説明

透明導電膜加工からなる培養容器とその製造方法

【課題】従来の培養容器を用いた細胞培養環境は、顕微鏡観察系を含めた装置とその観察架台上の培養チャンバーの温度調節等を含めた機能からなる装置で構成されているが、その温度調節は培養チャンバー内の雰囲気温度という目安で行われているが、細胞試料近傍の温度を制御するものではなかった。しかし、最近では細胞の増殖、あるいは生死という根幹に係わる解明が待たれ、より精緻な培養環境を提供できる培養容器が求められていた。
【解決手段】本発明は、透明導電膜材料の各特性を活かす、抵抗体及び導電膜を形成する事と、透過率を活かす事、形体からは足場構造体とする事、並びに物性としては抗菌作用とを利用する事である。更に培養の一要因である温度調節を、試料へ直接加熱が行える様にして温度制御を可能とする透明導電膜からなるヒーターと、その同一膜を利用してセンサーをシャーレ等細胞培養容器に加工配置するものの提供である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養環境の精度を改善する機能性を有する細胞培養容器に関するものである。透明導電膜からなるヒーター部を培養容器に取付けて、その容器の局所部を任意な温度で直接的に熱伝導を行わせ、その温度を制御し、且つ簡易及び安価な形態で提供するものである。その目的の一つは、測温及び監視とする温度センサーをヒーター発熱部の近傍又は同一パターン上に設けて、培養試料部の温度を正確に制御する事である。二つ目は、顕微鏡観察時において支障をきたさない様に培養容器の蓋部に防曇機能を設けたトップ透明プレートを設ける事である。三つ目は、シャーレ、ウェルプレート、試験管もしくはフラスコの表面又は胴体側の外周面もしくは底面に上記記載のヒーター部及びセンサー部を形成するものである。方法としては培養容器本体に透明導電膜の成膜を行い、次いで適切に機能化させる為にヒーター部又はセンサー部においてパターン加工を行うものである。
【背景技術】
【0002】
再生医療分野では万能細胞及びタンパク質等に関する基礎研究、臨床、創薬及び疾患治療の開発が進められ細胞培養試験、観察評価、分析法も進化している。併せて、その培養容器も高精度及び高機能化が求められている。
【0003】
培養環境の中でも温度環境は重要である。培養容器に就いても正確に温度の制御が可能となる温度環境に応えるものが望まれる。その容器に加熱手段として導電性ポリマーを用いた提案がある。
【特許文献1】特表2003−512809
しかしながら、この提案では従来の課題である発熱面の熱分布の不均一課題を克服するものではなく、さらにこの方法では顕微鏡による高倍率観察の対応がとれない。
【0004】
さらに培養容器の底の表面に温度応答性高分子を付着させその底面に発熱抵抗体を用いて温度制御をさせる提案もある。
【特許文献2】公開2007−174982
この提案も(0003)項と同様に高分子材料である事による成形上の課題からその肉厚の限界から40〜100倍という高倍率観察が可能となる様には底面が形成されない。また、加熱手段が細胞容器の近傍に有る事と、その温度監視となるセンサーに就いては提案されていないので、細胞試料面を正確に制御する法としては課題がある。この目的では細胞培養細胞の剥離、回収の為でありより正確な制御と高倍率観察を必要としない。さらに加熱手段に用いる発熱抵抗体も半導体製造法である露光装置などを用いる大かがりな製造手段を用いる提案である。これは、この高分子材料基材を外部加熱手段を用いて加温させる事であり、本発明の様に透明なプレートである発熱基材にセンサーを同時形成する提案とは異なる。
【0005】
他の側面として、顕微鏡下での培養細胞の観察時においては温度コントロールは重要で有り顕微鏡観察を阻害しない様に透明加熱ヒーターが用いられており、そのヒーター機能として以下の提案も有る。
【特許文献3】公開2004−206069
【特許文献4】公開2007−212633
しかし、これらの方法では、顕微鏡ステージ上に設置する加熱板を通じて加熱をさせる為、シャーレ等の培養容器へは該容器を収納するその加熱板を構成するチャンバーを通じて加熱を行う間接的加熱となり、シャーレ内の培養試料を真に所定する温度で加熱すると云うには限界があった。即ち培養試料直下で所定する温度を達成する為にはより熱伝導ロスを少なくする方法を具備する培養容器が求められる。
【0006】
一方で、温度制御を行う為にはセンサーは必須であり、特に透明な薄膜センサーは光学顕微鏡観察向けには期待がされている。次の報告の中にITOセンサーが提案されているが、これらもフォトリソグラフィ法等の高価な装置を用いて作るので、更により安価で簡便な手法での製造も待たれていた。本発明者らは、レーザー加工法の一つであるレーザー加工法を用いて、ヒーター発熱面を形成する同一のITO薄膜を温度センサー化する事で、重装備な装置と複雑な製法を用いる事無く低コストで対応できる製法を提案している。。
【非特許文献1】マイクロ加工技術を応用した深海用DNA精製デバイスの開発(生産研究2004年50巻6号29〜32頁)
【0007】
他の透明な薄膜温度センサーの例としては、ヒーターと同一基体上ではなくその反対する側に温度センサーを使用する報告がある。これは上の項(0006)と同様な理由により、ヒーター部とセンサー部を別々な面に形成する等コストがかかる他、単独にセンサーを形成する提案である。本発明の様に透明導電膜を利用して加熱を主目的とするヒーターを形成し、その同一基板上にセンサーを設ける細胞培養容器として機能させる構造のものとは違いがある。
【特許文献5】公開平10−340802
【0008】
更に細胞培養時に於いては、細胞容器は常時加温されているので、シャーレの蓋内部に曇りを生じてしまい、倒立顕微鏡観察においても観察側の皿部底面に対物レンズを用い、その細胞培養器の蓋面からは透過光を照射する必要から顕微鏡観察に支障をきたす事もあった。
【0009】
本発明者らは、実登録3142507号において、樹脂製もしくはガラス製のスライドガラス基板及びバイオ基板に透明導電膜を成膜したヒーターを一体化させたものを提案し、且つヒーター部を均一発熱できるようにスリット形状加工を設けた抵抗回路を設け機能させるものを提供できることを開示し、又、このヒーターパターン回路の加工はレーザー装置で簡単に加工する事ができるものであった。
【0010】
更に特願2007−285543号において、より発熱エリアを分画して、その分画エリア毎に異なった発熱ができるヒーターパターンとなる加工提案も行っている。1個の基板上に同時に複数の異種温度を発熱させるものである。
【0011】
しかし、これらの考案ないし該発明は、本来の特徴である直接加熱法をより正確に制御させる方法としての温度制御は従来のセンシング法に頼っており、その対応に課題を残していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、透明導電膜材料の各特性である、電気及び光学並びに物性形体を発揮できる様にする機能性を有する細胞培養容器の発明である。電気特性としては抵抗体及び導電膜を形成する事と、光学特性としてはその透過率を活かす事、形体からは細胞外基質の足場構造体とする事、並びに物性としては抗菌作用を利用する事である。
【0013】
抵抗体を活かして発熱ヒーターとして作用させるには、透明導電膜材料の一つであるインジウム酸化物とスズ酸化物の混合物であるITOを用いてヒーターとなるパターン部を形成する事と、その同一パターン部をその形成に用いた同一の装置を用いて透明なる温度センサー部を透明プレート上に形成する事である。これを培養容器そのものに取付ける事で、正確に細胞試料面の温度環境を構築できる。さらに培養容器を収納させる加温用チャンバーを不要にできる事である。尚、透明導電膜材料は、ZnO、TiO2などの透明酸化物の材料を用いる事もできる。
【0014】
この温度センサーを用いて、ヒーター面の発熱部温度を検出してフィードバックさせる事により温度コントロールを容易に行なわせる事である。
【0015】
またセンサーを低コストで製造する加工法としては、発熱部を均一化させる目的として使用するスリット加工回路形成に用いたレーザー加工法を採用する事で対応できる。
【0016】
培養試料の局所を正確に直接加温制御するには、ヒーター面を測温する課題が有り、ヒーターとセンサーが同一面上に形成されたボトム透明プレートを、培養容器であるシャーレ又はウェルプレートの皿部に適切に取り付ける事である。
【0017】
さらに、ヒーターとセンサーとなる透明導電膜パターンを培養容器の表面、胴体側外周面もしくは底部に適切に取り付ける事である。
【0018】
本発明の目的の二つ目は、このヒーターとなる透明導電膜パターンが形成されたトップ透明プレートを用いて、シャーレ又はウェルプレートの蓋となる部分に搭載すると、防曇用途にも対応できるようにしたものを提供することである。この場合、シャーレ又はウェルプレートの各々の蓋に直接その透明導電膜パターンを形成する事もできる。
【0019】
請求項1記載の透明プレートは顕微鏡観察用のカバーガラスとしての役割も兼ねる事から、低屈折率、高透過率の性能を満足させる石英又はホウケイ酸ガラスもしくは光学性能を有する樹脂製のものを提供する事である。
【0020】
さらに、他の目的は培養容器の細胞付着面側に形成する透明導電膜の電気導電性に着目して、電気化学手法に対応する培養容器を提供する事である。併せて細胞付着面側に細胞外基質となるその接着因子としての機能の一つである足場構造となる該培養容器を提供する事である。
【0021】
一方本発明の該細胞容器はそれを収納させる培養チャンバーを不要とする小型培養容器となるという特長を有しており、特に顕微鏡下の経時観察では、温度環境の他に、生存環境としての炭酸ガスフラン器を必要とし、これらを組込み培養装置とする小型化が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の請求項1に係るものは、付着性細胞を培養するための細胞培養容器本体に形成された透明導電膜を備えた該細胞培養容器において、前記透明導電膜はヒーター部と電流検出センサー部備えた事を特徴とする細胞培養容器とするものである。該細胞培養容器本体は、孔開け加工を行ったものにボトム透明プレートが取付けた形体と、孔開け加工がされていない形体とからなる。。
【0023】
本発明の請求項2に係るものは、細胞培養容器であるシャーレの皿部に孔開け加工を行ってその孔を塞ぐ様にして皿の底部を形成するボトム透明プレートからなるものである。該ボトム透明プレートは、裏面に透明導電膜を成膜加工がされ、さらにその透明導電膜をヒーターとする抵抗回路形成と、さらに前記抵抗を所望する抵抗値を得る電流検出とするセンサーを設けてある。ヒーターパターン回路とセンサー回路を同一基板上に設ける事により、より正確なヒーターエリア部の温度情報が得られる。該ボトム透明プレートの回路パターンの特徴は、一対の対向をなす縦溝からなる陽極側と陰極側の各々のスリットを設けた事を特徴とする細胞培養容器である。ここで用いる細胞培養容器の本体シャーレは、ポリスチレン等の樹脂製のものを使用する。
【0024】
本発明の請求項3に係るものは、細胞培養容器であるシャーレの蓋部に孔開け加工を行ってその孔を塞ぐ様にして蓋上部を形成するトップ透明プレートから製造するものである。該トップ透明プレートは、表面に透明導電膜を成膜加工がされ、さらにその透明導電膜をヒーターとする抵抗回路形成を設けた事を特徴とする細胞培養容器である。 本項の目的は、蓋部が結露すると、正立顕微鏡観察に支障をきたしたり、又、倒立顕微鏡観察法においては顕微鏡のステージ上側からの照明光を阻害する事になり観察に支障をきたしていたが、蓋部にヒーター回路を設ける事で防曇用となる事である。上記0023項とは異なり、防曇機能のみであるから、センサー回路と均一発熱させるヒーター回路は不要であり、該防曇機能とするには皿の底部を形成するボトム透明プレートによるヒーター温度より上回る発熱とすればよい。
【0025】
本発明の請求項4に係るものは、細胞培養容器にあっては、培養庫で培養していた細胞を顕微鏡下で経時的観察する必要がある時には、生存させる培養環境として、温度以外にpH(水素濃度イオン指数)を管理する手段としての炭酸ガス供給と灌流が必要となる事がある。これらに対応すべく、該細胞培養容器であるシャーレの蓋部に炭酸ガスの注入筒と排出筒と、灌流注入筒と排出筒とを簡易に取付けられる様にしたものである。該注入及び排出筒は、その外径は4mm前後とし耐腐食性の材質のもので製造する。その使用はシリコン製又はナイロン製チューブ(図示しない)等に連結して使用する。
【0026】
本発明の請求項5に係るものは、請求項2項に記載の該ボトム透明プレートの下側に透明導電膜が形成される構造と比較して、前記細胞の局所への熱伝導及び加温をより遅滞無く正確にする事を可能とする様に、該ボトム透明プレートの細胞が付着する面の上側に透明導電膜が形成された該細胞培養容器である。
【0027】
本発明の請求項6に係るものは、請求項2の該細胞培養容器において、電流を流すべく陽極と陰極との対の電極針を備え、該ボトム透明プレートの上側に透明導電膜面を形成し微弱電流発生装置(図示しない)を用いて微弱電流を流す事を可能とする様に形成された事を特徴とする細胞培養容器である。電極針は接触端子径が1mm内外の小径のコンタクトプローブを用いる。 本項の目的は、細胞培養を行う面である該ボトム透明プレートの上側の透明導電膜面に微弱電流を流す事で、新たな電気化学的な培養実験を開拓するものである。
【0028】
本発明の請求項7に係るものは、該培養容器へ該トップ透明プレート又は該ボトム透明プレートを用いる事なく直接、透明導電膜の成膜とパターン形成するもので、光学顕微鏡観察の対物レンズの60〜100倍の高倍率観察には適さないが、各々の透明プレート加工が不要となるので低コストで供給できる。
【0029】
本発明の請求項8に係るものは、シャーレの他の細胞培養容器であるマイクロウェルプレート又は試験管もしくはフラスコの培養容器に同様な加工をなしたものである。
【0030】
本発明の上記各請求項に係るものは、細胞培養容器に透明導電膜を成膜加工を行い、発熱エリアとなるヒーターパターンと温度センサーパターンをレーザー加工装置により形成することである。その導電性に着目して、ヒーターパターン回路とセンサー回路を同一基板上に設ける事により、より正確な発熱エリア部の温度情報が得られる。尚該透明プレートの形状は矩形又は円形で対応する。
【0031】
ヒーターとして機能するのは、印加する電圧制御によりヒーター端子間の抵抗値に電力負荷が加わり電流値の変動が生じる事から、ヒーター温度を設定するには、印加する電流と電圧の比例関係に於いて設定される。その時の電流値と比例関係にある発熱温度との相関関係を利用するものである。予めその所定温度を得る必要な電圧を印加し、この時センサーにより電流を計測検出し、温度に換算して、電圧を調整する事で温度制御を行う。端子間の抵抗値を測定する事から、この関係を用いて温度センサーとして利用するものである。
【0032】
本発明は、透明な温度センサーの提案であるが、従来のその製法は(0006)項記載のようにマスク製造を伴う重装備なフォトリソグラフィ設備を用いて製造する提案であったが、下記に述べるレーザー加工装置装置を用いる事で低コストで製造できるメリットを有する。以下に低コストでセンサー回路を形成するレーザー法を用いた透明センサー部の形成を提案する。その形成は、(1)センサー部を単独で設ける方法(図10)、(2)センサー部をヒーターパターンとなる内部に設ける方法(図11)、並びに(3)ヒーター発熱部とその発熱部の端子部をセンサー制御部として利用する方法(図12)が考えられるが、使用目的又は製造目的に併せて選択すれば良い。本案ではレーザー加工とするパターンは一対の対向をなす縦溝からなる陽極側と陰極側の各々のスリット形成を行う提案である。
【0033】
成膜加工する透明導電膜であるITOの透過率は約80%なので、これを改善する為に反射防止膜を透明導電膜の上に積層形成して透過率を改善させる事もできる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、外部加熱装置を用いる間接加熱法では無く、観察培養細胞を直接加熱ができ、その熱伝導を効率良く伝える局所直接加熱法の為に、培養細胞直下を所定の設定された培養温度にする事ができる。
【0035】
本発明は、細胞培養には加温が伴う事により蓋部が結露するが、防曇目的とする透明ヒーターを形成しているので、正立顕微鏡観察又は倒立顕微鏡観察法を阻害する事なく観察ができる。
【0036】
本発明は、培養容器であるシャーレ等にヒーターを取り付け培養容器に一体化させて、更にその機能向上の為に温度フィードバック用の透明な温度センサーを設ける事により、温度制御を容易にするものとなるので、シャーレの蓋を開けて測温する事も無く、別途外部温度センサーを付加する必要も無くなり、構成としてもシンプルとなる。又、センサーパターンは成膜されているヒーターと同材質の為、透明性が得られるので顕微鏡観察による支障が無くなる。
【0037】
ヒーター部を発熱均一目的でスリット加工によるヒーターパターン化と、センサーパターン加工が同一のレーザー加工装置を使用する事になり、さらに同一工程で製造する事による為製造コストが安価となる。
【0038】
本発明は、細胞培養を行う面上に形成される透明導電膜面に微弱電流を流す事で、電気刺激による細胞制御又は神経細胞等の電気生理実験等の新たな電気化学的な培養実験を光学顕微鏡観察下で行えるものである。更に細胞培養面に形成された導電膜面に細胞外細胞外基質となるその接着因子としての機能の一つである足場構造となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を用いて本発明の非限定的な実施例を基に説明を行う。
【0040】
図1(A)は、上記記載の該トップ透明プレート1をシャーレ蓋部に、該ボトム透明プレート35を皿部に各々取り付けたものの斜視図である。(B)はその断面図である。培養容器であるシャーレ容器3は、その蓋部と皿部は事前に孔開け開口されており、それを塞ぐ様に該トップ透明プレート1及び該ボトム透明プレート35を有した構造である。
【0041】
該シャーレ容器3の形体は、外径が35mm、深さ10mmからなる円筒形である。また該容器はポリスチレン等の樹脂で製造され、その蓋部と皿部の中央部分に、被培養細胞(図示しない)をできるだけ多く付着できるようにその外径を大きくとり、20mm内外の開口部31が設けられている。
【0042】
さらにその蓋部12と皿部13には、各々の外側に各々の開口部31を塞ぐ為に、該トップ透明プレート1及び該ボトム透明プレート35をシリコン系の硬化型接着剤を介して連結する。該トップ透明プレート1及び該ボトム透明プレート35の形体は顕微鏡観察用のカバーガラス並みの厚さ170μm内外、外径30mm内外とし、材質は光学品質の高いホウケイ酸硝子もしくは樹脂製を使用する。 接着剤材料としては、ガラス並の屈折率(1.6)を有するシリコーン系の光硬化性又は熱硬化性樹脂を用いる事もできる。例えば株式会社ADEKA製のナノハイブリッドシリコーン材料はその一例である。
【0043】
また該ボトム透明プレートの下面35bには、被細胞への局所加温が正確に行えるように、レーザー加工法によりヒーター作用とセンサー作用とする為のスリットパターンが設けられている。
【0044】
蓋部12の結露防止用とする為に、その開口部31aを塞ぐ為に、上記記載の項0038及び0039と同様に蓋部の上面12に該トップ透明プレート1をシリコン系の硬化型接着剤を介して連結する。尚該トップ透明プレートの上面1aには、レーザー加工法によりヒーターとする為のスリットパターンが設けられている。
【0045】
図2(A)は、上記記載のシャーレのその容器の蓋部に炭酸ガスの注入筒とその排出筒、及び培養液の灌流筒とその排出筒とを備えたものの斜視図である。(B)はその断面図である。本培養容器3を用いて炭酸ガス及び培養液を循環させる灌流の培養システムは図15記載にするが、炭酸ガス注入筒37及び灌流注入筒39とその炭酸ガス排出筒38及び灌流排出筒40を備える培養容器である。これらへの流入には図示しない細径のチューブを接続して使用するものである。該注入筒とその排出筒の形体は外径は4mm前後とし耐腐食性の材質のもので製造する。その使用はシリコン、又はナイロン製又はシリコン製チューブ(図示しない)等に連結して使用する。この注入筒を通じて生理活性作用のある、酸素及びオゾン等の気体を供給する事ができる。
【0046】
図3は、前記容器3の皿部13の開口部31bに取付けられた上記記載の該ボトム透明プレートの上面35aと、該容器の内面13aと下面13b及び外周辺部13cとに透明導電膜を先ず成膜し、次いでレーザー加工によりヒーターパターンとセンサーパターン加工を行い形成し、さらに前記容器3の蓋部は前記0042項と同様に形成するものの断面図である。シャーレの13a及び13b並びに13cには図示しない導通用の電極端子をレーザー加工にて行う。これは皿部13の該ボトム透明プレートの上面35aである細胞付着面に発熱エリアを設けるものである。
【0047】
図4(A)は、前記容器3の蓋部の内面12bと、底部13にあっては該ボトム透明プレート35が取り付けられている該皿部の内面13a及び下面13b並びに外周辺側面部13cと、該ボトム透明プレートの上面35aと該下面35bとに、透明導電膜を先ず成膜がなされ、次いでレーザー加工によりヒーターパターンとセンサーパターン加工を行い形成するものの斜視図である。(B)はその断面図である。
【0048】
また図4(A)は、前記容器3の蓋部の内面12bに透明導電膜加工がなされているが、該蓋部の外面12aには、透明性の抗菌剤がコート60がされているものの斜視図である。(B)はその断面図である。該容器に用いるポリスチレン樹脂は細胞が付着し易いものであり、逆に他の細胞の侵入等に対処する様に該前記容器本体の一部、本例では該蓋部の外面12aに酸化チタンTiO2等を用いてコートするものである。
【0049】
この他に、図3又は図4において、該ボトム透明プレートの上面35aに用いる透明導電膜15は塗布法によるITOインク(微粒子)を用いる事ができる。該透明導電膜の特徴は、ナノ単位の粒子径の粒度分布状態からなり、導電性という特性の他に、その表面状態の微粒子の凹凸性状を利用して、細胞外細胞外基質となるその接着因子となる足場構造とするものである。
【0050】
同様に、図3又は図4において、該ボトム透明プレートの上面35aに用いる導電膜にはダイヤモンド様炭素膜であるDLC膜を用いる事もできる。これは上記記載0049項と同様にこのDLC膜も細胞培養の足場構造として利用するものである。
【0051】
図5は、電流を流すべく陽極52と陰極53との対の電極針を備え、皿部に取付けられている該ボトム透明プレートのト側35aに透明導電膜面を形成し微弱電流発生装置(図示しない)を用いて微弱電流を流す事を可能とするものの断面図である。電極針は接触端子径が1mm内外の小径のコンタクトプローブを用いる。また該ボトム透明プレートの下面35bには、被細胞への局所加温が正確に行えるように、レーザー加工法によりヒーターとセンサーとする為のスリットパターンが設けられている。
【0052】
図6は、図1記載の前記容器3の皿部13に取付けられている該ボトム透明プレートの下面35b側のヒーターとセンサーとする為スリットパターンが設けられている面に反射防止膜を形成するものである。
【0053】
図7(A)は、前記容器3の蓋部の上面12aと皿部の下面13bに透明導電膜を先ず成膜し、次いでレーザー加工によりヒーターパターンとセンサーパターン加工を行い形成するものの斜視図である。これは透明プレートを用いないでシャーレそのものへ発熱エリアとセンサーを設けるものである。(B)はその断面図である。
【0054】
図8(A)は、6穴用のウェルプレート41において、前記ボトム透明プレート35を該皿部の底面に取り付け、さらに前記トップ透明プレート1を該蓋部の上面に取り付けたものの平面図である。(B)はその断面図である。一般的なウェルプレート41の形体は85mmx127mmの外径寸法であり、前記ウェルプレートでは35mm径のウェルを6個配置するものの例である。
【0055】
図9(A)は、試験管の表面及周辺側面部に透明導電膜を先ず成膜し、次いでレーザー加工によりヒーターパターンとセンサーパターン加工を行い形成するものの上面図である。(B)はその斜視図である。
【0056】
図10は、温度センサー部5を単独で設ける方法の一例であり、印加させる陽極側端子6及び陰極側端子7とからなる発熱部4とセンサー部5を搭載した、パターンの平面図である。レーザー加工法により、スリットパターン部30を形成すると発熱は所望する所に起こす事が可能となる。ヒーター4中心部の発熱を高める事が可能になる。
【0057】
透明ヒーター部4を形成する方法は、本発明者らが実願2007−3637、特願2007−285543号において記載した方法で行うもので、そのヒーターとなる発熱部の温度均一化の為にレーザー加工装置を用いて陽極側スリット30aと陰極側スリット30bとなる加工を行ってパターン化を行う。
【0058】
センサー部5は、ヒーターとして最もよく活用される部位の近傍に加工配置し、センサーの両端には検出端子部A(8)、と検出端子B(9)を設ける。以下に透明導電膜材料であるITOを用いて透明な温度センサーとなる製造法を示す。
【0059】
パターンを形成する該ボトム透明プレート35又は容器本体皿部13に、発熱部4とセンサー部5となる様に設計を行い各々図示したその範囲が作用できる回路パターンとする。
【0060】
例えば、生細胞の生存保温温度として約40度の保温を目指す発熱抵抗回路を形成するには、透明導電膜であるITOを先ず、シート抵抗値10Ω/□以下で成膜し、その成膜面に必要とする端子間抵抗値になる様にレーザー加工装置にてスリットパターン30となる加工回路を作る。
【0061】
水溶液が約80%封入されている35mm径シャーレを用いて、それを加熱容器として機能を発揮できる能力は、表1に示す。これから判る様に発熱部に必要なヒーターW数は10W以下のものを用いれば良い。この時、35mm径のシャーレ内の培養液量は7065mm3であり、10W時に要求される熱量(Wx秒sec)は578J(ジュール)となる。一方2.2W時は150Jである。尚表1は、発熱部に必要なヒーター能力を定める時のシュミレーションである。これは設定する端子間抵抗値を決め、その時必要とされる、W数、電圧、電流値の相関関係である。又、ヒーターの昇温性能を定めるのは、1分間の上昇温度という要素である。
【0062】
【表1】

【0063】
ヒーター能力2.2W、端子間抵抗値10Ωの場合は、1分間の上昇温度は、J/水(比熱x体積)から求められ、5.08℃となる。この時の測定値は表2に示す。各測定温度位置は、図示の図1の32(▲1▼)、33(▲2▼)、34(▲3▼)である。
【0064】
【表2】

【0065】
この時のヒーター能力2.2Wの実測値及び設定値との関係をしめしたものは表3データとなる。
【0066】
【表3】

【0067】
このデータから判る事はヒーター能力が低いと実温度は約7分を経過すると飽和温度に達してしまい、設定値に対して実温度との比較は5℃程低い温度となる。これは他の要因として放熱ロス等が生じてしまうと予想され、ヒーター性能を重視する時は次項に示すものが推奨される。
【0068】
次いで、印加を行う両電極である陽極側端子部6と陰極側端子部7を発熱部とに区分するスリットである6a、6b、7a、7bと発熱部のスリット部位30a及び30bをレーザー加工装置を用いて除去を行う。図のグレー部は除去されない透明導電膜による発熱部であリ、除去部は、空白で示されているスリット部である。
【0069】
更に、温度センサー部5の作用させるパターンは、該ボトム透明プレート35のサイズを20x20mm、印加電源として想定3Vとする時、図10の様になる。水平回路10と波形回路11からなる回路を形成し、3V、150mAの印加を基にすると、発熱温度20℃では、端子間抵抗値は、20Ω、30度では、30Ω、40度では、50Ωというパラメータが得られる。これを実現するには、図10記載の様に、検出端子長さ(L1+L2+L3)を20mm、その端子幅(W1)を3mm、端子水平部の(W2)1.5mm、長さ(L1又はL2)5mm、山谷からなる波形を5山とし、端子幅(W3)0.5mの回路を形成すると良い。両端に検出端子A(8)と検出端子B(9)を設ける。
【0070】
図11は、温度センサー部5を発熱部4となる内部に設ける方法の平面図である。これはヒーター発熱部4のより近傍へ温度センサー部を配置形成するものである。
【0071】
本例では、先に記載した0059項から0069項と同様の設計する事で対応できる。
【0072】
図12は、本例は発熱部4とその発熱部印加させる端子部をセンサー制御部として利用する方法の平面図である。発熱用とセンサー制御用の二つの印加方法を採用する。発熱用端子部である陽極側端子6及び陰極側端子7はこの時センサー制御端子部である検出端子A(8)及び検出端子B(9)と兼用させる。即ち端子兼検出部A(56)及び端子兼検出部B(57)の抵抗は高抵抗(例として50Ω)とし、発熱部4の抵抗はそれより低い低抵抗(例として30Ω)とするパターン加工を行う。本図では陽極側のスリット30a、陰極側のスリット30b、陽極側のスリットの30c1及び30c2、陰極側のスリットの30d1及び30d2である。
【0073】
図13は、図12記載した2系統の回路図である。対向する電源回路を発熱用回路58と制御用回路59と交互に切り替えて使用するものである。図示しないヒーター電源を用いて印加し、発熱部4の所望する温度にする為に電圧を制御する。対向する陽極側端子6及び陰極側端子7に電圧を印加して発熱をさせ、切り替えて端子兼検出部A(56)及び端子兼検出部B(57)の電流を監視計測して、発熱部4の電圧にフィードバックをかけるものである。
【0074】
以上の設計に基づき、レーザー装置を用いてヒーターパターンもしくはセンサーパターンをレーザーカッティング(トリミングとも云う)加工を行う。
【0075】
図14は、当該シャーレ容器3を用いて加温させる使用方法を示した断面図である。但し、印加をする電源部は図示を省いてある。ヒーターとセンサーが一体化された図1記載のシャーレ容器3を、電源と接続されている電極路22を通じて、倒立顕微鏡用試料搭載ホルダーリング部23と一体となっている皿部固定ホルダー17内に挿入を行い、電極が対応する所定の位置に圧接固定をして使用するものである。本例は倒立顕微鏡を想定したもので、下部に対物レンズ24が配置されている。
【0076】
皿部固定ホルダー17内のホルダー側電極A(18)ホルダー側電極B(19)とからなる電極部へ、当該シャーレ容器3上の発熱部の陽極側端子(6)及び陰極側端子(7)を圧接固定して印加を行うものである。
【0077】
次に蓋部固定ホルダー25を被せて、当該シャーレ蓋12の圧接固定を行う。この時、蓋部固定ホルダー25の上・蓋部固定ホルダー電極A(26)及び上・蓋部固定ホルダー電極B(27)と、電極パッドA(20)電極パッドB(21)とを、圧接固定して印加を行うものである。
【0078】
皿部固定ホルダー17内のホルダー側検出端子A(28)ホルダー側検出端子B(29)0を用いて検出を行うものである。
【0079】
セットが完了したら、図示しない電源部を用いて印加を行う。
【0080】
図15は、ヒーター能力2.2W、端子間抵抗値10Ωの温度特性図である。
【0081】
図16は、本発明のヒーターとセンサーが組込まれた培養容器を倒立顕微鏡下で使用する時の概略斜視図である。従来の大型のガスボンベを用いる装置では、培養条件を変える為に実験毎に対応するのでは煩雑であり、即ち高圧ガス容器の取り扱いに由来するので当然の事に装置が大型化していた。本発明を用いる事で培養試験環境装置の小型化が図る事ができ、顕微鏡観察する机上のスペースを有効に活用できる。
【0082】
当該シャーレ3をその固定するホルダー17へ収納させて、それを倒立顕微鏡の対物レンズ真上の架台上に配置し、図示しない電源につなぎ、炭酸ガス供給ユニット46から、炭酸ガスをチューブ47を通じてコントローラ50へ供給して、ここで培養に適した濃度をセンシングして、そのセンシング値を培養に適する濃度(約5%)とする様に炭酸ガス供給ユニット46で微調整を行い、チューブ48を通じて当該シャーレ3内へ供給するものである。チューブ49は排出用である。灌流に使用する循環装置は図示を省いてある。
【0083】
炭酸ガス供給ユニット46に用いるガス源は小型ミニガスシリンダー61を用い、例として日本炭酸瓦斯社製のミニガスカートリッジNo.6(74g)を使用とする。この寸法は長さ134mmx胴径40mmと小型であり、100%濃度の圧縮ガスを開放するとその容量は約37Lである。細胞培養では5%前後濃度の炭酸ガスとする為には空気と混合させパ−ジメーター方式のフローメーター62を用い、図示を省いてあるレギュレーター又はフローコントローラーで制御を行う。流入させるチューブは4mm口径前後とし、材質はナイロン又はフレキ管を使用する。
【0084】
炭酸ガス使用圧は0.1MPa前後とし、5%前後の混合ガス流量を0.2L/minの仕様とする場合は、空気ガス容量(190mL/min)と炭酸ガス(10mL/min)を混合して流入させる。この条件で当該小型ミニガスシリンダー1本で、数日間の使用ができ、当該ガス源は形体が小型故複数個設置する事で長期間使用が可能となる。
【0085】
長期間の細胞培養には培養液のpHを一定する事が重要であり、例えばpH7.4に維持する為には炭酸ガス濃度を5%にする必要がある。コントローラ50では、温度制御は0072項記載の様に印加して行うが、炭酸ガス濃度はセンサーを用いて濃度監視する事ができる。例として濃度センサー63は、VAISARA社製のモデルGMM111が使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(A)は該シャーレ容器に、該透明プレートをシャーレ蓋部及び皿部に取り付けたものの斜視図である。(B)はその断面図である
【図2】(A)は、上記記載のシャーレの該容器の蓋部に炭酸ガスの注入筒とその排出筒、及び培養液の灌流筒とその排出筒とを備えたものの斜視図である。(B)はその断面図である。
【図3】該シャーレ容器の皿部のボトム透明プレートの細胞が付着する面上側に透明導電膜が形成された細胞培養容器の断面図である。
【図4】図4(A)は、該シャーレ容器の蓋部内面、及び皿部の内面及び下面並びに外周辺側面部、さらに皿部に取付けられているボトム透明プレートの両面に透明導電膜とヒーターとセンサー加工をなすものであり、蓋部外面には抗菌剤がコートされているものの斜視図である。(B)はその断面図である。
【図5】図5は、該シャーレ容器において電極針を備え、皿部に取付けられている該ボトム透明プレートの上面に微弱電流を流す事を可能とするものの断面図である。
【図6】図6は、該シャーレ容器においてそのボトム透明プレート下面側に反射防止膜を形成したものの断面図である。
【図7】図7(A)は、該シャーレ容器において透明プレートを用いないでシャーレそのものへ発熱部とセンサーを設けるものの斜視図である。(B)はその断面図である。
【図8】図8は透明プレートを各々、6穴用のウェルプレートの皿部の底面と、蓋部の上面に取り付けたものの平面図である。(B)はその断面図である。
【図9】図9(A)は、試験管の表面及周辺側面部に発熱部とセンサーパターン加工を行い形成するものの上面図である。(B)はその斜視図である。
【図10】図10は、センサー部を単独で設ける方法であり、発熱部とセンサーとからなるパターンの平面図である。
【図11】図11は、センサー部を発熱部となる内部に設ける方法の平面図である。
【図12】図12は、発熱部とその発熱部を印加させる端子部をセンサー制御部として利用する方法の平面図である。
【図13】図13は、図12記載した2系統の回路図である。
【図14】図14は、図1記載のシャーレを固定して印加、検出する為のホルダー概要断面図である。
【図15】図15は、図1記載のシャーレのヒーター能力2.2W、端子間抵抗値10Ωの性能のものの温度特性図である。
【図16】図16は、本発明のヒーターとセンサーが組込まれた図1記載の培養容器を倒立顕微鏡下で使用する時の参考斜視図である。ポンプ等の循環装置は図示を省いてある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着性細胞を培養するための細胞培養容器本体に形成された透明導電膜を備えた該細胞培養容器において、前記透明導電膜はヒーター部と電流検出センサー部を備えた事を特徴とする細胞培養容器。
【請求項2】
請求項1記載の細胞培養容器において、前記容器本体の皿部は、前記細胞を付着させる為にボトム透明プレート部を備え、該ボトム透明プレートの下側には透明導電膜が形成され、その透明導電膜をヒーターとする抵抗回路形成と、さらに前記抵抗を所望する抵抗値を得る電流検出とするセンサーとを設けて、前記細胞の局所への加温を正確にする事を可能とする様に形成された一対の対向をなす縦溝からなる陽極側と陰極側の各々のスリットを設けた事を特徴とする細胞培養容器。
【請求項3】
請求項1記載の細胞培養容器において、前記容器本体の蓋部は、トップ透明プレート部を備え、該トップ透明プレートの上側には透明導電膜が形成され、その透明導電膜をヒーターとする抵抗回路形成を設けて、前記細胞容器の蓋部を防曇可能とする様に形成された事を特徴とする細胞培養容器。
【請求項4】
請求項1に記載する細胞培養容器であって、該容器の蓋部に炭酸ガスの注入筒とその排出筒、及び培養液の灌流注入筒とその排出筒とを備える事を特徴とする細胞培養容器。
【請求項5】
請求項2の細胞培養容器において、前記本体の皿部は、前記細胞を付着させる為にボトム透明プレート部を備え、該ボトム透明プレートの細胞が付着する面の上側に透明導電膜が形成され、その透明導電膜をヒーターとする抵抗回路形成と、さらに前記抵抗を所望する抵抗値を得る電流検出とするセンサーとを設けて、請求項2項に記載の該透明プレートの下側に透明導電膜が形成される構造と比較して前記細胞の局所への熱伝導及び加温を正確にする事を可能とする様に形成された一対の対向をなす縦溝からなる陽極側と陰極側の各々のスリットを設けた事を特徴とする細胞培養容器。
【請求項6】
請求項1又は2もしくは5の細胞培養容器において、電流を流すべく陽極と陰極との対の電極針を備え、該ボトム透明プレートの上側に透明導電膜面を形成し微弱電流を流す事を可能とする様に形成された事を特徴とする細胞培養容器。
【請求項7】
請求項1記載の細胞培養容器本体において、前記容器の皿部の外表面底部に直接透明導電膜を形成し、該透明導電膜をヒーターとする抵抗回路形成と、さらに前記抵抗を所望するする抵抗値を得る電流検出とするセンサー部とを設けて、前記細胞の局所への加温を正確にする事を可能とする様に形成された一対の対向をなす縦溝からなる陽極側と陰極側の各々のスリットを設けた事を特徴とし、さらに、前記本体の蓋部には、外表面上部に直接透明導電膜を形成し、該透明導電膜をヒーターとする抵抗回路形成を設けて、前記細胞容器の蓋部を防曇可能とする様に形成された事とを特徴とする細胞培養容器。
【請求項8】
請求項1記載の細胞培養容器本体の周囲には透明導電膜が形成され、該透明導電膜をヒーターとする抵抗回路形成と、さらに前記抵抗を所望する抵抗値を得る電流検出とするセンサーとを設けて、前記培養容器本体内の試料への加温を正確にする事を可能とする様に形成された一対の対向をなす縦溝からなる陽極側と陰極側の各々のスリットを設けた事を特徴とするマイクロウェルプレート、試験管又はフラスコである培養容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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