説明

農作業機

【課題】トラクタの後方に連結される農作業機の作業時間を確認するための稼働時間確認手段を設けた農作業機を提供する。
【解決手段】トラクタの後方に連結されて、トラクタのPTO軸11にジョイント12等の回転伝達手段を介して回転を伝達して作業を行う農作業機において、回転部の回転数により作業時間を算出する稼働時間確認手段55を設けるとともに、前記回転部に発電装置を設け、さらに前記回転部の回転を検知する回転認識センサを設けることを特徴とする農作業機。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部に装着され、走行機体の走行に応じて進行しながら走行機体から伝達される動力によって作業を行う農作業機に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開平05−338467号公報 従来、例えばトラクタ本体に設けられた表示部に稼動時間を表示するアワメータを設けた農作業機が知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のようにエンジンを搭載した農作業機であるトラクタ本体の稼働時間は、アワメータ等で確認することができるが、トラクタ後部に装着されて作業を行う例えばロータリ等の作業機の稼働時間を確認するにはトラクタ本体の稼働時間を確認するしかなかった。
つまり、トラクタ本体に装着される作業機が一種類ではなく、複数、例えばロータリ作業機と代掻き作業機と畦塗り作業機等を作業の種類によって付け替えて使用した場合、それぞれの作業時間を確認する手段が無いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の農作業機は、トラクタの後方に連結されて、トラクタのPTO軸にジョイント等の回転伝達手段を介して回転を伝達して作業を行い、回転部の回転により作業時間を算出する稼働時間確認手段を設けたものである。
請求項2に記載の農作業機は、前記回転部の回転数により作業時間を計測する稼働時間確認手段を設けたものである。
請求項3に記載の農作業機は、前記回転部に発電装置を設け、発電手段から作業時間を計測する稼働時間確認手段を設けたものである。
請求項4に記載の農作業機は、前記回転部が回転しているか止まっているかを検知する回転認識センサを設け、回転部が回転している間、作業時間を計測する稼働時間確認手段を設けたことを特徴とする
【発明の効果】
【0005】
請求項1に係る発明によれば作業機の回転部の回転により作業時間を算出する稼働時間確認手段を設けたことにより、作業機毎の稼動時間を確認することができる。
【0006】
請求項2に係る発明によれば作業機の回転部の回転数により作業時間を計測する稼働時間確認手段を設けたことにより、簡単な構成で稼動時間を確認することができる。
請求項3に係る発明によれば作業機の回転部に発電装置を設け、発電手段から作業時間を計測する稼働時間確認手段を設けたことにより、正確な稼動時間を確認することができる。
請求項4に係る発明によれば作業機の回転部が回転しているか止まっているかを検知する回転認識センサを設け、回転部が回転している間、作業時間を計測する稼働時間確認手段を設けたことにより、正確な稼働時間を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機であるロータリ作業機の側 面図である。
【図2】同上農作業機の部分平面図である。
【図3】本発明の第2の実施例を表す部分平面図である。
【図4】本発明の第3の実施例を表す部分平面図である。
【図5】本発明の他の農作業機である畦塗り作業機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の農作業機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0009】
図1及び図2に示されるように、10は農作業機で、この農作業機10は、走行車であるトラクタ1に連結された状態でトラクタの走行により圃場を耕耘する農作業機である。
【0010】
農作業機10は、トラクタ後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体5を備えている。
【0011】
機体5は、一端部である左端部にチェーンケース部26を有し、他端部である右端部にブラケット部28を有し、これら左右のチェーンケース部26およびブラケット部28間には入力軸15側からの動力で左右方向の耕耘軸20を中心として所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリ式の耕耘体23が回転可能に配設されている。
【0012】
耕耘体23は、左端部がチェーンケース部26にて回転可能に支持されかつ右端部がブラケット部28にて回転可能に支持された左右方向長手状の回転軸である耕耘軸20と、この耕耘軸20のうちこの耕耘軸20の軸方向に所定間隔をおいた複数のフランジ21に放射状に突設された複数の耕耘爪22とを有している。
耕耘軸20は、チェーンケース部26内のチェーン35、フレームパイプ部30内の伝動シャフト31およびミッションケース部7内のベベルギア32等にて構成された動力伝達手段8を介して入力軸15に接続されている。入力軸15は、トラクタのPTO軸11にジョイント等からなる動力伝達手段12を介して接続される。
【0013】
また、機体5は、耕耘体23の上方を覆う耕耘部カバー部であるカバー部25を有している。そして、カバー部25の後端部には、耕耘体23の後方で圃場面に追従するように機体5に対して左右方向の回動中心線を中心として上下方向に回動しながら整地作業をする略板状の整地体である均平板24が上下方向に回動可能に設けられている。
【0014】
均平板24は、耕耘体23と略同じ作業幅をもつ左右方向長手状のもので、平面視で略矩形板状をなす形状に形成されている。
【0015】
また、農作業機10は図1及び図2に示されるように、入力軸15のミッションケース部7側近傍に第1ギア50が取り付けられ、入力軸の回転に伴い第1ギア50も回転する。
【0016】
なお、第1ギア50は図2に示すように、第2ギア51と噛み合うように配設され、第2ギア51は稼働時間表示手段55に軸52を介して接続されている。
【0017】
つまり、トラクタのPTO軸11に動力伝達手段12を介して接続される入力軸15はトラクタのPTO軸の回転と同じ回転数で回転する。トラクタのPTO軸11の回転数は、例えば1分間に540回転する。この回転数はトラクタの種類、作業機の種類によって変わることがある。
【0018】
そして、入力軸15が回転すると、入力軸15のミッションケース部7側近傍に固定的に取り付けられた第1ギア50が回転し、その回転に伴い第2ギア51が回転する。第2ギアの回転は軸52を介して稼働時間表示手段55に伝達される。稼働時間表示手段55は、例えばアワメータ等で構成され、軸52の回転数を基にどの位の時間作業が行われたのかを表示する。
なお、トラクタのPTO軸11の回転数が異なる場合でも、作業時間を把握することが可能である。農作業機10の種類によってPTO軸11の回転数を変えて作業を行う他の農作業機に稼働時間表示手段55を取り付ける場合は第1ギア50と第2ギア51のギア比を変更することで正確な作業時間を表示することができる。
次に、農作業機10の作用等を説明する。
【0019】
水田等の圃場においてトラクタ1の前進走行により農作業機10を進行方向前方に移動させると、耕耘体23にて耕耘作業が行われ、この耕耘体23の後方で、均平板24にて整地作業が行われる。
【0020】
トラクタ1のPTO軸11に動力伝達手段12を介して接続される入力軸15はPTO軸11と同じ回転数で回転する。入力軸15に取り付けられた第1ギア50は入力軸15と共に回転し、その回転を第2ギア51及び軸52を介して稼働時間表示手段55に伝えられる。
ここで、例えばトラクタ1に取り付けた農作業機10であるロータリ作業機を取り外し、図5に示す他の農作業機80である畦塗り作業機をトラクタ1に取り付けて作業を行った場合においても、農作業機10と同様に稼動時間を確認することができる。
【0021】
つまり、農作業機80の入力軸85に取り付けられた第1ギア81と、第2ギア82と、軸83に伝達された回転数により稼働時間を表示する稼働時間表示手段84を設けることで、農作業機80の実際の稼動時間を確認することができる。
【0022】
さらに、図3に示す第2の実施例のように入力軸15に第1ギア50を取り付け、第2ギア51に軸52を介して回転を発電装置62に伝えることで、発電装置62が発電している間(入力軸15が回転している間)のみ配線63を通じて、稼働時間表示装置65に電気(電流)を流すことで作業機の稼働時間を表示させることが可能となる。
【0023】
この場合、稼働時間表示装置65は電気(電流)が流れた時間を計測してその時間を表示するように構成されているので、回転数から稼動時間を算出する実施例1に比べより正確な稼働時間を表示することが可能となる。
【0024】
また、第2の実施例の構成によると、PTO軸11の回転数が規定の回転数以外で農作業機10を使用した場合でも、正確な稼動時間を表示することが可能であるのはもちろんのこと、PTO軸11の回転数が変動する作業機(例えば施肥作業機)にも対応が可能となる。
そして、図4に示す第3の実施例のように入力軸15に第1ギア50を取り付け、第1ギア50が回転しているか止まっているかを検知する回転確認センサ70をセンサ取付部材71にて固定して、第1ギア50の回転を検知して、回転している間のみ作業を行っていると認識してハーネス72を介してその時間を稼働時間表示装置75に表示させることが可能となる。
この場合、稼働時間表示装置75は実回転時間を表示するように構成されているので、実施例2と同様正確な稼動時間を表示することが可能となる。
また、回転部が回転しているかを検知する回転認識センサ70は近接センサ又は回転センサ等で構成することが可能である。
そして、回転認識センサを作動させるための電源は、稼働時間表示装置75内に設けられた電池を使用する場合、トラクタのバッテリー電源を使用する場合等が考えられるが、作動させられるものであれば電源は任意である。
【0025】
さらに、図2ないし図4に示す構成には限定されず、回転部であれば入力軸15以外の回転を基に稼働時間を算出した場合も同様の効果が得られる。
そして、このような稼働時間表示装置を耕耘作業機である農作業機10や畦塗り作業機である農作業機80等の作業機毎に取り付けておくことで、使用する作業機すべての実際の稼動時間を把握することができる。
つまり、稼働時間表示装置を農作業機10や農作業機80側に設けることにより、複数の作業機をトラクタ1に取り付けて使用した場合においても、作業機毎の稼動時間を把握することが可能となるので、オイル交換等のメンテナンス時期の確認や、消耗品の交換時期等が、作業機毎に確認可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1 トラクタ
10、80 農作業機
11 トラクタPTO軸
12 ジョイント
15、85 入力軸
50、81 第1ギア
51、82 第2ギア
52、83 軸
55、65、75、84 稼働時間表示手段
62 発電装置
70 回転確認センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタの後方に連結されて、トラクタのPTO軸にジョイント等の回転伝達手段を介して回転を伝達して作業を行う農作業機において、回転部の回転により作業時間を算出する稼働時間確認手段を設けたことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記回転部の回転数により作業時間を計測する稼働時間確認手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記回転部に発電装置を設け、発電手段から作業時間を計測する稼働時間確認手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項4】
前記回転部の回転を検知する回転認識センサを設け、回転部が回転している間、作業時間を計測する稼働時間確認手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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