近接撮影用ライト
【課題】カメラに簡単に取付けることができ、収納性・汎用性・操作性・携帯性・カメラ保護性に優れたカメラ用ライトを提供する。
【解決手段】鏡筒と対応する開口12を有し、その外周側に円周方向に沿って複数の発光手段を設けた外筐10に対して回転可能であって高さ方向に移動調整可能なロッド17が立設された取付けアーム14の長さ方向に摺動可能に摺動子15を取付け、この摺動子15に取付けねじ16を取付けるようにし、取付けねじ16を介してカメラに対して着脱可能に取付ける。
【解決手段】鏡筒と対応する開口12を有し、その外周側に円周方向に沿って複数の発光手段を設けた外筐10に対して回転可能であって高さ方向に移動調整可能なロッド17が立設された取付けアーム14の長さ方向に摺動可能に摺動子15を取付け、この摺動子15に取付けねじ16を取付けるようにし、取付けねじ16を介してカメラに対して着脱可能に取付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラの近接撮影用ライトに係り、とくにカメラの鏡筒または対物レンズの前方においてその周囲に沿って発光する発光手段を備える近接撮影用ライトに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラによって、鏡筒あるいは対物レンズの前方に近接して配される小物類や花等の静物を撮像する場合に、十分な明るさが得られない場合や、明暗の差をなくしたい場合、あるいは均一なライティングで無影撮影をしたい場合に、近接撮影用ライトを用いる。すなわち近接する物体を撮影する場合に、フラッシュライトを用いても、このフラッシュライトと鏡筒あるいは対物レンズの中心との間の位置がずれているために、物体をまんべんなく照明することができない。またフラッシュライトを用いると、明るいところと暗いところの明暗の差が大きくなる。
【0003】
そこで、従来より近接撮影用ライトが用いられている。近接撮影用ライトは、筐体が円形の開口を備え、この開口の周囲に沿って発光する発光手段が設けられており、このような近接撮影用ライトを鏡筒あるいは対物レンズの前方に取付けるようにしている。このような近接撮影用ライトによって撮影を行なう場合には、上記近接撮影用ライトを予め点灯状態にし、このような状態で上記近接撮影用ライトの発光手段によって対象物を照明しながら撮影を行なう。このような近接撮影用ライトは、鏡筒の外周囲に沿うように発光手段が設けられていてリング状に発光するために、リングライトとも呼ばれている。
【0004】
従来のこのような近接撮影用ライトは、レンズの光軸とライトの光軸の方向を一致させるため、主にカメラの鏡筒のフィルタ取付け用ねじ部に直接ねじ込んで取付けたり、フィルタ取付け用ねじ部にリングアダプタを嵌めてから装着するフィルタねじ方式であった。その一例が、例えば特開2003−177454号公報に示される。このような構成は、カメラのフィルタねじ径が違うと近接撮影用ライトを装着することができなかったり、別部材であるリングアダプタの使用を余儀なくされていた。そのために汎用性に乏しかったり、装着が煩雑となっていた。
【0005】
またカメラ本体に取付けアームを使って取付ける取付けアーム方式の近接撮影用ライトの場合には、ライトの部分と取付けアームとの部分とを分解可能にしておかないと、収納性が乏しい問題があった。とくに、近接撮影用ライトの場合には、汎用性をアップするために、ライト部分を、高さ方向、横方向、および前後方向の3方向に調整可能な構成にする必要があるが、その場合には取付けアーム自体が大きな部品になってしまっていた。さらに3方向をそれぞれ調整するには、取扱いも煩雑になっていた。従って近接撮影用ライトの本体部と取付けアームとが一体であって、しかも収納性および汎用性に優れ、操作性と携帯性と、カメラの保護性に優れたリングライトが望まれている。
【特許文献1】特開2003−177454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、カメラ本体に対して取付け手段を介して容易に取付けることができる近接撮影用ライトを提供することである。
【0007】
本願発明の別の課題は、収納性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0008】
本願発明のさらに別の主要な課題は、汎用性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0009】
本願発明のさらに別の主要な発明は、操作性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0010】
本願発明のさらに別の主要な発明は、携帯性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0011】
本願発明のさらに別の主要な発明は、カメラに対する保護性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0012】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の主要な発明は、ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、前記開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、前記開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、前記発光手段によって撮像対象物を照らしながら前記開口を通して光像を前記カメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、
前記発光手段を収納保持する前記外筐に回転可能な取付けアームを取付け、前記取付けアームによって前記カメラの三脚取付け部に取付けるようにしたことを特徴とする近接撮影用ライトに関するものである。
【0014】
ここで、前記取付けアームの長さ方向に沿って移動調整可能に取付けねじが取付けられ、該取付けねじによって前記カメラの三脚取付け用雌ねじ孔に螺着するようにしてよい。また前記取付けアームにその長さ方向に沿って移動調整可能に摺動子が取付けられ、該摺動子の取付け孔に前記取付けねじが遊嵌されて取付けられてよい。また前記摺動子と前記取付けアームとの摺動部分において、少くとも一方の部材に摺動時に摩擦を発生する材料が用いられるか摩擦が発生する部材が設けられてよい。また前記取付けアームの基端側にロッドが立設され、該ロッドが前記外筐に軸線方向に移動自在に取付けられ、前記発光手段の高さ方向の位置調整が行なわれてよい。また前記外筐に前記ロッドを摺動可能に支持する支持手段が設けられるとともに、該支持手段にロック機構が取付けられ、解除釦を離すと前記ロック機構によって前記ロッドがその状態でロックされてよい。また前記取付けねじの下面に雌ねじ孔が穿設され、該雌ねじ孔によってこの近接撮影用ライトを介して前記カメラが三脚に取付けられてよい。
【0015】
また、前記発光手段の背面側にカメラの鏡筒または対物レンズの周囲と対向するように柔軟な保護カバーが取付けられてよい。また前記保護カバーの中心部に円形の開口が形成されるとともに、該開口の内径が前記鏡筒または対物レンズの外径よりもひとまわり小さいことが望ましい。また中心部の円形の開口の寸法が異なる複数種類の保護カバーが用意され、カメラの鏡筒または対物レンズの大きさに応じて保護カバーを交換できるようにしてよい。
【0016】
本願の別の主要な発明は、ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、前記開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、前記開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、前記発光手段によって撮像対象物を照らしながら前記開口を通して光像を前記カメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、
前記発光手段を備える外筐に高さ方向に移動調整自在にロッドが取付けられるとともに、該ロッドの基端側に連結子が固着され、
前記連結子にX軸方向に移動調整可能にX軸アームが取付けられ、
前記X軸アームの先端部にY軸アームが取付けられ、該Y軸アームの長さ方向に移動可能な取付け手段によって前記カメラに取付けるようにしたことを特徴とする近接撮影用ライトに関するものである。
【0017】
ここで、前記Y軸アームの長さ方向に移動調整可能に取付けねじが取付けられ、該取付けねじによって前記カメラの三脚取付け用雌ねじ孔に螺着するようにしてよい。
【0018】
次に本願発明の好ましい態様について説明する。この態様は、カメラに簡単に取付けることができる汎用タイプの近接撮影用ライト(リングライト)であって、ライト部本体と取付けアームとが連結され、なおかつ収納性・汎用性・操作性・携帯性・カメラ保護性に優れたカメラ用ライトである。
【0019】
すなわちライトの部分と取付けアームの部分とを連結した構造とすることによって、汎用性を持たせつつ収納性・携帯性に優れた近接撮影用ライトにしている。また取付けアームの部分を回転可能な構造にし、カメラ取付け用三脚ねじをスライドベースで仮固定した状態で取付けアームによって移動させることで、1つの操作によって横方向と前後方向の位置決めを可能にし、さらにカメラを取付けアームに仮固定することで取付けアームとカメラの固定角度を変化させながらリングライトを回転させ、レンズの光軸とリングライトの光軸を一致させるための、あおり方向の調整をも同時に可能にしている。また解除釦を押しながらライトをカメラに対して上下させ、解除釦を離すと上下方向の固定ができるようにし、これによって高さ方向の調整をする操作性が向上するようにしている。また取付けアームと摺動子との摺動部分にフリクションを持たせることによって、位置調整時の操作感が向上するようにしている。
【0020】
さらに本形態は、カメラを外した後に再度取付ける場合には、前回取付けた位置とほぼ同じ位置に摺動子が固定されており、カメラ取付け用三脚ねじの位置決め調整がほとんど必要でなくなり、操作性が向上する。なお摺動子の仮固定にフリクション機構の代わりにロック機構を設けてもよい。またライトの後部に軟らかい部材、例えばエラストマーを有する保護カバーを設置することによって、ライト部の位置決めの際に、内部に収納する出没自在の鏡筒(沈胴)やカメラ本体を傷つけるのを防止できるようになる。またレンズ保護カバーの開口の内径を鏡筒の外径よりもひとまわり小さくすることによって、鏡筒が保護カバーの開口に入込むのを防ぎ、レンズに対する横方向の荷重を防止することが可能になる。さらにレンズ保護カバーを取外し可能にすることによって、カメラ本体の鏡筒の外径が当初設定した寸法より小さくなり、レンズに対する横方向の荷重の防止に対応できなくなった場合や、レンズが広角になった場合のレンズ鏡筒による光像の遮断のいわゆるケラレ問題についても、内径が異なるレンズ保護カバーを用意することによってこれらの問題に対応できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本願の主要な発明は、ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、発光手段によって撮像対象物を照らしながら開口を通して光像をカメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、発光手段を収納保持する外筐に回転可能な取付けアームを取付け、取付けアームによってカメラの三脚取付け部に取付けるようにしたものである。
【0022】
従ってこのような近接撮影用ライトによると、その外筐に設けられている取付けアームを介してカメラに取付けることが可能になり、これによって汎用性および操作性に優れた近接撮影用ライトが提供できるようになる。とくに取付けアームが回動式になっているために、このアームの回動と取付け位置の調整とによって、カメラに対する前後方向および横方向の位置決め調整が可能になる。この際、カメラとライトの取付け角度いわゆるあおり方向も同時に調整可能であるため、容易にカメラの光軸とライトの光軸方向を一致させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図1および図2は本実施の形態の近接撮影用ライトの外観を示しており、この近接撮影用ライトは、背面側に段差を有する外筐10を備えており、この外筐10の前面側であって左方位置にはライトカバー11によって覆われた状態で、円周方向に発光する発光手段が設けられる。なお上記ライトカバー11の中央部が開口12になっており、この開口12を通して光像をカメラ内に取込むようにしている。またこの外筐10の上面にはスライドスイッチ13が摺動可能に取付けられている。
【0024】
次にこのような近接撮影用ライトの取付けのための構造について説明すると、この近接撮影用ライトは、取付けアーム14を備えており、この取付けアーム14に対してその長さ方向に摺動可能に摺動子15が取付けられる。摺動子15には取付けねじ16が遊嵌されて取付けられている。また取付けアーム14の基端側の部分にはロッド17が立設されており、このロッド17が外筐10を貫通し、高さ方向に移動調整可能であって、しかも回転可能に連結されている。そして上記外筐10の前面側に解除釦18が設けられ、この解除釦18と連動するロック機構によってロッド17を任意の調整位置でロックできるようにしている。
【0025】
図2はこのような近接撮影用ライトを背面側から見た状態を示しており、背面側の段部19の右側の部分にラバー製の保護カバー20が取付けられるようになっている。そしてこの保護カバー20には円形の開口21が形成されており、この開口21を通してカメラが光像を取込むようになっている。
【0026】
次にこのような近接撮影用ライトの内部構造を図3によって説明する。上記外筐10はフロントキャビネット25とリヤキャビネット26とを備え、これらが前後に互いに軸線方向に接合されるようになっている。そしてフロントキャビネット25とリヤキャビネット26との間にはプリント基板27が配されるようになっている。プリント基板27にはその中心部に円形孔28が形成されるとともに、この円形孔28の円周方向に沿って発光ダイオード(以下LEDという)29が配されている。すなわちここでは、円周方向に沿って30度間隔で合計12個のLED29が配列されている。また上記LED29の点灯回路を構成する電子部品30がプリント基板27上に実装されている。
【0027】
また上記プリント基板27の前面側であってその右方位置には、合成樹脂成形体から成る中空のバッテリーホルダ32が取付けられている。バッテリーホルダ32の上部にはサブ基板33が取付けられ、このサブ基板33によって端子板34が支持されている。またバッテリーホルダ32の下端側にはホルダカバー35が取付けられており、このホルダカバー35に形成されている挿入孔36によって2本の乾電池37をこのバッテリーホルダ32内に収納できるようにしている。またバッテリーホルダ32の下端側であってホルダカバー35の下面には電池蓋38が回動自在に取付けられている。この電池蓋38内には端子板39が取付けられるようになっている。
【0028】
カメラ65のレンズ位置に対してシャッター79と反対側に、このライトのバッテリーホルダ32を配することで、右手でカメラを保持しながら左手でリングライトを保持し易くしているため、安定したカメラ撮影が可能となった。また、バッテリーホルダ32をロッド17の外側側に配置することで、そのロッド17に対してリングライトが自重で回転しないように重量バランスを取っている。
【0029】
図4および図5は、上記プリント基板27上のLED29の実装状態を示しており、プリント基板27の円形孔28の周囲に沿って配されるLED29が、30度間隔で配列されている。そして上記LED29を覆うように色温度変換シート55が取付けられている。
【0030】
上記外筐10の図3におけるプリント基板27の背面側であって外筐10の右側の後部には、支持筒42が配されている。この支持筒42は下方から挿入されるロッド17を保持するとともに、所定の位置でロックするためのものである。すなわちとくに図6および図7に示すように、支持筒42にはその外周方向の所定の位置に切欠き43が形成されており、この切欠き43を覆うように回動自在にロック板44が取付けられる。ロック板44がロッド17と接する面にはブレーキパッド48が貼付けられている。そして上記ロック板44を回動させるためのアーム45が側部に取付けられるようになっており、このアーム45の被押圧部46がフロントキャビネット25に取付けられる解除釦18によって押圧されるようになっている。なおアーム45はばね47によってロック方向に付勢されており、解除釦18による被押圧部46の押圧が解除されると、ばね47によって自動的にロックされるようになっている。
【0031】
上記アーム45はとくに図6および図7に示すように、この支持筒42の切欠き43の側部に形成されている支持部59にピン58を介して回動自在に取付けられるようになっている。これに対してロック板44は、支持筒42にピン62を介して回動可能に取付けられるようになっており、このロック板44の上面の先端部の傾斜面から成るカム61が上記アーム45の突部60によって押圧されるようになっている。
【0032】
図7はこのような構成のロック機構によるロックの原理を示すものであって、フロントキャビネット25の解除釦18を押圧操作すると、アーム45の被押圧部46が押され、ばね47が圧縮され、これによって突部60が図6においてA方向に移動し、ロック板44のカム61に対する押圧を解除することになる。これが図7Aに示す非ロック状態である。
【0033】
これに対して上記フロントキャビネット25の解除釦18から指を離すと、アーム45がばね47によって押され、これによってアーム45は図6においてB方向に回動し、突部60がロック板44の傾斜面から成るカム61を押圧し、ブレーキパッド48を介してこのロック板44をロッド17の外周面に押圧することになり、このためにロッド17はその軸線方向の位置および回転位置においてロック板44によってロックされることになる。
【0034】
なおロッド17にはとくに図3に示すように、その上端部にストッパ51が固着されるとともに、このストッパ51がストッパフレーム52内において軸線方向に移動可能になっている。しかもリヤキャビネット26内側のリブ78はストッパ51の回転量の規制を行なうようにしており、これによってロッド17の回転角度が例えば90度に規制されることになる。
【0035】
ロッド17の下端側には図3および図8A、Bに示すような取付けアーム14が取付けられる。取付けアーム14にはその長さ方向に沿って摺動子15が摺動可能に取付けられるようになっている。そして上記摺動子15と取付けアーム14との間には所定の摺動抵抗が発生するように、例えば上記摺動子15として、所定の摩擦を生ずる材料を選択するようにしている。なおこのような構成に代えて、摺動子15の表面にゴム等の摩擦部材を取付けるようにしてもよい。そして上記摺動子15の挿通孔に取付けねじ16が遊嵌されている。この取付けねじ16はカメラの三脚用ねじと同一の規格のねじであって、カメラの下面の三脚取付け用雌ねじ孔に螺着されるようになっている。なお上記取付けねじ16は、取付けアーム14の長孔22に沿って移動するようになっている。
【0036】
このような構成に係る近接撮影用ライトは、あらゆるタイプのカメラに簡単に取付けができる近接撮影用リングライトであって、図9〜図13に示すように、カメラ65の鏡筒66あるいは沈胴レンズが突出した状態においても、この近接撮影用ライトの取付けが可能になるような仕様になっている。
【0037】
この取付けは、カメラ65の底面の三脚取付け用雌ねじ孔の部分に、この近接撮影用ライトの取付けねじ16を使って取付けるようにし、取付けアーム14を回転させるように動かし、同時に取付けアーム14に対して摺動子15をアーム14の長さ方向に移動させることによって、この近接撮影用ライトの中心とカメラ65の鏡筒66のセンターの平面方向を一致させるようにする。同時にあおり調整(近接撮影用ライトの光軸をカメラ65の鏡筒66の光軸に合わせること)をも行なう。
【0038】
次にフロントキャビネット25の解除釦18を押しながら、ロッド17を外筐10に対して上下させることによって、この近接撮影用ライトの中心とカメラ65の鏡筒66のセンターの高さ方向を一致させる。
【0039】
上記のセンター合わせの動作は、近接撮影用ライトの外筐10に設けられている上下のマーカー67を鏡筒65の横方向の中心位置に合わせることによって行なう。同様にこの近接撮影用ライトの外筐10の側端側に設けられている別のマーカー68(図13参照)を鏡筒66の上下方向の中心位置に合わせることによって、この近接撮影用ライトの開口12の部分を正面から覗き込まなくても位置合わせが可能なようにしている。
【0040】
近接撮影用ライトが取付けられた状態において、このライトの背面側とカメラ65の鏡筒66の先端部との間の隙間が、図9および図11に示すように2mm程度まで近付けないと、レンズに入射される光像がこのライトのリング状の開口12によって遮断されて影が発生する。そこで鏡筒66を近付けた際に、この鏡筒66と近接撮影用ライトがぶつかっても鏡筒66が傷つかないように、保護カバー20を取付けている。保護カバー20は鏡筒66と対向する面に軟らかい部材であるエラストマーのシートを配置している。このレンズ保護カバー20の円形の開口21の内径は、鏡筒66あるいは沈胴レンズが開口21内に入込んで横方向の荷重が沈胴レンズにかからないように、沈胴レンズの外径よりもやや小さめに設定されている。
【0041】
さらにこのレンズ保護カバー20は、取外し可能な構造にしている。すなわち当初設定したときよりも小さな外径の鏡筒66あるいは沈胴レンズを有するカメラに使用した場合には、その沈胴レンズの外径よりもさらに小さい内径の開口21を有するレンズ保護カバー20をこの近接撮影用ライトに同梱して付属せしめ、ユーザーに交換してもらい、これによってカメラ65の鏡筒66あるいはレンズの保護を実現している。このために、レンズ保護カバー20の内側には、ユーザーが認識できるように、記号が印されており、沈胴レンズの外径に合わせてレンズ保護カバー20を間違えずに選択して装着できるようにしている。
【0042】
このような近接撮影用ライトの取付けねじ16の下面には、さらに三脚取付け用の雌ねじ孔が図11に示すように設けられており、この近接撮影用ライトをカメラに装着した状態でも、さらにこの近接撮影用ライトを介して卓上ミニ三脚等に取付けることができるようにし、安定した撮影が可能になっている。
【0043】
またこの近接撮影用ライトと一体になっているアーム14に立設されているロッド17は、回転方向および上下方向に移動調整自在であって、しかも解除釦18によって操作可能なロック機構が設けられており、とくに回転方向のストッパ51および回転を規制するリブ78を設けたことによって、収納性が向上し、電池蓋38の開閉時の蓋38との干渉や、さらにこの近接撮影用ライトに対する取付けアーム14や取付けねじ16による傷つき防止が可能な構造にしている。また取付けアーム14をコンパクトに収納させることによって、携帯性が向上すると同時に、片手で保持してこの近接撮影用ライトを単独使用することも容易になる。さらにこの取付けアーム14を使って、近接撮影用ライトを横向きに立掛けることができ、カメラ撮影時の効果照明等にも使用可能になる。
【0044】
上記取付け用ねじ16は、アーム14に対して摺動可能な摺動子15に仮固定され、これによってアーム14からは簡単に外れないようになっている。そして上記摺動子15は、摺動性に優れたエラストマー等の材料から構成され、しかも摺動子15と取付けアーム14との間にはフリクションを持たせることによって、カメラ65の鏡筒66に対する中心合わせの際に取付けがし易くなると同時に、所定のカメラに対する取付けを行なうと、その後にこのカメラから取外した場合においても、摺動子15が取付けアーム14に対しては簡単には移動しないために、次にまた同じカメラに取付ける際には、すでにおおよその摺動子15の取付けアーム14に対する位置が決まっており、取付け作業がし易くなる。
【0045】
またこの近接撮影用ライトをカメラ65に取付ける取付け用ねじ16は、摺動子15に仮固定の状態であるために、カメラ装着なしに三脚に取付けた場合には安定し難くなる。しかしながらこの近接撮影用ライトの取付けアーム14やそれ以外の面に三脚用雌ねじを有するナットを設けるか、三脚ねじの先端にキャップやねじを嵌込むことで、この近接撮影用ライト単独での三脚取付け使用においても安定した状態とすることが可能になる。
【0046】
図6および図7に示すように、外筐10内に挿入されるロッド17はロック板44によって上下方向および回転方向のロックが行なわれるようになっている。ロック板44の内側には、図7に示すようにブレーキパッド48が貼付けられており、アーム45の突部60をばね47によってロック板44のカム61に押付けることによって、ロッド17がロックされるようになる。従って近接撮影用ライトは、上下方向に固定される。同時に回転方向にも自重に耐えられる程度に固定される。これによって鏡筒66の伸縮動作時に、この近接撮影用ライトにぶつかっても、鏡筒66あるいは沈胴レンズに負担がかかる前に近接撮影用ライトの外筐10が回転し、その負担を軽減させることができる。そして外筐10のフロントキャビネット25に設けられている解除釦18を押したり離したりすることで、簡単にこの近接撮影用ライトの上下方向および回転方向のロック解除およびロック状態にすることができる。
【0047】
このような近接撮影用ライトによって撮影を行なう場合には、図9〜図12に示すように、カメラ65の下面の三脚取付け用雌ねじ孔の部分に、取付けアーム14の取付けねじ16を螺着し、しかもこの近接撮影用ライトをカメラ65に対して高さ方向、横方向、前後方向と同時にあおり方向に位置調整し、マーカ67、68を用いて開口12の中心部がカメラ65の鏡筒66の中心に一致させる。そして上部のスライドスイッチ13によってこの近接撮影用ライトのプリント基板27上のLED29を点灯させて撮影を行なう。
【0048】
このような近接撮影用ライトによると、鏡筒66の前方であってその外周囲に配されるLED29によって対象物をまんべんなく照明することができる。とくに小物類や静物等をまんべんなく照明して撮影を行なうことができる。例えばインターネットオークションに出品される小物類等の撮影を行なう場合に、良好な照明状態で撮影して画像を得ることが可能になる。とくにフラッシュライトのような明暗の大きな差を生ずることがなく、このために見易い画像を得ることができる。この近接撮影用ライトのライトカバー11の開口12を通して照明された対象物の光像が鏡筒66内に取込まれ、これによって撮影が行なわれることになる。撮影を行なったならば、上記スライドスイッチ13によってこの近接撮影用ライトを消灯する。
【0049】
本実施の形態によって以下の効果が奏される。すなわち発光部を備える外筐10と取付けアーム14とを連結した構造とすることによって、取付けねじ16を用いた取付けアーム方式でも、収納性および携帯性に優れた近接撮影用ライトが実現できる。また取付けアーム14の部分を回転方式として、カメラ65に対して取付ける取付けねじ16を摺動子15で仮固定した状態で取付けアーム14に対して移動させることにより、1つの操作で2方向の位置決めが可能になる。また同時にあおり方向の調整も可能になる。さらに解除釦18を押しながらこの近接撮影用ライトを上下させ、解除釦18を離すと上下方向の固定ができるために、3方向を調整する操作性が格段に向上することになる。また取付けアーム14と摺動子15との間の摺動部分にフリクションを持たせることによって、位置調整時の操作感が向上するとともに、一旦カメラから外した後に再度取付ける場合に、以前取付けた位置とほぼ同じ位置に摺動子15が固定されているために、取付けねじ16の位置決め調整がほとんど必要でなくなり、取付けの操作性が改善される。
【0050】
またこの近接撮影用ライトの背面側の部分に柔軟なエラストマーから成る保護カバー20を配置することによって、この近接撮影用ライトの位置決めの際に、内部に没入する沈胴レンズやカメラ65を傷付けるのを防止できるようになる。また保護カバー20の円形の開口21の内径を沈胴レンズの外径よりもひとまわり小さくすることによって、沈胴レンズに対する横方向の荷重を防止することができる。さらに保護カバー20を取外し可能にすることによって、カメラ65の本体の沈胴レンズの外径が当初設定した寸法よりも小さくなって、レンズに対する横方向の力の防止に対応できない場合や、鏡筒66が広角になった場合の構造のケラレについても、内径の異なる保護カバー20を用意することによって、上記の問題に対処できるようになる。
【0051】
なおこの近接撮影用ライトは、必ずしも鏡筒66あるいは沈胴レンズを有するカメラに適用されるものではなく、例えば図14に示すように、対物レンズ69がカメラ65の外筐の前面の所定の位置に固定されたレンズに適用することができる。この場合には、上記対物レンズ69の中心部とこの近接撮影用ライトの円形の開口12の中心部とがほぼ一致するようにこの近接撮影用ライトをカメラ65に取付けアーム14および取付けねじ16を介して取付けることになる。なお取付けの構造は上記実施の形態と同様である。
【0052】
次に別の実施の形態を図15および図16によって説明する。この実施の形態は、上記実施の形態とはカメラに対する取付け構造が異なっており、外筐10内に上下方向に出没自在になっているロッド17の下端側に偏平な直方体状の連結子72が固定されている。そして連結子72の前後方向に延びる挿通孔73にX軸アーム74の基端側が挿入されている。X軸アーム74の先端側にはY軸アーム75が直交するように連結されている。そしてY軸アーム75には、長孔から成る摺動孔76が形成されており、この摺動孔76に取付けねじ77が取付けられるようになっている。取付けねじ77は三脚取付け用ねじと同様の構造であって、上記摺動孔76に遊嵌されている。
【0053】
従ってこのような構成によると、Y軸アーム75に対する取付けねじ77の位置を調整することによって、この近接撮影用ライトとカメラの光軸との横方向の調整が可能になる。またX軸アーム74を連結子72に対して前後方向に移動させることにより、この近接撮影用ライトとカメラとの間の前後方向の位置調整が可能になる。またロッド17を外筐10に対して高さ方向に移動調整することによって、近接撮影用ライトのカメラに対する高さ方向の位置調整が可能になる。従ってこれら3軸方向の位置調整を行なうことにより、この近接撮影用ライトがカメラに対して正しく位置決めされる。
【0054】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願に含まれる発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願発明は、スチルカメラのいわゆるリングライトと称される近接撮影用ライトに応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】近接撮影用ライトの要部斜視図である。
【図2】同近接撮影用ライトの背面側から見た斜視図である。
【図3】近接撮影用ライトの内部構造を示す分解斜視図である。
【図4】発光部の構造を示す一部を破断した近接撮影用ライトの斜視図である。
【図5】同正面図である。
【図6】ロッドのロック機構を示す分解斜視図である。
【図7】ロッドのロック動作を示す横断面図である。
【図8】取付け用アームの構造を示す平面図および正面図である。
【図9】カメラに対する近接撮影用ライトの取付けを示す平面図である。
【図10】同正面図である。
【図11】同底面図である。
【図12】同側面図である。
【図13】近接撮影用ライトの側面図である。
【図14】レンズが固定されたカメラに対する取付けを示す近接撮影用ライトの正面図である。
【図15】別の実施の形態の近接撮影用ライトの取付け構造を示す背面側から見た斜視図である。
【図16】同正面から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
10…外筐、11…ライトカバー、12…開口、13…スライドスイッチ、14…取付けアーム、15…摺動子、16…取付けねじ、17…ロッド、18…解除釦、19…段部、20…保護カバー、21…円形の開口、22…長孔、25…フロントキャビネット、26…リヤキャビネット、27…プリント基板、28…円形孔、29…LED、30…電子部品、32…バッテリーホルダ、33…サブ基板、34…端子板、35…ホルダカバー、36…挿入孔、37…乾電池、38…電池蓋、39…端子板、42…支持筒、43…切欠き、44…ロック板、45…アーム、46…被押圧部、47…ばね、48…ブレーキパッド、51…ストッパ、52…ストッパフレーム、55…色温度変換シート、58…ピン、59…支持部、60…突部、61…カム(傾斜面)、62…ピン、65…カメラ、66…鏡筒、67、68…マーカー、69…対物レンズ、72…連結子、73…挿通孔、74…X軸アーム、75…Y軸アーム、76…摺動孔(長孔)、77…取付けねじ、78…リブ、79…シャッター
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラの近接撮影用ライトに係り、とくにカメラの鏡筒または対物レンズの前方においてその周囲に沿って発光する発光手段を備える近接撮影用ライトに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラによって、鏡筒あるいは対物レンズの前方に近接して配される小物類や花等の静物を撮像する場合に、十分な明るさが得られない場合や、明暗の差をなくしたい場合、あるいは均一なライティングで無影撮影をしたい場合に、近接撮影用ライトを用いる。すなわち近接する物体を撮影する場合に、フラッシュライトを用いても、このフラッシュライトと鏡筒あるいは対物レンズの中心との間の位置がずれているために、物体をまんべんなく照明することができない。またフラッシュライトを用いると、明るいところと暗いところの明暗の差が大きくなる。
【0003】
そこで、従来より近接撮影用ライトが用いられている。近接撮影用ライトは、筐体が円形の開口を備え、この開口の周囲に沿って発光する発光手段が設けられており、このような近接撮影用ライトを鏡筒あるいは対物レンズの前方に取付けるようにしている。このような近接撮影用ライトによって撮影を行なう場合には、上記近接撮影用ライトを予め点灯状態にし、このような状態で上記近接撮影用ライトの発光手段によって対象物を照明しながら撮影を行なう。このような近接撮影用ライトは、鏡筒の外周囲に沿うように発光手段が設けられていてリング状に発光するために、リングライトとも呼ばれている。
【0004】
従来のこのような近接撮影用ライトは、レンズの光軸とライトの光軸の方向を一致させるため、主にカメラの鏡筒のフィルタ取付け用ねじ部に直接ねじ込んで取付けたり、フィルタ取付け用ねじ部にリングアダプタを嵌めてから装着するフィルタねじ方式であった。その一例が、例えば特開2003−177454号公報に示される。このような構成は、カメラのフィルタねじ径が違うと近接撮影用ライトを装着することができなかったり、別部材であるリングアダプタの使用を余儀なくされていた。そのために汎用性に乏しかったり、装着が煩雑となっていた。
【0005】
またカメラ本体に取付けアームを使って取付ける取付けアーム方式の近接撮影用ライトの場合には、ライトの部分と取付けアームとの部分とを分解可能にしておかないと、収納性が乏しい問題があった。とくに、近接撮影用ライトの場合には、汎用性をアップするために、ライト部分を、高さ方向、横方向、および前後方向の3方向に調整可能な構成にする必要があるが、その場合には取付けアーム自体が大きな部品になってしまっていた。さらに3方向をそれぞれ調整するには、取扱いも煩雑になっていた。従って近接撮影用ライトの本体部と取付けアームとが一体であって、しかも収納性および汎用性に優れ、操作性と携帯性と、カメラの保護性に優れたリングライトが望まれている。
【特許文献1】特開2003−177454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、カメラ本体に対して取付け手段を介して容易に取付けることができる近接撮影用ライトを提供することである。
【0007】
本願発明の別の課題は、収納性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0008】
本願発明のさらに別の主要な課題は、汎用性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0009】
本願発明のさらに別の主要な発明は、操作性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0010】
本願発明のさらに別の主要な発明は、携帯性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0011】
本願発明のさらに別の主要な発明は、カメラに対する保護性に優れた近接撮影用ライトを提供することである。
【0012】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の主要な発明は、ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、前記開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、前記開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、前記発光手段によって撮像対象物を照らしながら前記開口を通して光像を前記カメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、
前記発光手段を収納保持する前記外筐に回転可能な取付けアームを取付け、前記取付けアームによって前記カメラの三脚取付け部に取付けるようにしたことを特徴とする近接撮影用ライトに関するものである。
【0014】
ここで、前記取付けアームの長さ方向に沿って移動調整可能に取付けねじが取付けられ、該取付けねじによって前記カメラの三脚取付け用雌ねじ孔に螺着するようにしてよい。また前記取付けアームにその長さ方向に沿って移動調整可能に摺動子が取付けられ、該摺動子の取付け孔に前記取付けねじが遊嵌されて取付けられてよい。また前記摺動子と前記取付けアームとの摺動部分において、少くとも一方の部材に摺動時に摩擦を発生する材料が用いられるか摩擦が発生する部材が設けられてよい。また前記取付けアームの基端側にロッドが立設され、該ロッドが前記外筐に軸線方向に移動自在に取付けられ、前記発光手段の高さ方向の位置調整が行なわれてよい。また前記外筐に前記ロッドを摺動可能に支持する支持手段が設けられるとともに、該支持手段にロック機構が取付けられ、解除釦を離すと前記ロック機構によって前記ロッドがその状態でロックされてよい。また前記取付けねじの下面に雌ねじ孔が穿設され、該雌ねじ孔によってこの近接撮影用ライトを介して前記カメラが三脚に取付けられてよい。
【0015】
また、前記発光手段の背面側にカメラの鏡筒または対物レンズの周囲と対向するように柔軟な保護カバーが取付けられてよい。また前記保護カバーの中心部に円形の開口が形成されるとともに、該開口の内径が前記鏡筒または対物レンズの外径よりもひとまわり小さいことが望ましい。また中心部の円形の開口の寸法が異なる複数種類の保護カバーが用意され、カメラの鏡筒または対物レンズの大きさに応じて保護カバーを交換できるようにしてよい。
【0016】
本願の別の主要な発明は、ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、前記開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、前記開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、前記発光手段によって撮像対象物を照らしながら前記開口を通して光像を前記カメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、
前記発光手段を備える外筐に高さ方向に移動調整自在にロッドが取付けられるとともに、該ロッドの基端側に連結子が固着され、
前記連結子にX軸方向に移動調整可能にX軸アームが取付けられ、
前記X軸アームの先端部にY軸アームが取付けられ、該Y軸アームの長さ方向に移動可能な取付け手段によって前記カメラに取付けるようにしたことを特徴とする近接撮影用ライトに関するものである。
【0017】
ここで、前記Y軸アームの長さ方向に移動調整可能に取付けねじが取付けられ、該取付けねじによって前記カメラの三脚取付け用雌ねじ孔に螺着するようにしてよい。
【0018】
次に本願発明の好ましい態様について説明する。この態様は、カメラに簡単に取付けることができる汎用タイプの近接撮影用ライト(リングライト)であって、ライト部本体と取付けアームとが連結され、なおかつ収納性・汎用性・操作性・携帯性・カメラ保護性に優れたカメラ用ライトである。
【0019】
すなわちライトの部分と取付けアームの部分とを連結した構造とすることによって、汎用性を持たせつつ収納性・携帯性に優れた近接撮影用ライトにしている。また取付けアームの部分を回転可能な構造にし、カメラ取付け用三脚ねじをスライドベースで仮固定した状態で取付けアームによって移動させることで、1つの操作によって横方向と前後方向の位置決めを可能にし、さらにカメラを取付けアームに仮固定することで取付けアームとカメラの固定角度を変化させながらリングライトを回転させ、レンズの光軸とリングライトの光軸を一致させるための、あおり方向の調整をも同時に可能にしている。また解除釦を押しながらライトをカメラに対して上下させ、解除釦を離すと上下方向の固定ができるようにし、これによって高さ方向の調整をする操作性が向上するようにしている。また取付けアームと摺動子との摺動部分にフリクションを持たせることによって、位置調整時の操作感が向上するようにしている。
【0020】
さらに本形態は、カメラを外した後に再度取付ける場合には、前回取付けた位置とほぼ同じ位置に摺動子が固定されており、カメラ取付け用三脚ねじの位置決め調整がほとんど必要でなくなり、操作性が向上する。なお摺動子の仮固定にフリクション機構の代わりにロック機構を設けてもよい。またライトの後部に軟らかい部材、例えばエラストマーを有する保護カバーを設置することによって、ライト部の位置決めの際に、内部に収納する出没自在の鏡筒(沈胴)やカメラ本体を傷つけるのを防止できるようになる。またレンズ保護カバーの開口の内径を鏡筒の外径よりもひとまわり小さくすることによって、鏡筒が保護カバーの開口に入込むのを防ぎ、レンズに対する横方向の荷重を防止することが可能になる。さらにレンズ保護カバーを取外し可能にすることによって、カメラ本体の鏡筒の外径が当初設定した寸法より小さくなり、レンズに対する横方向の荷重の防止に対応できなくなった場合や、レンズが広角になった場合のレンズ鏡筒による光像の遮断のいわゆるケラレ問題についても、内径が異なるレンズ保護カバーを用意することによってこれらの問題に対応できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本願の主要な発明は、ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、発光手段によって撮像対象物を照らしながら開口を通して光像をカメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、発光手段を収納保持する外筐に回転可能な取付けアームを取付け、取付けアームによってカメラの三脚取付け部に取付けるようにしたものである。
【0022】
従ってこのような近接撮影用ライトによると、その外筐に設けられている取付けアームを介してカメラに取付けることが可能になり、これによって汎用性および操作性に優れた近接撮影用ライトが提供できるようになる。とくに取付けアームが回動式になっているために、このアームの回動と取付け位置の調整とによって、カメラに対する前後方向および横方向の位置決め調整が可能になる。この際、カメラとライトの取付け角度いわゆるあおり方向も同時に調整可能であるため、容易にカメラの光軸とライトの光軸方向を一致させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図1および図2は本実施の形態の近接撮影用ライトの外観を示しており、この近接撮影用ライトは、背面側に段差を有する外筐10を備えており、この外筐10の前面側であって左方位置にはライトカバー11によって覆われた状態で、円周方向に発光する発光手段が設けられる。なお上記ライトカバー11の中央部が開口12になっており、この開口12を通して光像をカメラ内に取込むようにしている。またこの外筐10の上面にはスライドスイッチ13が摺動可能に取付けられている。
【0024】
次にこのような近接撮影用ライトの取付けのための構造について説明すると、この近接撮影用ライトは、取付けアーム14を備えており、この取付けアーム14に対してその長さ方向に摺動可能に摺動子15が取付けられる。摺動子15には取付けねじ16が遊嵌されて取付けられている。また取付けアーム14の基端側の部分にはロッド17が立設されており、このロッド17が外筐10を貫通し、高さ方向に移動調整可能であって、しかも回転可能に連結されている。そして上記外筐10の前面側に解除釦18が設けられ、この解除釦18と連動するロック機構によってロッド17を任意の調整位置でロックできるようにしている。
【0025】
図2はこのような近接撮影用ライトを背面側から見た状態を示しており、背面側の段部19の右側の部分にラバー製の保護カバー20が取付けられるようになっている。そしてこの保護カバー20には円形の開口21が形成されており、この開口21を通してカメラが光像を取込むようになっている。
【0026】
次にこのような近接撮影用ライトの内部構造を図3によって説明する。上記外筐10はフロントキャビネット25とリヤキャビネット26とを備え、これらが前後に互いに軸線方向に接合されるようになっている。そしてフロントキャビネット25とリヤキャビネット26との間にはプリント基板27が配されるようになっている。プリント基板27にはその中心部に円形孔28が形成されるとともに、この円形孔28の円周方向に沿って発光ダイオード(以下LEDという)29が配されている。すなわちここでは、円周方向に沿って30度間隔で合計12個のLED29が配列されている。また上記LED29の点灯回路を構成する電子部品30がプリント基板27上に実装されている。
【0027】
また上記プリント基板27の前面側であってその右方位置には、合成樹脂成形体から成る中空のバッテリーホルダ32が取付けられている。バッテリーホルダ32の上部にはサブ基板33が取付けられ、このサブ基板33によって端子板34が支持されている。またバッテリーホルダ32の下端側にはホルダカバー35が取付けられており、このホルダカバー35に形成されている挿入孔36によって2本の乾電池37をこのバッテリーホルダ32内に収納できるようにしている。またバッテリーホルダ32の下端側であってホルダカバー35の下面には電池蓋38が回動自在に取付けられている。この電池蓋38内には端子板39が取付けられるようになっている。
【0028】
カメラ65のレンズ位置に対してシャッター79と反対側に、このライトのバッテリーホルダ32を配することで、右手でカメラを保持しながら左手でリングライトを保持し易くしているため、安定したカメラ撮影が可能となった。また、バッテリーホルダ32をロッド17の外側側に配置することで、そのロッド17に対してリングライトが自重で回転しないように重量バランスを取っている。
【0029】
図4および図5は、上記プリント基板27上のLED29の実装状態を示しており、プリント基板27の円形孔28の周囲に沿って配されるLED29が、30度間隔で配列されている。そして上記LED29を覆うように色温度変換シート55が取付けられている。
【0030】
上記外筐10の図3におけるプリント基板27の背面側であって外筐10の右側の後部には、支持筒42が配されている。この支持筒42は下方から挿入されるロッド17を保持するとともに、所定の位置でロックするためのものである。すなわちとくに図6および図7に示すように、支持筒42にはその外周方向の所定の位置に切欠き43が形成されており、この切欠き43を覆うように回動自在にロック板44が取付けられる。ロック板44がロッド17と接する面にはブレーキパッド48が貼付けられている。そして上記ロック板44を回動させるためのアーム45が側部に取付けられるようになっており、このアーム45の被押圧部46がフロントキャビネット25に取付けられる解除釦18によって押圧されるようになっている。なおアーム45はばね47によってロック方向に付勢されており、解除釦18による被押圧部46の押圧が解除されると、ばね47によって自動的にロックされるようになっている。
【0031】
上記アーム45はとくに図6および図7に示すように、この支持筒42の切欠き43の側部に形成されている支持部59にピン58を介して回動自在に取付けられるようになっている。これに対してロック板44は、支持筒42にピン62を介して回動可能に取付けられるようになっており、このロック板44の上面の先端部の傾斜面から成るカム61が上記アーム45の突部60によって押圧されるようになっている。
【0032】
図7はこのような構成のロック機構によるロックの原理を示すものであって、フロントキャビネット25の解除釦18を押圧操作すると、アーム45の被押圧部46が押され、ばね47が圧縮され、これによって突部60が図6においてA方向に移動し、ロック板44のカム61に対する押圧を解除することになる。これが図7Aに示す非ロック状態である。
【0033】
これに対して上記フロントキャビネット25の解除釦18から指を離すと、アーム45がばね47によって押され、これによってアーム45は図6においてB方向に回動し、突部60がロック板44の傾斜面から成るカム61を押圧し、ブレーキパッド48を介してこのロック板44をロッド17の外周面に押圧することになり、このためにロッド17はその軸線方向の位置および回転位置においてロック板44によってロックされることになる。
【0034】
なおロッド17にはとくに図3に示すように、その上端部にストッパ51が固着されるとともに、このストッパ51がストッパフレーム52内において軸線方向に移動可能になっている。しかもリヤキャビネット26内側のリブ78はストッパ51の回転量の規制を行なうようにしており、これによってロッド17の回転角度が例えば90度に規制されることになる。
【0035】
ロッド17の下端側には図3および図8A、Bに示すような取付けアーム14が取付けられる。取付けアーム14にはその長さ方向に沿って摺動子15が摺動可能に取付けられるようになっている。そして上記摺動子15と取付けアーム14との間には所定の摺動抵抗が発生するように、例えば上記摺動子15として、所定の摩擦を生ずる材料を選択するようにしている。なおこのような構成に代えて、摺動子15の表面にゴム等の摩擦部材を取付けるようにしてもよい。そして上記摺動子15の挿通孔に取付けねじ16が遊嵌されている。この取付けねじ16はカメラの三脚用ねじと同一の規格のねじであって、カメラの下面の三脚取付け用雌ねじ孔に螺着されるようになっている。なお上記取付けねじ16は、取付けアーム14の長孔22に沿って移動するようになっている。
【0036】
このような構成に係る近接撮影用ライトは、あらゆるタイプのカメラに簡単に取付けができる近接撮影用リングライトであって、図9〜図13に示すように、カメラ65の鏡筒66あるいは沈胴レンズが突出した状態においても、この近接撮影用ライトの取付けが可能になるような仕様になっている。
【0037】
この取付けは、カメラ65の底面の三脚取付け用雌ねじ孔の部分に、この近接撮影用ライトの取付けねじ16を使って取付けるようにし、取付けアーム14を回転させるように動かし、同時に取付けアーム14に対して摺動子15をアーム14の長さ方向に移動させることによって、この近接撮影用ライトの中心とカメラ65の鏡筒66のセンターの平面方向を一致させるようにする。同時にあおり調整(近接撮影用ライトの光軸をカメラ65の鏡筒66の光軸に合わせること)をも行なう。
【0038】
次にフロントキャビネット25の解除釦18を押しながら、ロッド17を外筐10に対して上下させることによって、この近接撮影用ライトの中心とカメラ65の鏡筒66のセンターの高さ方向を一致させる。
【0039】
上記のセンター合わせの動作は、近接撮影用ライトの外筐10に設けられている上下のマーカー67を鏡筒65の横方向の中心位置に合わせることによって行なう。同様にこの近接撮影用ライトの外筐10の側端側に設けられている別のマーカー68(図13参照)を鏡筒66の上下方向の中心位置に合わせることによって、この近接撮影用ライトの開口12の部分を正面から覗き込まなくても位置合わせが可能なようにしている。
【0040】
近接撮影用ライトが取付けられた状態において、このライトの背面側とカメラ65の鏡筒66の先端部との間の隙間が、図9および図11に示すように2mm程度まで近付けないと、レンズに入射される光像がこのライトのリング状の開口12によって遮断されて影が発生する。そこで鏡筒66を近付けた際に、この鏡筒66と近接撮影用ライトがぶつかっても鏡筒66が傷つかないように、保護カバー20を取付けている。保護カバー20は鏡筒66と対向する面に軟らかい部材であるエラストマーのシートを配置している。このレンズ保護カバー20の円形の開口21の内径は、鏡筒66あるいは沈胴レンズが開口21内に入込んで横方向の荷重が沈胴レンズにかからないように、沈胴レンズの外径よりもやや小さめに設定されている。
【0041】
さらにこのレンズ保護カバー20は、取外し可能な構造にしている。すなわち当初設定したときよりも小さな外径の鏡筒66あるいは沈胴レンズを有するカメラに使用した場合には、その沈胴レンズの外径よりもさらに小さい内径の開口21を有するレンズ保護カバー20をこの近接撮影用ライトに同梱して付属せしめ、ユーザーに交換してもらい、これによってカメラ65の鏡筒66あるいはレンズの保護を実現している。このために、レンズ保護カバー20の内側には、ユーザーが認識できるように、記号が印されており、沈胴レンズの外径に合わせてレンズ保護カバー20を間違えずに選択して装着できるようにしている。
【0042】
このような近接撮影用ライトの取付けねじ16の下面には、さらに三脚取付け用の雌ねじ孔が図11に示すように設けられており、この近接撮影用ライトをカメラに装着した状態でも、さらにこの近接撮影用ライトを介して卓上ミニ三脚等に取付けることができるようにし、安定した撮影が可能になっている。
【0043】
またこの近接撮影用ライトと一体になっているアーム14に立設されているロッド17は、回転方向および上下方向に移動調整自在であって、しかも解除釦18によって操作可能なロック機構が設けられており、とくに回転方向のストッパ51および回転を規制するリブ78を設けたことによって、収納性が向上し、電池蓋38の開閉時の蓋38との干渉や、さらにこの近接撮影用ライトに対する取付けアーム14や取付けねじ16による傷つき防止が可能な構造にしている。また取付けアーム14をコンパクトに収納させることによって、携帯性が向上すると同時に、片手で保持してこの近接撮影用ライトを単独使用することも容易になる。さらにこの取付けアーム14を使って、近接撮影用ライトを横向きに立掛けることができ、カメラ撮影時の効果照明等にも使用可能になる。
【0044】
上記取付け用ねじ16は、アーム14に対して摺動可能な摺動子15に仮固定され、これによってアーム14からは簡単に外れないようになっている。そして上記摺動子15は、摺動性に優れたエラストマー等の材料から構成され、しかも摺動子15と取付けアーム14との間にはフリクションを持たせることによって、カメラ65の鏡筒66に対する中心合わせの際に取付けがし易くなると同時に、所定のカメラに対する取付けを行なうと、その後にこのカメラから取外した場合においても、摺動子15が取付けアーム14に対しては簡単には移動しないために、次にまた同じカメラに取付ける際には、すでにおおよその摺動子15の取付けアーム14に対する位置が決まっており、取付け作業がし易くなる。
【0045】
またこの近接撮影用ライトをカメラ65に取付ける取付け用ねじ16は、摺動子15に仮固定の状態であるために、カメラ装着なしに三脚に取付けた場合には安定し難くなる。しかしながらこの近接撮影用ライトの取付けアーム14やそれ以外の面に三脚用雌ねじを有するナットを設けるか、三脚ねじの先端にキャップやねじを嵌込むことで、この近接撮影用ライト単独での三脚取付け使用においても安定した状態とすることが可能になる。
【0046】
図6および図7に示すように、外筐10内に挿入されるロッド17はロック板44によって上下方向および回転方向のロックが行なわれるようになっている。ロック板44の内側には、図7に示すようにブレーキパッド48が貼付けられており、アーム45の突部60をばね47によってロック板44のカム61に押付けることによって、ロッド17がロックされるようになる。従って近接撮影用ライトは、上下方向に固定される。同時に回転方向にも自重に耐えられる程度に固定される。これによって鏡筒66の伸縮動作時に、この近接撮影用ライトにぶつかっても、鏡筒66あるいは沈胴レンズに負担がかかる前に近接撮影用ライトの外筐10が回転し、その負担を軽減させることができる。そして外筐10のフロントキャビネット25に設けられている解除釦18を押したり離したりすることで、簡単にこの近接撮影用ライトの上下方向および回転方向のロック解除およびロック状態にすることができる。
【0047】
このような近接撮影用ライトによって撮影を行なう場合には、図9〜図12に示すように、カメラ65の下面の三脚取付け用雌ねじ孔の部分に、取付けアーム14の取付けねじ16を螺着し、しかもこの近接撮影用ライトをカメラ65に対して高さ方向、横方向、前後方向と同時にあおり方向に位置調整し、マーカ67、68を用いて開口12の中心部がカメラ65の鏡筒66の中心に一致させる。そして上部のスライドスイッチ13によってこの近接撮影用ライトのプリント基板27上のLED29を点灯させて撮影を行なう。
【0048】
このような近接撮影用ライトによると、鏡筒66の前方であってその外周囲に配されるLED29によって対象物をまんべんなく照明することができる。とくに小物類や静物等をまんべんなく照明して撮影を行なうことができる。例えばインターネットオークションに出品される小物類等の撮影を行なう場合に、良好な照明状態で撮影して画像を得ることが可能になる。とくにフラッシュライトのような明暗の大きな差を生ずることがなく、このために見易い画像を得ることができる。この近接撮影用ライトのライトカバー11の開口12を通して照明された対象物の光像が鏡筒66内に取込まれ、これによって撮影が行なわれることになる。撮影を行なったならば、上記スライドスイッチ13によってこの近接撮影用ライトを消灯する。
【0049】
本実施の形態によって以下の効果が奏される。すなわち発光部を備える外筐10と取付けアーム14とを連結した構造とすることによって、取付けねじ16を用いた取付けアーム方式でも、収納性および携帯性に優れた近接撮影用ライトが実現できる。また取付けアーム14の部分を回転方式として、カメラ65に対して取付ける取付けねじ16を摺動子15で仮固定した状態で取付けアーム14に対して移動させることにより、1つの操作で2方向の位置決めが可能になる。また同時にあおり方向の調整も可能になる。さらに解除釦18を押しながらこの近接撮影用ライトを上下させ、解除釦18を離すと上下方向の固定ができるために、3方向を調整する操作性が格段に向上することになる。また取付けアーム14と摺動子15との間の摺動部分にフリクションを持たせることによって、位置調整時の操作感が向上するとともに、一旦カメラから外した後に再度取付ける場合に、以前取付けた位置とほぼ同じ位置に摺動子15が固定されているために、取付けねじ16の位置決め調整がほとんど必要でなくなり、取付けの操作性が改善される。
【0050】
またこの近接撮影用ライトの背面側の部分に柔軟なエラストマーから成る保護カバー20を配置することによって、この近接撮影用ライトの位置決めの際に、内部に没入する沈胴レンズやカメラ65を傷付けるのを防止できるようになる。また保護カバー20の円形の開口21の内径を沈胴レンズの外径よりもひとまわり小さくすることによって、沈胴レンズに対する横方向の荷重を防止することができる。さらに保護カバー20を取外し可能にすることによって、カメラ65の本体の沈胴レンズの外径が当初設定した寸法よりも小さくなって、レンズに対する横方向の力の防止に対応できない場合や、鏡筒66が広角になった場合の構造のケラレについても、内径の異なる保護カバー20を用意することによって、上記の問題に対処できるようになる。
【0051】
なおこの近接撮影用ライトは、必ずしも鏡筒66あるいは沈胴レンズを有するカメラに適用されるものではなく、例えば図14に示すように、対物レンズ69がカメラ65の外筐の前面の所定の位置に固定されたレンズに適用することができる。この場合には、上記対物レンズ69の中心部とこの近接撮影用ライトの円形の開口12の中心部とがほぼ一致するようにこの近接撮影用ライトをカメラ65に取付けアーム14および取付けねじ16を介して取付けることになる。なお取付けの構造は上記実施の形態と同様である。
【0052】
次に別の実施の形態を図15および図16によって説明する。この実施の形態は、上記実施の形態とはカメラに対する取付け構造が異なっており、外筐10内に上下方向に出没自在になっているロッド17の下端側に偏平な直方体状の連結子72が固定されている。そして連結子72の前後方向に延びる挿通孔73にX軸アーム74の基端側が挿入されている。X軸アーム74の先端側にはY軸アーム75が直交するように連結されている。そしてY軸アーム75には、長孔から成る摺動孔76が形成されており、この摺動孔76に取付けねじ77が取付けられるようになっている。取付けねじ77は三脚取付け用ねじと同様の構造であって、上記摺動孔76に遊嵌されている。
【0053】
従ってこのような構成によると、Y軸アーム75に対する取付けねじ77の位置を調整することによって、この近接撮影用ライトとカメラの光軸との横方向の調整が可能になる。またX軸アーム74を連結子72に対して前後方向に移動させることにより、この近接撮影用ライトとカメラとの間の前後方向の位置調整が可能になる。またロッド17を外筐10に対して高さ方向に移動調整することによって、近接撮影用ライトのカメラに対する高さ方向の位置調整が可能になる。従ってこれら3軸方向の位置調整を行なうことにより、この近接撮影用ライトがカメラに対して正しく位置決めされる。
【0054】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願に含まれる発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願発明は、スチルカメラのいわゆるリングライトと称される近接撮影用ライトに応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】近接撮影用ライトの要部斜視図である。
【図2】同近接撮影用ライトの背面側から見た斜視図である。
【図3】近接撮影用ライトの内部構造を示す分解斜視図である。
【図4】発光部の構造を示す一部を破断した近接撮影用ライトの斜視図である。
【図5】同正面図である。
【図6】ロッドのロック機構を示す分解斜視図である。
【図7】ロッドのロック動作を示す横断面図である。
【図8】取付け用アームの構造を示す平面図および正面図である。
【図9】カメラに対する近接撮影用ライトの取付けを示す平面図である。
【図10】同正面図である。
【図11】同底面図である。
【図12】同側面図である。
【図13】近接撮影用ライトの側面図である。
【図14】レンズが固定されたカメラに対する取付けを示す近接撮影用ライトの正面図である。
【図15】別の実施の形態の近接撮影用ライトの取付け構造を示す背面側から見た斜視図である。
【図16】同正面から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
10…外筐、11…ライトカバー、12…開口、13…スライドスイッチ、14…取付けアーム、15…摺動子、16…取付けねじ、17…ロッド、18…解除釦、19…段部、20…保護カバー、21…円形の開口、22…長孔、25…フロントキャビネット、26…リヤキャビネット、27…プリント基板、28…円形孔、29…LED、30…電子部品、32…バッテリーホルダ、33…サブ基板、34…端子板、35…ホルダカバー、36…挿入孔、37…乾電池、38…電池蓋、39…端子板、42…支持筒、43…切欠き、44…ロック板、45…アーム、46…被押圧部、47…ばね、48…ブレーキパッド、51…ストッパ、52…ストッパフレーム、55…色温度変換シート、58…ピン、59…支持部、60…突部、61…カム(傾斜面)、62…ピン、65…カメラ、66…鏡筒、67、68…マーカー、69…対物レンズ、72…連結子、73…挿通孔、74…X軸アーム、75…Y軸アーム、76…摺動孔(長孔)、77…取付けねじ、78…リブ、79…シャッター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、前記開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、前記開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、前記発光手段によって撮像対象物を照らしながら前記開口を通して光像を前記カメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、
前記発光手段を収納保持する前記外筐に回転可能な取付けアームを取付け、前記取付けアームによって前記カメラの三脚取付け部に取付けるようにしたことを特徴とする近接撮影用ライト。
【請求項2】
前記取付けアームの長さ方向に沿って移動調整可能に取付けねじが取付けられ、該取付けねじによって前記カメラの三脚取付け用雌ねじ孔に螺着するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の近接撮影用ライト。
【請求項3】
前記取付けアームにその長さ方向に沿って移動調整可能に摺動子が取付けられ、該摺動子の取付け孔に前記取付けねじが遊嵌されて取付けられていることを特徴とする請求項2に記載の近接撮影用ライト。
【請求項4】
前記摺動子と前記取付けアームとの摺動部分において、少くとも一方の部材に摺動時に摩擦を発生する材料が用いられるか摩擦が発生する部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の近接撮影用ライト。
【請求項5】
前記取付けアームの基端側にロッドが立設され、該ロッドが前記外筐に軸線方向に移動自在に取付けられ、前記発光手段の高さ方向の位置調整が行なわれることを特徴とする請求項1に記載の近接撮影用ライト。
【請求項6】
前記外筐に前記ロッドを摺動可能に支持する支持手段が設けられるとともに、該支持手段にロック機構が取付けられ、解除釦を離すと前記ロック機構によって前記ロッドがその状態でロックされることを特徴とする請求項5に記載の近接撮影用ライト。
【請求項7】
前記取付けねじの下面に雌ねじ孔が穿設され、該雌ねじ孔によってこの近接撮影用ライトを介して前記カメラが三脚に取付けられることを特徴とする請求項2に記載の近接撮影用ライト。
【請求項8】
前記発光手段の背面側にカメラの鏡筒または対物レンズの周囲と対向するように柔軟な保護カバーが取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の近接撮影用ライト。
【請求項9】
前記保護カバーの中心部に円形の開口が形成されるとともに、該開口の内径が前記鏡筒または対物レンズの外径よりもひとまわり小さいことを特徴とする請求項8に記載の近接撮影用ライト。
【請求項10】
中心部の円形の開口の寸法が異なる複数種類の保護カバーが用意され、カメラの鏡筒または対物レンズの大きさに応じて保護カバーを交換できるようにしたことを特徴とする請求項9に記載の近接撮影用ライト。
【請求項11】
ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、前記開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、前記開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、前記発光手段によって撮像対象物を照らしながら前記開口を通して光像を前記カメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、
前記発光手段を備える外筐に高さ方向に移動調整自在にロッドが取付けられるとともに、該ロッドの基端側に連結子が固着され、
前記連結子にX軸方向に移動調整可能にX軸アームが取付けられ、
前記X軸アームの先端部にY軸アームが取付けられ、該Y軸アームの長さ方向に移動可能な取付け手段によって前記カメラに取付けるようにしたことを特徴とする近接撮影用ライト。
【請求項12】
前記Y軸アームの長さ方向に移動調整可能に取付けねじが取付けられ、該取付けねじによって前記カメラの三脚取付け用雌ねじ孔に螺着するようにしたことを特徴とする請求項11に記載の近接撮影用ライト。
【請求項1】
ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、前記開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、前記開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、前記発光手段によって撮像対象物を照らしながら前記開口を通して光像を前記カメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、
前記発光手段を収納保持する前記外筐に回転可能な取付けアームを取付け、前記取付けアームによって前記カメラの三脚取付け部に取付けるようにしたことを特徴とする近接撮影用ライト。
【請求項2】
前記取付けアームの長さ方向に沿って移動調整可能に取付けねじが取付けられ、該取付けねじによって前記カメラの三脚取付け用雌ねじ孔に螺着するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の近接撮影用ライト。
【請求項3】
前記取付けアームにその長さ方向に沿って移動調整可能に摺動子が取付けられ、該摺動子の取付け孔に前記取付けねじが遊嵌されて取付けられていることを特徴とする請求項2に記載の近接撮影用ライト。
【請求項4】
前記摺動子と前記取付けアームとの摺動部分において、少くとも一方の部材に摺動時に摩擦を発生する材料が用いられるか摩擦が発生する部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の近接撮影用ライト。
【請求項5】
前記取付けアームの基端側にロッドが立設され、該ロッドが前記外筐に軸線方向に移動自在に取付けられ、前記発光手段の高さ方向の位置調整が行なわれることを特徴とする請求項1に記載の近接撮影用ライト。
【請求項6】
前記外筐に前記ロッドを摺動可能に支持する支持手段が設けられるとともに、該支持手段にロック機構が取付けられ、解除釦を離すと前記ロック機構によって前記ロッドがその状態でロックされることを特徴とする請求項5に記載の近接撮影用ライト。
【請求項7】
前記取付けねじの下面に雌ねじ孔が穿設され、該雌ねじ孔によってこの近接撮影用ライトを介して前記カメラが三脚に取付けられることを特徴とする請求項2に記載の近接撮影用ライト。
【請求項8】
前記発光手段の背面側にカメラの鏡筒または対物レンズの周囲と対向するように柔軟な保護カバーが取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の近接撮影用ライト。
【請求項9】
前記保護カバーの中心部に円形の開口が形成されるとともに、該開口の内径が前記鏡筒または対物レンズの外径よりもひとまわり小さいことを特徴とする請求項8に記載の近接撮影用ライト。
【請求項10】
中心部の円形の開口の寸法が異なる複数種類の保護カバーが用意され、カメラの鏡筒または対物レンズの大きさに応じて保護カバーを交換できるようにしたことを特徴とする請求項9に記載の近接撮影用ライト。
【請求項11】
ほぼ円形の開口を有する外筐を具備し、前記開口の周囲に沿って発光手段が設けられ、前記開口の中心をカメラの鏡筒または対物レンズの中心とほぼ一致させ、前記発光手段によって撮像対象物を照らしながら前記開口を通して光像を前記カメラの鏡筒または対物レンズを介して取込むようにした近接撮影用ライトにおいて、
前記発光手段を備える外筐に高さ方向に移動調整自在にロッドが取付けられるとともに、該ロッドの基端側に連結子が固着され、
前記連結子にX軸方向に移動調整可能にX軸アームが取付けられ、
前記X軸アームの先端部にY軸アームが取付けられ、該Y軸アームの長さ方向に移動可能な取付け手段によって前記カメラに取付けるようにしたことを特徴とする近接撮影用ライト。
【請求項12】
前記Y軸アームの長さ方向に移動調整可能に取付けねじが取付けられ、該取付けねじによって前記カメラの三脚取付け用雌ねじ孔に螺着するようにしたことを特徴とする請求項11に記載の近接撮影用ライト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−32791(P2008−32791A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203016(P2006−203016)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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