説明

逆行処置用のシステムおよび方法

本発明によれば、関節表面にアクセスし、関節表面上にインプラントサイトを作製するためのシステムおよび方法が使用できる。この方法は、骨の一部分を貫通して関節表面の所望の部分にアクセスする段階を含む、関節表面の少なくとも一部分を置換するための方法および装置を備えることができる逆行関節表面置換システムを提供する。前述の概観および本開示によるシステムの以下の特定の実施形態は、関節表面の少なくとも一部分を置換するためのシステムを対象とするが、本明細書のシステムは、関節表面の部分の置換以外の処置に関して使用できる。広い観点から見て、本明細書に開示されたシステムは、骨、接合部等に間接的にアクセスする装置および方法を提供する関節の一部分を位置決めする段階を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、関節接合部表面にアクセスするためのシステムおよび方法を対象とする。本開示はさらに、関節表面の少なくとも一部分を置換するための方法およびシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年8月20に出願された米国仮特許出願第60/603473号の利益を主張するものである。本出願は、2004年6月28日に出願された米国仮特許出願第60/583549号の利益を主張する2005年6月28日に出願された米国特許出願第11/169326号の一部継続出願でもある。本出願は、2004年11月22日に出願された、米国特許出願第10/994453号の一部継続出願でもある。さらに、本出願は、2002年12月3日に出願された米国特許出願第10/308718号の一部継続出願でもある。そして、上記に列挙した全ての出願の開示全体は、参考文献として本願明細書に援用される。
【0003】
身体内で関節運動する骨の端部に見られる関節軟骨は一般に、円滑な摩擦の少ない耐力面として効果的に機能できるようにする多くの独自の特性を有するガラス質軟骨からなる。特に膝、股関節、肩関節のガラス質軟骨の問題は一般に、リウマチ性関節炎または老化(骨関節炎)とともに生じる、あるいは急性(突発性)、または再発性および慢性(進行中)の損傷に対して二次的に生じるような病気によって引き起こされる。そのような軟骨の病気または変質によって、関節表面が損なわれ、痛みが生じ、最終的に接合部の動きが失われるおそれがある。その結果、損傷しまたは破壊された関節軟骨を治療し、修復するために様々な方法が開発されてきた。
【0004】
より小さな欠陥部に関しては、このタイプの問題に関する慣習的な選択肢には、病変部または損傷をそのままにして生活し、またはアブレイジョン関節形成術(abrasion arthroplasty)、またはアブレイジョン軟骨形成術(abrasion chondralplasty)と呼ばれる処置を行うことが含まれる。この処置の背景には、自然治癒を刺激しようと試みる原理がある。骨の表面は、高速ロータリーバー(high speed rotary burr)またはシェービングデバイス(shaving device)を使用して穿孔され、外科医が病変部の表面から約1mmの骨を除去する。これによって、露出した肋軟骨下の骨床(bone bed)が形成され、それは、出血し、線維軟骨の治癒反応を起こさせる。この処置に伴う1つの問題は、露出した骨が一連の隆起や谷を残す傾向にある穿孔およびバーリング(burring)の後で、骨が元のように円滑でなくなり、線維軟骨の反応の耐性に悪影響することである。さらに、この処置は、優れた短期間の結果(1〜3年)をもたらすことができるが、線維軟骨は、長期間にわたってかかる体重を支持することがほとんど不可能であり、摩耗し、軟化し、変質しがちである。
【0005】
マイクロフラクチャ(Microfracture)と呼ばれる別の処置には、穿孔、アブレイジョン、および軟骨形成術の原理のいくつかが組み込まれる。処置の間に、軟骨の欠陥部の石灰化軟骨層が除去される。病変部内の最小数の位置に金属ピックまたは外科手術用の突き錐を嵌入させることによって、いくつかの経路または「マイクロフラクチャ」が肋軟骨下の出血する骨床に形成される。病変部内に出血を確立することによって、また肋軟骨下の骨に経路を形成することによって、線維軟骨の治癒反応が起こされ、置換表面が形成される。この技術は、アブレイジョン軟骨形成術と同様の結果をもたらすと期待できる。
【0006】
損傷した関節軟骨を治療するために使用される別の手段は、軟骨移植である。本質的に、この処置は、軟骨を外部の供給元、またはもう一方の膝もしくは同じ膝の中から欠陥部に移すものである。一般に、これは下にある骨とともに軟骨のペグ(peg)を移し、それをねじまたはピン、あるいは圧入によって定位置に固定することによって行われる。この処置は受容者のベッド(bed)に釣り合った提供者のペグを必要とするので、より小さな欠陥部に対しては有用であるが、大きな欠陥部では問題が生じる。病変部の直径が大きいと、同じ膝接合部の中から取るための容量を超え、別の供給元から取ることが不可能になる可能性がある。
【0007】
しかしより大きな欠陥部には一般に、より積極的な治療介入が必要になる。一般に、治療には、研磨された、または損傷していない軟骨表面の近くの摩擦の少ない耐力面を提供する材料からなる外層を有するインプラントまたは補綴物を備える関節表面の一部分または全てを置換することが必要になる。関節表面の一部分または全てを置換するには、まず、損傷した軟骨を除去するために、損傷した領域を切削し、ボーリングし、またはリーミングする必要がある。インプラントまたは補綴物を受けるための窪みは、損傷した部位に形成される。次いでインプラントまたは補綴物は、窪みの中の適切な位置で骨に固定される。
【0008】
治療および/または置換処置にはしばしば、軟骨の損傷した表面に直接アクセスすることが必要になる。一部の接合部のもっとも一般的に損傷した部分は、侵襲を最小に抑えた処置を使用して修復の目的で容易にアクセスできるが、接合部によってはほとんどアクセスできない、たとえば、上側または内側の大腿骨頭部、内側の上腕骨頭部、関節窩等では、侵襲を最小に抑えた様式で関節表面の置換を実行するのに十分な直接的なアクセスが可能にならない。実際に、そのような遮られた接合部の修復にはしばしば、侵襲的な処置が求められ、接合部を完全に脱臼させることが必要になる。そのような侵襲的な性質の処置では、痛みが大きくなり、長い回復期間が必要になる可能性がある。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/603473号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第60/583549号明細書
【特許文献3】米国特許出願第11/169326号明細書
【特許文献4】米国特許出願第10/994453号明細書
【特許文献5】米国特許出願第10/308718号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は従来の処置よりも侵襲的でなく、関節を完全に脱臼させることが必要でない可能性がある、軸方向のアプローチから見えにくい関節接合表面を置換する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の主題は、本発明による実施形態の説明によって明示され、その説明は、添付の図面とともに考察される必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
概観として、本開示は、骨の一部分を貫通して関節表面の所望の部分にアクセスする段階を含む、関節表面の少なくとも一部分を置換するための方法および装置を備えることができる逆行関節表面置換システムを提供する。前述の概観および本開示によるシステムの以下の特定の実施形態は、関節表面の少なくとも一部分を置換するためのシステムを対象とするが、本明細書のシステムは、関節表面の部分の置換以外の処置に関して使用できる。広い観点から見て、本明細書に開示されたシステムは、骨、接合部等に間接的にアクセスする装置および方法を提供することができる。
【0012】
図1に注目すると、逆行関節表面置換システム10の1つの実施形態が示されている。システム10は全体的に、カニューレ状のシャフト18などの案内部に連結された位置決めフープ12などの位置決めデバイスを備えることができる。位置決めフープ12およびカニューレ状シャフト18は、アーム16によって位置的および角度的な関係に保持できる。例示された実施形態によれば、カニューレ状シャフト18は、工具支持部14に連結でき、工具支持部14はアーム16によって位置決めデバイス12に連結できる。位置決めフープ12およびカニューレ状シャフト18は、関節表面22を有する骨20の周りで対向した配置に置くことができる。
【0013】
位置決めフープ12は、それが関節表面22の上に配置された場合に、関節表面の一部分が位置決めフープ12の開口を貫通して露出できるように、そこを通る開口を備えることができる。さらに、位置決めフープ12が関節表面22の上に配置された場合、位置決めフープ12は、その開口を貫通して露出した関節表面22の一部分に対して所望の向きを得ることができる。例示の実施形態によれば、位置決めフープ12は全体として、そこを貫通して延びる円形の開口を有するリングとして構成できる。図示されるように、位置決めフープ12は関節表面22の上に配置できる。1つの実施形態によれば、位置決めフープ12が関節表面22の上に配置された場合、開口の軸による交点において関節表面22に対して位置決めフープ12の開口の軸をほぼ垂直にすることができるように、位置決めフープ12を向けることができる。別の実施形態によれば、位置決めフープ12は、関節表面22に対して様々なその他の所望の向きを得ることができる。
【0014】
工具支持部14は、工具支持部14の後部26から内側に延びる開口24を備えることができる。工具支持部14は、開口24に1つまたは複数の窓28を画成することができる。1つの実施形態によれば、窓28は、工具支持部14の透明な領域を備えることができる。たとえば、窓28は、透明なプラスチック、ガラス等、開口24の内部を見ることが可能になる領域を備えることができる。あるいは、窓28は、工具支持部14の側方領域で開口として設けることができる。そのような構成では、窓28は、開口24の内側を見ることを可能にするだけでなく、開口24の内部をアクセス可能にし、かつ/あるいは工具および/または開口24内の物体を工具支持部14の外部から操作可能にすることができる。
【0015】
工具支持部14は、開口24から工具支持部14の前方領域に延びるボア30を備えることもできる。図示されるように、ボア30は、そこを貫通するカニューレ状のシャフト18を受けるように寸法を決められることができる。1つの実施形態によれば、ボア30の内径は、カニューレ状シャフト18を実質的にボア30と同軸に整列して保持するために、カニューレ状シャフト18の外径に密接した寸法にすることができる。さらに、工具支持部14は、カニューレ状シャフト18の軸方向および/または回転の移動を防止するために係合できるロッキング機構32を備えることができる。適切なロッキング機構32は、多様な構成を有することができる。たとえば、ロッキング機構32は、カニューレ状シャフト18に押し付けることができ、それを摩擦係合することができる軸受部材を備える摩擦的なロッキング機構であることができる。別の適切なロッキング機構32は、カニューレ状シャフト18の外部の部分の少なくとも一部分の円周方向の溝/稜部などの対応する形態と選択的に係合できる複数の歯を備えることができる。様々なその他のロッキング機構も同様にまたはその代わりに本明細書で使用できる。
【0016】
位置決めフープ12および工具支持部14は、アーム16によって互いに連結されている。アーム16は、位置決めフープ12および工具支持部14を互いに対して所望の角度合わせ、および/または位置に保持することができる。たとえば、アーム16は、ボア30の軸が位置決めフープ12の開口の中心と所望の角度で交差するように、位置決めフープ12および工具支持部14を向けることができる。アーム16は、ボア30の軸が位置決めフープ12の開口と交差しない、所定の相対的な角度合わせで工具支持部14と位置決めフープ12を配置することもできる。1つの実施形態によれば、位置決めフープ12は、案内シャフト18に垂直に向けることもできる。
【0017】
例示の実施形態によれば、アーム16は、固定された幾何学的形状を有する複合的な弓状部材であることができる。したがって、位置決めフープ12と工具支持部14の間の関係は、固定された関係であることができる。しかし、アーム16が工具支持部14および/または位置決めフープ12に開放可能に連結できることが本明細書で企図される。そのような実施形態では、工具支持部14および/または位置決めフープ12はアーム16から分離できる。アーム16は、別のアーム、または位置決めフープ12と工具支持部14の間の異なる構成をもたらし、かつ/または異なる角度合わせおよび/または位置関係をもたらすアーム16および位置決めフープ12のアセンブリと交換することができる。関連する実施形態によれば、アーム16は調整可能な形態として提供でき、それによって位置決めフープ12と工具支持部14の間の角度合わせ、および/または位置関係がアーム16を交換せずに変更または修正できるようにする。
【0018】
例示の実施形態によれば、カニューレ状案内シャフト18は全体として、近位の受け部33、シャフト部34、および遠位の先端36を備えることができる。シャフト部34は、カニューレ状シャフト18の長手方向に沿って延びる少なくとも1つのルーメンを備えることができる。シャフト34の少なくとも一部分は、工具支持部14のボア30内に配置できる。望ましくは、シャフト34はボア30に対して最小のクリアランスを提供するような寸法にされる。したがって、シャフト部34をボア30内に少なくとも部分的に配置することによって、ルーメンの軸をボア30の軸に対して所定の関係で整列させることができる。これまでに論じたように、ボア30は、位置決めフープ12に対して所定の角度的および/または位置的な配置で向けることができる。位置決めフープ12は、それ自体が関節表面22に対して所定の関係で配置できる。したがって、シャフト34がボア30内に少なくとも部分的に配置されると、シャフト部34のルーメンが位置決めフープ12の開口に対して所望の角度的および/または位置的な向きで配置できる。1つの実施形態では、ルーメンの軸は、シャフト部34が少なくとも部分的にボア30内に受けられる場合、ボア30の軸に平行に向けることができる。別の実施形態では、ルーメンは、シャフト部34が少なくとも部分的にボア30内に受けられる場合、ボア30と同軸に向けることができる。
【0019】
図4の断面図をさらに参照すると、カニューレ状シャフト18の受け部33は、カニューレ状シャフト18のルーメン内に導くカップ状または円錐形の内部輪郭を備えることができる。カップ状または円錐形の受け部33は、カニューレ状シャフト18のルーメンへの器具、デバイス等の挿入を容易にすることができる。上記の態様によれば、カップ状または円錐形の受け部33に補助されてルーメンに挿入される器具、デバイス等は、位置決めフープ12の開口に対するルーメンの向きによって、位置決めフープ12の開口に対する所定の関係で少なくとも全体的に向けることができる。したがって、器具、デバイス等は、位置決めフープ12内に特定される関節表面22の一部分に対して所定の向きおよび/または整列で少なくとも全体的に配置できる。
【0020】
図1に示されるように、位置決めフープ12は、関節表面22の所望の部分の周りに配置できる。次いでカニューレ状シャフト18が工具支持部14のボア30を貫通して延びて挿入できる。次いでカニューレ状シャフト18は、カニューレ状シャフト18の遠位の先端36が位置決めフープ12の開口に対して所定の整列で関節表面22の反対側で骨20に対して当たることができるように配置できる。例示の配置でのように、位置決めフープ12およびカニューレ状シャフト18の遠位の先端36が骨20の両側で当たるように配置された場合、カニューレ状シャフト18の遠位の先端36は、角度をつけて骨20に接触できる。そのような向きでは、遠位の先端36の一部分のみが実際に骨20と接触することができる。遠位の先端36と骨20の間の部分的な接触によって、遠位の先端36が骨20の表面を横切って移動することに対して影響を受けやすくなる可能性があり、その点で関節表面22の位置決めフープ12の位置を変更する。
【0021】
カニューレ状シャフト18の遠位の先端36が骨20の表面を横切って移動することは、くい込み形態を有する遠位の先端36を設けることによって低減させることができる。たとえば、図示のように先端36は、刻みをつけた、または鋸歯状の端部形態を有することができる。遠位の先端36が骨20に押し付けられた場合、刻みをつけた端部形態は、骨20に係合し、先端36がそのように係合した後に、動きに抵抗することができる。したがって、システム10は、位置決めフープ12とカニューレ状シャフト18の遠位の先端36との間に骨を配置することによって、所望の位置に、および/または関節表面22に対して整列して配置できる。位置決めフープ12および遠位の先端36は、骨20の両側で当たるようにすることができる。次いでカニューレ状シャフト18は、工具支持部14のロッキング機構32を使用して定位置にロックできる。したがって、所望の位置によって、遠位の端部36の一部分のみが骨20に接触するように、カニューレ状シャフト18の遠位の端部36が傾斜して骨に接触するようになっても、システム10を関節表面に対して所望の位置および/または整列で保持することが可能である。
【0022】
図2に注目すると、図1と一致するシステム10は、関節表面22の一部分を置換する処置に使用できる。本開示による処置の実施形態によれば、位置決めフープ12およびカニューレ状のシャフト18が関節表面22に対して所望の整列で向けられた後、参照軸(reference axis)が関節表面22に対して設定できる。1つの実施形態によれば、参照軸を設定する段階は、骨20を貫通する通路または穴を設ける段階を含むことができる。通路または穴は、骨20を完全に貫通することができ、関節表面22を出ることができる。これによって、関節表面22に対する参照軸の整列および向きを照合可能にすることができる。
【0023】
本開示によれば、カニューレ状シャフト18に対して所定の整列で骨20を貫通する穴を穿孔することによって参照軸が設定できる。1つの実施形態によれば、穴はカニューレ状シャフト18と同軸に整列できる。本開示によれば、参照軸に関する穴は、カニューレ状シャフト18のルーメンと比べて、比較的小さな直径であることができる。参照軸の穴は、レジューサシャフト38を使用して所望の整列で穿孔できる。レジューサシャフト38は、カニューレ状シャフト18のルーメン内に受けられるような寸法にされた外径を有するカニューレ状シャフトであることができる。レジューサシャフト38のルーメンの内径は、所望の直径を有する参照軸穴を穿孔するためのパイロットドリルビット(pilot drill bit)を受け、整列させるような寸法にすることができる。カニューレ状シャフト18と同様に、レジューサシャフト38は、カップ状または円錐形の近位の受け部40を備えることができる。カップ状または円錐形の受け部40は、器具、工具、および/またはその他のデバイスをレジューサシャフト38のルーメンと整列し、ならびに/あるいはそのような器具、工具および/またはその他のデバイスをレジューサシャフト38のルーメンに挿入するのを容易にすることができる。
【0024】
関節表面22に対して所望の向きに整列されロックされた位置決めフープ12およびカニューレ状シャフト18によって、レジューサシャフト38は、工具支持部14の後部の開口24を介してカニューレ状シャフト18のルーメンに挿入できる。レジューサシャフト38は、カニューレ状シャフト18のルーメンの少なくとも一部分を貫通して延びることができる。1つの実施形態によれば、レジューサシャフト38は、カニューレ状シャフト18を貫通して延び、骨20に接触し、または骨20の表面の付近で終端することができる。そのような構成では、パイロットドリルビットなどの器具、工具等は、骨20の表面に達して完全に支持できる。
【0025】
レジューサシャフト38がカニューラ状シャフト18のルーメン内の定位置になって、案内ピン42が工具支持部14の開口24を通ってレジューサシャフト38のルーメン内に装填される。レジューサシャフトのルーメン内に案内ピン42を装填することは、レジューサシャフト38のカップ状または円錐形の受け部40によって容易にすることができる。案内ピン42は、ドリルの先端(図示されない)または案内ピン42の遠位の端部に配置されたその他の切削形態を備えることができる。案内ピンは、たとえば工具支持部14の後部26から駆動モータまたは手動の駆動ハンドルによって打込みできる。穴の深さは、位置決めフープ12の開口内の関節表面22を通る案内ピン42の貫入を監視することによって計ることができる。あるいは、工具支持部14と位置決めフープ12の間の離隔距離は、アーム16、位置決めフープ12、および工具支持部14の構成に基づいて知ることができる。1つの実施形態では、案内ピン42は、貫入の深さを表す表示を有して設けられることができる。参照軸の穴の深さは、案内ピン42と、工具支持部14、レジューサシャフト38、およびカニューレ状シャフト18等のうちの少なくとも1つとの間の関係から判定できる。
【0026】
案内ピン42が上記に説明された様式で骨20の中におよび/またはそれを貫通して突き通された後、案内ピン42は、骨および/または関節表面22内に/それを貫通して延びるように保持できる。骨20内に少なくとも部分的に、またはそれを貫通して延びる案内ピン42は、レジューサシャフト38を通って整列された参照軸を提供することができる。案内ピン42は、参照軸に対する後の作業および/または器具を位置決めするために使用できる。案内ピン42が骨20を貫通して穴の中に配置された後に、レジューサシャフト38は、カニューレ状シャフト18のルーメンから引き出すことができる。案内ピン42の少なくとも一部分は、骨20内に延びる穴の中に留まることができる。案内ピン42が穴と密接な嵌合によって提供される場合、案内ピン42は、参照軸と所望の整列に保持できる。
【0027】
別の実施形態によれば、骨20内に、および/またはそこを貫通して延びる穴を設けるためにドリルが使用できる。レジューサシャフト38は、ドリル作業の間ドリルビット(drill bit)を整列させ、および/または支持するために使用できる。穴が骨20内に、またはそれを貫通して延びて穿孔された後に、案内ピン42が穴の中に延び、またはそこを貫通して挿入されて、前述と同様の様式で参照軸を提供できる。
【0028】
案内ピン42が参照軸に対して所望の位置で骨20から延びて配置された後に、固定および/または位置決め要素を受けるより大きな穴を骨に穿孔することができる。1つの実施形態によれば、固定要素のための穴が骨20および関節表面22を完全に貫通して延びることができる。しかし、別の実施形態では、固定要素のための穴は、骨20を通って部分的にのみ延びることができる。
【0029】
1つの実施形態では、固定要素のための穴または空洞が、コア付きドリルを使用して、骨20の少なくとも一部分を貫通して穿孔できる。すなわち、ドリルはルーメン、またはそこを通る開口を含むことができる。ドリルを貫通するルーメンは、案内ピン42を受けるような寸法にできる。ドリルのルーメンを貫通して受けられた案内ピン42によって、ドリルが案内ピンの上に担持され/によって支持されて、固定要素のための穴が骨20内に穿孔できる。ドリルをこのように案内ピン42の上に担持すると、固定要素用の穴を関節表面22を貫通する参照軸に対して所望の整列で設けることができる。さらに、ドリルを案内ピン42の上に担持することによって、たとえば、ドリルの外径がカニューレ状シャフト18のルーメンの内径よりも小さい場合に、追加のレジューサチューブがドリルをその外径上で支持する必要をなくすことができる。あるいは、またはさらに、ドリルの外径を支持するレジューサチューブが穴を穿孔するために使用できる。
【0030】
次に図3および4を注目すると、固定要素のために穴または空洞が骨20を貫通して穿孔された後に、固定要素が骨の中に配置できる。これと一致して、固定要素は、インプラントを骨20に維持し、または維持するのを補助するようになされた要素であることができる。例示の実施形態では、固定要素は、ねじ44として構成される。1つの実施形態によれば、ねじ44は、カニューレ状シャフト18を通って骨20に送ることができる。したがって、ねじ44の外径は、カニューレ状シャフト18のルーメンの内径よりも小さくなることができ、それによって、ねじが工具支持部14からカニューレ状シャフト18を通過できるようにする。ねじ44を受けるための骨20を貫通する穴は、ねじ44のねじ山の外径よりも小さい直径を有することができ、ねじ44のねじ山が骨20に係合できるようにする。様々なその他の要素または形態がさらに、あるいはその代わりに固定要素として使用できる。
【0031】
例示の実施形態によれば、ねじ44は、プローブドライバ(probe-driver)46を使用して骨に回転的に打込み可能であり、すなわちねじ込み可能である。プローブドライバ46は、カニューレ状シャフト18のルーメンを貫通して延びるように構成されたシャフト48を備えることができる。ねじ44を係合し、かつ/または打ち込む形態を有するシャフト48の遠位の領域が提供される。たとえば、シャフト48は、ねじ44の対応する六角形のソケット、または開口によって受けられるようになされた六角形の領域を備えることができる。シャフト48がねじ44を係合し、かつ/または打ち込むことができるようにする様々なその他の形態および構成が利用できる。
【0032】
プローブドライバ46は、シャフト48の近位の端部に連結されたノブ50も備えることもできる。ねじ44を打ち込むために、ノブ50を回転させると同時にシャフト48も回転できるように、ノブ50は、ねじりに強いようにシャフト48に連結できる。さらに、プローブドライバは、工具支持部14の開口24内に回転可能に受けられるような寸法にできる円筒形の領域52を備えることができる。1つの実施形態によれば、円筒形領域52は、プローブドライバ46が工具支持部14の開口24によって支持できるように、開口24に対して寸法を決められてもよい。
【0033】
1つの実施形態によれば、プローブドライバ46および工具支持部14の円筒形領域52は、円筒形領域52の工具支持部14の開口24内への貫入の深さを表す、協働する表示(図示されない)を備えることができる。1つの実施形態では、表示は、ねじ44の骨20への挿入の深さと関連付けることができる。したがって、ねじ44の骨20内への取付けの深さを制御でき、かつ/または確認できる。協働する表示は、たとえば、目盛尺および基準器、バーニヤ目盛、またはその他の基準マークのシステムを含むことができる。
【0034】
特定の実施形態によれば、表示は、関節表面22の下のねじ44の深さと関連付けることができる。そのような関連付けは、位置決めフープ12によって確立されるような関節表面22と、アーム16によって確立される工具支持部14との間の周知の距離に基づいて達成できる。プローブドライバ46のシャフト48上のねじの周知の長さおよび所定の設置高さを有するねじ44を使用して、関節表面22から所定の距離にねじ44を骨20内に打ち込むことを可能にすることができる。
【0035】
さらに、図5および6を参照すると、シャフト48の遠位の端部がプローブ形態54を備えることができる。図示されるように、プローブ形態54は、ねじ44を貫通して所定の距離をねじ44の端部を越えて延びることができる。図5に例示された実施形態によれば、プローブ形態54は、位置決めフープ12に対して骨20内で所定の深さでねじ44を配置するのに使用できる。ねじ44は、周知の長さを有して提供でき、シャフト48の遠位の先端から周知の距離でプローブドライバ46のシャフト48に設置されるように構成できる。ねじ44の周知の長さおよび周知の設置高さは、所定の設計特性、および/またはねじ44の取付けの前に行われる測定に基づくことができる。図5の実施形態によれば、プローブ形態54が位置決めフープ12に対する所定の高さに到達するまでねじ44を打ち込むことによって、ねじ44を位置決めフープ12に対する所定の深さで配置することができる。たとえば、ねじ44は、図示されるように、プローブドライバ46のシャフト48の遠位の端部にあるプローブ54の先端が位置決めフープ12の上部と同一平面になるまで骨の中に打込みできる。プローブドライバ46のシャフト48の上にあるプローブ54の先端との間の様々なその他の整列関係も同様に、あるいはその代わりに、骨20内で所望の深さでねじ44を位置決めするために使用できる。
【0036】
図6に例示される関連する実施形態では、プローブドライバ46のプローブ形態54は、関節表面22に対する所定の深さでねじ44を配置するのに使用できる。たとえば、ねじ44は、元の関節表面22に対する所定の深さで配置でき、または、ねじ44を受ける穴を囲む関節表面22に対する所定の深さで配置できる。どちらの実施形態によっても、所定の長さを有し、シャフト48の遠位の端部上で所定の設置高さを有するねじ44が提供できる。次いで、ねじ44は、プローブ形態54が関節表面22に対する所定の高さに到達するまで骨20に打込みできる。
【0037】
前述のプローブドライバ46および工具支持部14の協働する表示、ならびにプローブドライバ46のシャフト48のプローブ形態54の様々な態様を結び付ける実施形態が提供できる。これらの態様を結び付けるそのような実施形態は、位置決めフープ12と関節表面22の少なくとも1つに対する所定の深さでねじを配置するのに使用できる。
【0038】
別の実施形態によれば、ねじ44などの固定要素が関節表面22から骨の中に挿入できる。そのような実施形態によれば、関節表面22を貫通して穴が穿孔された後に、ねじ44が関節表面22に送られ、その中の穴に導かれる。たとえば、金属ワイア、プラスチックフィラメントなどの線が穴およびねじ44を通過し、またはねじ44に装着され、穴を通過する。次いで、ねじ44を関節表面22内の穴に引き寄せることができる。次いでねじ44は、たとえば、骨20内の穴を貫通して延びる打込みシャフトを使用して、前述の実施形態と同様な様式で関節表面に打ち込むことができる。
【0039】
ねじ44が骨20内の所望の位置に取り付けられた後に、ねじ44の軸を囲む関節表面22の領域がインプラントサイト(implant site)を提供するために切除できる。関節表面22は、切削デバイスの回転軸が全体的にねじ44を貫通する開口の軸と整列できるように配置できる、回転する切削デバイスを使用して切除できる。1つの実施形態によれば、金属ワイア、プラスチックフィラメントなどの線が、関節表面22、および骨の反対側から延びるように、骨20を通過できる。ワイアは、その回転軸に沿って切削デバイスを通過、または切削デバイスに連結できる。次いで、骨を貫通してワイアを引き込むことによって、または切削デバイスを関節表面に向かってワイアに沿って摺動させることによって、切削デバイスを関節表面に向かって引き寄せることができる。どちらの場合にも、骨20を通過するワイアは、切削デバイスの回転軸をねじ44を貫通する開口の軸と整列させる働きをすることができる。切削デバイスを関節表面に対して配置する別の方法は、切削デバイスを手動で配置する段階を含んで本開示に従って使用することもできる。
【0040】
1つの実施形態によれば、切削デバイスは、その回転軸に沿ってソケットまたは開口を備えることができる。たとえば、切削デバイスは、その回転軸に沿って六角形のソケットを備えることができる。切削デバイスの回転軸に沿ったソケットまたは開口は、切削デバイスが関節表面の少なくとも一部分を切除するように回転式に駆動可能にすることができる。切削デバイスの回転軸が全体的にねじ44を貫通する開口と整列して、切削デバイスが関節表面に配置されると、打込みシャフトが骨を貫通する穴およびねじを貫通する開口を通って挿入でき、切削デバイスに係合できる。たとえば、切削デバイスが六角形のソケットを有する場合、打込みシャフトは、切削デバイスの六角形のソケット内に受けられるようになされた六角形の形態を備えることができる。
【0041】
打込みシャフトが切削デバイスと係合された後に、切削デバイスは、打込みシャフトによって回転可能に打ち込むことができる。打込みシャフト、およびしたがって切削デバイスは、たとえば切削デバイスに近接するハンドルを回転させることによって手動で駆動でき、たとえば駆動モータまたはドリルデバイスによって機械的に駆動できる。切削デバイスは、打込みシャフトによって回転可能に打ち込まれるが、切削デバイスは、関節表面22に引き込むこともでき、それによって全体的に円形のインプラントサイトを形成するために関節表面を切除する。
【0042】
インプラントサイトの深さは、インプラントサイト、および/またはインプラントサイト内の切削デバイスの深さ、切削デバイスが関節表面等に引き込まれる深さを示す打込みシャフトの表示を目視で点検することを含む、様々な様式で制御できる。1つの実施形態によれば、インプラントサイトの深さは、ねじ44またはその他の固定要素によって制御できる。ねじ44は、図6に全体的に示される上方の軸受け面56を備えることができる。切削デバイスは、ねじ44に隣接する対応する下方軸受け面を有することができる。切削デバイスの下方の軸受け面がねじ44の上方軸受け面56に当接するまで切削デバイスは回転可能に打ち込み、関節表面22に引き込むことができる。したがって、ねじに対する所定の深さを有する切除サイトを設けることができる。
【0043】
インプラントサイトの直径に応じて、位置決めフープ12および/または工具支持部14は、インプラントサイトを切除する前に骨20から除去できる。たとえば、インプラントサイトの直径が位置決めフープ12の内径以上である場合、インプラントサイトを切除する前に、切除される関節表面22の領域から位置決めフープを取り外すことが望ましい可能性がある。しかし、インプラントサイトの直径が位置決めフープ12の内径よりも小さくなる場合、位置決めフープ12は、任意選択で関節表面22上の定位置に保持できる。位置決めフープ12、工具支持部14等がインプラントサイトの切除中に取り外された場合、ねじ44を貫通して延びる開口は、整列形態としての働きをすることができる。すなわち、インプラントサイトの切除中にねじ44を貫通する開口によって打込みシャフトが全体的に所望の整列で保持できるように、打込みシャフトの直径がねじ44を貫通する開口に対して寸法形状を定められることができる。
【0044】
別の実施形態によれば、インプラントサイトは、ねじなどの固定要素の取付けの前に、またはその取付けをすることなく切除できる。そのような実施形態では、インプラントサイトの深さは、目視での点検、打込みシャフト上の表示、および/または切削デバイス等を使用して与えられることができる。切除の向きは、たとえばカニューレ状シャフトまたはその他の案内形態を案内することを介して工具支持部14によって、または骨を貫通する穴によって制御できる。どちらの場合にも、関節表面22および/または下にある骨20の所望の部分を切除するために切削デバイスが回転可能に打ち込まれて、上述の様式でインプラントサイトを設けることができる。
【0045】
図7に示されるように、インプラントサイトが切除された後に、関節表面22の少なくとも一部分を置換するインプラント58がインプラントサイトの中に取付けできる。多種多様なインプラント、および/または様々な異なる特性を有するインプラントが、本開示による関節表面の少なくとも一部分を置換するために適切に使用できる。したがって、本明細書での開示は、特定のインプラントに限定されると見なされるべきではない。1つの実施形態によれば、適切なインプラントは、全体的に円形を有することができる。しかし、その他の様々な形状を有するインプラントもインプラントサイトの形状に応じて必要になる可能性がある。切削デバイスの切削経路の少なくとも一部分が関節表面または骨に接触しない場合、非円形を有するインプラントサイトにすることができる。たとえば、インプラントサイトの深さで関節表面の幅が切削デバイスの切削半径よりも小さい場合、切頭円形を有するインプラントサイトを設けることができる。インプラントの深さでの関節表面の輪郭、およびインプラントサイトを切除するのに使用された切削デバイスの切削経路の半径に応じて、様々なその他の形状のインプラントサイトになる。
【0046】
再び図7を参照すると、本開示の例示の実施形態による、インプラントによって置換された関節表面の幾何学的形状または湾曲を近似できる、耐力面60を有するインプラント58を設けることができる。1つの実施形態では、耐力面の幾何学的形状は、置換される実際の関節表面に基づいたものであることができる。たとえば、置換される実際の関節表面の領域の幾何学的形状を測定するのに、当分野で周知のマッピング技術が使用できる。次いでインプラントは、所定の幾何学形状を有する1組のインプラントから構築または選択できる。あるいは、置換される関節表面の全体的な近似をもたらすために、特定の用途に対するインプラントを1組の標準的な寸法にされ/形状にされたインプラントから製造し、または選択することができる。インプラントの選択または製造は、関節表面への量的な参照が全くないことを含む、置換される関節表面への様々な程度の量的な参照に依存する可能性がある。
【0047】
1つの態様によれば、本明細書のシステムは、関節表面22の湾曲に関する情報を提供するのに使用できる。1つの実施形態によれば、関節表面22の湾曲は位置決めフープ12を使用して測定し、近似できる。位置決めフープ12は、位置決めフープ12の底部の円周の周りの複数の位置で、および/または位置決めフープ12の底部の円周の周りで連続的に関節表面に接触することができる。位置決めフープ12の中心での関節表面22の高さは、たとえばプローブドライバ46を使用することによって、位置決めフープ12の底部の円周に対して測定できる。位置決めフープ12の半径を伴う位置決めフープ12の底部の円周の間の2つのほぼ反対側の接触点、および位置決めフープ12のほぼ中心での関節表面22の高さは、関節表面の湾曲とほぼ一致する曲線上の3つの点を画定することができる。関節表面22の幾何学的形状は、関節表面の湾曲を近似する1つまたは複数のそのような曲線を形成することによってマッピングされ、または近似できる。関節表面22の湾曲のマッピングまたは近似は、関節表面22の所望の部分を適切に置換できるインプラントを選択し、および/または製造するのに使用できる。
【0048】
1つのインプラント58が様々な機構によってインプラントサイト内に維持される。たとえば、インプラントは、それをインプラントサイト内に維持するための固定要素と相互作用するようになされた1つまたは複数の形態を備えることができる。例示の実施形態によれば、ねじ44は、その内部に延在する開口を備えることができる。開口の少なくとも一部分は、精密なテーパーを有して構成できる。インプラント58は、ねじ44の開口のテーパーと噛み合うようになされた精密なテーパーを有するポスト62を備えることができる。インプラント58は、インプラント58のテーパーをつけたポスト62をねじ44のテーパーをつけた開口に挿入し、インプラント58に軸方向の圧力または衝撃を加え、それによって、テーパーをつけたポスト62をテーパーをつけた開口に設置することにより、インプラントサイト内に維持できる。
【0049】
様々なその他の特徴および方法がインプラントサイト内にインプラントを維持するのに使用できる。インプラントおよび固定要素は、テーパーをつけたポストおよびテーパーをつけた開口以外の相互作用するまたは協働する形態を備えることができる。たとえば、固定要素およびインプラントは、従来の圧縮嵌め形態、スナップ嵌め等を備えることができる。分離した固定要素を使用しない実施形態では、インプラントはインプラントサイトの側面に係合できる、逆目のついたポスト、および/または骨の中にまたは骨を貫通して穿孔される穴などの形態を備えることができる。骨セメントが、さらに、またはその代わりに、インプラントをインプラントサイトに固定するのに使用できる。
【0050】
関連する実施形態によれば、位置決めフープ12および工具支持部14は、案内ピン42が骨20内に設置された後に取り外すことができる。上記に論じたように、案内ピン42は、それに続く関節表面の置換手順の段階を実行するための参照軸を確立することができる。たとえば、案内ピンは、上述のコア付きのドリルビットを案内するための参照軸を確立することができる。コア付きドリルは、参照軸に所定の関係で向けられた開口または形態を備えることができる固定要素のための空洞を提供するのに使用できる。1つの実施形態によれば、固定要素での開口または形態は、それに続く作業、器具、および/またはデバイスを配置し、整列させるために使用できる。
【0051】
図8および9に注目すると、関節表面置換システム10aの汎用性が示される。示された実施形態では、関節表面置換システム10aが、大腿骨頭部102などの関節形態の少なくとも一部分を置換するために配置されて示される。前述の実施形態と同様に、システム10aは全体として、アーム16aによって工具支持部14aと所定の向きおよび整列で連結された位置決めフープ12aを備えることができる。工具支持部14aは、位置決めフープ12aと所定の向きおよび整列でカニューレ状シャフト18aを配置することができる。
【0052】
例示の実施形態によれば、カニューレ状シャフト18aの遠位の先端36aのくい込み形態は、大腿骨頭部102または同様の急な円弧の、または角度の付いた表面に対するカニューレ状シャフト18aの望ましくない動きを低減または防止するのに特に有用であることができる。例示の実施形態でも示されるように、関節置換システム10aは、接合部のネック部の軸を参照することなく、大腿骨頭部102、または同様に構成された接合部の一部分を置換するのに適切に使用できる。本開示のこの態様は、置換される関節表面の量を最小限に抑えることを可能にすることができる。
【0053】
図10から13を参照すると、関節表面置換システムのさらなる実施形態が示される。さらなる実施形態では、本開示による関節表面置換システムが、隣接する骨を貫通して穴を通すことによって、少なくとも部分的に関節表面にアクセスするのに使用できる。例示の実施形態では、関節窩の関節表面62の一部分が、上腕骨20aおよびその関節表面22の一部分を貫通してアクセスできる。明確さと理解を容易にするために、関節窩の関節表面62およびそれを囲む構造は、肩甲骨の十分で完全な構造で示されるのではなく、簡略化の様式で代表的に示されるにすぎない。同様にして、上腕骨と関節窩の構造と関係も、明確さと詳細の例示のために少なくともわずかに分解された形式で代表的に示される。例示の実施形態は、上腕骨頭部と関節窩の関節表面に関して示されるが、本明細書のシステムは、様々なその他の骨、接合部、および関節表面の文脈で使用することができる。
【0054】
先ず図10を参照すると、アーム16aを介して工具ホルダ(図示されない)に連結された、全体的に位置決めフープ12aを備えるシステム10aが、全体的に前述の実施形態を参照して説明されるような様式で、上腕骨20aの関節表面22aまたは関節窩の関節表面62の欠陥部に対して所望の関係でカニューレ状シャフト18aを位置決めするのに使用できる。特に、位置決めフープ12aは、置換される関節表面内の、またはその一部分の欠陥部を囲んで、またその欠陥部に対して所望の関係で配置できる。例示の実施形態によれば、欠陥部または置換される部分が上腕骨の関節表面22a内、または関節窩の関節表面62内に位置決めできる。本明細書の実施形態によれば、各関節表面22a、62の対応する部分が置換できる。
【0055】
図示されるように、置換される関節表面62の欠陥部または部分に対して所望の関係で配置される位置決めフープ12aによって、案内ピン42aを向け、支持するためのカニューレ状シャフト18aを使用して、案内ピン42aが上腕骨20aおよびその関節表面22aを貫通して貫入できる。案内ピン42aは、それに続く手順を実行するための参照軸を提供することができる。1つの実施形態によれば、案内ピン42aは、関節窩の関節表面62と参照軸の交点を記録するために関節窩の関節表面62内に入る少なくとも一部分が穿孔される。
【0056】
次に図11に注目すると、参照軸が上腕骨20aを貫通して提供された後に、インプラントサイト64が関節窩の関節表面62内に形成できる。インプラントサイト64は、関節窩の関節表面62と上腕骨20aの関節表面22aとの間に回転カッターを供給することによって提供できる。回転カッターは、その中に打込みシャフト65を受けるためのソケットまたは開口を備えることができる。打込みシャフト65は、上腕骨20aを貫通して延びて提供され、上腕骨20aの関節表面22aと関節窩の関節表面62との間の回転カッターに回転可能に係合できる。回転カッターは、関節窩の関節表面62、およびその下にある骨の領域を切除するために関節窩の関節表面62に手動で、または機械式に回転可能に打ち込み、押し込むことができる。予見されるように、回転カッターは、全体的に円形の幾何学的形状を有する関節窩の関節表面62内のインプラントサイト64を生成することができる。
【0057】
図12および13を参照すると、インプラントサイト64が切除された後に、インプラント66がその中に挿入できる。図示された実施形態によれば、インプラント66は、全体的に円形の断面を有することができ、関節窩の関節表面62の切除された領域を置換可能な外側表面を有することができる。インプラント66の外側表面は、様々な程度の量的および/または質的な比較に基づいて、全体的に元の関節窩の関節表面62に対応するように設けることができる。あるいは、またはさらに、インプラント66は、関節表面22a内または上腕骨20a内に取り付けられる協働するインプラントと所望の相互作用をもたらすようになされた外側表面を有することができる。インプラント66は、骨セメント、分離した固定要素、切除部位の壁に係合するインプラント上の1つまたは複数の形態等をその組合せを含んで包含する様々な技術を使用して、インプラントサイト64内に取り付けることができる。
【0058】
関節窩の関節表面62内のインプラント66と相互作用することができる上腕骨20aの関節表面22a内にインプラントを提供するために、インプラントサイトが上腕骨20aの関節表面22aに形成できる。そのようなインプラントサイトは、図1から7を参照して説明されるように形成できる。上腕骨20a内のインプラントサイトは、関節窩の関節表面62内のインプラントサイト64の前または後に設けることができる。
【0059】
本明細書に説明された関節置換システムの様々なその他の特徴および利点は、当業者によって理解されるであろう。同様に、本明細書に説明されたシステムは、開示の趣旨から実質的に逸脱せずに多くの変更および変形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本開示による逆行関節表面置換システムの1つの実施形態を示す図である。
【図2】骨の中に案内ピンを配置するための図1の逆行関節表面置換システムの使用を示す図である。
【図3】本開示による逆行関節表面置換システムを使用して関節表面の下に配置された固定要素を示す図である。
【図4】図3に示された逆行関節表面置換システムの断面図である。
【図5】位置決めフープに隣接する図4の逆行関節表面置換システムの一部分の拡大断面図である。
【図6】深さプローブを備える本開示による逆行関節表面置換システムの一部分の拡大断面図である。
【図7】本開示による逆行関節表面置換システムを使用してその中に取り付けられたインプラントを有する関節表面の代表的な断面図である。
【図8】大腿骨頭部の関節表面に適用された本開示による逆行関節表面置換システムの斜視図である。
【図9】大腿骨頭部の関節表面に隣接する図8の関節表面置換システムの一部分の拡大図である。
【図10】本開示による、協働する関節表面を置換するために使用中の関節表面置換システムの実施形態の斜視図である。
【図11】本開示による、協働する関節表面で切除されるインプラントサイトを示す図である。
【図12】協働する関節表面に取り付けられた関節表面のインプラントを示す図である。
【図13】図12の関節表面の断面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 システム
10a システム
12 位置決めフープ
12a 位置決めフープ
14 工具支持部
14a 工具支持部
16 アーム
16a アーム
18 シャフト
18a シャフト
20 骨
20a 上腕骨
22 関節表面
22a 関節表面
24 開口
26 後部
28 窓
30 ボア
32 ロッキング機構
33 近位の受け部
34 シャフト部
36 遠位の先端
36a 遠位の先端
38 レジューサシャフト
40 近位の受け部
42 案内ピン
42a 案内ピン
44 ねじ
44a ねじ
46 プローブドライバ
48 シャフト
50 ノブ
52 円筒形領域
54 プローブ形態
56 軸受け面
58 インプラント
60 耐力面
62 ポスト
64 インプラントサイト
65 打込みシャフト
66 インプラント
102 大腿骨頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節表面への逆行アクセス用の装置であって、
前記関節表面の一部分に配置可能な位置決めデバイスと、
前記関節表面を貫通する、前記位置決めデバイスに対する軸を提供することが可能である案内部と、
前記位置決めデバイスを前記案内部に連結することが可能なアームであって、前記位置決め形態と前記案内部との間の位置的なおよび角度的な関係を保持することが可能なアームとを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記位置決めデバイスが、前記関節表面の一部分を露出させることが可能な開口を有する位置決めフープを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記位置決めデバイスが、前記関節表面の幾何学的形状を測定することが可能なことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記案内部が、カニューレ状シャフトを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記カニューレ状シャフトの軸が、前記位置決めフープと交差することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
カニューレ状シャフトが、前記アームに連結された工具支持部から延長可能なことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
関節表面の一部分を置換するための方法であって、
前記関節表面の一部分を位置決めする段階と、
前記関節表面の後ろの骨を貫通する通路を形成する段階であって、前記通路が前記関節表面に向かって延びる段階と、
前記関節表面上のインプラントサイトを前記通路に対して切除する段階とを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記関節表面の後ろの骨を貫通する前記通路を形成する段階が、前記関節表面を貫通して延びる参照軸を設定する段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記参照軸が、前記関節表面の前記部分と交差することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記参照軸を設定する段階が、前記骨の中に少なくとも部分的に延びる案内ピンを挿入する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記通路を形成する段階が、コア付きドリルを使用して前記案内ピンの上に穿孔する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ねじ付きの要素を前記通路内に少なくとも部分的に取り付ける段階であって、前記ねじ付きの要素がその内部に延在する開口を有する段階をさら含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記インプラントサイトの深さが、前記ねじ付きの要素に対して制御されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記インプラントサイトが、前記参照軸の周りを径方向に延びることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記インプラントサイトを切除する段階が、カッターを前記参照軸の周りで回転させる段階を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
インプラントを前記インプラントサイト内に取り付ける段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項17】
関節表面にアクセスする方法であって、
第1の関節表面に隣接して位置決めデバイスを配置する段階と、
案内部を前記位置決めデバイスと整列させる段階であって、前記案内部が前記位置決めデバイスに対して軸を提供する段階と、
第2の骨および前記第2の骨の第2の関節表面を貫通する通路を形成する段階であって、前記第2の関節表面が前記第1の関節表面に面する段階と、
前記通路を通って前記第1の関節表面にアクセスする段階とを備えることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記第2の骨および前記第2の関節表面を貫通する通路を形成する段階が、前記第2の骨および前記第2の関節表面を通って延びる参照軸を提供する段階と、前記参照軸に沿って延びる穴を穿孔する段階とを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記参照軸を提供する段階が、前記第2の骨の中に少なくとも部分的に延びる案内ピンを挿入する段階であって、前記案内ピンが前記参照軸に沿って向けられる段階を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の関節表面にアクセスする段階が、前記通路を貫通して前記第1の関節表面のインプラントを切除する段階を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−510526(P2008−510526A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528100(P2007−528100)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/030120
【国際公開番号】WO2006/023980
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(503432054)アースロサーフィス・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】