説明

追尾アンテナ装置および位相変動補償方法

【課題】それぞれ独立に動作する複数の追尾アンテナ送受信装置における時間経過による位相変動を補償することができる追尾アンテナ装置および位相変動補償方法を提供する。
【解決手段】送信IF信号を複数の送受信装置10に所定の入力位相で分配する分配・移相器23を備え、各送受信装置10で送信IF信号を周波数アップコンバートされた後の送信RF信号を、周波数アップコンバートされる前の送信IF信号を逓倍した高調波成分を用いて低い周波数のダウンコンバート信号に変換する逓倍ダウンコンバート手段と、各送受信装置10のダウンコンバート信号から特性変動による各アンテナ間の相対位相差を検出する位相変動検出手段とを備え、分配・移相器23は、相対位相差の検出結果に基づいて複数の送受信装置10に分配する送信IF信号の各入力位相を制御し、各アンテナ間の位相変動を補償する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体衛星通信用地球局装置における追尾アンテナ装置および位相変動補償方法に関する。
【背景技術】
【0002】
追尾アンテナ装置は、各種センサ情報や通信の相手方からの受信信号から指向方向推定や指向方向誤差量を検出し、アンテナの指向方向(仰角および方位角)を機械的に制御する機能を備えている。
【0003】
一方、衛星通信は洋上で提供される唯一のブロードバンド通信手段であることから、船上の衛星通信用地球局装置の故障に対する信頼性を低コストで実現する手法として、複数のアンテナを使用する追尾アンテナ装置が検討されている(非特許文献1)。
【0004】
図5は、複数のアンテナを使用する従来の追尾アンテナ装置の構成例を示す。
図5において、追尾アンテナ装置は、複数N個の追尾アンテナ送受信部50−1〜50−Nと変復調装置60により構成される。
【0005】
図6は、追尾アンテナ送受信部50−kの構成例を示す(k=1〜N)。
図6において、追尾アンテナ送受信部50−kは、追尾機能付きアンテナ部51と、周波数ダウンコンバート器52と、周波数アップコンバート器53により構成される。周波数ダウンコンバート器52は、追尾機能付きアンテナ部11から入力する受信RF信号RRF(k) を周波数ダウンコンバートした受信IF信号RIF(k) を変復調装置60に出力する。周波数アップコンバート器53は、局部発振器531と、周波数変換器532と、高域通過フィルタ(HPF)533を備え、変復調装置60から入力する周波数fIFの送信IF信号TIF(k) と局部発振器131から入力する周波数fLOのローカル信号LO(k) を周波数変換器532でミキシングし、高域通過フィルタ533を介して周波数fRF(=fIF+fLO)の送信RF信号TRF(k) を追尾機能付きアンテナ部51に出力する。
【0006】
ローカル信号LO(k) 、送信IF信号TIF(k) 、送信RF信号TRF(k) は次のように表される。ここで、Tは設定周期、mは自然数である。
ローカル信号LO(k) : cos(2πfLOt+Δθk(t))
送信IF信号TIF(k) : cos(2πfIFt+θink(mT))
送信RF信号TRF(k) : cos(2πfRFt+θink(mT)+Δθk(t))
【0007】
このような追尾アンテナ装置では、複数の追尾アンテナ送受信部50−1〜50−Nからの送信信号が衛星局に対して所定の位相で送信するように制御し、信頼性向上とともに指向方向精度の向上、EIRP(実効放射電力)およびG/T(受信性能)を向上させている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】須崎、鈴木、山下、小林、「複数アンテナを用いた船上地球局追尾アンテナの検討」、2010年電子情報通信学会ソサイエティ大会、 B-3-19 、2010
【非特許文献2】「モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)」p.120 電子情報通信学会 コロナ社 1997年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
各追尾アンテナ送受信部50−kが備える局部発振器531は,共通の参照信号(例えば10MHz参照信号) を入力し、同一の周波数(Ku帯では 13.05GHz)で発振している。ここで、ローカル信号と参照信号との周波数差が1000倍超であるため、各追尾アンテナ送受信装置の局部発振器間の分周等によるわずかな位相のずれΔθk (t) が蓄積すると、時間経過とともに相対的な位相が変動する。図7は、各追尾アンテナ送受信装置の送信信号の相対位相差の時間変動を示す。このような相対位相差が生じると、利得の低下、指向方向のずれといった問題が生じる。
【0010】
この問題を解決するためには、変復調装置60において、各追尾アンテナ送受信装置50−kの周波数アップコンバート器53の出力を位相比較し、上記のような特性変動による位相差が0になるようフィードバック制御を行う方法が考えられる。しかし、周波数アップコンバート後の信号は周波数が高く、さらに各追尾アンテナ送受信装置50−k間もメートルオーダとなる場合もあることから、損失や環境変化による位相変動の点を考慮すると、変復調装置60へそのままのフィードバックは困難となる。そのため、低い周波数に変換することが望ましいが、独立の局部発振器を用いて周波数変換を行うと、周波数アップコンバート器53と同様に新たな位相変動が重畳されてしまう。
【0011】
本発明は、それぞれ独立に動作する複数の追尾アンテナ送受信装置における時間経過による位相変動を補償することができる追尾アンテナ装置および位相変動補償方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、送信IF信号を複数の送信装置に所定の入力位相で分配する分配・移相器を備え、各送信装置で送信IF信号を周波数アップコンバートした送信RF信号をそれぞれアンテナから所定の位相で送信する追尾アンテナ装置において、送信装置で周波数アップコンバートされた後の送信RF信号を、周波数アップコンバートされる前の送信IF信号を逓倍した高調波成分を用いて低い周波数のダウンコンバート信号に変換する逓倍ダウンコンバート手段と、各送信装置のダウンコンバート信号から特性変動による各アンテナ間の相対位相差を検出する位相変動検出手段とを備え、分配・移相器は、相対位相差の検出結果に基づいて複数の送信装置に分配する送信IF信号の各入力位相を制御し、各アンテナ間の位相変動を補償する構成である。
【0013】
第2の発明は、送信IF信号を複数の送信装置に所定の入力位相で分配する分配・移相器を備え、各送信装置で送信IF信号を周波数アップコンバートした送信RF信号をそれぞれアンテナから所定の位相で送信する追尾アンテナ装置において、送信装置で周波数アップコンバートされた後の送信RF信号を、周波数アップコンバートされる前の送信IF信号を用いて2次以上のエイリアス成分によって発生する低い周波数のダウンコンバート信号に変換する周波数変換手段と、各送信装置のダウンコンバート信号から特性変動による各アンテナ間の相対位相差を検出する位相変動検出手段とを備え、分配・移相器は、相対位相差の検出結果に基づいて複数の送信装置に分配する送信IF信号の各入力位相を制御し、各アンテナ間の位相変動を補償する構成である。
【0014】
第1の発明または第2の発明の追尾アンテナ装置において、位相変動検出手段は、各送信装置のダウンコンバート信号から相対位相差を検出し、このダウンコンバート信号の相対位相差と各送信装置に分配する送信IF信号の既知の入力位相とを用いて、各送信装置の周波数アップコンバートで重畳される相対位相差を検出する構成である。
【0015】
第3の発明は、送信IF信号を複数の送信装置に所定の入力位相で分配する分配・移相器を備え、各送信装置で送信IF信号を周波数アップコンバートした送信RF信号をそれぞれアンテナから所定の位相で送信する追尾アンテナ装置の位相変動補償方法において、送信装置で周波数アップコンバートされた後の送信RF信号を、周波数アップコンバートされる前の送信IF信号を逓倍した高調波成分を用いて低い周波数のダウンコンバート信号に変換し、各送信装置のダウンコンバート信号を位相変動検出手段に入力し、特性変動による各アンテナ間の相対位相差を検出し、分配・移相器は、相対位相差の検出結果に基づいて複数の送信装置に分配する送信IF信号の各入力位相を制御し、各アンテナ間の位相変動を補償する。
【0016】
第4の発明は、送信IF信号を複数の送信装置に所定の入力位相で分配する分配・移相器を備え、各送信装置で送信IF信号を周波数アップコンバートした送信RF信号をそれぞれアンテナから所定の位相で送信する追尾アンテナ装置の位相変動補償方法において、送信装置で周波数アップコンバートされた後の送信RF信号を、周波数アップコンバートされる前の送信IF信号を用いて2次以上のエイリアス成分によって発生する低い周波数のダウンコンバート信号に変換し、各送信装置のダウンコンバート信号を位相変動検出手段に入力し、特性変動による各アンテナ間の相対位相差を検出し、分配・移相器は、相対位相差の検出結果に基づいて複数の送信装置に分配する送信IF信号の各入力位相を制御し、各アンテナ間の位相変動を補償する。
【0017】
第3の発明または第4の発明の追尾アンテナ装置の位相変動補償方法において、位相変動検出手段は、各送信装置のダウンコンバート信号から相対位相差を検出し、このダウンコンバート信号の相対位相差と各送信装置に分配する送信IF信号の既知の入力位相とを用いて、各送信装置の周波数アップコンバートで重畳される相対位相差を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の追尾アンテナ装置および位相変動補償方法は、それぞれが独立に動作する複数のアンテナ送受信部の特性変動による位相変動を補償することができ、利得および指向方向を安定させることができる。また、複数のアンテナにより構成されるため、冗長による信頼性向上および拡張性のある地球局アンテナ装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の追尾アンテナ装置の実施例構成を示す図である。
【図2】追尾アンテナ送受信装置10−kの構成例を示す図である。
【図3】動的位相変動検出装置30の構成例を示す図である。
【図4】相対位相差と合成電力の時間変化を示す図である。
【図5】複数のアンテナを使用する従来の追尾アンテナ装置の構成例を示す図である。
【図6】追尾アンテナ送受信部50−kの構成例を示す図である。
【図7】各追尾アンテナ送受信装置の送信信号の相対位相差の時間変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の追尾アンテナ装置の実施例構成を示す。
図1において、本実施例の追尾アンテナ装置は、複数N個の追尾アンテナ送受信装置10−1〜10−Nと、変復調装置20と、動的位相変動検出装置30により構成される。
【0021】
変復調装置20は、各追尾アンテナ送受信装置10−k(k=1〜N)からの受信IF信号RIF(k) を入力して受信データ系列を出力する復調器21、送信データ系列を入力して送信IF信号TIFを出力する変調器22、送信IF信号TIFを入力して各追尾アンテナ送受信装置10−kに分配する送信IF信号TIF(k) の出力位相設定を行う分配・移相器23により構成される。
【0022】
図2は、追尾アンテナ送受信装置10−kの構成例を示す。
図2において、追尾アンテナ送受信装置10−kは、追尾機能付きアンテナ部11と、周波数ダウンコンバート器12と、周波数アップコンバート器13と、逓倍ダウンコンバート器14により構成される。逓倍ダウンコンバート器14は、変復調装置20の分配・移相器23から入力する送信IF信号TIF(k) を逓倍する逓倍器141、周波数アップコンバート器13から出力される送信RF信号TRF(k) と逓倍器141から出力される周波数逓倍信号(送信RF信号TRF(k) の周波数アップコンバート前の位相変動を含んでいない信号の高調波成分)をミキシングする周波数変換器142、周波数変換器142の出力から低周波成分のダウンコンバート信号TDC(k) を出力する低域通過フィルタ(LPF)143により構成される。
【0023】
図3は、動的位相変動検出装置30の構成例を示す。
図3において、動的位相変動検出装置30は、各追尾アンテナ送受信装置10−1〜10−Nからダウンコンバート信号TDC(1) 〜TDC(N) を入力するA/D変換器31−1〜31−Nと、A/D変換器31−1〜31−Nの各出力位相と変復調装置20の分配・移相器23で送信IF信号TIF(1) 〜TIF(N) に設定した位相設定値θin1(mT)〜θinN(mT)(Tは設定周期、mは自然数)の位相比較を行い、分配・移相器23にフィードバックする相対位相差Δθ1 1(t)〜ΔθN 1(t)を出力する位相比較演算器32により構成される。
【0024】
以下、図1〜図3を参照して本実施例の追尾アンテナ装置の機能について説明する。
追尾アンテナ送受信装置10−kの周波数アップコンバート器13は、送信IF信号TIF(k)(=cos(2πfIFt+θink(mT)))とローカル信号LO(k)(=cos(2πfLOt+Δθk(t)))をミキシングし、
cos(2πfLOt+Δθk(t)) cos(2πfIFt+θink(mT))
=(1/2)cos(2π(fLO+fIF)t+Δθk(t)+θink(mT))
+(1/2)cos(2π(fLO−fIF)t+Δθk(t)−θink(mT)) …(1)
で与えられる複数の周波数成分を持った信号を生成する。このうち、高域通過フィルタを介して周波数fRF(=fLO+fIF)の送信RF信号TRF(k) (= cos(2πfRFt+Δθk(t)+θink(mT))) を出力する。その際、ローカル周波数に含まれているΔθk(t)の位相成分が送信RF信号TRF(k) に重畳されているため、この位相変動を検出し補償を行う必要がある。
【0025】
課題として挙げたように送信RF信号TRF(k) を直接用いると、損失や環境変化による位相変動等の点で扱いが困難である。そのため、取り扱いが容易な低い周波数に変換することが望ましい。しかし、独立の局部発振器を用いて周波数変換を行うと、周波数アップコンバート器と同様に新たな位相変動が重畳される。そこで逓倍ダウンコンバート器14では、位相変動を含まない送信IF信号TIF(k) を直接逓倍して参照信号を生成し、これを用いて送信RF信号TRF(k) を低い周波数に変換する。
【0026】
図2に示すように、逓倍ダウンコンバート器14の逓倍器141は、入力した送信IF信号TIF(k) からL倍の高調波成分LTIF(k) を発生させる。周波数変換器142は、逓倍器141の出力LTIF(k) (=cosL(2πfIFt+θink(mT)))と送信RF信号TRF(k) (=cos(2πfRFt+Δθk(t)+θink(mT)))をミキシングし、
cos(2πfRFt+Δθk(t)+θink(mT))cosL(2πfIFt+θink(mT))
=(1/2)cos(2π(fRF+LfIF)t+(1+L)θink(mT)+Δθk(t))
+(1/2)cos(2π(fRF−LfIF)t+(1−L)θink(mT)+Δθk(t)) …(2)
で与えられる複数の周波数成分を持った信号を生成する。このうち、低域通過フィルタ(LPF)143を介して、周波数fout (=fRF−LfIF) のダウンコンバート信号TDC(k) (=cos(2π(foutt+(1−L)θink(mT)+Δθk(t))) を出力する。
なお、ダウンコンバート信号TDC(k) は、送信RF信号TRF(k) と送信IF信号TIF(k) を周波数変換器142に入力し、その出力における2次以上のエイリアス成分を利用してもよい(非特許文献2)。
【0027】
このダウンコンバート信号TDC(k) を利用し、周波数アップコンバート器13で生じる位相差変動を後段の動的位相変動検出装置30で検出する。そして、基準となる追尾アンテナ送受信装置10−xの位相から特性変動による相対的な位相ずれが0となるように補正信号を生成する。
【0028】
以下、補正法の一例を示す。基準となる追尾アンテナ送受信装置10−xを任意に設定することが可能だが、ここでは追尾アンテナ送受信装置10−1を基準とした追尾アンテナ送受信装置10−kの相対位相差を算出する場合について示す。
【0029】
まず、ダウンコンバート信号TDC(1) ,TDC(k) を図3に示す動的位相変動検出装置30のA/D変換器31−1,31−kでA/D変換し、位相比較演算器32で逆三角関数等を用いて2信号の相対位相差θoutk(t) −θout1(t) を求める。A/D変換後の2信号の相対位相差は、ダウンコンバート信号TDC(1) ,TDC(k) の相対位相差と以下の式(3) の関係になる。
θoutk(t)−θout1(t)
=[((1-L)θink(mT)+Δθk(t))−((1-L)θin1(mT)+Δθ1(t))] …(3)
【0030】
ここで、追尾アンテナ送受信装置10−1,10−kへの入力位相θin1(mT),θink(mT)は既知であるので、位相比較演算器32では、式(3) を変形した下記の式(4) で表わされる演算を行うことで、周波数アップコンバート器14−1,14−kの特性変動でそれぞれ重畳されたΔθ1(t)とΔθk(t)の相対位相差Δθk 1(t)を検出できる。
Δθk 1(t)=[θoutk(t)−θout1(t)]−[(1-L)(θink(mT)−θin1(mT))] …(4)
【0031】
相対位相差Δθk 1(t)はθink(mT) の関数であり一意に決まるので、θink(mT) を適切に制御することにより送信信号に含まれる相対位相差Δθk 1(t)を0にすることができる。そのための補正制御方法の一例としては、θink(mT) 、Δθk 1(t)、定数α(0<α<1)を用いて、以下の式(5) のように図1の変復調装置20の分配・移相器23の時間t+1における位相設定量θink((m+1)T) を変化させていくことで、徐々にΔθk 1(t)が0となるようにフィードバック制御をかける等の方法が考えられる。
θink((m+1)T)=θink(mT)−αΔθk 1(t) …(5)
【0032】
図4は、相対位相差Δθk 1(t)と合成電力の時間変化を示す。設定条件は次の通りである。
送信装置数 :2
IF中心周波数: 1086.7 MHz
RF中心周波数:14136.7 MHz
逓倍数L :13
フィードバック周波数:9.6 MHz
変調方式 :CW,QPSK(320kbps)
【0033】
ここに示すように、従来の補償なしの構成では時間とともに位相差変動が大きくなり、合成電力値を低下するが、本発明の補償制御を行うことにより位相差変動および合成電力をほぼ一定に維持することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 追尾アンテナ送受信装置
11 追尾機能付きアンテナ部
12 周波数ダウンコンバート器
13 周波数アップコンバート器
14 逓倍ダウンコンバート器
141 逓倍器
142 周波数変換器
143 低域通過フィルタ(LPF)
20 変復調装置
21 復調器
22 変調器
23 分配・移相器
30 動的移相変動検出装置
31 A/D変換器
32 位相比較演算器
50 追尾アンテナ送受信装置
51 追尾機能付きアンテナ部
52 周波数ダウンコンバート器
53 周波数アップコンバート器
531 局部発振器
532 周波数変換器
533 高域通過フィルタ(HPF)
60 変復調装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信IF信号を複数の送信装置に所定の入力位相で分配する分配・移相器を備え、各送信装置で送信IF信号を周波数アップコンバートした送信RF信号をそれぞれアンテナから所定の位相で送信する追尾アンテナ装置において、
前記送信装置で周波数アップコンバートされた後の前記送信RF信号を、周波数アップコンバートされる前の前記送信IF信号を逓倍した高調波成分を用いて低い周波数のダウンコンバート信号に変換する逓倍ダウンコンバート手段と、
前記各送信装置の前記ダウンコンバート信号から特性変動による各アンテナ間の相対位相差を検出する位相変動検出手段とを備え、
前記分配・移相器は、前記相対位相差の検出結果に基づいて前記複数の送信装置に分配する送信IF信号の各入力位相を制御し、各アンテナ間の位相変動を補償する構成である
ことを特徴とする追尾アンテナ装置。
【請求項2】
送信IF信号を複数の送信装置に所定の入力位相で分配する分配・移相器を備え、各送信装置で送信IF信号を周波数アップコンバートした送信RF信号をそれぞれアンテナから所定の位相で送信する追尾アンテナ装置において、
前記送信装置で周波数アップコンバートされた後の前記送信RF信号を、周波数アップコンバートされる前の前記送信IF信号を用いて2次以上のエイリアス成分によって発生する低い周波数のダウンコンバート信号に変換する周波数変換手段と、
前記各送信装置の前記ダウンコンバート信号から特性変動による各アンテナ間の相対位相差を検出する位相変動検出手段とを備え、
前記分配・移相器は、前記相対位相差の検出結果に基づいて前記複数の送信装置に分配する送信IF信号の各入力位相を制御し、各アンテナ間の位相変動を補償する構成である
ことを特徴とする追尾アンテナ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の追尾アンテナ装置において、
前記位相変動検出手段は、前記各送信装置の前記ダウンコンバート信号から相対位相差を検出し、このダウンコンバート信号の相対位相差と前記各送信装置に分配する前記送信IF信号の既知の入力位相とを用いて、前記各送信装置の周波数アップコンバートで重畳される相対位相差を検出する構成である
ことを特徴とする追尾アンテナ装置。
【請求項4】
送信IF信号を複数の送信装置に所定の入力位相で分配する分配・移相器を備え、各送信装置で送信IF信号を周波数アップコンバートした送信RF信号をそれぞれアンテナから所定の位相で送信する追尾アンテナ装置の位相変動補償方法において、
前記送信装置で周波数アップコンバートされた後の前記送信RF信号を、周波数アップコンバートされる前の前記送信IF信号を逓倍した高調波成分を用いて低い周波数のダウンコンバート信号に変換し、
前記各送信装置の前記ダウンコンバート信号を位相変動検出手段に入力し、特性変動による各アンテナ間の相対位相差を検出し、
前記分配・移相器は、前記相対位相差の検出結果に基づいて前記複数の送信装置に分配する送信IF信号の各入力位相を制御し、各アンテナ間の位相変動を補償する
ことを特徴とする追尾アンテナ装置の位相変動補償方法。
【請求項5】
送信IF信号を複数の送信装置に所定の入力位相で分配する分配・移相器を備え、各送信装置で送信IF信号を周波数アップコンバートした送信RF信号をそれぞれアンテナから所定の位相で送信する追尾アンテナ装置の位相変動補償方法において、
前記送信装置で周波数アップコンバートされた後の前記送信RF信号を、周波数アップコンバートされる前の前記送信IF信号を用いて2次以上のエイリアス成分によって発生する低い周波数のダウンコンバート信号に変換し、
前記各送信装置の前記ダウンコンバート信号を位相変動検出手段に入力し、特性変動による各アンテナ間の相対位相差を検出し、
前記分配・移相器は、前記相対位相差の検出結果に基づいて前記複数の送信装置に分配する送信IF信号の各入力位相を制御し、各アンテナ間の位相変動を補償する
ことを特徴とする追尾アンテナ装置の位相変動補償方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の追尾アンテナ装置の位相変動補償方法において、
前記位相変動検出手段は、前記各送信装置の前記ダウンコンバート信号から相対位相差を検出し、このダウンコンバート信号の相対位相差と前記各送信装置に分配する前記送信IF信号の既知の入力位相とを用いて、前記各送信装置の周波数アップコンバートで重畳される相対位相差を検出する
ことを特徴とする追尾アンテナ装置の位相変動補償方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−147181(P2012−147181A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3099(P2011−3099)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】