説明

農作業機

【課題】圃場の端部から畝立作業ができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、トラクタに連結する機体3を備える。機体3には、所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリ耕耘体8を回転可能に設ける。機体3には、上方への回動により非作業持上状態となり下方への回動により畝立作業状態となる畝成形体16を上下方向に回動可能に設ける。農作業機1は、畝成形体16を上下方向に回動させる油圧シリンダ31を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の端部から畝立作業ができる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばトラクタに連結される機体と、機体の前部に回転可能に設けられ回転しながら耕耘作業をするロータリ耕耘体と、機体の後部に固着されロータリ耕耘体にて耕耘された耕耘土を所定形状の畝に成形する多連の畝成形体とを備えた畝立作業機等の農作業機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−127605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の農作業機では、畝成形体が機体の後部に固着されているため、圃場の端部(例えば畑の土手際等)において畝立作業ができないという問題があった。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、圃場の端部から畝立作業ができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の農作業機は、機体と、この機体に回転可能に設けられ、回転しながら耕耘作業をするロータリ耕耘体と、前記機体に上下方向に回動可能に設けられ、上方への回動により非作業持上状態となり、下方への回動により前記ロータリ耕耘体にて耕耘された耕耘土を所定形状の畝に成形する畝立作業状態となる畝成形体とを備えるものである。
【0006】
そして、畝成形体を上方への回動により非作業持上状態にすることができるため、圃場の端部から畝立作業を行なうことが可能となる。
【0007】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、畝成形体を上下方向に回動させる駆動手段を備えるものである。
【0008】
そして、畝成形体を上下方向に回動させる駆動手段を備えるため、畝成形体を手動で回動させるものに比べて、使い勝手が良好となる。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項1または2記載の農作業機において、畝成形体は、畝の上面部を成形する高さ調節可能な上面部成形板を有するものである。
【0010】
そして、畝成形体の上面部成形板にて所望高さの畝の上面部を成形することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、畝成形体を上方への回動により非作業持上状態にすることができるため、圃場の端部から畝立作業ができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、畝成形体を上下方向に回動させる駆動手段を備えるため、畝成形体を手動で回動させるものに比べて、使い勝手が良好である。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、畝成形体の上面部成形板にて所望高さの畝の上面部を成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の農作業機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図5において、1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)に連結されこのトラクタの走行により畑等の圃場を前方に移動しながら畝立作業をする畝立作業機である。
【0016】
農作業機1は、トラクタの後部の3点リンク部に3点連結部2で連結される機体3を備えている。
【0017】
機体3は、略箱状の入力軸保持部4を有し、この入力軸保持部4には略前後方向の入力軸5が回転可能に設けられている。入力軸5はトラクタのPTO軸に伝動シャフト等を介して連結される。
【0018】
また、機体3の入力軸保持部4の下面部からチェーンケース等の伝動ケース部6が下方に向って突出し、この機体3の伝動ケース部6の下部には、入力軸5側からの動力をチェーン等の伝動手段(図示せず)を介して受けて所定方向に回転しながら耕耘作業をして畝成形用の耕耘土を盛り上げるロータリ耕耘体8が回転可能に設けられている。
【0019】
ロータリ耕耘体8は、伝動ケース部6の下部にて回転可能に軸支された左右水平方向の回転軸部9を有し、この回転軸部9の爪ホルダ10には所定形状の耕耘爪部11が着脱可能に設けられている。なお、ロータリ耕耘体8の上方部は、カバー体12にて覆われている。
【0020】
さらに、機体3は、互いに離間対向した略板状の左右一対のフレーム部15を有し、この機体3のフレーム部15には、左右水平方向の回動中心軸線Xを中心とする上方への回動により例えば畑の土手(凸状部)より上方に位置する非作業持上状態となりその回動中心軸線Xを中心とする下方への回動によりロータリ耕耘体8にて耕耘された耕耘土を所定形状の畝(例えば断面台形の2列の畝)に成形する畝立作業状態となる畝成形体16が支軸部17を介して上下方向に回動可能に設けられている。
【0021】
畝成形体16は、機体3のフレーム部15に前端部が支軸部17を介して回動可能に取り付けられた可動枠部21を有している。可動枠部21の後端部における角パイプ状の横長フレーム22には、畝Aの傾斜面状の側面部A1を成形する4つの側面部成形板23が左右位置調節可能に設けられている。そして、互いに離間対向した側面部成形板23間には、畝Aの水平面状の上面部A2を成形する上面部成形板24が畝Aの高さを調節できるように高さ位置調節可能に設けられている。また、可動枠部21の横長フレーム22の両端側には、接地輪25が設けられている。なお、側面部成形板23と上面部成形板24とにて、畝Aを成形する畝成形部30が構成されている。
【0022】
そして、図2および図3等から明らかなように、農作業機1は、図示しない操作部の操作に基いて動力を出力して畝成形体16を回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動させる伸縮可能な駆動手段である油圧シリンダ31を備えている。
【0023】
油圧シリンダ31は、シリンダ本体部32と、このシリンダ本体部32に対して出入りするロッド部33とを有している。シリンダ本体部32の基端部が機体3のシリンダ取付部35に回動可能に取り付けられ、ロッド部33の先端部が畝成形体16のシリンダ取付部36に回動可能に取り付けられている。
【0024】
そして、ロッド部33がシリンダ本体部32内に入り込んで油圧シリンダ31が縮むと、畝成形体16が、ロータリ耕耘体8の後方部に位置決め固定されロータリ耕耘体8にて耕耘された耕耘土を所定形状の畝Aに成形する略水平状の畝立作業状態となる(図2および図7参照)。
【0025】
逆に、ロッド部33がシリンダ本体部32内から出て油圧シリンダ31が伸びると、畝成形体16が、ロータリ耕耘体8の後方部の上方位置に位置決め固定され畑の土手より上方に位置する傾斜状の非作業持上状態となる(図3および図6参照)。
【0026】
なお、図2等に示されるように、畝成形体16の回動中心軸線Xは、ロータリ耕耘体8の略真上の位置に位置する。また、3点連結部2、入力軸保持部4、伝動ケース部6およびフレーム部15等にて、機体3が構成されている。
【0027】
次に上記一実施の形態の農作業機1の作用等を説明する。
【0028】
トラクタの後部に連結装着した農作業機1を使用して畝立作業を行なう場合、図6に示すように、圃場の端部、例えば畑の土手際においては、畝成形体16を油圧シリンダ31の作動に基づく上方回動により非作業持上状態に設定した状態で、農作業機1全体をトラクタの走行により前方に移動させる。すると、ロータリ耕耘体8にて耕耘作業が行なわれ、畝成形用の耕耘土が盛り上げられる。
【0029】
そして、図7に示すように、凸状部である土手から所定距離離れた時点で、畝成形体16を油圧シリンダ31の作動に基づく下方回動により畝立作業状態に設定し、その後は畝成形体16を畝立作業状態に設定した状態のまま農作業機1全体をトラクタの走行により前方に移動させる。すると、圃場の端部から所定形状の畝が成形される。
【0030】
このように上記農作業機1によれば、非作業持上状態および畝立作業状態に選択的に設定可能な畝成形体16が機体3に上下方向に回動可能に設けられているため、畑等の圃場の端部で畝成形体16が土手と干渉しないよう畝成形体16を油圧シリンダ31の作動に基く上方回動により非作業持上状態にすることができるため、畑等の圃場の端部から畝立作業をはじめることができる。よって、圃場全体にわたって畝立作業ができ、人力による畝立作業が不要で、作業者の労力の軽減を図ることができる。
【0031】
しかも、畝成形体16が油圧シリンダ31の伸縮により上下方向に回動する構成となっているため、畝成形体16を作業者が手動で回動させるものに比べて、使い勝手が良好で、作業者の労力をより一層軽減できる。
【0032】
なお、畝成形体16を上下方向に回動させる駆動手段は、油圧シリンダ31には限定されず、例えば図示しないが、空気圧シリンダや、電動モータ等でもよい。また、畝成形体16にて成形される畝の列数や形状等は任意である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の農作業機の一実施の形態を示す一部省略斜視図である。
【図2】同上農作業機の畝立作業状態時の側面図である。
【図3】同上農作業機の非作業持上状態時の側面図である。
【図4】同上農作業機の非作業持上状態時の正面図である。
【図5】同上農作業機の畝成形部の正面図である。
【図6】同上農作業機の作業状況を示す図である。
【図7】図6に続く作業状況を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 農作業機
3 機体
8 ロータリ耕耘体
16 畝成形体
24 上面部成形板
31 駆動手段である油圧シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
この機体に回転可能に設けられ、回転しながら耕耘作業をするロータリ耕耘体と、
前記機体に上下方向に回動可能に設けられ、上方への回動により非作業持上状態となり、下方への回動により前記ロータリ耕耘体にて耕耘された耕耘土を所定形状の畝に成形する畝立作業状態となる畝成形体と
を備えることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
畝成形体を上下方向に回動させる駆動手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
畝成形体は、畝の上面部を成形する高さ調節可能な上面部成形板を有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−55113(P2006−55113A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242263(P2004−242263)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】