説明

輸送手段および積載確認システム

【課題】 輸送手段が正規の積み降ろしモードでないときに積載物が積み降ろされた場合において迅速に該積み降ろしを運転手や管理者等に通知することができる輸送手段および積載確認システムを提供する。
【解決手段】 積載物(車両1)に取り付けられた非接触ICタグ6との間で電波の送受信をおこなう第一アンテナ2aおよび第二アンテナ2bと、該アンテナにおける受信信号を記憶するリーダライタ3と、該リーダライタにおける読み取りデータを外部に通信可能な連絡装置4からなる輸送手段(キャリアカー7)と、該連絡装置4からの通信情報に基づいて積載物の積載状態や積載物の積み込みおよび積み降ろし状態を確認する確認手段5とから積載確認システムが構成される。ここで、積載物の移動方向は、2つのアンテナによって受信された最大強度の受信電波と、該受信電波を受信した時刻の差分をもっておこなわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送手段に積載される積載物の積載状態や、積載物の積み込み状態、積み降ろし状態を確認できる輸送手段および積載確認システムに係り、特に、輸送手段が正規の積み降ろしモードでないときに積載物が積み降ろされた場合において迅速に該積み降ろしを運転手や管理者等に通知することができる輸送手段および積載確認システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷物を配送する車両等に取り付けられ、荷物の積み間違いや積み忘れを防止するための装置に関する発明は、従来知られることろである(特許文献1参照)。かかる装置は、積み込まれる荷物にICタグを備えた配送伝票が予め貼り付けられており、車両の荷物積み込み口付近に設けられたアンテナでかかるICタグからの荷物情報を読み取ることができる。車両に設けられた車載端末には、本来積み込まれるべき荷物情報が入力されていて、アンテナにて読み取られた荷物情報との一致、もしくは不一致を検知することにより誤積載の防止を図ることができる。
【0003】
上記する装置によれば、誤った荷物の積載を未然に防止することはできるものの、荷物が完全に車両に積載されたか否か等の判断までは困難である。すなわち、荷物の移動方向に関しては不明確であり、正規の荷物であったとしても、それが積み降ろされたこと、または積み込まれたことまでを確認する装置とはなっていない。
【0004】
上記する問題に対して、特許文献2に開示の移動体識別装置によれば、移動体(上記する荷物に相当)の種類に加えて、移動体の移動方向をも検知することが可能となる。
【0005】
かかる移動体識別装置は、ICタグを付帯した移動体が通過するゲートに関する発明であり、このゲートは、その周囲四方にループ状アンテナが配設されるとともに、ゲートの両端面側において2つの共振コイルが配設されていて、これらのアンテナとコイルは制御装置によって制御されている。ここで、移動体の移動方向の検出においては、移動体の移動に応じて2つの共振コイルに流れる電流レベルの変化にタイムラグがあることを利用し、かかるタイムラグを制御装置内のレベル変化検出部にて検出するものである。
【0006】
【特許文献1】特開平9−231428号公報
【特許文献2】特開平11−66444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の移動体識別装置によれば、移動体の移動方向が識別可能となる。しかし、かかる発明は、共振コイルに誘導電流が流れることによって移動体の移動方向を検出するものであり(電磁誘導方式)、その共振周波数は数十MHz以下であってリーダライタにて読み書き可能な離隔距離(共振コイルと移動体との離隔距離)がわずか数十cm程度と短くなってしまうという問題がある。したがって、例えば、一台のキャリアカーに車高や車幅の多様に異なる複数の車両を積載する場合においては、リーダライタにて読み書きできない車両が発生する可能性が極めて高くなる。したがって、キャリアカーなどの輸送手段に、形状や大きさが多様に異なる複数種類の車両を積載する際の積載確認システムとしては利用することができない。
【0008】
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、キャリアカーなどの輸送手段に複数種類の積載物を積載する場合において、積載物の積載状態や、積載物の積み込み状態、積み降ろし状態(すなわち、積載物の移動方向)を正確に確認することのできる輸送手段および積載確認システムを提供することを目的とする。また、積載物の積み降ろしがおこなわれるはずのないときに、盗難等によって突発的に積載物が積み降ろされた場合においても、かかる積み降ろしを迅速に確認するとともに輸送手段の運転手や管理者等に通知することのできる輸送手段および積載確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明による輸送手段は、積載物に取り付けられた非接触ICタグとの間で電波の送受信をおこなうアンテナと、該アンテナにおける受信信号を読み取るリーダライタと、該リーダライタにおける読み取りデータを格納する連絡装置と、を少なくとも備えた輸送手段であって、前記連絡装置には、積載物を積み込むのか積み降ろすのかを判別する第一判別手段が備えられており、少なくとも2つのアンテナが積載物の移動方向に備えられており、該少なくとも2つのアンテナが受ける前記非接触ICタグからの信号に基づいて、積載物が積み込まれるのか積み降ろされるのかを前記第一判別手段にて識別可能としたことを特徴とする。
【0010】
ここで、輸送手段は特に限定するものではないが、例えば、キャリアカーや輸送用船舶、輸送用航空機などがある。また、積載物としても、例えば、車両や家電製品などがある。
【0011】
非接触ICタグはその内部に記憶領域が備えてあり、外部から電磁波などの電波が照射されると、かかる記憶領域に予め記憶された情報(製品番号、配送先などの情報)が電波信号として放射される。例えばキャリアカーに備えてあるアンテナにてかかる電波信号を受信し、アンテナに接続されるリーダライタ(読み取り手段)にこの電波信号が読み取られる。このリーダライタは、キャリアカーに備えてある連絡装置に接続されている。連絡装置内には、積載されるべき積載物データが予め記憶されており、かかる積載物データとリーダライタにて読み取られた積載物データの一致、不一致を確認し、この確認結果データは、輸送手段の運転席に備えられたデータ表示装置上に表示される。
【0012】
本発明の輸送手段においては、積載物が積み込まれたのか、あるいは積み降ろされたのかを確認するために、少なくとも2つのアンテナが輸送手段において積載物の移動方向に設けられている。この2つのアンテナにて受信する電波信号のタイムラグを利用して、積載物の積み込みまたは積み降ろしの確認がおこなわれる。かかる積載物の積み込みまたは積み降ろしの確認結果データについても、輸送手段の運転手に通知される。
【0013】
以上のように、本発明の輸送手段は、少なくとも2つのアンテナと、リーダライタと、連絡装置とを備えたキャリアカーなどの輸送手段である。アンテナの配設形態としては、2つまたは3つ以上のアンテナが、輸送手段(例えばキャリアカー)の荷台の長手方向に配設されていて、そのうちの1つは少なくとも積載物の積み降ろし口付近に備えてあるような形態などがある。
【0014】
本発明の輸送手段によれば、電波を送受信可能な非接触ICタグと2つ以上のアンテナを組み合わせることで、大きさや形状が多様に異なる複数の積載物の積載状態や積載物の積み込みおよび積み降ろし状態を、正確かつ迅速に該輸送手段の運転手が把握することが可能となる。
【0015】
また、本発明による輸送手段の他の実施形態において、前記2つのアンテナは、輸送手段における積載物の積み降ろし口付近に設けられた第一アンテナと、積載物が積み込まれる方向に設けられた第二アンテナとからなり、前記第一手段において、第一アンテナによる非接触ICタグからの電波受信が成功した場合には、受信時の第一電波強度および第一受信時刻がリーダライタを介して前記第一判別手段に記憶され、第二アンテナによる非接触ICタグからの電波受信が成功した場合には、受信時の第二電波強度および第二受信時刻がリーダライタを介して前記第一判別手段に記憶され、第一受信時刻と第二受信時刻の差分の正負に基づいて、積載物が積み込まれるのか積み降ろされるのかを識別可能としたことを特徴とする。
【0016】
非接触ICタグから反射される電波には指向性があり、例えば、アンテナの直下に非接触ICタグが到達した際にアンテナが受信する電波は、到達の前後に比べてその電波強度が強い。アンテナが受信する電波が弱すぎると、アンテナの電波受信が失敗に終わり、したがってリーダライタによる受信電波の読み取りがおこなわれない。
【0017】
一方で、既に積載済みの積載物に添付された非接触ICタグからの電波をアンテナが再度読み取ってしまうこともあり、その場合には、積載物の移動方向の検知が阻害されてしまう。
【0018】
そこで、本発明においては、例えばアンテナの直下に到達した積載物の非接触ICタグからの反射電波(電波強度が最も大きい)を一つのアンテナが受信した場合にその電波情報をリーダライタが読み取り、該リーダライタを介して電波情報が連絡装置に記憶される。すなわち、ここでいう「IDタグからの電波受信が成功した場合」とは、所要の電波強度(例えば、アンテナ直下にICタグがある場合の電波強度や、予め設定しておいた閾値強度以上の電波強度)を受信した場合のことを意味している。次に、積載物の移動方向にある他方のアンテナの直下に該積載物が到達した際に、上記と同様にその電波情報をリーダライタにて読み取るとともに連絡装置にて該電波情報を記憶する。また、移動する積載物を正確に読み取っているか否かの判断要素として、さらに、上記する2つのアンテナにて電波情報を取得した時刻をリーダライタに記憶するとともに連絡装置に記憶させる。積載物の積載時の移動速度は、経験的かつ一義的に決定できるため、2つの時刻の差分およびアンテナ間距離から、該アンテナが積み込みまたは積み降ろし状態にある積載物の検知をおこなったことを保証することが可能となる。
【0019】
上記する構成によれば、既に積載されている積載物が積み降ろされる場合においても、逆に積載物が積み込まれる場合においても、積載物の移動方向の検知が可能となる。例えば、予め、積載物の出入り口付近に設けられた第一アンテナによる最大電波強度をE1、他方の第二アンテナによる最大電波強度をE2、それぞれの電波受信時の受信時刻を第一受信時刻(t1)、第二受信時刻(t2)とした場合、E1,E2が同程度の大きな電波強度を有していて、t1〜t2間隔が適宜の間隔であることを前提に、t2−t1>0の場合には積載物が積み込まれることとすることができ、t2−t1<0の場合には積載物が積み降ろされることとすることができる。
【0020】
また、本発明による輸送手段の他の実施形態において、前記連絡装置には、輸送手段が正規の積み降ろしモードにあるか、それ以外のモードにあるかを判別する第二判別手段と、積載物の積み込み、および/または積み降ろしが前記それ以外のモードでおこなわれている場合には異常信号を発信する警報手段と、がさらに備えられていることを特徴とする。
【0021】
連絡装置に内臓されている第一判別手段は、既述するように、2つのアンテナにて受信する電波信号が一定値以上の電波強度か否か、さらには最大の電波強度を受信した時刻の差分から積載物の移動方向を判別する手段である。
【0022】
連絡装置に内臓されている第二判別手段は、輸送手段が決められた目的地(積載物の積み込みや積み降ろしの目的地)に到達した際に、輸送手段の運転手などが手動にてモードの変換をおこなう構成や、GPSなどによって目的地に到達したことを確認すると同時に、上記するそれ以外のモードから正規の積み降ろしモードに自動変換できるような構成など、適宜の構成を採用できる。
【0023】
また、連絡装置には、さらに警報手段が内臓されている。この警報手段は、輸送手段が正規の積み降ろし場所に到達していない(それ以外のモード)にも関わらず、積載物が積み降ろされるような場合に作動するものであり、例えば、輸送手段の運転手にブザーで知らせることができる。
【0024】
本発明によれば、輸送手段から積載物が盗難等されるような不測の事態に直面した際に、かかる事態を輸送手段の運転手に迅速かつ的確に知らせることが可能となる。
【0025】
さらに、本発明の積載確認システムは、前記輸送手段と、前記連絡装置からの通信情報に基づいて積載物の積載状態や積載物の積み込みおよび積み降ろし状態を確認する確認手段と、から構成されることを特徴とする。
【0026】
輸送手段に搭載されている連絡装置には、通信手段(データ通信モジュール)が内臓されており、この通信手段を介して管理場所(適宜の中継工場や中継拠点、または中央拠点)の管理者側の電算機(確認手段)に、積載物のID情報や、輸送手段の上記するモード情報、さらには、積載物の積み込みまたは積み降ろし情報が通信される。
【0027】
かかるシステムによれば、中央管理者側において、正確な積載物の搬送状況や該搬送における安全性の確認をおこなうことができる。
【0028】
また、上記する本発明の輸送手段および積載確認システムでは、輸送手段における積載物の移動方向の判別(第一判別手段)や、輸送手段のモードの判別(第二判別手段)、さらには警報手段が輸送手段内の連絡装置に内臓されているが、この連絡装置が管理者側の電算機(確認手段)内に内臓されている実施形態であってもよい。この場合は、輸送手段のリーダライタにて読み取られた電波情報を確認手段に送信し、送信データに基づいて上記の各種判別を管理者側にておこなうことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上の説明から理解できるように、本発明の輸送手段および積載確認システムによれば、積載物の誤積載を防止できることに加えて、多様な大きさや形状の積載物の積み込みや積み降ろしを正確に確認することができる。また、本発明の輸送手段および積載確認システムによれば、本来積載物が積み降ろされるはずのないときに積載物が積み降ろされるような事態に直面した場合でも、迅速かつ的確にかかる異常情報を輸送手段の運転手または管理者に通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、輸送手段に積載物を積載する状況の一実施形態を示した模式図である。図2は、積載確認システムのフロー図であり、図3は、リーダライタにおける受信電波の読み取り〜第二判別手段までのフロー図を、図4は、図3に続くフロー図をそれぞれ示している。図5は、車両がキャリアカーから積み降ろされる状況を示した模式図であって車両が第二アンテナを通過した状況を示した図を、図6は、図5に続いて、車両が第一アンテナを通過した状況を示した図をそれぞれ示している。なお、図示する実施形態では輸送手段としてキャリアカーを、積載物として車両をそれぞれ示しているが、輸送手段および積載物がかかる実施形態に限定されるものでないことは勿論のことである。さらには、キャリアカーに装着されるアンテナも3つ以上であってもよい。
【0031】
図1に、本発明の積載確認システムを構成する輸送手段(キャリアカー7)を示している。キャリアカー7には、積載物(車両1)を搭載する荷台に加えて、該荷台を構成する架構の天井に2つのアンテナ(積載物の積み降ろし口付近に設けられた第一アンテナ2a、積載物の積み込み移動方向に設けられた第二アンテナ2b)が装着されている。この第一アンテナ2a、第二アンテナ2bは、配線2cで繋がれるとともに、この配線2cはキャリアカー7に搭載されたリーダライタ3および連絡装置4に接続されている。
【0032】
車両1には非接触ICタグ6が貼り付けられており、該車両1が荷台に積み込まれる(X方向)際に、アンテナからの発信電波Y1を受けて、反射電波Y2を送信する。非接触ICタグ6内に記憶された車両情報(車両ID)がこの反射電波Y2によってアンテナに送信され、アンテナが受信した該電波をリーダライタ3が読み取るとともに連絡装置4にて記憶される。
【0033】
次に、積載確認システムを図2に基づいて説明する。
【0034】
車両1に貼り付けられた非接触ICタグ6からの電波を第一アンテナ2aおよび第二アンテナ2bにて受信する(ステップ10)。車両1が積み込まれる場合には、第一アンテナ2a、第二アンテナ2bの順に、既積載の車両1が積み降ろされる場合には、第二アンテナ2b、第一アンテナ2aの順に電波の受信がおこなわれる。
【0035】
この受信電波を、リーダライタ3にて読み取る(ステップ20)。ここで、リーダライタ3には一定の電波強度が閾値として設定されており、受信電波の強度がこの閾値以下の場合にはリーダライタ3による読み取りが失敗するように設定されている。かかる閾値の設定は、アンテナが、移動している車両1以外に既に積載済みの車両1からの電波を受信することを防ぐためである。
【0036】
一定の強度以上の電波を受信した後、第一判別手段により車両1が積み込まれるのか、あるいは積み降ろされるのかの判別をおこなう(ステップ30)。この第一判別手段に関しては、その詳細を後述する。
【0037】
第一判別手段により、車両1の積み降ろしが発生しているか否かの検討をおこない(ステップ40)、発生している場合は第二判別手段(ステップ50)により、正規の積み降ろしモードか、それ以外のモードかの検討をおこなう(ステップ70)。このモードの判別に際しては、車両1が所定の中継地点などに入門する場合や出門する場合に、該車両1の運転手がモードの切替え(ステップ60)をおこなうことによりモードの設定がなされている。なお、このモードの切替え情報は通信手段90を介して、管理者側の電算機5(確認手段)の内部にある通信手段100に送られる。
【0038】
正規の積み降ろしモードでない場合には、警報手段80が作動し、警報情報が通信手段90を介して管理者側の電算機5(確認手段)の通信手段100に送られる。この警報情報は、さらにブザーなどで車両の運転手にも通知される。
【0039】
次に、リーダライタによる受信電波の読み取り〜第二判別手段までのフローの詳細を図3〜図6に基づいて説明する。なお、積載されている車両が積み降ろされる場合を例に説明する。この車両1は、第二アンテナ2bよりも車両の前方側から積み降ろし口側へ移動するものとする。
【0040】
まず、リーダライタ3による電波受信の読み取りに際して、リーダライタの初期設定がおこなわれる(ステップ210)。初期設定の内容としては、例えば、CarID1(第一アンテナ2aによって受信された車両ID),CarID2(第二アンテナ2bによって受信された車両ID)をそれぞれブランクとし、ID1Read(第一アンテナ2aによる車両IDの読み取り),ID2Read(第二アンテナ2bによる車両IDの読み取り)をそれぞれfalseとし、E1max(第一アンテナ2aによってこれまでに受信された受信電波の中での最大強度の電波),E2max(第二アンテナ2bによってこれまでに受信された受信電波の中での最大強度の電波)をそれぞれ−1とし、false・count(読み取り失敗の回数)をゼロとする。
【0041】
車両1がまだ第一アンテナ2aに近づいていない場合には、第一アンテナが車両IDをリードするステップ220で、受信電波強度が閾値以下となってリーダライタ3によるリードが失敗する。リードの成功か否かのステップ230ではリードの失敗を受けて、ステップ240にてfalse・countが+1となる。
【0042】
次に、車両1が第二アンテナ2bにも未だ近づいていない場合には、第二アンテナが車両IDをリードするステップ260においても受信電波強度が閾値以下となってリーダライタ3によるリードが失敗する。リードの成功か否かのステップ270ではリードの失敗を受けてステップ280ではfalse・countがさらに追加されて+2となる。
【0043】
この場合、false・countは+2であるが、E1max,E2maxはともに初期値の−1のままであるため(双方のアンテナでの受信電波はともに読み込みが失敗している)、ステップ300の条件を満足せず、ステップ310にてfalse・countはゼロに戻されるとともに、再度ステップ220に戻る。
【0044】
ステップ220では、暫くの間、第一アンテナ2aによるリードは成功しないため、ステップ230で失敗となり、ステップ240におけるfalse・countは+1となる。
【0045】
車両1が第二アンテナ2bに近づいてくると、ステップ270にて第二アンテナ2bによるリードが成功し、ステップ290において、ID2Readはtrue,CarID2はリードした車両ID、E2maxはE2(t)とそれぞれデータ変更がおこなわれる。ここで、第一アンテナ2aでリードが未だ成功していないことを確認し、かかる第二アンテナ2bによるリード成功時刻tが格納される。
【0046】
ステップ300での判定では、false・countが+1であるためにステップ300の条件を満足せず、ステップ310にてfalse・countはゼロに戻されるとともに、再度ステップ220に戻る。
【0047】
暫くの間は第二アンテナ2bによる電波受信のみが成功し、E2(t)が大きくなるにしたがってE2(t)の値が更新されていく。尤も、この最大値は、車両1が第二アンテナ2bの直下もしくは直下近傍に到達した際に得られるものである。また、E2(t)の最大値を与える時刻tがt2maxとして記憶される。
【0048】
ここで、図5に示すように車両1がさらに移動すると(X方向)、ステップ220における第一アンテナ2aによる電波受信が成功する。なお、図5では、第二アンテナ2bから発信される電波Y1とその反射電波Y2、および第一アンテナ2aから発信される電波Z1とその反射電波Z2が図示されている。
【0049】
第一アンテナ2aによる電波受信の成功を受けて、ステップ250ではID1Readはtrue,CarID1はリードした車両ID、E1maxはE1(t)とそれぞれデータ変更がおこなわれる。
【0050】
ここで、ステップ300におけるfalse・countはゼロであるため、ステップ300の条件を満足せず、ステップ310にてfalse・countはゼロに戻されるとともに、再度ステップ220に戻る。
【0051】
車両1の移動がさらに進んで、図6のように、少なくとも第二アンテナ2bから遠ざかるにつれて該第二アンテナ2bによるリードが失敗となる。ここで、ステップ280でのfalse・countは+1となる。第一アンテナ2aでのリードが成功している間は、ステップ300での判定はfalse・countが+1のままであるため、ステップ310を経由してステップ220に戻ることになる。なお、E1(t)の最大値を与える時刻tがt1maxとして記憶されるのは第二アンテナ2bの場合と同様である。
【0052】
車両1が第一アンテナ2aから遠ざかるにつれて該第一アンテナ2aによるリードも失敗となり、ステップ240、280にてfalse・countがカウントアップされて+2となる。ここで、受信電波の最大値E1(t)およびE2(t)は既に格納されているため、ステップ300の条件を満足することになる。
【0053】
図4に移り、ステップ300の条件を満足した時刻tが格納される(ステップ320)。
【0054】
ステップ330では、t−tが適切な時間間隔であって、かつ、E1(t)およびE2(t)が同程度の強度であって一定値以上か否かの判定がおこなわれる。この判定は、車両1がキャリアカー7の外へ出て行くことを判別しているか否かの最終確認のステップである。したがって、フロー中に含まれることが好ましいが、含まれないフローであってもよい。
【0055】
ステップ340で、t2max−t1maxの正負を検討し、この値が正の場合には車両が積み込まれたことを(ステップ350)、この値が負の場合には車両が積み降ろされたこと(ステップ360)とすることができる。
【0056】
最後にリーダライタ3の初期設定をおこなうことでフローは終了する(ステップ370)。
【0057】
なお、車両が積み込まれる場合も上記のフローが同様に使用できる。
【0058】
上記するリーダライタにおける受信電波の読み取り〜第二判別手段までのフローによれば、注目する移動車両の積み込みまたは積み降ろしを確実に判別することが可能となる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】キャリアカーに車両を積み込む状況の一実施形態を示した模式図。
【図2】積載確認システムのフロー図。
【図3】リーダライタにおける受信電波の読み取り〜第二判別手段までのフロー図。
【図4】図3に続くフロー図。
【図5】車両がキャリアカーから積み降ろされる状況を示した模式図であり、車両が第二アンテナを通過した状況を示した図。
【図6】図5に続いて、車両が第二アンテナを通過した状況を示した図。
【符号の説明】
【0061】
1…車両(積載物)、2a…第一アンテナ、2b…第二アンテナ、3…リーダライタ、4…連絡装置、5…管理者側の電算機(確認手段)、6…非接触ICタグ、7…キャリアカー(輸送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物に取り付けられた非接触ICタグとの間で電波の送受信をおこなうアンテナと、該アンテナにおける受信信号を読み取るリーダライタと、該リーダライタにおける読み取りデータを格納する連絡装置と、を少なくとも備えた輸送手段であって、
前記連絡装置には、積載物を積み込むのか積み降ろすのかを判別する第一判別手段が備えられており、少なくとも2つのアンテナが積載物の移動方向に備えられており、該少なくとも2つのアンテナが受ける前記非接触ICタグからの信号に基づいて、積載物が積み込まれるのか積み降ろされるのかを前記第一判別手段にて識別可能としたことを特徴とする輸送手段。
【請求項2】
前記2つのアンテナは、輸送手段における積載物の積み降ろし口付近に設けられた第一アンテナと、積載物が積み込まれる方向に設けられた第二アンテナとからなり、前記第一手段において、第一アンテナによる非接触ICタグからの電波受信が成功した場合には、受信時の第一電波強度および第一受信時刻がリーダライタを介して前記第一判別手段に記憶され、第二アンテナによる非接触ICタグからの電波受信が成功した場合には、受信時の第二電波強度および第二受信時刻がリーダライタを介して前記第一判別手段に記憶され、第一受信時刻と第二受信時刻の差分の正負に基づいて、積載物が積み込まれるのか積み降ろされるのかを識別可能としたことを特徴とする請求項1に記載の輸送手段。
【請求項3】
前記連絡装置には、輸送手段が正規の積み降ろしモードにあるか、それ以外のモードにあるかを判別する第二判別手段と、積載物の積み込み、および/または積み降ろしが前記それ以外のモードでおこなわれている場合には異常信号を発信する警報手段と、がさらに備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の輸送手段。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の輸送手段と、前記連絡装置からの通信情報に基づいて積載物の積載状態や積載物の積み込みおよび積み降ろし状態を確認する確認手段と、から構成されることを特徴とする積載確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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