説明

送り装置

【課題】
多目的用途の送り装置として、位置決め精度・長距離搬送・遠隔搬送・制御性・高精密送り・高速送り・低価格・簡潔構成・省スペース・軽量化・発塵対策・事故発生に対する安全対策などを満足させるものを提供する。
【解決手段】
正巻器21・逆巻器31・正巻用線状体51・逆巻用線状体61・往復作動体71などを備えている。正巻用線状体51と逆巻用線状体61とが往復作動体71に連結されている。巻き取り回転時の正巻器21と巻き戻し回転時の逆巻器31とが同期かつ同調して同方向または逆方向へ回転する。正巻器21による正巻用線状体の巻き取り量と逆巻器31による逆巻用線状体の巻き戻し量とが互いに等しい。正巻器21による正巻用線状体51の巻き戻し量と逆巻器31による逆巻用線状体61の巻き取り量とが互いに等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械分野に属するものであって往復作動体を往復動させるための送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、産業機械器具の多くは一部または全体に送りかけるための送り装置を含んでいる。送り装置は搬送系や往復動装置ともいわれる。代表的一例として工作機械などは、加工物を加工位置まで搬入したり加工位置から搬出したりするための送り装置を装備している。このほか、原材料を供給するための送り装置があったり、組立部品を組立位置まで搬入したり組立位置から搬出したりするための送り装置があったりする。したがって機械分野での送り装置の利用範囲は多岐にわたる。
【0003】
一般に広く知られた送り装置にはベルトコンベア・ネジ送り装置・シリンダ送り装置・タイミングベルト送り装置・ロボットなどがある。これらはつぎのようなものである。
〔ベルトコンベア〕
搬送物をベルト上に載せ、プーリでベルトを回転させ、搬送物を連続して運ぶものである。搬送手段としては最も一般的である。
〔ネジ式送り装置〕
台形ネジやボールネジなどのネジを利用するものである。搬送物を往復作動体上にセットし、ネジの推進力で往復作動体に送りをかける。高精度装置の場合は、送りネジとしてボールネジが用いられたり、動力源としてサーボモータが用いられたりする。
〔シリンダ式送り装置〕
油圧系または空気圧系のシリンダを利用するものである。搬送物を往復作動体上にセットし、シリンダ内を摺動するピストンの力で往復作動体に送りをかける。
〔タイミングベルト式送り装置〕
搬送物をタイミングベルト(歯付ベルト)上に載せ、歯付プーリでタイミングベルトを回転させ、搬送物を連続して運ぶものである。ベルトコンベアよりも精度の高い搬送が行える。
〔ロボット〕
「掴む」「移動する」「離す(置く)」など操作性のあるロボットハンドを有する。上下・左右・前後・回転など搬送方向に自在性を持たせることができる。また、関節の数を多くすることでロボットハンドの動きを微細に制御することができる。
【特許文献1】特開2002−340127号公報
【特許文献2】特開2002−372119号公報
【特許文献3】特開2003−311562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した搬送手段のうちでベルトコンベアは、低価格で長距離搬送に適応する反面、搬送物の位置決め精度が低く、他に比べて搬送速度も遅い。加えてベルトコンベアは、搬送距離に比例するところの長大な設置スペースを必要とする。ネジ式送り装置は、研磨ボールネジの使用で搬送精度が高まるほか、中高速などの搬送も可能になる。とはいえ、高価な研磨ボールネジを用いるケースでは、それがコストプッシュ要因となるため装置が高価になる。ネジ送り装置は、また、省スペース型でないばかりか搬送距離が短いためにベルトコンベアのような長距離搬送が困難になる。シリンダ式送り装置もネジ式送り装置と同様、長距離搬送の困難性や高価格が問題であり、省スペース型といえるほどのコンパクト化も達成されてない。なかでもシリンダ式送り装置は、搬送ストロークの任意変更が困難という点が実用上の難点になっている。一方でタイミングベルト式送り装置は、研磨ボールネジを用いるネジ式送り装置よりも低額であるが、高い位置決め精度を期すため高精度品を用いたりするときには、ベルトコンベアに比してかなり高額になる。さらにタイミングベルトは、ネジ送り装置やシリンダ式送り装置よりも長い搬送距離を設定できるが、製作上の制約があったりベルトの弛みが生じたりするため、ベルトコンベアほどの搬送距離を確保するのが難しい。つまりタイミングベルト式送り装置は、ベルトコンベアほど長大化しないけれどもその分だけ搬送距離が短くなる。これらに対してロボットは、精度が格段に高く高機能であるが高額すぎる。それに長距離間の連続搬送には適さない。
【0005】
既存の各搬送手段には上記で明らかなように一長一短がある。これらの長所のみを集約した有用で有益な送り装置についはその開発がなされていない。
【0006】
上述したボールネジ方式やタイミングベルト方式など既存の送り手段についてさらにいうと、これらの場合は駆動系の部品摩擦に起因した微粉塵の発生(μm単位以下の発塵)が避けられない。微粉塵についてはこれを問題視しない分野と、徹底して排除しなければならない分野とがある。後者でとくに超高度のクリーン度を要求しているのは液晶基板の製造分野や半導体の製造分野である。
【0007】
発塵対策としては部品の耐摩耗性を高めたり発塵低減用グリースを用いたりする手段が講じられている。装置についても、電磁力利用の非接型動力装置として発塵部分をほとんどもたないリニアサーボアクチュエータが開発されている。これらを総合して実施するときは、超高度のクリーン度が要求される製造分野なども所定のクリーン雰囲気に保持することができる。とはいえリニアサーボアクチュエータは、発塵対策の点でよいとしてもコストが高すぎる。それゆえリニアサーボアクチュエータと同程度またはそれ以上のクリーン度が確保できて、しかもコスト面ではリニアサーボアクチュエータを大幅に下回る手段が希求されている。
【0008】
送り手段用の低発塵技術については、また、極端なコストアップにならないかぎり、多重の対策を講じて万全を期すことが望ましい。それが製品の歩留まりを高めたり、不良品の処理コストを削減させたりするので、トータルでみた経済性にも通じる。
【0009】
さらに精密加工装置などは、自明のとおり高度の精密送りが不可欠である。したがって用途に応じては、高精密の送りを満足させることも重要な課題になる。
【0010】
このほか送り装置の場合も、不測の事故が発生したときには、これを直ちに検出して安全性の確保や二次被害の防止をはかることが重要である。
【0011】
本発明はかかる技術上の課題に鑑み、位置決め精度・長距離搬送・遠隔搬送・制御性・高精密送り・高速送り・低価格・簡潔構成・省スペース・軽量化・発塵対策・事故発生に対する安全対策など、これらを満足させることのできる送り装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る送り装置は所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項1記載の送り装置は、正逆回転自在な正巻器と、正逆回転自在な逆巻器と、正巻器を介して巻き取られたり巻き戻されたりする正巻用線状体と、逆巻器を介して巻き取られたり巻き戻されたりする逆巻用線状体と、行き方向や戻り方向の力を受けたときにガイド手段の案内で進行したり逆行したりする往復作動体とを備えていること、および、正巻器で巻き取り巻き戻し自在に保持された正巻用線状体と逆巻器で巻き取り巻き戻し自在に保持された逆巻用線状体とが往復作動体に連結されていること、および、巻き取り回転時の正巻器と巻き戻し回転時の逆巻器とが互いに同期かつ同調してそれぞれの巻き取り方向や巻き戻し方向へ回転するものであるとともに、巻き戻し回転時の正巻器と巻き取り回転時の逆巻器とが互いに同期かつ同調してそれぞれの巻き戻し方向や巻き取り方向へ回転するものであること、および、正巻器による正巻用線状体の巻き取り量と逆巻器による逆巻用線状体の巻き戻し量とが互いに等しいものであるとともに、正巻器による正巻用線状体の巻き戻し量と逆巻器による逆巻用線状体の巻き取り量とが互いに等しいものであることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2に係る送り装置は、請求項1記載のものにおいて、正巻器と逆巻器とが同軸状に一体化されたものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項3に係る送り装置は、請求項1記載のものにおいて、正巻器と逆巻器とが互いに独立したものであることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項4に係る送り装置は、請求項1〜3いずれかに記載のものにおいて、巻き取り回転時の正巻器および逆巻器が線状体の巻き取りピッチに対応して軸線方向に移動するものであることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項5に係る送り装置は、請求項1〜4いずれかに記載のものにおいて、正巻用線状体の一部が正巻器の巻胴に固定されているとともに逆巻用線状体の一部が逆巻器の巻胴に固定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項6に係る送り装置は、請求項1〜5いずれかに記載のものにおいて、摩擦発生箇所が防塵カバーを介して覆われていることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項7に係る送り装置は、請求項6記載のものにおいて、防塵カバーの内部を吸引するための吸引機械が防塵カバーに接続されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項8に係る送り装置は、請求項6〜7いずれかに記載のものにおいて、正巻用線状体および/または逆巻用線状体が防塵カバーを非接触で貫通していることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項9に係る送り装置は、請求項1〜5いずれかに記載のものにおいて、往復作動体が非接触式のガイド手段を介して往復動自在に支持されていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項10に係る送り装置は、請求項1〜5いずれかに記載のものにおいて、往復移動体の移動量を表示するためのリニアスケールと、リニアスケールに対応させて往復移動体位置を読み取るための非接触式の検出ヘッドと、検出ヘッドからの検出信号を受けてフィードバック制御信号を正巻器および逆巻器用の原動機に入力するための制御手段とからなるスケールフィードバック手段を備えており、リニアスケールがガイド手段の長さ方向沿いに設けられ、検出ヘッドが往復移動体に装備され、かつ、検出ヘッドが制御手段に接続されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項11に係る送り装置は、請求項1〜5いずれかに記載のものにおいて、正巻用線状体の断線および/または逆巻用線状体の断線を検知するための断線検出器が正巻用線状体および/または逆巻用線状体に対応して装備されているとともに、正巻用線状体および/または逆巻用線状体の断線発生時に往復作動体を停止させるための制動機が往復作動体の移動領域に装備されており、かつ、断線発生時において断線検出器から断線検出信号を受ける制動機が往復作動体を停止させるものであるとともに、これと同期して正巻器用および/または逆巻器用の原動機の電源を切るものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る送り装置はつぎのような効果を有する。
(01)往復作動体の進行方向・逆行方向はガイド手段が正確に保証する。これ加え往復作動体の進行や逆行も、正巻器による正巻用線状体の「巻き戻し」または「巻き取り」と、逆巻器による逆巻用線状体の「巻き取り」または「巻き戻し」とを同期かつ同調させることで正確に行う。したがって進行時や逆行時における往復作動体の位置決め精度が高い。
(02)正巻用・逆巻用の両線状体とガイド手段とを長くするだけで、往復作動体を介した長距離搬送が簡単に実現する。
(03)往復作動体を正巻器・逆巻器から遠く離れた場所に設定するときでも、正巻用線状体や逆巻用線状体を長くすることで当該往復作動体の遠隔操作が可能になる。したがって往復作動体が遠隔場所にあるときの遠隔搬送も簡単に実現する。
(04)往復作動体の進行量(送り量)や逆行量(戻し量)は正巻器や逆巻器の回転量で決まる。すなわち正巻器や逆巻器の回転量で送り量・戻し量を正確に制御することができるから、制御性がよい。
(05)往復作動体は小型のもので足りるし、主要な両線状体はきわめて軽量である。これは往復作動体を進行させたり逆行させたりするときの慣性モーメントが小さいということであるから、高速送りに適している。
(06)長距離搬送や遠隔搬送を可能にするところの主要な両線状体は単なる長尺物であるから、他の搬送手段の主要部材と比べ格段に安い。したがって装置を低価格で提供することができる。
(07)往復作動体はガイド手段がありさえすれば所定方向に往復運動する。このような往復作動体に正巻器や逆巻器の線状体を繋ぐだけだから、構成が簡潔になる。
(08)単に長いだけで構造上の嵩張りがない両線状体は、ごくわずかなスペースを利用して正巻器や逆巻器と往復作動体とにわたる策取りを可能にする。したがって省スペースが実現する。
(09)正巻用線状体や逆巻用線状体は、また、それ自体が軽量のものである。したがって応分の軽量化もはかることができる。
(10)正巻器や逆巻器による線状体の巻き取り・巻き戻しを主体にしたもので、この機構には摩擦に起因した発塵が生じないから、超高度のクリーン度が要求される分野での使用にとくに適している。
(11)摩擦発生箇所すなわち発塵箇所が防塵カバーで覆われているから、ここで発生した粉塵が周辺にまで飛散することがほとんどない。したがってクリーン度をさらに高めることができる。
(12)防塵カバー内を吸引機械で積極的に吸引して粉塵を収集するときは、粉塵の飛散防止がより確実になり、周辺の雰囲気をよりクリーン度の高いものにすることができる。
(13)正巻用線状体や逆巻用線状体が防塵カバーを非接触で貫通するものは、線状体の策取りが容易であり、発塵箇所を必要以上カバーするというも構成の不経済も抑制できる。
(14)往復作動体が非接触式のガイド手段を介して往復動自在に支持されているものは発塵原因がない。したがってこれもクリーン度の超高度維持に貢献する。
(15)スケールフィードバック手段を備えているので、往復作動体の送り量(移動量)を高精度に制御することができる。
(16)正巻用線状体や逆巻用線状体の断線を断線検出器で検出して往復作動体を制動機により停止させるものは、不測事態でこの種の断線事故が発生したとき、安全確保のために往復作動体を直ちに停止したり、線状体の暴乱による二次被害の発生を防止したりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る送り装置の実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【0025】
図1の実施形態において、11は原動機、21は正巻器、31は逆巻器、41はネジ軸を示し、51は正巻用線状体、61は逆巻用線状体、71は往復作動体を示す。
【0026】
図1に例示された原動機11は公知ないし周知のサーボモータまたはパルスモータからなる。原動機11の出力軸12には歯車(ピニオン)13が取り付けられている。かかる原動機11は、図1において設置領域Aの一部に配置され、周知の手段で固定支持されている。
【0027】
図1における正巻器21や逆巻器31は、金属・合成樹脂・複合材など機械的特性の優れた材料からなる。正巻器21は断面円形で軸方向に長い巻胴22を要部している。正巻器21の巻胴22はその外側端面から突出する枢軸23を有し、枢軸23の端部外周には歯車(ギア)24が設けられている。逆巻器31も断面円形で軸方向に長い巻胴32を要部している。逆巻器31の巻胴32はその外側端面から突出する枢軸33を有する。逆巻器31は、また、枢軸33の軸心部にネジ孔34が形成されていたり枢軸33の軸心部に空間部35が形成されていたりするとともに、ネジ孔34と空間部35が互いに通じているものである。図1においては、このような構成の正巻器21と逆巻器31とが一体化されている。すなわち正巻器21の巻胴22が右側で逆巻器31の巻胴32が左側というように、これらが一直線状に一体化されている。
【0028】
正巻器21と逆巻器31との一体物は、図1の設置領域Aにおいて回転自在かつ軸方向に往復自在なるよう両端支持されるものである。すなわち当該一体物は、設置領域A上において、枢軸23を回転自在かつ摺動自在に支持している軸受部材25と、枢軸33を回転自在かつ摺動自在に支持している軸受部材36とを介して支持されている。この態様において枢軸23側の歯車24と原動機出力軸12側の歯車13とが互いに噛み合う。図1で明らかなように歯車24の幅は歯車13の幅よりも大きい。
【0029】
図1におけるネジ軸41は、これの周面にネジ溝を有するものである。このネジ軸41の材料は正巻器21や逆巻器31のそれと同じである。
【0030】
図1のネジ軸41は、設置領域Aにおいて逆巻器31に隣接して配置され、軸受スタンド42を介して水平に固定支持されている。このネジ軸41の先端側は枢軸33のネジ孔34にねじ込まれて空間部35内にまで介入している。
【0031】
正巻用線状体51・逆巻用線状体61はいずれも強靱な長尺物からなる。このような両線状体51・61としては、糸のような極細のものからロープのように太いものまで、任意の径のものが採用される。実用上の観点からすると、強度が確保できるかぎり径の小さい線状体51・61が望ましい。両線状体51・61は、また、可撓性はあるけれども抗張力性が高いために伸縮性が実質的にない。両線状体51・61の具体的な材料として金属・合成樹脂・これらの複合体をあげることができる。これらについては複数本の単糸や線材を撚り合わせたものある。図1に例示された両線状体51・61は一本に繋がり、それがエンドレス状を呈している。
【0032】
図1において、正巻用線状体51は正巻器21の巻胴22に巻き付けられ、逆巻用線状体61は逆巻器31の巻胴32に巻き付けられられるものである。これらの線状体51・61は、さらに回転輪を介した策取りによって後述の往復作動体71に連繋されるものである。そのうちで両巻胴22・32への巻き付けに際しては、図1の両線状体51・61が一連のものであることから両巻胴22・32にわたって螺旋状に巻き付けられる。具体的には、巻胴22に対する正巻用線状体巻付量と巻胴32に対する逆巻用線状体巻付量とが互いに等しくなるように当該巻き付けが行われる。この場合に両線状体51・61の境界部が両巻胴22・32に対する当該両線状体51・61の固定部Xになる。したがって固定部Xは両巻胴22・32の境界部に固定される。この固定手段は、固定部Xがずれ動かないかぎり任意でよいが、具体例をあげればつぎのようなものである。一例として、両巻胴22・32の境界部にリングのような孔が設けられているときは、そこに固定部Xを通して結びつける。他の一例として、両巻胴22・32の境界部に凹部が設けられているときは、そこに固定部Xを嵌め込んだ後、その上から固定具(止栓)を強力に差し込んでこれを固定する。さらに他の一例として、両巻胴22・32が円筒体からなるときの両者の境界部に貫通孔が設けられているときは、その貫通孔から両巻胴22・32の境界部内に固定部Xを挿入し、両巻胴22・32の境界部内において固定用や抜け止め用の金具を施して固定部Xを固定する。別の一例として両巻胴22・32の境界部に締め付け型・挟み付け型などのクランプが設けられているときは、それを介して固定部Xを固定する。上記以外の一例としては、接着手段(金属の場合は溶接手段も含む)を介して固定部Xを両巻胴22・32の境界部に固定する。固定部Xの固定に際して接着手段とその他の手段とを併用しても構わない。
【0033】
図1に略示された往復作動体71は、それ自体が加工機械器具であったり、搬送用治具であったり、あるいは、作業用ロボットの一部であったりする。図1での往復作動体71は、走行部材72と線状体クランプ用の固定部材73とを備えている。走行部材72は一例として走行ベアリングからなり、固定部材73は一例として線状体を挟んで締め付け固定するものからなる。
【0034】
図1の往復作動体71は所定の作業を行うために作業領域Bに装備されるものである。そのため作業領域Bには、基台81が設けられたり、往復作動体71の走行部材72と対応するガイド手段(例:ガイドレール)82が基台81上に敷設されたりしている。それで往復作動体71は、走行部材72を介して基台81のガイド手段82に組み付けられ、ガイド手段82の長さ方向沿いに往復動できるようになっている。このような往復作動体71に既述の正巻用線状体51・逆巻用線状体61が繋がれるが、かかる連繋をサポートするためにプーリやシーブなどの回転輪83〜85が適所に配置される。このうちで方向変換用の回転輪83・85は設置領域Aと作業領域Bとの間に配置され、アイドラ用の回転輪84は基台81に取り付けられている。
【0035】
図1において、正巻用線状体51や逆巻用線状体61はつぎのような態様で往復作動体71と連繋する。正巻用線状体51の場合は、正巻器21の巻胴22から巻き戻された部分が中間の回転輪83を経由して基台81側の回転輪84に至り、そこからUターンして往復作動体71の固定部材73まで達する。一方で逆巻用線状体61の場合は、中間の回転輪83を経由して往復作動体71の固定部材73まで達する。こうして固定部材73まで達した両線状体51・61の固定部分は一連に繋がっているから、当該固定部分を固定部材73で挟んで締め付け固定することにより、両線状体51・61と往復作動体71とが互いに連繋する。
【0036】
図1に例示された本発明送り装置において、原動機11の出力軸12を時計回り方向に回転させたときは、その回転が歯車13や歯車24を介して正巻器21・逆巻器31に伝わるため、両器21・31が反時計回り方向へ回転する。この場合の正巻器21と逆巻器31とは両者の巻胴直径が互いに等しい一体物である。したがって当該両器21・31の回転については、同一巻径(直径)のものが同期かつ同調して同方向へ回転しているとみなせる。一方で「正巻器21・逆巻器31」と「正巻用線状体51・逆巻用線状体61」との関係をみると、正巻用線状体51が正巻器21から巻き戻されると同時に逆巻用線状体61が逆巻器31で巻き取られるのであるから、両線状体51・61の動作が完全に逆である。このときの正巻用線状体51の巻き戻し量と逆巻用線状体61の巻き取り量とは自明のとおり等しい。こうして正巻用線状体51の巻き戻し逆巻用線状体61の巻き取りとが同時に行われると、固定部材73を介して両線状体51・61と連繋状態にある往復作動体71は、ガイド手段82の案内を受けながら図1の右方向へ移動する。すなわち往復作動体71には図1の右方向への送りが掛かるのである。原動機11の出力軸12を反時計回り方向に回転させたときは上記と逆の作用が生じる。すなわち、正巻用線状体51が正巻器21で巻き取られると同時に逆巻用線状体61が逆巻器31から巻き戻されるのである。このときも正巻用線状体51の巻き取り量と逆巻用線状体61の巻き戻し量とは互いに等しい。したがって往復作動体71には図1の左方向への送りが掛かり、かくて往復作動体71はガイド手段82の案内を受けながら図1の左方向へ移動する。
【0037】
上記のようにして往復作動体71に送りを掛けるときの正巻器21・逆巻器31は、回転しないネジ軸41がネジ孔34にねじ込まれているため、両線状体51・61の巻き取りピッチや巻き戻しピッチに対応して軸方向にシフトする。この場合の正巻用線状体51の巻き取りピッチは、密な螺旋巻きのとき、当該線状体51の直径に等しいとみて差し支えない。一方、隙間の生じるような粗い螺旋巻きのときは、当該線状体51の直径に隙間の寸法を加えたものが正巻用線状体51の巻き取りピッチになる。正巻用線状体51の巻き戻しピッチはその巻き取りピッチと同じである。逆巻用線状体61の巻き取りピッチや巻き戻しピッチも正巻用線状体51の巻き取りピッチに等しい。ちなみに正巻器21と逆巻器31とが反時計回り方向へ回転するとき、当該両器21・31は両線状体51・61の直径に等しいピッチで図1の右方向へシフトし、逆に正巻器21と逆巻器31とが時計回り方向へ回転するとき、当該両器21・31は上記のピッチで左方向へシフトする。ゆえに両線状体51・61は両器21・31の巻胴22・32に整然と螺旋巻きされたり、そこから整然と巻き戻されたりする。
【0038】
図1の実施形態における正巻器21・逆巻器31や、正巻用線状体51・逆巻用線状体61は相対的な関係で付けただけの用語名である。したがって正巻器31・逆巻器21、正巻用線状体61・逆巻用線状体51のように用語を付け替えても実質的な内容は変わらない。図1の実施形態では、また、説明の便宜上、両線状体21・31を過大に表示したり往復作動体71を過小に表示したりしているが、原理的には矛盾なく作動することが理解できる。図1の実施形態において、往復作動体71に前後方向や左右方向の送りを掛けるときは図示のような水平構造になるが、往復作動体71に垂直方向の送りを掛けるときはガイド手段82を垂直に保持すればよく、往復作動体71に傾斜方向の送りを掛けるときはガイド手段82に勾配を付せばよい。図1での巻用線状体51と逆巻用線状体61は一連であるから、これらを往復作動体71に繋ぐとき、両線状体51・61の境界部を固定部材73で固定することを要しない。すなわち、正巻用線状体51を固定部材73で固定したり逆巻用線状体61を固定部材73で固定したりした場合でも、その他方の線状体は間接的に往復作動体71と繋がることになる。図1の正巻器21や逆巻器31については、これらの巻胴22・32に凹形(例:断面円弧形・断面V溝形など)の螺旋溝が形成されているのが望ましく、こうした場合は、巻胴22・32に対する線状体の整然とした巻き取りや巻き戻しが安定して行える。図1における設置領域Aと作業領域Bとの距離は通常実施形態ごとに異なるものである。AB間の距離が長ければ線状体51・61が長くなったり回転輪83〜84の数が多くなったりし、AB間の距離が短ければ線状体51・61が短くなったり回転輪83〜84の数が少なくなったりする。線状体51・61が回転輪83〜84から離脱するおそれとか、線状体51・61に弛みを生じるおそれとかがあるときは離脱防止具(例:抑えローラ)や張力付与具(例:テンションローラ)を線状体51・61に施せばよい。原動機11と正巻器21・逆巻器31とにわたる伝動系は、図1の実施形態において、歯車13・24である。この場合において、原動機11と両器21・31との回転方向を異ならせるときは自明とおり歯車の数を偶数(図示例)にし、その回転方向を同じにするときは当該歯車の数を奇数にする。原動機11と正巻器21・逆巻器31との動力伝達手段として、歯車伝動系に代えてVベルト・タイミングベルトなどのベルト伝動系・チェーン伝動系なども採用することができる。また、原動機11と両器21・31との動力伝達系にクラッチを介在させて動力伝達の「切り」「継ぎ」を任意に行うこともできる。
【0039】
既述の正巻器21と逆巻器31とを分離型にするときは、図1における正巻器21と逆巻器31との一体物とその関連部品とを二組用意し、一方を正巻器21とその関連部品、他方を逆巻器31とその関連部品とすればよい。さらにこの場合、正巻器21に巻き付けられた正巻用線状体51の巻き戻し端部を各回転輪経由で往復作動体71に繋ぎ、逆巻用線状体61の巻き戻し端部も各回転輪経由で往復作動体71に繋ぐ。正巻器21と逆巻器31とを分離型にする実施形態のとき、一例として両器21・31を互いに同期かつ同調して同方向へ回転させ、他の一例として両器21・31を互いに同期かつ同調して逆方向へ回転させる。すなわち分離型における正巻器と逆巻器については、回転方向が同じでも逆でもよい。
【0040】
正巻器21と逆巻器31とを分離型にする実施形態において、正巻器巻胴22と逆巻器巻胴32との径が異なるとき、たとえば両者の外径比が2:1で異なるときは、小さい巻胴の回転数を大きい巻胴のそれに対して2倍にすればよい。すなわち両巻胴22・32の外径が互いに異なるものでも、これらの周速(巻胴外周面の周速)を等しくすることで対処できるようになる。
【0041】
図2に例示された実施形態は、正巻用線状体51や逆巻用線状体61を正巻器21・逆巻器31の巻胴22・32に整然かつ密に螺旋巻きするためのシフト手段を独立させたものである。以下これについて説明する。
【0042】
図2において、41はネジ軸、43は周知の電動機(モータ)、45はシフト部材をそれぞれ示す。ネジ軸41は既述のものと同じである。電動機43は出力軸44を有する。ネジ軸41は周知のカップリングを介して電動機43の出力軸44に連結されている。金属または合成樹脂からなるシフト部材45は、その一端部から軸心内部に向けて形成されたネジ孔46を有するとともに、二本の紐通し用としたリング状の開通部47・48がその前面に設けられている。シフト部材45を保持するための長いレール部材49も金属製または合成樹脂製で、前面が開放された溝形をしている。
【0043】
図2においてレール部材49は、正巻器21・逆巻器31の上に水平に配置され、図示しない取付手段でその状態を保持されている。シフト部材45はレール部材49内に嵌め込まれてその長さ方向沿いに非回転で往復動するものである。レール部材49内にあるシフト部材45のネジ孔46にネジ軸41が回転自在にねじ込まれている。かかる構成において、正巻器21の巻胴22から巻き戻された正巻用線状体51がシフト部材45の開通部47内に引き通されたり、逆巻器31の巻胴32から巻き戻された逆巻用線状体61がシフト部材45の開通部48内に引き通されたりしている。これまでの説明から理解できるとおり、図2の実施形態のものは、正巻器21や逆巻器31が軸方向に移動する構成ではない。図2の実施形態で説明を省略した事項は図1の実施形態で述べたものと実質的に同じかそれに準ずる。さらに、これまでに述べたすべての事項は、互換性のある範囲内で図2の実施形態でも採用することができる。
【0044】
図2の実施形態でも、正巻器21・逆巻器31の正逆回転による両線状体51・61の巻き戻しや巻き取りで往復作動体71に送りを掛ける。その際、電動機43を介してネジ軸41を正回転させたり逆回転させたりする。ネジ軸41が正回転するときは、レール部材49で案内されながらシフト部材45が図2の左方向へシフトし、ネジ軸41が逆回転するときは、レール部材49の案内でシフト部材45が図2の右方向へシフトする。しかもこれは、両線状体51・61の直径に等しいピッチでシフト部材45がシフトするというのである。したがって開通部47・48を介してシフト部材45に保持された両線状体51・61は、両器21・31の巻胴22・32に整然と密に螺旋巻きされたり、そこから整然と巻き戻されたりする。
【0045】
図3の実施形態は往復作動体71が大型化したときの一例である。以下これについて説明する。
【0046】
図3の作業領域Bには、互いに平行した二つのガイド手段82が敷設されている。往復作動体71の裏面には、二つのガイド手段82に対応した複数の走行部材72が設けられている。往復作動体71は、また、両ガイド手段82と平行する二つの辺縁部にそれぞれ固定部材73を備えている。設置領域Aおよび作業領域Bの所定位置に配設された回転輪83〜89は前例よりも増数されている。
【0047】
図3の実施形態で往復作動体71は、複数の走行部材72を介して両ガイド手段82上に走行自在に搭載されている。正巻用線状体51の巻き戻し端部は、往復作動体71の一辺縁部にある固定部材73を介して当該往復作動体71に連結される。すなわち正巻用線状体51の巻き戻し端部側は、正巻器21の巻胴22から巻き戻された後、回転輪83・84・85に掛け回されて固定部材73に至り、さらにそこから回転輪86に掛け回される。逆巻用線状体61の巻き戻し端部は、往復作動体71の他の一辺縁部にある固定部材73を介して当該往復作動体71に連結される。すなわち逆巻用線状体61の巻き戻し端部側は、逆巻器31の巻胴32から巻き戻された後、回転輪89・88に掛け回されて固定部材73に至り、さらにそこから回転輪87に掛け回される。この場合において、一方の固定部材73・回転輪86・87・他方の固定部材73にわたる線状体部分は、正巻用線状体51、逆巻用線状体61、両線状体51・61の共有部分など、いずれにみなしても構わない。この線状体部分は、また、省略されてよいものである。そのような場合は回転輪86・87も省略される。図3の実施形態で説明を省略した事項は図1の実施形態で述べたものと実質的に同じかそれに準ずる。さらに、これまでに述べたすべての事項は、互換性のある範囲内で図3の実施形態でも採用することができる。
【0048】
図3の実施形態においても、原動機11の正逆回転で正巻器21・逆巻器31を正逆回転させ、それによる両線状体51・61の巻き戻しや巻き取りで往復作動体71に送りを掛けるものである。これは両線状体51・61が往復作動体71の複数箇所に固定された状態で送り力が作用するものであるから、往復作動体71が重量物であっても各部に無理が生じがたい。
【0049】
図4に例示された実施形態は、設置領域Aに装備される機構が前例とは一部異なる態様でユニット化されたものである。以下これについて説明する。
【0050】
図4のベース15上には、一側に機器スタンド14、他側に軸受スタンド42、中間部にレール式ガイド台16がそれぞれ取り付けられている。図4の移動台17はこれの下面に走行部材18を備えており、その走行部材18を介してガイド台16上に走行自在なるよう搭載されている。
【0051】
図4において、正巻器21と逆巻器31との一体物である筒状のものは、正巻器21側の枢軸23と逆巻器31側の枢軸33とを備えている。これらのうちで、枢軸23の軸心部には貫通孔27があり、枢軸33の軸心部には既述のネジ孔34がある。当該一体物の内部にさらに、内周面にスプライン溝を有するスプライン筒28が同心状嵌め込まれて固定されている。さらにスプライン筒28には、これとスプライン嵌め合いをなすスプライン軸19が嵌め込まれている。このスプライン軸19とスプライン筒28とは軸方向に相対移動するけれども、周方向には互いの噛み合いで一体回転するものである。
【0052】
図4において、スプライン軸19・スプライン筒28・その他を備えた正巻器21と逆巻器31との一体物は、移動台17上の両側にある軸受部材25・36を介して回転自在に支持される。すなわち当該一体物は、枢軸23・33を軸受部材25・36で支持することにより移動台17上に回転自在に組み付けられる。一方で原動機11は、機器スタンド14を介してベース15上に装備され、これの出力軸12と上記スプライン軸19とが周知のカップリングを介して連結される。さらに、軸受スタンド42で支持されて回転しないように固定されたネジ軸41が、前記と同様、逆巻器側枢軸33のネジ孔34にねじ込まれる。図4の実施形態で説明を省略した事項は図1の実施形態で述べたものと実質的に同じかそれに準ずる。さらに、これまでに述べたすべての事項は、互換性のある範囲内で図4の実施形態でも採用することができる。
【0053】
図4の実施形態においても、原動機11の正逆回転で正巻器21・逆巻器31を正逆回転させ、それによる両線状体51・61の巻き戻しや巻き取りで往復作動体71に送りを掛けるものである。この場合の原動機11の回転は、出力軸12→スプライン軸19→スプライン筒28という伝達経路で正巻器21と逆巻器31との一体物に伝わる。しかもこのとき、回転しないネジ軸41がネジ孔34にねじ込まれているので、正巻器21・逆巻器31は両線状体51・61の巻き取りピッチや巻き戻しピッチに対応して軸方向にシフトする。したがって両線状体51・61は、両器21・31の巻胴22・32に整然と密に螺旋巻きされたり、そこから整然と巻き戻されたりする。
【0054】
図5の実施形態も設置領域Aに装備される機構に関するものである。さらにいうと、これは図4に例示されたものの簡潔化を企図してユニット化されたものである。以下これについて説明する。
【0055】
図5の実施形態のものにはレール式ガイド台16・移動台17・走行部材18などがない。図5において、正巻器21と逆巻器31との一体物(筒状物)には枢軸23・33がなくて逆巻器31の巻胴32の内周面にネジ孔34が形成されている。当該一体物内に嵌め込まれたスプライン筒28はスラストワッシャその他を介してその内部に固定されている。図5の実施形態で採用されているネジ軸41は中空軸からなり、その基端部側にフランジが形成されている。ネジ軸41はこれが所定位置に固定される前の段階で上記一体物のネジ孔34にねじ込まれる。図5では、また、一方の軸受36が軸受スタンド42を介してベース15上に保持されたり、この軸受36との軸間距離をおいて他方の軸受25がベース15上に取り付けられたりしている。さらに原動機11は、図4の場合と同様、機器スタンド14を介してベース15上に装備され、これの出力軸12に既述のカップリングが付けられる。このほか、図5でのスプライン軸19は、軸受36から原動機11の出力軸12にまで達する長さを有するものである。
【0056】
図5の実施形態において、正巻器21と逆巻器31との一体物を正逆回転自在かつ軸方向に往復動自在なるよう支持するときは、スプライン筒28の組み付けやネジ軸41のねじ込みを終えた当該一体物が両軸受25・36の間に介在されるとともに、軸受36・ネジ軸41・スプライン筒28・軸受25を貫通するようにスプライン軸19がこれらの内部を貫通する。その後、スプライン軸19の先端部がカップリングを介して原動機11の出力軸12に連結されたり、ネジ軸41のフランジがボルトを介して軸受スタンド42に固定されたりするものである。かくてスプライン軸19とスプライン筒28とがスプライン嵌合するとともに正巻器21と逆巻器31との一体物が正逆回転自在で軸方向に往復動自在なるよう支持される。図5の実施形態で説明を省略した事項は図1の実施形態で述べたものと実質的に同じかそれに準ずる。さらに、これまでに述べたすべての事項は、互換性のある範囲内で図5の実施形態でも採用することができる。
【0057】
図5の実施形態でも原動機11の正逆回転で正巻器21・逆巻器31を正逆回転させ、それによる両線状体51・61の巻き戻しや巻き取りで往復作動体71に送りを掛けるものである。この場合の原動機11の回転は、出力軸12→スプライン軸19→スプライン筒28という伝達経路で正巻器21と逆巻器31との一体物に伝わる。しかもこのとき、回転しないネジ軸41がネジ孔34にねじ込まれているので、正巻器21・逆巻器31は両線状体51・61の巻き取りピッチや巻き戻しピッチに対応して軸方向にシフトする。したがって図5の実施形態も図4の場合と同様、両線状体51・61が両器21・31の巻胴22・32に整然と密に螺旋巻きされたり、そこから整然と巻き戻されたりする。
【0058】
図6の実施形態は図5のものをさらに簡潔化したものである。すなわち図6の実施形態では、図5の軸受25が省略されているとともに、原動機11の出力軸12が前記スプライン軸19をも兼ねている。その他に関して図6の実施形態は、図5のものと実質的に同じである。したがって図6の実施形態でも、換性のある範囲内において、これまでに述べたすべての事項を採用することができる。
【0059】
図6の実施形態における原動機11の回転は、出力軸(スプライン軸)12とスプライン筒28とがスプライン嵌合していることにより正巻器21と逆巻器31との一体物に伝わる。しかもこのとき、回転しないネジ軸41がネジ孔34にねじ込まれているので、正巻器21・逆巻器31は両線状体51・61の巻き取りピッチや巻き戻しピッチに対応して軸方向にシフトする。したがって図6の実施形態も前例と同様に機能する。
【0060】
本発明に係る送り装置で上記以外の実施形態に関するものが図7〜図11に例示されている。この実施形態の場合、設置領域Aに配置されたものの基本構成は図5のそれと実質的に同じかそれに準じ、作業領域Bに配置されたものの基本構成は図1の作業領域Bに配置されたそれと実質的に同じかそれに準ずる。したがって図7〜図11に例示された実施形態の場合、前例との共通部分はその前例を参照することで説明を省略し、前例と異なる部分についてそれを重点的に説明する。
【0061】
図7〜図8を参照して明らかなように、設置領域Aと作業領域Bは前例よりも近接している。したがって装置の各構成要素は単一の基台81上に組み付けられている。その場合に、正巻器21・逆巻器31・回転輪83〜85などにわたって策取りされる正巻用線状体51や逆巻用線状体61は往復作動体71を貫通しており、両線状体51・61の境界部が往復作動体71の固定部73aを介して図7・図9のごとくクランプされている。
【0062】
図7〜図10の実施形態は、部品相互の摩擦等で発塵しやすい箇所を防塵カバー91・92で覆うというものである。具体的には正巻器21・逆巻器31・回転輪83〜85・軸受・その他を含めたものが一方の防塵カバー91で覆われ、回転輪84とその軸受スタンド84aを含めたものが他方の防塵カバー92で覆われる。この場合に、一方の防塵カバー91は原動機11の端部外周面や軸受スタンド42を利用して固定され、他方の防塵カバー92は基台81を利用してその上に固定される。正巻用線状体51や逆巻用線状体61は、両防塵カバー91・92の所定部に形成された小孔93・94を貫通してカバー内外に出入するようになっている。両防塵カバー91・92は、小孔93・94を除く部分で気密性を保持している。防塵カバー91に関して、これで覆われている機構の一部または全部が軸方向に伸縮するものであるときは、同方向に伸縮自在な伸縮カバー部をもつ防塵カバー91が採用される。その場合の伸縮カバー部は摩擦発塵のない蛇腹式であることが望ましい。この実施例では、また、両防塵カバー91・92の内部が真空吸引手段で吸引されるものである。具体的には真空ポンプ(図示せず)や所要数の吸引管95を備えた吸引機械96が用いられ、各吸引管95の端部が防塵カバー91・92に接続されている。したがって各防塵カバー91・92の内部は、吸引管95を通じて吸引機械96で吸引される。その他、図示はされていないが、吸引機械96の排気系はダスト処理部に通じているものである。
【0063】
上述した防塵カバー91・92は金属製かプラスチック製である。図7〜図10でその他の部品は、既述の内容に準ずるか、公知ないし周知のものである。
【0064】
図7〜図10の実施形態で往復作動体71は、ガイド手段82の上を非接触で走行するものである。この場合の非接触式ガイド手段82としては磁気浮上式またはエアスライド式のものが用いられる。磁気浮上方式は周知のとおり、往復作動体71とガイド手段82とのうちのいずれか一方を磁性体とし、その他方を磁石(磁石を備えたもの)とするか、または、その両方を磁石(磁石を備えたもの)とする。磁性体と磁石とを利用するものは吸引形で、この場合は常に空隙が一定に保たれるよう、磁力を制御しつつ往復作動体71をガイド手段82上に浮上させる。往復作動体71とガイド手段82との双方を磁石とするものは反発形で、この場合は浮上方向を安定させるためのガイドなどがガイド手段82に設けられたりする。エアスライド式も周知のとおり、往復作動体71とガイド手段82との界面に空気膜を介在させるものである。そのために往復作動体71および/またはガイド手段82に空気噴射手段が設けられ、当該空気噴射手段を介して往復作動体71とガイド手段82との界面に空気が供給される。このほか、往復作動体71が転がり方式または滑り方式でガイド手段82上を走行するという実施形態のときは、往復作動体71とガイド手段82との間に低発塵グリースが封入保持される。
【0065】
図7〜図10の実施形態では、さらに、往復作動体71の送り量(移動量)を高精密に制御するためのスケールフィードバック手段101が装備されている。スケールフィードバック手段101はスケール102と検出ヘッド103と制御手段104とからなる。その詳細は図7・図9を参照して以下のとおりである。ガイド手段82に沿って配置されたスケール102は固定具108を介して基台81に取り付けられている。スケール102を読みとるための検出ヘッド103は取付部材109を介して往復作動体71に取り付けられている。電動機制御用の制御手段104は検出ヘッド103からの検出信号を受けるため当該検出ヘッド103に接続されているとともに制御信号を電動機11に送るため当該電動機11にも接続されている。一例としてスケールフィードバック手段101が磁気式リニアスケールを主体にしたものからなるとき、スケール102は磁気式リボンスケール102からなり、検出ヘッド103は磁気センサーヘッドからなり、制御手段104はデテクタ105と位置決めカウンタ106とインバータ107とを組み合わせたものからなる。他の一例としてスケールフィードバック手段101が光学式スケールを主体にしたものからなるとき、スケール(メインスケール)102は長い光学ガラスに金属メモリを一定ピッチで蒸着したものからなり、検出ヘッド103は90度の位相差をもたせた2相の信号(例:明信号と暗信号)が取り出せるインデックススケールと発光素子と受光素子とを備えたものからなり、制御手段104は上記と同様のものからなる。後者における検出ヘッド103の骨格形状は筒形またはコ字形で、発光素子が上部、インデックススケールが中間部、受光素子が下部となるようにこれらが検出ヘッド103に備え付けられる。そしてスケール(メインスケール)102が発光素子と受光素子との間に介在する。
【0066】
図7〜図10の実施形態も、原動機11の正逆回転で正巻器21・逆巻器31を正逆回転させ、それに基づく両線状体51・61の巻き戻しや巻き取りで往復作動体71に送りを掛ける。その際、部品相互の摩擦による発塵箇所が防塵カバー91・92で覆われているから、ここで発生した粉塵が周辺にまで飛散することがない。往復作動体71も、ガイド手段82と非接触の状態を保持して移動するから粉塵問題を惹き起こさない。スケールフィードバック手段101の検出ヘッド103とスケール102も非接触状態であるから同様に粉塵問題がない。したがって往復作動体71の移動領域を高クリーン度に保持することができる。これに加え、防塵カバー91・92内を吸引機械96で積極的に吸引して粉塵を収集するから、粉塵の飛散防止がより確実になり、往復作動体71を含む周辺の雰囲気をよりクリーン度の高いものにすることができる。
【0067】
図7〜図10の実施形態でスケールフィードバック手段101は、往復作動体71の送り量(移動量)を直接測定してそれを原動機11にフィードバックする。すなわち、往復作動体71側の検出ヘッド103でスケール102を読んで往復作動体71の送り量を検出するとともにその検出信号を制御手段104に入力し、かつ、制御手段104で演算した所定の制御信号を電動機11に入力して当該電動機11を制御する。これによって往復作動体71の送り量をきわめて精度の高いものにする。ちなみに磁気式リボンスケールを主体にしたスケールフィードバック手段101の場合は、磁気式リボンスケール(スケール102)の磁気格子縞(目盛り)を磁気センサーヘッド(検出ヘッド103)で読み取ることで、往復作動体71の位置の変位量を電気的に計測した後、その検出信号をデテクタ105や位置決めカウンタ106で処理し、インバータ107を経由させて電動機11に入力する。また、光学式スケールを主体にしたスケールフィードバック手段101の場合は、検出ヘッド103の上部側にある発光素子からインデックススケールに通してメインスケール(スケール102)に当てた光(赤外線)の強弱(明暗)を検出ヘッド103の下部側にある受光素子で検出し、その明暗に基づく電気信号を制御手段104のカウンタで計数して変位量を測定した後、当該測定結果で定まる制御信号を電動機11に入力する。
【0068】
図7〜図10を参照して説明した事項は、技術的な互換性の範囲内において図1〜図6の実施形態でも採用することができる。
【0069】
つぎに両線状体51・61用の断線検出器201・301と往復作動体71用の制動機401・501について、図11を参照して説明する。
【0070】
図11に例示された二つの断線検出器201・301のうち、一方の断線検出器201は止具202・受具203・スイッチ204を主体にして構成されており、他方の断線検出器301も止具302・受具303・スイッチ304を主体にして構成されている。この二つの断線検出器201・301は、内部空間74を有する往復作動体71内で以下のように組み付け構成されている。
【0071】
図11において、蓋体と箱体との組み合わせからなる中空の往復作動体71は、その移動方向の前後両面に一対の貫通孔75a・75bと他の一対の貫通孔76a・76bとが形成されているものである。二つの止具202・302は板状をしており、その板面中央に線状体用の固定部を有する。二つの受具203・303は筒形である。二つのスイッチ204・304は、電気接点を閉じる方向の弾発力を付与されてスイッチボックス外に突出したボタン205・305を有するものである。これらのうちで往復作動体71内に配置された一方の受具203は貫通孔75aの内側端と同心状に連続して固定されており、同じく、往復作動体71内に配置された他方の受具303も貫通孔75bの内側端と同心状に連続して固定されている。二つのスイッチ204・304も、一方のスイッチ204が受具203側に近接して他方のスイッチ304が受具303側に近接するという態様で往復作動体71内に配置され、それらの部位に固定されている。図11においては、さらに、前記のように策取りされた両線状体51・61が往復作動体71の各貫通孔75a・75b・76a・76bなどを貫通している。具体的には、正巻用線状体51の端部が貫通孔75aおよび受具203を貫通して往復作動体71の内部空間74に引き込まれており、逆巻用線状体61の中間部が両貫通孔76a・76bを一直線状に貫通しており、逆巻用線状体61の端部が貫通孔75bおよび受具303を貫通して往復作動体71の内部空間74に引き込まれている。一方の止具202は、往復作動体71内に引き込まれた正巻用線状体51の端部に取り付けられており、かつ、正巻用線状体51に作用する張力で受具203の端面に接している。そのときに、止具202が図11(A)のようにボタン205を押し込んで一方のスイッチ204の電気接点を開放している。他方の止具302も、往復作動体71内に引き込まれた逆巻用線状体61の端部に取り付けられており、かつ、逆巻用線状体61に作用する張力で受具303の端面に接している。そのときにも、図11(A)のように止具302がボタン305を押し込んで他方のスイッチ304の電気接点を開放している。
【0072】
図11に例示された両制動機401・501は電磁石からなり、コイル・ヨーク・その他を備えているものである。両制動機401・501は往復作動体71の前面と後面に分けて取り付けられている。これに対応するレール形状のガイド手段82は磁性体からなるものである。両制動機401・501は図示しない電源に接続されているが、該各制動機401・501をオンオフするためのものは、上述したスイッチ204・304である。したがって両制動機401・501は、それぞれのスイッチ204・304と電気的に接続されている。図示はしないが、原動機11もスイッチ204・304によって電気的にオンオフされることもある。しかしこの場合における原動機11と制動機401・501とスイッチ204・304との関係は、制動機401・501がスイッチオンのとき原動機11がスイッチオフになり、原動機11がスイッチオンのとき制動機401・501がスイッチオフになるというものである。
【0073】
往復作動体71に送りを掛けるときは、既述のとおり、原動機11の正逆回転で正巻器21・逆巻器31を正逆回転させ、それで両線状体51・61の巻き戻しや巻き取りを行うものである。この際の運転が正常であれば、両線状体51・61には一定の張力が作用する。また、それらの力を受けている各止具202・302は、それぞれボタン205・305を押し込んだ状態でスイッチ204・304の接点を切り開いた状態に保持している。ところが不測の事態で正巻用線状体51が断線したりすると、当該線状体51に作用していた張力がほとんどゼロになる。このときは図11(B)のように、止具202が受具203の端面から瞬時に遊離するとともにボタン205が弾発復帰してスイッチ204の接点を閉じる。すなわち制動機401がスイッチオンになり(原動機11はスイッチオフ)、当該制動機401がガイド手段82を吸引するので、往復作動体71が早期に停止する。逆巻用線状体61が断線したときもこれと同様である。すなわち逆巻用線状体61の張力激減、受具303端面からの止具302の遊離、ボタン305の弾発復帰(スイッチ304の閉接)、制動機501のスイッチオンなど、一連の動作が瞬時に生じ、当該制動機501がガイド手段82を吸引するので、往復作動体71が早期に停止する。このように、線状体の断線検出で往復作動体71を制動機401・501で直ちに停止させるときは、安全が確保されると同時に被害も最小限度に食い止めることができる。
【0074】
図11で説明した断線検出器201・301や制動機401・501については、図示したいずれの送り装置にも適用することができる。断線検出器201・301の信号としては、断線時にスイッチオンになるものや断線時にスイッチオフになるもの、そのいずれであってもよい。また、断線検出器201・301および制動機401・501については、それぞれ、いずれか一方を省略しても構わない。そのほか制動機401・501も、ブレーキシューをガイド手段82に押し付けるタイプの機械ブレーキを採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る送り装置は、従来のベルトコンベア・ネジ送り装置・シリンダ送り装置・タイミングベルト送り装置・ロボットなどにみられた各種の課題を解決するものである。したがって本発明に係る送り装置は、既存のベルトコンベア・ネジ送り装置・シリンダ送り装置・タイミングベルト送り装置・ロボットなどに代わるものとして、各種の用途に適用できる汎用性がある。とくに発塵対策を備えたものは、超高度のクリーン度が要求される分野での利用に適し、スケールフィードバック手段を備えたものは往復作動体の高精密送りに適している。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明送り装置の第1実施形態を略示した一部切り欠き状態の正面図
【図2】本発明送り装置の第2実施形態を略示した要部正面図
【図3】本発明送り装置の第3実施形態を略示した正面図
【図4】本発明送り装置の第4実施形態を略示した要部縦断正面図
【図5】本発明送り装置の第5実施形態を略示した要部縦断正面図
【図6】本発明送り装置の第6実施形態を略示した要部縦断正面図
【図7】本発明送り装置の第7実施形態を略示した一部切り欠き状態の平面図
【図8】本発明送り装置の第7実施形態を略示した一部切り欠き状態の正面図
【図9】図7のY−Y線に沿う断面図
【図10】図7のZ−Z線に沿う断面図
【図11】本発明送り装置における断線検出器のON−OFF状態を略示した要部横断平面図
【符号の説明】
【0077】
11 原動機
12 出力軸
21 正巻器
22 巻胴
23 枢軸
31 逆巻器
32 巻胴
33 枢軸
41 ネジ軸
51 正巻用線状体
61 逆巻用線状体
71 往復作動体
82 ガイド手段
91 防塵カバー
92 防塵カバー
95 吸引管
96 吸引機械
101 スケールフィードバック手段
102 スケール
103 検出ヘッド
104 制御手段
201 断線検出器
301 断線検出器
401 制動機
501 制動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆回転自在な正巻器と、正逆回転自在な逆巻器と、正巻器を介して巻き取られたり巻き戻されたりする正巻用線状体と、逆巻器を介して巻き取られたり巻き戻されたりする逆巻用線状体と、行き方向や戻り方向の力を受けたときにガイド手段の案内で進行したり逆行したりする往復作動体とを備えていること、および、正巻器で巻き取り巻き戻し自在に保持された正巻用線状体と逆巻器で巻き取り巻き戻し自在に保持された逆巻用線状体とが往復作動体に連結されていること、および、巻き取り回転時の正巻器と巻き戻し回転時の逆巻器とが互いに同期かつ同調してそれぞれの巻き取り方向や巻き戻し方向へ回転するものであるとともに、巻き戻し回転時の正巻器と巻き取り回転時の逆巻器とが互いに同期かつ同調してそれぞれの巻き戻し方向や巻き取り方向へ回転するものであること、および、正巻器による正巻用線状体の巻き取り量と逆巻器による逆巻用線状体の巻き戻し量とが互いに等しいものであるとともに、正巻器による正巻用線状体の巻き戻し量と逆巻器による逆巻用線状体の巻き取り量とが互いに等しいものであることを特徴とする送り装置。
【請求項2】
正巻器と逆巻器とが同軸状に一体化されたものである請求項1記載の送り装置。
【請求項3】
正巻器と逆巻器とが互いに独立したものである請求項1記載の送り装置。
【請求項4】
巻き取り回転時の正巻器および逆巻器が線状体の巻き取りピッチに対応して軸線方向に移動するものである請求項1〜3いずれかに記載の送り装置。
【請求項5】
正巻用線状体の一部が正巻器の巻胴に固定されているとともに逆巻用線状体の一部が逆巻器の巻胴に固定されている請求項1〜4いずれかに記載の送り装置。
【請求項6】
摩擦発生箇所が防塵カバーを介して覆われている請求項1〜5いずれかに記載の送り装置。
【請求項7】
防塵カバーの内部を吸引するための吸引機械が防塵カバーに接続されている請求項6記載の送り装置。
【請求項8】
正巻用線状体および/または逆巻用線状体が防塵カバーを非接触で貫通している請求項6〜7いずれかに記載の送り装置。
【請求項9】
往復作動体が非接触式のガイド手段を介して往復動自在に支持されている請求項1〜5いずれかに記載の送り装置。
【請求項10】
往復移動体の移動量を表示するためのリニアスケールと、リニアスケールに対応させて往復移動体位置を読み取るための非接触式の検出ヘッドと、検出ヘッドからの検出信号を受けてフィードバック制御信号を正巻器および逆巻器用の原動機に入力するための制御手段とからなるスケールフィードバック手段を備えており、リニアスケールがガイド手段の長さ方向沿いに設けられ、検出ヘッドが往復移動体に装備され、かつ、検出ヘッドが制御手段に接続されている請求項1〜5いずれかに記載の送り装置。
【請求項11】
正巻用線状体の断線および/または逆巻用線状体の断線を検知するための断線検出器が正巻用線状体および/または逆巻用線状体に対応して装備されているとともに、正巻用線状体および/または逆巻用線状体の断線発生時に往復作動体を停止させるための制動機が往復作動体の移動領域に装備されており、かつ、断線発生時において断線検出器から断線検出信号を受ける制動機が往復作動体を停止させるものであるとともに、これと同期して正巻器用および/または逆巻器用の原動機の電源を切るものである請求項1〜5いずれかに記載の送り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−17292(P2006−17292A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272796(P2004−272796)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(504134759)SKマシナリー株式会社 (6)
【Fターム(参考)】