説明

農薬粒剤

【課題】オリサストロビンの水中での溶出を制御することによりオリサストロビンの効果を長期間持続させることができる農薬粒剤を提供すること。
【解決手段】オリサストロビンと、α化デンプンと、ベントナイトと、を含有し、
前記α化デンプン100重量部に対して前記ベントナイトの含有割合が20〜800重量部であることを特徴とする農薬粒剤;α化デンプン及びベントナイトの合計含有量が、5〜45重量%である農薬粒剤;更に非イオン性界面活性剤を含有する農薬粒剤;等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬粒剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種農薬粒剤が開発され、実用に供されている。その1種としてオリサストロビンを農薬活性成分として含有する農薬粒剤が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特表平11−513695
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、薬効の持続等を目的としてオリサストロビンを徐放化することのできる農薬粒剤が求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、オリサストロビンの水中での溶出を制御することによりオリサストロビンの効果を長期間持続させることができる農薬粒剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる状況下鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
オリサストロビンと、α化デンプンと、ベントナイトと、を含有し、
前記α化デンプン100重量部に対して前記ベントナイトの含有割合が20〜800重量部であることを特徴とする農薬粒剤。
[発明2]
α化デンプン及びベントナイトの合計含有量が、5〜45重量%である発明1記載の農薬粒剤。
[発明3]
更にノニオン性界面活性剤を含有する発明1又は2記載の農薬粒剤。
[発明4]
荷重硬度が、350g以上である発明1〜3いずれか一記載の農薬粒剤。
[発明5]
オリサストロビンの含有量が、0.5〜25重量%である発明1〜4いずれか一記載の農薬粒剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、オリサストロビンの水中での溶出を制御することによりオリサストロビンの効果を長期間持続させることができる農薬粒剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の農薬粒剤(以下、本農薬粒剤と記すこともある。)とは、オリサストロビンと、α化デンプンと、ベントナイトと、を含有し、前記α化デンプン100重量部に対して前記ベントナイトの含有割合が20〜800重量部であるものである。
【0008】
本農薬粒剤に用いられる農薬活性成分であるオリサストロビン[化合物名;(2E)-2-(メトキシイミノ)-2-{2-[(3E, 5E, 6E)-5-(メトキシイミノ)-4,6-ジメチル-2,8-ジオキサ-3,7-ジアザノナ-3,6-ジエン-1-イル]フェニル}-N-メチルアセトアミド]は、20℃における水溶解度が80.6mg/lであり、水−オクタノール系中での分配係数の対数値(LogP値)が2.36であるストロビルリン系の殺菌化合物である。尚、オリサストロビンの水溶解度及び水−オクタノール系中での分配係数の出典先は「環境省 水・大気環境局土壌環境課農薬環境管理室発行 オリサストロビンの基準設定に関する資料(参考1) 1概要」に記載されたものである。
本農薬粒剤におけるオリサストロビンの含有量は、通常0.5〜25重量%、好適には2〜20重量%の範囲である。
また、本農薬粒剤にはオリサストロビンと物性の異なる他の農薬活性成分を本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で一種以上更に混合させることも可能であり、この他の農薬活性成分として例えばクロチアニジン等が挙げられる。この場合、オリサストロビンと他の農薬活性成分との合計含有量は、通常0.6〜40重量%、好適には1〜30重量%の範囲である。
【0009】
本農薬粒剤に用いられるα化デンプンとは、糊化状態のデンプンを急速に乾燥する方法等により得られるデンプンである。
α化デンプンの市販品としては、例えばアミコールHF、アミコールC、アミコールKF、アミコールHG−N、アミコールBJ−2、アミコールW、スターチMH−A、アミコールA、アミコールFW(いずれも日澱化学社製)、日食アルスター、日食アルスターH、日食ワキシーα(いずれも日本食品化工社製)、コーンαY、コーンαS-1、工業用タピオカα、工業用タピオカαTP−2、小麦澱粉αWA-105(三和澱粉工業社製)、アミロックスNo.1、アミロックスNo.1A(日本コーンスターチ社製)等が挙げられる。
【0010】
本農薬粒剤に用いられるベントナイトは、モンモリロナイトを主成分とする粘土を指し、カルシウムベントナイト、ナトリウムベントナイトである。ベントナイトの市販品をそのまま用いることができ、具体的には例えば、クニゲルV1、クニゲルV2、クニボンド(クニミネ工業社製)、ベントナイト妙義、ベントナイト富士、ベントナイト浅間、ベントナイト赤城、ベントナイト榛名(ホージュン社製)、島根ベントナイト、出雲ベントナイト、関西ベントナイト(カサネン工業社製)、ミズカエース、ベンクレイ(水澤化学社製)等が挙げられる。
【0011】
本農薬粒剤において、α化デンプンとベントナイトとの含有比率は、α化デンプン100重量部に対して、ベントナイトが20〜800重量部であり、α化デンプンとベントナイトとの合計含有量は、通常5〜45重量%程度であり、好適には10〜45重量%程度である。
【0012】
また、本農薬粒剤は、増量剤成分として、ベントナイトとともに他の増量剤成分が含有されていてもよい。かかる他の増量剤成分としては、通常は本農薬粒剤に含有され得るオリサストロビンと他の農薬活性成分及びα化デンプンと非反応性であり、且つ水に不溶性の固体担体が用いられ、具体的には、例えば、カオリナイト、ディッカナイト、ナクライト、ハロサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等の蛇紋石、パイロフィライト、タルク、ロウ石、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等のシリカ、ドロマイト等の炭酸カルシウム、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、へクトライト等のスメクタイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトの合成スメクタイト、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、ギプサム、石膏等の硫酸塩鉱物、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、軽石、珪藻土、湿式法又は乾式法で製造された微粉ケイ酸(合成シリカ)等が挙げられる。これらの固体担体は1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
尚、これら他の増量剤成分を本農薬粒剤に含有させる場合、α化デンプン、ベントナイト及び他の増量剤成分の合計含有量は、通常50〜99重量%、好適には55〜95重量%程度である。
【0013】
本発明には必要に応じて更に界面活性剤、結合剤、安定化剤、顔料等の製剤用助剤を本発明の効果に影響を及ぼさない範囲にて含有することができる。また、これら製剤用助剤はそれぞれ1種のみで用いてもよく、また2種以上で用いてもよい。
かかる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤;
ドデシルアミン塩酸塩等のアルキルアミン塩酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモルホリニウム塩等のアルキル四級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ポリアルキルビニルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤;
パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム等のエーテルカルボン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等の高級脂肪酸のアミノ酸縮合物、
高級アルキルスルホン酸塩、ラウリン酸エステルスルホン酸塩等の高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、
ジオクチルスルホサクシネート等のジアルキルスルホコハク酸塩、
オレイン酸アミドスルホン酸塩等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸塩等のアルキルアリールスルホン酸塩、
アルキルアリールスルホン酸塩のホルマリン縮合物、
ペンタデカン−2−サルフェート等の高級アルコール硫酸エステル塩、
ジポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、
スチレン−マレイン酸共重合体等のアニオン性界面活性剤;
が挙げられる。
本農薬粒剤において、界面活性剤の合計含有量は、通常は0.1〜5.0重量%であり、好適には0.5〜3.0重量%である。
【0014】
結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール又はその誘導体が挙げられ、特に、ポリビニルアルコールが好適であり、市販品としては日本合成化学社製のG型ゴーセノール、A型ゴーセノール、N型ゴーセノールやクラレ社製の部分けん化ポバール、中間けん化ポバール、完全けん化ポバールが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組合わせて用いても良く、水溶液を調製したものを添加してもよく、粉添加で用いてもよい。
本農薬粒剤において、結合剤の合計含有量は、通常は0.1〜5.0重量%であり、好適には0.5〜3.0重量%である。
【0015】
本農薬粒剤は、オリサストロビン、α化デンプン、ベントナイト及び他の増量剤成分、並びに、任意で用いられる製剤用助剤の混合物に水を加えて混練を行い、得られた混練物を造粒し、造粒物を乾燥する。また、必要に応じて解砕、篩分、整粒等を行い製造することができる。混練の際に用いられる水の含有割合は、該混合物100重量部に対して、通常10〜40重量部程度である。
混練物を押出造粒する際には、通常(パンチング穴径)0.5〜2.0mmφ、好ましくは0.7〜1.5mmφのスクリーンを用いて行われる。押出造粒された後の造粒物は、通常30〜90℃、好ましくは50〜80℃で乾燥する。押出し造粒で得られる本農薬粒剤は、その粒長が通常0.5〜6.0mm、好ましくは0.7〜4.0mmである。なお、本発明において粒長とは、粒が取り得る最大長さを意味する。
本農薬粒剤を製造する際に用いられる練合機としては、ニーダー、ナウターミキサー、レディゲミキサー等が挙げられる。押出造粒機としては、スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ディスクペレッター型押出造粒機、ペレットミル型押出造粒機、バスケット型押出造粒機、プレード型押出造粒機、オシレーティング型押出造粒機、ギア式押出造粒機、リングダイス式押出造粒機等が挙げられ、具体的にはダルトン社製のツインドームグラン、ドームグラン、バスケットリューザー、ペレッターダブル、畑鉄工の畑式造粒機を用いることができる。
解砕や整粒としてダルトン社製のマルメライザーにより押出造粒したものを湿式整粒する方法や乾燥した粒をピンミル等の解砕機により乾式整粒する方法が挙げられる。
【0016】
前記のような製造方法等により得られる本農薬粒剤は、その荷重硬度が通常200g以上、好ましくは350g以上、より好ましくは400〜1000g程度のものである。尚、荷重硬度を200g以上とすることで本農薬粒剤を施用するための適切な硬度に調整することができ、後述する施用方法で特に散粒機等を用いて散粒する場面において施用時に本農薬粒剤が脆く崩れることを防止することができる。
本発明において荷重硬度とは、筒井理化学器械株式会社製の簡易粒体硬度計1形、加圧棒1m/mφを用いて押出し粒の押出し方向に並行する側面(軸方向側面)に対して加圧棒がほぼ直角に接触するような方法により、本農薬粒剤5g程度(約3000〜5000粒)から無作為に選定した20粒を所定の方法で測定したものを平均した値である。
【0017】
本農薬粒剤は農薬の一般的な施用方法によって施用することができ、例えば、手で直接散布する方法や簡易的な散粒機を用いて散粒する方法、更に、背負い式散粒機、パイプ散粒機、空中散粒機、動力散粒機、育苗箱用散粒機、トラクター等に搭載型の散粒機、多口ホース散粒機、田植え機等に付設した散粒機等の散粒機を用いて散粒する方法が挙げられる。また、本農薬粒剤は、含有する農薬活性成分や使用目的に応じて、例えば、水田、乾田、育苗箱、畑地、果樹園、桑畑、温室、露地等の農耕地、森林、芝生、ゴルフ場、街路樹、道路、路肩、湿地等の非農耕地、池、貯水池、川、水路、下水道等の水系等で使用することができる。特に、本農薬粒剤の施用に際しては、本農薬粒剤の農薬活性成分の溶出制御を活用できる場面での使用が好適である。例えば、育苗箱施用、田植時施用、育苗期施用、播種期施用、発芽時施用等の通常農薬が施用される時期よりも早期の施用等は、本発明粒剤の特性の面から好適である。
【実施例】
【0018】
本発明を以下に更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
実施例1
平均粒子径が5.3μm(レーザー回析式粒子径測定器(湿式法))のオリサストロビン微粉末(BASFアグロ社製 純度93.8%)を149.3重量部、ソルポール5080(ノニオン性界面活性剤とシリカ混合物 東邦化学社製)を10.0重量部、アミロックスNo.1A(日本コーンスターチ社製)を50.0重量部、ベントナイト富士(ホージュン社製)を200.0重量部、勝光山クレーS(勝光山鉱業所社製)を590.7重量部をナウターミキサー(不二パウダル社製)で混合し、混合粉末1000重量部を得た。この混合粉末1000重量部をナウターミキサー(不二パウダル社製)で混合しながら練合水240重量部加えて混練物を得た。得られた混練物をバスケット型造粒機(畑鉄工所社製)でパンチング穴径がφ0.9mmで造粒し、流動層乾燥機(パウレックス社製)で乾燥した後、ピンミル(槇野産業社製自由粉砕機)で粗解砕を行った。粗解砕したものを篩過をして、実施例1の農薬粒剤を得た。
【0020】
実施例2
ベントナイト富士を400.0重量部、勝光山クレーSを390.7重量部とした以外は実施例1と同じ操作を行い、実施例2の農薬粒剤を得た。
【0021】
実施例3
ベントナイト富士を300.0重量部、勝光山クレーSを490.7重量部として練合水を230重量部とした以外は実施例1と同じ操作を行い、実施例3の農薬粒剤を得た。
【0022】
実施例4
勝光山クレーSを日東タンカルNN200(日東粉化社製)に替えて、練合水を210重量部とした以外は実施例1と同じ操作を行い、実施例4の農薬粒剤を得た。
【0023】
実施例5
アミロックスNo.1Aを80.0重量部、日東タンカルNN200を560.7重量部とした以外は実施例4と同じ操作を行い、実施例5の農薬粒剤を得た。
【0024】
実施例6
クロチアニジン原体(住友化学社製 純度98.2%)を70.0重量部と勝光山クレーを30.0重量部とをジュースミキサーで混合したのち、混合物をピンミルで粉砕して粉砕物(以下クロチアニジン微粉末 有効成分含量68.7%、平均粒子径11.7μm(レーザー回析式粒子径測定器(湿式法)))を得た。
クロチアニジン微粉末を21.8重量部、実施例1で調製したオリサストロビン微粉末を74.6重量部、アミロックスNo.1Aを50.0重量部、ベントナイト富士を400.0重量部、ソルポール5080を10.0重量部、勝光山クレーSを443.6重量部をナウターミキサーで混合し、混合粉末1000重量部を得た。この混合粉末1000重量部をナウターミキサーで混合しながら練合水250重量部加えて混練物を得た。得られた混練物をバスケット型造粒機(畑鉄工所社製)でパンチング穴径がφ0.9mmで造粒し、流動層乾燥機(パウレックス社製)で乾燥した後、ピンミル(槇野産業社製自由粉砕機)で粗解砕を行った。粗解砕したものを篩過をして、実施例6の農薬粒剤を得た。
【0025】
実施例7
バスケット型造粒機のパンチング穴径をφ1.2mmとした以外は実施例6と同じ操作を行い、実施例7の農薬粒剤を得た。
【0026】
実施例8
ベントナイト富士を200.0重量部、アミロックスNo.1Aを80.0重量部、勝光山クレーSを613.6重量部として、練合水を240重量部とした以外は実施例7と同じ操作を行い、実施例8の農薬粒剤を得た。
【0027】
実施例9
ベントナイト富士を関西ベントナイト(カサネン工業社製)に替えて200.0重量部、勝光山クレーSを643.6重量部として、練合水を220重量部とした以外は実施例7と同じ操作を行い、実施例9の農薬粒剤を得た。
【0028】
実施例10
ベントナイト富士を200.0重量部、勝光山クレーSを643.6重量部として、練合水を220重量部とした以外は実施例6と同じ操作を行い、実施例10農薬粒剤を得た。
【0029】
実施例11
バスケット型造粒機のパンチング穴径を1.2mmとした以外は実施例10と同じ操作を行い、実施例11の農薬粒剤を得た。
【0030】
実施例12
勝光山クレーSを日東タンカルNS2300(日東粉化工業社製)に替えて、練合水を190重量部とした以外は実施例11と同じ操作を行い、実施例12の農薬粒剤を得た。
【0031】
比較例1
実施例1で調製したオリサストロビン微粉末を149.3重量部、ソルポール5080(非イオン界面活性剤とシリカ混合物、東邦化学社製)を10.0重量部、ベントナイト富士(ホージュン社製)を200.0重量部、PVA217S(ポリビニールアルコール、クラレ社製)を30.0重量部、勝光山クレーS(勝光山鉱業所社製)を610.7重量部をナウターミキサー(不二パウダル社製)で混合し、混合粉末1000重量部を得た。この混合粉末1000重量部をナウターミキサー(不二パウダル社製)で混合しながら練合水250重量部加えて混練物を得た。得られた混練物をバスケット型造粒機(畑鉄工所社製)でパンチング穴径φ0.9mmで造粒し、流動層乾燥機(パウレックス社製)で乾燥した後、ピンミル(槇野産業社製自由粉砕機)で粗解砕を行った。粗解砕したものを篩過をして、比較例1の農薬粒剤を得た。
【0032】
比較例2
実施例1で調製したオリサストロビン微粉末を149.3重量部、ソルポール5080を10.0重量部、アミロックスNo.1Aを50.0重量部、勝光山クレーSを790.7重量部をナウターミキサーで混合し、混合粉末1000重量部を得た。この混合粉末1000重量部をナウターミキサーで混合しながら練合水180重量部加えて混練物を得た。得られた混練物をバスケット型造粒機でパンチング穴径φ0.9mmで造粒し、流動層乾燥機で乾燥した後、ピンミルで粗解砕を行った。粗解砕したものを篩過をして、比較例2の農薬粒剤を得た。
【0033】
比較例3
実施例1で調整したオリサストロビン微粉末を149.3重量部、ソルポール5080を10.0重量部、アミロックスNo.1Aを50.0重量部、ベントナイト富士を500.0重量部、勝光山クレーSを290.7重量部をナウターミキサーで混合し、混合粉末1000重量部を得た。この混合粉末1000重量部をナウターミキサーで混合しながら練合水230重量部加えて混練物を得た。得られた混練物をバスケット型造粒機でパンチング穴径がφ0.9mmで造粒し、流動層乾燥機で乾燥した後、ピンミルで粗解砕を行った。粗解砕したものを篩過をして、比較例3の農薬粒剤を得た。
【0034】
比較例4
ベントナイト富士を600.0重量部、勝光山クレーSを190.7重量部とした以外は比較例3と同じ操作を行い比較例4の農薬粒剤を得た。
【0035】
実施例1〜13の結果を表1、2に示し、比較例1〜4の結果を表3に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】












【0038】
試験例1
<水中溶出性試験>
500mlビーカーに300mlの3度硬水を計量し、円形の攪拌子を100rpmで攪拌して水温が25±1℃になるように温度管理する。
所定量の農薬粒剤を攪拌子に巻き込まれないように水中に投下して水温を25±1℃で温度管理して、農薬粒剤を投下してから所定の日(時間)にそれぞれビーカーの中央部より約2mlをサンプリングして所定の方法により溶液中のオリサストロビン濃度を定量して1式より溶出率を算出した。
所定量の農薬粒剤は溶液中のオリサストロビンが全て溶解した時の濃度(最大溶出濃度)とし、最大溶出濃度が25±1ppmになるように供試する粒剤量を調整した。
1式:オリサストロビンの溶出率(%)=サンプリングした溶液中のオリサストロビン濃度(ppm)/水中溶出試験に供試した農薬粒剤の最大溶出濃度(ppm)×100
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によって、オリサストロビンの水中での溶出を制御することによりオリサストロビンの効果を長期間持続させることができる農薬粒剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリサストロビンと、α化デンプンと、ベントナイトと、を含有し、
前記α化デンプン100重量部に対して前記ベントナイトの含有割合が20〜800重量部であることを特徴とする農薬粒剤。
【請求項2】
α化デンプン及びベントナイトの合計含有量が、5〜45重量%である請求項1記載の農薬粒剤。
【請求項3】
更にノニオン性界面活性剤を含有する請求項1又は2記載の農薬粒剤。
【請求項4】
荷重硬度が、350g以上である請求項1〜3いずれか一項記載の農薬粒剤。
【請求項5】
オリサストロビンの含有量が、0.5〜25重量%である請求項1〜4いずれか一項記載の農薬粒剤。

【公開番号】特開2009−298708(P2009−298708A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152616(P2008−152616)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】