説明

輸送コンテナの自己完結型検査装置および方法

ここに提供するのは、輸送コンテナ取扱施設で搬送中に輸送コンテナを検査するための自動世界規模輸送コンテナ検査システムのための新規な装置および関連する方法であって、この検査装置は、この輸送コンテナ内に位置する少なくとも一つの検出装置で、初期データセット、行先データセット、および一つ以上の中間データセットから成るグループから選択した少なくとも一つの比較データセットを受けるための電子通信手段を含むコンピュータ通信ネットワークに通じている検出装置を含む。この検査装置は、少なくとも一つの比較データセットが同じ輸送コンテナの他の比較データセットと実質的に不一致のとき、この輸送コンテナが検査不合格状態であることを判断するためにこの少なくとも一つの比較データセットに反応する手段を備える。この検査装置は、更にこの輸送コンテナの更なる検査が必要であることを示すためにこの検査不合格状態を受取ったことに反応する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年11月8日に提出した米国特許仮出願第60/986,411号および2008年4月3日に提出した第61/041,960号の優先権を主張し、それらの全内容を参考までにここに援用する。
【0002】
この出願は、閉鎖、自己完結型輸送コンテナを、とりわけ、禁輸品または輸送コンテナの内容物の弄り若しくは撹乱を検出する目的で検査するための装置および関連する方法を記述する。
【背景技術】
【0003】
鉄道、トラックまたは航洋船が使用する輸送コンテナの数は、毎年着実に増えている。国家安全保障および世界貿易保護のために数量が増えても通関港の処理能力を維持するための機能が向上したコンテナ検査技術が緊急に必要である。経済および労力の理由のために、コンテナは、そのコンテナおよびその内容物を検査のために貨物の流れから取出さねばならないことが非常に確実であるのでなければ、遅滞または開封すべきでない。
【0004】
永い間、世界の国々は、特定の国に損害をもたらそうとする者が、化学兵器、核兵器、および生物兵器を含む有害且つ危険な物質を、普通船舶、列車、およびトラックが運ぶものを含む輸送コンテナに隠すことによって、それらの国の港湾や国境に配送される危険に曝されていると言う認識があった。特定の国の港湾または国境でこれらのコンテナを検査するために種々の技術が使われている。
【0005】
国際貿易に於いて協同一貫輸送用コンテナを広範囲に及んで使うことは、これらのコンテナ内の種々の形の禁輸品が国境を越えて移動するのを防ぐことに関する重要な問題を提起する。そのような禁輸品は、関税の逃れるために不適切に記載した、他の点では合法的な物品のような比較的無害なものから、原子核的、放射線的、化学的または生物学的荒廃をさせ得る、大量破壊兵器を含む、爆薬および兵器にまで及ぶことがある。
【0006】
もし、反復作業によって発生する疲労および不注意の問題を検討するならば、特定の港湾またはターミナルを通過する全てのコンテナの完全手検査(開封、中味の取出し、検査、詰直し、および再封止)が有効だろう。しかし、貿易に対するその破壊効果は勿論、それが検査資源に課する負担がそのような検査の実行できる回数を制限する。
【0007】
現在、港湾検査官は、コンテナの内部を調査するために新しく開発されたX線およびガンマ線画像装置を使い始めている。典型的に、X線画像装置はコンテナの片側に位置する放射線源送出装置とこのコンテナの反対側に位置する放射線検出装置を要する。これは、コンテナを走査する間、職員をこの輸送機関から排除することを要する。これらの装置は、一般的にかなり大きく且つ嵩張り、コンテナをこれらの装置の間を通過させて走査しなければならない。これらの画像装置を使う際に固有の遅さのために、港湾検査官は、港湾に入ってくるコンテナのどれも皆は検査できず、それで彼らは、撮像するコンテナの選択を助けるために、訓練した犬、プロフィリング、および無作為選択のような従来の選別補助手段に頼らねばならない。
【0008】
現在の選別装置は、荷降し作業中に戦略的に船に隣接して配置する、常設ステーションか可動装置である。これらの装置の主な欠点は、費用が高く、荷降しプロセスが結果として遅れることである。1艘の船の荷降しのために4基ものクレーンを使うことが異常ではない。使用するクレーンの数に依って、標準の7,500の20フィート換算単位(“TEU”)のコンテナ船から1時間当り約350個のコンテナを荷降しして10〜12時間内にこの船の再出航準備を終えることが可能である。しかし、このX線装置の現在の技術は、この装置に1時間当り最大90個の選別を可能にし、および危険な荷物を識別するために十分な大きさのサンプルを取得するために長時間を要する嗅ぎ出し装置で同様な遅延が起る。これは、選別を待っている装置に大幅な遅延を生じることがあり、保管領域へ行くまたはこのターミナルを出る装置の移動を大いに妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
米国では、2002年のコンテナ安全保障イニシアチブ(CSI)に関連して2002年の海事保安法が米国の港湾に入るコンテナに詰めた貨物を爆発性および原子核装置に関連する潜在的に危険な貨物について選別することを要求する。現在、年間960万個以上の海事コンテナが米国の300以上の海港に到着するが、これらのコンテナの僅かな部分しか内容物を選別しない。これらのイニシアチブの結果として、種々の種類のX線または化学嗅ぎ出し装置を使ってこの貨物を選別できるように幾つかの異なる技術が開発されている。幾つかの変形を利用できるが、どの一つも全てを包含してこの検査プロセスに完全解を与えることが証明されていない。現在の選別装置は、X線画像または化学分析を提供して、危険な内容物のより正確な評価および認定ができる、このコンテナの貨物の実際の写真は提供しない。その上、現在の選別装置のどれも、最初に、信頼できる内容物データを提供するがごみおよび屑がコンテナに入るのを防ぐ方法でコンテナを内部評価しない。従って、閉鎖、自己完結型輸送コンテナを、とりわけ、その内容物の弄り若しくは撹乱を検出する目的で検査するための新規にして改良された装置および関連する方法に対する絶えざる、満たされない要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに提供するのは、輸送コンテナ取扱施設で搬送中に輸送コンテナを検査するための自動世界規模輸送コンテナ検査システムのための新規な装置および関連する方法であって、この装置は、この輸送コンテナ内に位置し且つ初期データセット、行先データセット、および一つ以上の中間データセットから成るグループから選択した少なくとも一つの比較データセットを受けるための電子通信手段を含むコンピュータ通信ネットワークに通じている少なくとも一つの検出装置;少なくとも一つの比較データセットが同じ輸送コンテナの他の比較データセットと実質的に不一致のとき、この輸送コンテナが検査不合格状態であることを判断するためにこの少なくとも一つの比較データセットに反応する手段;並びにこの輸送コンテナの更なる検査が必要であることを示すためにこの検査不合格状態を受取ったことに反応する手段を含む。
【0011】
やはりここに提供するのは、閉鎖、自己完結型輸送コンテナを、とりわけ、禁輸品またはコンテナの内容物の弄り若しくは撹乱を検出する目的で検査するための新規な装置および関連する方法である。一実施例で、この検査プロセスは、荷積み、荷降し、または運搬のような輸送の何れかの段階中に、例えば、出発点で、輸送中に、または一つ以上の目的地で、コンテナを試験し(検査し、測定し、査定し、定量化し、計測しまたは別の方法で検出し)、それによって作業を遅延または混乱せずにあらゆるコンテナを完全に検査することを保証する。そのようなプロセスによれば、各コンテナは、その出発点から最終目的地までのコンテナの追跡を容易にするために一連番号(または他の特有の標識)が割当ててあってもよい。
【0012】
例えば、輸送コンテナが、積込みのときにこの輸送コンテナの内容物および/またはこの輸送コンテナの内部を走査し、記録しおよび/または写真を撮る、可搬式IFIR/赤外線カメラまたはその他の検出装置を備えてもよい。出来たデータセット(即ち、写真)は、貨物構成、内容物を表し、およびこのコンテナ内のどんな動きも検出できる。このデータを中央データベースに入れてもよい。到着点で、このコンテナを荷降しするとき、この到着内容物のために別のデータセットを作り、出発点で採ったデータセットと比較してもよい。このコンテナ内の何れかの内容物の動きは勿論、この貨物の構成の変化のような、このデータセットの変化は、このコンテナを追加検査のために開けるべきことを示す。
【0013】
更に、各コンテナが二つ以上の運動検出カメラまたは他の測定若しくは検出装置を備えてもよい。例えば、これらの検出装置は、例えば、嗅ぎ出し装置、X線検出器、および放射線検出器、並びにこのコンテナ内の何らかの動きを含む、この内容物に関するデータを表し且つ保存する何か他の検出装置を含んでもよい。選択した実際の検出装置に基づいて、種々の輸送点の間にこのコンテナの内容物を表すためにスチール写真またはビデオのようなデータセットを創成する。この検出器情報を記録し且つ任意に、例えば、サテライトを介して中央データバンクへ伝送し、そこで出発点で積込みプロセス中に集めた元の情報を他の何れかの輸送点で集めたデータと比較することができる。その上、出発点でコンテナを走査または検査するために追加の手段を設けてもよく、それによってこのコンテナを完全に検査することを保証する。各コンテナは、出発点から到着港までの識別をできるようにする特有の一連番号を割当ててもよく、それをこのコンテナおよびその内容物、出荷情報等を追跡するために使ってもよい。
【0014】
以下の詳細な説明および実施例に関連して読むべき添付の図面を参照することによって付加的特徴が理解出来るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この実施例による二つの内部検出装置を含む輸送コンテナの例を概略的に示す。
【図2】貨物積込みプロセス中の二つの内部検出装置を含む輸送コンテナの例を概略的に示す。
【図3】貨物積込みプロセスの終結後の二つの内部検出装置を含む輸送コンテナの例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここに提供するのは、輸送コンテナ取扱施設で搬送中に輸送コンテナを検査するための自動世界規模輸送コンテナ検査システムのための新規な装置および関連する方法であって、この装置は、この輸送コンテナ内に位置し且つ初期データセット、行先データセット、および一つ以上の中間データセットから成るグループから選択した少なくとも一つの比較データセットを受けるための電子通信手段を含むコンピュータ通信ネットワークに通じている少なくとも一つの検出装置;少なくとも一つの比較データセットが同じ輸送コンテナの他の比較データセットと実質的に不一致のとき、この輸送コンテナが検査不合格状態であることを判断するためにこの少なくとも一つの比較データセットに反応する手段;並びにこの輸送コンテナの更なる検査が必要であることを示すためにこの検査不合格状態を受取ったことに反応する手段を含む。
【0017】
この“電子通信手段”には、符号、信号、文書、画像、音、データ、または有線、無線、電磁的、光電的若しくは写真光学的システムにより全部若しくは一部を伝送したあらゆる性質の情報のあらゆる転移手段がある。この“少なくとも一つの比較データセットに反応する手段”およびこの“検査不合格状態を受取ったことに反応する手段”は、ここに説明した方法に従って作用され得る応答信号を出すどんな自動(例えば、機械またはコンピュータ処理の)、手動、または人間プロセス、装置、システム、若しくは機械(機械実行可能コンピュータコードを含む)でもよい。典型的な“少なくとも一つの比較データセットに反応する手段”には、どれか二つ以上のデータセットの間の重要な不一致が更なる検査を正当化するかどうかを決める一組のコンピュータ実行可能コードがある。同様に、“検査不合格状態を受取ったことに反応する手段”には、特定の輸送コンテナを追加の(例えば、手動の)検査に掛けるべきであることを示す人間可読信号または命令がある。
【0018】
この検査装置は、少なくとも一つの検出装置を含む。各検出装置は、カメラ(例えば、CCDカメラ)、赤外線カメラ、超音波撮像素子、音波撮像素子のような撮像プローブ、または何か他の種類の撮像プローブでもよい。同様に、この検出装置は、化学的試料採取器または嗅ぎ出し装置、X線プローブ、ガンマ線検出器または他の放射線検出器、音波試料採取器若しくは撮像素子、超音波プローブ若しくは撮像素子、または輸送コンテナの内容物を測定するために使える何か他の種類のプローブ若しくは検出器でもよい。測定は、このコンテナとその内容物の空間分布、幾何学的形状、重量分布、および/または化学成分を含んでもよい。検出装置としてカメラを使うとき、輸送コンテナの内容物を照明することが望ましいかも知れず、従って輸送コンテナ内に任意に一つ以上の光源も取付けてよいかも知れない。
【0019】
ここで使う輸送コンテナは、協同一貫輸送用の貨物運搬輸送コンテナを含む。そのようなコンテナは、コンテナ船、鉄道車輌、飛行機、およびトラックにそのまま積込んで封止することが出来る。しかし、ここで説明する原理は、他の類似の種類のコンテナの検査に使ってもよい。輸送コンテナの普通の標準長さには、幾つかある:即ち、20フィート(6.1m)、40フィート(12.2m)、45フィート(13.7m)、48フィート(14.6m)、および53フィート(16.2m)である。米国で、国内標準輸送コンテナは、一般的に48フィート(14.6m)および53フィート(16.2m)である。(鉄道およびトラック)。コンテナの容量は、屡々20フィート換算単位(”TEU”);即ち、コンテナに詰めた貨物容量の尺度である、一つの標準20フィート(6.1m)(長さ)×8フィート(2.4m)(幅)のコンテナの何個に相当するかの換算単位で表す。輸送コンテナは、典型的に剛性金属側壁、金属上部、および金属底部でできていて、これらの端壁の少なくとも一つがこの輸送コンテナの内部へのドアを形成する。しかし、本発明で意図する輸送コンテナを形成するためにはどんな金属も使える。
【0020】
図1に描く実施例を参照すると、二つの検出装置が、この実施例では撮像プローブとして示してある(101)。これらの撮像プローブは、この輸送コンテナの内容物の画像を捕えてそれらの画像を調査のために操作員または機械へ中継する。これらの検出装置は、各々標準ディジタルカメラ、赤外線カメラ、超音波撮像素子、音波撮像素子等、またはその何れかの組合わせでもよい。このコンテナは、一つ、二つまたはそれ以上の検出装置を含んでもよい。これらの検出装置は、このコンテナの内部および内容物を照明するために任意にライト、レーザまたはLEDを含んでもよい。これらの検出装置は、内部内容物を監視できる限りこのコンテナの外部に最適になるように構成してもよい。
【0021】
検出装置として撮像プローブを使うことは、先のシステムに優る明らかな利点をもたらす。撮像プローブは、極微量の化学物質を包蔵または隠匿するために使うかも知れない貨物の構造または機構を確認できる。また、撮像プローブは、疑わしい領域にズームインして、望むなら追加の情報を提供することができる。しかし、これらの検出装置は、必ずしもカメラである必要はなく、且つ以下の非限定的例:即ち、X線プローブ(これは、このコンテナの中から、コンテナの外部より行うX線検査より高い解像度および精度でX線検査を行える)、または超音波若しくは音波プローブ(これは、音波を使ってコンテナの内部または内容物を撮像できる)のような、種々の他の撮像プローブでも、または含んでもよい。その上、各検出装置は、撮像プローブに限定されず、且つ極微量の危険な化学物質または危険な装置若しくは化合物の化学的痕跡を識別できる化学的試料採取器、危険な爆発物の化学的痕跡を識別できる嗅ぎ出し装置、核化合物若しくは兵器の放射線痕跡を識別できるガンマ線検出器、または分析のためにこのコンテナ内からの音を記録できる音波試料採取器でもよい。これらの検出装置は、もし必要ならば、電磁パルスの創出または内容物の照明のような機能もこのコンテナの内容物に実行することができる。この検出装置の検出結果に基づいて、タグ付け、ルート変更または何か他の照会方法によって、このコンテナを更に詳しいまたは他の検査に回してもよい。
【0022】
複数の検出装置を使うことは、このコンテナが逆になったとき、および/または障害物が一つの検出装置の移動または視野を妨害するときにでもコンテナの検査を可能にする。図1の二つの検出装置の例示は、説明の容易さだけのために与えるに過ぎず、コンテナの同じ側、反対側または結合側に一つまたは三つ以上の検出装置を使ってもよい。これらの検出装置は、輸送コンテナの貨物の上の上部に設置して示すのは、この位置がこの輸送コンテナの内容物のはっきりした妨害されない眺めを可能にしそうだからである。しかし、下の隅、中央部、および他の望ましい位置を含む、他の位置を選択してもよい。
【0023】
従って、一実施例で、閉鎖、自己完結型輸送コンテナの検査方法が輸送コンテナでその中に位置するこの輸送コンテナ内の一つ以上の固定位置に取付けてある一つ以上の検出装置を有し/利用する輸送コンテナの内容物を検出して、行先データセットを得るためにこの一つ以上の検出装置を使ってこの輸送コンテナの内容物を検出する初期データセットを得る工程;この初期データセットをこの行先データセットと比較する工程;およびこの輸送コンテナの内容物の弄りまたは撹乱を検出するためにこの初期データセットと行先データセットの間の少なくとも一つの差を検出する工程を含む。例えば、この初期データセットをこの輸送コンテナの出発点で得てもよく、およびこの行先データセットをこの輸送コンテナの目的地で得てもよい。
【0024】
更に他の実施例で、閉鎖、自己完結型輸送コンテナの検査方法が更に一つ以上の中間データセットを得るためにこの一つ以上の検出装置を利用してこの輸送コンテナの内容物を検出する工程を含む。例えば、この一つ以上の中間データセットは、運搬中にこの輸送コンテナの中間位置で得てもよい。
【0025】
その上更に他の実施例で、閉鎖、自己完結型輸送コンテナの検査方法がこの初期データセット、行先データセット、および/またはこの一つ以上の中間データセットを中央データ記憶位置へ伝送する工程;この初期データセット、行先データセット、および/またはこの一つ以上の中間データセットをデータベースに記憶しそれによって記憶したデータセットを作る工程;および少なくとも二つのこの記憶したデータセットを(例えば、自動化したコンピュータ実行アルゴリズムで)比較する工程を含む。例えば、この伝送工程は、サテライトリンクを介して、またはインターネット、電話または他の電気通信手段を通して生じてもよい。
【0026】
更に他の実施例で、この方法は、更に、この初期データセット、行先データセット、およびこの一つ以上の中間データセットの一つ以上を比較することによって確認されるような、このコンテナ内の動きが検出されまたはその貨物構成に変化がある場合に詳しい(例えば、手による)現物検査を行うためにコンテナを開く工程を含む。
【0027】
ここに更に完全に説明するように、検出装置は、コンテナの内容物または輸送中のこのコンテナ内の動きに対応するデータを記録する。
【0028】
各輸送コンテナは、出発点から最終目的地までの識別をできるようにするため、並びにコンテナおよびその内容物または他の出荷情報の追跡を容易にするために特有の一連番号を割当ててもよい。
【0029】
やはり提供するのは、輸送コンテナを検査するための装置である。一実施例で、この装置は、一連番号が割当ててある輸送コンテナおよびこの輸送コンテナ内の一つ以上の固定位置に取付けてある一つ以上の検出装置を含む。この一つ以上の検出装置は、荷積み、荷降し中、または出発点から最終目的地までのこのコンテナ輸送の何れかの中間段階で、この輸送コンテナの内容物に関するデータを集める。一実施例で、この一つ以上の検出装置は、運動検出カメラ、嗅ぎ出し装置、X線検出器、および放射線検出器から成るグループから選択してある。他の実施例では、二つ以上の検出装置がこの輸送コンテナの上部の下側の固定位置に取付けてある。更に他の実施例では、このコンテナ上の位置を更に監視するためにこれらの検出器を移動および/または回転できる。尚更他の実施例では、これらの検出器が、異なる位置からこのコンテナ内の種々の場所を監視するために遠く離れてまたは自動的に制御できる可動トラック上にあってもよい。尚更他の実施例では、この一つ以上の検出装置がこの輸送コンテナの内容物を示すスチール写真またはビデオを提供するカメラを含み、そのカメラは、IFIR/赤外線カメラまたはこのコンテナの内容物または内部を走査し、記録し、および/または撮影する他の既知の検出装置である。更に他の実施例で、この検査装置は、出発点でおよび中間および/または最終目的地で集めたデータを検出し且つ分析するための手段、並びに輸送コンテナの輸送を不必要に遅延または混乱せずにこの輸送コンテナの検査を保証するための手段を含む。典型的な“データを検出し且つ分析するための手段”には、ここに説明したようなデータセットを比較するコンピュータコードを実行するコンピュータがある。同様に、典型的な“輸送コンテナの検査を保証するための手段”には、輸送コンテナがここに説明した方法による検査に合格したかどうかを示す、電子または紙記録があってもよい。
【0030】
本主題は、輸送コンテナをこの輸送コンテナの移送中に検査が起るようにする方法にも関する。本主題は、更に輸送コンテナをこの輸送コンテナの移送中に検査するための装置に関する。本主題は、移送中の輸送コンテナの検査を容易にするための装置にも関する。更に、本主題は、輸送コンテナをこの輸送コンテナの移送中に検査するための装置に関する。本主題は、移送中に検査が起るように予め設計した輸送コンテナにも関する。本主題は、更に輸送コンテナをその移送中に検査するためのシステムにも関し、このシステムは、この輸送コンテナの内容物を撮像するための手段を含む。
【0031】
やはりここに提供するのは、輸送コンテナ内の関心のある品物をその密度、形状、質量および/または原子番号の分析に基づいて検査するための自動化した検査システムである。関心のある品物とは、通常の商品(例えば、食品、家具、機械類等)は勿論、例えば、爆薬、兵器、麻薬、たばこ、アルコールのような、輸送コンテナで出荷するが、特定したい任意の品物を意味する。他の実施例で、この検査システムは、輸送コンテナ内の麻薬、爆薬またはその他の禁輸品を検出するように、予期せぬ密度変化または勾配に基づいて関心のある品物を検出する。一実施例で、この検査システムは、輸送コンテナの関心のある品物があるかも知れない領域を局所化するための初期、高速選別、およびこれらの関心のある品物の必要な区別をするための適当な速度での、この輸送コンテナの局所化した領域の第2の、目標を絞った選別を実行する。一実施例で、任意の中間目的地は勿論、出荷出発点が、輸送コンテナ内の関心のある品物が増加(または減少)している可能性を示すかも知れない。このコンテナの輸送に責任のある存在に関する情報は、例えば同じ会社が出荷したコンテナの先の検査結果の歴史に関連して、誰が疑わしい対象物の入ったコンテナを出荷した可能性が低いか高いかを決めることに関連するかも知れない。従って、この検査システムが種々の検査スループットを提供できる幾つかの作業シナリオを含むことが分るだろう。この検査システムは、そのような事前検査情報を使うことを含む、幾つかの実行オプションを含む。
【0032】
ここに説明した輸送コンテナ検査方法の諸工程は、コンピュータ実行プロセスおよびこれらのプロセスを実施するための装置の形で具体化してもよい。それらは、CD−ROM、ハードドライブ、USB(ユニバーサルシリアルバス)ドライブ、または何か他のコンピュータ可読記憶媒体のような、有形の媒体に具体化した命令を含むコンピュータプログラムコードを有するコンピュータプログラム・プロダクトの形でも具体化してよく、それでこのコンピュータプログラムコードをコンピュータにロードして実行するとき、このコンピュータは、この方法を実施するための装置になる。それらは、例えば、記憶媒体に記憶した、コンピュータにロードしおよび/または実行する、または電気配線またはケーブル配線を通して、光ファイバを通じて、または電磁放射線を介してのように、ある伝送媒体を通して伝送するコンピュータプログラムコードの形でも具体化してよく、それでこのコンピュータプログラムコードをコンピュータにロードして実行するとき、このコンピュータは、この方法を実施するための装置になる。汎用マイクロプロセッサで実行するとき、これらのコンピュータプログラムセグメントがこのマイクロプロセッサを特定の論理回路を創成するように設定する。これらの実行可能命令の技術的効果は、関心のある品物が入っているかも知れない輸送コンテナの検査のスループットを増すことである。
【0033】
この検査システムの幾つかの実施例は、以下の利点をもたらす:即ち、輸送コンテナ内の関心のある品物を検出できること;輸送コンテナ内に関心のある品物を隠す意図の材料が存在するときにこれらの関心のある品物を検出できること;コンテナのより完全な検査を要するかも知れない部分を特定できること;より完全な検査に使うのと同じ装置で輸送コンテナを事前走査することにより全検査時間を短縮できること;および低水準の事前走査を使って全検査時間を短縮できること。
【0034】
この説明は実施例を参照して行ったが、当業者は、この範囲から逸脱することなく種々の変更を行えることおよびその要素を等価物で置換えられることが分るだろう。その上、特定の状況または材料をこれらの教示に適合させるために、本質的範囲から逸脱することなく、多くの修正を施してもよい。また、図面および説明に、実施例が開示してあり、および特殊な用語が使ってあるかも知れないが、それらは、他に述べられない限り、一般的且つ説明的意味にだけ使い、限定目的では使っていず、従って請求の範囲はそのように限定されていない。更に、当業者は、ここの議論した方法のある工程を代りの順序に並べまたは工程を組合わせてもよいことが分るだろう。従って、添付の請求項は、ここに開示した特定の実施例に限定されないことを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送コンテナを検査するための自動輸送コンテナ検査システムであって:上記輸送コンテナ内の少なくとも一つの検出装置;この少なくとも一つの検出装置から少なくとも一つの比較データセットを受けるための電子通信手段でこのデータセットが初期データセット、行先データセット、および任意に一つ以上の中間データセットから成るグループから選択してある通信手段;(少なくとも一つの比較データセットが同じ輸送コンテナの他の比較データセットと不一致のとき)上記輸送コンテナが検査不合格状態であることを判断するために上記少なくとも一つの比較データセットに反応する手段;並びに使用者に上記輸送コンテナの更なる検査が必要であることを示すために上記検査不合格状態を受取ったことに反応する手段を含むシステム。
【請求項2】
閉鎖、自己完結型輸送コンテナの検査方法であって:
初期データセットを得るために一つ以上の検出装置で輸送コンテナの内容物を検出する工程;
その後、行先データセットを得るためにこの一つ以上の検出装置を使って上記輸送コンテナの上記内容物を検出する工程:
上記初期データセットを行先データセットと比較する工程;および
上記輸送コンテナの上記内容物の弄りおよび/または撹乱を示すために上記初期データセットと上記行先データセットの間の差を検出する工程を含む方法。
【請求項3】
請求項2による方法に於いて、上記初期データセットを上記輸送コンテナの出発点で得て、および上記行先データセットを上記輸送コンテナの目的地で得る方法。
【請求項4】
請求項2による方法であって、更に:
一つ以上の中間データセットを得るために上記輸送コンテナの上記内容物を検出する工程を含み、上記一つ以上の中間データセットを運搬中に上記輸送コンテナの中間位置で得る方法。
【請求項5】
請求項2による方法であって、更に:
上記初期データセット、上記行先データセット、または上記一つ以上の中間データセットの少なくとも一つを中央データ記憶位置へ伝送する工程;
上記伝送した初期データセット、上記行先データセット、または上記一つ以上の中間データセットをデータベースに記憶して記憶したデータセットを作る工程;および
上記記憶したデータセットの少なくとも二つを比較する工程を含む方法。
【請求項6】
請求項5による方法に於いて、上記伝送工程がサテライトリンクを介して、またはインターネット、電話または他の電気通信手段を通して起る方法。
【請求項7】
請求項2による方法に於いて、上記検出装置が上記コンテナの内容物または輸送中の上記コンテナ内の動きに対応するデータを記録する方法。
【請求項8】
請求項2による方法に於いて、上記コンテナに特有の一連番号を割当ててそれによって出発点から最終目的地までの識別をできるようにし、並びに上記コンテナおよびその内容物または他の出荷情報の追跡を容易にする方法。
【請求項9】
請求項2による方法であって、更に:
上記初期データセット、上記行先データセット、および上記一つ以上の中間データセットの一つ以上を比較することによって確認されるような、上記コンテナ内の動きが検出されまたはその貨物構成に変化がある場合のように、検出した差が上記輸送コンテナの弄りまたは撹乱を示すならば、現物検査のために上記輸送コンテナを開く工程を含む方法。
【請求項10】
輸送コンテナを検査するための装置であって、一連番号が割当ててある輸送コンテナおよび上記輸送コンテナ内の一つ以上の固定位置に取付けてある少なくとも一つ以上の検出装置を含み、上記一つ以上の検出装置が荷積み、荷降し中、または出発点から最終目的地までの上記コンテナ輸送の何れかの中間段階で、上記輸送コンテナの内容物に関するデータを集める装置。
【請求項11】
請求項10による装置に於いて、上記一つ以上の検出装置が運動検出カメラ、嗅ぎ出し装置、X線検出器、および放射線検出器から成るグループから選択してある装置。
【請求項12】
請求項10による装置に於いて、二つ以上の検出装置が上記輸送コンテナの上部の内部下側の固定位置に取付けてある装置。
【請求項13】
請求項10による装置に於いて、上記一つ以上の検出装置が上記輸送コンテナの内容物を示すスチール写真またはビデオを提供するカメラを含み、上記カメラは、IFIR/赤外線カメラまたは上記コンテナの内容物および/または内部を走査し、記録し、および/または撮影する他の検出装置である装置。
【請求項14】
請求項10による装置に於いて、上記装置が出発点でおよび中間または最終目的地で集めたデータを検出し且つ分析するための手段、並びに更に上記輸送コンテナの輸送を不必要に遅延または混乱せずに輸送コンテナの検査を保証するための手段を含む装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−502912(P2011−502912A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533200(P2010−533200)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/082447
【国際公開番号】WO2009/061793
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(509166696)
【Fターム(参考)】