説明

輸液ポンプ

【課題】 外径の異なる輸液チューブに対応可能な輸液ポンプを提供する。
【解決手段】 本体部と、開閉可能なドア部110とを備え、ドア部100が該本体部に対して閉状態となることで輸液チューブが該本体部に固定される輸液ポンプ100であって、前記本体部は、気泡検出用の送信部と、受信部と、前記送信部または前記受信部のいずれか一方が配された第1の規定部材と、押し付け位置と解放位置との間を回動可能な第2の規定部材と、前記第2の規定部材を前記解放位置方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記ドア部は、前記本体部に対して閉状態となった場合に、前記第2の規定部材を、前記押し付け位置方向に押圧する押圧部材を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、輸液バッグが接続された輸液チューブを複数のフィンガにより順次押圧することで輸液を行う蠕動式輸液ポンプ(以下、単に輸液ポンプと称す)が知られている。
【0003】
一般に、輸液ポンプは、各種操作部及び表示部が配された開閉可能なドア部と、輸液チューブを順次押圧するためのフィンガが送液方向に複数配列された本体部とを備えており、ドア部を開いた状態で、輸液チューブを本体部にセットし、ドア部を閉じることで、輸液チューブが輸液ポンプに固定される構成となっている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
ここで、輸液チューブを本体部にセットするための機構として、従来の輸液ポンプには、本体部の上方部に、輸液チューブ内の気泡を検出する気泡検出センサが内蔵された溝部が配されている。
【0005】
一般に、当該溝部は、輸液チューブと気泡検出センサとの間の距離を一定に保ち、かつ、固定された際に輸液チューブと溝部との間の隙間をなくすために、輸液チューブの外径に則した開口幅を有しており、これにより、当該気泡検出センサによる高い検出精度が維持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−58738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、溝部を、輸液チューブの外径に則した開口幅に固定した場合、外径の異なる輸液チューブに対応できないという問題がある。具体的には、溝部の開口幅よりも外径の小さい輸液チューブを使用した場合に、溝部の側壁部と輸液チューブとの間に隙間が生じ、輸液チューブ内の気泡を高精度に検出することができないという問題が生じる。また、外径の大きい輸液チューブを使用した場合に、溝部に輸液チューブをセットしにくい、あるいはセットできないという問題が生じる。
【0008】
このようなことから、外径の異なる輸液チューブを容易にセットでき、かつ、輸液チューブ内の気泡を検出センサが高精度に検出できるようにするための溝部が構成された輸液ポンプの提供が望まれている。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、外径の異なる輸液チューブに対応可能な輸液ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る輸液ポンプは以下のような構成を備える。即ち、
本体部と、開閉可能なドア部とを備え、該ドア部が該本体部に対して閉状態となることで輸液チューブが該本体部に固定される輸液ポンプであって、
前記本体部は、
前記輸液チューブ内の気泡の有無を検出するために、前記固定された輸液チューブに対して所定の信号を送信する送信部と、
前記送信部より送信された信号を受信する受信部と、
前記送信部または前記受信部のいずれか一方が配され、前記固定された輸液チューブの幅方向の位置を規定する第1の規定部材と、
前記送信部または前記受信部のいずれか一方が配され、前記第1の規定部材の内壁に対して前記固定される輸液チューブを押し付ける押し付け位置と、前記輸液チューブを前記第1の規定部材の内壁に対する押し付けから解放する解放位置との間を移動可能な第2の規定部材と、
前記第2の規定部材を前記解放位置の方向に常時付勢する付勢部材と、を備え、
前記ドア部は、
前記本体部に対して閉状態となった場合に、前記第2の規定部材を、前記押し付け位置方向に押圧する押圧部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外径の異なる輸液チューブに対応可能な輸液ポンプを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る輸液ポンプ100の外観構成の一例を示す図である。
【図2】輸液ポンプ100のドア部を開いた状態を示す図である。
【図3】輸液ポンプ100の溝部を含む断面構成を示す図である。
【図4A】輸液ポンプ100の溝部の断面構成の詳細を示す図である。
【図4B】輸液ポンプ100の溝部の断面構成の詳細を示す図である。
【図5】輸液ポンプ100の溝部に、異なる外径の輸液チューブを固定した様子を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る輸液ポンプ600の外観構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
1.輸液ポンプの外観構成
図1は、輸液チューブ160が固定された、本発明の一実施形態に係る輸液ポンプ100の外観構成の一例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、輸液チューブ160の送液方向上流側には、所定の薬液が収容された輸液バッグ161が接続され、また、送液方向下流側には、クレンメ(クランプ部材)162及び静脈刺針163が接続されている。そして、当該静脈刺針163が患者の静脈に刺針され、留置されることで、輸液バッグ161内の薬液が患者へと注入される。
【0016】
輸液ポンプ100は、不図示の本体部に開閉可能に取り付けられたドア部110を備え、ドア部110の表面には、各種情報が表示される表示部120と、操作スイッチ類が配列された操作部130と、ドアロックレバー140とが配されており、更に本体部の上面には動作インジケータ150が配されている。
【0017】
表示部120には、単位時間あたりの流量(送液速度)の設定値と実績値とが切り替えて表示される流量表示部121と、予定流量と積算流量とが切り替えて表示される予定量積算量表示部122と、各種アラーム情報が表示されるアラーム表示部123と、輸液チューブ160の閉塞圧力の設定レベルが「L」、「M」、「H」で表示される閉塞圧設定表示部124とが配されている。
【0018】
なお、アラーム表示部123には、更に、後述する気泡検出センサが、輸液チューブ160内の気泡を検出した場合に点灯する気泡検出表示部125と、輸液ポンプ100の内蔵バッテリの電圧が低下した場合に点灯するバッテリ電圧低下表示部126とが配されている。更に、輸液チューブ160の閉塞圧力が設定レベルに到達した場合に点灯する閉塞異常表示部127と、ドア部110が開状態になった場合に点灯するドア開状態表示部128と、輸液が完了した場合に点灯する完了表示部129とが配されている。
【0019】
一方、操作部130には、送液速度や予定流量を設定するためのアップダウンスイッチ131と、押圧されている間、設定された送液速度(mL/h)よりも高い送液速度での送液が可能となる早送りスイッチ132とが配されている。
【0020】
また、押圧されることで、輸液が開始される開始スイッチ134と、押圧されることで輸液が強制停止される停止スイッチ133と、本体部200の電源のON/OFFを指示するための電源スイッチ135とが配されている。
【0021】
なお、電源スイッチ135には、隣接して、商用電源または直流電源を使用する場合に点灯する電源ランプ136と、内蔵バッテリを充電中に点灯するとともに、内蔵バッテリの残量を表示するバッテリランプ137とが配されている。
【0022】
また、本体部の上面に配された動作インジケータ150には、輸液ポンプ100の送液状態を報知する機能が備えられており、送液中は緑色に回転点灯する一方、異常により送液が停止した場合には、赤色に点灯または点滅する。
【0023】
2.ドア部裏面及び本体部の構成
次に、輸液ポンプ100のドア部110裏面側の構成及び本体部200の構成について説明する。
【0024】
図2は、ドア部110が開状態である輸液ポンプ100の外観構成(輸液チューブ160がセットされていない状態の外観構成)を示す図である。図2において、201はドアベースであり、ヒンジ部202を介して本体部200の本体ベース211に回動可能に接続されている。これにより、ドア部110が本体部200に対して開閉自在となる。
【0025】
203はドアシールゴムであり、エラストマーにより形成され、ドア部110の閉状態において、本体部200の内部に薬液が浸入するのを防止する。
【0026】
206は溝部対向部であり、ドア部110が閉状態となった場合に、溝部212に対向する位置にくるように配されている。207は押圧部材であり、溝部対向部206上に配され、ドア部110が閉状態となった場合に、溝部212の幅方向の位置を規定する回動可能な側壁部(第2の規定部材、詳細は後述)を押圧する。これにより、回動可能な側壁部は、溝部212の幅方向の位置を規定する固定の側壁部(第1の規定部材、詳細は後述)に向かって回動し、固定の側壁部との間に挟持された輸液チューブ160を、固定の側壁部方向に押し付ける(なお、詳細は後述する)。
【0027】
204はバッファプレート機構であり、ドア部110の閉状態で、後述する複数のフィンガによって輸液チューブ160が順次押圧された際に、該輸液チューブ160の背面をドア部側から支持する。205は閉塞押え板であり、ドア部110の閉状態で、後述する閉塞センサとの間で輸液チューブ160を挟持する。
【0028】
一方、本体部200において、212は溝部であり、該溝部212を形成する各側壁部には、輸液チューブ内の気泡の有無を検出する気泡検出センサ(不図示)の送信部及び受信部が配されている。
【0029】
213はポンプ機構であり、輸液チューブ160を順次押圧し、圧閉する複数のフィンガ214−1〜214−5が送液方向に配列されている。
【0030】
215は閉塞センサであり、永久磁石と、該永久磁石の移動量をアナログ的に検出するためのピックアップとから構成されている。閉塞センサ215では、輸液チューブ160の閉塞状態に伴う内圧変化に応じて移動した永久磁石の移動量を検出することで、閉塞状態を検出する。
【0031】
216はチューブクランプ保持部であり、輸液チューブ160に取り付けられたクランプを保持するとともに、ドア部110が開状態となった場合に、当該クランプに対して、輸液チューブを一時的に圧閉するための押圧力を付加する。
【0032】
217は解除レバーであり、当該解除レバー217が操作されることで、チューブクランプ保持部216によるクランプに対する押圧力の付加が解除(つまり、クランプによる輸液チューブの圧閉が解除)される。
【0033】
218は規定部であり、輸液チューブ160が本体部200にセットされた際に、輸液チューブの幅方向の位置を規定する。219は、本体部200の下方部における輸液ポンプ100を持ち運ぶ際にユーザが把持するためのハンドルである。
【0034】
3.輸液ポンプの断面構成
次に輸液ポンプ100の溝部212を含む断面構成について説明する。図3は、輸液ポンプ100の溝部212を含む断面を上方から見た場合の構成(図2のA−A断面の構成)を示す図であり、図3(a)は、ドア部が開状態にある場合を、図3(b)は、ドア部が閉状態にある場合をそれぞれ示している。
【0035】
図3(a)に示すように、ドア部110はヒンジ部202を回転中心として矢印310方向(本体部200の本体ベース211に略直交する方向、すなわち閉方向)に回動することで、閉位置に移動する。また、上述したようにドア部110上であって、本体部200の溝部212に対向する位置には、溝部対向部206が設けられ、当該溝部対向部206上には、更に押圧部材207が取り付けられている。
【0036】
ドア部110が閉状態となると、押圧部材207は回動可能な側壁部(後述)を押圧し、固定の側壁部(後述)方向に移動させる。これにより、溝部212にセットされた輸液チューブ160は固定の側壁部方向に押し付けられ、輸液チューブ160は本体部200の溝部212に隙間なく固定されることとなる(図3(b))。
【0037】
4.輸液ポンプ100の断面構成の詳細
次に、輸液ポンプ100の溝部周辺(図3の領域300)の詳細構成について説明する。図4A、図4Bは、輸液ポンプ100の溝部212の断面構成を詳細に示す図である。
【0038】
このうち図4Aの(a)は、ドア部110が開状態にある場合の、溝部212の断面構成を示している。図4Aの(a)に示すように、溝部212は、セットされた輸液チューブ160の背面側の位置を規定する背面部400と、背面部400に固定され、溝部212の幅方向の一方の位置を規定する固定の側壁部407と、背面部400に回動可能に取り付けられ、溝部212の幅方向の他方の位置を規定する回動可能な側壁部401とを備える。
【0039】
背面部400は更に回動軸402を有しており、矢印412方向に回動可能な側壁部401は当該回動軸402に軸支されている。また、固定ピン405を有しており、回動可能な側壁部401上の固定ピン404との間において、バネ等の弾性部材406を有している。これにより、回動可能な側壁部401は、矢印411方向に常時付勢されることとなる(つまり、弾性部材406は付勢部材として機能している)。
【0040】
この結果、ドア部110が開状態においては、固定の側壁部407と回動可能な側壁部401とにより形成される領域430(輸液チューブ160がセットされる領域)の幅は、L1となる。
【0041】
本実施形態の輸液ポンプ100において、幅L1は、輸液ポンプ100において使用される様々な外径の輸液チューブのうち、最大の外径よりも大きくなるように構成されているものとする。このため、図4Aの(a)に示す状態では、輸液チューブ160を領域430にセットしたとしても、輸液チューブ160は、回動可能な側壁部401から固定の側壁部407方向への押し付け力を受けることはない(以下では、回動可能な側壁部401の図4Aの(a)に示す位置を、「解放位置」と称する)。
【0042】
このため、ユーザは、輸液チューブの外径によらず、輸液チューブを溝部212に容易にセットすることができる。
【0043】
なお、固定の側壁部407には、気泡検出センサの受信部408が内蔵されており、回動可能な側壁部401には、気泡検出センサの送信部403が内蔵されている。
【0044】
図4Aの(b)は、ドア部110を閉方向に移動させた際の、押圧部材207が回動可能な側壁部401に当接する直前の様子を示している。図4Aの(b)に示すように、押圧部材207の先端部には、摺動部材409が押圧部材207に回動可能に取り付けられている。これにより、押圧部材207が回動可能な側壁部401の外壁410に当接した場合であっても、押圧部材207は、回動可能な側壁部401の外壁410上を滑らかに移動することができる。なお、押圧部材207が外壁410上を移動することで、回動可能な側壁部401には、矢印411方向の付勢力に対抗する、矢印413方向の回動力が発生する。
【0045】
図4Bの(a)は、矢印413方向に発生した回動力により、回動可能な側壁部401が回動軸402周りに回動している様子を示している。図4(B)の(a)に示すように、回動可能な側壁部401が回動軸402周りに回動することで、固定の側壁部407との間に形成される領域430は徐々に狭まっていく。
【0046】
図4Bの(b)は、ドア部110が閉状態にある場合の、溝部212の断面構成を示している。図4Bの(b)に示すように、ドア部110が閉状態となることで、溝部対向部206と背面部400とは略平行となる。また、固定の側壁部407の内壁と回動可能な側壁部401の内壁も略平行となる。このとき固定の側壁部407と回動可能な側壁部401とにより形成される領域430の幅は、L2となる。
【0047】
本実施形態の輸液ポンプ100において、幅L2は、輸液ポンプ100において使用される様々な外径の輸液チューブのうち、最小の外径と略等しいか、最小の外径よりも小さくなるように構成されているものとする。このため、図4Bの(b)に示す状態では、領域430に固定された輸液チューブ160は、固定の側壁部407と回動可能な側壁部401とにより、隙間なく挟持されることとなる(以下では、回動可能な側壁部401の図4Bの(b)に示す位置を、「押し付け位置」と称す)。
【0048】
この結果、送信部403より出射される気泡検出のための検出信号(例えば、超音波信号)は、回動可能な側壁部401の内壁と輸液チューブ160との間、及び、輸液チューブ160と固定の側壁部407の内壁との間においてほとんど減衰することなく、受信部408において受信されることとなる。つまり、外径の異なる輸液チューブが固定された場合であっても、高精度に気泡を検出することが可能となる。
【0049】
なお、閉状態にあるドア部110が開方向に回動すると、弾性部材406の付勢力により、図4Bの(b)→(a)→図4Aの(b)→(a)の順序で、回動可能な側壁部401が解放位置方向に回動し、ドア部110が開状態では、解放位置に到達する。
【0050】
5.実施例
次に、輸液ポンプ100の溝部212に、異なる外径の輸液チューブ160を固定した場合の例について説明する。図5は、輸液ポンプ100の溝部212に、異なる外径の輸液チューブ160を固定した例を示す図である。
【0051】
図5の(a)は、領域430にセットされた輸液チューブ160が、固定の側壁部407の内壁と押し付け位置における回動可能な側壁部401の内壁との間の幅L2と略等しい外径(例えば、外径3.3mm)を有する場合の、該輸液チューブ160の固定状態を示す図である。図5の(a)に示すように、輸液チューブ160が、固定の側壁部407の内壁と回動可能な側壁部401の内壁とにより隙間なく挟持されることで、送信部403から出射された検出信号は、回動可能な側壁部401と輸液チューブ160との間でほとんど減衰することなく直進することとなる。また、輸液チューブ160と固定の側壁部407との間でもほとんど減衰することなく直進し、受信部408において受信されることとなる。
【0052】
図5の(b)は、領域430にセットされた輸液チューブ160が、固定の側壁部407の内壁と解放位置における回動可能な側壁部401の内壁との間の幅L1よりも、やや小さい外径(例えば、外径4.5mm)を有する場合の、該輸液チューブ160の固定状態を示す図である。図5の(b)に示すように、輸液チューブ160が、回動可能な側壁部401により固定の側壁部407方向(押し付け位置方向)に押し付けられることで、輸液チューブ160は、背面部400方向及び溝部対向部206方向に変形する。なお、ドア部110の閉状態における、背面部400と溝部対向部206との間の距離は、変形した輸液チューブ160が収まる距離に設計されているものとする。
【0053】
この結果、輸液チューブ160は、固定の側壁部407の内壁と回動可能な側壁部401の内壁とにより隙間なく挟持されることとなり、送信部403から出射された検出信号は、回動可能な側壁部401と輸液チューブ160との間でほとんど減衰することなく直進することとなる。また、輸液チューブ160と固定の側壁部407の内壁との間でほとんど減衰することなく直進し、受信部408において受信されることとなる。
【0054】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る輸液ポンプ100では、溝部212を、固定の側壁部407と回動可能な側壁部401とにより形成する構成とした。
【0055】
また、回動可能な側壁部401を、解放位置方向に常時付勢するとともに、ドア部110が閉方向に回動された際には、ドア部110に取り付けられた押圧部材207が、回動可能な側壁部401を押し付け位置方向に押圧する構成とした。
【0056】
更に、回動可能な側壁部401が解放位置にある場合に、回動可能な側壁部401の内壁と固定の側壁部407の内壁との間の幅L1が、利用可能な輸液チューブの最大外径よりも大きくなるよう構成するとともに、回動可能な側壁部401が押し付け位置にある場合には、回動可能な側壁部401の内壁と固定の側壁部407の内壁との間の幅L2が、利用可能な輸液チューブの最小外径と略等しいか小さくなるよう構成した。
【0057】
この結果、輸液チューブの外径に関わらず、輸液チューブを溝部に容易にセットすることが可能となるとともに、高精度に気泡を検出することが可能となった。
【0058】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、回動可能な側壁部401に気泡検出センサの送信部を配し、固定の側壁部407に気泡検出センサの受信部を配する構成としたが、本発明はこれに限定されない。回動可能な側壁部401に気泡検出センサの受信部を配し、固定の側壁部407に気泡検出センサの送信部を配する構成としてもよい。
【0059】
また、上記第1の実施形態では、溝部212を形成する側壁部のうち、一方の側壁部のみを回動可能に構成したが、本発明はこれに限定されず、両方の側壁部を回動可能に構成してもよい。
【0060】
また、上記第1の実施形態では、溝部212を形成する側壁部のうち、一方の側壁部を、回動軸回りに回動するよう構成したが、本発明はこれに限定されず、直線の案内路上を平行に移動可能となるように構成してもよい。
【0061】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、輸液チューブ160が縦向きに固定される輸液ポンプについて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、輸液チューブが横向きに固定される輸液ポンプであってもよい。
【0062】
図6は、輸液チューブが横向きに固定される輸液ポンプの一例を示す図である。以下、輸液チューブが横向きに固定される輸液ポンプについて簡単に説明する。
【0063】
図6の(a)に示すように、ドア部620は、連結部621において送液部610と連結されており、矢印622方向に開閉可能に構成されている。
【0064】
ユーザインタフェース部630は、操作部630Aと表示部630Bとを備える。操作部630Aには、送液部610において送液を行う際に用いられる各種設定値を入力したり、送液の開始/終了等を指示するための操作スイッチや、輸液ポンプ600の電源のON/OFFを指示するための電源スイッチ等が配されている。
【0065】
また、表示部630Bは、操作部630Aより入力された各種設定値を表示したり、送液部610の送液状態を表示したりする。
【0066】
なお、本実施形態に係る輸液ポンプ600では、ユーザインタフェース部630が、ドア部620とは独立して配されているため、ドア部620の開閉状態に関わらず、ユーザは、表示部630Bを視認したり、操作部630Aを介して各種操作を行ったりすることができる。
【0067】
図6の(b)は、ドア部620の開状態を示しており、輸液ポンプ600のドア部620の裏面側の構成及び送液部610の構成が図示されているが、図2と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0068】
このように、上記第1及び第2の実施形態において説明した溝部212は、輸液チューブ160が縦向きに固定される輸液ポンプであっても、横向きに固定されるポンプであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
100:輸液ポンプ、110:ドア部、120:表示部、130:操作部、140:ドアロックレバー、150:動作インジケータ、160:輸液チューブ、206:溝部対向部、207:押圧部材、212:溝部、213:ポンプ機構、214−1〜214−5:フィンガ、215:閉塞センサ、216:チューブクランプ保持部、217:解除レバー、401:回動可能な側壁部、402:回動軸、403:送信部、404:固定ピン、405:固定ピン、406:弾性部材、407:固定の側壁部、408:受信部、409:摺動部材、410:外壁、430:領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、開閉可能なドア部とを備え、該ドア部が該本体部に対して閉状態となることで輸液チューブが該本体部に固定される輸液ポンプであって、
前記本体部は、
前記輸液チューブ内の気泡の有無を検出するために、前記固定された輸液チューブに対して所定の信号を送信する送信部と、
前記送信部より送信された信号を受信する受信部と、
前記送信部または前記受信部のいずれか一方が配され、前記固定された輸液チューブの幅方向の位置を規定する第1の規定部材と、
前記送信部または前記受信部のいずれか一方が配され、前記第1の規定部材の内壁に対して前記輸液チューブを押し付ける押し付け位置と、前記第1の規定部材の内壁に対する前記輸液チューブの押し付けを解放する解放位置との間を移動可能な第2の規定部材と、
前記第2の規定部材を前記解放位置の方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記ドア部は、
前記本体部に対して閉状態となる際に、前記第2の規定部材を、前記押し付け位置方向に押圧する押圧部材を備えることを特徴とする輸液ポンプ。
【請求項2】
前記押し付け位置において、前記第1の規定部材の内壁と前記第2の規定部材の内壁とは、略平行となることを特徴とする請求項1に記載の輸液ポンプ。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記ドア部が閉方向に移動する際に、前記第2の規定部材の外壁に当接することで、該第2の規定部材を前記押し付け位置方向に押圧することを特徴とする請求項1に記載の輸液ポンプ。
【請求項4】
前記第2の規定部材は、前記本体部に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の輸液ポンプ。
【請求項5】
前記信号は超音波信号であることを特徴とする請求項1に記載の輸液ポンプ。
【請求項6】
前記第1の規定部材の内壁と前記解放位置における前記第2の規定部材の内壁との間の距離は、前記輸液ポンプに固定されるべき輸液チューブの最大の外径よりも大きく、前記第1の規定部材の内壁と前記押し付け位置における前記第2の規定部材の内壁との間の距離は、前記輸液ポンプに固定されるべき輸液チューブの最小の外径と略等しいか、最小の外径よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の輸液ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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