に離れるのを防止し、人工器官504の下面に隣接して外側に延在する突起520が、フィンガ514から人工器官が下方向に離れるのを防止する。上記の図3から図5に示した実施形態との関連と同様、縫合糸506を切断すると、第2ホルダ構成要素502が上方向に移動し、第1ホルダ構成要素502の内側に向いた突起522の間から長方形の突起510を外すことができる。
【0055】
第1及び第2構成要素及び人工器官のシステムは、図22では第2構成要素が上方向に移動して第1構成要素から離れた状態で図示され、ここでは数字を付けた要素は、上記で検討した図20及び図21で図示したそれに対応する。第2構成要素500を第1構成要素502から外すと、内側に向いた突起522を鉗子又は止血鉗子で強く挟んで、第1ホルダ構成要素の外周を減少させ、人工器官の取り外しを促進することができる。人工器官504を外した状態の第1構成要素を図23に示す。数字を付けた要素は全て、図21から図22で示したそれに対応する。
【0056】
図示のような本発明のこの特定の実施形態は、輪状形成術用リングとの組合せで最も有用であるが、輪状形成術用帯との組合せでも有用である。輪状形成術用帯と一緒に使用する場合、何らかの種類の貫入部材を有効に追加し、上記で検討したように、その端部に隣接した人工器官と係合するよう配置することができる。
【0057】
図24は、本発明の第6の実施形態による2つの部片から成るホルダの斜視図である。図24の実施形態は、上記で検討して図20から図23に図示した実施形態のそれと同様の流儀で作用し、主な違いは、第2ホルダ構成要素600に、上記で検討して図22の514で示したような下方向に延在するフィンガを設けないことである。第1構成要素600は、スロット607にて切断可能な縫合糸606によって最初に第2構成要素602の隣に保持し、これは上記で図22との組合せで検討した切断可能な縫合糸506と同様の流儀で作用する。上記で検討した第1構成要素502と同様に、第1構成要素602は、その端部の隣に内側への突起622を有する開放リングの形態をとる。突起622は、内側に押し込んで第1ホルダ構成要素602の外周を減少させ、人工器官604の取り外しを促進することができる。
【0058】
この図では見えないが、第2ホルダ構成要素600に、下方向に延在して、図21で示したような突起510に対応する長方形の突起を設け、これが縫合糸608によって第1及び第2構成要素を相互に隣接して固定した場合に、突起622の内側への動作を同様の流儀で防止することを理解されたい。この図では、第1ホルダ構成要素602に、半径方向に延在し、人工器官604の上面に沿って延在する周方向のフランジ626を設けることも分かる。この図では、人工器官604の下面に隣接して第1ホルダ構成要素602から延在し、対応する第2の周方向フランジが見えない。人工器官604は、この上部フランジと下部フランジとの間に画定された溝内にあり、外科医が突起622及び624を相互に押し付けることにより、上記の図20から図23の実施形態に関連して検討したそれと対応する流儀で溝から解放される。
【0059】
図25は、輪状形成術用人工器官604を除去した状態の第1構成要素602を示す。この図では、内側に向いた突起622が相互に対して押し込まれ、人工器官を解放している。この図では、人工器官604が装着された第1構成要素602の周方向表面に延在する溝と同様、半径方向に延在する下部フランジ620も見える。
【0060】
図示のようなこの実施形態は、恐らく上記で検討したような伸張性がない輪状形成術用リングとの組合せで最も有用である。しかし、多少伸張性がある輪状形成術用リング、又はこれも上記で検討したような比較的剛性の輪状形成術用帯との組合せでも有用である。
【0061】
図26は、本発明による人工器官ホルダの第7実施形態の上面を示す斜視図である。この場合、第2構成要素700は、図24で示し、上記で検討した第2構成要素600に対応する。第2構成要素は、スロット717にて切断可能な縫合糸706によって同様の流儀で第1構成要素702に保持される。しかし、この実施形態では、第1ホルダ構成要素702が、特に上記で検討した図24から図25の実施形態に関連して例証したような閉じたリング人工器官ではなく、2つの端部705を有する帯の形態を取る輪状形成術用人工器官を配置するような構成になっている。この場合、帯の端部505を相互に向かって引っ張るために使用する縫合糸707を設け、これを第1構成要素702に保持するのに役立てる。人工器官704を第1ホルダ構成要素702上に維持する機構を、図27及び図28で更に詳細に示す。
【0062】
図27は、第2ホルダ構成要素700が上方向に移動して、第1ホルダ構成要素702から離れた状態の図26のホルダを示す。数字を付けた要素は全て、図28のそれに対応する。この図では、半径方向に延在し、人工器官704の上面に沿って外側に延在する上部フランジ726を第1ホルダ構成要素702に設ける。この図では、外側に延在し、第1ホルダ構成要素の下縁に沿って配置され、人工器官704の下面に並んでいる一連の突起が見えない。人工器官704は、縫合糸707によって上部フランジと下部突起との間に維持される。縫合糸707は、人工器官704の端部の隣で第1構成要素に係留され、その内面を通って人工器官に入り、その端面を通って出て、人工器官704の端部705間に位置する切断機構715を通る。
【0063】
上記で検討した図24及び図25の実施形態で示した第1構成要素602と同様、第1構成要素702は、開放リングの形態をとり、内側に向いた突起722を有する。図26から図28には図示されていないが、第1及び第2ホルダ構成要素702、700は相互に隣接して配置されているが、突起510(図21)に対応する第2構成要素700からの長方形の突起が、突起722間に配置され、第2構成要素が上方向に移動する前の縫合糸707の切断及び人工器官の解放を防止していることを理解されたい。第2構成要素700が上方向に移動した後、突起722を相互に向かって押し付けて、第1構成要素の周を減少させることができる。突起722が相互に向かって移動した後、切断器715が縫合糸707を切断する。
【0064】
切断器は、内側に延在する突起722に隣接して第1構成要素702から延在し、突起722を相互に向かって移動させると、相互に対して滑動するよう相互に重複した2つの長方形の突起709及び711の形態をとる。突起709及び711にはそれぞれ穴を設け、この図ではそのうち一方713のみ見える。通常の位置では、穴は相互に整列し、縫合糸707が穴を通過できるようにする。突起722が相互に近づくと、突起709及び711が相互に対して滑動し、これによって部材の対応する穴が相対的に移動し、縫合糸707を切断して、人工器官704を第1ホルダ構成要素702から解放する。切断後、縫合糸は第1ホルダ構成要素に取り付けられたままである。
【0065】
図28は、人工器官704を有する第1ホルダ構成要素702の斜視図であり、ホルダから外した状態で図示されている。数字を付けた構成要素は全て、図26及び図27に示したそれに対応する。この図では、通常は人工器官704の下面に隣接して配置され、半径方向に延在する突起720の構成を見ることができる。縫合糸707は、切断前のその経路をよりよく示すために、そのままの状態で図示されている。図示のような実施形態は、上述したように伸張性がない輪状形成術用帯で使用することが、おそらく最も望ましい。しかし、多少伸張性がある帯で使用してもよい。開示された通り、又は改造した切断器機構は、場合によっては人工器官を通る、又はその周囲を通る縫合糸によってホルダに維持された輪状形成術用リングのホルダで有用であることも考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪状形成術用システムであって、
上面、下面、及び心臓弁の環の構成に概ね対応する周方向表面を有する第1ホルダ構成要素を備え、第1ホルダ構成要素が更に、減少した周を呈するために変形可能である少なくとも1つの外側に延在する部材を備え、更に、
外側に延在する部材が人工器官の下面と並んで延在し、人工器官が下方向に移動して、第1ホルダ構成要素から離れることを防止するよう、周方向表面に隣接して配置され、少なくとも部分的にその周囲に延在する輪状形成術用人工器官と、
第1ホルダ構成要素に結合され、その上に延在し、第1ホルダ構成要素に対して上方向に移動可能であり、自身が上方向に移動するまで第1ホルダ構成要素の変形を防止する手段を備える第2ホルダ構成要素とを備え、
前記第2ホルダ構成要素は、第1ホルダ構成要素の隣に着脱式に固定される、システム。
【請求項2】
前記第2ホルダ構成要素は、切断可能な縫合糸によって第1ホルダ構成要素の隣に着脱式に固定される、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1ホルダ構成要素は、隔置された端部を伴う開放リングであり、前記第2ホルダ構成要素は、隔置された端部間に配置可能で、隔置された端部の相互に向かう移動及び第1ホルダ構成要素の周の減少を防止するように配置される突起を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記突起は第2ホルダ構成要素から下方向に延在し、第2ホルダ構成要素が上方向に移動すると、隔置された端部間の位置を出る、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの外側に延在する部材は、周方向表面に沿って配置された一連の隔置突起を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの外側に延在する部材は、周方向表面に沿って延在する1つの細長い突起を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの外側に延在する突起は、周方向表面に沿って延在する溝の下縁を備える、請求項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−297563(P2009−297563A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226555(P2009−226555)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【分割の表示】特願2003−577772(P2003−577772)の分割
【原出願日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】