送風ファン付き温水暖房機
【課題】
吹出口と仕切板の擦れによる異音の発生を防止して、静粛な送風ファン付き温水暖房機を提供する。
【解決手段】
筐体１の背面に設けられた吸込口２と、筐体１の前面に設けられた吹出口１１とを結ぶ空気通路５の内部に、温水を循環して空気通路５内部の空気に前記温水の熱を放熱する放熱器６と、放熱器６の放熱により加熱された空気を吹出口１１に送出する送風ファン７と、放熱器６と筐体１の前面パネル３の間を仕切る仕切板１０を有する送風ファン付き温水暖房機において、吹出口１１と仕切板１０を一体に構成する。
吹出口と仕切板の擦れによる異音の発生を防止して、静粛な送風ファン付き温水暖房機を提供する。
【解決手段】
筐体１の背面に設けられた吸込口２と、筐体１の前面に設けられた吹出口１１とを結ぶ空気通路５の内部に、温水を循環して空気通路５内部の空気に前記温水の熱を放熱する放熱器６と、放熱器６の放熱により加熱された空気を吹出口１１に送出する送風ファン７と、放熱器６と筐体１の前面パネル３の間を仕切る仕切板１０を有する送風ファン付き温水暖房機において、吹出口１１と仕切板１０を一体に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、送風ファン付き温水暖房機、いわゆるファンコンベクタに関わり、特に吸込口から吹出口に至る空気通路と筐体の前面パネルを区画する仕切板と前記吹出口の取り合い部分の構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
送風ファン付き温水暖房機は、筐体の背面に設けられた吸込口から暖房対象の室内の空気を取り入れ、その空気を温水で加熱し、加熱された空気を送風ファンによって吹出口から室内に向けて吹き出す暖房機である。
【０００３】
従来の送風ファン付き温水暖房機は、図２に示すように、筐体１の背面上部に設けられた吸込口２と、筐体１の前面パネル３に固定された吹出口４とを結ぶ空気通路５の内部に、放熱器６と送風ファン７を設け、放熱器６の放熱により加熱された空気を送風ファン７によって吹出口４に送出して、吹出口４から温風を筐体１の外（つまり、暖房対象の室内）に吹き出している（特許文献１、特許文献２）。
【０００４】
吸込口２と吹出口４の間には仕切板８があって、空気通路５の隔壁の一部を形成している。仕切板８と吹出口４の取り合い部９は、空気通路５内部の温風が漏れないように密着して重ね合わされている。また、仕切板８は放熱器６の熱によって前面パネル３が高温になることを防ぐ遮熱板としても機能している。
【０００５】
なお、放熱器６の内部には、図示しない熱源から供給される温水が循環し、前記温水と吸込口２から吸い込まれる空気の間で熱交換を行って、前記空気を加熱している。
【０００６】
【特許文献１】特開平１１−１４１９０３号公報
【特許文献２】特開２０００−１８６２８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、この従来の送風ファン付き温水暖房機は吹出口と仕切板が別部品で構成され、しかも空気通路内の温風が漏れないように重ね合わされているので、運転開始時及び運転終了時には、仕切板と吹出口の温度差あるいは熱膨張率の差のために、吹出口と仕切板が相対的に変位して擦れ、異音が発生して、使用者に不快感を与えるという問題があった。また、吹出口と仕切板は温風が漏れないように重ね合わされてはいるが、仕切板と吹出口とが別部品で構成されているためどうしてもわずかな温風の漏れが生じ機器内部の温度上昇を生じていた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、送風ファン付き温水暖房機の吹出口と仕切板の擦れによる異音の発生を防止して、静粛な送風ファン付き温水暖房機を提供することを目的とするものである。また、仕切板と吹出口の繋ぎ目からの温風の漏れを防止して機器内部の温度上昇を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係る送風ファン付き温水暖房機の第１の構成は、筐体の背面に設けられた吸込口と、前記筐体の前面に設けられた吹出口とを結ぶ空気通路の内部に、温水を循環して前記空気通路内部の空気に前記温水の熱を放熱する放熱器と、前記放熱器の放熱により加熱された空気を前記吹出口に送出する送風ファンと、前記放熱器と前記筐体の前面パネルの間を仕切る仕切板を有する送風ファン付き温水暖房機において、前記吹出口と前記仕切板を一体に構成したことを特徴とする。
【０００９】
この構成により、本発明の送風ファン付き温水暖房機は吹出口と仕切板の擦れが生じないので、異音が発生しなくなる。
【００１０】
本発明に係る送風ファン付き温水暖房機の第２の構成は、前記第１の構成に加えて、前記吹出口と前記仕切板をプラスチックで一体成型したことを特徴とする。
【００１１】
この構成により、本発明の送風ファン付き温水暖房機は部品点数が削減される。
【００１２】
本発明に係る送風ファン付き温水暖房機の第３の構成は、前記第１または第２の構成に加えて、前記仕切板の前面に制御基板を取り付けたことを特徴とする。
【００１３】
この構成により、制御基板は温風から隔離されるので、制御基板の温度上昇が抑制される。
【００１４】
本発明に係る送風ファン付き温水暖房機の第４の構成は、前記第１ないし第３の構成に加えて、前記吹出口に可動式案内翼を備えたことを特徴とする。
【００１５】
この構成により、本発明の送風ファン付き温水暖房機は温風の方向を自在に変更することができる。なお、可動式案内翼は温風の流れを左右方向に振るものに限らず、上下方向の流れを変える案内翼も含まれる。
【発明の効果】
【００１６】
本発明によれば、送風ファン付き温水暖房機の吹出口と仕切板を一体に構成したので、吹出口と仕切板の擦れに起因する異音の発生を防止し、送風ファン付き温水暖房機の静粛性が向上する。また、前記吹出口と仕切板をプラスチックで一体成型したので、送風ファン付き温水暖房機の部品点数を削減し、製造コストを低減する効果がある。また、仕切板と吹出口の繋ぎ目からの温風の漏れによる機器内部の温度上昇がなくなる。また、前記仕切板の前面に制御基板を取り付けたので、制御基板が温風から隔離され、制御基板の温度上昇が抑制される。このため、温度上昇による制御基板の故障が減少し、信頼性が向上する。また、前記吹出口に可動式案内翼を備えたので、前記吹出口が吹き出す温風の方向を自在に変更でき、暖房効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【００１８】
図１は、本発明の実施例を示す送風ファン付き温水暖房機の断面図である。この送風ファン付き温水暖房機は、従来の送風ファン付き温水暖房機と同様に、筐体１の背面上部に吸込口２を設け、空気通路５の内部に、放熱器６と送風ファン７を設け、放熱器６の放熱により加熱された空気を送風ファン７によって筐体１の外に吹き出している。
【００１９】
空気通路５は筐体１と仕切板１０で形成され、仕切板１０はその前面と筐体１の前面パネル３の間の空間と空気通路５を分けて、空気通路５を流れる温風の熱が前記空間および前面パネル３に伝わるのを防いでいる。
【００２０】
また、仕切板１０の下部には、吹出口１１が一体に形成され、吹出口１１は筐体１の前面パネル３の下部に切り開けられた開口１２から、筐体１の外部に突出している。また、吹出口１１には可動式案内翼１３が取り付けられている。可動式案内翼１３は、垂直軸周りの角度を変えて、吹出口１１から吹き出される温風の向きを変えることができる。
【００２１】
また、仕切板１０の上部前面には、凹部が設けられ、前記凹部の内部には、送風ファン付き温水暖房機の動きを制御する制御基板１４が取り付けられている。このように制御基板１４は温風から隔離された空間に配置されているので、温風の熱による制御基板１４の温度上昇を回避することができる。
【００２２】
なお、仕切板１０と吹出口１１は、ＡＢＳ樹脂やＡＡＳ樹脂、ＡＥＳ樹脂等で一体成形されている。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の実施例に係る送風ファン付き温水暖房機の断面図である。
【図２】従来技術の例を示す送風ファン付き温水暖房機の断面図である。
【符号の説明】
【００２４】
１ 筐体
２ 吸込口
３ 前面パネル
４ 吹出口
５ 空気通路
６ 放熱器
７ 送風ファン
８ 仕切板
９ 取り合い部
１０ 仕切板
１１ 吹出口
１２ 開口
１３ 可動式案内翼
１４ 制御基板
【技術分野】
【０００１】
本発明は、送風ファン付き温水暖房機、いわゆるファンコンベクタに関わり、特に吸込口から吹出口に至る空気通路と筐体の前面パネルを区画する仕切板と前記吹出口の取り合い部分の構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
送風ファン付き温水暖房機は、筐体の背面に設けられた吸込口から暖房対象の室内の空気を取り入れ、その空気を温水で加熱し、加熱された空気を送風ファンによって吹出口から室内に向けて吹き出す暖房機である。
【０００３】
従来の送風ファン付き温水暖房機は、図２に示すように、筐体１の背面上部に設けられた吸込口２と、筐体１の前面パネル３に固定された吹出口４とを結ぶ空気通路５の内部に、放熱器６と送風ファン７を設け、放熱器６の放熱により加熱された空気を送風ファン７によって吹出口４に送出して、吹出口４から温風を筐体１の外（つまり、暖房対象の室内）に吹き出している（特許文献１、特許文献２）。
【０００４】
吸込口２と吹出口４の間には仕切板８があって、空気通路５の隔壁の一部を形成している。仕切板８と吹出口４の取り合い部９は、空気通路５内部の温風が漏れないように密着して重ね合わされている。また、仕切板８は放熱器６の熱によって前面パネル３が高温になることを防ぐ遮熱板としても機能している。
【０００５】
なお、放熱器６の内部には、図示しない熱源から供給される温水が循環し、前記温水と吸込口２から吸い込まれる空気の間で熱交換を行って、前記空気を加熱している。
【０００６】
【特許文献１】特開平１１−１４１９０３号公報
【特許文献２】特開２０００−１８６２８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、この従来の送風ファン付き温水暖房機は吹出口と仕切板が別部品で構成され、しかも空気通路内の温風が漏れないように重ね合わされているので、運転開始時及び運転終了時には、仕切板と吹出口の温度差あるいは熱膨張率の差のために、吹出口と仕切板が相対的に変位して擦れ、異音が発生して、使用者に不快感を与えるという問題があった。また、吹出口と仕切板は温風が漏れないように重ね合わされてはいるが、仕切板と吹出口とが別部品で構成されているためどうしてもわずかな温風の漏れが生じ機器内部の温度上昇を生じていた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、送風ファン付き温水暖房機の吹出口と仕切板の擦れによる異音の発生を防止して、静粛な送風ファン付き温水暖房機を提供することを目的とするものである。また、仕切板と吹出口の繋ぎ目からの温風の漏れを防止して機器内部の温度上昇を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係る送風ファン付き温水暖房機の第１の構成は、筐体の背面に設けられた吸込口と、前記筐体の前面に設けられた吹出口とを結ぶ空気通路の内部に、温水を循環して前記空気通路内部の空気に前記温水の熱を放熱する放熱器と、前記放熱器の放熱により加熱された空気を前記吹出口に送出する送風ファンと、前記放熱器と前記筐体の前面パネルの間を仕切る仕切板を有する送風ファン付き温水暖房機において、前記吹出口と前記仕切板を一体に構成したことを特徴とする。
【０００９】
この構成により、本発明の送風ファン付き温水暖房機は吹出口と仕切板の擦れが生じないので、異音が発生しなくなる。
【００１０】
本発明に係る送風ファン付き温水暖房機の第２の構成は、前記第１の構成に加えて、前記吹出口と前記仕切板をプラスチックで一体成型したことを特徴とする。
【００１１】
この構成により、本発明の送風ファン付き温水暖房機は部品点数が削減される。
【００１２】
本発明に係る送風ファン付き温水暖房機の第３の構成は、前記第１または第２の構成に加えて、前記仕切板の前面に制御基板を取り付けたことを特徴とする。
【００１３】
この構成により、制御基板は温風から隔離されるので、制御基板の温度上昇が抑制される。
【００１４】
本発明に係る送風ファン付き温水暖房機の第４の構成は、前記第１ないし第３の構成に加えて、前記吹出口に可動式案内翼を備えたことを特徴とする。
【００１５】
この構成により、本発明の送風ファン付き温水暖房機は温風の方向を自在に変更することができる。なお、可動式案内翼は温風の流れを左右方向に振るものに限らず、上下方向の流れを変える案内翼も含まれる。
【発明の効果】
【００１６】
本発明によれば、送風ファン付き温水暖房機の吹出口と仕切板を一体に構成したので、吹出口と仕切板の擦れに起因する異音の発生を防止し、送風ファン付き温水暖房機の静粛性が向上する。また、前記吹出口と仕切板をプラスチックで一体成型したので、送風ファン付き温水暖房機の部品点数を削減し、製造コストを低減する効果がある。また、仕切板と吹出口の繋ぎ目からの温風の漏れによる機器内部の温度上昇がなくなる。また、前記仕切板の前面に制御基板を取り付けたので、制御基板が温風から隔離され、制御基板の温度上昇が抑制される。このため、温度上昇による制御基板の故障が減少し、信頼性が向上する。また、前記吹出口に可動式案内翼を備えたので、前記吹出口が吹き出す温風の方向を自在に変更でき、暖房効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【００１８】
図１は、本発明の実施例を示す送風ファン付き温水暖房機の断面図である。この送風ファン付き温水暖房機は、従来の送風ファン付き温水暖房機と同様に、筐体１の背面上部に吸込口２を設け、空気通路５の内部に、放熱器６と送風ファン７を設け、放熱器６の放熱により加熱された空気を送風ファン７によって筐体１の外に吹き出している。
【００１９】
空気通路５は筐体１と仕切板１０で形成され、仕切板１０はその前面と筐体１の前面パネル３の間の空間と空気通路５を分けて、空気通路５を流れる温風の熱が前記空間および前面パネル３に伝わるのを防いでいる。
【００２０】
また、仕切板１０の下部には、吹出口１１が一体に形成され、吹出口１１は筐体１の前面パネル３の下部に切り開けられた開口１２から、筐体１の外部に突出している。また、吹出口１１には可動式案内翼１３が取り付けられている。可動式案内翼１３は、垂直軸周りの角度を変えて、吹出口１１から吹き出される温風の向きを変えることができる。
【００２１】
また、仕切板１０の上部前面には、凹部が設けられ、前記凹部の内部には、送風ファン付き温水暖房機の動きを制御する制御基板１４が取り付けられている。このように制御基板１４は温風から隔離された空間に配置されているので、温風の熱による制御基板１４の温度上昇を回避することができる。
【００２２】
なお、仕切板１０と吹出口１１は、ＡＢＳ樹脂やＡＡＳ樹脂、ＡＥＳ樹脂等で一体成形されている。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の実施例に係る送風ファン付き温水暖房機の断面図である。
【図２】従来技術の例を示す送風ファン付き温水暖房機の断面図である。
【符号の説明】
【００２４】
１ 筐体
２ 吸込口
３ 前面パネル
４ 吹出口
５ 空気通路
６ 放熱器
７ 送風ファン
８ 仕切板
９ 取り合い部
１０ 仕切板
１１ 吹出口
１２ 開口
１３ 可動式案内翼
１４ 制御基板
【特許請求の範囲】
【請求項１】
筐体の背面に設けられた吸込口と、前記筐体の前面に設けられた吹出口とを結ぶ空気通路の内部に、温水を循環して前記空気通路内部の空気に前記温水の熱を放熱する放熱器と、前記放熱器の放熱により加熱された空気を前記吹出口に送出する送風ファンと、前記放熱器と前記筐体の前面パネルの間を仕切る仕切板を有する送風ファン付き温水暖房機において、
前記吹出口と前記仕切板を一体に構成したことを特徴とする送風ファン付き温水暖房機。
【請求項２】
前記吹出口と前記仕切板をプラスチックで一体成型したことを特徴とする請求項１に記載の送風ファン付き温水暖房機。
【請求項３】
前記仕切板の前面に、制御基板を取り付けたことを特徴とする請求項１または請求項２に記載の送風ファン付き温水暖房機。
【請求項４】
前記吹出口に、可動式案内翼を備えたことを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の送風ファン付き温水暖房機。
【請求項１】
筐体の背面に設けられた吸込口と、前記筐体の前面に設けられた吹出口とを結ぶ空気通路の内部に、温水を循環して前記空気通路内部の空気に前記温水の熱を放熱する放熱器と、前記放熱器の放熱により加熱された空気を前記吹出口に送出する送風ファンと、前記放熱器と前記筐体の前面パネルの間を仕切る仕切板を有する送風ファン付き温水暖房機において、
前記吹出口と前記仕切板を一体に構成したことを特徴とする送風ファン付き温水暖房機。
【請求項２】
前記吹出口と前記仕切板をプラスチックで一体成型したことを特徴とする請求項１に記載の送風ファン付き温水暖房機。
【請求項３】
前記仕切板の前面に、制御基板を取り付けたことを特徴とする請求項１または請求項２に記載の送風ファン付き温水暖房機。
【請求項４】
前記吹出口に、可動式案内翼を備えたことを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の送風ファン付き温水暖房機。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００６−９７９４６（Ｐ２００６−９７９４６Ａ）
【公開日】平成１８年４月１３日（２００６．４．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２８３７２５（Ｐ２００４−２８３７２５）
【出願日】平成１６年９月２９日（２００４．９．２９）
【出願人】（３９０００２８８６）株式会社長府製作所 (197)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年４月１３日（２００６．４．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年９月２９日（２００４．９．２９）
【出願人】（３９０００２８８６）株式会社長府製作所 (197)
【Ｆターム（参考）】
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