説明

農作物運搬装置

【課題】畝の幅が異なる畑や丈の異なる農作物にも適用でき、路面の凹凸が激しい場合やぬかるんでいる場合でも、畝を跨いだ状態で容易に移動させて使用することが可能な農作物運搬装置を提供することを目的とする。
【解決手段】農作物運搬装置1aは、円管状の湾曲部2a及び直部3とから構成される略U字状の複数の枠体4aが支持部5によって並列に連結されるとともに、収穫した農作物9の実10を一時的に収容するための収納部6が直部3に外嵌された円管状の保持部7によって枠体4aに昇降自在に設置され、直部3の下部に一対のソリ状の滑走体8からなる走行部が農作物9を生育する畝11を挟むように配置され、収納部6はフレーム12a〜12cによって形成される略矩形状部分に網状体13が取り付けられた構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝を作って栽培する野菜や果物等の農作物を収穫して運搬する農作物運搬装置に係り、特に、畝を跨いだ状態で移動させて使用する農作物運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畝を作って栽培する農作物は、例えば、籠を持った作業者が畝に沿って移動しながら収穫し、運搬していた。しかしながら、一度に運搬可能な量は限られているため、作業者は何度も同じところを往復する必要があり、運搬作業に時間を要するととともに、作業者にとっても重労働となっていた。
このような課題に対処するため、収穫した農作物を一時的に収容し、運搬する装置に関していくつかの発明や考案が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「たばこ葉運搬車」という名称で、圃場内で幹刈りしたたばこ葉を積み込み、畦とたばこの残幹を跨いで走行できるように構成された車両枠体を有する運搬車に関する発明が開示されている。
【0004】
以下、図6を参照しながら、特許文献1に開示された発明について説明する。
図6は従来技術に係る幹刈りされたたばこを運搬するたばこ葉運搬車の斜視図である。
図6に示すように、従来技術に係る発明は、正面から見て略W字状をなす一対の機体フレーム101に底板105及び側板106が嵌め込まれるとともに、前後方向に前輪102及び後輪103が取り付けられ、中央部に走行制御装置(図示せず)やバッテリ107及びモータ108が設置され、その両側にたばこ葉を載置する荷台104が設けられた構造となっている。
上記構造の「たばこ葉運搬車」においては、畦U及び幹刈り後のたばこの残幹Rを跨いで走行させることが可能である。また、畦U両側の谷部上方に低く配置された荷台104にたばこ葉を嵩高く積み重ねることができるため、運搬作業の効率が上がる。
【0005】
また、特許文献2には「収穫台車」という名称で、畝を作って栽培する、丈の低い農作物を収穫して運搬する台車に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、上部に座席が設けられるとともに下部にギャドモーターが取り付けられた車体の下面に固定型及び自在型の車輪が縦に配置され、車体に対してほぼ直角をなすとともに長さを調整可能に設置されたアームの上及び反対側に各々箱が載るような枠が設けられ、アームの先端に自在型の車輪とバッテリが取り付けられている。そして、バッテリによってギャドモーターを駆動して固定型の車輪を回転させる構造となっている。
上記構造の「収穫台車」においては、台車に腰掛けたままで農作物を収穫できるため、収穫作業を楽に行うことができる。また、アームの長さを調整できるため、幅の広い畝に対しても適用できる。
【0006】
さらに、特許文献3には「作業用運搬車」という名称で、畝を跨いだ状態で使用できる作業用運搬車に関する考案が開示されている。
特許文献3に開示された「作業用運搬車」は、互いに平行に配置された支持フレームに対して略直立状態に取付けられた支持部材の上端部にエンジン部及び操作部を載置するための台枠が設置されたフレーム部が取り付けられ、支持フレームの各側面には無端伝動帯を有する走行部が設けられ、フレーム部の上部には昇降部によって略水平状態で上下動する荷台が設けられた構造となっている。そして、操作部が台枠の一側に偏倚させて取り付けられていることを特徴とするものである。
上記構造の「作業用運搬車」においては、地面と荷台の間が空いているため、畝を跨いだ状態での走行が可能である。また、走行部が無端伝動帯を有しているため、路面がぬかるんでいる場合や凹凸が激しい場合でもスムーズな走行が可能である。さらに、操作部が台枠の一側に偏倚させて取り付けられているため、畝間を歩きながら操作することができる。
【特許文献1】特開2004−24105号公報
【特許文献2】特開平10−309116号公報
【特許文献3】特開平5−112175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明においては、幹刈りされたたばこ葉より丈の高い農作物や幅の広い畦に対しては適用できないという課題があった。
【0008】
特許文献2に開示された発明においては、丈の高い農作物に対しては適用できず、また、路面が軟らかい場合には走行が困難になるという課題があった。
【0009】
特許文献3に開示された考案においては、畝の幅が異なる畑や丈の異なる農作物には適用できないおそれがあった。また、エンジンや操作部を搭載しており、重量が重いため、小回りが効かず、特に小さな畑等において方向転換させる場合には操作性が悪いという課題があった。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、畝の幅が異なる畑や丈の異なる農作物にも適用可能であるとともに、路面がぬかるんでいる場合や凹凸が激しい場合でも畝を跨いだ状態で容易に移動させて使用することができる農作物運搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である農作物運搬装置は、農作物を収穫しながら畝に沿って移動可能な農作物運搬装置において、湾曲部とこの湾曲部から延設される直部を備える略U字又は門型形状の複数の枠体と、この複数の枠体を並列に連結する支持部と、並列に連結された枠体に設置され収穫した農作物を一時的に収容する収納部と、枠体の下部に畝を挟んで設置された一対のソリ状の滑走体を備えた走行部とを有することを特徴とするものである。
このような構成の農作物運搬装置においては、枠体が畝を跨ぐように配置されているため、農作物の丈が高い場合でも、移動の際に農作物を傷めることがなく、農作物の収穫や運搬の際の姿勢が安定するという作用を有する。また、走行部が一対のソリ状の滑走体により構成されており、路面との接触面積が広いため、路面がぬかるんでいる場合でも、めり込みにくいという作用を有する。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の農作物運搬装置において、収納部は、上下方向の位置を変更可能な保持部を備えて枠体に設置されることを特徴とするものである。
このような構成の農作物運搬装置によれば、農作物の高さに応じて収納部の高さを変更できるため、収納部との接触によって農作物が傷められることがないという作用を有する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の農作物運搬装置において、収納部は、両端が保持部に固定される第1のフレームと、この第1のフレームと直角をなすように保持部に一端が固定される第2のフレームと、2本の第2のフレームを連結する第3のフレームと、第1乃至第3のフレームに着脱自在に取り付けられた網状体とを備えることを特徴とするのである。
このような構成の農作物運搬装置によれば、収納部に収納された農作物に付着している不用な土が網状体の網目からふるい落とされるという作用を有する。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の農作物運搬装置において、両端部の枠体に設置される第2のフレームに代えて、第1のフレームに対して鋭角をなすように保持部に一端が固定されるガイドフレームを備え、このガイドフレーム下方の収納部端部に網状体が取り付けられ、この収納部端部の網状体は、ガイドフレーム付近が最も浅く、ガイドフレームから離れるに従って徐々に深くなるように傾斜を設けて設置されることを特徴とするものである。
このような構成の農作物運搬装置によれば、農作物がガイドフレームに沿って案内されて、農作物運搬装置の略中央に配置されるという作用を有する。また、収穫された農作物の収納部端部からの落下を防ぐという作用を有する。さらに、収納部端部の網状体が傾斜しているため、収穫された農作物が収納部から容易に取り出されるという作用を有する。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の農作物運搬装置において、枠体は、湾曲部で分割され、一対の滑走体間の距離を変更可能に分割された湾曲部を連結する調整部を備えることを特徴とするものである。
このような構成の農作物運搬装置によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、分割された湾曲部の連結部分を調整部内の所望の位置で固定することによって、一対の滑走体間の距離が調整されるという作用を有する。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の農作物運搬装置において、走行部は、ソリ状の滑走体に代えて車輪で構成されることを特徴とするものである。
このような構成の農作物運搬装置によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、移動させる際に路面の凹凸から受ける抵抗が小さくなるという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の農作物運搬装置においては、畝を傷めることなく、小さな力で移動させることができるため、収穫された農作物の運搬に要する労力が低減される。また、収納部が畝の両側に配置されているため、作業者は農作物を収穫する際に安全な姿勢で作業できる場所を選ぶことができる。従って、作業の安全性が高まるとともに、過って畝が踏み荒らされるおそれがない。さらに、構造が簡単なため、運搬や収納が容易であるとともに、製造コストを安くすることができる。
【0018】
本発明の請求項2に記載の農作物運搬装置においては、請求項1に記載の発明の効果に加えて、丈の異なる農作物に対しても、安全に収穫作業を行うことができる。
【0019】
本発明の請求項3に記載の農作物運搬装置においては、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、収穫された農作物の運搬作業及び収納部からの取り出し作業に要する労力が低減される。また、収納部をフレームから取り外すことにより、倉庫等に収納する場合のスペースを節約することができる。
【0020】
本発明の請求項4に記載の農作物運搬装置においては、請求項3に記載の発明の効果に加えて、農作物が畝の中心から外れた位置に生育している場合であっても、効率よく収穫作業を行うことができる。また、収穫された農作物の運搬作業も容易となる。
【0021】
本発明の請求項5に記載の農作物運搬装置においては、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、畝や農作物の幅に応じて滑走体間の幅を調節できるため、畝や農作物を傷めることがない。また、倉庫等に収納する場合に、滑走体間の幅を最小にすることによって、収納スペースを節約することができる。
【0022】
本発明の請求項6に記載の農作物運搬装置においては、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、路面に凹凸がある場合でも、小さな力で移動させることができるため、収穫された農作物を容易に運搬することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係る農作物運搬装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0024】
実施例1について図1を用いて説明する(特に請求項1乃至請求項3に対応)。
図1(a)は本発明の実施の形態に係る農作物運搬装置の実施例1の外観図であり、(b)は収納部の部分拡大図であり、(c)は収納部の枠体への取り付け状態を示す図である。
図1(a)及び(b)に示すように、本実施例の農作物運搬装置1aは、円管状の湾曲部2a及び直部3とから構成される略U字状の複数の枠体4aが支持部5によって並列に連結されるとともに、収穫した農作物9の実10を一時的に収容するための収納部6が直部3に外嵌された円管状の保持部7によって枠体4aに昇降自在に設置されるものである。そして、直部3の下部には一対のソリ状の滑走体8からなる走行部が農作物9を生育する畝11を挟むように配置され、収納部6はフレーム12a〜12cによって形成される略矩形状部分に合成樹脂製の網状体13が取り付けられた構造となっている。なお、フレーム12aは異なる枠体4aに設置された2本の保持部7を連結し、フレーム12bはフレーム12aに対して略直角をなすようにその一端が保持部7に固定され、フレーム12cは2本のフレーム12b同士を連結している。網状体13の四隅は、図1(b)に示すように、紐状体14a,14bによってフレーム12a〜12cにそれぞれ緊結されている。
図1(c)に示すように、保持部7の両側面には複数のネジ孔16aが所定の間隔で穿設されており、直部3の両側面にはネジ15aを挿通させる複数の貫通孔19が穿設されている。そして、ネジ孔16aと貫通孔19との位置を合わせて、ネジ15aをネジ孔16aに螺挿することにより、保持部7は直部3に固定される。
【0025】
このような構成の農作物運搬装置1aにおいては、畝11を跨ぐように枠体4aが配置されているため、農作物9の実10の収穫及び運搬の際に不安定な姿勢になることがない。また、路面との接触面積が広いため、滑走体8が路面にめりこみ難い。農作物9の高さに応じて収納部6の高さを容易に変更できるため、収納部6との接触によって農作物9が傷められる危険性がない。
【0026】
次に、収穫した農作物9の実10を収納部6から取り出す作業について図2を用いて説明する。
図2は収納部から農作物を取り出す方法を示す実施例1の農作物運搬装置の正面図である。なお、図1の構成要素と同じものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2に示すように、農作物9の実10の収穫作業が終わると、農作物運搬装置1aは畑の外に運搬され、収納部6の下方に箱17が設置される。その後、フレーム12b,12cに網状体13を緊結している紐状体14aを解くと、網状体13のフレーム12c側の端が垂れ下がる。これにより、網状体13内の実10は箱17の中へ移動する。
【0027】
以上説明したように、本実施例の農作物運搬装置1aにおいては、枠体4aや収納部6や滑走体8によって畝11を傷めることなく、安全に移動させることができる。また、路面がぬかるんでいる場合であっても、小さな力で移動できるため、収穫した農作物9の実10を効率良く運搬することができる。さらに、畝11の両側に収納部6が配置されているため、作業者は畝11の両側どちらからでも農作物9の実10を収穫することが可能である。従って、作業者は無理な体勢になることなく、安全に作業をすることができる。また、過って畝11を踏み荒らす心配もない。加えて、農作物9の高さに応じて収納部6の高さを変更することにより、様々な高さの農作物9に対して同一の農作物運搬装置1aを使用することができるため、効率が良い。さらに、構造が簡単であるため、製造コストを安くすることができるとともに、運搬や収納が容易である。また、収納部6に収容された農作物9の実10を箱17に移す作業を効率良く行うことが可能である。
【0028】
本実施例では、軽量化のために枠体4aや支持部5やフレーム12a〜12cを合成樹脂製の円管状部材とするが、これに限定されるものではなく、中実構造としても良い。この場合、これらの各部材の剛性が高くなるため、農作物運搬装置1a全体としても頑丈な構造となる。そして、上記円管状部材は、軽金属製としても良い。さらに、枠体4aは略U字状に代えて門型形状としても良い。
また、滑走体8は必ずしも両端が上方に折り曲げられた構造とする必要はなく、少なくとも一端が上方に折り曲げられた構造であれば良い。
網状体13は合成樹脂製に限定されるものではなく、ステンレス製あるいはそれ以外の軽金属製としても良い。また、網状体13はフレーム12a〜12cで形成される略矩形状部分に着脱自在に嵌合される箱型形状とすることもできる。そして、網状体13のフレーム12a〜12cへの固定は紐状体14a,14bの代わりにネジを用いても良い。
ネジ15aによる保持部7の固定は、本実施例に示す方法に限定されるものではない。すなわち、ネジ孔16aの位置や個数は図1(a)に示すものに限られない。また、保持部7にネジ孔16aの代わりに貫通孔19を穿設するとともに、直部3に複数のネジ孔16aを設け、保持部7の貫通孔19に挿通させたネジ15aをこのネジ孔16aに螺挿する構造としても良い。さらに、直部3のネジ孔16aも貫通孔19とし、ネジ15aの代わりにピンを保持部7及び直部3の貫通孔19に挿通させる構造とすることもできる。
【実施例2】
【0029】
実施例2について図3を用いて説明する(特に請求項5に対応)。
図3(a)及び(b)はともに本発明の実施の形態に係る農作物運搬装置の実施例2の正面図である。なお、図1及び図2の構成要素と同じものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の農作物運搬装置1bは、実施例1において略U字状の枠体4aに代えて、湾曲部2b及び直部3,3aとから構成される枠体4bを備え、枠体4bは直部3aで分割されるとともに、直部3aの端部が調整部18内に矢印の向きに摺動自在に挿設されて門型状を形成している。そして、調整部18の側面に設けられたネジ孔16bにネジ15bを螺挿することによって、直部3aの落脱を防ぐ構造となっている。なお、図示していないが、調整部18は支持部5によって並列に連結されている。
このような構造の農作物運搬装置1bにおいては、直部3aを調整部18内で摺動させ、所望の位置で固定することによって、一対の滑走体8間の距離が調整されるという作用を有する。
【0030】
以上説明したように、本実施例の農作物運搬装置1bにおいては、幅の異なる畝11や畝11aに対して、滑走体8間を調節して適切な幅に設定できるため、畝を傷めるおそれがない。また、倉庫等に収納する際には滑走体8間の幅を最小にすることによって、収納スペースを節約することができる。なお、直部3aを調整部18から抜いて農作物運搬装置1bを分解すれば、収納スペースをさらに節約することが可能である。
【0031】
なお、ネジ15bによる直部3aの固定は、本実施例に示す方法に限定されるものではない。すなわち、ネジ孔16bの位置や個数は2個に限らず、3個以上であっても良い。また、調整部18にネジ孔16bの代わりに貫通孔19を穿設するとともに、直部3aに複数のネジ孔16bを設け、調整部18の貫通孔19に挿通させたネジ15bをこのネジ孔16bに螺挿する構造としても良い。さらに、直部3aのネジ孔16bも貫通孔19とし、ネジ15bの代わりにピンを調整部18及び直部3aの貫通孔19に挿通させる構造とすることもできる。
【実施例3】
【0032】
実施例3について図4を用いて説明する(特に請求項6に対応)。
図4本発明の実施の形態に係る農作物運搬装置の実施例3の外観図である。なお、図1の構成要素と同じものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、本実施例の農作物運搬装置1cは、実施例1のソリ状の滑走体8に代えて、車輪20で構成される走行部を備えたことを特徴とするものである。なお、車輪20は自在型又は固定型のどちらでも良い。
このような構造の農作物運搬装置1cにおいては、移動させる際に路面の凹凸から受ける抵抗が小さいという作用を有する。
【0033】
以上説明したように、本実施例の農作物運搬装置1cにおいては、路面に凹凸があっても、収穫された農作物を効率良く運搬することができる。
【実施例4】
【0034】
実施例4について図5を用いて説明する(特に請求項4に対応)。
図5(a)は本発明の実施の形態に係る農作物運搬装置の実施例4の外観図であり、(b)は収納部の一部を拡大した平面図であり、(c)は収納部の一部を拡大した側面図である。なお、図1の構成要素と同じものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5(a)に示すように、本実施例の農作物運搬装置1dは、実施例1において両端部の枠体2aに設置された4本のフレーム12bに代えて、フレーム12aに対して鋭角をなすとともに一端が保持部7に固定された4本のガイドフレーム12dを備え、図5(b)及び(c)に示すように、フレーム12a〜12c及びガイドフレーム12dによって形成される台形状部分及びガイドフレーム12d下方の収納部端部13aに合成樹脂製の網状体13が取り付けられたことを特徴とするものである。
図5(b)に示すように、このような構造の農作物運搬装置1dにおいては、農作物運搬装置1dを矢印Bで示す方向に移動させると、農作物9がガイドフレーム12dに沿って矢印Aで示すように案内されて農作物運搬装置1dの中央に配置されるという作用を有する。また、収納部端部13aに配置される網状体13は、収穫された実10が収納部6aの前後からこぼれ落ちないようにするという作用を有する。
なお、収納部端部13aの網状体13は、ガイドフレーム12d付近が最も浅く、ガイドフレーム12dから離れるに従って徐々に深くなるように傾斜を設けて設置されることが望ましい。この場合、収穫された実10が収納部6aから容易に取り出されるという作用を有する。
【0035】
以上説明したように、本実施例の農作物運搬装置1dにおいては、畝11の中心から外れた位置にある農作物に対しても、収穫作業を効率良く行うことができる。また、収穫された実10の運搬作業も容易である。
【0036】
実施例1乃至実施例4では、枠体4a,4bの一部を湾曲部2a,2bとしているが、枠体4a,4b全体を直部3,3aのみで構成しても良い。また、支持部5の本数及び配置は、上記の実施例に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項6に記載された発明は、根元付近の土を踏み固めることなく、農作物の収穫を行うことができるため、畝を設けずに栽培される農作物に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る農作物運搬装置の実施例1の外観図であり、(b)は収納部の部分拡大図であり、(c)は収納部の枠体への取り付け状態を示す図である。
【図2】収納部から農作物を取り出す方法を示す実施例1の農作物運搬装置の正面図である。
【図3】(a)及び(b)はともに本発明の実施の形態に係る農作物運搬装置の実施例2の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る農作物運搬装置の実施例3の外観図である。
【図5】(a)は本発明の実施の形態に係る農作物運搬装置の実施例4の外観図であり、(b)は収納部の一部を拡大した平面図であり、(c)は収納部の一部を拡大した側面図である。
【図6】従来技術に係る幹刈りされたたばこを運搬するたばこ葉運搬車の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1a〜1d…農作物運搬装置 2a,2b…湾曲部 3,3a…直部 4a,4b…枠体 5…支持部 6,6a…収納部 7…保持部 8…滑走体 9…農作物 10…実 11,11a…畝 12a〜12c…フレーム 12d…ガイドフレーム 13…網状体 13a…収納部端部 14a,14b…紐状体 15a,15b…ネジ 16a,16b…ネジ孔 17…箱 18…調整部 19…貫通孔 20…車輪 101…機体フレーム 102…前輪 103…後輪 104…荷台 105…底板 106…側板 107…駆動装置(バッテリ) 108…駆動装置(モータ) R…たばこの残幹 U…畦 A,B…矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を収穫しながら畝に沿って移動可能な農作物運搬装置において、湾曲部とこの湾曲部から延設される直部を備える略U字又は門型形状の複数の枠体と、この複数の枠体を並列に連結する支持部と、前記並列に連結された枠体に設置され収穫した前記農作物を一時的に収容する収納部と、前記枠体の下部に前記畝を挟んで設置された一対のソリ状の滑走体を備えた走行部とを有することを特徴とする農作物運搬装置。
【請求項2】
前記収納部は、上下方向の位置を変更可能な保持部を備えて前記枠体に設置されることを特徴とする請求項1記載の農作物運搬装置。
【請求項3】
前記収納部は、両端が前記保持部に固定される第1のフレームと、この第1のフレームと直角をなすように前記保持部に一端が固定される第2のフレームと、2本の前記第2のフレームを連結する第3のフレームと、前記第1乃至第3のフレームに着脱自在に取り付けられた網状体とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の農作物運搬装置。
【請求項4】
両端部の前記枠体に設置される前記第2のフレームに代えて、前記第1のフレームに対して鋭角をなすように前記保持部に一端が固定されるガイドフレームを備え、このガイドフレーム下方の収納部端部に前記網状体が取り付けられ、この収納部端部の網状体は、前記ガイドフレーム付近が最も浅く、前記ガイドフレームから離れるに従って徐々に深くなるように傾斜を設けて設置されることを特徴とする請求項3に記載の農作物運搬装置。
【請求項5】
前記枠体は、前記湾曲部で分割され、前記一対の滑走体間の距離を変更可能に前記分割された湾曲部を連結する調整部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の農作物運搬装置。
【請求項6】
前記走行部は、ソリ状の滑走体に代えて車輪で構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の農作物運搬装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−29024(P2007−29024A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218513(P2005−218513)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(505237581)
【Fターム(参考)】