説明

送受信システムおよび方法

【課題】回路規模を大幅に削減することができるOFDM変復調方式を用いた送受信システムおよび方法を提供する。
【解決手段】OFDM変復調方式を用いた送受信システム10において、変調系のモジュール群における所定のモジュールと、復調系のモジュール群における所定のモジュールとを共通化したモジュールとする。例えば、スクランブラ51とデスクランブラ61とを共通化してスクランブラ/デスクランブラ11とし、マッピング54とデマッピング64とを共通化してマッピング/デマッピング14とし、シンボルコントロール55とフレームコントロール65とを共通化してシンボルコントロール/フレームコントロール15とし、IFFT56とFFT66とを共通化してIFFT/FFT16とする。送受信システム10は処理プラットフォーム20上でインプリメントすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交周波数分割多重(orthogonal Frequency Division Multiplexing : OFDM)変復調方式を用いた送受信システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OFDM変復調方式はディジタル変調方式の一つであり、サブキャリヤを周波数軸で直交して配置することにより周波数の利用効率を上げる方式である。従来より、欧州におけるディジタル放送方式(Digital Video Broadcasting terminal : DVB-T)、日本のDVB方式(Band Segment Transmission)−OFDM方式、IEEE802.11aの無線LAN方式に採用されている(非特許文献1参照)。
【0003】
図10(A)は従来のOFDM変調回路50を示し、図10(B)は従来のOFDM復調回路60を示す。図10(A)に示されるように、従来のOFDM変調回路50は、スクランブラ51、畳み込み符号化52、インターリーバ53、マッピング54、シンボルコントロール55および逆高速フーリエ変換(Inverse fast Fourier Transform : IFFT)56のモジュール順に構成されている。
【0004】
スクランブラ51は、ディジタル信号を所望の規則(例えば疑似乱数列等)によりランダム化しランダムな送信データを作成する。畳み込み符号化52は、送信データに対し誤り訂正のための畳み込み符号化を行う。インターリーバ53は、バースト誤りをランダム誤りに変換するためにビット系列の位置を入れ替える。マッピング54は、所望の変調方式(QPSK変調方式等)へのマッピングを行う。シンボルコントロール55は、所定の数のシンボルおよびガードインターバルからフレームを構成する。IFFT56は、IFFT処理により直交するサブキャリヤを時間軸信号へ変換する。
【0005】
図10(B)に示されるように、従来のOFDM復調回路60は、高速フーリエ変換(fast Fourier Transform : FFT)66、フレームコントロール65、デマッピング64、デインターリーバ63、ビタビ復号化62およびデスクランブラ61のモジュール順に構成されている。
【0006】
FFT66は、ガードインターバル部分を除去した上で、FFT処理により直交するサブキャリヤを再び周波数軸信号へ変換する。フレームコントロール65は、フレームから所定の数のシンボルを取り出す。デマッピング64は、所望の変調方式に応じてデータのデマッピングを行う。デインターリーバ53は、ビット系列の位置の入れ替えの逆の操作を行う。ビタビ復号化62は、ビタビアルゴリズムを用いて畳み込み符号を復号化する。デスクランブラ61は、所望の規則に従いランダム化してデータを元に戻す。
【0007】
【非特許文献1】佐藤 拓朗 著、「OFDM技術の基礎から応用まで」、平成11年11月30日発行、株式会社リアライズ社。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、従来のOFDM復調回路50とOFDM復調回路60とは対称性を有する信号処理部が存在する。このため、データ・パス制御回路等のように信号処理上共通する機能部分が存在し得る。しかし、従来のOFDM変復調回路においてはOFDM復調回路50とOFDM復調回路60とを別々に構成していたため、回路規模が増大するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、回路規模を大幅に削減することができるOFDM変復調方式を用いた送受信システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の送受信システムは、直交周波数分割多重変復調方式を用いた送受信システムであって、変調系のモジュール群における所定のモジュールと復調系のモジュール群における所定のモジュールとを共通化したモジュールとすることを特徴とする。
【0011】
ここで、この発明の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力データをスクランブルするスクランブラ・モジュールであり、該スクランブラ・モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力データをデスクランブルするデスクランブラ・モジュールとすることができる。
【0012】
ここで、この発明の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力データを所定の多値変調方式の信号へマッピングするマッピング・モジュールであり、該マッピング・モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号を2値データへデマッピングするデマッピング・モジュールとすることができる。
【0013】
ここで、この発明の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号にガードインターバルを挿入して1シンボルとし、所定数の該シンボルからフレームを構成するフレーム化を行うシンボル制御モジュールであり、該シンボル制御モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールはフレーム化された入力信号からシンボルを取り出すフレーム制御モジュールとすることができる。
【0014】
ここで、この発明の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号に逆高速フーリエ変換処理を行って時間軸上の信号へ変換する逆高速フーリエ変換モジュールであり、該逆高速フーリエ変換モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号に高速フーリエ変換処理を行って周波数軸上の信号へ変換する高速フーリエ変換モジュールとすることができる。
ここで、この発明の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号に対し畳み込み符号化を行う畳み込み符号化モジュールであり、該畳み込み符号化モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールはビタビアルゴリズムを用いて入力信号を復号化するビタビ復号化モジュールとすることができる。
ここで、この発明の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号に対しビット系列の位置を入れ替えるインターリーバ・モジュールであり、該インターリーバ・モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号に対し上記ビット系列の位置の入れ替えの逆の操作を行うデインターリーバ・モジュールとすることができる。
【0015】
ここで、この発明の送受信システムにおいて、入力データを含むデータ・パケットにより示される処理を行う処理プラットフォームをさらに備え、該処理プラットフォームは、変調系又は復調系の処理内容に応じて設けられ、データ・パケットの入力元と次の処理を行う出力先とを示すルーティング・テーブルを用いて、該入力元から入力されたデータ・パケットを該出力先へ出力して変調系又は復調系の処理を行わせることにより変調系又は復調系の処理の順序を制御するスイッチング・モジュールと、ルーティング・テーブルの入力元且つ出力先であり、前記共通化したモジュールとして割当てられる処理モジュールであって、前記スイッチング・モジュール側から送られたデータ・パケットに対し、該データ・パケットにより示される変調系又は復調系の処理を行って該データ・パケットを該スイッチング・モジュール側へ送るものと、前記スイッチング・モジュールに接続されデータ・パケットのバッファリングを行う複数組の入出力バッファであって、入力バッファはルーティング・テーブルの入力元から該スイッチング・モジュール側へ入力されるデータ・パケットをバッファリングし、出力バッファはルーティング・テーブルの出力先へ該スイッチング・モジュール側から出力するデータ・パケットをバッファリングするものとを有しており、前記処理プラットフォームは、前記スイッチング・モジュールと前記処理モジュールとを各々一組の前記入出力バッファを介することにより任意個組み合わせて構成され、少なくとも1台のスイッチング・モジュールは該処理プラットフォームの外部と対応する入出力バッファを介して接続され、複数台のスイッチング・モジュールを有する場合、ルーティング・テーブルは各スイッチング・モジュールにおける変調系又は復調系の処理の分担を示すものとして各スイッチング・モジュール毎に設けられており、前記スイッチング・モジュールは、前記処理プラットフォームの外部、前記処理モジュール又は他のスイッチング・モジュールから対応する入力バッファを介してデータ・パケットを入力し、該データ・パケットにより示される変調系又は復調系の処理に応じたルーティング・テーブルに基づく出力先へ対応する出力バッファを介して該データ・パケットを出力するルーティング処理を行い、前記処理モジュールは、前記スイッチング・モジュールから対応する出力バッファを介して送られたデータ・パケットにより示される変調系又は復調系の処理を該データ・パケットに対して行い、該データ・パケットを該対応する出力バッファと一組の入力バッファを介して該スイッチング・モジュール側へ送り、前記他のスイッチング・モジュールは、前記スイッチング・モジュールから対応する出力バッファを介して送られたデータ・パケットにより示される変調系又は復調系の処理に応じた他のスイッチング・モジュール用ルーティング・テーブルを用いて、該データ・パケットに対してルーティング処理を行い、該データ・パケットを該対応する出力バッファと一組の入力バッファを介して前記スイッチング・モジュール側へ送ることができる。
【0016】
ここで、この発明の送受信システムにおいて、前記処理モジュールは、入力されたデータ・パケットに応じた変調系又は復調系の処理を示す該処理モジュール毎のパラメータ・テーブルを用いて該データ・パケットを処理し出力することができる。
【0017】
ここで、この発明の送受信システムにおいて、前記処理プラットフォームの外部から入力された処理モジュールの識別子と該処理モジュールのパラメータ・テーブルの内容とを含むパラメータ・パケットを、該識別子により特定される処理モジュールへ所定の条件に基づき伝達させることにより、前記パラメータ・テーブルの内容を動的に書換えることができる。
【0018】
この発明の送受信方法は、直交周波数分割多重変復調方式を用いた送受信方法であって、変調系における所定の処理と復調系における所定の処理とを共通化した処理とすることを特徴とする。
【0019】
ここで、この発明の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力データをスクランブルするスクランブラ処理であり、該スクランブラ処理と共通化する前記復調系における所定の処理は入力データをデスクランブルするデスクランブラ処理とすることができる。
【0020】
ここで、この発明の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力データを所定の多値変調方式の信号へマッピングするマッピング処理であり、該マッピング処理と共通化する前記復調系における所定の処理は入力信号を2値データへデマッピングするデマッピング処理とすることができる。
【0021】
ここで、この発明の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力信号にガードインターバルを挿入して1シンボルとし、所定数の該シンボルからフレームを構成するフレーム化を行うシンボル制御処理であり、該シンボル制御処理と共通化する前記復調系における所定の処理はフレーム化された入力信号からシンボルを取り出すフレーム制御処理とすることができる。
【0022】
ここで、この発明の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力信号に逆高速フーリエ変換処理を行って時間軸上の信号へ変換する逆高速フーリエ変換処理であり、該逆高速フーリエ変換処理と共通化する前記復調系における所定の処理は入力信号に高速フーリエ変換処理を行って周波数軸上の信号へ変換する高速フーリエ変換処理とすることができる。
ここで、この発明の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力信号に対し畳み込み符号化を行う畳み込み符号化処理であり、該畳み込み符号化処理と共通化する前記復調系における所定の処理はビタビアルゴリズムを用いて入力信号を復号化するビタビ復号化処理とすることができる。
ここで、この発明の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力信号に対しビット系列の位置を入れ替えるインターリーバ処理であり、該インターリーバ処理と共通化する前記復調系における所定の処理は入力信号に対し上記ビット系列の位置の入れ替えの逆の操作を行うデインターリーバ処理とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のOFDM変復調方式を用いた送受信システム等によれば、OFDM変復調方式を用いた送受信システムにおいて、変調系のモジュール群における所定のモジュールと、復調系のモジュール群における所定のモジュールとを共通化したモジュールとすることができる。例えば、スクランブラ51とデスクランブラ61とを共通化してスクランブラ/デスクランブラとすることができ、マッピング54とデマッピング64とを共通化してマッピング/デマッピングとすることができ、シンボルコントロール55とフレームコントロール65とを共通化してシンボルコントロール/フレームコントロールとすることができ、IFFT56とFFT66とを共通化してIFFT/FFTとすることができる。この結果、従来のOFDM変調回路50およびOFDM復調回路60と全く同じ機能を処理切替のためのオーバヘッド等を除き半分の処理モジュールにより実行可能であるため、回路規模を大幅に削減することができるOFDM変復調方式を用いた送受信システム等を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。以下では、説明の便宜上、必要に応じて背景技術で説明した図10(A)および(B)の各構成要素を参照する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1によるOFDM変復調方式を用いた送受信システム10を示す。送受信システム10では、変調系のモジュール群(図10(A)に示されるスクランブラ51ないしIFFT56)における所定のモジュールと復調系のモジュール群(図10(B)に示されるデスクランブラ61ないしFFT66)における所定のモジュールとを共通化したモジュールとすることができる。
【0026】
送受信システム10において、上記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力データをスクランブルするスクランブラ51(スクランブラ・モジュール)であり、スクランブラ51と共通化する上記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力データをデスクランブルするデスクランブラ61(デスクランブラ・モジュール)とすることができる。このように共通化されたモジュールが、図1に示されるスクランブラ/デスクランブラ11である。スクランブラ/デスクランブラ11内では、例えばデータ・パス制御回路、スクランブル/デスクランブル処理用のエンジン等を共有のハードウェアとすることができる。具体的な回路例等に関しては実施例2で詳述する。
【0027】
送受信システム10において、上記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力データを所定の多値変調方式の信号へマッピングするマッピング54(マッピング・モジュール)であり、マッピング54と共通化する上記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号を2値データへデマッピングするデマッピング64(デマッピング・モジュール)とすることができる。このように共通化されたモジュールが、図1に示されるマッピング/デマッピング14である。マッピング/デマッピング14内では、例えばデータ・パス制御回路、入出力データのレート調整用バッファ等を共有のハードウェアとすることができる。具体的な回路例等に関しては実施例2で詳述する。
【0028】
送受信システム10において、上記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号にガードインターバルを挿入して1シンボルとし、所定数の当該シンボルからフレームを構成するフレーム化を行うシンボルコントロール55(シンボル制御モジュール)であり、シンボルコントロール55と共通化する上記復調系のモジュール群における所定のモジュールはフレーム化された入力信号からシンボルを取り出すフレームコントロール65(フレーム制御モジュール)とすることができる。このように共通化されたモジュールが、図1に示されるシンボルコントロール/フレームコントロール15である。シンボルコントロール/フレームコントロール15内では、例えばデータ・パス制御回路、作業用バッファ等を共有のハードウェアとすることができる。具体的な回路例等に関しては実施例2で詳述する。
【0029】
送受信システム10において、上記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号にIFFT処理を行って時間軸上の信号へ変換するIFFT56(逆高速フーリエ変換モジュール)であり、IFFT56と共通化する上記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号にFFT処理を行って周波数軸上の信号へ変換するFFT66(高速フーリエ変換モジュール)とすることができる。このように共通化されたモジュールが、図1に示されるIFFT/FFT16である。IFFT/FFT16内では、例えばデータ・パス制御回路、入力バッファと出力バッファ等を共有のハードウェアとすることができる。具体的な回路例等に関しては実施例2で詳述する。
【0030】
上記変調系のモジュール群における畳み込み符号化52と上記復調系のモジュール群におけるビタビ復号化62との間には、信号処理において特に対称性はないが、符号化処理および復号化処理の一部において作業用バッファ・レジスタを共用化している。このため、図1に示される畳み込み符号化/ビタビ復号化12内では、畳み込み符号化52(畳み込み符号化モジュール)とビタビ復号化62(ビタビ復号化モジュール)とが作業用バッファ・レジスタを共用しつつ並列的に配置されている構成とすればよい。同様に、上記変調系のモジュール群におけるインターリーバ53とデインターリーバ63との間には、信号処理において特に対称性はないが、インターリーブ処理およびデインターリーブ処理の一部において作業用バッファ・レジスタを共用化している。このため、図1に示されるインターリーバ/デインターリーバ13内ではインターリーバ53(インターリーバ・モジュール)とデインターリーバ63(デインターリーバ・モジュール)とが作業用バッファ・レジスタを共用しつつ並列的に配置されている構成とすればよい。
【0031】
上述したOFDM変復調方式を用いた送受信方法は、変調系における所定の処理と復調系における所定の処理とを共通化した処理とするものである。ここで、上記変調系における所定の処理はスクランブラ処理(スクランブラ51の処理に相当)であり、当該スクランブラ処理と共通化する上記復調系における所定の処理はデスクランブラ処理(デスクランブラ61の処理に相当)とすることができる。さらに、上記変調系における所定の処理はマッピング処理(マッピング54の処理に相当)であり、当該マッピング処理と共通化する上記復調系における所定の処理はデマッピング処理(デマッピング64の処理に相当)とすることができる。上記変調系における所定の処理はシンボル制御処理(シンボルコントロール55の処理に相当)であり、当該シンボル制御処理と共通化する上記復調系における所定の処理はフレーム制御処理(フレームコントロール65の処理に相当)とすることができる。上記変調系における所定の処理はIFFT処理(IFFT56の処理に相当)であり、当該IFFT処理と共通化する上記復調系における所定の処理はFFT処理(FFT66の処理に相当)とすることができる。上記変調系における所定の処理は畳み込み符号化処理(畳み込み符号化52の処理に相当)であり、当該畳み込み符号化処理と共通化する上記復調系における所定の処理はビタビ復号化処理(ビタビ復号化62の処理に相当)とすることができる。上記変調系における所定の処理はインターリーバ処理(インターリーバ53の処理に相当)であり、当該インターリーバ処理と共通化する上記復調系における所定の処理は入力信号に対しデインターリーバ処理(デインターリーバ63の処理に相当)とすることができる。
【0032】
以上より、本発明の実施例1によれば、OFDM変復調方式を用いた送受信システム10において、変調系のモジュール群(背景技術で説明したスクランブラ51ないしIFFT56)における所定のモジュールと、復調系のモジュール群(背景技術で説明したデスクランブラ61ないしFFT66)における所定のモジュールとを共通化したモジュールとすることができる。例えば、スクランブラ51とデスクランブラ61とを共通化してスクランブラ/デスクランブラ11とすることができ、マッピング54とデマッピング64とを共通化してマッピング/デマッピング14とすることができ、シンボルコントロール55とフレームコントロール65とを共通化してシンボルコントロール/フレームコントロール15とすることができ、IFFT56とFFT66とを共通化してIFFT/FFT16とすることができる。この結果、従来のOFDM変調回路50およびOFDM復調回路60と全く同じ機能を処理切替のためのオーバヘッド等を除き半分の処理モジュールにより実行可能であるため、回路規模を大幅に削減することができるOFDM変復調方式を用いた送受信システム等を提供することができる。
【実施例2】
【0033】
上述した送受信システム10は所望の処理プラットフォーム上でインプリメントすることが可能である。実施例2では、まず具体的な処理プラットフォームについて説明し、次に、当該処理プラットフォーム上でインプリメントされた各処理モジュールについて説明する。
【0034】
図2は、本発明の実施例2における処理プラットフォーム20を示す。図2において、符号21は処理プラットフォーム20の外部とデータ・パケットの入出力を行なう機能を有するハードウェアインタフェース(I/F)、30はハードウェアI/F21と接続され信号処理の順序を制御するスイッチング・モジュールISM1、22はスイッチング・モジュールISM1(30)と接続されデータ・パケットに対して種々の処理を行う処理モジュールの1つであり、スクランブラ/デスクランブラ11の機能を割当てられたスクランブラ/デスクランブラ処理モジュール、23はスイッチング・モジュールISM1(30)と接続された処理モジュールの1つであり、畳み込み符号化/ビタビ復号化12の機能を割当てられた畳み込み/ビタビ復号化処理モジュール、24はスイッチング・モジュールISM2(31)と接続された処理モジュールの1つであり、インターリーバ/デインターリーバ13の機能を割当てられたインターリーバ/デインターリーバ処理モジュール、25はスイッチング・モジュールISM2(31)と接続された処理モジュールの1つであり、マッピング/デマッピング14の機能を割当てられたマッピング/デマッピング処理モジュール、26はスイッチング・モジュールISM3(32)と接続された処理モジュールの1つであり、シンボルコントロール/フレームコントロール15の機能を割当てられたシンボルコントロール/フレームコントロール処理モジュール、27はスイッチング・モジュールISM3(32)と接続された処理モジュールの1つであり、逆FFT/FFT16の機能を割当てられた逆FFT/FFT処理モジュールである。
【0035】
図2に示されるように、ハードウェアI/F21とスイッチング・モジュールISM1(30)との間はデータ・パケット用のパスdp1(黒矢印)およびパラメータ・パケット(後述)用のパスpp1(白抜き矢印)により接続され、スイッチング・モジュールISM1(30)とスクランブラ/デスクランブラ処理モジュール22との間はデータ・パケット用のパスdp22−inおよびdp22−out(いずれも黒矢印)と、パラメータ・パケット用のパスpp22(白抜き矢印)とにより接続されている。図面の都合上、他のパスについては符号を付していないが、黒矢印はデータ・パケット用のパスであり、白抜き矢印のパスはパラメータ・パケット用のパスである。スイッチング・モジュールISM1(30)には他のスイッチング・モジュールISM2(31)がインタフェース(不図示)を介して接続されている。スイッチング・モジュールISM2(31)にはインターリーバ/デインターリーバ処理モジュール24、マッピング/デマッピング処理モジュール25が接続され、他のスイッチング・モジュールISM3(32)がインタフェース(不図示)を介して接続されている。スイッチング・モジュールISM3(32)にはシンボルコントロール/フレームコントロール処理モジュール26、IFFT/FFT処理モジュール27が接続されている。図2においては、処理プラットフォーム20は3台のスイッチング・モジュールISM1(30)、ISM2(31)およびISM3(32)と6台の処理モジュール22等との組み合わせにより構成されているが、これは一例であって、処理プラットフォーム20は任意個のスイッチング・モジュールISM1(30)等と任意個の処理モジュール22等との組み合わせにより構成することができる。
【0036】
スイッチング・モジュールISM1(30)は、変調系または復調系の処理内容に応じて設けられ、データ・パケットの入力元と次の処理を行う出力先とを示すルーティング・テーブル36を用いて、当該入力元から入力されたデータ・パケットを当該出力先へ出力して変調系または復調系の処理を行わせることにより、変調系または復調系の処理の順序を制御することができる。スイッチング・モジュールISM2(31)およびスイッチング・モジュールISM3(32)も各々ルーティング・テーブル37、38を用いて同様に処理の順序を制御することができる。
【0037】
ルーティング・テーブル36等により示される入力元且つ出力先であり、上述の共通化したモジュールとして割当てられる処理モジュール22等は、スイッチング・モジュールISM1(30)等側から送られたデータ・パケットに対し、当該データ・パケットにより示される変調系または復調系の処理を行って当該データ・パケットをスイッチング・モジュールISM1(30)等側へ送る。
【0038】
図2に示されるように、スイッチング・モジュールISM1(30)にはデータ・パケットのバッファリングを行う複数の入力バッファ33cおよび33dと、複数の出力バッファ33aおよび33bとが接続され、スイッチング・モジュールISM2(31)には複数の入力バッファ34cおよび33dと、複数の出力バッファ34aおよび34bとが接続され、スイッチング・モジュールISM3(32)には複組の入力バッファ35cおよび35dと、複数の出力バッファ35aおよび35bとが接続されている。入力バッファ33d等はルーティング・テーブル36等により示される入力元からスイッチング・モジュールISM1(30)等側へ入力されるデータ・パケットをバッファリングし、出力バッファ33a等はルーティング・テーブル36等により示される出力先へスイッチング・モジュールISM1(30)等側から出力するデータ・パケットをバッファリングする。図2では入力バッファ33d等および出力バッファ33a等は1ブロック(その容量は任意であるが、少なくとも1データ・パケット分の容量を有するものとする。)有している。しかし、これは一例であって入力バッファ33d等および出力バッファ33a等は任意の数のブロックを有することができる。バッファが複数のブロックを有する場合、FIFO(First-In First-Out)によりデータ・パケットの制御を行なう。以下、入力バッファおよび出力バッファを共に参照する場合、「入出力バッファ」と呼ぶ。図2ではスイッチング・モジュールISM1(30)とスイッチング・モジュールISM2(31)との間には入出力バッファは示されていないが、これは図面の都合上省略したものであって、スイッチング・モジュールISM間にも任意の数のブロックを有する入出力バッファを設けることができる。
【0039】
処理プラットフォーム20は、スイッチング・モジュールISM1(30)等と処理モジュール22等とを各々対応する一組の入出力バッファ33d、33a等を介することにより任意個組み合わせて構成することができる。この場合、少なくとも1台のスイッチング・モジュール、例えばISM1(30)が処理プラットフォーム20の外部(ハードウェアI/F21)と対応する入出力バッファ(不図示)を介して接続されている。処理プラットフォーム20が複数台のスイッチング・モジュールISM1(30)等を有する場合、ルーティング・テーブル36等は各スイッチング・モジュールISM1(30)等における変調系または復調系の処理の分担を示すものとして各スイッチング・モジュールISM1(30)毎に設けられている。
【0040】
スイッチング・モジュールISM1(30)等は、処理プラットフォーム20の外部(ハードウェアI/F10)、処理モジュール22等または他のスイッチング・モジュールISM2(31)から各々対応する入力バッファを介してデータ・パケットを入力する。次に、このデータ・パケットにより示される変調系または復調系の処理に応じたルーティング・テーブル36等を選択し、当該ルーティング・テーブル36等に基づいて出力先を求め、当該出力先に対応する出力バッファ33a等を介してデータ・パケットを出力するルーティング処理を行う。図2では、スイッチング・モジュールISM1(30)等におけるルーティング処理は点線で示されている。
【0041】
処理モジュール22等は、スイッチング・モジュールISM1(30)等から対応する出力バッファ33a等を介して送られたデータ・パケットを受取る。次に、このデータ・パケットより示される変調系または復調系の処理を当該データ・パケットに対して行う。その後、このデータ・パケットを先の対応する出力バッファ33a等と一組となっている入力バッファ33d等を介してスイッチング・モジュールISM1(30)側へ送る。
【0042】
他のスイッチング・モジュールISM2(31)等は、スイッチング・モジュールISM1(30)等から対応する出力バッファ(不図示)を介して送られたデータ・パケットを受取る。次に、このデータ・パケットにより示される変調系または復調系の処理に応じたスイッチング・モジュールISM2(31)用ルーティング・テーブル37等を用いて、当該データ・パケットに対して上述のルーティング処理を行う。すなわち、スイッチング・モジュールISM2(31)もスイッチング・モジュールISM1(30)と同様に、処理モジュール24等、またはスイッチング・モジュールISM2(31)にとっての他のスイッチング・モジュールISM1(30)もしくはISM3(32)から各々対応する入力バッファ(不図示)を介してデータ・パケットを入力する。次に、このデータ・パケットにより示される変調系または復調系の処理に応じたルーティング・テーブル37等を選択し、当該ルーティング・テーブル37等に基づいて出力先を求め、当該出力先に対応する出力バッファ34a等を介してデータ・パケットを出力するルーティング処理を行う。その後、当該データ・パケットを先の対応する出力バッファ(不図示)と一組となっている入力バッファ(不図示)を介してスイッチング・モジュールISM1(30)側へ送る。
【0043】
処理モジュール22等は、入力されたデータ・パケットに応じた変調系または復調系の処理を示す当該処理モジュール22等毎のパラメータ・テーブル(不図示)を有している。処理モジュール22等は各パラメータ・テーブルを用いることにより入力されたデータ・パケットに応じた処理を行い、その結果のデータ・パケットを出力している。
【0044】
各パラメータ・テーブルは固定した内容ではなく、任意の内容に初期設定し、後に動的に書換えることができる。プラットフォーム20は外部(ハードウェアI/F21)からパラメータ・パケット用のパスpp1を介することにより、処理モジュール22等の識別子と当該処理モジュール22等のパラメータ・テーブルの内容とを含むパラメータ・パケットを入力することができる。プラットフォーム20は入力されたパラメータ・パケットをパラメータ・パケット用のパスpp1等を介して上記識別子により特定される処理モジュール22等へ所定の条件に基づき伝達させることにより、パラメータ・テーブルの内容を動的に書換えることができる。プラットフォーム20は外部(ハードウェアI/F21)からデータ・パケット用のパスdp1を介することによりパラメータ・パケットを入力し、当該パラメータ・パケットをデータ・パケット用のパスを介して上記識別子により特定される処理モジュール22等へ所定の条件に基づき伝達させることもできる。
【0045】
次に、処理プラットフォーム20上でインプリメントされた各処理モジュール22等について説明する。図3は、スクランブラ/デスクランブラ処理モジュール22を示すブロック図である。図3で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図3に示されるように、スクランブラ/デスクランブラ処理モジュール22はスイッチング・モジュールISM1(30)側からパラメータ・パケット用のパスpp22(白抜き矢印)を介してパラメータ・パケットを入力する。パラメータ・パケットには送信(変調)か受信(復調)かを示す内容が含まれており、パラメータ・パケット処理部22aが当該内容をパラメータ・テーブルに設定する。共通化された処理部である処理エンジンCOM22は、パラメータ・パケット処理部22aから得られた送信(変調)か受信(復調)かを示す内容に基づき、データ・パケット用のパスdp22−inから入力したデータを、送信の場合はスクランブルし、受信の場合はデスクランブルして、データ・パケット用のパスdp22−outからスイッチング・モジュールISM1(30)側へ出力する。
【0046】
処理エンジンCOM22で行われるスクランブルは、データ・パケット用のパスdp22−inから入力したデータのビット列が例えばXj(j=1〜15)の場合、式1のような生成多項式G(X)を用いて行えばよい。式1で「+」は排他的論理和である。
【0047】
【数1】

【0048】
式1以外の任意の生成多項式を用いることができることは勿論である。受信(復調)の場合、同じ処理によりデスクランブルしてデータを再現する。
【0049】
図4は、畳み込み符号化/ビタビ復号化処理モジュール23を示すブロック図である。図4で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図4において、dp23-inはスイッチング・モジュールISM1(30)側からのデータ・パケット用のパスを示し、pp23はスイッチング・モジュールISM1(30)側からのパラメータ・パケット用のパスを示し、dp23-outはスイッチング・モジュールISM1(30)側へのデータ・パケット用のパスを示す。実施例1において述べたように、上記変調系のモジュール群における畳み込み符号化52と上記復調系のモジュール群におけるビタビ復号化62との間には、信号処理において特に対称性はないが、符号化処理および復号化処理の一部において作業用バッファ・レジスタを共用化している。このため、図4に示されるように、畳み込み符号化/ビタビ復号化23内では、畳み込み符号化52とビタビ復号化62とが作業用バッファ・レジスタ23aを共用しつつ並列的に配置されている構成となっている。符号化処理および復号化処理の各処理は、作業用バッファ・レジスタ23aを適宜占有または一部利用等することで必要なバッファを得ることにより実行される。畳み込み符号化52では、データ・パケット用のパスdp23−inから入力したデータのビット列が例えばXk(k=1〜6)の場合、式2のような生成多項式G1(X)およびG2(X)を用いて畳み込み符号化を行えばよい。式2で「+」は排他的論理和である。畳み込み符号化されたデータはデータ・パケット用のパスdp23−outからスイッチング・モジュールISM1(30)側へ出力する。
【0050】
【数2】

【0051】
式2以外の任意の生成多項式を用いることができることは勿論である。受信(復調)の場合、ビタビ復号化62はデータ・パケット用のパスdp23−inから入力したデータにビタビアルゴリズムを用いて畳み込み符号を復号化し、データ・パケット用のパスdp23−outからスイッチング・モジュールISM1(30)側へ出力する。
【0052】
図5は、インターリーバ/デインターリーバ処理モジュール24を示すブロック図である。図5で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図5において、dp24-inはスイッチング・モジュールISM1(30)側からのデータ・パケット用のパスを示し、pp24はスイッチング・モジュールISM1(30)側からのパラメータ・パケット用のパスを示し、dp24-outはスイッチング・モジュールISM1(30)側へのデータ・パケット用のパスを示す。実施例1において述べたように、上記変調系のモジュール群におけるインターリーバ53と上記復調系のモジュール群におけるデインターリーバ63との間には、信号処理において特に対称性はないが、インターリーブ処理およびデインターリーブ処理の一部において作業用バッファ・レジスタを共用化している。このため、図5に示されるように、インターリーバ/デインターリーバ24内では、インターリーバ53とデインターリーバ63とが作業用バッファ・レジスタ24aを共用しつつ並列的に配置されている構成となっている。インターリーブ処理およびデインターリーブ処理の各処理は、作業用バッファ・レジスタ24aを適宜占有または一部利用等することで必要なバッファを得ることにより実行される。インターリーバ53はデータ・パケット用のパスdp24−inから入力したデータをインターリーブして、データ・パケット用のパスdp24−outから出力する。インターリーブの深さは畳み込み符号化52で行われる畳み込み符号化信号の拘束長程度が好適である。デインターリーバ63はデータ・パケット用のパスdp24−inから入力したデータをデインターリーブして、データ・パケット用のパスdp24−outから出力する。
【0053】
図6は、マッピング/デマッピング処理モジュール25を示すブロック図である。図6で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図6において、pp25はスイッチング・モジュールISM1(30)側からのパラメータ・パケット用のパスを示し、dp25-inはスイッチング・モジュールISM1(30)側からのデータ・パケット用のパスを示し、dp25-outはスイッチング・モジュールISM1(30)側へのデータ・パケット用のパスを示す。図6に示されるように、マッピング/デマッピング処理モジュール25はスイッチング・モジュールISM1(30)側からパラメータ・パケット用のパスpp25を介してパラメータ・パケットを入力する。パラメータ・パケットには送信(変調)か受信(復調)かを示す内容が含まれており、パラメータ・パケット処理部25aが当該内容をパラメータ・テーブルに設定する。
【0054】
送信(変調)の場合、入力処理部25bはパラメータ・パケット処理部25aからの指示に基づき、データ・パケット用のパスdp25−inから入力したデータを共通化部分であるバッファCOM25(入出力データのレート調整用バッファ)へ書き込む。出力処理部25cはパラメータ・パケット処理部25aからの指示に基づき、バッファCOM25のデータをマッピングしてデータ・パケット用のパスdp25−outから出力する。マッピングの変調方式としては、QPSK、16QAM、64QAM等、所望の方式を用いることができる。例えば64QAMであれば、入力信号を6ビットずつに区切り、複素平面に64点でマッピングする。受信(復調)の場合、入力処理部25bはパラメータ・パケット処理部25aからの指示に基づき、データ・パケット用のパスdp25−inから入力したデータを変調方式に応じてデマッピングしてから又はそのままバッファCOM25へ書き込む。出力処理部25cはパラメータ・パケット処理部25aからの指示に基づき、バッファCOM25のデータを変調形式に応じてそのまま又はデマッピングしてデータ・パケット用のパスdp25−outから出力する。
【0055】
図7は、シンボルコントロール/フレームコントロール処理モジュール26を示すブロック図である。図7で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図7において、pp26はスイッチング・モジュールISM1(30)側からのパラメータ・パケット用のパスを示し、dp26-inはスイッチング・モジュールISM1(30)側からのデータ・パケット用のパスを示し、dp26-outはスイッチング・モジュールISM1(30)側へのデータ・パケット用のパスを示す。図7に示されるように、シンボルコントロール/フレームコントロール処理モジュール26はスイッチング・モジュールISM1(30)側からパラメータ・パケット用のパスpp26を介してパラメータ・パケットを入力する。パラメータ・パケットには送信(変調)か受信(復調)かを示す内容が含まれており、パラメータ・パケット処理部26aが当該内容をパラメータ・テーブルに設定する。
【0056】
送信(変調)の場合、入力処理部26bはパラメータ・パケット処理部26aからの指示に基づき、データ・パケット用のパスdp26−inから入力したデータを並べ替えながら共通化部分であるバッファCOM26(作業用バッファ)へ書き込む。出力処理部26cはパラメータ・パケット処理部26aからの指示に基づき、バッファCOM26からデータ・パケットを読み出してデータ・パケット用のパスdp26−outからフレームとして出力する。1フレームは所望の数のシンボルで構成することができる。1シンボルはOFDMシンボルとガードインターバルとを合わせて構成される。受信(復調)の場合、入力処理部26bはパラメータ・パケット処理部26aからの指示に基づき、データ・パケット用のパスdp26−inから入力したデータ・パケットを並べ替えながらバッファCOM26へ書き込む。出力処理部26cはパラメータ・パケット処理部26aからの指示に基づき、バッファCOM26からデータを読み出してデータ・パケット用のパスdp26−outから出力する。
【0057】
図8は、IFFT/FFT処理モジュール27を示すブロック図である。図8で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図8において、pp27はスイッチング・モジュールISM1(30)側からのパラメータ・パケット用のパスを示し、dp27-inはスイッチング・モジュールISM1(30)側からのデータ・パケット用のパスを示し、dp27-outはスイッチング・モジュールISM1(30)側へのデータ・パケット用のパスを示す。図8において、符号27aはスイッチング・モジュールISM1(30)側との間のインタフェース、27bはFFT処理エンジン部、COM27は共通化部分のバッファ(入出力バッファおよび作業用バッファ)である。図8に示されるように、IFFT/FFT処理モジュール27はFFT処理エンジン部27bのみで処理を行っており、IFFT処理エンジンに該当する処理部は別個に独立して設けられてはいない。
【0058】
図9は、IFFT/FFT処理モジュール27におけるIFFT処理を説明するためのブロック図である。図9で図8と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図9に示されるように、データ・パケット用のパスdp27−inから入力されたデータの実部(Real)と虚部(Imag)とは、インタフェース27aでスワップされた後、FFT処理エンジン部27bに入力される。すなわち、入力されたデータの実部(Real)がFFT処理エンジン部27bへ虚部(Imag)として入力され、入力されたデータの虚部(Imag)がFFT処理エンジン部27bへ実部(Real)として入力される。FFT処理エンジン部27bで通常のFFT処理が行われた後、図9に示されるように、FFT処理エンジン部27bから出力されたデータの実部(Real)と虚部(Imag)とは、インタフェース27aで再度スワップされた後、データ・パケット用のパスdp27−outから出力される。すなわち、FFT処理エンジン部27bから出力されたデータの実部(Real)がデータ・パケット用のパスdp27−out(Imag)から虚部(Imag)として出力され、FFT処理エンジン部27bから出力されたデータの虚部(Imag)がデータ・パケット用のパスdp27−out(Real)から実部(Real)として出力される。
【0059】
次に、上述のようなインタフェース27aにおけるスワップ(入力時および出力時)によりIFFT処理が可能であることについて説明する。g[n]のフーリエ変換をG[k]、G[k]の逆フーリエ変換をg[n]とすると、FFT処理は式3、IFFT処理は式4で与えられる。ここで、Σは、式3ではn=0〜N−1、式4ではk=0〜N−1とする(以下同様であるため添え字は省略する。)
【0060】
【数3】

【0061】
ここで、式3において、
【0062】
【数4】

【0063】
とすると、式3は式3’のようになる。
【0064】
【数5】

【0065】
式4において、
【0066】
【数6】

【0067】
とすると、式4は式4’のようになる。
【0068】
【数7】

【0069】
ここで、
【0070】
【数8】

【0071】
と仮定すると、式4’は式4’’のようになる。
【数9】

【0072】
式4’’と式3’とを比較すると、exp内に−1がある部分のみが異なることになり、これは回転方向が逆になっていることを示す。回転方向を入れ替える操作は、極座標上で(x、y)、つまり実部と虚部とを入れ替えることにより実現することができる。式5でも、極座標上で回転方向を逆にしており、これも(x、y)、つまり実部と虚部とを入れ替えることにより実現することができる。従って、図9に示されるインタフェース27a(データ入力時)で式5での入れ替え(スワップ)を行い、インタフェース27a(データ出力時)で式4’’の入れ替え(スワップ)を行うことにより、IFFT処理を実現することができる。
【0073】
以上より、本発明の実施例2によれば、実施例1における送受信システム10を処理プラットフォーム20上でインプリメントすることができる。処理プラットフォーム20は、スイッチング・モジュールISM1(30)等とスクランブラ/デスクランブラ処理モジュール22等から構成されている。スイッチング・モジュールISM1(30)は、変調系または復調系の処理内容に応じて設けられ、データ・パケットの入力元と次の処理を行う出力先とを示すルーティング・テーブル36を用いて、当該入力元から入力されたデータ・パケットを当該出力先へ出力して変調系または復調系の処理を行わせることにより、変調系または復調系の処理の順序を制御することができる。この結果、実施例2においても実施例1と同様に、従来のOFDM変調回路50およびOFDM復調回路60と全く同じ機能を処理切替のためのオーバヘッド等を除き半分の処理モジュールにより実行可能であるため、回路規模を大幅に削減することができるOFDM変復調方式を用いた送受信システム等を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の活用例として、IEEE802.11aの無線LAN方式への適用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例1によるOFDM変復調方式を用いた送受信システムを示す図である。
【図2】本発明の実施例2における処理プラットフォーム20を示す図である。
【図3】スクランブラ/デスクランブラ処理モジュール22を示すブロック図である。
【図4】畳み込み符号化/ビタビ復号化処理モジュール23を示すブロック図である。
【図5】インターリーバ/デインターリーバ処理モジュール24を示すブロック図である。
【図6】マッピング/デマッピング処理モジュール25を示すブロック図である。
【図7】シンボルコントロール/フレームコントロール処理モジュール26を示すブロック図である。
【図8】IFFT/FFT処理モジュール27を示すブロック図である。
【図9】IFFT/FFT処理モジュール27におけるIFFT処理を説明するためのブロック図である。
【図10】従来のOFDM変調回路50およびOFDM復調回路60を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10 送受信システム、 11 スクランブラ/デスクランブラ、 12 畳み込み符号化/ビタビ復号化、 13 インターリーバ/デインターリーバ、 14 マッピング/デマッピング、 15 シンボルコントロール/フレームコントロール、 16 IFFT/FFT、 20 処理プラットフォーム、 21 ハードウェアI/F、 22 スクランブラ/デスクランブラ処理モジュール、 22a、25a、26a パラメータ・パケット処理部22a、 23 畳み込み/ビタビ復号化処理モジュール、 24 インターリーバ/デインターリーバ処理モジュール、 25 マッピング/デマッピング処理モジュール、 25b、26b 入力処理部、 25c、26c 出力処理部、 26 シンボルコントロール/フレームコントロール処理モジュール、 27 IFFT/FFT処理モジュール、 27a インタフェース、 27b FFT処理エンジン部、 30 スイッチング・モジュールISM1、 31 スイッチング・モジュールISM2、 32 スイッチング・モジュールISM3、 33a、33b、33c、33d、34a、34b、34c、34d、35a、35b、35c、35d 入出力バッファ、 36、37、38 ルーティング・テーブル、 50 従来のOFDM変調回路、 51 スクランブラ、 52 畳み込み符号化、 53 インターリーバ、 54 マッピング、 55 シンボルコントロール、 56 IFFT、 60 従来のOFDM復調回路、 61 デスクランブラ、 62 ビタビ復号化、 63 デインターリーバ、 64 デマッピング、 65 フレームコントロール、 66 FFT。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交周波数分割多重変復調方式を用いた送受信システムであって、変調系のモジュール群における所定のモジュールと復調系のモジュール群における所定のモジュールとを共通化したモジュールとすることを特徴とする送受信システム。
【請求項2】
請求項1記載の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力データをスクランブルするスクランブラ・モジュールであり、該スクランブラ・モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力データをデスクランブルするデスクランブラ・モジュールであることを特徴とする送受信システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力データを所定の多値変調方式の信号へマッピングするマッピング・モジュールであり、該マッピング・モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号を2値データへデマッピングするデマッピング・モジュールであることを特徴とする送受信システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号にガードインターバルを挿入して1シンボルとし、所定数の該シンボルからフレームを構成するフレーム化を行うシンボル制御モジュールであり、該シンボル制御モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールはフレーム化された入力信号からシンボルを取り出すフレーム制御モジュールであることを特徴とする送受信システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の送受信システムにおいて、前記変調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号に逆高速フーリエ変換処理を行って時間軸上の信号へ変換する逆高速フーリエ変換モジュールであり、該逆高速フーリエ変換モジュールと共通化する前記復調系のモジュール群における所定のモジュールは入力信号に高速フーリエ変換処理を行って周波数軸上の信号へ変換する高速フーリエ変換モジュールであることを特徴とする送受信システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の送受信システムにおいて、入力データを含むデータ・パケットにより示される処理を行う処理プラットフォームをさらに備え、該処理プラットフォームは、
変調系又は復調系の処理内容に応じて設けられ、データ・パケットの入力元と次の処理を行う出力先とを示すルーティング・テーブルを用いて、該入力元から入力されたデータ・パケットを該出力先へ出力して変調系又は復調系の処理を行わせることにより変調系又は復調系の処理の順序を制御するスイッチング・モジュールと、
ルーティング・テーブルの入力元且つ出力先であり、前記共通化したモジュールとして割当てられる処理モジュールであって、前記スイッチング・モジュール側から送られたデータ・パケットに対し、該データ・パケットにより示される変調系又は復調系の処理を行って該データ・パケットを該スイッチング・モジュール側へ送るものと、
前記スイッチング・モジュールに接続されデータ・パケットのバッファリングを行う複数組の入出力バッファであって、入力バッファはルーティング・テーブルの入力元から該スイッチング・モジュール側へ入力されるデータ・パケットをバッファリングし、出力バッファはルーティング・テーブルの出力先へ該スイッチング・モジュール側から出力するデータ・パケットをバッファリングするものとを有しており、
前記処理プラットフォームは、前記スイッチング・モジュールと前記処理モジュールとを各々一組の前記入出力バッファを介することにより任意個組み合わせて構成され、少なくとも1台のスイッチング・モジュールは該処理プラットフォームの外部と対応する入出力バッファを介して接続され、複数台のスイッチング・モジュールを有する場合、ルーティング・テーブルは各スイッチング・モジュールにおける変調系又は復調系の処理の分担を示すものとして各スイッチング・モジュール毎に設けられており、
前記スイッチング・モジュールは、前記処理プラットフォームの外部、前記処理モジュール又は他のスイッチング・モジュールから対応する入力バッファを介してデータ・パケットを入力し、該データ・パケットにより示される変調系又は復調系の処理に応じたルーティング・テーブルに基づく出力先へ対応する出力バッファを介して該データ・パケットを出力するルーティング処理を行い、
前記処理モジュールは、前記スイッチング・モジュールから対応する出力バッファを介して送られたデータ・パケットにより示される変調系又は復調系の処理を該データ・パケットに対して行い、該データ・パケットを該対応する出力バッファと一組の入力バッファを介して該スイッチング・モジュール側へ送り、
前記他のスイッチング・モジュールは、前記スイッチング・モジュールから対応する出力バッファを介して送られたデータ・パケットにより示される変調系又は復調系の処理に応じた他のスイッチング・モジュール用ルーティング・テーブルを用いて、該データ・パケットに対してルーティング処理を行い、該データ・パケットを該対応する出力バッファと一組の入力バッファを介して前記スイッチング・モジュール側へ送ることを特徴とする送受信システム。
【請求項7】
請求項6記載の送受信システムにおいて、前記処理モジュールは、入力されたデータ・パケットに応じた変調系又は復調系の処理を示す該処理モジュール毎のパラメータ・テーブルを用いて該データ・パケットを処理し出力することを特徴とする送受信システム。
【請求項8】
請求項7記載の送受信システムにおいて、前記処理プラットフォームの外部から入力された処理モジュールの識別子と該処理モジュールのパラメータ・テーブルの内容とを含むパラメータ・パケットを、該識別子により特定される処理モジュールへ所定の条件に基づき伝達させることにより、前記パラメータ・テーブルの内容を動的に書換えることを特徴とする送受信システム。
【請求項9】
直交周波数分割多重変復調方式を用いた送受信方法であって、変調系における所定の処理と復調系における所定の処理とを共通化した処理とすることを特徴とする送受信方法。
【請求項10】
請求項9記載の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力データをスクランブルするスクランブラ処理であり、該スクランブラ処理と共通化する前記復調系における所定の処理は入力データをデスクランブルするデスクランブラ処理であることを特徴とする送受信方法。
【請求項11】
請求項9又は10記載の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力データを所定の多値変調方式の信号へマッピングするマッピング処理であり、該マッピング処理と共通化する前記復調系における所定の処理は入力信号を2値データへデマッピングするデマッピング処理であることを特徴とする送受信方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかに記載の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力信号にガードインターバルを挿入して1シンボルとし、所定数の該シンボルからフレームを構成するフレーム化を行うシンボル制御処理であり、該シンボル制御処理と共通化する前記復調系における所定の処理はフレーム化された入力信号からシンボルを取り出すフレーム制御処理であることを特徴とする送受信方法。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれかに記載の送受信方法において、前記変調系における所定の処理は入力信号に逆高速フーリエ変換処理を行って時間軸上の信号へ変換する逆高速フーリエ変換処理であり、該逆高速フーリエ変換処理と共通化する前記復調系における所定の処理は入力信号に高速フーリエ変換処理を行って周波数軸上の信号へ変換する高速フーリエ変換処理であることを特徴とする送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−88779(P2007−88779A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274554(P2005−274554)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】