説明

農作業車

【課題】パラソルを安定よく強固に支持でき、簡単な構成でありながら、分解組立が容易なパラソル支持装置を備えた農作業車を具現する。
【解決手段】運転席(5)の前側に立設した操作ボックス(6)上にアーチ状の固定ハンドル杆(7)を突設し、該固定ハンドル杆(7)には運転席(5)の上方を覆うパラソル(12)の支持具(13)を挿入固定する取付ボス部(14)を備えたパラソル取付ステー(15)を支持する。また、パラソル(12)は、取付ボス部(14)に対して上下方向の縦軸芯(Y)を回動支点として所定の旋回半径(R)を保って旋回することにより位置変更可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインや田植機等の農作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、機台上に立設した操作ボックスの右側上側部にパラソル軸(柄)の中途部を支持する中間取付部材と、パラソル軸の下端部を機台側に嵌挿支持する下部取付部材とを設けてなるパラソル取付構造が開示されている。
【特許文献1】特開2003−47320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来構成のものでは、非常に長いパラソル軸を必要とし、上下2箇所の取り付けによらないと安定良く強固に支持できないものであり、分解組立にも手間を要する問題がある。
【0004】
本発明の課題は、上記問題点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、運転席(5)の前側に立設した操作ボックス(6)上にアーチ状の固定ハンドル杆(7)を突設し、該固定ハンドル杆(7)には運転席(5)の上方を覆うパラソル(12)の支持具(13)を挿入固定する取付ボス部(14)を備えたパラソル取付ステー(15)を支持したことを特徴とする農作業車とする。
【0006】
強化された固定ハンドル杆(7)にパラソル取付ステー(15)を取り付けるので、安定した強固な支持構成が得られる。取付ボス部(14)にパラソル支持具(13)を挿入固定するだけの簡単な構成でありながら、分解組立工数がかからず簡単に行うことができる。
【0007】
請求項2記載の本発明は、前記パラソル(12)は、取付ボス部(14)に対して上下方向の縦軸芯(Y)を回動支点として所定の旋回半径(R)を保って旋回することにより位置変更可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の農作業車とする。
【0008】
パラソル(12)は、取付ボス部(14)に対して上下方向の縦軸芯(Y)回りに回動可能で、所定の旋回半径(R)を保って旋回することにより位置変更できるので、パラソルの左右前後位置を調節することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、パラソル取付ステー(15)を強固に保持された既存の固定ハンドル杆(7)に装着するので、パラソル(12)を安定よく強固に保持することができ、取付ボス部(14)にパラソル(12)の支持具(13)を挿入固定するだけの簡単な構成でありながら安価に実施でき、分解組立工数も従来のものに比べて半減し簡単に行うことができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、パラソル(12)は、取付ボス部(14)に対して上下方向の縦軸芯(Y)回りに所定の旋回半径を保って旋回するので、パラソル(12)の左右前後位置を大きく調節することができ、また、その位置調節は、取付位置を変更することなく、運転席(5)部から容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、農作業車の一例としてコンバインを示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀部(脱穀装置)3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5やフロント操作ボックス6等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0012】
フロント操作ボックス6上にはアーチ状の固定ハンドル杆7が突設され、操作ボックスに対して強固に保持されている。操作ボックス6の右側には、左右方向の操作で機体の進行方向を操向制御し、前後方向の操作で刈取部4を昇降制御するパワステレバー8が設置されている。なお、運転席左側のサイド操作ボックス9上には変速レバー10等が配置されている。
【0013】
前記固定ハンドル杆7には、パラソル12を支持する支持具13を挿入固定するための中空の取付ボス部14を一体的に構成したパラソル取付ステー15が取り付けられ前方に延出して設けられている。パラソル13は、運転席に着座するオペレータの上方を覆う日除け或いは雨除けが可能な構成になっており、パラソル支持具13が取付ボス部14に挿通されて締付固定具16により締付固定される。
【0014】
パラソル支持具13は、取付ボス部14に挿通する鉛直方向の支持杆部13aと、横向き水平方向に折り曲げられたクランクアーム部13bと、鉛直方向の軸筒部13c及びこれに挿通固定するパラソル軸部(柄)13dとからなるように側面視でクランク状に構成されている。そして、パラソル支持具13の支持杆部13aが取付ボス部14に対して上下方向の縦軸芯Y回りに回動固定自在に構成されている。従って、締付固定具16を緩めてクランクアーム部13bを縦軸芯Y回りに旋回させれば、パラソル12がクランクアーム部13bの旋回半径Rの範囲内で左右前後に位置変更されることになる。また、支持杆部13aを取付ボス部14に対して上下方向にスライド調節すれば、パラソルの高さ位置をオペレータの体格に応じて任意に調節することができる。また、パラソル12は、クランクアーム部13bの先端に設けた軸筒部13cに対してもパラソル軸部16dの上下動調節が締付固定具16を介しての操作で行えるように構成している。
【0015】
また、前記クランクアーム部13bは、図3に示すように、旋回半径Rのアーム長さを伸縮調節できるように構成しておくと、日差しの方向に合ったパラソルの位置変更範囲が更に拡大することになる。
【0016】
図4及び図5は、パラソルの構成を示し、パラソル12の折畳み時、フォーク19を伸縮移動させるスライダー19よりパラソル軸13dが短くなり、スライダー19からパラソル軸が外れるように構成している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】パラソル支持装置の要部側面図
【図4】パラソル開時の側面図
【図5】パラソル閉時の側面図
【符号の説明】
【0018】
5 運転席
6 フロント操作ボックス
7 固定ハンドル杆
12 パラソル
13 パラソル支持具
14 取付ボス部
15 パラソル取付ステー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席(5)の前側に立設した操作ボックス(6)上にアーチ状の固定ハンドル杆(7)を突設し、該固定ハンドル杆(7)には運転席(5)の上方を覆うパラソル(12)の支持具(13)を挿入固定する取付ボス部(14)を備えたパラソル取付ステー(15)を支持したことを特徴とする農作業車。
【請求項2】
前記パラソル(12)は、取付ボス部(14)に対して上下方向の縦軸芯(Y)を回動支点として所定の旋回半径(R)を保って旋回することにより位置変更可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の農作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−51230(P2010−51230A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218904(P2008−218904)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】