説明

透明な成形材料

次の成分:
a)部分結晶性コポリアミドおよびb)ナノスケールの充填剤およびコポリアミドのカルボキシル末端基と反応しうる金属塩、金属酸化物または金属水酸化物から選択される結晶化助剤の作用量を含有する成形材料は、透明であり、良好に加工することができ、ならびに良好にスクリーン印刷により装飾することができ、但し、この場合このコポリアミドは、次のモノマー組合せ物:
α)ラクタムまたは8、9、10、11または12個のC原子を有する相応するω−アミノカルボン酸またはジアミンとジカルボン酸との本質的に等モル量の混合物50〜99モル%、この場合ジアミンは、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミンおよび1,12−ドデカメチレンジアミンから選択され、およびジカルボン酸は、セバシン酸および1,12−ドデカン二酸の群から選択され、および
β)ジアミンとジカルボン酸との本質的に等モル量の混合物、但し、この場合ジアミンまたはジカルボン酸、またはこれら双方は、場合によってはα)で使用されたジアミンまたは場合によってはα)で使用されたジカルボン酸とは区別されるものとし、または別のラクタムまたは相応するω−アミノカルボン酸1〜50モル%から製造可能であるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、透明で印刷可能な製品の製造に適した、コポリアミドから成る透明な成形材料である。
【0002】
ドイツ連邦共和国実用新案登録第29519867号明細書U1には、モノマー単位ラウリンラクタムおよびカプロラクタムおよび/またはヘキサメチレンジアミン/ジカルボン酸から構成されているコポリアミドから成る装飾可能なシートが記載されている。
【0003】
この種のコポリアミドは、実際に一般には透明であり、また僅かな結晶度のために良好にスクリーン印刷によって装飾可能ではあるが、しかし、このようなコポリアミドから成るシートを押出により製造する場合には、繰返し問題が生じる。このシートは、極めて緩徐に低い温度で初めて結晶化し、したがって長い冷却区間が必要であるかまたは僅かな押出速度でのみ可能である。
【0004】
更に、緩徐な結晶化は、シートの歪みおよび収縮をまねく。この種のシートをスクリーン印刷により印刷する場合には、このシートは、簡単に応力亀裂形成のために脆化する。
【0005】
この課題の一部は、急速な結晶化を有する、製品、例えば成形部材およびシートのための透明で部分結晶性のコポリアミド組成物を開発することであった。更に、この課題の一部は、透明な部分結晶性のコポリアミド組成物から、歪みを有さずかつ収縮しないような製品を製造することであった。
【0006】
この課題を常用の結晶化助剤(核化剤)の添加によって解決することは、それ自体容易に推考できることであろう。この種の助剤は、既に久しく公知である。しかし、通常、この助剤は、混濁の形成、場合によっては斑点の形成および僅かなシート強度の場合にシート表面上での粗さをまねく。これは、望ましい使用目的のためには、受け入れることができない。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19937117号明細書A1の記載から、コポリアミドからなる層中に分散されたナノスケールの核化粒子を有するコポリアミドからなる層を有するシートは、公知であり;このコポリアミドは、芳香族モノマーに由来する構成単位を含有し;この構成単位の残基は、PA6またはPA6/66をベースとする。核化によって、シートの後収縮は、減少される。更に、この刊行物の記載から、シートを印刷することができることが明らかになり;どのような方法により、これが行なわれるのかは、記載されていない。このシートは、食品用包装品として使用される。
【0008】
M. BeyerおよびJ. Lohmarによる論文Kunststoffe 90 (2000) 1, 第98 - 101頁には、PA12成形材料からなる印刷可能なシートのための例が記載されている。しかし、この種のシートの場合には、透明度およびスクリーン印刷による印刷可能性は、なお改善することが望ましい。
【0009】
この場合の基礎となる課題の本質的な視点は、スクリーン印刷により良好に印刷可能である製品、例えば成形部材またはシートに加工できるポリアミド成形材料を提供することにある。このためには、ポリアミドの僅かな結晶度が必要とされ、それによって、着色剤は、装飾すべき製品の表面内にポリアミドを溶解することによって固定されうる。
【0010】
意外なことに、この課題は、次の成分:
a)次に記載されたような部分結晶性コポリアミドならびに
b)ナノスケールの充填剤および/または
コポリアミドのカルボキシル末端基と反応しうる金属塩、金属酸化物または金属水酸化物から選択される作用量の結晶化助剤を含有する成形材料によって解決される。
【0011】
意外なことに、この種の成形材料は、強制された結晶化にも拘わらずスクリーン印刷により良好に装飾することができる。
【0012】
本発明により使用可能なコポリアミドは、次のモノマー組合せ物から製造可能である:
α)ラクタムまたは8、9、10、11または12個のC原子を有する相応するω−アミノカルボン酸またはジアミンとジカルボン酸との本質的に等モル量の混合物50〜99モル%、有利に60〜98モル%、特に有利に70〜97モル%、殊に有利に80〜96モル%、この場合ジアミンとジカルボン酸は、組成の計算の際にそれぞれ個別的に計算され、ジアミンは、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミンおよび1,12−ドデカメチレンジアミンから選択され、およびジカルボン酸は、セバシン酸および1,12−ドデカン二酸の群から選択され、および
β)ジアミンとジカルボン酸との本質的に等モル量の混合物、但し、この場合ジアミンまたはジカルボン酸、またはこれら双方は、場合によってはα)で使用されたジアミンまたは場合によってはα)で使用されたジカルボン酸とは区別されるものとし、または場合によっては使用されるラクタムまたは成分α)の相応するω−アミノカルボン酸と区別されるラクタムまたは相応するω−アミノカルボン酸1〜50モル%、有利に2〜40モル%、特に有利に3〜30モル%、殊に有利に4〜20モル%。この場合も、ジアミンとジカルボン酸は、組成の計算の際にそれぞれ個別的に計算される。1つの可能な実施態様において、ジアミンまたはジカルボン酸、または双方は、分枝鎖状または環状である。
【0013】
成分β)の適当なジアミンは、4〜40個のC原子を有し;この場合には、例えば、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンまたは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルネンおよび3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンがこれに該当する。種々のジアミンの混合物を使用することもできる。
【0014】
成分β)の適当なジカルボン酸は、同様に4〜40個のC原子を有し;このための例は、アジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸または2,4,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、4,4′−ジカルボキシジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジカルボキシジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジカルボキシジシクロヘキシルプロパンおよび1,4−ビス(カルボキシメチル)シクロヘキサンである。種々のジカルボン酸の混合物を使用することもできる。
【0015】
適当な別のラクタムまたは相応するω−アミノカルボン酸は、6、7、8、9、10、11または12個のC原子を有するものである。
【0016】
使用されるコポリアミドは、或る程度の結晶度を有し、それによって、応力亀裂安定性の最低限度が保証されている。20K/分の加熱速度を有する第2の加熱曲線でDIN 53765に記載のDDKにより測定された成形材料の溶融エンタルピーは、一般に少なくとも10J/g、有利に少なくとも15J/g、特に有利に少なくとも20J/gである。この場合、微結晶融点Tmに分類された融点ピークは、一般に100〜220℃、有利に120〜210℃、特に有利に140〜200℃である。
【0017】
一般に前記コポリアミドは、約1.5〜約2.5、有利に約1.7〜約2.2の、ISO 307により23℃でm−クレゾール中の0.5質量%の溶液中で測定された相対溶液粘度ηrelを有する。1つの好ましい実施態様において、ASTM D4440による機械的分光計(コーンプレート)中で240℃及び100s-1の剪断速度で測定された溶融粘度は、250〜10000Pas、有利に350〜8000Pas、特に有利に500〜5000Pasを有する。
【0018】
結晶化助剤は、コポリアミドに一般に0.001〜5質量%の量で添加される。
【0019】
ナノスケールの充填剤は、例えば改質された層状珪酸塩である。この層状珪酸塩のアスペクト比(横方向の寸法と層厚との商)は、一般的に少なくとも20、好ましくは少なくとも30、特に好ましくは少なくとも50であり、その際、この層厚は0.5〜50nm、好ましくは1〜35nm、特に好ましくは1〜20nmである。有機親和性化された層状珪酸塩とポリマーとからのポリマーナノ複合材料は、最初に米国特許第2531396号明細書に記載されている。この層状珪酸塩の有機親和性化は、例えば米国特許第2531472号明細書、同2996506号明細書、同4105578号明細書、同4412018号明細書、同4434075号明細書、同4434076号明細書、同4450095号明細書および同4874728号明細書からも公知である。層状珪酸塩の題材についての概要は、Anorganischen Chemie, Arnold F. Holleman, Niels Wiberg, 91.-l 00. Auflage, Verlag Walter de Gruyter, Berlin-New York, 1985, 第764〜786頁の教本に見出される。
【0020】
そうこうするうちに、有機改質された層状珪酸塩は、多岐にわたる企業、例えばSuedchemie AG社(商品名:Nanofil)、Southem Clay Products社(商品名:Cloisite)、Rheox GmbH社(商品名:Bentone)、Laporte社(商品名:Laponite)、COOP Chemical社(商品名:Somasif)およびTOP社(商品名:Planomer)により提供されている。
【0021】
ポリアミドおよび前処理された層状珪酸塩からなるポリマーナノ複合材料の製造は、公知である。前記の題材に関する概要は、次の出願および刊行物に見出される:米国特許第5721306号明細書、欧州特許出願公開第0747451号明細書、WO 93/11190、WO 93/04118、WO 93/04117、欧州特許出願公開第0398551号明細書、米国特許第4739007号明細書、米国特許第4810734号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3810006号明細書、米国特許第5385776号明細書;P. Reichert et al., Acta Polymer. 49, 116-223; A. Usuki et. al., J. Mat. Res., 1993, 8, 1179; Y. Kojimma et al., J. Mat. Res., 1993, 8, 1185; Y. Kojimma et al., J. Appl. Sci., 1993, 49, 1259; L. Lin et al., J. Appl. Pol. Sci., 1999, 71, 1133-1138; B. Hoffmann et al., Colloid Pol. Sci., 2000, 278, 629-636。
【0022】
欧州特許出願公開第0358415号明細書には、前処理された層状珪酸塩の存在下でのラクタムの重合によるポリマーナノ複合材料の製造が記載されている。それによって、ガスに対するバリヤー特性、熱成形安定性および剛性の改善が達成される。
【0023】
ナノスケールの充填剤から特に0.001〜2質量%、特に有利に0.01〜1.5質量%、殊に有利に0.1〜1質量%の量がコポリアミドマトリックス中に導入され、このことは、充填剤の存在下での重縮合によって実現されてもよいし、事後の配合によって実現されてもよい。特に好適なナノスケールの充填剤は、層状珪酸塩のモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイトならびに合成層状珪酸塩である。
【0024】
適当な金属塩、金属酸化物および金属水酸化物は、コポリアミドの末端基と反応し、この場合生じる中和された末端基は、核化作用を有する。この場合、コポリアミドが過剰量のカルボキシル末端基を有することは、好ましい。特に好ましくは、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩、またはアルカリ金属炭酸水素塩またはアルカリ土類金属炭酸水素塩を使用することができる。この場合、反応の際に水および二酸化炭素が生成し、これらは、問題なしにコポリアミド溶融液から除去することができる。
【0025】
金属塩、金属酸化物または金属水酸化物は、コポリアミドに対して有利に0.01〜5質量%、特に有利に0.1〜4質量%、殊に有利に0.5〜3質量%が使用される。適当なのは、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムである。望ましい透明度を保証するために、一般に最大で、溶融液中でカルボキシル末端基との反応下に溶解しうるように大量が添加される。
【0026】
勿論、重金属の相応する化合物、例えば炭酸亜鉛が使用されてもよい。しかし、この種の化合物は、生態学的にしばしば懸念されるものとして評価され、しばしば成形材料の老化安定性の劣化をまねく。
【0027】
前記の成形材料は、助剤および添加剤、例えば安定剤または着色剤をポリアミド成形材料に対して通常の量で含有することができる。
【0028】
本発明による成形材料は、製品、例えば成形部材またはシートの製造のために使用することができ、この製品も同様に本発明の対象である。このシートは、1つの好ましい実施態様において、0.05〜1mm、特に有利に0.1〜0.8mm、殊に有利に0.2〜0.6mmの厚さを有する。
【0029】
前記シートは、多層に構成されていてもよく、この場合には、次の実施態様が有利である:
1.多層シートは、ポリアミドエラストマー成形材料、殊にポリエーテルアミドまたはポリエーテルエステルアミド、及び特に6〜18個、有利に6〜12個のC原子を有する直鎖脂肪族ジアミン、6〜18個、有利に6〜12個のC原子を有する直鎖脂肪族または芳香族ジカルボン酸および酸素原子1個当たり平均で2、3個を上廻るC原子と200〜2000の数平均分子量とを有するポリエーテルをベースとするポリエーテルアミドまたはポリエーテルエステルアミドのポリアミドエラストマー成形材料からなる他の層を含む。この層の成形材料は、他の配合成分、例えばカルボキシル基またはカルボン酸無水物基、またはエポキシ基を有するポリアクリレートまたはポリグルタルイミド、官能基を含有するゴムおよび/またはポリアミドを含有することができる。この種の成形材料は、公知技術水準であり;この成形材料は、例えば欧州特許出願公開第1329481号明細書A2およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10333005号明細書に記載されており、これらの刊行物は、参考のために引用されている。良好な層付着性を保証するために、ここで、ポリアミドエラストマーのポリアミド含分が、別の層のコポリアミド中でモノマー組み合わせa)として使用されているのと同一のモノマーから構成されている場合が有利である。
2.この多層のシートは、同一かまたは類似のコポリアミドおよび/またはポリアミドをベースとする成形材料からなるもう1つの層を含み、この層は、有利に、別の層のコポリアミド中でモノマー組合せ物a)として使用されているのと同一のモノマーから構成されている。
3.多層シートは、支持体への結合または多層シート構造の内部の結合のための付着助剤層、例えばカルボキシル基または酸無水物基、またはエポキシ基で官能化されたポリオレフィン、最下層の材料と支持体材料とからなる配合物または熱可塑性ポリウレタンを含む。
【0030】
前記の実施態様は相互に組み合わせることもできる。全ての場合において、本発明により使用される成形材料からなる層が被覆層を形成することは有利である。しかし、本発明により使用される成形材料からなる層は、中間層または下方層として使用されてもよい。必要な場合、例えば耐引掻性に対する要求が高い場合には、この被覆層に場合によってはなお保護層、例えばポリウレタンベースのクリヤラッカーが備えられていてよい。被覆層は場合により取付けシート(Montagefolie)で被覆されていてもよく、この取付けシートは完成部材の製造の後に剥離される。
【0031】
透明な被覆層と組み合わせた特別な設計変法を創作することができるように、第2の下方層、または2つより多い層の場合には下方層のうちの1つは、無色透明、透明、また更には不透明に着色されていてよい。このような場合、透明の被覆層は付加的に上側から印刷することができる。
【0032】
シートは、例えば汚染、UV線、気候の影響、化学薬品または摩擦に抗する保護シートとして使用することができ、車両、家庭内、床、トンネル、テントおよび建築物におけるバリヤシートとして、または例えばスポーツ用品、自動車の内装または外装、ボート、家庭内または建築物における上部被覆のための装飾支持体として使用することができる。この使用法は、成形材料が不透明に着色されている場合にも当てはまる。シートと支持体との素材結合は、例えば接着、圧縮、貼合せ、同時押出成形または背面射出成形により製造することができる。改善された付着性を達成するために、シートを予め例えば火炎処理またはプラズマ処理することができる。
【0033】
次に、本発明を例示的に説明する。
【0034】
比較例1:
ラウリンラクタム80モル%とカプロラクタム20モル%からなるコポリアミドを使用する。ηrel=1.9;アミノ基の濃度30mmol/kg;カルボキシル基の濃度60mmol/kg。
【0035】
比較例2:
ラウリンラクタム80モル%とヘキサメチレンジアミンおよびドデカン二酸からなる等モル量の混合物20モル%とからなるコポリアミドを使用する。ηrel=1.89;アミノ基の濃度37mmol/kg;カルボキシル基の濃度60mmol/kg。
【0036】
比較例3:
ラウリンラクタム85モル%とイソホロンジアミン7.5モル%と1,12−ドデカン二酸7.5モル%とからなるコポリアミドを使用する。ηrel=1.85;アミノ基の濃度45mmol/kg;カルボキシル基の濃度42mmol/kg。
【0037】
実施例1:
比較例1と同じコポリアミドを、NANOFIL(登録商標)804 0.1質量%、Suedchemie AG, D-85368 Moosburgのベントナイト型の有機改質された層状珪酸塩、と一緒に二軸押出機中で溶融混合し、ストランドに圧縮し、かつ造粒した。ηrel=1.9。
【0038】
実施例2:
比較例2と同じコポリアミドを製造する場合、製造すべきコポリアミドに対してNANOFIL(登録商標)804 0.1質量%をラウリンラクタムと混合し、次に、残りのモノマーの添加後に、全部の混合物を重合した。生成物を溶融液ストランドとして搬出し、造粒した。ηrel=1.76;アミノ基の濃度35mmol/kg;カルボキシル基の濃度67mmol/kg。
【0039】
実施例3:
比較例3と同じコポリアミドを製造する場合、製造すべきコポリアミドに対してNANOFIL(登録商標)804 0.1質量%をラウリンラクタムと混合し、次に、残りのモノマーの添加後に、全部の混合物を重合した。生成物を溶融液ストランドとして搬出し、造粒した。ηrel=1.73;アミノ基の濃度22mmol/kg;カルボキシル基の濃度37mmol/kg。
【0040】
実施例4:
比較例1と同じコポリアミドを製造する場合、重合の最初から60mmol/kgの達成すべきカルボキシル基含量と等価である量の炭酸ナトリウムを添加した。生成物を溶融液ストランドとして押出し、造粒した。ηrel=1.9。
【0041】
実施例5:
比較例1と同じコポリアミドを製造する場合、重合の最初から75mmol/kgの達成すべきカルボキシル基含量と等価である量の炭酸ナトリウムを添加した。生成物を溶融液ストランドとして押出し、造粒した。ηrel=1.76。
【0042】
実施例6:
比較例3と同じコポリアミドを製造する場合、製造すべきコポリアミドに対して層状珪酸塩BENTONE38 0.1質量%(Rheox GmbH社, D-51307 Leverkusen在の有機改質されたHectorit)をラウリンラクタムと混合し、残りのモノマーの添加後に、全部の混合物を重合した。生成物を溶融液ストランドとして搬出し、造粒した。ηrel=1.76;アミノ基の濃度25mmol/kg;カルボキシル基の濃度31mmol/kg。
【0043】
比較例4:
比較例1と同じコポリアミドを核化剤Mikrotalkum IT 0.1質量%と一緒に極めて微細に二軸押出機中で溶融混合し、ストランドに圧縮し、かつ造粒した。ηrel=1.9。
【0044】
実施例1〜6の生成物ならびに比較例1〜4の生成物から、0.4mmの厚さのシートを押出し、評価した。結果を以下の表に示す。
【0045】
劣悪な加工性を有する成形材料の場合、緩慢な後結晶化により強度の反りが認められた。
【0046】
【表1】

【0047】
全てのシートは、スクリーン印刷により良好に装飾することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分:
a)部分結晶性コポリアミドおよび
b)コポリアミドのカルボキシル末端基と反応することができる金属塩、金属酸化物または金属水酸化物から選択されている結晶化助剤0.001〜5質量%を含有する成形材料において、前記のコポリアミドは、次のモノマー組合せ物:
α)ラクタムまたは8、9、10、11または12個のC原子を有する相応するω−アミノカルボン酸またはジアミンとジカルボン酸との本質的に等モル量の混合物50〜99モル%、この場合ジアミンは、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミンおよび1,12−ドデカメチレンジアミンから選択され、およびジカルボン酸は、セバシン酸および1,12−ドデカン二酸の群から選択され、および
β)ジアミンとジカルボン酸との本質的に等モル量の混合物、但し、この場合ジアミンまたはジカルボン酸、またはこれら双方は、場合によってはα)で使用されたジアミンまたは場合によってはα)で使用されたジカルボン酸とは区別されるものとし、または場合によっては使用されるラクタムまたは成分α)の相応するω−アミノカルボン酸と区別されるラクタムまたは相応するω−アミノカルボン酸1〜50モル%から製造可能であることを特徴とする、成形材料。
【請求項2】
成形材料の溶融エンタルピーは、一般に少なくとも10J/gである、請求項1記載の成形材料。
【請求項3】
成形材料の溶融エンタルピーは、少なくとも15J/gである、請求項1または2記載の成形材料。
【請求項4】
成形材料の溶融エンタルピーは、少なくとも20J/gである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の成形材料。
【請求項5】
成形材料の微結晶融点Tmは、100〜220℃である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の成形材料。
【請求項6】
成形材料の微結晶融点Tmは、120〜210℃である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の成形材料。
【請求項7】
成形材料の微結晶融点Tmは、140〜200℃である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の成形材料。
【請求項8】
結晶化助剤がコポリアミドに0.001〜5質量%の量で添加されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の成形材料。
【請求項9】
次の成分:
a)部分結晶性コポリアミドおよび
b)ナノスケールの充填剤および/またはコポリアミドのカルボキシル末端基と反応しうる金属塩、金属酸化物または金属水酸化物から選択される結晶化助剤の作用量を含有する成形材料の、該成形材料からなる表面上で被覆されている製品を製造するための使用において、
前記のコポリアミドは、次のモノマー組合せ物:
α)ラクタムまたは8、9、10、11または12個のC原子を有する相応するω−アミノカルボン酸またはジアミンとジカルボン酸との本質的に等モル量の混合物50〜99モル%、この場合ジアミンは、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミンおよび1,12−ドデカメチレンジアミンから選択され、およびジカルボン酸は、セバシン酸および1,12−ドデカン二酸の群から選択され、および
β)ジアミンとジカルボン酸との本質的に等モル量の混合物、但し、この場合ジアミンまたはジカルボン酸、またはこれら双方は、場合によってはα)で使用されたジアミンまたは場合によってはα)で使用されたジカルボン酸とは区別されるものとし、または場合によっては使用されるラクタムまたは成分α)の相応するω−アミノカルボン酸と区別されるラクタムまたは相応するω−アミノカルボン酸1〜50モル%から製造可能であることを特徴とする、前記成形材料の、該成形材料からなる表面上で被覆されている製品を製造するための使用。
【請求項10】
印刷された製品が成形部材またはシートである、請求項9記載の使用。
【請求項11】
請求項9により使用された成形部材から製造された、印刷された製品。
【請求項12】
印刷された製品が成形部材またはシートである、請求項11記載の印刷された製品。
【請求項13】
シートが0.05〜1mmの厚さである、請求項12記載のシート。
【請求項14】
シートが0.1〜0.8mmの厚さである、請求項12または13記載のシート。
【請求項15】
シートが0.2〜0.6mmの厚さである、請求項12から14までのいずれか1項に記載のシート。
【請求項16】
シートが多層に形成されている、請求項12から15までのいずれか1項に記載のシート。

【公表番号】特表2008−530325(P2008−530325A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555562(P2007−555562)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050036
【国際公開番号】WO2006/087248
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】