説明

送配電系統の保護リレーおよび事故点標定装置ならびにその過渡成分除去方法

【課題】送配電系統の保護リレーおよび事故点評定装置ならびに過渡成分除去方法を提供する。
【解決手段】初回平均値算出部151は,N+1個のサンプリングデータの総和をサンプル数N+1で割って平均値を求める。前記次回以降平均値算出部152は、i番目のサンプリングデータとi+N+2番目のサンプリングデータとの差分をN+1で割った値を、前記初回平均値算出部151で算出されたi番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値から減じて平均値を求める。繰り返し部153は、前記次回以降平均値算出部152による平均値算出を前記iを更新しながら繰り返し、i+1番目からi+N+2番目までのサンプリングデータの平均値のみならず、i+2番目からi+N+3番目までのサンプリングデータの平均値、i+3番目からi+N+4番目までのサンプリングデータの平均値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の送配電系統に短絡や地絡等の事故が発生した際に検知される物理量から、過渡的に減衰する直流成分を除去する過渡成分除去方法、ならびにこの過渡成分除去方法を適用した保護リレーおよび事故点標定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の送配電系統を構成する受配電設備には、送配電系統に短絡や地絡等の事故が発生すると、その事故の原因を除去するようにしゃ断器へしゃ断命令を出力する保護リレーが設けられている。事故発生時に検出される電流の波形は、過渡的に減衰する直流成分を含んでいるので、この波形をそのまま用いてリレー演算を行うと、リレー特性に誤差を生じる。これを防止するために、従来では、送配電系統の事故時に計測された電流等の物理量から過渡成分を除去する手段としてアナログバンドパスフィルターが用いられていた。しかしながら、アナログバンドパスフィルタは、温度による特性変化や素子の経年変化等が起こるという問題があった。
【0003】
このような技術課題に対して、特許文献1、2には、デジタル技術を用いて、連続した3点のサンプリングデータを用いて過渡成分を除去する技術が開示されている。特許文献3には、商用周波の半周期や1周期および1周期半離れた4つのサンプリングデータを用いる技術が開示されている。
【0004】
特許文献1には、直流分を含む入力交流波形を時間間隔Δt毎にサンプリングするサンプリング装置と、連続するサンプリング時刻tn-2,tn-1およびtnにおけるサンプリング値Pn-2,Pn-1およびPnを入力として((Pn)-2(Pn-1)+(Pn-2))/(2cos(ωΔt)-2)を演算する演算装置とを含み、演算装置の出力を時刻tn-1における入力交流波形から直流分を除去した基本波成分の瞬時値とする技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、電力系統の保護リレーの演算を行う際に、事故直後の信号に含まれている減衰直流成分を除去する方法であって、入力信号を等間隔でサンプリングしサンプリングしたデータをデジタル変換し、デジタル変換された連続する3つのデータVj,Vj+1,Vj+2間の関係式の値(Vj)-2(Vj+1)+(Vj+2)を求め、これらの値を乗数マトリクスmijにかけることにより、減衰直流成分が除去された交流成分V'i(i=0,1,2,・・・)を抽出する技術が開示されている。
【0006】
特許文献3には、電力系統の保護リレーの演算を行う際に、事故直後の信号に含まれる減衰直流成分を除去する方法であって、入力信号を等間隔で一周期あたりnサンプリングし、サンプリングデータをデジタル変換し、Xj=(Vj-Vi+n/2)- (Vj-Vj+n) (Vj-Vj+n)/[(Vj-Vj+n)+(Vj+n/2-Vj+3n/2)]とした基本波の半周期と1周期の差分から減衰直流成分の除去された交流成分Xjを算出する技術が開示されている。
【特許文献1】特公昭54−30311号特許公報
【特許文献2】特開平8−163768号公報
【特許文献3】特開平8−163767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に開示された、連続する3つのサンプリングデータPn,Pn-1,Pn-2,を用いる方法では、連続する2つのサンプリングデータPnとPn-1との差分値(ΔPa)、およびPn-1とPn-2との差分値(ΔPb)を求め、さらに各差分値ΔPa,ΔPbの差分値(ΔP)を求める演算が行われる。しかしながら、サンプリング周波数が高いと差分値ΔPa,ΔPbがほとんど等しい値となり、その結果、差分値ΔPも零に近い値となるので、微小な雑音やデジタル変換時の量子化誤差などが原因で正常な値が算出できないという技術課題があった。また、特許文献1、2では、ノイズ成分として減衰直流成分のみを仮定しているので、事故時に発生する前記減衰直流成分以外の複雑な波形で正常な値が算出できないという技術課題もあった。
【0008】
このような技術課題は特許文献3でも同様であり、さらに、特許文献3では時刻j,j/2,j+n,j+3n/2の4個の限定されたデータを算式に使用するので、雑音が重畳した場合に誤差要因となるとともに、4個のデータは商用周波の1周期半の範囲に存在するので算出に前記期間を要する。しかしながら、保護リレーへの使用時には算出期間は少ない方が望ましい。
【0009】
さらに、事故時に検知された物理量の基づいて、その後、オフラインで事故点を標定する際にも、上記した従来技術では減衰直流成分のみを選択的に除去することができなかったので、事故点を正確に標定することが難しかった。
【0010】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を全て解決し、サンプリングが高速化しても対応可能であり、雑音や量子化誤差にロバストであって、かつ使用するデータの時間幅の範囲を小さくできる送配電系統の保護リレーおよび事故点標定装置ならびにその過渡成分除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、電力の送配電系統で事故時に計測された物理量から過渡的な直流成分を除去する過渡成分除去方法、および過渡成分を除去された物理量に基づいて系統を保護する保護リレーおよび事故点標定装置において、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0012】
(1)本発明の保護リレーは、計測された物理量をサンプリングする手段と、所定の移動平均区間ごとにサンプリングデータの移動平均値を算出する手段と、物理量から移動平均値を減じて交流成分を抽出する手段と、交流成分に基づいてリレー演算を行い、しゃ断器へしゃ断命令を出力するリレー演算手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
(2)本発明の事故点標定装置は、計測された物理量をサンプリングする手段と、所定の移動平均区間ごとにサンプリングデータの移動平均値を算出する手段と、物理量から移動平均値を減じて交流成分を抽出する手段と、交流成分に基づいて事故点を標定する事故点標定手段とを含むことを特徴とする。
【0014】
(3)サンプリング手段が、計測された物理量を商用周波数のN+1倍(Nは整数)でサンプリングし、移動平均区間がN+1個のサンプリングデータを含み、交流成分を抽出する手段が、前記移動平均区間の中間点のサンプリングデータから当該区間の移動平均値を減じることで交流成分を抽出し、前記Nが偶数であることを特徴とする。
【0015】
(4)本発明の過渡成分除去方法は、計測された物理量をサンプリングして、そのサンプリングデータを記憶する手順と、i番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を求める初回平均値算出手順と、i+1番目からi+N+2番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を求める次回以降平均値算出手順と、前記次回以降平均値算出手段による平均値算出を前記iを更新しながら繰り返す手順とを含み、前記初回平均値算出手順は、N+1個のサンプリングデータの総和をサンプル数N+1で割って平均値を求め、前記次回以降平均値算出手順は、i番目のサンプリングデータとi+N+2番目のサンプリングデータとの差分をN+1で割った値を、i番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値から減じて平均値を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0017】
(1)電力の送配電系統で検知され、過渡的な直流成分やノイズ成分を含む物理量に対して、その移動平均値を求めるようにしたので、物理量から過渡的な直流成分やノイズ成分を効率よく除去できるようになる。
【0018】
(2)物理量を商用周波数のN+1倍でサンプリングするようにしたので、商用周期に依存したノイズ成分を効率良く除去できるようになる。
【0019】
(3)移動平均区間でN+1個(Nは偶数)のサンプリングデータの平均値を求め、移動平均区間の中間点のサンプリングデータから当該区間の移動平均値を減じることで交流成分を抽出するようにしたので、物理量から過渡的な直流成分を精密に除去できるようになる。
【0020】
(4)移動平均値を、初回以外は前区間の移動平均値を利用して近似的に求めるようにしたので、計算量を減じることができる。
【0021】
(5)保護リレーにおいて、送配電系統で検知され、過渡的な直流成分やノイズ成分を含む物理量に対して、その移動平均値を求めるようにしたので、サンプリングが高速化しても対応可能で雑音や量子化誤差にロバストな保護が可能になる。
【0022】
(6)事故点標定装置において、送配電系統で検知され、過渡的な直流成分やノイズ成分を含む物理量に対して、その移動平均値を求めるようにしたので、サンプリングが高速化しても対応可能で雑音や量子化誤差にロバストな事故点標定が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明を適用した事故点標定装置の主要部の構成を示したブロック図であり、送配電線の事故時に計測された物理量(電流)を入力データとして事故点を標定し、その位置情報を出力する。
【0024】
アナログフィルタ11は、事故時に計測された物理量からサンプリング周波数のエリアシングノイズを除去する。サンプルホールド回路12は、エリアシングノイズを除去された前記物理量を等時間間隔でサンプリングするために所定時間だけホールドする。本実施形態では、サンプリング周波数が商用周波のN+1倍(Nは偶数)に設定されている。AD変換器13は、ホールドされた物理量を量子化し、サンプリングデータとして記憶部14に記憶する。直流除去フィルタ15は、後にフローチャートを参照して詳述するように、記憶されているサンプリングデータから過渡成分すなわち減衰直流成分を除去して交流成分を抽出する。事故点標定部16は、過渡成分を除去された交流成分を用いて事故点を標定し、その位置情報を出力する。
【0025】
図2は、前記直流除去フィルタ15の主要部の構成を示したブロック図であり、記憶部14に記憶されたサンプリングデータのN+1個分の移動平均値を順次に求める移動平均算出部15aと、前記サンプリングデータと移動平均値とに基づいて、過渡的な減衰直流成分を除去された交流成分を抽出する過渡成分除去部15bとを含む。
【0026】
前記移動平均算出部15aは、記憶部14に記憶されているi番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を求める初回平均値算出部151と、記憶部14に記憶されている次の移動平均区間のサンプリングデータ、すなわちi+1番目からi+N+2番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を近似的に求める次回以降平均値算出部152とを含む。
【0027】
前記初回平均値算出部151は、N+1個のサンプリングデータの総和を移動平均区間のサンプル数N+1で割って平均値を求める。前記次回以降平均値算出部152は、i番目のサンプリングデータとi+N+2番目のサンプリングデータとの差分を移動平均区間のサンプル数N+1で割った値を、前記初回平均値算出部151で算出された直前の移動平均区間の平均値、すなわちi番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値から減じて平均値を近似的に求める。
【0028】
繰り返し部153は、前記次回以降平均値算出部152による平均値算出を前記iを更新しながら繰り返し、i+1番目からi+N+2番目までのサンプリングデータの平均値のみならず、i+2番目からi+N+3番目までのサンプリングデータの平均値、i+3番目からi+N+4番目までのサンプリングデータの平均値…を、それぞれ近似的に算出する。
【0029】
次いで、前記直流除去フィルタ15において減衰直流成分を除去する手順を、図3のフローチャートに沿って説明する。
【0030】
ステップS1では、前記記憶部14に記憶されているサンプリングデータをN+1個ずつ読み出して平均値を求める際の先頭データの記憶位置を特定する変数iが初期化(例えば、i=1)される。ステップS2では、前記記憶部14に記憶されているi番目からi+N+1番目までの連続するN+1個のサンプリングデータが読み出され、それぞれサンプリングデータV(1),V(2),V(3)…V(N),V(N+1)として初回平均値算出部151に格納される。ステップS3では、前記初回平均値算出部151において、前記N+1個のサンプリングデータを次式(1)に適用して「初回演算」が実行され、今回(i番目)の移動平均区間の平均値すなわち直流成分Xdc1が求められる。
【0031】
【数1】

【0032】
ステップS4では、前記過渡成分除去部15bにおいて、前記直流成分Xdc1および今回の移動平均区間の中間点のサンプリングデータV(N/2+1)が次式(2)に適用されて、前記直流成分Xdc1が除去された今回の交流成分U(N/2+i)が算出される。ステップS5では、前記交流成分U(N/2+i)が出力される。このとき、本実施形態ではNが偶数であって、移動平均区間の中間点のサンプリングデータV(N/2+1)は直流成分の平均値を含むことになるので、この中間点のサンプリングデータV(N/2+1)からXdc1を減じることで、直流成分が精密に除去された交流成分を抽出できるようになる。
【0033】
【数2】

【0034】
ステップS6では、前記次回以降平均値算出部152において、前記記憶部14から次のデータ(i+N+2番目のデータ)が読み出され、サンプリングデータV(N+2)として格納される。ステップS7では、前記次回以降平均値算出部152において、前記直流成分Xdc1、サンプリングデータV(1),V(N+2)を次式(3)に適用して「次回以降演算」が実行され、次(i+1番目)の移動平均区間、すなわちi+1番目からi+N+2番目までの連続するN+1個のサンプリングデータV(2),V(3),V(4)…V(N+2)の直流成分Xdc2が求められる。
【0035】
【数3】

【0036】
このように、本実施形態ではi番目からi+N+1番目までのサンプリングデータに基づいてi番目の移動平均区間の平均値Xdc1が求まると、次のi+1番目からi+N+2番目までの移動平均区間の平均値Xdc2は、改めてN+1個のサンプリングデータV(2),V(3),V(4)…V(N+2)の総和を求めることなく、新たに移動平均区間に加わるサンプリングデータV(N+2)と、移動平均区間から外れるデータV(1)との差分[V(N+2)-V(1)]をサンプリング数N+1で割った値[V(N+2)-V(1)]/(N+1)を、前回の平均値Xdc1から減じることで近似的に算出される。
【0037】
ステップS8では、前記過渡成分除去部15bにおいて、前記直流成分Xdc2および今回のサンプリング期間のセンタ値V(N/2+i+1)が次式(4)に適用されて、前記直流成分Xdc2が除去された今回の交流成分U(N/2+i+1)が算出される。ステップS9では、前記交流成分U(N/2+i+1)が出力される。
【0038】
【数4】

【0039】
ステップS10では、前記変数iがインクリメントされる。ステップS11ではデータシフトが実行され、現在のサンプリングデータV(2),V(3),V(4)…V(N+2)が、それぞれV(1),V(2),V(3)…V(N),V(N+1)にシフトされる。さらに、直流成分Xdc2がXdc1にシフトされる。
【0040】
その後、当該処理はステップS6へ戻り、上記と同様にして次回以降演算が繰り返されて交流成分が順次に出力される。
【0041】
図4は、事故時電流Vと、この事故時電流Vに含まれる減衰過渡成分X1と、本実施形態による減衰過渡成分推定値X2と、交流成分U1と、事故時電流Vから減衰過渡成分推定値X2を減じて得られる交流成分推定値U2との関係を示した図であり、直流成分の推定値X2は商用周波の半周期後には真値とほぼ同等になっていることが観測できる。
【0042】
なお、上記した実施形態では、本発明を事故点標定装置への適用を例にして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、送配電系統で計測された物理量に基づいてしゃ断器を開放する送配電系統の保護リレーにも適用できる。
【0043】
図5は、本発明に係る保護リレーの主要部の構成を示したブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。本実施形態では、物理量に基づいてリレー演算を行い、しゃ断器へしゃ断命令を出力するリレー演算手段17が、前記直流除去フィルタ15により過渡的な直流成分を除去された物理量に基づいてリレー演算を行うようにした点に特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を適用した事故点標定装置の主要部の構成を示したブロック図である。
【図2】直流除去フィルタの主要部の構成を示したブロック図である。
【図3】直流除去フィルタの動作を示したフローチャートである。
【図4】本発明における直流成分の推定と除去シミュレーションの波形図である。
【図5】本発明を適用した保護リレーの主要部の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1…事故点標定装置,2…保護リレー,11…アナログフィルタ,12…サンプルホールド回路,13…AD変換器,14…記憶部,15…直流除去フィルタ,16…事故点標定部,15a…移動平均算出部,15b…過渡成分除去部,17…リレー演算部、151…初回平均値算出部,152…次回以降平均値算出部,153…繰り返し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の送配電系統で計測された物理量に基づいてしゃ断器を開放する送配電系統の保護リレーにおいて、
前記計測された物理量をサンプリングする手段と、
所定の移動平均区間ごとにサンプリングデータの移動平均値を算出する手段と、
前記物理量から前記移動平均値を減じて交流成分を抽出する手段と、
前記交流成分に基づいてリレー演算を行い、しゃ断器へしゃ断命令を出力するリレー演算手段とを含むことを特徴とする送配電系統の保護リレー。
【請求項2】
前記サンプリング手段が、前記計測された物理量を商用周波数のN+1倍(Nは整数)でサンプリングすることを特徴とする請求項1に記載の保護リレー。
【請求項3】
前記移動平均区間がN+1個のサンプリングデータを含み、
前記交流成分を抽出する手段が、前記移動平均区間の中間点のサンプリングデータから当該区間の移動平均値を減じることで交流成分を抽出し、
前記Nが偶数であることを特徴とする請求項2に記載の保護リレー。
【請求項4】
前記移動平均値を算出する手段は、
i番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を求める初回平均値算出手段と、
i+1番目からi+N+2番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を求める次回以降平均値算出手段と、
前記次回以降平均値算出手段による平均値算出を前記iを更新しながら繰り返す手段とを含み、
前記初回平均値算出手段は、N+1個のサンプリングデータの総和をサンプル数N+1で割って平均値を求め、
前記次回以降平均値算出手段は、i番目のサンプリングデータとi+N+2番目のサンプリングデータとの差分をN+1で割った値を、i番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値から減じて平均値を求めることを特徴とする請求項1に記載の送配電系統の保護リレー。
【請求項5】
電力の送配電系統で事故時に計測された物理量に基づいて事故点を標定する送配電系統の事故点標定装置において、
前記計測された物理量をサンプリングする手段と、
所定の移動平均区間ごとにサンプリングデータの移動平均値を算出する手段と、
前記物理量から前記移動平均値を減じて交流成分を抽出する手段と、
前記交流成分に事故点を標定する事故点標定手段とを含むことを特徴とする送配電系統の事故点標定装置。
【請求項6】
前記サンプリング手段が、前記計測された物理量を商用周波数のN+1倍(Nは整数)でサンプリングすることを特徴とする請求項5に記載の送配電系統の事故点標定装置。
【請求項7】
前記移動平均区間がN+1個のサンプリングデータを含み、
前記交流成分を抽出する手段が、前記移動平均区間の中間点のサンプリングデータから当該区間の移動平均値を減じることで交流成分を抽出し、
前記Nが偶数であることを特徴とする請求項6に記載の送配電系統の事故点標定装置。
【請求項8】
前記移動平均値を算出する手段は、
i番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を求める初回平均値算出手段と、
i+1番目からi+N+2番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を求める次回以降平均値算出手段と、
前記次回以降平均値算出手段による平均値算出を前記iを更新しながら繰り返す手段とを含み、
前記初回平均値算出手段は、N+1個のサンプリングデータの総和をサンプル数N+1で割って平均値を求め、
前記次回以降平均値算出手段は、i番目のサンプリングデータとi+N+2番目のサンプリングデータとの差分をN+1で割った値を、i番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値から減じて平均値を求めることを特徴とする請求項7に記載の送配電系統の事故点標定装置。
【請求項9】
電力の送配電系統で事故時に計測された物理量から過渡成分を除去する過渡成分除去方法において、
前記計測された物理量をサンプリングする手順と、
所定の移動平均区間ごとにサンプリングデータの移動平均値を算出する手順と、
前記物理量から前記移動平均値を減じて交流成分を抽出する手順とを含むことを特徴とする過渡成分除去方法。
【請求項10】
前記サンプリング手順が、前記計測された物理量を商用周波数のN+1倍(Nは整数)でサンプリングすることを特徴とする請求項9に記載の過渡成分除去方法。
【請求項11】
前記移動平均区間がN+1個のサンプリングデータを含み、
前記交流成分を抽出する手順が、前記移動平均区間の中間点のサンプリングデータから当該区間の移動平均値を減じることで交流成分を抽出し、
前記Nが偶数であることを特徴とする請求項10に記載の過渡成分除去方法。
【請求項12】
前記移動平均値を算出する手順が、
i番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を求める初回平均値算出手順と、
i+1番目からi+N+2番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値を求める次回以降平均値算出手順と、
前記次回以降平均値算出手段による平均値算出を前記iを更新しながら繰り返す手順とを含み、
前記初回平均値算出手順は、N+1個のサンプリングデータの総和をサンプル数N+1で割って平均値を求め、
前記次回以降平均値算出手順は、i番目のサンプリングデータとi+N+2番目のサンプリングデータとの差分をN+1で割った値を、i番目からi+N+1番目までのN+1個のサンプリングデータの平均値から減じて平均値を求めることを特徴とする請求項9に記載の過渡成分除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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