説明

送液システム、送液方法及びプログラム

【課題】マイクロポンプを採用した送液システムにおいて、輸液の自重の影響を低減することで、より安定した送液が可能な送液システムを提供する。
【解決手段】流路と、流路を兼ねる空間を有するポンプ13と、流路内の単位時間あたりの流量を検出する流量センサ14と、流量センサ14の検出値と設定値とに応じてポンプ13の駆動を制御するシステムコントローラSCと、を有する送液システムにおいて、流路の流路抵抗を変化させる流路抵抗変化手段としての狭窄手段15を設け、狭窄手段15は、検出値と設定値とに応じて流路の流路抵抗を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロポンプを使用した送液システム、その制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、点滴装置に用いられるポンプは比較的大型であり、可搬式であっても点滴中に患者が自由に歩き回るなどの活動をするのが難しい、という問題点がある。
そこで、ポンプとして、シリコンなど加工しやすい基板に形成した空間の容積をアクチュエータの振動で変化させて送液するような小型マイクロポンプを使用することで、従来の大型ポンプに比べて、患者が点滴中に活動しやすくなる。
例えば、圧電素子を用いたディフューザタイプのマイクロポンプは、シリコンなど加工しやすい基板に空間を形成して圧力室とし、輸液が通過する圧力室内に圧電素子の撓み動作により圧力を加え、徐々に断面積が大きくなるディフューザ構造により順方向流量(入口から出口へ向かう流量)が逆方向流量(出口から入口へ向かう流量)よりも多いことにより液体を出口から吐出するポンプである。
また、シリコンなど加工しやすい基板に空間を形成して圧力室とし、圧力室に送液させたい方向にのみ開放する弁を設けて、圧力室の容積を変化可能として送液能力を持たせたバルブタイプのポンプもある。
かかるタイプのポンプにあっては、点滴台にセットした時など、輸液(薬液)を充填した輸液バッグや輸液ビンをポンプよりも高い位置に配置した場合、輸液の自重が輸液の流量制御に対して影響を及ぼすという問題がある。
【0003】
輸液の自重による流れを停止するための方法としては、流路であるチューブに薬液ビンをセットする間、クリップでチューブを閉塞して流路を遮断する方法、輸液ポンプへ薬液を通すためのチューブのセット状態を検出して、電磁弁による遮断装置を動作させる閉塞手段が既に知られている。
さらに、特許文献1には、看護師のミス等によりポンプのドアが開くと、チューブに外付けしたサーボモータによるカム機構によるチューブ外側からサーボモータでチューブを押しつぶすことで流路を遮断し、再びポンプのドアが閉じると、それに連動してカム機構がチューブを開放するようにする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たしかに、特許文献1に開示の技術によっては、操作時のミスなどによる、輸液の自重に起因した輸液の流れを防止することが出来る。しかし、特許文献1に記載の技術は、流れを完全に止めることしかできない技術である。
従って、特許文献1に開示の技術によっても、ディフューザタイプやバルブタイプのマイクロポンプにおける、患者の活動による注射位置から輸液ビンまでの高さ位置の変化によって、送液中の輸液の液量制御が輸液の自重の影響を受けるという問題点は解決することが出来ない。
本発明は、以上の問題点を鑑みて、ディフューザタイプやバルブタイプのようにポンプ機能を有する空間が流路の一部となっているマイクロポンプを採用した送液システムにおいて、流路を流れる輸液流量の検出値と、単位時間あたりの送液流量として予め定めた設定値に基づいてポンプの駆動を制御するとともに、輸液が流れる流路の流路抵抗を変化させることで輸液の自重の影響を低減することで、より安定した送液が可能な送液システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、流路と、前記流路を兼ねる空間を有するポンプと、前記流路内の単位時間あたりの流量を検出する流量検出部と、該流量検出部の検出値と設定値とに応じて前記ポンプの駆動を制御する制御部と、を有する送液システムにおいて、前記流路の流路抵抗を変化させる流路抵抗変化手段を設け、前記流路抵抗変化手段は、前記検出値と前記設定値とに応じて前記流路の流路抵抗を変化させる送液システムを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の送液システムにおいて、前記制御部は、前記検出値と前記設定値とが異なる場合、前記検出値が前記設定値となるように前記ポンプを制御する送液システムを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の送液システムにおいて、前記ポンプを制御しても、前記検出値が前記設定値とならない場合は、前記流路抵抗変化手段は、前記検出値が前記設定値に対して所定の範囲内となるように前記流路の流路抵抗を変化させる送液システムを特徴とする。
【0006】
また、請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の送液システムにおいて、前記検出値の前記増加率が所定の値以上となる場合、前記流路抵抗変化手段は、前記検出値が前記設定値に対して所定の範囲内となるように、前記流路の流路抵抗を変化させる送液システムを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の送液システムにおいて、前記制御部は、前記流量検出部の出力信号が受信できないか、または前記検出値が所定の閾値を超えた場合に、前記流路抵抗変化手段により前記流路を遮断させる送液システムを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の送液システムにおいて、前記制御部は、動作時に当該制御部の正常動作を示す動作信号を前記流路抵抗変化手段に供給し、前記流路抵抗変化手段は、前記動作信号が受信出来なくなった場合に、前記流路を遮断する送液システムを特徴とする。
【0007】
また、請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の送液システムにおいて、前記制御部は、報知手段を備え、前記流路抵抗変化手段が前記流路を遮断した場合、前記報知手段により前記チューブを遮断した旨報知する送液システムを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項5又は6に記載の送液システムにおいて、前記制御部は、無線通信手段を備え、前記流路抵抗変化手段が前記流路を遮断した場合、前記無線通信手段により前記流路を遮断した旨外部装置に報知する送液システムを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の送液システムにおいて、前記流量検出部及び前記ポンプは一体のポンプモジュールであり、前記流路抵抗変化手段は、前記ポンプモジュールに対して着脱可能である送液システムを特徴とする。
【0008】
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れか一項に記載の送液システムにおいて、前記流路抵抗変化手段は、前記流路を外側から狭窄する狭窄手段である送液システムを特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れか一項に記載の送液システムにおいて、前記ポンプは、ディフューザ型のマイクロポンプである送液システムを特徴とする。
また、請求項12の発明は、流路と、前記流路を兼ねる空間を有するポンプと、前記流路内の単位時間あたりの流量を検出する流量検出部と、該流量検出部の検出値と設定値とに応じて前記ポンプの駆動を制御する制御部と、を有し、前記流路の流路抵抗を変化させる流路抵抗変化手段を備える送液システムにおける送液方法であって、前記流路抵抗変化手段が、前記検出値と前記設定値とに応じて前記流路の流路抵抗を変化させるステップを含む送液方法を特徴とする。
【0009】
また、請求項13の発明は、請求項12に記載の送液方法において、前記制御部が、前記検出値が前記設定値よりも多い場合、前記検出値が前記設定値となるように前記ポンプを制御するステップを含む送液方法を特徴とする。
また、請求項14の発明は、請求項12又は13に記載の送液方法において、前記制御部が、前記ポンプを制御しても、前記検出値が前記設定値とならない場合は、前記検出値が前記設定値に対して所定の範囲内となるように前記流路抵抗変化手段により前記流路の流路抵抗を変化させるステップを含む送液方法を特徴とする。
また、請求項15の発明は、請求項12乃至14の何れか一項に記載の送液方法において、前記制御部が、前記検出値の変化率を演算し、前記検出値の前記変化率が所定の値以上となる場合は、前記検出値が前記設定値に対して所定の範囲内となるように前記流路抵抗変化手段により前記流路の流路抵抗を変化させるステップを含む送液方法を特徴とする。
また、請求項16の発明は、請求項12乃至15の何れか一項に記載の送液方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、流量検出部の検出値と予め定めた設定値との比較に基づいてポンプを制御するとともに、流路抵抗変化手段により流路抵抗を流体が通過可能な範囲内で複数段階に変化させることで、輸液の自重の影響を回避して、より高い精度で輸液の流量制御を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の輸液ポンプシステムを適用した点滴装置の概要を示す図。
【図2】本発明で用いられるマイクロポンプの動作概念を示す模式図。
【図3】マイクロポンプの動作時の状態を示す模式図。
【図4】輸液ポンプシステムのシステム構成を示す図。
【図5】輸液ポンプシステムの第1の制御形態を示すフローチャート。
【図6】輸液ポンプシステムの第2の制御形態を示すフローチャート。
【図7】異常事態発生時の割り込み制御を示すフローチャート。
【図8】システムコントローラ不動作時の閉塞手段の動作を示すフローチャート。
【図9】流路抵抗変化手段の一例としてのチューブを狭窄する手段の具体的な例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の送液システムを適用した輸液ポンプシステムの概要を示す図である。
輸液ポンプシステム1は、薬液もしくは輸液を充填した薬液ビン(輸液容器)10と、一方の開口部がチューブ20を介して薬液ビン10と接続された点滴筒11と、生体(患者)2の身体の一部、例えば静脈血管に刺されて薬液を注液する針16に加え、輸液ポンプ13と流量センサ(流量検出部)14とからなり、チューブ21を介して点滴筒の他方の開口と接続され、チューブ23を介して針16と接続された輸液ポンプモジュール12と、輸液ポンプモジュール12と針16を接続するチューブ23に対して設けられ、チューブ23を外側から狭窄・圧縮することでチューブ23の内径を小さくさせて流路を液体が流れないように遮断したり、流体が通過可能な範囲内で流路の流路抵抗を複数段階に高めて薬液の流れを制限したり、この狭窄状態を複数段階に緩めて流路の流路抵抗を小さくさせてチューブ内の薬液を流れやすくする流路抵抗変化手段の一例としての狭窄手段15と、輸液ポンプ13、流量センサ14及び狭窄手段15と電気的に接続されて各モジュールを制御するシステムコントローラ(制御手段)SCを備えている。
なお、図1の例では、輸液ポンプ13と流量センサ14を一体化した、輸液ポンプモジュール12として説明しているが、本発明はこれに制限を受けるものではなく、輸液ポンプ13と流量センサ14は、単一のモジュールではなく、別部品としてもよい。また、いずれのチューブも弾性を備えていて柔らかく、病院で点滴の際に用いられる一般的なカテーテルを適用する。
【0013】
また、流量センサ14は、チューブ22を介して輸液ポンプ13と接続されており、輸液ポンプから吐出される薬液の時間当たり流量を計測できるようになっており、その測定した流量を電気信号としてシステムコントローラSCに供給する。
本実施形態において、薬液ビン10から、チューブ20、点滴筒11、チューブ21、輸液ポンプ13、チューブ22、流量センサ14、チューブ23、針16の順に薬液が流れるように構成されている。そして、チューブ23に、狭窄手段15の狭窄部が取り付けられている。
なお、薬液ビン10とした輸液容器は、薬液ビンのみならず、例えばビニールパックのような袋状の容器を用いても良い。
輸液ポンプ13は、後に詳述するが、圧電素子を用いたディフューザタイプのマイクロポンプであり、システムコントローラSCから駆動制御信号を受けて圧電素子の駆動周波数や駆動電圧(すなわち駆動幅)を制御され、吐出する薬液の流量を制御する。
【0014】
流路抵抗変化手段としては、どのようなものを用いても良いが、例えば、モータによる可動式のアームでチューブ23を外側から直接圧縮する方法、ネジによる圧縮方法等を使用することができる。
チューブ23内の流路抵抗を変化させる方法としてはギアやローラ等でチューブを外側から押圧したり、捻ったり、曲げたりするようにすればよい。
また、流路抵抗変化手段は、ポンプモジュール12内に一体に設けるようにしても良い。ギアやローラの駆動には、ステッピングモータ、通常のモータ等を使用することができる。
なお、流路抵抗変化手段としてチューブ23を狭窄する手段が考えられるが、その具体的な例については後で詳述する。
【0015】
狭窄手段15は、以下に詳述する制御によって、流路を完全に遮断したり、液体が通過可能な範囲内で複数段階でチューブ23の狭窄の程度を複数段階に強くしたり緩くしたりして、輸液の流路の流路抵抗を複数段階に大きくしたり小さくしたりするものである。
狭窄手段15をチューブ23から取り外し可能とし、且つ輸液ポンプモジュール12と一体化が可能な構成とすることで、狭窄手段15が必要な患者(点滴中に動くことが予想される患者)には必ず取り付け、また不要な患者(手術中等、患者が動かないことが想定される)の場合には取り付けない等で、運用コストを削減することが可能となる。
また、狭窄手段15は、チューブ23をその外側から挟んで狭窄するので、狭窄手段15に輸液が接触しないため、狭窄手段15を何度も再利用することが出来る。
【0016】
図2は本発明で用いられる輸液ポンプ13の動作概念を示す模式図であり、(a)は輸液ポンプ13の縦断面図、(b)は上面図である。なお、図2(a)は図(b)中のA−A断面図に相当する。
また、図3は輸液ポンプ13の動作時の状態を示す模式図である。
輸液ポンプ13は、エッチングによって溝を形成したSi(シリコン)基板30と、シリコン基板30に陽極接合したガラス基板(板状部材)31から主に構成されている。
シリコン基板30に設けた溝とガラス基板31で形成される空間が圧力室(ポンプ室)35となるが、ガラス基板31上面の圧力室35に対応する位置に圧電素子(ピエゾ素子)34を設け、圧力室35内の液体の進行方向に沿ってシリコン基板30に、断面積が徐々に拡大した流路であるディフューザ36、ディフューザ37がエッチングにより形成されている。
なお、圧電素子34は、その撓み方向の両側の面に電極34a、34bを有し、電極34bを介してガラス基板31上に設けられている。
また、それぞれのディフューザと送液可能に接続された貫通孔であり、圧力室35の入口、出口となるインレット38、アウトレット39が同じくエッチングにより形成されており、インレット38には点滴筒11と送液可能に接続するチューブ21が、アウトレット39には、流量センサ14に送液可能に接続されたチューブ22が接続される。圧力室35は、チューブ21とチューブ22と送液可能に接続されて輸液ポンプシステム1の流路の一部分となる。
【0017】
システムコントローラSCから圧電素子34に駆動電圧(電圧パルス)を印加することにより圧電素子34が撓み運動し、ガラス基板31の圧電素子と接する部分がダイヤフラムDPとして動作して、圧力がかかることで、圧力室35が収縮(図3(a))・膨張(図3(b))する。その際に、ディフューザ36、ディフューザ37内に生じる圧力差で流れができる。
なお、圧電素子34に駆動電圧を印加するという場合、システムコントローラSCにより、電極34a、電極34b間に電圧を印加している。電極34aには+電圧が印加され、電極34bはGNDに接続されている。そして、両電極間の電位差が、圧電素子34を駆動する駆動電圧となる。
圧力室35が収縮・膨張を繰り返すことにより、インレット38からアウトレット39への定常的な流体の流れが発生する。
より詳細に説明すると、図2(b)に示すように、ディフューザ36、37はそれぞれインレット38から圧力室35、圧力室35からアウトレット39に向かって、すなわち図中矢印方向に向かって徐々にその断面積が広くなっている。
【0018】
圧電素子34に電圧パルスを印加することにより、ダイヤフラム部DPを、振動させることができる。すなわち、圧電素子に電圧パルスを印加することにより、圧力室35が収縮と、膨張(収縮時の状態からの膨張)を繰り返す。圧力室35の収縮率(ダイヤフラム部DPのたわみ量)は、圧電素子に印加する電圧のパルス振幅、パルス幅、に応じて決まり、圧力室35の収縮・膨張の繰り返し数は、電圧パルスの周波数によって決まる。
圧力室35が膨張(実際には、膨張率1である)すると、インレット38とアウトレット39の両方から薬液が流れ込む。
ここで、インレット38とアウトレット39からそれぞれ流れ込む流体は、それぞれディフューザ36、37を通過する。ディフューザ36、37は、前述の通り、いずれも矢印方向に行くに従って、断面積が徐々に広くなっている。そのため、ディフューザ36、37は、矢印方向に流れる流体に対し小さい抵抗を、矢印の逆方向に流れる流体に対し大きい抵抗を及ぼす。
従って、図3(a)の状態では、インレット38に向かって吐出される薬液f1は、ディフューザの断面積が狭くなる方向に流れるため抵抗が大きく、その流量は少ない。
アウトレット39に向かって吐出される薬液f2は、ディフューザの断面積が広くなる方向に流れるため、流量が大きい。
【0019】
また、図3(b)の状態では、インレットから流れ込む薬液f3は、ディフューザ36の断面積が広くなる方向に流れるため抵抗が小さく、その流量は大きい。逆に、アウトレットから流れ込む薬液f4は、ディフューザ37の断面積が狭くなる方向に流れるため、抵抗が大きく、その流量は小さい。
圧力室35が1回、収縮・膨張すると、インレット38から圧力室35へ、正味|f3−f1|の量の流体が流れ込むとともに、圧力室35からアウトレット39へ正味|f2−f4|の流体が流れ出る。従って、インレット38からアウトレット39へ、正味f=|f1−f3|=|f4−f2|の量の流体が流れる。
なお、圧力室35の容積W、収縮率βとすると、関係f=W(1−β)が成り立つ。圧力室35が収縮・膨張を繰り返すことで、インレット38からアウトレット39への定常的な流体の流れが発生する。圧力室35の収縮・膨張の繰り返しが回数(周波数)をωとすると、単位時間あたりの体積流量F=ωf=ωW(1−β)の流体がインレット38からアウトレット39へ流れる。
【0020】
体積流量Fは、圧電素子34に印加する電圧パルスのパルス振幅V、パルス幅H(パルス面積VH)、パルス周期T(周波数1/T)の少なくとも1つを調整することにより、制御することができる。
圧電素子34に印加する電圧パルスのパルス幅V(又はパルス面積VH)を大きく(小さく)すれば、圧電素子34の伸縮量が、すなわち、ダイヤフラムDPの撓みが大きく(小さく)なる。従って、パルス振幅V(又はパルス面積VH)を変えることにより、圧力室35の膨張・収縮率(1−β)を調整することが出来る。それにより、流量F=ωW(1−β)を制御することが出来る。また、電圧パルスの周波数を大きく(小さく)すれば、ダイヤフラム部DPの振動数(すなわち圧力室35の収縮・膨張の単位時間の繰り返し回数ω)が大きく(小さく)なる。従って、電圧パルスの周波数を変えることによって、圧力室35の収縮・膨張の単位時間の繰り返し回数ωを調整することができる。
ただし、このマイクロポンプの構造に制限を受けるものではない。例えば、ディフューザ36、37が無くとも、インレット38、アウトレット39のいずれか若しくは両方に、送液させたい方向にのみ開放する弁を設けて、圧力室の容積を変化可能として送液能力を持たせたポンプを用いることもできる。
【0021】
図4は、本発明のポンプシステムにおける制御部の構成を示す図であり、(a)はハードウェア構成図、(b)は制御部において実行される制御プログラムを示す図である。
(a)に示すように、システムコントローラSCは、制御部としてのCPU40と、制御用プログラム、予め定められた薬液の理想的な時間当たり流量(以下、設定流量という)のデータを格納したROM41(Read Only Memory)と、制御用プログラムをROM41から読み出して実行のために展開し、また流量センサ14から取得される検出値である流量データ(以下、測定流量という)や演算データを一時的に格納する作業領域としてのRAM(Random Access Memory)42とを備えている。
また、システムに異常事態があった場合、看護師等に報知するための信号を発する無線通信手段43、異常事態発生時にLED等を発光させてその旨を報知する報知手段44を有している。
なお、設定流量は、ROM41に格納するのではなく、図示しない入力手段により、薬剤や患者の状態に合わせて適宜入力し、RAM42に格納するようにしても良い。
上記したように、システムコントローラSCは、流量センサ14、狭窄手段15、輸液ポンプ13と電気的に接続されている。
【0022】
CPU40は、流量センサ14から測定流量データを受け取り、それを設定流量と比較して、測定流量が設定流量よりも多ければ、図2、図3で説明した輸液ポンプ13の圧電素子34に印加する電圧パルスのパルス振幅、パルス幅、パルス周期を変化させて輸液ポンプ13の送液能力を低下させる。また、測定流量と設定流量とを比較して、測定流量が設定流量よりも小さければ、輸液ポンプ13の送液能力を増加させる。
また、(b)に示すように、CPU40は、輸液ポンプ13を制御して吐出する流量を変化させたり、駆動を停止させたりする制御を行うポンプ制御部51、送液流量の設定値と測定流量とを比較する比較演算部52、測定流量を積算して注入した薬液の総量を演算する流量積算部53、狭窄手段15を制御して開放・閉塞させる狭窄手段制御部54、報知手段44と無線通信(W/L)手段43を制御して狭窄手段15による狭窄が行われた時に、あるいは後述する診断動作で正常に狭窄が行われなかった時に報知を看護師等や外部装置に報知を行う報知制御部55と、点滴装置1の何れかの部分で異常事態が生じた時に各処理部による処理に割り込んで輸液ポンプ13を停止させ、狭窄手段15を動作させる割り込み制御部61を実行する。
【0023】
次に、本発明の輸液ポンプシステムにおける流量制御について説明する。
システムコントローラSCは、図示しない入力部を備え、操作者はこの入力部を用いて単位時間あたりの送液流量の設定値である設定流量を設定することができるように構成されている。システムコントローラSCは設定流量の他に、輸液総量、動作停止流量など、流量制御に利用するための様々な設定値を保持する。
スタート後、システムコントローラSCは輸液総量と予め設定した単位時間あたりの送液流量の設定値を読み込む。続いて、システムコントローラSCに備えた図示しない操作部による輸液開始の指示に応じて輸液ポンプ13の駆動を開始する。
基本的な動作としては、システムコントローラSCは流量センサ14からの出力信号を測定流量として読み込み、比較演算部52によって測定流量と設定流量との比較を行い、ポンプ制御部51により、測定流量が設定流量と等しくなるように、輸液ポンプ13の動作を、圧電素子に印加するパルス振幅、パルス幅、パルス周期の少なくとも1つを調整して制御する。
また同時に、流量積算部54は単位時間あたりの流量を積算することで、生体に注入した輸液量を算出する。
また、ポンプ制御部51は、予め設定した注入する輸液の総量と、流量の積算値との比較で、あらかじめ設定した総量に達しない場合は、輸液ポンプ13を動作させ続けて輸液動作を継続するが、総量に達した場合は、輸液ポンプ13を停止させ、輸液動作を終了する。
【0024】
ただし、システムコントローラSCが、流量センサ14から信号を全く得られなかったり、測定流量が設定された動作停止流量と同じか、より高い値を示す場合、割り込み制御部61から割り込みが入り、実行中のプログラムの状況によらず、狭窄手段15によりチューブを狭窄して流路を遮断した上で、強制的にポンプ動作停止の処理を行う。
なお、測定流量が設定された動作停止流量より高い値でこそないものの、送液流量の設定値以上の値となった場合、輸液ポンプ13に対する通常の閉ループ制御により、ポンプの駆動条件を、流量を低減する方向に制御を行う。これで、流量センサでの検出値が低減し、再び設定流量(あるいは一定の誤差以内)に到達した場合には、これは閉ループ制御内の通常動作である。
【0025】
一方、輸液ポンプ13の駆動条件を設定可能な範囲内で変更しても、送液流量の設定値に制御できない場合、ポンプ駆動による慣性的に流れる流量の影響を除去するためにポンプ制御部51は輸液ポンプ13の駆動を停止して一定時間をおいた後で、流量センサ14による測定流量を、自重の影響による輸液の流量として検出する。
測定流量が設定流量よりも大きい場合、狭窄手段制御部54は、自重の影響による輸液の流量を低減し、少なくとも、ポンプ駆動時の測定流量が設定流量となる程度に経路が狭めて、チューブ23の流路抵抗を高めるために、チューブ23を狭窄するように狭窄手段15を制御する。
こうすることで、輸液の自重の影響を極力除去して輸液ポンプ13による制御が可能な範囲まで流量を落とすことが出来る。
狭窄手段15を作動させて自重による輸液の流量を低減させた後、ポンプの駆動を再開し、チューブ23の狭窄とポンプ制御の両方を同時に行うことで、短時間で正常な流量に制御することが出来る。
測定流量が設定流量よりも小さい場合、チューブ23の流路抵抗が小さくするために、チューブ23の狭窄を緩めるように狭窄手段15を制御する。
【0026】
図5は、本発明の輸液ポンプシステムの第1の制御形態を示すフローチャートである。
一定時間毎にセンサ流量(測定流量)と予め設定された閾値例えば動作停止流量とを比較し、これを超えた時点で異常と検出することが出来る。
また、流量センサの状態が正常であれば、流量が0の場合、システムコントローラには、2.5Vの信号が出力されるが、それを下回ったり、あるいは0Vとなる場合には、センサにトラブルが発生していると判断出来る。
以下は、センサの出力信号や測定流量に問題がない場合のフローである。
輸液ポンプシステムの動作が開始されると、CPU40は、予め設定された点滴の総量と、理想的な時間当たり流量をROM41から読み出す(ステップS101)。
次いで、CPU40は、マイクロポンプ13を動作させる命令を発行する(ステップS102)。
CPU40は、流量センサ14から入力される信号から得られる流量を常に監視している。また、CPU40は、流量センサ14の値を監視し、さらに、流量センサ14の値から輸液ポンプを流れた薬液の総量を積算し、ステップS101で読み出した総量に到達したと判断されれば(ステップS104でYes)、点滴は終了であるので、ポンプの動作を停止する(ステップS105)。
【0027】
総量に到達するまでは(ステップS104でNo)、一定期間毎に、流量センサの値に基づく流量を、ステップS101で取得した設定流量と比較する(ステップS106)。
測定流量が、設定流量よりも多い場合(ステップS107でYes)は、CPU40は、輸液ポンプ13を制御して、輸液ポンプの周波数等や駆動電圧を変更して流量を加減・調整(ステップS108)する。
この制御により、測定流量が設定流量に対して閾値以内の差に納まれば(ステップS109でYes)、閉ループ制御内の変動として、ステップS103に戻る。
しかしながら、異常値にまではならないまでも、変動量がある程度よりも大きくなると、ポンプ制御のみでは調整をすることが出来ないことがある。このような変動は、ポンプのみの問題ではなく、薬液ビンの高さ位置が想定された以上に変わることによって現れる、輸液の自重の影響が原因であると考える。
【0028】
本発明では、ポンプ制御により、測定流量が設定流量にならない場合には、(ステップS109でNo)、以下のように自重による輸液の流れの調整を行う。
まず、CPU40は、マイクロポンプ13を一旦停止させる(ステップS110)。
このとき、流量センサ14はまだ動作しているので、CPU40は、流量センサの信号から、ポンプの動作の影響を受けない自重のみによる輸液の流量を得ることが出来る。
次いで、CPU40は、マイクロポンプ13の動作を再開させるとともに、閉塞手段15には、チューブ23を流れる薬液の自重の影響による輸液の流量を低減させる。例えば、測定流量が設定流量よりも大きい場合は、ポンプ駆動時の測定流量が設定流量に対して所定の範囲内になるようにチューブを狭窄させる(ステップ111)。この所定の範囲は輸液ポンプ13で制御可能な範囲よりも小さな値である。
この後、点滴を続けた後で、測定流量が設定流量よりも少なくなった場合(ステップS112でYes)、薬液ビン10の位置が元に戻り、自重による輸液の流れが解消していると考えられるので、CPU40は、開閉制御信号によって閉塞手段15を制御して、狭窄を解除させ(ステップS113)、ステップS103に戻って通常の動作を続ける。
測定流量が設定流量よりも少なくならなければ(ステップ112でNo)、そのままステップS103に戻り通常の動作を続ける。
【0029】
以上のように本発明は、狭窄手段15を設けたことにより、輸液の流路の流路抵抗を変化させることが出来るので、システムとしての流量制御の幅、自由度を広げることが出来る。
第2の制御例では、自重による輸液の流れへの対策を行うタイミングが、第1の制御例とは異なっている。
CPU40は、流量信号(測定流量)を監視し、流量を積算することに加え、流量の増加率も演算している。流量は、通常多少の変動はするものであるが、その変動量は所定の幅に収まる。
本実施例では、このような流量の増加率を演算し、急激な変動が観測されると、ポンプを停止し、第1の制御例と同様の対策を行う。具体的には図6に示す通り、所定時間内の測定流量の変化が閾値を超えた場合(S114)、一旦輸液ポンプ13の駆動を停止する(S110)。輸液ポンプ13の駆動を停止した後、狭窄手段15を作動させて流路抵抗を変化させ、流路内の流量を設定流量に対して所定の範囲内にする(S111)。所定時間内に閾値を超えて測定流量が変化した時点から制御を開始することで、実際の流量を設定流量に近づけるまでの時間を短くすることが出来る。
【0030】
ところで、上述したように、システムコントローラSCが、流量センサ14から信号を全く得られなかったり、測定流量が本来あり得ないような異常に高い値を示す場合、輸液ポンプシステムを構成する要素に外的障害が生じた可能性が高い。
その時、CPU40(割り込み制御部61)は、制御例1、2における各制御に対して割り込みをかける。この場合、どの部分のプログラムを実行中でも輸液を停止する処理を行なう。停止処理としては、マイクロポンプ13の駆動を停止してポンプ自体の輸液を停止し、狭窄手段15に流路を遮断する動作を指示する。
さらに、CPU40は、報知手段44を点滅あるいは発声させたり、無線通信手段43により看護師等が所持する端末装置(外部装置)に通知する。
【0031】
図7は、異常事態発生時の割り込み制御を示すフローチャートである。
流量センサからの正常な流量信号が受信できる場合(ステップS121でYes)は、流量センサにはトラブルはないと判断し、さらに流量が正常な範囲に(ステップS123でYes)は、ポンプにも問題がないと考えられるため、図5、図6のメインルーチンに戻る。
流量信号が正常に受信できない場合、例えば、流量信号自体受信出来ない場合や、信号が一定の電圧を下回る場合(ステップS121でNo)はセンサにトラブルがあると判断し(ステップS122)、又は流量信号自体を正常に受信出来てもその流量が閾値以下、つまり極端に少なかったり、ゼロであったりした時、あるいはポンプ制御や、狭窄手段15による調整の可能範囲を超えた大量の流量が観測されるような場合には、ポンプにトラブルがあると判断する(ステップS124)。
また、チューブの閉塞、針抜け、血管外注入といった構成部品に対する衝撃や温度など外的要因も考えられる。
これらの場合、割り込み制御部61は、狭窄手段15にチューブを遮断させ(ステップS125)、さらに輸液ポンプ13の動作も停止させる(ステップS126)。
【0032】
なお、システムコントローラSCは、ステップS125で狭窄手段15にチューブ23を遮断させた場合は、図示しないスピーカーで音声を発生したり、無線通信手段43を介して看護師に通知する。
さらに、狭窄手段15は、チューブ23を遮断させた場合には、その旨をシステムコントローラに通知するようにすることで、確実にシステムの異常を看護師や患者に通知することが出来る。
ここまでの実施例において、制御部40は輸液ポンプ13の作動と狭窄手段15の作動を制御する例を説明したが、これは一例である。別の構成としては、制御部40は輸液ポンプ13の作動を制御するが、狭窄手段15の作動は制御せず、流量センサ14が制御部40の他に制御部40とは別のCPUにも測定流量を送信し、このCPUが受信した測定流量に応じて狭窄手段15の上述の作動を制御する構成とすることもできる。
【0033】
また、本発明では、狭窄手段15が、システムの動作・不動作を検知し、不動作を検知した時には自律的に動作して経路を遮断するようにした。
システムコントローラSCは、その動作中には、動作していることを示す信号(動作信号)を狭窄手段15に入力している。この信号が入力されている期間は、狭窄手段15による遮断動作は行わない。
システムがトラブル等で停止した場合(最悪電源が遮断された場合)この信号を含めて全てのシステムから出力される信号がLOWになると想定される。このとき、狭窄手段15は、LOW信号を検出することで、遮断動作を行う。
さらに望ましくは、緊急時にシステムが停止した場合は、システムからの給電が期待出来ないことから、閉塞手段自体にバッテリを内蔵し、このバッテリは最低でも遮断動作を行うに十分な容量を持つことが望ましい。
正常時には、システムからの正常を示す信号により、常時充電状態を維持し、緊急時には、充電した電力による遮断動作を行うのが望ましい。これにより、システムが遮断時等、流路の遮断を行うことが可能になる。
また、確実に狭窄手段15を動作させるために、遮断状態を通常とし、システムの動作開始時にシステムコントローラからの指示により流路を開放するようにしても良い。
【0034】
図8は、システムコントローラ不動作時の狭窄手段15の動作を示すフローチャートである。
狭窄手段15は、動作信号受信を受信出来なくなると(ステップS131)、何らかのシステムトラブルが生じたと判断し(ステップS132)、チューブを遮断する。
また、システムコントローラSCは、動作(点滴)開始時、輸液ポンプ13を稼働させる前に、狭窄手段15の遮断・開放をする診断動作を行う。このとき、狭窄手段15から遮断を行った旨の信号が出力されない場合は、異常があるとして、報知手段44を点滅あるいは発声させたり、無線通信手段43により看護師等が所持する端末装置(外部装置)に通知することで、異常事態のある点滴装置の使用を未然に防ぐことができ、より安全に点滴を実施することが可能である。
【0035】
図9は、流路抵抗変化手段の一例としてのチューブ23を狭窄する手段の具体的な例を示す図である。
流路抵抗手段としての狭窄手段15は、ステッピングモータ71と、ステッピングモータ81の回転軸81aに取り付けられた回転ギア82と、第一の回転ギア82の回転力を受けて回転する第二の回転ギア83aと、第二の回転ギア83aの回転中心軸でステッピングモータ81とは逆方向に取り付けられた雄ネジ83bと、ステッピングモータ81の電圧を切り換えてステッピングモータ81の回転方向を変更させるICチップ等の電圧制御部80とを備えている。
この電圧制御部80には、システムコントローラSCから動作信号及び解除信号が送られて来る。また、狭窄手段15には、断面が凹溝のガイドレール85が形成されており、ガイドレール85の凹溝に沿って移動自在にクランパ84が取り付けられている。
クランパ84には、上記雄ネジ83bに螺合する雌ネジ84aが形成されている。これにより、ステッピングモータ81を駆動して、雄ネジ83bを回転させることにより、雄ネジ83bは、クランパの雌ネジ84aに対し、その回転方向に応じて軸線方向に変位し、その結果として、クランパ84がガイドレール85に案内されて摺動変位されることになる。
【0036】
また、狭窄手段15には、クランパ84よりもステッピングモータ81側に、クランパ84による押圧を検知する第一の押圧センサ87aが設けられている。そして、クランパ84が、ステッピングモータ81側に摺動変位して、押圧センサ87aを押圧すると、押圧センサ87aは、クランパ84によって押圧されたことを検知する。
押圧センサ87aの出力信号は電圧制御部80に送信され、電圧制御部80がステッピングモータ81に供給する電圧パルスを停止することで、ステッピングモータ81の駆動が停止される。
更に、狭窄手段15には、チューブ23を挿入するための挿入孔が設けられている。挿入孔に対するクランパ84の反対側には、第二の押圧センサ87bが設けられている。そして、クランパ84が摺動変位して、挿入孔に挿入されているチューブ23を押圧すると、チューブ23の直径が歪んで下流側チューブ内を狭窄すると共に、チューブ23が第二の押圧センサ87b側に変位する。これにより、第二の押圧センサ87bは、チューブ23によって押圧されたことを検知する。
【0037】
また、狭窄手段15における挿入孔の外周には、円筒状で弾力性のある検出子88が設けられている。検出子88の内周半径は、チューブ23の外周半径よりも若干小さく形成されている。これにより、チューブ23が挿入孔に挿入されると、チューブ23は検出子88を若干押し広げ、検出子88が元の形状に戻る力によって把持されることになる。更に、検出子88の外周側面には、第三の押圧センサ89が設けられている。そして、上述のごとく、チューブ23の挿入によって若干押し広げられた検出子88によって、第三の押圧センサ89が押圧されたことを検知する。
第三の押圧センサ89の出力信号は電圧制御部80に送信され、仮に電圧制御部80でシステムコントローラSCからの動作信号を受信できなくなった場合には、電圧制御部80がステッピングモータ81に電圧パルスを供給し始めて、クランパ84がチューブ23を押すように摺動変位を開始する。また、第三の押圧センサ89の出力信号が電圧制御部80に送信されなければ、チューブ23が狭窄手段15に挿入されていないため、仮に電圧制御部80でシステムコントローラSCからの動作信号を受信できなくなった場合であっても、電圧制御部80はステッピングモータ81に電圧パルスを供給しない。なお、電圧制御部80で上述の解除信号を受信した場合には、クランパ84がチューブ23の狭窄を解除する方向に摺動変位するように、電圧制御部80はステッピングモータ81への電圧パルスを供給する。
【符号の説明】
【0038】
1 点滴装置、2 生体、10 薬液ビン、11 点滴筒、12 輸液ポンプモジュール、13 輸液ポンプ、14 流量センサ、15 狭窄手段、16 針、20 チューブ、21 チューブ、22 チューブ、23 チューブ、30 シリコン基板、31 ガラス基板、34 圧電素子、35 ポンプ室、36 ディフューザ、37 ディフューザ、38 インレット、39 アウトレット、40 CPU、41 ROM、42 RAM、51 ポンプ制御部、52 比較演算部、53 流量積算部、54 閉塞手段制御部、61 割り込み制御部70 電圧制御部、71 ステッピングモータ、71a 回転軸、72 回転ギア、73a 回転ギア、73b 雄ネジ、74 クランパ、74a 雌ネジ、75 ガイドレール、77a 押圧センサ、77b 押圧センサ、78 検出子、79 押圧センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2007−222485公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路と、前記流路を兼ねる空間を有するポンプと、前記流路内の単位時間あたりの流量を検出する流量検出部と、該流量検出部の検出値と設定値とに応じて前記ポンプの駆動を制御する制御部と、を有する送液システムにおいて、
前記流路の流路抵抗を変化させる流路抵抗変化手段を設け、
前記流路抵抗変化手段は、前記検出値と前記設定値とに応じて前記流路の流路抵抗を変化させることを特徴とする送液システム。
【請求項2】
請求項1に記載の送液システムにおいて、
前記制御部は、前記検出値と前記設定値とが異なる場合、前記検出値が前記設定値となるように前記ポンプを制御することを特徴とする送液システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の送液システムにおいて、前記ポンプを制御しても、前記検出値が前記設定値とならない場合は、前記流路抵抗変化手段は、前記検出値が前記設定値に対して所定の範囲内となるように前記流路の流路抵抗を変化させることを特徴とする送液システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の送液システムにおいて、前記検出値の前記増加率が所定の値以上となる場合、前記流路抵抗変化手段は、前記検出値が前記設定値に対して所定の範囲内となるように、前記流路の流路抵抗を変化させることを特徴とする送液システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の送液システムにおいて、
前記制御部は、前記流量検出部の出力信号が受信できないか、または前記検出値が所定の閾値を超えた場合に、前記流路抵抗変化手段により前記流路を遮断させることを特徴とする送液システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の送液システムにおいて、
前記制御部は、動作時に当該制御部の正常動作を示す動作信号を前記流路抵抗変化手段に供給し、前記流路抵抗変化手段は、前記動作信号が受信出来なくなった場合に、前記流路を遮断することを特徴とする送液システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の送液システムにおいて、
前記制御部は、報知手段を備え、前記流路抵抗変化手段が前記流路を遮断した場合、前記報知手段により前記チューブを遮断した旨報知することを特徴とする送液システム。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の送液システムにおいて、
前記制御部は、無線通信手段を備え、前記流路抵抗変化手段が前記流路を遮断した場合、前記無線通信手段により前記流路を遮断した旨外部装置に報知することを特徴とする送液システム。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の送液システムにおいて、前記流量検出部及び前記ポンプは一体のポンプモジュールであり、前記流路抵抗変化手段は、前記ポンプモジュールに対して着脱可能であることを特徴とする送液システム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の送液システムにおいて、前記流路抵抗変化手段は、前記流路を外側から狭窄する狭窄手段であることを特徴とする送液システム。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の送液システムにおいて、前記ポンプは、ディフューザ型のマイクロポンプであることを特徴とする送液システム。
【請求項12】
流路と、前記流路を兼ねる空間を有するポンプと、前記流路内の単位時間あたりの流量を検出する流量検出部と、該流量検出部の検出値と設定値とに応じて前記ポンプの駆動を制御する制御部と、を有し、前記流路の流路抵抗を変化させる流路抵抗変化手段を備える送液システムにおける送液方法であって、
前記流路抵抗変化手段が、前記検出値と前記設定値とに応じて前記流路の流路抵抗を変化させるステップを含むことを特徴とする送液方法。
【請求項13】
請求項12に記載の送液方法において、
前記制御部が、前記検出値が前記設定値よりも多い場合、前記検出値が前記設定値となるように前記ポンプを制御するステップを含むことを特徴とする送液方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の送液方法において、
前記制御部が、前記ポンプを制御しても、前記検出値が前記設定値とならない場合は、前記検出値が前記設定値に対して所定の範囲内となるように前記流路抵抗変化手段により前記流路の流路抵抗を変化させるステップを含むことを特徴とする送液方法。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れか一項に記載の送液方法において、
前記制御部が、前記検出値の変化率を演算し、前記検出値の前記変化率が所定の値以上となる場合は、前記検出値が前記設定値に対して所定の範囲内となるように前記流路抵抗変化手段により前記流路の流路抵抗を変化させるステップを含むことを特徴とする送液方法。
【請求項16】
請求項12乃至15の何れか一項に記載の送液方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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