透析プロセスにおいて尿毒症毒素を除去するための方法および組成物
【課題】透析処理を提供する方法およびデバイスを提供すること。
【解決手段】デバイスは、リン酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、およびウレアーゼを含む樹脂ベッドを含む。1つの実施形態において、透析手順において尿毒症毒素を除去するためのデバイスであって:入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を備え;そして該デバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該ウレアーゼ層または該酸化ジルコニウム層と接触する前に該リン酸ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている、デバイスが提供される。
【解決手段】デバイスは、リン酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、およびウレアーゼを含む樹脂ベッドを含む。1つの実施形態において、透析手順において尿毒症毒素を除去するためのデバイスであって:入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を備え;そして該デバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該ウレアーゼ層または該酸化ジルコニウム層と接触する前に該リン酸ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている、デバイスが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は一般に処理の方法に関する。より詳細には、本発明は、透析プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
疾患または障害またはその他の原因に起因して、腎臓システムは不全になり得る。任意の原因の腎不全において、いくつかの生理学的混乱がある。水、ミネラル(Na、K、Cl、Ca、P、Mg、SO4)、と、固定された水素イオンの毎日の代謝負荷の排泄とのバランスは、腎不全ではもはや可能ではない。腎不全の間、窒素代謝の毒性最終産物(尿素、クレアチニン、尿酸、およびその他)は、血液および組織中に蓄積し得る。
【0003】
透析プロセスは、濃度勾配の下方への半透過性の膜を横切る拡散(拡散性の溶質移動)による溶液中のエレメントの分離のために考案された。原則的には、透析は、2つの方法:血液透析および腹膜透析を含む。
【0004】
血液透析処理は、患者の血液を利用して、患者から、老廃物、毒素、および過剰の水を除去する。患者は、血液透析機械に接続され、患者の血液が、この機械を通じてポンプ輸送される。カテーテルが患者の静脈および動脈中に挿入され、血液流れを、この血液透析機械まで接続し、かつこの機械から接続される。老廃物、毒素および過剰の水は、患者の血液から除去され、そして血液は患者中に注入して戻される。血液透析処理は、数時間持続し、そして、一般に、1週間あたり約3または4回処理センターで実施される。
【0005】
腹膜透析は、患者の腹腔中に注入される、透析溶液および透析液を利用する。透析液は、腹腔中の患者の腹膜に接触する。老廃物、毒素および過剰の水は、患者の血流から、腹膜を通って透析液中に通過する。血流から透析液中への老廃物、毒素および過剰の水の移動は、拡散および浸透圧に起因して起こる。使用済み透析液は、患者の腹腔から排液され、患者から、老廃物、毒素および水を取り除く。
【0006】
種々のタイプの腹膜透析があり、これには、連続携行式腹膜透析(CAPD)および自動化腹膜透析(APD)が含まれる。CAPDは、患者が、使用済み流体を排液し、そして腹腔からこれを排液することを可能にするための移植カテーテルを接続する、手動透析処理である。次いで、患者は、新鮮透析液のバッグを接続し、そしてカテーテルを通じ、そして患者の腹腔中に手動でこの新鮮透析液を注入する。患者は、新鮮透析液バッグからカテーテルをはずし、そして透析液を腹腔内に滞留させ、老廃物、毒素、および過剰の水を、患者の血流から透析溶液中に移す。滞留期間の後、患者は、この手動透析手順を繰り返す。
【0007】
CAPDでは、患者は、一日の間に数回、例えば、1日あたり約4回の排液、充填、および滞留のサイクルを実施する。代表的には、各処理のサイクルは、約3〜4時間を要する。患者によって実施される手動腹膜透析は、患者による相当量の時間および努力を必要とする。患者は、日常的には不便であり、患者の生活の質を改善するための治療増強のための十分な機会がある。
【0008】
自動化腹膜透析は、透析処理が排液、充填、および滞留サイクルを含むという点で連続腹膜透析に類似している。しかし、透析機械は、代表的には、患者が寝ている間一晩に3〜4サイクルの腹膜透析処理を自動的に実施する。
【0009】
この目的のため、透析機械が、移植カテーテルに流体接続されている。この透析機械はまた、透析液溶液のバッグのような新鮮透析液の供給源に、および流体ドレインに流体接続されている。この透析機械は、このカテーテルを通じてドレインに、腹腔から使用済み透析液をポンプ輸送する。次に、この透析機械は、カテーテルを通じ、そして患者の腹腔中に、透析液供給源から新鮮透析液をポンプ輸送する。この透析機械は、透析液を、腹腔内に滞留させ、老廃物、毒素、および過剰の水を、患者の血流から透析液溶液中に移すことを可能にする。この透析機械は、コンピューター制御され、その結果、透析処理は、患者が透析機械に接続されているとき、例えば、一晩、自動的に行われる。
【0010】
数回の排液、充填、および滞留サイクルがこの処理の間に起こる。また、代表的には、最後の充填は、この自動化透析処理の最後で用いられ、その結果、患者は、透析機械からはずされ、そして透析液が腹腔中に残る間、日常の活動を継続し得る。自動化腹膜透析は、患者を、手動で、排液、充填、および滞留サイクルを実施することから解放し、かつ、患者の透析処理および生活の質を改善し得る。
【0011】
最近の開発および治療を考慮して、伝統的な腹膜透析と血液透析との間の線が不鮮明になってきた。例えば、いくつかの治療では、両方の治療のコンポーネントを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
最近の治療は、再生透析である。このシステムでは、透析液再生のためのカートリッジを含む透析システムが用いられる。カートリッジは、ジルコニウムを基礎にした樹脂を含む樹脂ベッドを含む。このようなシステムで用いられるカートリッジの例は、Redy by Sorb Technology、Oklahoma City、Oklahomaの名の下で製造されている。しかし、このシステムは、医療要員の不断の注意を必要としている。さらに、このカートリッジによって再生される透析液は、所望されないナトリウムおよびpHレベルである。この点で、この透析溶液は、生理学的pHまたは電解質含量を有していない。これは、透析溶液が患者の腹腔中に再注入されるべき場合に特に問題である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、患者に透析を提供するための改良されたシステムおよび方法を提供する。より詳細には、1つの実施形態で、本発明は、再生透析治療のためのシステム、カートリッジ、および方法を提供する。しかし、本発明のカートリッジは、血液透析治療および腹膜透析治療ならびに急性透析を含む種々の治療で用いられ得ることに注目すべきである。
【0014】
この目的のために、1つの実施形態では、透析手順において尿毒症毒素を除去するためのデバイスが提供され、このデバイスは、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を備え、そして該デバイスは、該デバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該ウレアーゼ層または該リン酸ジルコニウム層と接触する前に該酸化ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている。
【0015】
1つの実施形態では、前記酸化ジルコニウムは、重炭酸塩形態にある。
【0016】
1つの実施形態では、前記酸化ジルコニウムは、ヒドロキシル形態にある。
【0017】
1つの実施形態では、前記炭素の層は、前記出口に並列に位置決めされている。
【0018】
1つの実施形態では、前記流体は、前記炭素の層に侵入する前に酸化ジルコニウムの層を通じて流れる。
【0019】
1つの実施形態では、前記リン酸ジルコニウムは、約2〜約8のpHを有している。
【0020】
1つの実施形態では、前記酸化ジルコニウムは、約6〜約13のpHを有している。
【0021】
1つの実施形態では、2つの別個のリン酸ジルコニウムの層が提供される。
【0022】
1つの実施形態では、2つの別個の酸化ジルコニウムの層が提供される。
【0023】
1つの実施形態では、前記デバイスの入口端部および出口端部の各々に解放ヘッダーが提供される。
【0024】
1つの実施形態では、前記出口の端部に位置決めされる、ガスを大気に排出するための開口部が提供される。
【0025】
1つの実施形態では、前記ウレアーゼの層が第1の層である。
【0026】
1つの実施形態では、前記リン酸ジルコニウムの層が、前記酸化ジルコニウムの層の前に位置決めされている。
【0027】
本発明のさらなる実施形態では、毒素を除去するための透析システムにおける使用のための、入口端部および出口端部を有する本体を備えるカートリッジが提供される。この本体は、少なくとも4つの層を含む内部であって、該層が、約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される樹脂の第1の層、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される樹脂の第2の層、リン酸ジルコニウムの第3の層、および約6.5〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムの第4の層を含む内部を含む。この内部は、第1の入口端部から該内部に侵入する流体が、該第1の層、次いで該第2の層、次いで該第3の層、および次いで該第4の層を通って流れるように構成かつ配列されている。
【0028】
1つの実施形態では、前記第1の層は、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む。
【0029】
1つの実施形態では、前記第4の層は、約50〜約200グラムの炭素を含む。
【0030】
1つの実施形態では、前記ウレアーゼは、架橋された酵素である。
【0031】
なお別の実施形態では、透析溶液を再生するためのデバイスが提供される。このデバイスは、樹脂ベッドを含む本体を備える。この樹脂ベッドは、少なくとも、ウレアーゼ、リン酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、および炭素の層を含み、そして塩基性または酸性のいずれかであるpHを有する透析溶液が該樹脂ベッドを通過した後に、約7から約7.8のpHでカートリッジを出るように構成かつ配列されている。
【0032】
1つの実施形態では、前記溶液が接触する前記樹脂ベッドの第1の層が、約2.0〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される。
【0033】
1つの実施形態では、前記樹脂ベッド中の前記溶液が通過する第2の層が、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される。
【0034】
1つの実施形態では、前記溶液が通過する前記樹脂ベッドの第3の層は、リン酸ジルコニウムである。
【0035】
1つの実施形態では、前記溶液が通過するカートリッジの第4の層は、約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムである。
【0036】
1つの実施形態では、前記カートリッジを出る溶液のpHは約7.4である。
【0037】
さらなる実施形態では、透析溶液で患者を処理するためのシステムにおける使用のためのデバイスが提供される。このデバイスは、透析溶液の供給源と流体連結している、入口、該入口を含み、そして内部を規定し、かつ出口を有する本体であって、3層構造を規定する、ウレアーゼの層、酸化ジルコニウムの層、およびリン酸ジルコニウムの層を含む樹脂ベッドを含む、本体を含む。この樹脂ベッドは、該透析溶液に接触する該3層構造の第1の層が該ウレアーゼの層または該リン酸ジルコニウムの層のいずれかであるように配向され、かつ該酸化ジルコニウムの層が該入口に侵入する塩基性または酸性の透析溶液が生理学的に受容可能なpHで該出口から出るように構成かつ配列されている。
【0038】
1つの実施形態では、上記デバイスは、再生透析システムで用いられる。
【0039】
なおさらなる1つの実施形態では、透析を提供するためのシステムにおける使用のためのカートリッジを構築する方法が提供される。この方法は、酸化ジルコニウムおよびリン酸ジルコニウムを含む樹脂ベッドを提供する工程、および該酸化ジルコニウムの層およびリン酸ジルコニウムの層を、該カートリッジが、該樹脂ベッドに侵入する透析溶液中に存在する尿毒症毒素を除去することを可能にするように選択し、配向する工程、および該カートリッジを出る透析溶液が、生理的pHを有し、かつ生理学的に受容可能な電解質バランスを含むようにする工程を包含する。
【0040】
1つの実施形態では、この方法は、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を提供する工程;およびデバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該酸化ジルコニウム層のウレアーゼ層と接触する前に該リン酸ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている、デバイスを提供する工程、を包含する。
【0041】
なおさらなる実施形態では、透析を提供する方法であって、透析流体を、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体を通過させることによって尿毒症毒素を取り除く工程であって、該内部が少なくとも4つの層を含み、第1の層が約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第2の層が約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第3の層がリン酸ジルコニウムを含み、および第4の層が約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムを含む、工程を包含する方法が提供される。
【0042】
さらに、1つの実施形態では、再生透析を提供する方法であって、透析流体を、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体を通過させることによって尿毒症毒素を除去する工程であって、該内部が少なくとも4つの層を含み、第1の層が約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第2の層が約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第3の層がリン酸ジルコニウムを含み、および第4の層が約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムを含む、工程を包含する方法が提供される。
【0043】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)
透析手順において尿毒症毒素を除去するためのデバイスであって:
入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を備え;そして
該デバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該ウレアーゼ層または該酸化ジルコニウム層と接触する前に該リン酸ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている、デバイス。
(項目2)
前記酸化ジルコニウムが硝酸イオンを除去するように改変されている、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記酸化ジルコニウムが、ヒドロキシル形態にある、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
前記炭素の層が、前記出口に並列に位置決めされている、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
前記流体が、前記炭素の層に侵入する前に酸化ジルコニウムの層を通じて流れる、項目4に記載のデバイス。
(項目6)
前記リン酸ジルコニウムが、約2〜約8のpHを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
前記酸化ジルコニウムが、約6〜約13のpHを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目8)
2つの別個のリン酸ジルコニウムの層を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
2つの別個の酸化ジルコニウムの層を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
前記デバイスの入口端部および出口端部の各々に開口ヘッダーを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
前記出口の端部に位置決めされる、ガスを大気に排出するための開口部を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目12)
毒素を除去するための透析システムにおける使用のためのカートリッジであって:
入口端部および出口端部を有する本体;
少なくとも4つの層を含む内部であって、該層が、約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される樹脂の第1の層、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される樹脂の第2の層、リン酸ジルコニウムの第3の層、および約6.5〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムの第4の層を含む、内部、を備え、そして
該内部が、第1の入口端部から該内部に侵入する流体が、該第1の層、次いで該第2の層、次いで該第3の層、および次いで該第4の層を通って流れるように構成かつ配列されている、カートリッジ。
(項目13)
前記酸化ジルコニウムが、硝酸イオンを除去し、そしてそれを重炭酸イオンに置き換える、項目12に記載のカートリッジ。
(項目14)
前記酸化ジルコニウムが、ヒドロキシル形態にある、項目12に記載のカートリッジ。
(項目15)
前記出口に並列に位置決めされている炭素の層を備える、項目12に記載のカートリッジ。
(項目16)
前記第1の層が、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む、項目12に記載のデバイス。
(項目17)
前記第4の層が、約50〜約200グラムの炭素を含む、項目12に記載のデバイス。
(項目18)
前記ウレアーゼが、架橋された酵素結晶ウレアーゼである、項目12に記載のデバイス。(項目19)
透析溶液を再生するためのデバイスであって:樹脂ベッドを含む本体を備え;そして
該樹脂ベッドが、少なくとも、ウレアーゼ、リン酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、および炭素の層を含み、そして塩基性または酸性のいずれかであるpHを有する透析溶液が該樹脂ベッドを通過した後に、約7〜約7.8のpHでカートリッジを出るように構成かつ配列されている、デバイス。
(項目20)
前記溶液が接触する前記樹脂ベッドの第1の層が、約2.0〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される、項目19に記載のデバイス。(項目21)
前記樹脂ベッド中の前記溶液が通過する第2の層が、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される、項目19に記載のデバイス。
(項目22)
前記溶液が接触する前記樹脂ベッドの第3の層が、リン酸ジルコニウムである、項目19に記載のデバイス。
(項目23)
前記溶液が接触するカートリッジの第4の層が、約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムである、項目19に記載のデバイス。
(項目24)
前記カートリッジを出る溶液のpHが約7.4である、項目19に記載のデバイス。
(項目25)
前記第1の層が、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む、項目19に記載のデバイス。
(項目26)
前記炭素の層が、透析溶液から、30グラムより少ないグルコースを除去する、項目19に記載のデバイス。
(項目27)
前記ウレアーゼが、架橋された酵素結晶ウレアーゼである、項目19に記載のデバイス。(項目28)
透析溶液で患者を処置するためのシステムにおける使用のためのデバイスであって:
透析溶液の供給源と流体連結している、入口;
該入口を含み、そして内部を規定し、かつ出口を有する本体であって、3層構造を規定する、ウレアーゼの層、酸化ジルコニウムの層、およびリン酸ジルコニウムの層を含む樹脂ベッドを含む、本体;および
該透析溶液に接触する該3層構造の第1の層が該ウレアーゼの層または該リン酸ジルコニウムの層のいずれかであるように配向され、かつ該酸化ジルコニウムの層が該入口に侵入する塩基性または酸性の透析溶液が生理学的に受容可能なpHで該出口から出るように構成かつ配列されている、該樹脂ベッド、を備える、デバイス。
(項目29)
再生透析システムで用いられる、項目28に記載のデバイス。
(項目30)
前記溶液が接触する前記樹脂ベッドの第1の層が、約2.0〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される、項目28に記載のデバイス。(項目31)
前記溶液が通過する前記樹脂ベッド中の第2の層が、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される、項目28に記載のデバイス。
(項目32)
前記樹脂ベッドが、少なくとも4つの層を含む、項目28に記載のデバイス。
(項目33)
前記酸化ジルコニウムの層が、約6.8〜約7.5のpHを有する、項目28に記載のデバイス。
(項目34)
前記カートリッジを出る溶液のpHが、約7.2〜7.6である、項目28に記載のデバイス。
(項目35)
前記第1の層が、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む、項目28に記載のデバイス。
(項目36)
過剰量のグルコースを除去しないように選択されている炭素の層を含む、項目28に記載のデバイス。
(項目37)
透析を提供するためのシステムにおける使用のためのカートリッジを構築する方法であって、
酸化ジルコニウムおよびリン酸ジルコニウムを含む樹脂ベッドを提供する工程、および
該酸化ジルコニウムの層およびリン酸ジルコニウムの層を、該樹脂ベッドが、該樹脂ベッドに侵入する透析溶液中に存在する尿毒症毒素を除去することを可能にするように選択および配向する工程、および
該カートリッジを出る透析溶液が、生理的pHを有し、かつ生理学的に受容可能な電解質バランスを含むようにする工程、を包含する、方法。
(項目38)
入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を提供する工程;およびデバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該酸化ジルコニウム層で該ウレアーゼ層と接触する前に該リン酸ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている、デバイスを提供する工程、を包含する、-項目
37に記載の方法。
(項目39)
前記リン酸ジルコニウムが、約2〜約8のpHを有する、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記酸化ジルコニウムが、約6〜約13のpHを有する、項目37に記載の方法。
(項目41)
2つの別個のリン酸ジルコニウムの層を含む、項目37に記載の方法。
(項目42)
2つの別個の酸化ジルコニウムの層を含む、項目37に記載の方法。
(項目43)
前記樹脂が、約200〜約800gのリン酸ジルコニウムを含む、項目37に記載の方
法。
(項目44)
前記樹脂ベッドが、約50〜約200グラムの炭素を含む、項目37に記載の方法。
(項目45)
前記ウレアーゼが架橋された酵素結晶ウレアーゼである、項目38に記載の方法。
(項目46)
透析を提供する方法であって、
透析流体を、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体を通過させる工程であって、該内部が少なくとも4つの層を含み、第1の層が約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第2の層が約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第3の層がリン酸ジルコニウムを含み、および第4の層が約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムを含む、工程を包含する、方法。
(項目47)
溶液が接触する前記本体の第4の層が、約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムである、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記本体が、2つの別個の酸化ジルコニウムの層を含む、項目46に記載の方法。
(項目49)
前記酸化ジルコニウムが、重炭酸塩形態である、項目46に記載の方法。
(項目50)
前記酸化ジルコニウムが、ヒドロキシル形態である、項目46に記載の方法。
(項目51)
前記本体が、前記出口の端部に並列に位置決めされる炭素の層を含む、項目46に記載の方法。
(項目52)
前記第1の層が、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む、項目46に記載の方法。
(項目53)
前記第4の層が、約50〜約200グラムの炭素を含む、項目46に記載の方法。
(項目54)
前記ウレアーゼが、架橋された酵素結晶ウレアーゼである、項目46に記載の方法。
(項目55)
再生透析を提供する方法であって、
透析流体を、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体を通過させることによって少なくともいくらかの尿毒症毒素を除去する工程であって、該内部が少なくとも4つの層を含み、第1の層が約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第2の層が約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第3の層がリン酸ジルコニウムを含み、および第4の層が約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムを含む、工程を包含する、方法。
(項目56)
前記透析流体が前記本体を出るときの該透析流体のpHが約7.4である、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記本体に侵入する前の前記透析流体のpHが酸性である、項目55に記載の方法。
(項目58)
前記本体に侵入する前の前記透析流体のpHが塩基性である、項目55に記載の方法。
【発明の効果】
【0044】
本発明の利点は、改善された透析手順が提供されることである。
【0045】
さらに、本発明の利点は、透析流体から不純物を除去するための改良されたカートリッジを提供することである。
【0046】
なお、本発明の利点は、透析を提供するための改良されたシステムを提供することである。
【0047】
さらに、本発明の利点は、単一ループまたは複数ループシステムで用いられ得る改良されたカートリッジを提供することである。
【0048】
さらに、本発明の利点は、透析システム用のカートリッジのための改良された樹脂ベッドを提供することである。
【0049】
さらに、本発明の利点は、カートリッジを出る透析溶液が生理学的pHおよび電解質含量を有するように構成かつ配列された改良カートリッジを提供することである。
本発明のさらなる特徴および利点は、現在好ましい実施形態の詳細な説明、および図面に記載され、かつそれらから明瞭である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明による透析を実施するためのシステムを概略的に示す。
【図2】図2は、本発明のカートリッジの実施形態の断面図を示す。
【図3】図3は、2つの提供者(Sorb Technologiesおよびmagenesium elekton)から入手可能なリン酸ジルコニウムについて、アンモニウム溶出濃度(ppm)対送達されたアンモニム量(mEq)をグラフにより示す。
【図4】図4は、酸化ジルコニウムpHの関数としてナトリウム容量をグラフにより示す。
【図5】図5は、本発明のカートリッジの樹脂ベッドの実施形態の断面図を示す。
【図6】図6は、本発明のカートリッジの樹脂ベッドのさらなる実施形態の断面図を示す。
【図7】図7は、本発明のカートリッジの樹脂ベッドのさらなる実施形態の断面図を示す。
【図8】図8は、実験No.2の結果をグラフにより示す。
【図9】図9は、実験No.2の結果をグラフにより示す。
【図10】図10は、実験No.2の結果をグラフにより示す。
【図11】図11は、本発明のカートリッジを試験するために実験No.3で用いられたシステムを示す。
【図12A】図12は、実験No.3で用いられたカートリッジの層の断面図を示す。
【図12B】図12は、実験No.3で用いられたカートリッジの層の断面図を示す。
【図12C】図12は、実験No.3で用いられたカートリッジの層の断面図を示す。
【図13A】図13Aは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図13B】図13Bは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図13C】図13Cは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図14A】図14Aは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図14B】図14Bは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図14C】図14Cは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図14D】図14Dは、実験No.1による経時的な尿素変換を示す。
【図15A】図15Aは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図15B】図15Bは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図15C】図15Cは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図15D】図15Dは、実験No.1による経時的な尿素変換を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(現在好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、透析処理を提供する方法に関する。さらに、本発明は、透析を提供するためのシステムに関する。より詳細には、1つの実施形態で、本発明は、尿毒症毒素を除去するために用いられる改良されたカートリッジを提供する。
【0052】
好ましい実施形態において、本発明は、連続流れ腹膜透析手順における使用のためのシステムおよびコンポーネントに関する。しかし、本発明は、血液透析および腹膜透析を含む透析を提供するための種々の方法で用いられ得ることを注目すべきである。
【0053】
連続流れ腹膜透析は、連続的に、溶液を腹膜中に注入し、かつ腹膜から排液することにより達成される。例えば、閉鎖ループ透析または再循環透析が用いられ、そこでは、上記溶液が、連続的に患者に再循環される。これは、処置のために必要な溶液の量を実質的に減少する利点を有し得る。しかし、患者により要求される正確なグルコースおよび電解質要求を備えた溶液を再生することが必要である。この治療は、主に夜に実施されるために設計される。
【0054】
一般に、上記システムは、ポンプカセット、カートリッジ、透析器、および濃縮溶液を含む使い捨てカセットを備える。図1は、一般に、本発明による透析処理を提供するためのシステム10の概略を示す。
【0055】
図1に示されるように、2つのループ:患者ループ11;および再生ループ12が提供される。しかし、本発明は、1つのみのループまたは2つより多いループを備えるシステムで用いられ得ることに注目すべきである。患者ループ11は、透析液で患者14を透析するために用いられる。再生ループ12は、透析液を再生するために用いられる。ほぼ図示されるように、透析液は、患者ループ11内にあるバッグからカテーテル24を通じて患者14中にポンプ輸送される。次いで、使用済み流体は、患者14から透析器20中に戻される。
【0056】
種々のコンポーネントがこの患者ループで用いられ得る。好ましい実施形態では、二重管腔カテーテル24が用いられる。この二重カテーテルは、患者の腹腔中およびそれからの連続流れを提供する。この目的のために、この二重管腔カテーテルが患者中に移植される。本発明のシステム10における使用のためのカテーテルの例は、2000年10月12日に出願され、そして本明細書中にその開示が参考として援用される「腹膜透析カテーテル」と題する米国特許出願第09/689,508号に開示されている。しかし、2つの単一管腔カテーテルが単一管腔カテーテルと同様に用いられ得ることに注目すべきである。
【0057】
透析液を再生するために、再生ループ12が提供される。例示の実施形態では、この再生ループ12は、好ましくは、コンテナー26中の濃縮物、カートリッジ32、限外濾過(UF)ポンプ、および透析器20を経由する患者ループ11と連絡するUF収集手段を含む。濃縮ポンプは、流体経路27を通じてコンテナーからこの濃縮物26をポンプ輸送するために提供される。この再生ループ中の流体は、透析器20を通じて、対向流れ様式で、患者ループ11内の流体にポンプ輸送される。
【0058】
透析器20は、患者ループ11内に、使用済み透析液から、水ならびに尿素およびクレアチニンのような小溶質を除去するために提供される。この透析器20は、患者ループ11と再生ループ12との間に殺菌独立バリアを提供する。この透析器を横切る小分子の高いクリアランスを提供する任意の透析器20が用いられ得る。尿酸が、この透析器を通って拡散し、限外濾過物もまた除去される。
【0059】
本発明のカートリッジ32は、2つのループシステムで用いられて図示されているけれども、それは、その他のシステムにおいて用いられ得ることに注目すべきである。例えば、このカートリッジが、1つのループシステムで用いられ得ることが想定される。
【0060】
ここで、図2を参照して、本発明のカートリッジ32の実施形態の断面図が示されている。このカートリッジ32は、再循環する透析液の化学物質を改変し、そして尿毒症毒素を除去するために設計されている樹脂ベッド34を含む。同時に、本発明に従って、このカートリッジ32は、透析液の電解質濃度および溶液pHを生理学的レベルに維持する。
【0061】
カートリッジ32は、一般に、:主本体40、入口キャップ42、樹脂ベッド34、および出口キャップ44を備える。図示された実施形態では、流体は、カートリッジ32の底46に位置決めされている入口キャップ42を通じてカートリッジ32中に経路をとる。例示の実施形態では、樹脂ベッド34の前の小さな開放ヘッダーチャンバー48が、流体の流れを、カートリッジ32の断面、そしてそれによって樹脂ベッド34を均一に横切って分散するために用いられる。この流体は、好ましくは、樹脂ベッド34を通って上に流れる。
【0062】
図示される実施形態では、樹脂ベッド34の最終セクションの下流に、別の開放ヘッダーチャンバー50が位置決めされている。この第2の開放ヘッダーチャンバー50は、ガス分離チャンバー52の前に位置決めされる。この第2のヘッダーチャンバー50は、樹脂ベッド34を通じる均一流体速度分布を維持するために用いられる。
【0063】
ガス分離チャンバー52中の液体レベルは特定範囲内に維持され、カートリッジ32中の液体の上の空気スペースを提供する。治療の間に生成されるガス、例えば、二酸化炭素は、カートリッジ32から、出口キャップ44上の通路54を通じて環境に放出される。所望であれば、この通路54は、フィルター部材を含み得る。ガス分離チャンバー52中の浸漬、または部分的に浸漬されたバリアが、ガスを液体出口に引き抜かれることから制限する流れパターンを生成する。
【0064】
カートリッジ32の出口キャップ44に、液体出口ポート58が位置決めされている。この液体出口ポート58は、サイホン作用を用い、出口キャップ44を通じて、カートリッジ32のチャンバーから液体を除去する。所望であれば、さらなるポートを用い、流体流出物の化学的組成を再構築するために、このガス分離チャンバー中の液体容量に化学的濃縮物を添加し得る。
【0065】
1つの実施形態において、このカートリッジ32の内部は粗表面を有している。この粗表面は、樹脂ベッド34を通過することによって、流体が外部側面に沿って流れることを防ぐように設計されている。
【0066】
樹脂ベッド34は、一部、老廃物を除去するように機能する。この点で、一般に、老廃物は、2ステッププロセスを用いて除去される。これらのステップは、ウレアーゼを用いる尿素の酵素的変換、次の転換副産物の引き続く除去からなる。この酵素反応では、1モルの尿素が、2モルのアンモニアおよび1モルの二酸化炭素に分解される。アンモニア(NH3)は、主に(>95%)アンモニウムイオン(NH4+)として存在する。なぜなら、その9.3のpKaが、溶液pHより実質的に大きいからである。形成される二酸化炭素は、溶液pHに依存して、溶解二酸化炭素として、または重炭酸イオンとしてのいずれかで存在し得る。この平衡のpKaは6.1であるので、両方の種は、使用の条件下で実質的な量で存在し得る。さらに、溶液がガス相と連通している場合、溶解二酸化炭素は、ガス相中に存在する二酸化炭素と平衡している。
【0067】
樹脂ベッドは、より多くの相を用い得るけれども、少なくとも4つの相を含む。一般に、樹脂ベッドの層は、少なくとも:ウレアーゼの層;リン酸ジルコニウムの層;酸化ジルコニウムの層;および炭素の層を備える。
【0068】
ウレアーゼの層の目的は、樹脂ベッド34を通じて流れている溶液中に存在する尿素を、アンモニアおよび二酸化炭素に酵素的に変換することである。溶液中で、アンモニアは塩基として作用する。なぜなら、アンモニアの形成はH+の寄与から生じるからである。同様に、二酸化炭素(CO2)は酸として作用する。なぜなら、重炭酸(HCO3)の形成は、溶液にH+を与えるからである。このウレアーゼ反応の正味の結果は、pHを増加することである。
【0069】
1つの実施形態では、溶液中に存在する尿素をアンモニアと二酸化炭素に変換するに十分である任意の量のウレアーゼが用いられ得るけれども、25〜250mgのウレアーゼが用いられる。好ましくは、ウレアーゼは、樹脂ベッドの第1の層または第2の層を構成する。
【0070】
種々のウレアーゼ材料が用いられ得る。例えば、ウレアーゼの架橋された酵素結晶(ウレアーゼ−CLEC)が用いられ得る。この材料は、超純粋で、かつ高い比活性を有している。従って、極小量のこのウレアーゼは、所望の尿素変換を提供するために十分である。
【0071】
例示により、必要なウレアーゼ−CLECの量は、カートリッジの2つの異なる内径、それぞれ3.25インチおよび1.25インチについて最適化された。次に、ウレアーゼ−CLECと基質流れとの間の最適接触時間を決定するために、この酵素を粉末酸化ジルコニウム(ZO)とブレンドした。表1は、>90%の尿素変換を得るために必要なウレアーゼ−CLECおよびZOの最適化された量を示している。用いた酵素の量は、40kGyγ線照射での殺菌に安定であった。すべての上記実験で用いた流速は、100ml/分であった。
【0072】
【表1】
ウレアーゼ−CLECを用いるこの特定のアプローチのために、主要な挑戦は、極小量のウレアーゼ−CLECを大量のZOとブレンドするための手順の開発にある。ここで、極小量は、限外濾過膜のポリマーマトリックス内の容易な閉じ込めに有利である。これらのウレアーゼ含浸限外濾過膜の使用は、現在利用可能な方法に対していくつかの利点を提供する:
1)より良好なウレアーゼ閉じ込め。
2)患者による増加した使用の容易性に至る減少したカートリッジサイズ。
3)カートリッジ製造の間の使用の容易性。
4)現存するシステムを超える増加した安全性(カートリッジ中のウレアーゼのより良好な閉じ込めに起因する)。
【0073】
表2は、ウレアーゼ−CLEC含浸膜を用いて種々の流速で観察された尿素変換を示す。試験された膜は、1インチの直径を有し、従って、用いた流速は、3.25インチ膜を通じるフラックス50、100および200ml/分に対応する、1.3、2.7および5.3ml/分であった。
【0074】
【表2】
観察された尿素変換は、必要とされるより低いけれども、より良好な変換が、より大量のウレアーゼ−CLECで調製された膜から予期され得る。さらに、各カートリッジにおいて2つの膜を採用することにより、より高い総尿素変換が得られ得る。
【0075】
さらなる例の目的で、アルミナ安定化ウレアーゼもまた用いられ得る。湿潤に際し、ウレアーゼは溶解するが、緊密に近接して位置しているアルミナ粒子により直ちに吸収される。最後の結果は、緊密に近接するアルミナにより物理的に吸収されるウレアーゼである。γ−照射の存在下、15kGyの用量でのγ−照射に曝されたこのウレアーゼは、その初期活性の75%を保持していた。
【0076】
ここで、リン酸ジルコニウムの層について言えば、リン酸ジルコニウムは、特定条件下で、アンモニウムイオン、カルシウム、マグネシウム、およびナトリウムを吸収し得る。アンモニウムイオンは、リン酸ジルコニウムを用いるイオン交換プロセスを経由して溶液から除去される。リン酸ジルコニウムは、2つの対イオン−水素(H+)とナトリウム(Na+)を含む。これら対イオンの放出は、溶液pHおよび樹脂の現在の負荷状態により決定される。イオン交換樹脂としてのその役割に加え、リン酸ジルコニウムはまた、相当な緩衝化能力を有している。
【0077】
樹脂の負荷状態pHが6.2である場合、そのときは、6.2より小さいpHを有する(酸性)溶液と接触するとき、この樹脂は、任意のその他のイオンの非存在下でさえ、H+と引き換えにNa+を放出する。6.2より大きいpHを有する(塩基性)溶液と接触して、この樹脂は、その他のカチオンの存在下でさえ、Na+と引き換えにH+を放出する。6.2のpHを有し、そしてアンモニウムを有する溶液と接触して、この樹脂は、NH4+をNa+およびH+の混合物で交換し、その結果、その平衡化したpHは変化しない。リン酸ジルコニウム樹脂は、アンモニウムに対する優れた容量を所有し、そしてこの容量は、所定の範囲内(pH6.0〜7.2)の平衡化pHにおける変化によって影響されない。
【0078】
リン酸ジルコニウムの所望のpHは、一部、樹脂ベッド中のその位置、例えば、除去するために設計されるコンポーネントに依存する。この目的のために、リン酸ジルコニウムの層は、約2〜約8の間のpHを有し得る。好ましくは、リン酸ジルコニウムは、約200〜約800グラムの範囲内で存在する。必要なリン酸ジルコニウムの量は、最小で、生成されるアンモニウムを除去するに十分であるその量である。生成されるアンモニウムのレベルは、カートリッジにより除去されるべきである尿素により決定される。従って、リン酸ジルコニウムの量は、アンモニウムを除去するために、リン酸ジルコニウムの容量で除される除去されるべきアンモニウムに等しく、これは、実験的に決定され得る。
【0079】
例えば、デバイス中に必要なリン酸ジルコニウムの量を決定するためのプロセスは、以下のように決定され得る。平衡データを採用して、必要なリン酸ジルコニウムの量の最初の流路推測を行う。特定量のリン酸ジルコニウムを含む所定のカートリッジについて、溶出アンモニウム濃度プロフィールが得られる。所定のカートリッジの容量を、溶出液濃度が定められたレベルを超えるときに送達されるアンモニウムの量として規定する。1つの実施形態では、この溶出液カットオフレベルは20ppmに設定される。例えば、図3からのデータでは、小さなプロトタイプデバイスについて、アンモニウム容量は、10.5gのリン酸ジルコニウムに対する約4.2mEq、3.9mEq/Lアンモニウムの入力濃度、および8.3mL/分のバルク流速である(20ppmレベルにおけるブレークスルーは、4.2mEqアンモニウムの吸収の後に生じる)。
【0080】
1つの実施形態では、必要なリン酸ジルコウニムの量は、約600〜約800gのオーダーであると考えられる。1つの実施形態では、リン酸ジルコニウムは、重さでカートリッジの半分より多くを含む。樹脂ベッド中のその位置については、好ましくは、リン酸ジルコニウムは、樹脂ベッド(炭素の層は含まない)の最後の層を除くすべてを通じ最初の層を構成し得る。さらに、複数のリン酸ジルコニウムの層が用いられ得る。
【0081】
ここで、酸化ジルコニウムの層について言えば、酸化ジルコニウム樹脂は、両性樹脂である。これは、この樹脂のイオン交換性質が、溶液pHに依存していることを意味している。溶液pHが樹脂のpIよりもかなり低い場合、この樹脂はアニオン交換樹脂として作用する。溶液pHが樹脂のpHよりかなり大きい場合、この樹脂はカチオン交換樹脂として作用する。溶液pHがそのpIに近い場合、この樹脂は、カチオンおよびアニオンの両方を交換する混合ベッドの性質を示す。後者の混合ベッドの挙動は、生理学的pH範囲を通じて起こる。
【0082】
酸化ジルコニウムの層は、リン酸塩を除去する。pHに依存して、酸化ジルコニウムの層はまた、ナトリウムを除去するように機能し得る。好ましくは、酸化ジルコニウムの層は、約6〜約13のpHを有している。
【0083】
この樹脂のリン酸塩容量は非常に高く、従って、この層のサイズは、除去される必要があるナトリウムの量に支配される。同様の様式で、酸化ジルコニウムの量は、それによって、ナトリウムを除去するために用いられている酸化ジルコニウムの容量によって決定される。図4は、グラフにより、酸化ジルコニウムのナトリウム容量をそのpHの関数として示す。
【0084】
この酸化ジルコニウムの層は、樹脂ベッドのその他のコンポーネントによって吸収されない可能性のある任意のリン酸塩を除去するように機能する。さらに、この酸化ジルコニウムの層は、カートリッジを去る溶液のpHを制御する。従って、好ましくは、この酸化ジルコニウムの層は、それが、カートリッジ32の最後の層(炭素の層は含まない)である場合、約7〜約9、そして好ましい実施形態では、約7.4のpHを有する。好ましくは、酸化ジルコニウムの層は最後の層(炭素の層は含まない)であるが、複数の酸化ジルコニウムの層が用いられ得る。
【0085】
1つの実施形態では、酸化ジルコニウムは、対イオンとしての硝酸イオンを除去することにより改変されて利用される。これに関し、硝酸イオンは、酸化ジルコニウムを15%重炭酸ナトリウム溶液で約11.3のpHまで処理することによって重炭酸イオンで交換された。次いで、この混合物を、水で大規模に洗浄し、残存する硝酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを除去した。次いで、この樹脂を減圧下RTで約24時間乾燥した。得られる樹脂(水中0.5g/mL)は約8.5のpH、および155.1us/cmの伝導率である。乾燥した樹脂は、この樹脂を水中に懸濁し、そして塩酸を7のpHが達成されるまで添加することによってさらに改変された。pH調製の後、この樹脂を洗浄して残存塩素イオンおよびナトリウムイオンを除去した。各洗浄工程の後の樹脂濾液pHおよび伝導率を測定した。洗浄1の後、ペーパーpHは6.5〜7そして伝導率は464us/cm;洗浄2の後、ペーパーpHは6.5〜7そして伝導率は186.5us/cm;そして洗浄3の後、pH(ペーパー)は6.5〜7そして伝導率は38.2us/cmであった。洗浄1および2は、混合物を沈降させ、そして次に上清液をデカントして捨てることにより実施したことを注記する。洗浄3の後、固形分を、0.2ミクロンポアサイズのナイロンフィルターを通じる減圧濾過を経由して収集した。この固形分を6〜12時間の間濾過装置上で減圧により乾燥し、最終製品を得た。
【0086】
ここで、炭素の層について言えば、炭素は、溶液中に存在し得る、クレアチニン、尿酸またはその他の有機分子を除去する。例えば、この炭素の層は、クレアチニンを除去する。このカートリッジにより除去される必要があるクレアチニンの量は、約0.5g〜約3.0gである。炭素の容量は、広範囲であり得るが、好ましくは、約50〜約200グラムの炭素が用いられる。好ましくは、この炭素は、腹膜透析溶液から30グラムより少ないグルコースを除去する能力を有するタイプである。従って、このような炭素の層は、透析溶液から過剰量のグルコースを除去しない。この点で、LP−50の名でCarbochem,Ardmore,Paにより販売されている活性炭が十分に機能することを見出した。その他の炭素もまた用いられ得る。20×50の粒子サイズを有する、ココナッツ殻をベースにする炭素もまた機能すると考えられる。この炭素の層は、好ましい実施形態ではそれは最後の層であるけれども、樹脂ベッド中の任意の層として位置決めされ得ることに注目すべきである。
【0087】
図5は、本発明の樹脂ベッド34の1つの実施形態を示す。図示される実施形態中のこの樹脂ベッド34は、5つの層60、62、63、64、および66を備える。第1の層60は、約2.5〜約5のpHを有し、そして約160グラムを含むリン酸ジルコニウムである。第2の層62は、25gmのリン酸ジルコニウム/酸化ジルコニウム中の約25〜250mgのウレアーゼ−CLECを含むウレアーゼ、またはその他の供給源から架橋されていない50〜100gmのウレアーゼの層である。第3の層63は、約7〜約7.5のpHを有するリン酸ジルコニウムを含み;好ましくは、約380グラムのリン酸ジルコニウムが存在する。第4の層64は、約5〜約7.5のpHの約50〜約75グラムの酸化ジルコニウムである。最後の層66は、約50〜約200グラムの炭素を含み、そして1つの実施形態では130グラムである。
【0088】
樹脂ベッド34において、第1の層60は、ナトリウム、Ca、およびMgを除去するために用いられる。またこの層60は、溶液のpHを調節し、第2の層62であるウレアーゼによる尿素のアンモニウムへの変換を促進する。第3の層63は、ウレアーゼの層62により生成されたアンモニウムを除去する。この目的のために、リン酸ジルコニウムは、5より大きいか、または5に等しいpHを有することが必要であり;例示の実施形態ではpHは7〜7.5である。酸化ジルコニウムの第4の層64は、リン酸塩を除去し、そしてpHを約7.4に調節する。第4の層64のサイズは、樹脂ベッド34を出る溶液のpHが所望のpHに調節されることを可能にするようであることが必要である。最後の層66は、クレアチニンを含む任意の残存する不純物を除去する炭素の層である。
【0089】
CFPDでは、約5gm尿素/日から約20gm尿素/日までのいずれかで除去することが必要である。以下の表1は、5、10、および20gmの尿素を除去するために種々の層に必要な樹脂の量を提供する。
【0090】
例えば、10gmの尿素の除去は、342mmolのアンモニアおよび171mmolの重炭酸塩を生成する。342mmolのアンモニアを除去するために図4の樹脂ベッドを用い、380gmのリン酸ジルコニウムの層(樹脂pH=6.2、アンモニア容量=0.9mmol/gm樹脂)が必要であることが見出された。342mmolのアンモニアを除去するプロセスにおいて、樹脂は、342mmolのナトリウムを溶液中に放出する。6.2のpHにあるリン酸ジルコウニムは、ナトリウムに対し0.63mmol/gm樹脂の容量を有し、それ故、342〜127mmolのナトリウムを再吸着する。その結果、層63を通過した後の溶液から、さらなる127mmolのナトリウムが除去される必要がある。これもまたリン酸ジルコニウムから構成される層60が、この量のナトリウムを除去する。この量のナトリウムを除去するために必要なリン酸ジルコニウムの量は、樹脂のpHの関数として変動し得る。表3は、127mmolのナトリウムを除去するために必要な種々のpHにおけるリン酸ジルコニウムの量を示す。ナトリウムを除去するために必要な種々のpHにおけるリン酸ジルコニウムの量は:
ナトリウム容量(mmol/gm樹脂)=7.1−1.945(ZPのpH)および0.138(ZPのpH)2に等しい。
【0091】
従って、2.5のpHにおいて、このナトリウム容量は、3.1mmol/gm ZPである。表3から、7.2のpHでは、171mmolのナトリウムを除去するために、53.4gmのリン酸ジルコニウムが必要である。
【0092】
酸化ジルコニウムの層のサイズは、全体の治療時間の間に、pHを6.2から中性に上げるために必要な量によって制御される。この量は、pHプロフィール曲線から容易に得られる。酸化ジルコニウムの1グラムは、約0.45Lの溶液のpHを6.2から中性に上げる容量を有している。透析方法の1つの実施形態では、48Lの溶液を8時間で処理することが必要であり、結果として106gmの樹脂が必要である。溶液中のすべての燐酸塩を除去するために必要な酸化ジルコウニム樹脂の量は、60〜80gmの範囲にあることが見出された。従って、pHを調節するために必要な106gmの酸化ジルコニウムがまた、リン酸塩の除去のための要求に合致する。
【0093】
【表3】
ここで図6を参照して、本発明の樹脂ベッドの別の実施形態が示される。この樹脂ベッド70は、5つの層構造を含む。これらの層は、図4の樹脂ベッド34と同様である。この点で、第1の層72はリン酸ジルコニウムであり、第2の層74はウレアーゼであり、第3の層76はリン酸ジルコニウムであり、第4の層78は酸化ジルコニウムであり、そして第5の層80は炭素である。
【0094】
しかし、第1の層72、第3の層76、および第4の層78は、図4におけるそれらの相当物とはわずかに異なっている。この点で、リン酸ジルコニウムの第1の層72は、好ましくは、約2.5〜約5のpHを有する65グラムを含む。リン酸ジルコニウムの第3の層は、5より大きい、そして好ましい実施形態では6.2のpHを有している。この層はまた、図4の実施形態におけるように、380グラムを含む。酸化ジルコニウムの第4の層は、約130グラムを含み、そして約6.8〜約7.5のpHを有している。
【0095】
樹脂ベッド70において、ここで再び、第1の層72は、ナトリウムを除去するが、アンモニウムは除去しない。第1の層72はまた、ウレアーゼの層による尿素のアンモニウムへの変換のために溶液のpHを調節する。第1の層72から来る溶液のpHは、ほぼ樹脂のpHである。樹脂のpHが低くなる程、より多くのナトリウムが除去される。溶液がウレアーゼの層74を出て、そしてリン酸ジルコニウムの第3の層76に入るとき、アンモニウムが除去される。リン酸ジルコニウムのpHが上昇するにつれてより多くのアンモニウムが除去される。アンモニウムを除去するために少なくとも5のpHが必要である。ここで再び、酸化ジルコニウムの第4の層74は、リン酸塩を除去し、そしてpHを7.4に調節する。炭素の層である最後の層80は、ここで再び、任意の残存する不純物を除去する。
【0096】
ここで図7を参照して、樹脂ベッド82のさらなる実施形態が図示されている。この実施形態では、第1の層84はウレアーゼを含む。第2の層86は、1つの実施形態で、約9.5〜約12.5のpHで酸化ジルコニウムを含む。好ましくは、100〜150グラムの酸化ジルコニウムが存在する。第3の層88は、約6.2〜約6.5のpHでリン酸ジルコニウムを含む。約680グラムが存在する。第4の層90は、約6.8〜約7.5のpHで、好ましくは約30グラムで存在する酸化ジルコニウムを含む。最後の層92は炭素を含む。
【0097】
樹脂ベッド82では、酸化ジルコニウムの層86は、その他の樹脂ベッド(34および70)中のリン酸ジルコニウムの役割で機能する。この目的のために、それは、ナトリウムを除去する。除去されるナトリウムの量は、ナトリウムを除去するための酸化ジルコニウムの容量に基づく。酸化ジルコニウムは、その高いpHに起因してナトリウムを除去するように機能する。その一方、その他の樹脂ベッド(30および70)と比較したとき、この構造の欠点の1つは、高いpHが要求されることであり、その結果、溶液が第2の層86を出るとき、それはより高いpHである。
【0098】
一般に、本発明の樹脂ベッドは、好ましくは、第1の層または第2の層のいずれかで尿素が除去されるような構造であることに注目すべきである。好ましくは、ナトリウムが除去される。ナトリウムが除去された後、次に、アンモニウムおよびリン酸塩が除去される。さらに、酸化ジルコニウムの層は、樹脂ベッドを出る溶液のpHを制御するように機能する。
【0099】
先に注記したように、カートリッジの樹脂ベッドは、4つより多くの任意の数の層を備え得る。これらの層は明確な境界を有さなくてもよく、一緒にブレンドされ得ることもまた注目すべきである。例えば、酸化ジルコニウムの層とリン酸ジルコニウムの層との間に2つの物質の勾配を有することも可能である。
【0100】
例として、そして限定ではなく、本発明のカートリッジ32の入口および出口における溶質濃度のリアルタイム値を、ここで提示する。混合および物質移動効果に起因して、これらの濃度は、システムのその他の位置では異なっている。
【0101】
【化1】
(平均値)
好ましくは、以下のパラメーターの時間平均濃度が、カートリッジ溶出液で測定されたとき、所定の境界内に維持される:
【0102】
【化2】
カートリッジからの溶出液のpHは、常時、6.5と8.0との間に維持される。
【0103】
【化3】
注記:尿素、クレアチニン、またはリン酸塩を処理する容量は、そのコンポーネントの投入濃度に依存する。所定のコンポーネントに対する容量は、溶出液濃度が定められたレベル(すなわち、入力値の10%)を超えるときカートリッジにより吸収される量であるコンポーネントブレークスルーによって規定される。安全性の理由のため、アンモニウムブレークスルーレベルは、20ppmの絶対条件で規定されている。
【0104】
上記のように、樹脂ベッドについて種々の異なる層構造がカートリッジ32内で可能である。カートリッジ32を構築することでは、カートリッジ内で生じるプロセスが考慮されなけばならない。カートリッジは、尿素、クレアチニン、リン酸塩、およびその他の毒物を除去するその主要な課題を実施するけれども、このプロセスの副産物は、3つの重要な事項:1)ナトリウム;2)pH;および3)重炭酸塩で透析液組成における変化を生じる。これら3つのパラメーターは親密に関係している。
【0105】
ナトリウムは、カートリッジ内で3つの別個のプロセスにより影響され得る:
1)アンモニウムおよびその他のカチオン(カルシウム、マグネシウム、カリウム)を交換することにおけるナトリウムの放出。吸収されるべきこれらカチオンの最大量は、約650mmolであり、約430mmolのアンモニウムおよび約200mmolのその他のカチオンからなる。この交換プロセスの間に放出されるナトリウムの量は、リン酸ジルコニウムの平衡化pH、溶液pH、および透析液中のカチオンの濃度に依存する。
【0106】
2)リン酸ジルコニウムのpH平衡。このプロセスでは、ナトリウムは、樹脂の平衡化pHとは異なる溶液のpHに応答して水素イオンを交換する。この交換は、溶液pHが平衡化pHより上であるか、または下であるかに依存していずれかの方向で生じ得る。治療の多くについて、溶液pHは、樹脂の平衡化pHより大きく、溶液からのNa+の正味の吸着を生じることが期待される。
【0107】
3)酸化ジルコニウムのイオン交換。両性樹脂として、酸化ジルコニウムは、酸化ジルコニウムの平衡pHが十分に塩基性である場合、溶液からナトリウムを除去し得る。
【0108】
4)存在する場合、混合ベッド(脱塩)樹脂によるナトリウムの吸着。吸収されるナトリウムの量は、存在する混合ベッド樹脂の量に完全に依存する。
【0109】
5)尿素の変換の際のアルカリの遊離。尿素の変換は、治療の全体を通じて連続的プロセスである。尿素の変換は、430mmolまでのアルカリに寄与し得、そして患者の尿素負荷に直接関連している。
【0110】
6)尿素の変換の間の重炭酸塩の形成。重炭酸塩の形成は、溶液を酸性にするが、この影響は、溶液から二酸化炭素を排気することにより部分的に相殺される。
【0111】
7)カートリッジループからの二酸化炭素の排気。溶液中で二酸化炭素は酸として作用する。従って、ガス相へのその移動および引き続くシステムからの排気による二酸化炭素の除去は、溶液から酸の正味の損失を生じる。
【0112】
8)リン酸ジルコニウムによる溶液の緩衝化。溶液pHは、樹脂の平衡化pHより大きく、溶液への酸(H+)の正味の放出を生じることが予想される。
【0113】
9)酸化ジルコニウムによる溶液の緩衝化。酸化ジルコニウム樹脂は、それがその平衡化pHとは異なるpHを有する溶液と接触するとき、H+/OH−交換する。
【0114】
重炭酸塩レベルは、カートリッジ内の3つの別個のプロセスにより影響され得る。
【0115】
1)尿素の変換の間の重炭酸塩の形成。1モルの二酸化炭素/重炭酸塩が、尿素のモルの各々から形成される。溶解された二酸化炭素は、以下の関係に従って重炭酸塩との平衡にある:
pH=6.2+log(HCO3−/CO2(aq))
結果として、ウレアーゼ反応の結果として形成される二酸化炭素/重炭酸塩の比は、溶液pHに依存し、より酸性条件で二酸化炭素形成に向く。形成される(二酸化炭素+重炭酸塩)の全体量は、患者の尿素負荷に依存する。
【0116】
2)カートリッジループからのCO2排気。溶解された二酸化炭素は、ガス相中の二酸化炭素の分圧と平衡している。従って、二酸化炭素は、溶液分圧がガス相の分圧を超える場合、溶液から気泡として出る。
【0117】
3)酸化ジルコニウムによる重炭酸塩の吸着。ヒドロキシル形態にある酸化ジルコニウム樹脂は、重炭酸塩を吸収し得る。逆に、重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウムは、溶液中に重炭酸塩を放出し得る。
【0118】
なされ得るカートリッジ内で可能な操作は以下のようである:
1)リン酸ジルコニウム樹脂の平衡化pHを改変すること。この樹脂の平衡化pHを低くすることにより、放出されるナトリウムの量が低減され、平均の透析液pHがより低く、そして形成される二酸化炭素の量はより大きい。この樹脂の平衡化pHを上昇させることにより、溶液pHはより生理学的になるが、放出されるナトリウムと重炭酸塩の量は増加する。
【0119】
2)酸化ジルコニウム樹脂の平衡化pHを改変すること、またはこの樹脂に種々の対イオンを負荷すること。ヒドロキシル負荷酸化ジルコニウムは、より生理学的な溶液pH、溶液からの重炭酸塩の吸着およびカチオンの増加した吸着を生じる。
【0120】
制限ではなく、例示により、以下の実験は、本発明のさらなる実施形態および分析を提示する。
【0121】
(実験No.1)
以下に提示するのは、リン酸ジルコニウムの平衡pHを改変することの透析液溶出液の組成に対する影響を調べた試験である。観察された主要な指標は、pH、ナトリウム濃度、および重炭酸塩濃度である。理想的な結果は、7.4の生理学的pHであるか、それに近い溶出液pH、完全サイズのカートリッジについて約50mEqの正味のナトリウム除去、および完全サイズのカートリッジについて約50mEqの正味の重炭酸塩付加である。これらの実験は、代表的には、gスケールのリン酸ジルコニウムで、アンモニウムブレークスルーにおける尿素濃度が、患者治療の間に予期されるカラム投入範囲にあるような様式で実施された。このスケールでは、適切な性能標的は、約1mEqの正味のナトリウム除去、および約1mEqの正味の重炭酸塩付加である(または2リットルのリザーバーについて0.5mEq/L)。
【0122】
樹脂は、以下の手順により、リン酸緩衝液で改変されて溶出液のpHを増加する。15mMのリン酸緩衝液の大リザーバーを、10.8mMの二塩基性リン酸ナトリウム、4.2mMの一塩基性リン酸ナトリウムおよび117mMの塩化ナトリウムを用いて調製した。この緩衝液を単一パスモードで樹脂のカラムを通じてポンプ輸送した。流速は、約5分の滞留時間を達成するようなスケールとした。溶出液pHを綿密にモニターし、そして溶出液pHが所望の値に到達したときに実験を停止した。
【0123】
この技法により、作用は、7.2のpHまで改変され得る。より高いpHには、同じリン酸緩衝液が調製され、そして0.1M NaOHを添加してpHを所望の値に上げる。
【0124】
改変されたリン酸ジルコニウム材料には、静止試験を実施してアンモニウムに対する平衡容量を決定した。異なる材料に対する平衡等温式は、作用濃度範囲[3〜15mM]に亘って互いから有意に差異はない。
【0125】
試験は、リザーバーとして2リットルのバッグを用いて実施し、材料を含むカラムを通じて再循環した。バッグは、シェーカーの支援により均一濃度に維持した。溶液は、カラム(単数または複数)を通じてポンプ輸送し、そして溶液バッグに戻した。このバッグは、注入部位を備えた出口ポート、およびバッグ中に延びる9.5インチの入口ポートを有している。入口ポートのバッグ中への伸長は、2つのポート間のチャネリングを最小にし、そして適正な混合を確実にする。これらの試験で用いられた溶液は、尿素および重炭酸塩でスパイクされたDianeal PD4(1.5%グルコース)であった。充填およびサンプリング手順の間に注意を払い、システムの統合性を維持することを確実にした。
【0126】
すべての試験は、10mg/dLの尿素濃度および25mMの重炭酸ナトリウム濃度を用いて実施した。この溶液の初期pHは、7.4±0.2であった。すべての試験について、10グラムのカチオン材料を用いた。2つのタイプのウレアーゼ、Altus BiologicsからのCLEC−ウレアーゼ(5〜20mg)およびSorb Technologiesからのウレアーゼ(10gアルミナと混合された5g)をこれらの試験で採用した。Sorbウレアーゼには、両端部に8μmのフィルターを備えた25mLのカラムを用いた。このウレアーゼアルミナ混合物は、2つの層のアルミナ(各々約5g)間に挟持された。Sorbtechウレアーゼは、乾燥して充填された。CLEC−ウレアーゼは、湿潤充填し、10mlカラム中で、Sephacryl(Sigma Chemicalsからの不活性クロマトグラフィー媒体)の層の間に挟持した。ウレアーゼの2つの形態間で性能における差異は観察されなかった。
【0127】
実験の前に、ウレアーゼは、Dianealを流して任意の不安定酵素または非常に極小粒子サイズ酵素を除去した。ポンプをスタートした後、カラム出口ポートを出る流体の出現により時間ゼロを定義した。サンプルを、2リットルバッグへの入口および出口の両方から経時的に回収し、そして直ちに、ナトリウム、pHおよび重炭酸塩を、血液ガスアナライザー(Chiron モデル860、Chiba Corning)を用いて分析した。
【0128】
表4は、実施された関係ある試験の要約を示す。さらなる実験は、リン酸緩衝液を用いて実施された。
【0129】
これらの試験から、樹脂のpHが(6.2より)より高いpHに改変されるとき、試験の間にpHにおける変化が低減されたことは明らかである。樹脂pHにおける増加とともに、アンモニア吸着に関する樹脂の性能は維持されるが、より多くのナトリウムがシステム中に放出される。ウレアーゼの存在は、pHにおける変化を低減することに働く。
【0130】
【表4】
(実験No.2)
上記と同じ実験セットアップ中で、ウレアーゼ、リン酸ジルコニウム、および酸化ジルコニウムを用いて実験を実施した。複数のカラムを直列に接続し、カチオンカラムの後のシステムに、酸化ジルコニウムカラムを付加した。Altus 271−6ウレアーゼ、7.2のpHまで改変されたリン酸ジルコニウムおよび酸化ジルコニウムを用いた試験の結果は、以下の図8〜10に提示されている。リン酸ジルコニウムの層によって放出されるナトリウムを相殺する、溶液からナトリウムを除去する酸化ジルコニウムの結果である、ナトリウムバランスは、試験の経過に亘り、良好に維持されることを注記しておく。溶出液pCO2レベルはまた,酸化ジルコニウムの存在下で有意により低い。改変された酸化ジルコニウムは、ナトリウムを捕獲し、そして試験の経過に亘ってナトリウムバランスを維持することを支援する。この試験は、7.1〜7.2のpHまで改変されたリン酸ジルコニウムが、より高いpHまで改変されたリン酸ジルコニウムよりもかなり良好に挙動することを示す。
【0131】
(実験No.3)
(実験セットアップ)
図11は、腹膜透析セッティングにおけるイオン交換樹脂の使用を評価するための研究で用いた実験セットアップの概略を示す。このセットアップは2つのループ100および102を含めた。患者の総流体本体を代表する15リットルのバッグ104を、このセットアップの第2のループ102中で用いた。40リットルのバッグを利用することは患者身体のより正確な推定をなし得るが、15リットルのバッグを分析の容易さのために用いた。この15リットルバッグからの流体は、ポンプ110を用いて、100mL/分の流速で透析器108の管腔側106中にポンプ輸送された。透析器108の管腔側106の出口112から、流体は、15リットルのバッグ104中に戻した。同時に、この流体が15リットルのバッグ104中に戻っているとき、患者により連続的に生成されている老廃物の総量を代表する尿素、クレアチニン、およびリン酸塩を1mL/分で注入した。この15リットルのバッグ102は、一定濃度の尿素窒素(20mg/dL)、クレアチニン(6mg/dL)、およびリン酸塩(3.1mg/dL)に維持した。初期供給溶液は、25mmol/Lの重炭酸塩、138mEq/Lのナトリウム、2.5mEq/Lのカルシウムおよび1.0mEq/Lのマグネシウムを含む。
【0132】
DI水中に、132mEq/Lのナトリウム、2.5mEq/Lのカルシウム、1.0mEq/Lのマグネシウム、および25mmol/Lの重炭酸塩を含む、4リットルのバッグ114が提供される。最初に、この4リットル溶液を用いて、透析器108およびカートリッジ116をプライムする。この溶液がカートリッジ116を出るとき、すべての毒素、そしてまたカルシウムおよびマグネシウムが完全に除去される。従って、この4リットルバッグ114に戻る流体には、15リットルのバッグ104中のカルシウムバランスおよびマグネシウムバランスを維持するようにカルシウムおよびマグネシウムが注入される。4リットルバッグ114および15リットルバッグ104の両方は、良く混合され、そして透析器118は、ゼロに近い限外濾過で作動された。
【0133】
4リットルバッグ114から、溶液は、透析器108のシェル側128中に流れる。尿素クレアチニンおよびリン酸塩は、透析器108の管腔側116からシェル側128に拡散する。透析器108を出、そしてカートリッジ116に入る溶液は、10mg/dLの尿素窒素濃度、3mg/dLのクレアチニン濃度および1mg/dLのリン酸塩を有している。透析器38のいずれかの側の流速は、100ml/分で維持される。
【0134】
カートリッジ116は、上記のように構築された。尿素クレアチニンおよびリン酸塩は、カートリッジ116の底130に流れ、それは、ウレアーゼ、種々のイオン交換樹脂、および炭素を含んでいる。上記のように、ウレアーゼは、その機能が毒性尿素をアンモニウムおよび二酸化炭素に変換することである酵素であり、このカートリッジ内の最初の層である。中央の層は、2つの異なるタイプのイオン交換樹脂、リン酸ジルコニウム(リン酸ジルコニウム)および酸化ジルコニウム(酸化ジルコニウム)を含む。リン酸ジルコニウムは、上記のように、溶液から、主に、アンモニウムイオン、カルシウム、およびマグネシウムを除去し、その一方、水素およびナトリウムを放出する。酸化ジルコニウム樹脂は、リン酸塩を除去する。最後に、炭素の層は、クレアチニン、尿酸、およびその他の有機物を溶液から除去するために用いられる。カートリッジの頂部から、次いで、流体は、当初の4リットルのバッグ114中に向かって戻る。
【0135】
この研究によれば、サンプルは、上記のセットアップにおける5つの異なる点で採取された。サンプル「1」(CIN)は、流体がカートリッジ入口に入る前に採取され;サンプル「2」(COUT)は、カートリッジを後に出るサンプルとして採取され;サンプル「3」(4L)は、4リットルバッグの流出液から直接採取され;サンプル「4」(DOUT)は、透析器の管腔から出る流体として採取され;サンプル「5」(DIN)は、透析器の管腔入口に入る前の流体を代表する。サンプルDINは、15Lバッグ34から採取され、これは、本質的に良く混合され、そして15Lの患者を代表する。
【0136】
上記の実験セットアップは、本発明のカートリッジの実施形態を評価するために用いられた。Redyカートリッジを、Sorb Technologyから得、そして上記の実験セットアップ中で用いられた。図12は、カートリッジ中の種々の層を示す。図12aは、Redyカートリッジを示し、図12bは、Redyカートリッジ1を示し、そして図12cは、Redyカートリッジ2を示す。尿素、クレアチニンおよびリン酸塩は、透析器を横切って15L患者バッグからカートリッジの底に拡散する。図11に示されるような種々の位置から5つのサンプルを採取した。サンプルを、pH、重炭酸塩およびナトリウムをオンサイトで分析した。尿素、クレアチニン、リン酸塩、カルシウム、マグネシウム、塩素イオン、乳酸塩、およびグルコースの分析もまた実施された。図13a、13b、13cは、pH、ナトリウムおよび重炭酸塩プロフィールを示す。15L患者浴中のpHは、7.546から6.156に低下し、重炭酸塩は、23.2から0.0に低下し、ナトリウムは、132.4mEqから135.2mEqに増加している。
【0137】
患者に重炭酸塩を提供する代わりに、重炭酸塩が除去され、そしてナトリウムが添加される。pHはまた低下し、そしてPCO2が増加している。表4は、この研究からのpH、ナトリウムおよび重炭酸塩プロフィールを要約している。全体で、44mEqのナトリウムが添加され、そしてすべての重炭酸塩が除去された。これは、125mEqのナトリウムの正味の獲得であった。カートリッジは、まさに、尿素、クレアチニンおよびリン酸塩を完全に除去したが、電解質要求を満足していない。従って、これら樹脂またはカートリッジは、腹膜透析の閉鎖ループセッティングまたは血液透析適用では用いることはできず、付き添いなしで用いることはできない。腹膜透析溶液の連続的再循環用のカートリッジにおける使用のための要求基準を満足し得るいくつかの組み合わせを評価した。いくつかの組み合わせは以下のようであった:
1−その標準的な形態にあるリン酸ジルコニウム(pH=6.2)とともに用いた8.85のpHの重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウム。このセットアップでは、4つの層のみが存在した。
【0138】
2−10.52と7.33の2つの異なるpHで重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウムとともに、6.5のpHでのリン酸ジルコニウム。より高いpHでは、重炭酸塩は、炭酸塩の形態である。
【0139】
3−6.5のpHでのリン酸ジルコニウムは、9.35および9.83のpHでの酸化ジルコニウムの重炭酸塩形態、ならびに7.14および7.23のpHでの酸化ジルコニウムのヒドロキシル形態を用いた。
【0140】
4−8.80のpHで重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウムとともに用いた6.49のpHのリン酸ジルコニウム。この場合においても、4層が存在した。
【0141】
5−酸化ジルコニウムは両性樹脂であるので、この樹脂は、450mlへのリン酸ジルコニウム容量の減少を可能にして、Ca++およびMg++イオンを吸着する必要がある。
【0142】
図12bおよび12cは、論議される種々の代替からの2つの代替を示す。
【0143】
図12bおよび12cは、この研究における改変されたカートリッジを示す。平衡吸着等温研究から、腹膜透析溶液中の10mg/dl尿素窒素の濃度で600mlの樹脂カラムが必要であることが示された。従って、カートリッジI(図6b)中の樹脂のサイズは、600mlである。図2bでは、(カートリッジI)第1の層はウレアーゼであり、第2の層は、リン酸ジルコニウム(pH=6.5、容量=200mL)であり、第3の層は、炭酸塩形態にある酸化ジルコニウム(pH=9.48、容量=100mL)であり、第4の層は、リン酸ジルコニウム(pH=6.5、容量=400mL)であり、そして第5の層は、ヒドロキシル形態にある酸化ジルコニウム(pH=7.38、容量=30mL)であり、最後の層は炭素である。用いられる第3の酸化ジルコニウム(高pH)は、カチオンを吸着するのみならず、それはまた、リン酸ジルコニウム樹脂のpHを上昇し得る。この樹脂で用いられる対イオンは、重炭酸イオン、炭酸イオンまたはヒドロキシルであり得る。この層は、カルシウム、マグネシウムを吸着し得、それ故、リン酸ジルコニウムの層のサイズは、それがアンモニアを吸着するためのみであるときは低減する。リン酸イオンもまた、その他のカチオンとともにこの層に吸着される。第5の層は酸化ジルコニウム(pH=7.38)であり、リン酸イオンおよびある程度のナトリウムを吸着するために用いられる。しかし、リン酸ジルコニウム樹脂からリン酸イオンの浸出がない場合、この層は必要ではない。最後の層は炭素であり、これは再び、いずれの場所にも配置され得る。
【0144】
図14a、14bおよび14cは、総治療時間に亘る、pH、ナトリウムおよびビカーボネートのプロフィールを示す。表5は、pH、ナトリウムおよびビカーボネートのプロフィールを要約している。15リットルの患者バッグ中のpHは、7.49から6.9になっている。ナトウリムが患者(15リットルのバッグ)から除去され、約57mEqが除去されている。これら樹脂は、それが、初期には、約20分程度の間にナトリウムを除去し、そして次にカートリッジがゆっくりとナトリウムを後ろに添加するように設計されている。同様の傾向が、重炭酸塩の場合にも観察されており、また約22.5mEqの重炭酸塩が15リットルの患者に戻して添加される。この実験では、図14dに示されるように、4.94gmの尿素窒素が処理され(10.6gmの尿素)、これは、353mmol/Lのアンモニアおよび176mmolの重炭酸塩を生じる。Redyカートリッジ運転では、124mEqのナトリウムが添加されたが、本発明の本発明者のカートリッジでは、5mEqのみのナトリウムが循環中に戻して添加される。本発明のカートリッジでは、正味の重炭酸塩利得は、約59mEqであった。しかし、このカートリッジの運転では、重炭酸塩は完全に除去された。15リットルの患者ループ中のpHは、6.15に低下し、そしてすべての重炭酸塩が除去された。
【0145】
図12cは、図10に記載される実験のセットアップで用いられたカートリッジIIを示す。リン酸ジルコニウムの量は、450mlまで減少させた。層2および4は、10.52および7.33のpHにある炭酸塩および重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウムであった。表6は、この運転からの結果を要約する。この運転では、層2における酸化ジルコニウムのpHは、それがカチオンに対するより良好な容量を有するようにより高かった。約97.5mEqのナトリウムが15リットルの患者バッグから除去され、そして15mEqの重炭酸塩が除去された。62mEqのナトリウムの正味の除去があった。5mEqの重炭酸塩の添加が流れ中にある。重炭酸塩プロフィールは、この運転で改良され得る。ここで、本発明者らはまた、同じ量の尿素を除去するためにリン酸ジルコニウムの量を減少した。
【0146】
図15a、15bおよび15cは、全治療時間に亘るpH、重炭酸塩およびナトウリムプロフィールを示す。図15dは、尿素変換を示す。この実験では、重炭酸塩樹脂のより高いpHを利用し、そしてまたリン酸ジルコニウム樹脂は450mlのみであった。
【0147】
【表5】
【0148】
【表6】
【0149】
【表7】
本明細書に記載されている現在好ましい実施形態に対する種々の変更および改変は当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変更および改変は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、かつその意図される利点を無くすことなくなされ得る。それ故、このような変更および改変は、添付の請求項によってカバーされること意図される。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は一般に処理の方法に関する。より詳細には、本発明は、透析プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
疾患または障害またはその他の原因に起因して、腎臓システムは不全になり得る。任意の原因の腎不全において、いくつかの生理学的混乱がある。水、ミネラル(Na、K、Cl、Ca、P、Mg、SO4)、と、固定された水素イオンの毎日の代謝負荷の排泄とのバランスは、腎不全ではもはや可能ではない。腎不全の間、窒素代謝の毒性最終産物(尿素、クレアチニン、尿酸、およびその他)は、血液および組織中に蓄積し得る。
【0003】
透析プロセスは、濃度勾配の下方への半透過性の膜を横切る拡散(拡散性の溶質移動)による溶液中のエレメントの分離のために考案された。原則的には、透析は、2つの方法:血液透析および腹膜透析を含む。
【0004】
血液透析処理は、患者の血液を利用して、患者から、老廃物、毒素、および過剰の水を除去する。患者は、血液透析機械に接続され、患者の血液が、この機械を通じてポンプ輸送される。カテーテルが患者の静脈および動脈中に挿入され、血液流れを、この血液透析機械まで接続し、かつこの機械から接続される。老廃物、毒素および過剰の水は、患者の血液から除去され、そして血液は患者中に注入して戻される。血液透析処理は、数時間持続し、そして、一般に、1週間あたり約3または4回処理センターで実施される。
【0005】
腹膜透析は、患者の腹腔中に注入される、透析溶液および透析液を利用する。透析液は、腹腔中の患者の腹膜に接触する。老廃物、毒素および過剰の水は、患者の血流から、腹膜を通って透析液中に通過する。血流から透析液中への老廃物、毒素および過剰の水の移動は、拡散および浸透圧に起因して起こる。使用済み透析液は、患者の腹腔から排液され、患者から、老廃物、毒素および水を取り除く。
【0006】
種々のタイプの腹膜透析があり、これには、連続携行式腹膜透析(CAPD)および自動化腹膜透析(APD)が含まれる。CAPDは、患者が、使用済み流体を排液し、そして腹腔からこれを排液することを可能にするための移植カテーテルを接続する、手動透析処理である。次いで、患者は、新鮮透析液のバッグを接続し、そしてカテーテルを通じ、そして患者の腹腔中に手動でこの新鮮透析液を注入する。患者は、新鮮透析液バッグからカテーテルをはずし、そして透析液を腹腔内に滞留させ、老廃物、毒素、および過剰の水を、患者の血流から透析溶液中に移す。滞留期間の後、患者は、この手動透析手順を繰り返す。
【0007】
CAPDでは、患者は、一日の間に数回、例えば、1日あたり約4回の排液、充填、および滞留のサイクルを実施する。代表的には、各処理のサイクルは、約3〜4時間を要する。患者によって実施される手動腹膜透析は、患者による相当量の時間および努力を必要とする。患者は、日常的には不便であり、患者の生活の質を改善するための治療増強のための十分な機会がある。
【0008】
自動化腹膜透析は、透析処理が排液、充填、および滞留サイクルを含むという点で連続腹膜透析に類似している。しかし、透析機械は、代表的には、患者が寝ている間一晩に3〜4サイクルの腹膜透析処理を自動的に実施する。
【0009】
この目的のため、透析機械が、移植カテーテルに流体接続されている。この透析機械はまた、透析液溶液のバッグのような新鮮透析液の供給源に、および流体ドレインに流体接続されている。この透析機械は、このカテーテルを通じてドレインに、腹腔から使用済み透析液をポンプ輸送する。次に、この透析機械は、カテーテルを通じ、そして患者の腹腔中に、透析液供給源から新鮮透析液をポンプ輸送する。この透析機械は、透析液を、腹腔内に滞留させ、老廃物、毒素、および過剰の水を、患者の血流から透析液溶液中に移すことを可能にする。この透析機械は、コンピューター制御され、その結果、透析処理は、患者が透析機械に接続されているとき、例えば、一晩、自動的に行われる。
【0010】
数回の排液、充填、および滞留サイクルがこの処理の間に起こる。また、代表的には、最後の充填は、この自動化透析処理の最後で用いられ、その結果、患者は、透析機械からはずされ、そして透析液が腹腔中に残る間、日常の活動を継続し得る。自動化腹膜透析は、患者を、手動で、排液、充填、および滞留サイクルを実施することから解放し、かつ、患者の透析処理および生活の質を改善し得る。
【0011】
最近の開発および治療を考慮して、伝統的な腹膜透析と血液透析との間の線が不鮮明になってきた。例えば、いくつかの治療では、両方の治療のコンポーネントを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
最近の治療は、再生透析である。このシステムでは、透析液再生のためのカートリッジを含む透析システムが用いられる。カートリッジは、ジルコニウムを基礎にした樹脂を含む樹脂ベッドを含む。このようなシステムで用いられるカートリッジの例は、Redy by Sorb Technology、Oklahoma City、Oklahomaの名の下で製造されている。しかし、このシステムは、医療要員の不断の注意を必要としている。さらに、このカートリッジによって再生される透析液は、所望されないナトリウムおよびpHレベルである。この点で、この透析溶液は、生理学的pHまたは電解質含量を有していない。これは、透析溶液が患者の腹腔中に再注入されるべき場合に特に問題である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、患者に透析を提供するための改良されたシステムおよび方法を提供する。より詳細には、1つの実施形態で、本発明は、再生透析治療のためのシステム、カートリッジ、および方法を提供する。しかし、本発明のカートリッジは、血液透析治療および腹膜透析治療ならびに急性透析を含む種々の治療で用いられ得ることに注目すべきである。
【0014】
この目的のために、1つの実施形態では、透析手順において尿毒症毒素を除去するためのデバイスが提供され、このデバイスは、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を備え、そして該デバイスは、該デバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該ウレアーゼ層または該リン酸ジルコニウム層と接触する前に該酸化ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている。
【0015】
1つの実施形態では、前記酸化ジルコニウムは、重炭酸塩形態にある。
【0016】
1つの実施形態では、前記酸化ジルコニウムは、ヒドロキシル形態にある。
【0017】
1つの実施形態では、前記炭素の層は、前記出口に並列に位置決めされている。
【0018】
1つの実施形態では、前記流体は、前記炭素の層に侵入する前に酸化ジルコニウムの層を通じて流れる。
【0019】
1つの実施形態では、前記リン酸ジルコニウムは、約2〜約8のpHを有している。
【0020】
1つの実施形態では、前記酸化ジルコニウムは、約6〜約13のpHを有している。
【0021】
1つの実施形態では、2つの別個のリン酸ジルコニウムの層が提供される。
【0022】
1つの実施形態では、2つの別個の酸化ジルコニウムの層が提供される。
【0023】
1つの実施形態では、前記デバイスの入口端部および出口端部の各々に解放ヘッダーが提供される。
【0024】
1つの実施形態では、前記出口の端部に位置決めされる、ガスを大気に排出するための開口部が提供される。
【0025】
1つの実施形態では、前記ウレアーゼの層が第1の層である。
【0026】
1つの実施形態では、前記リン酸ジルコニウムの層が、前記酸化ジルコニウムの層の前に位置決めされている。
【0027】
本発明のさらなる実施形態では、毒素を除去するための透析システムにおける使用のための、入口端部および出口端部を有する本体を備えるカートリッジが提供される。この本体は、少なくとも4つの層を含む内部であって、該層が、約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される樹脂の第1の層、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される樹脂の第2の層、リン酸ジルコニウムの第3の層、および約6.5〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムの第4の層を含む内部を含む。この内部は、第1の入口端部から該内部に侵入する流体が、該第1の層、次いで該第2の層、次いで該第3の層、および次いで該第4の層を通って流れるように構成かつ配列されている。
【0028】
1つの実施形態では、前記第1の層は、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む。
【0029】
1つの実施形態では、前記第4の層は、約50〜約200グラムの炭素を含む。
【0030】
1つの実施形態では、前記ウレアーゼは、架橋された酵素である。
【0031】
なお別の実施形態では、透析溶液を再生するためのデバイスが提供される。このデバイスは、樹脂ベッドを含む本体を備える。この樹脂ベッドは、少なくとも、ウレアーゼ、リン酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、および炭素の層を含み、そして塩基性または酸性のいずれかであるpHを有する透析溶液が該樹脂ベッドを通過した後に、約7から約7.8のpHでカートリッジを出るように構成かつ配列されている。
【0032】
1つの実施形態では、前記溶液が接触する前記樹脂ベッドの第1の層が、約2.0〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される。
【0033】
1つの実施形態では、前記樹脂ベッド中の前記溶液が通過する第2の層が、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される。
【0034】
1つの実施形態では、前記溶液が通過する前記樹脂ベッドの第3の層は、リン酸ジルコニウムである。
【0035】
1つの実施形態では、前記溶液が通過するカートリッジの第4の層は、約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムである。
【0036】
1つの実施形態では、前記カートリッジを出る溶液のpHは約7.4である。
【0037】
さらなる実施形態では、透析溶液で患者を処理するためのシステムにおける使用のためのデバイスが提供される。このデバイスは、透析溶液の供給源と流体連結している、入口、該入口を含み、そして内部を規定し、かつ出口を有する本体であって、3層構造を規定する、ウレアーゼの層、酸化ジルコニウムの層、およびリン酸ジルコニウムの層を含む樹脂ベッドを含む、本体を含む。この樹脂ベッドは、該透析溶液に接触する該3層構造の第1の層が該ウレアーゼの層または該リン酸ジルコニウムの層のいずれかであるように配向され、かつ該酸化ジルコニウムの層が該入口に侵入する塩基性または酸性の透析溶液が生理学的に受容可能なpHで該出口から出るように構成かつ配列されている。
【0038】
1つの実施形態では、上記デバイスは、再生透析システムで用いられる。
【0039】
なおさらなる1つの実施形態では、透析を提供するためのシステムにおける使用のためのカートリッジを構築する方法が提供される。この方法は、酸化ジルコニウムおよびリン酸ジルコニウムを含む樹脂ベッドを提供する工程、および該酸化ジルコニウムの層およびリン酸ジルコニウムの層を、該カートリッジが、該樹脂ベッドに侵入する透析溶液中に存在する尿毒症毒素を除去することを可能にするように選択し、配向する工程、および該カートリッジを出る透析溶液が、生理的pHを有し、かつ生理学的に受容可能な電解質バランスを含むようにする工程を包含する。
【0040】
1つの実施形態では、この方法は、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を提供する工程;およびデバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該酸化ジルコニウム層のウレアーゼ層と接触する前に該リン酸ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている、デバイスを提供する工程、を包含する。
【0041】
なおさらなる実施形態では、透析を提供する方法であって、透析流体を、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体を通過させることによって尿毒症毒素を取り除く工程であって、該内部が少なくとも4つの層を含み、第1の層が約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第2の層が約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第3の層がリン酸ジルコニウムを含み、および第4の層が約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムを含む、工程を包含する方法が提供される。
【0042】
さらに、1つの実施形態では、再生透析を提供する方法であって、透析流体を、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体を通過させることによって尿毒症毒素を除去する工程であって、該内部が少なくとも4つの層を含み、第1の層が約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第2の層が約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第3の層がリン酸ジルコニウムを含み、および第4の層が約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムを含む、工程を包含する方法が提供される。
【0043】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)
透析手順において尿毒症毒素を除去するためのデバイスであって:
入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を備え;そして
該デバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該ウレアーゼ層または該酸化ジルコニウム層と接触する前に該リン酸ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている、デバイス。
(項目2)
前記酸化ジルコニウムが硝酸イオンを除去するように改変されている、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記酸化ジルコニウムが、ヒドロキシル形態にある、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
前記炭素の層が、前記出口に並列に位置決めされている、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
前記流体が、前記炭素の層に侵入する前に酸化ジルコニウムの層を通じて流れる、項目4に記載のデバイス。
(項目6)
前記リン酸ジルコニウムが、約2〜約8のpHを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
前記酸化ジルコニウムが、約6〜約13のpHを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目8)
2つの別個のリン酸ジルコニウムの層を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
2つの別個の酸化ジルコニウムの層を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
前記デバイスの入口端部および出口端部の各々に開口ヘッダーを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
前記出口の端部に位置決めされる、ガスを大気に排出するための開口部を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目12)
毒素を除去するための透析システムにおける使用のためのカートリッジであって:
入口端部および出口端部を有する本体;
少なくとも4つの層を含む内部であって、該層が、約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される樹脂の第1の層、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される樹脂の第2の層、リン酸ジルコニウムの第3の層、および約6.5〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムの第4の層を含む、内部、を備え、そして
該内部が、第1の入口端部から該内部に侵入する流体が、該第1の層、次いで該第2の層、次いで該第3の層、および次いで該第4の層を通って流れるように構成かつ配列されている、カートリッジ。
(項目13)
前記酸化ジルコニウムが、硝酸イオンを除去し、そしてそれを重炭酸イオンに置き換える、項目12に記載のカートリッジ。
(項目14)
前記酸化ジルコニウムが、ヒドロキシル形態にある、項目12に記載のカートリッジ。
(項目15)
前記出口に並列に位置決めされている炭素の層を備える、項目12に記載のカートリッジ。
(項目16)
前記第1の層が、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む、項目12に記載のデバイス。
(項目17)
前記第4の層が、約50〜約200グラムの炭素を含む、項目12に記載のデバイス。
(項目18)
前記ウレアーゼが、架橋された酵素結晶ウレアーゼである、項目12に記載のデバイス。(項目19)
透析溶液を再生するためのデバイスであって:樹脂ベッドを含む本体を備え;そして
該樹脂ベッドが、少なくとも、ウレアーゼ、リン酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、および炭素の層を含み、そして塩基性または酸性のいずれかであるpHを有する透析溶液が該樹脂ベッドを通過した後に、約7〜約7.8のpHでカートリッジを出るように構成かつ配列されている、デバイス。
(項目20)
前記溶液が接触する前記樹脂ベッドの第1の層が、約2.0〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される、項目19に記載のデバイス。(項目21)
前記樹脂ベッド中の前記溶液が通過する第2の層が、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される、項目19に記載のデバイス。
(項目22)
前記溶液が接触する前記樹脂ベッドの第3の層が、リン酸ジルコニウムである、項目19に記載のデバイス。
(項目23)
前記溶液が接触するカートリッジの第4の層が、約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムである、項目19に記載のデバイス。
(項目24)
前記カートリッジを出る溶液のpHが約7.4である、項目19に記載のデバイス。
(項目25)
前記第1の層が、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む、項目19に記載のデバイス。
(項目26)
前記炭素の層が、透析溶液から、30グラムより少ないグルコースを除去する、項目19に記載のデバイス。
(項目27)
前記ウレアーゼが、架橋された酵素結晶ウレアーゼである、項目19に記載のデバイス。(項目28)
透析溶液で患者を処置するためのシステムにおける使用のためのデバイスであって:
透析溶液の供給源と流体連結している、入口;
該入口を含み、そして内部を規定し、かつ出口を有する本体であって、3層構造を規定する、ウレアーゼの層、酸化ジルコニウムの層、およびリン酸ジルコニウムの層を含む樹脂ベッドを含む、本体;および
該透析溶液に接触する該3層構造の第1の層が該ウレアーゼの層または該リン酸ジルコニウムの層のいずれかであるように配向され、かつ該酸化ジルコニウムの層が該入口に侵入する塩基性または酸性の透析溶液が生理学的に受容可能なpHで該出口から出るように構成かつ配列されている、該樹脂ベッド、を備える、デバイス。
(項目29)
再生透析システムで用いられる、項目28に記載のデバイス。
(項目30)
前記溶液が接触する前記樹脂ベッドの第1の層が、約2.0〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される、項目28に記載のデバイス。(項目31)
前記溶液が通過する前記樹脂ベッド中の第2の層が、約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムおよびウレアーゼからなる群から選択される、項目28に記載のデバイス。
(項目32)
前記樹脂ベッドが、少なくとも4つの層を含む、項目28に記載のデバイス。
(項目33)
前記酸化ジルコニウムの層が、約6.8〜約7.5のpHを有する、項目28に記載のデバイス。
(項目34)
前記カートリッジを出る溶液のpHが、約7.2〜7.6である、項目28に記載のデバイス。
(項目35)
前記第1の層が、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む、項目28に記載のデバイス。
(項目36)
過剰量のグルコースを除去しないように選択されている炭素の層を含む、項目28に記載のデバイス。
(項目37)
透析を提供するためのシステムにおける使用のためのカートリッジを構築する方法であって、
酸化ジルコニウムおよびリン酸ジルコニウムを含む樹脂ベッドを提供する工程、および
該酸化ジルコニウムの層およびリン酸ジルコニウムの層を、該樹脂ベッドが、該樹脂ベッドに侵入する透析溶液中に存在する尿毒症毒素を除去することを可能にするように選択および配向する工程、および
該カートリッジを出る透析溶液が、生理的pHを有し、かつ生理学的に受容可能な電解質バランスを含むようにする工程、を包含する、方法。
(項目38)
入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体であって、該内部が、ウレアーゼを含む層、酸化ジルコニウムを含む層、リン酸ジルコニウムを含む層、および炭素を含む層を含む、本体を提供する工程;およびデバイスに侵入する流体が、該デバイスに侵入するに際し、該酸化ジルコニウム層で該ウレアーゼ層と接触する前に該リン酸ジルコニウム層と接触するように構成かつ配列されている、デバイスを提供する工程、を包含する、-項目
37に記載の方法。
(項目39)
前記リン酸ジルコニウムが、約2〜約8のpHを有する、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記酸化ジルコニウムが、約6〜約13のpHを有する、項目37に記載の方法。
(項目41)
2つの別個のリン酸ジルコニウムの層を含む、項目37に記載の方法。
(項目42)
2つの別個の酸化ジルコニウムの層を含む、項目37に記載の方法。
(項目43)
前記樹脂が、約200〜約800gのリン酸ジルコニウムを含む、項目37に記載の方
法。
(項目44)
前記樹脂ベッドが、約50〜約200グラムの炭素を含む、項目37に記載の方法。
(項目45)
前記ウレアーゼが架橋された酵素結晶ウレアーゼである、項目38に記載の方法。
(項目46)
透析を提供する方法であって、
透析流体を、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体を通過させる工程であって、該内部が少なくとも4つの層を含み、第1の層が約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第2の層が約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第3の層がリン酸ジルコニウムを含み、および第4の層が約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムを含む、工程を包含する、方法。
(項目47)
溶液が接触する前記本体の第4の層が、約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムである、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記本体が、2つの別個の酸化ジルコニウムの層を含む、項目46に記載の方法。
(項目49)
前記酸化ジルコニウムが、重炭酸塩形態である、項目46に記載の方法。
(項目50)
前記酸化ジルコニウムが、ヒドロキシル形態である、項目46に記載の方法。
(項目51)
前記本体が、前記出口の端部に並列に位置決めされる炭素の層を含む、項目46に記載の方法。
(項目52)
前記第1の層が、約200〜約800グラムのリン酸ジルコニウムを含む、項目46に記載の方法。
(項目53)
前記第4の層が、約50〜約200グラムの炭素を含む、項目46に記載の方法。
(項目54)
前記ウレアーゼが、架橋された酵素結晶ウレアーゼである、項目46に記載の方法。
(項目55)
再生透析を提供する方法であって、
透析流体を、入口および出口を有し、かつ内部を規定する本体を通過させることによって少なくともいくらかの尿毒症毒素を除去する工程であって、該内部が少なくとも4つの層を含み、第1の層が約2.5〜約5のpHを有するリン酸ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第2の層が約9〜約13のpHを有する酸化ジルコニウムまたはウレアーゼを含み、第3の層がリン酸ジルコニウムを含み、および第4の層が約6.8〜約7.5のpHを有する酸化ジルコニウムを含む、工程を包含する、方法。
(項目56)
前記透析流体が前記本体を出るときの該透析流体のpHが約7.4である、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記本体に侵入する前の前記透析流体のpHが酸性である、項目55に記載の方法。
(項目58)
前記本体に侵入する前の前記透析流体のpHが塩基性である、項目55に記載の方法。
【発明の効果】
【0044】
本発明の利点は、改善された透析手順が提供されることである。
【0045】
さらに、本発明の利点は、透析流体から不純物を除去するための改良されたカートリッジを提供することである。
【0046】
なお、本発明の利点は、透析を提供するための改良されたシステムを提供することである。
【0047】
さらに、本発明の利点は、単一ループまたは複数ループシステムで用いられ得る改良されたカートリッジを提供することである。
【0048】
さらに、本発明の利点は、透析システム用のカートリッジのための改良された樹脂ベッドを提供することである。
【0049】
さらに、本発明の利点は、カートリッジを出る透析溶液が生理学的pHおよび電解質含量を有するように構成かつ配列された改良カートリッジを提供することである。
本発明のさらなる特徴および利点は、現在好ましい実施形態の詳細な説明、および図面に記載され、かつそれらから明瞭である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明による透析を実施するためのシステムを概略的に示す。
【図2】図2は、本発明のカートリッジの実施形態の断面図を示す。
【図3】図3は、2つの提供者(Sorb Technologiesおよびmagenesium elekton)から入手可能なリン酸ジルコニウムについて、アンモニウム溶出濃度(ppm)対送達されたアンモニム量(mEq)をグラフにより示す。
【図4】図4は、酸化ジルコニウムpHの関数としてナトリウム容量をグラフにより示す。
【図5】図5は、本発明のカートリッジの樹脂ベッドの実施形態の断面図を示す。
【図6】図6は、本発明のカートリッジの樹脂ベッドのさらなる実施形態の断面図を示す。
【図7】図7は、本発明のカートリッジの樹脂ベッドのさらなる実施形態の断面図を示す。
【図8】図8は、実験No.2の結果をグラフにより示す。
【図9】図9は、実験No.2の結果をグラフにより示す。
【図10】図10は、実験No.2の結果をグラフにより示す。
【図11】図11は、本発明のカートリッジを試験するために実験No.3で用いられたシステムを示す。
【図12A】図12は、実験No.3で用いられたカートリッジの層の断面図を示す。
【図12B】図12は、実験No.3で用いられたカートリッジの層の断面図を示す。
【図12C】図12は、実験No.3で用いられたカートリッジの層の断面図を示す。
【図13A】図13Aは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図13B】図13Bは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図13C】図13Cは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図14A】図14Aは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図14B】図14Bは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図14C】図14Cは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図14D】図14Dは、実験No.1による経時的な尿素変換を示す。
【図15A】図15Aは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図15B】図15Bは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図15C】図15Cは、実験No.1で追跡されたpH、サンプルの重炭酸ナトリウムプロフィールを示す。
【図15D】図15Dは、実験No.1による経時的な尿素変換を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(現在好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、透析処理を提供する方法に関する。さらに、本発明は、透析を提供するためのシステムに関する。より詳細には、1つの実施形態で、本発明は、尿毒症毒素を除去するために用いられる改良されたカートリッジを提供する。
【0052】
好ましい実施形態において、本発明は、連続流れ腹膜透析手順における使用のためのシステムおよびコンポーネントに関する。しかし、本発明は、血液透析および腹膜透析を含む透析を提供するための種々の方法で用いられ得ることを注目すべきである。
【0053】
連続流れ腹膜透析は、連続的に、溶液を腹膜中に注入し、かつ腹膜から排液することにより達成される。例えば、閉鎖ループ透析または再循環透析が用いられ、そこでは、上記溶液が、連続的に患者に再循環される。これは、処置のために必要な溶液の量を実質的に減少する利点を有し得る。しかし、患者により要求される正確なグルコースおよび電解質要求を備えた溶液を再生することが必要である。この治療は、主に夜に実施されるために設計される。
【0054】
一般に、上記システムは、ポンプカセット、カートリッジ、透析器、および濃縮溶液を含む使い捨てカセットを備える。図1は、一般に、本発明による透析処理を提供するためのシステム10の概略を示す。
【0055】
図1に示されるように、2つのループ:患者ループ11;および再生ループ12が提供される。しかし、本発明は、1つのみのループまたは2つより多いループを備えるシステムで用いられ得ることに注目すべきである。患者ループ11は、透析液で患者14を透析するために用いられる。再生ループ12は、透析液を再生するために用いられる。ほぼ図示されるように、透析液は、患者ループ11内にあるバッグからカテーテル24を通じて患者14中にポンプ輸送される。次いで、使用済み流体は、患者14から透析器20中に戻される。
【0056】
種々のコンポーネントがこの患者ループで用いられ得る。好ましい実施形態では、二重管腔カテーテル24が用いられる。この二重カテーテルは、患者の腹腔中およびそれからの連続流れを提供する。この目的のために、この二重管腔カテーテルが患者中に移植される。本発明のシステム10における使用のためのカテーテルの例は、2000年10月12日に出願され、そして本明細書中にその開示が参考として援用される「腹膜透析カテーテル」と題する米国特許出願第09/689,508号に開示されている。しかし、2つの単一管腔カテーテルが単一管腔カテーテルと同様に用いられ得ることに注目すべきである。
【0057】
透析液を再生するために、再生ループ12が提供される。例示の実施形態では、この再生ループ12は、好ましくは、コンテナー26中の濃縮物、カートリッジ32、限外濾過(UF)ポンプ、および透析器20を経由する患者ループ11と連絡するUF収集手段を含む。濃縮ポンプは、流体経路27を通じてコンテナーからこの濃縮物26をポンプ輸送するために提供される。この再生ループ中の流体は、透析器20を通じて、対向流れ様式で、患者ループ11内の流体にポンプ輸送される。
【0058】
透析器20は、患者ループ11内に、使用済み透析液から、水ならびに尿素およびクレアチニンのような小溶質を除去するために提供される。この透析器20は、患者ループ11と再生ループ12との間に殺菌独立バリアを提供する。この透析器を横切る小分子の高いクリアランスを提供する任意の透析器20が用いられ得る。尿酸が、この透析器を通って拡散し、限外濾過物もまた除去される。
【0059】
本発明のカートリッジ32は、2つのループシステムで用いられて図示されているけれども、それは、その他のシステムにおいて用いられ得ることに注目すべきである。例えば、このカートリッジが、1つのループシステムで用いられ得ることが想定される。
【0060】
ここで、図2を参照して、本発明のカートリッジ32の実施形態の断面図が示されている。このカートリッジ32は、再循環する透析液の化学物質を改変し、そして尿毒症毒素を除去するために設計されている樹脂ベッド34を含む。同時に、本発明に従って、このカートリッジ32は、透析液の電解質濃度および溶液pHを生理学的レベルに維持する。
【0061】
カートリッジ32は、一般に、:主本体40、入口キャップ42、樹脂ベッド34、および出口キャップ44を備える。図示された実施形態では、流体は、カートリッジ32の底46に位置決めされている入口キャップ42を通じてカートリッジ32中に経路をとる。例示の実施形態では、樹脂ベッド34の前の小さな開放ヘッダーチャンバー48が、流体の流れを、カートリッジ32の断面、そしてそれによって樹脂ベッド34を均一に横切って分散するために用いられる。この流体は、好ましくは、樹脂ベッド34を通って上に流れる。
【0062】
図示される実施形態では、樹脂ベッド34の最終セクションの下流に、別の開放ヘッダーチャンバー50が位置決めされている。この第2の開放ヘッダーチャンバー50は、ガス分離チャンバー52の前に位置決めされる。この第2のヘッダーチャンバー50は、樹脂ベッド34を通じる均一流体速度分布を維持するために用いられる。
【0063】
ガス分離チャンバー52中の液体レベルは特定範囲内に維持され、カートリッジ32中の液体の上の空気スペースを提供する。治療の間に生成されるガス、例えば、二酸化炭素は、カートリッジ32から、出口キャップ44上の通路54を通じて環境に放出される。所望であれば、この通路54は、フィルター部材を含み得る。ガス分離チャンバー52中の浸漬、または部分的に浸漬されたバリアが、ガスを液体出口に引き抜かれることから制限する流れパターンを生成する。
【0064】
カートリッジ32の出口キャップ44に、液体出口ポート58が位置決めされている。この液体出口ポート58は、サイホン作用を用い、出口キャップ44を通じて、カートリッジ32のチャンバーから液体を除去する。所望であれば、さらなるポートを用い、流体流出物の化学的組成を再構築するために、このガス分離チャンバー中の液体容量に化学的濃縮物を添加し得る。
【0065】
1つの実施形態において、このカートリッジ32の内部は粗表面を有している。この粗表面は、樹脂ベッド34を通過することによって、流体が外部側面に沿って流れることを防ぐように設計されている。
【0066】
樹脂ベッド34は、一部、老廃物を除去するように機能する。この点で、一般に、老廃物は、2ステッププロセスを用いて除去される。これらのステップは、ウレアーゼを用いる尿素の酵素的変換、次の転換副産物の引き続く除去からなる。この酵素反応では、1モルの尿素が、2モルのアンモニアおよび1モルの二酸化炭素に分解される。アンモニア(NH3)は、主に(>95%)アンモニウムイオン(NH4+)として存在する。なぜなら、その9.3のpKaが、溶液pHより実質的に大きいからである。形成される二酸化炭素は、溶液pHに依存して、溶解二酸化炭素として、または重炭酸イオンとしてのいずれかで存在し得る。この平衡のpKaは6.1であるので、両方の種は、使用の条件下で実質的な量で存在し得る。さらに、溶液がガス相と連通している場合、溶解二酸化炭素は、ガス相中に存在する二酸化炭素と平衡している。
【0067】
樹脂ベッドは、より多くの相を用い得るけれども、少なくとも4つの相を含む。一般に、樹脂ベッドの層は、少なくとも:ウレアーゼの層;リン酸ジルコニウムの層;酸化ジルコニウムの層;および炭素の層を備える。
【0068】
ウレアーゼの層の目的は、樹脂ベッド34を通じて流れている溶液中に存在する尿素を、アンモニアおよび二酸化炭素に酵素的に変換することである。溶液中で、アンモニアは塩基として作用する。なぜなら、アンモニアの形成はH+の寄与から生じるからである。同様に、二酸化炭素(CO2)は酸として作用する。なぜなら、重炭酸(HCO3)の形成は、溶液にH+を与えるからである。このウレアーゼ反応の正味の結果は、pHを増加することである。
【0069】
1つの実施形態では、溶液中に存在する尿素をアンモニアと二酸化炭素に変換するに十分である任意の量のウレアーゼが用いられ得るけれども、25〜250mgのウレアーゼが用いられる。好ましくは、ウレアーゼは、樹脂ベッドの第1の層または第2の層を構成する。
【0070】
種々のウレアーゼ材料が用いられ得る。例えば、ウレアーゼの架橋された酵素結晶(ウレアーゼ−CLEC)が用いられ得る。この材料は、超純粋で、かつ高い比活性を有している。従って、極小量のこのウレアーゼは、所望の尿素変換を提供するために十分である。
【0071】
例示により、必要なウレアーゼ−CLECの量は、カートリッジの2つの異なる内径、それぞれ3.25インチおよび1.25インチについて最適化された。次に、ウレアーゼ−CLECと基質流れとの間の最適接触時間を決定するために、この酵素を粉末酸化ジルコニウム(ZO)とブレンドした。表1は、>90%の尿素変換を得るために必要なウレアーゼ−CLECおよびZOの最適化された量を示している。用いた酵素の量は、40kGyγ線照射での殺菌に安定であった。すべての上記実験で用いた流速は、100ml/分であった。
【0072】
【表1】
ウレアーゼ−CLECを用いるこの特定のアプローチのために、主要な挑戦は、極小量のウレアーゼ−CLECを大量のZOとブレンドするための手順の開発にある。ここで、極小量は、限外濾過膜のポリマーマトリックス内の容易な閉じ込めに有利である。これらのウレアーゼ含浸限外濾過膜の使用は、現在利用可能な方法に対していくつかの利点を提供する:
1)より良好なウレアーゼ閉じ込め。
2)患者による増加した使用の容易性に至る減少したカートリッジサイズ。
3)カートリッジ製造の間の使用の容易性。
4)現存するシステムを超える増加した安全性(カートリッジ中のウレアーゼのより良好な閉じ込めに起因する)。
【0073】
表2は、ウレアーゼ−CLEC含浸膜を用いて種々の流速で観察された尿素変換を示す。試験された膜は、1インチの直径を有し、従って、用いた流速は、3.25インチ膜を通じるフラックス50、100および200ml/分に対応する、1.3、2.7および5.3ml/分であった。
【0074】
【表2】
観察された尿素変換は、必要とされるより低いけれども、より良好な変換が、より大量のウレアーゼ−CLECで調製された膜から予期され得る。さらに、各カートリッジにおいて2つの膜を採用することにより、より高い総尿素変換が得られ得る。
【0075】
さらなる例の目的で、アルミナ安定化ウレアーゼもまた用いられ得る。湿潤に際し、ウレアーゼは溶解するが、緊密に近接して位置しているアルミナ粒子により直ちに吸収される。最後の結果は、緊密に近接するアルミナにより物理的に吸収されるウレアーゼである。γ−照射の存在下、15kGyの用量でのγ−照射に曝されたこのウレアーゼは、その初期活性の75%を保持していた。
【0076】
ここで、リン酸ジルコニウムの層について言えば、リン酸ジルコニウムは、特定条件下で、アンモニウムイオン、カルシウム、マグネシウム、およびナトリウムを吸収し得る。アンモニウムイオンは、リン酸ジルコニウムを用いるイオン交換プロセスを経由して溶液から除去される。リン酸ジルコニウムは、2つの対イオン−水素(H+)とナトリウム(Na+)を含む。これら対イオンの放出は、溶液pHおよび樹脂の現在の負荷状態により決定される。イオン交換樹脂としてのその役割に加え、リン酸ジルコニウムはまた、相当な緩衝化能力を有している。
【0077】
樹脂の負荷状態pHが6.2である場合、そのときは、6.2より小さいpHを有する(酸性)溶液と接触するとき、この樹脂は、任意のその他のイオンの非存在下でさえ、H+と引き換えにNa+を放出する。6.2より大きいpHを有する(塩基性)溶液と接触して、この樹脂は、その他のカチオンの存在下でさえ、Na+と引き換えにH+を放出する。6.2のpHを有し、そしてアンモニウムを有する溶液と接触して、この樹脂は、NH4+をNa+およびH+の混合物で交換し、その結果、その平衡化したpHは変化しない。リン酸ジルコニウム樹脂は、アンモニウムに対する優れた容量を所有し、そしてこの容量は、所定の範囲内(pH6.0〜7.2)の平衡化pHにおける変化によって影響されない。
【0078】
リン酸ジルコニウムの所望のpHは、一部、樹脂ベッド中のその位置、例えば、除去するために設計されるコンポーネントに依存する。この目的のために、リン酸ジルコニウムの層は、約2〜約8の間のpHを有し得る。好ましくは、リン酸ジルコニウムは、約200〜約800グラムの範囲内で存在する。必要なリン酸ジルコニウムの量は、最小で、生成されるアンモニウムを除去するに十分であるその量である。生成されるアンモニウムのレベルは、カートリッジにより除去されるべきである尿素により決定される。従って、リン酸ジルコニウムの量は、アンモニウムを除去するために、リン酸ジルコニウムの容量で除される除去されるべきアンモニウムに等しく、これは、実験的に決定され得る。
【0079】
例えば、デバイス中に必要なリン酸ジルコニウムの量を決定するためのプロセスは、以下のように決定され得る。平衡データを採用して、必要なリン酸ジルコニウムの量の最初の流路推測を行う。特定量のリン酸ジルコニウムを含む所定のカートリッジについて、溶出アンモニウム濃度プロフィールが得られる。所定のカートリッジの容量を、溶出液濃度が定められたレベルを超えるときに送達されるアンモニウムの量として規定する。1つの実施形態では、この溶出液カットオフレベルは20ppmに設定される。例えば、図3からのデータでは、小さなプロトタイプデバイスについて、アンモニウム容量は、10.5gのリン酸ジルコニウムに対する約4.2mEq、3.9mEq/Lアンモニウムの入力濃度、および8.3mL/分のバルク流速である(20ppmレベルにおけるブレークスルーは、4.2mEqアンモニウムの吸収の後に生じる)。
【0080】
1つの実施形態では、必要なリン酸ジルコウニムの量は、約600〜約800gのオーダーであると考えられる。1つの実施形態では、リン酸ジルコニウムは、重さでカートリッジの半分より多くを含む。樹脂ベッド中のその位置については、好ましくは、リン酸ジルコニウムは、樹脂ベッド(炭素の層は含まない)の最後の層を除くすべてを通じ最初の層を構成し得る。さらに、複数のリン酸ジルコニウムの層が用いられ得る。
【0081】
ここで、酸化ジルコニウムの層について言えば、酸化ジルコニウム樹脂は、両性樹脂である。これは、この樹脂のイオン交換性質が、溶液pHに依存していることを意味している。溶液pHが樹脂のpIよりもかなり低い場合、この樹脂はアニオン交換樹脂として作用する。溶液pHが樹脂のpHよりかなり大きい場合、この樹脂はカチオン交換樹脂として作用する。溶液pHがそのpIに近い場合、この樹脂は、カチオンおよびアニオンの両方を交換する混合ベッドの性質を示す。後者の混合ベッドの挙動は、生理学的pH範囲を通じて起こる。
【0082】
酸化ジルコニウムの層は、リン酸塩を除去する。pHに依存して、酸化ジルコニウムの層はまた、ナトリウムを除去するように機能し得る。好ましくは、酸化ジルコニウムの層は、約6〜約13のpHを有している。
【0083】
この樹脂のリン酸塩容量は非常に高く、従って、この層のサイズは、除去される必要があるナトリウムの量に支配される。同様の様式で、酸化ジルコニウムの量は、それによって、ナトリウムを除去するために用いられている酸化ジルコニウムの容量によって決定される。図4は、グラフにより、酸化ジルコニウムのナトリウム容量をそのpHの関数として示す。
【0084】
この酸化ジルコニウムの層は、樹脂ベッドのその他のコンポーネントによって吸収されない可能性のある任意のリン酸塩を除去するように機能する。さらに、この酸化ジルコニウムの層は、カートリッジを去る溶液のpHを制御する。従って、好ましくは、この酸化ジルコニウムの層は、それが、カートリッジ32の最後の層(炭素の層は含まない)である場合、約7〜約9、そして好ましい実施形態では、約7.4のpHを有する。好ましくは、酸化ジルコニウムの層は最後の層(炭素の層は含まない)であるが、複数の酸化ジルコニウムの層が用いられ得る。
【0085】
1つの実施形態では、酸化ジルコニウムは、対イオンとしての硝酸イオンを除去することにより改変されて利用される。これに関し、硝酸イオンは、酸化ジルコニウムを15%重炭酸ナトリウム溶液で約11.3のpHまで処理することによって重炭酸イオンで交換された。次いで、この混合物を、水で大規模に洗浄し、残存する硝酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを除去した。次いで、この樹脂を減圧下RTで約24時間乾燥した。得られる樹脂(水中0.5g/mL)は約8.5のpH、および155.1us/cmの伝導率である。乾燥した樹脂は、この樹脂を水中に懸濁し、そして塩酸を7のpHが達成されるまで添加することによってさらに改変された。pH調製の後、この樹脂を洗浄して残存塩素イオンおよびナトリウムイオンを除去した。各洗浄工程の後の樹脂濾液pHおよび伝導率を測定した。洗浄1の後、ペーパーpHは6.5〜7そして伝導率は464us/cm;洗浄2の後、ペーパーpHは6.5〜7そして伝導率は186.5us/cm;そして洗浄3の後、pH(ペーパー)は6.5〜7そして伝導率は38.2us/cmであった。洗浄1および2は、混合物を沈降させ、そして次に上清液をデカントして捨てることにより実施したことを注記する。洗浄3の後、固形分を、0.2ミクロンポアサイズのナイロンフィルターを通じる減圧濾過を経由して収集した。この固形分を6〜12時間の間濾過装置上で減圧により乾燥し、最終製品を得た。
【0086】
ここで、炭素の層について言えば、炭素は、溶液中に存在し得る、クレアチニン、尿酸またはその他の有機分子を除去する。例えば、この炭素の層は、クレアチニンを除去する。このカートリッジにより除去される必要があるクレアチニンの量は、約0.5g〜約3.0gである。炭素の容量は、広範囲であり得るが、好ましくは、約50〜約200グラムの炭素が用いられる。好ましくは、この炭素は、腹膜透析溶液から30グラムより少ないグルコースを除去する能力を有するタイプである。従って、このような炭素の層は、透析溶液から過剰量のグルコースを除去しない。この点で、LP−50の名でCarbochem,Ardmore,Paにより販売されている活性炭が十分に機能することを見出した。その他の炭素もまた用いられ得る。20×50の粒子サイズを有する、ココナッツ殻をベースにする炭素もまた機能すると考えられる。この炭素の層は、好ましい実施形態ではそれは最後の層であるけれども、樹脂ベッド中の任意の層として位置決めされ得ることに注目すべきである。
【0087】
図5は、本発明の樹脂ベッド34の1つの実施形態を示す。図示される実施形態中のこの樹脂ベッド34は、5つの層60、62、63、64、および66を備える。第1の層60は、約2.5〜約5のpHを有し、そして約160グラムを含むリン酸ジルコニウムである。第2の層62は、25gmのリン酸ジルコニウム/酸化ジルコニウム中の約25〜250mgのウレアーゼ−CLECを含むウレアーゼ、またはその他の供給源から架橋されていない50〜100gmのウレアーゼの層である。第3の層63は、約7〜約7.5のpHを有するリン酸ジルコニウムを含み;好ましくは、約380グラムのリン酸ジルコニウムが存在する。第4の層64は、約5〜約7.5のpHの約50〜約75グラムの酸化ジルコニウムである。最後の層66は、約50〜約200グラムの炭素を含み、そして1つの実施形態では130グラムである。
【0088】
樹脂ベッド34において、第1の層60は、ナトリウム、Ca、およびMgを除去するために用いられる。またこの層60は、溶液のpHを調節し、第2の層62であるウレアーゼによる尿素のアンモニウムへの変換を促進する。第3の層63は、ウレアーゼの層62により生成されたアンモニウムを除去する。この目的のために、リン酸ジルコニウムは、5より大きいか、または5に等しいpHを有することが必要であり;例示の実施形態ではpHは7〜7.5である。酸化ジルコニウムの第4の層64は、リン酸塩を除去し、そしてpHを約7.4に調節する。第4の層64のサイズは、樹脂ベッド34を出る溶液のpHが所望のpHに調節されることを可能にするようであることが必要である。最後の層66は、クレアチニンを含む任意の残存する不純物を除去する炭素の層である。
【0089】
CFPDでは、約5gm尿素/日から約20gm尿素/日までのいずれかで除去することが必要である。以下の表1は、5、10、および20gmの尿素を除去するために種々の層に必要な樹脂の量を提供する。
【0090】
例えば、10gmの尿素の除去は、342mmolのアンモニアおよび171mmolの重炭酸塩を生成する。342mmolのアンモニアを除去するために図4の樹脂ベッドを用い、380gmのリン酸ジルコニウムの層(樹脂pH=6.2、アンモニア容量=0.9mmol/gm樹脂)が必要であることが見出された。342mmolのアンモニアを除去するプロセスにおいて、樹脂は、342mmolのナトリウムを溶液中に放出する。6.2のpHにあるリン酸ジルコウニムは、ナトリウムに対し0.63mmol/gm樹脂の容量を有し、それ故、342〜127mmolのナトリウムを再吸着する。その結果、層63を通過した後の溶液から、さらなる127mmolのナトリウムが除去される必要がある。これもまたリン酸ジルコニウムから構成される層60が、この量のナトリウムを除去する。この量のナトリウムを除去するために必要なリン酸ジルコニウムの量は、樹脂のpHの関数として変動し得る。表3は、127mmolのナトリウムを除去するために必要な種々のpHにおけるリン酸ジルコニウムの量を示す。ナトリウムを除去するために必要な種々のpHにおけるリン酸ジルコニウムの量は:
ナトリウム容量(mmol/gm樹脂)=7.1−1.945(ZPのpH)および0.138(ZPのpH)2に等しい。
【0091】
従って、2.5のpHにおいて、このナトリウム容量は、3.1mmol/gm ZPである。表3から、7.2のpHでは、171mmolのナトリウムを除去するために、53.4gmのリン酸ジルコニウムが必要である。
【0092】
酸化ジルコニウムの層のサイズは、全体の治療時間の間に、pHを6.2から中性に上げるために必要な量によって制御される。この量は、pHプロフィール曲線から容易に得られる。酸化ジルコニウムの1グラムは、約0.45Lの溶液のpHを6.2から中性に上げる容量を有している。透析方法の1つの実施形態では、48Lの溶液を8時間で処理することが必要であり、結果として106gmの樹脂が必要である。溶液中のすべての燐酸塩を除去するために必要な酸化ジルコウニム樹脂の量は、60〜80gmの範囲にあることが見出された。従って、pHを調節するために必要な106gmの酸化ジルコニウムがまた、リン酸塩の除去のための要求に合致する。
【0093】
【表3】
ここで図6を参照して、本発明の樹脂ベッドの別の実施形態が示される。この樹脂ベッド70は、5つの層構造を含む。これらの層は、図4の樹脂ベッド34と同様である。この点で、第1の層72はリン酸ジルコニウムであり、第2の層74はウレアーゼであり、第3の層76はリン酸ジルコニウムであり、第4の層78は酸化ジルコニウムであり、そして第5の層80は炭素である。
【0094】
しかし、第1の層72、第3の層76、および第4の層78は、図4におけるそれらの相当物とはわずかに異なっている。この点で、リン酸ジルコニウムの第1の層72は、好ましくは、約2.5〜約5のpHを有する65グラムを含む。リン酸ジルコニウムの第3の層は、5より大きい、そして好ましい実施形態では6.2のpHを有している。この層はまた、図4の実施形態におけるように、380グラムを含む。酸化ジルコニウムの第4の層は、約130グラムを含み、そして約6.8〜約7.5のpHを有している。
【0095】
樹脂ベッド70において、ここで再び、第1の層72は、ナトリウムを除去するが、アンモニウムは除去しない。第1の層72はまた、ウレアーゼの層による尿素のアンモニウムへの変換のために溶液のpHを調節する。第1の層72から来る溶液のpHは、ほぼ樹脂のpHである。樹脂のpHが低くなる程、より多くのナトリウムが除去される。溶液がウレアーゼの層74を出て、そしてリン酸ジルコニウムの第3の層76に入るとき、アンモニウムが除去される。リン酸ジルコニウムのpHが上昇するにつれてより多くのアンモニウムが除去される。アンモニウムを除去するために少なくとも5のpHが必要である。ここで再び、酸化ジルコニウムの第4の層74は、リン酸塩を除去し、そしてpHを7.4に調節する。炭素の層である最後の層80は、ここで再び、任意の残存する不純物を除去する。
【0096】
ここで図7を参照して、樹脂ベッド82のさらなる実施形態が図示されている。この実施形態では、第1の層84はウレアーゼを含む。第2の層86は、1つの実施形態で、約9.5〜約12.5のpHで酸化ジルコニウムを含む。好ましくは、100〜150グラムの酸化ジルコニウムが存在する。第3の層88は、約6.2〜約6.5のpHでリン酸ジルコニウムを含む。約680グラムが存在する。第4の層90は、約6.8〜約7.5のpHで、好ましくは約30グラムで存在する酸化ジルコニウムを含む。最後の層92は炭素を含む。
【0097】
樹脂ベッド82では、酸化ジルコニウムの層86は、その他の樹脂ベッド(34および70)中のリン酸ジルコニウムの役割で機能する。この目的のために、それは、ナトリウムを除去する。除去されるナトリウムの量は、ナトリウムを除去するための酸化ジルコニウムの容量に基づく。酸化ジルコニウムは、その高いpHに起因してナトリウムを除去するように機能する。その一方、その他の樹脂ベッド(30および70)と比較したとき、この構造の欠点の1つは、高いpHが要求されることであり、その結果、溶液が第2の層86を出るとき、それはより高いpHである。
【0098】
一般に、本発明の樹脂ベッドは、好ましくは、第1の層または第2の層のいずれかで尿素が除去されるような構造であることに注目すべきである。好ましくは、ナトリウムが除去される。ナトリウムが除去された後、次に、アンモニウムおよびリン酸塩が除去される。さらに、酸化ジルコニウムの層は、樹脂ベッドを出る溶液のpHを制御するように機能する。
【0099】
先に注記したように、カートリッジの樹脂ベッドは、4つより多くの任意の数の層を備え得る。これらの層は明確な境界を有さなくてもよく、一緒にブレンドされ得ることもまた注目すべきである。例えば、酸化ジルコニウムの層とリン酸ジルコニウムの層との間に2つの物質の勾配を有することも可能である。
【0100】
例として、そして限定ではなく、本発明のカートリッジ32の入口および出口における溶質濃度のリアルタイム値を、ここで提示する。混合および物質移動効果に起因して、これらの濃度は、システムのその他の位置では異なっている。
【0101】
【化1】
(平均値)
好ましくは、以下のパラメーターの時間平均濃度が、カートリッジ溶出液で測定されたとき、所定の境界内に維持される:
【0102】
【化2】
カートリッジからの溶出液のpHは、常時、6.5と8.0との間に維持される。
【0103】
【化3】
注記:尿素、クレアチニン、またはリン酸塩を処理する容量は、そのコンポーネントの投入濃度に依存する。所定のコンポーネントに対する容量は、溶出液濃度が定められたレベル(すなわち、入力値の10%)を超えるときカートリッジにより吸収される量であるコンポーネントブレークスルーによって規定される。安全性の理由のため、アンモニウムブレークスルーレベルは、20ppmの絶対条件で規定されている。
【0104】
上記のように、樹脂ベッドについて種々の異なる層構造がカートリッジ32内で可能である。カートリッジ32を構築することでは、カートリッジ内で生じるプロセスが考慮されなけばならない。カートリッジは、尿素、クレアチニン、リン酸塩、およびその他の毒物を除去するその主要な課題を実施するけれども、このプロセスの副産物は、3つの重要な事項:1)ナトリウム;2)pH;および3)重炭酸塩で透析液組成における変化を生じる。これら3つのパラメーターは親密に関係している。
【0105】
ナトリウムは、カートリッジ内で3つの別個のプロセスにより影響され得る:
1)アンモニウムおよびその他のカチオン(カルシウム、マグネシウム、カリウム)を交換することにおけるナトリウムの放出。吸収されるべきこれらカチオンの最大量は、約650mmolであり、約430mmolのアンモニウムおよび約200mmolのその他のカチオンからなる。この交換プロセスの間に放出されるナトリウムの量は、リン酸ジルコニウムの平衡化pH、溶液pH、および透析液中のカチオンの濃度に依存する。
【0106】
2)リン酸ジルコニウムのpH平衡。このプロセスでは、ナトリウムは、樹脂の平衡化pHとは異なる溶液のpHに応答して水素イオンを交換する。この交換は、溶液pHが平衡化pHより上であるか、または下であるかに依存していずれかの方向で生じ得る。治療の多くについて、溶液pHは、樹脂の平衡化pHより大きく、溶液からのNa+の正味の吸着を生じることが期待される。
【0107】
3)酸化ジルコニウムのイオン交換。両性樹脂として、酸化ジルコニウムは、酸化ジルコニウムの平衡pHが十分に塩基性である場合、溶液からナトリウムを除去し得る。
【0108】
4)存在する場合、混合ベッド(脱塩)樹脂によるナトリウムの吸着。吸収されるナトリウムの量は、存在する混合ベッド樹脂の量に完全に依存する。
【0109】
5)尿素の変換の際のアルカリの遊離。尿素の変換は、治療の全体を通じて連続的プロセスである。尿素の変換は、430mmolまでのアルカリに寄与し得、そして患者の尿素負荷に直接関連している。
【0110】
6)尿素の変換の間の重炭酸塩の形成。重炭酸塩の形成は、溶液を酸性にするが、この影響は、溶液から二酸化炭素を排気することにより部分的に相殺される。
【0111】
7)カートリッジループからの二酸化炭素の排気。溶液中で二酸化炭素は酸として作用する。従って、ガス相へのその移動および引き続くシステムからの排気による二酸化炭素の除去は、溶液から酸の正味の損失を生じる。
【0112】
8)リン酸ジルコニウムによる溶液の緩衝化。溶液pHは、樹脂の平衡化pHより大きく、溶液への酸(H+)の正味の放出を生じることが予想される。
【0113】
9)酸化ジルコニウムによる溶液の緩衝化。酸化ジルコニウム樹脂は、それがその平衡化pHとは異なるpHを有する溶液と接触するとき、H+/OH−交換する。
【0114】
重炭酸塩レベルは、カートリッジ内の3つの別個のプロセスにより影響され得る。
【0115】
1)尿素の変換の間の重炭酸塩の形成。1モルの二酸化炭素/重炭酸塩が、尿素のモルの各々から形成される。溶解された二酸化炭素は、以下の関係に従って重炭酸塩との平衡にある:
pH=6.2+log(HCO3−/CO2(aq))
結果として、ウレアーゼ反応の結果として形成される二酸化炭素/重炭酸塩の比は、溶液pHに依存し、より酸性条件で二酸化炭素形成に向く。形成される(二酸化炭素+重炭酸塩)の全体量は、患者の尿素負荷に依存する。
【0116】
2)カートリッジループからのCO2排気。溶解された二酸化炭素は、ガス相中の二酸化炭素の分圧と平衡している。従って、二酸化炭素は、溶液分圧がガス相の分圧を超える場合、溶液から気泡として出る。
【0117】
3)酸化ジルコニウムによる重炭酸塩の吸着。ヒドロキシル形態にある酸化ジルコニウム樹脂は、重炭酸塩を吸収し得る。逆に、重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウムは、溶液中に重炭酸塩を放出し得る。
【0118】
なされ得るカートリッジ内で可能な操作は以下のようである:
1)リン酸ジルコニウム樹脂の平衡化pHを改変すること。この樹脂の平衡化pHを低くすることにより、放出されるナトリウムの量が低減され、平均の透析液pHがより低く、そして形成される二酸化炭素の量はより大きい。この樹脂の平衡化pHを上昇させることにより、溶液pHはより生理学的になるが、放出されるナトリウムと重炭酸塩の量は増加する。
【0119】
2)酸化ジルコニウム樹脂の平衡化pHを改変すること、またはこの樹脂に種々の対イオンを負荷すること。ヒドロキシル負荷酸化ジルコニウムは、より生理学的な溶液pH、溶液からの重炭酸塩の吸着およびカチオンの増加した吸着を生じる。
【0120】
制限ではなく、例示により、以下の実験は、本発明のさらなる実施形態および分析を提示する。
【0121】
(実験No.1)
以下に提示するのは、リン酸ジルコニウムの平衡pHを改変することの透析液溶出液の組成に対する影響を調べた試験である。観察された主要な指標は、pH、ナトリウム濃度、および重炭酸塩濃度である。理想的な結果は、7.4の生理学的pHであるか、それに近い溶出液pH、完全サイズのカートリッジについて約50mEqの正味のナトリウム除去、および完全サイズのカートリッジについて約50mEqの正味の重炭酸塩付加である。これらの実験は、代表的には、gスケールのリン酸ジルコニウムで、アンモニウムブレークスルーにおける尿素濃度が、患者治療の間に予期されるカラム投入範囲にあるような様式で実施された。このスケールでは、適切な性能標的は、約1mEqの正味のナトリウム除去、および約1mEqの正味の重炭酸塩付加である(または2リットルのリザーバーについて0.5mEq/L)。
【0122】
樹脂は、以下の手順により、リン酸緩衝液で改変されて溶出液のpHを増加する。15mMのリン酸緩衝液の大リザーバーを、10.8mMの二塩基性リン酸ナトリウム、4.2mMの一塩基性リン酸ナトリウムおよび117mMの塩化ナトリウムを用いて調製した。この緩衝液を単一パスモードで樹脂のカラムを通じてポンプ輸送した。流速は、約5分の滞留時間を達成するようなスケールとした。溶出液pHを綿密にモニターし、そして溶出液pHが所望の値に到達したときに実験を停止した。
【0123】
この技法により、作用は、7.2のpHまで改変され得る。より高いpHには、同じリン酸緩衝液が調製され、そして0.1M NaOHを添加してpHを所望の値に上げる。
【0124】
改変されたリン酸ジルコニウム材料には、静止試験を実施してアンモニウムに対する平衡容量を決定した。異なる材料に対する平衡等温式は、作用濃度範囲[3〜15mM]に亘って互いから有意に差異はない。
【0125】
試験は、リザーバーとして2リットルのバッグを用いて実施し、材料を含むカラムを通じて再循環した。バッグは、シェーカーの支援により均一濃度に維持した。溶液は、カラム(単数または複数)を通じてポンプ輸送し、そして溶液バッグに戻した。このバッグは、注入部位を備えた出口ポート、およびバッグ中に延びる9.5インチの入口ポートを有している。入口ポートのバッグ中への伸長は、2つのポート間のチャネリングを最小にし、そして適正な混合を確実にする。これらの試験で用いられた溶液は、尿素および重炭酸塩でスパイクされたDianeal PD4(1.5%グルコース)であった。充填およびサンプリング手順の間に注意を払い、システムの統合性を維持することを確実にした。
【0126】
すべての試験は、10mg/dLの尿素濃度および25mMの重炭酸ナトリウム濃度を用いて実施した。この溶液の初期pHは、7.4±0.2であった。すべての試験について、10グラムのカチオン材料を用いた。2つのタイプのウレアーゼ、Altus BiologicsからのCLEC−ウレアーゼ(5〜20mg)およびSorb Technologiesからのウレアーゼ(10gアルミナと混合された5g)をこれらの試験で採用した。Sorbウレアーゼには、両端部に8μmのフィルターを備えた25mLのカラムを用いた。このウレアーゼアルミナ混合物は、2つの層のアルミナ(各々約5g)間に挟持された。Sorbtechウレアーゼは、乾燥して充填された。CLEC−ウレアーゼは、湿潤充填し、10mlカラム中で、Sephacryl(Sigma Chemicalsからの不活性クロマトグラフィー媒体)の層の間に挟持した。ウレアーゼの2つの形態間で性能における差異は観察されなかった。
【0127】
実験の前に、ウレアーゼは、Dianealを流して任意の不安定酵素または非常に極小粒子サイズ酵素を除去した。ポンプをスタートした後、カラム出口ポートを出る流体の出現により時間ゼロを定義した。サンプルを、2リットルバッグへの入口および出口の両方から経時的に回収し、そして直ちに、ナトリウム、pHおよび重炭酸塩を、血液ガスアナライザー(Chiron モデル860、Chiba Corning)を用いて分析した。
【0128】
表4は、実施された関係ある試験の要約を示す。さらなる実験は、リン酸緩衝液を用いて実施された。
【0129】
これらの試験から、樹脂のpHが(6.2より)より高いpHに改変されるとき、試験の間にpHにおける変化が低減されたことは明らかである。樹脂pHにおける増加とともに、アンモニア吸着に関する樹脂の性能は維持されるが、より多くのナトリウムがシステム中に放出される。ウレアーゼの存在は、pHにおける変化を低減することに働く。
【0130】
【表4】
(実験No.2)
上記と同じ実験セットアップ中で、ウレアーゼ、リン酸ジルコニウム、および酸化ジルコニウムを用いて実験を実施した。複数のカラムを直列に接続し、カチオンカラムの後のシステムに、酸化ジルコニウムカラムを付加した。Altus 271−6ウレアーゼ、7.2のpHまで改変されたリン酸ジルコニウムおよび酸化ジルコニウムを用いた試験の結果は、以下の図8〜10に提示されている。リン酸ジルコニウムの層によって放出されるナトリウムを相殺する、溶液からナトリウムを除去する酸化ジルコニウムの結果である、ナトリウムバランスは、試験の経過に亘り、良好に維持されることを注記しておく。溶出液pCO2レベルはまた,酸化ジルコニウムの存在下で有意により低い。改変された酸化ジルコニウムは、ナトリウムを捕獲し、そして試験の経過に亘ってナトリウムバランスを維持することを支援する。この試験は、7.1〜7.2のpHまで改変されたリン酸ジルコニウムが、より高いpHまで改変されたリン酸ジルコニウムよりもかなり良好に挙動することを示す。
【0131】
(実験No.3)
(実験セットアップ)
図11は、腹膜透析セッティングにおけるイオン交換樹脂の使用を評価するための研究で用いた実験セットアップの概略を示す。このセットアップは2つのループ100および102を含めた。患者の総流体本体を代表する15リットルのバッグ104を、このセットアップの第2のループ102中で用いた。40リットルのバッグを利用することは患者身体のより正確な推定をなし得るが、15リットルのバッグを分析の容易さのために用いた。この15リットルバッグからの流体は、ポンプ110を用いて、100mL/分の流速で透析器108の管腔側106中にポンプ輸送された。透析器108の管腔側106の出口112から、流体は、15リットルのバッグ104中に戻した。同時に、この流体が15リットルのバッグ104中に戻っているとき、患者により連続的に生成されている老廃物の総量を代表する尿素、クレアチニン、およびリン酸塩を1mL/分で注入した。この15リットルのバッグ102は、一定濃度の尿素窒素(20mg/dL)、クレアチニン(6mg/dL)、およびリン酸塩(3.1mg/dL)に維持した。初期供給溶液は、25mmol/Lの重炭酸塩、138mEq/Lのナトリウム、2.5mEq/Lのカルシウムおよび1.0mEq/Lのマグネシウムを含む。
【0132】
DI水中に、132mEq/Lのナトリウム、2.5mEq/Lのカルシウム、1.0mEq/Lのマグネシウム、および25mmol/Lの重炭酸塩を含む、4リットルのバッグ114が提供される。最初に、この4リットル溶液を用いて、透析器108およびカートリッジ116をプライムする。この溶液がカートリッジ116を出るとき、すべての毒素、そしてまたカルシウムおよびマグネシウムが完全に除去される。従って、この4リットルバッグ114に戻る流体には、15リットルのバッグ104中のカルシウムバランスおよびマグネシウムバランスを維持するようにカルシウムおよびマグネシウムが注入される。4リットルバッグ114および15リットルバッグ104の両方は、良く混合され、そして透析器118は、ゼロに近い限外濾過で作動された。
【0133】
4リットルバッグ114から、溶液は、透析器108のシェル側128中に流れる。尿素クレアチニンおよびリン酸塩は、透析器108の管腔側116からシェル側128に拡散する。透析器108を出、そしてカートリッジ116に入る溶液は、10mg/dLの尿素窒素濃度、3mg/dLのクレアチニン濃度および1mg/dLのリン酸塩を有している。透析器38のいずれかの側の流速は、100ml/分で維持される。
【0134】
カートリッジ116は、上記のように構築された。尿素クレアチニンおよびリン酸塩は、カートリッジ116の底130に流れ、それは、ウレアーゼ、種々のイオン交換樹脂、および炭素を含んでいる。上記のように、ウレアーゼは、その機能が毒性尿素をアンモニウムおよび二酸化炭素に変換することである酵素であり、このカートリッジ内の最初の層である。中央の層は、2つの異なるタイプのイオン交換樹脂、リン酸ジルコニウム(リン酸ジルコニウム)および酸化ジルコニウム(酸化ジルコニウム)を含む。リン酸ジルコニウムは、上記のように、溶液から、主に、アンモニウムイオン、カルシウム、およびマグネシウムを除去し、その一方、水素およびナトリウムを放出する。酸化ジルコニウム樹脂は、リン酸塩を除去する。最後に、炭素の層は、クレアチニン、尿酸、およびその他の有機物を溶液から除去するために用いられる。カートリッジの頂部から、次いで、流体は、当初の4リットルのバッグ114中に向かって戻る。
【0135】
この研究によれば、サンプルは、上記のセットアップにおける5つの異なる点で採取された。サンプル「1」(CIN)は、流体がカートリッジ入口に入る前に採取され;サンプル「2」(COUT)は、カートリッジを後に出るサンプルとして採取され;サンプル「3」(4L)は、4リットルバッグの流出液から直接採取され;サンプル「4」(DOUT)は、透析器の管腔から出る流体として採取され;サンプル「5」(DIN)は、透析器の管腔入口に入る前の流体を代表する。サンプルDINは、15Lバッグ34から採取され、これは、本質的に良く混合され、そして15Lの患者を代表する。
【0136】
上記の実験セットアップは、本発明のカートリッジの実施形態を評価するために用いられた。Redyカートリッジを、Sorb Technologyから得、そして上記の実験セットアップ中で用いられた。図12は、カートリッジ中の種々の層を示す。図12aは、Redyカートリッジを示し、図12bは、Redyカートリッジ1を示し、そして図12cは、Redyカートリッジ2を示す。尿素、クレアチニンおよびリン酸塩は、透析器を横切って15L患者バッグからカートリッジの底に拡散する。図11に示されるような種々の位置から5つのサンプルを採取した。サンプルを、pH、重炭酸塩およびナトリウムをオンサイトで分析した。尿素、クレアチニン、リン酸塩、カルシウム、マグネシウム、塩素イオン、乳酸塩、およびグルコースの分析もまた実施された。図13a、13b、13cは、pH、ナトリウムおよび重炭酸塩プロフィールを示す。15L患者浴中のpHは、7.546から6.156に低下し、重炭酸塩は、23.2から0.0に低下し、ナトリウムは、132.4mEqから135.2mEqに増加している。
【0137】
患者に重炭酸塩を提供する代わりに、重炭酸塩が除去され、そしてナトリウムが添加される。pHはまた低下し、そしてPCO2が増加している。表4は、この研究からのpH、ナトリウムおよび重炭酸塩プロフィールを要約している。全体で、44mEqのナトリウムが添加され、そしてすべての重炭酸塩が除去された。これは、125mEqのナトリウムの正味の獲得であった。カートリッジは、まさに、尿素、クレアチニンおよびリン酸塩を完全に除去したが、電解質要求を満足していない。従って、これら樹脂またはカートリッジは、腹膜透析の閉鎖ループセッティングまたは血液透析適用では用いることはできず、付き添いなしで用いることはできない。腹膜透析溶液の連続的再循環用のカートリッジにおける使用のための要求基準を満足し得るいくつかの組み合わせを評価した。いくつかの組み合わせは以下のようであった:
1−その標準的な形態にあるリン酸ジルコニウム(pH=6.2)とともに用いた8.85のpHの重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウム。このセットアップでは、4つの層のみが存在した。
【0138】
2−10.52と7.33の2つの異なるpHで重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウムとともに、6.5のpHでのリン酸ジルコニウム。より高いpHでは、重炭酸塩は、炭酸塩の形態である。
【0139】
3−6.5のpHでのリン酸ジルコニウムは、9.35および9.83のpHでの酸化ジルコニウムの重炭酸塩形態、ならびに7.14および7.23のpHでの酸化ジルコニウムのヒドロキシル形態を用いた。
【0140】
4−8.80のpHで重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウムとともに用いた6.49のpHのリン酸ジルコニウム。この場合においても、4層が存在した。
【0141】
5−酸化ジルコニウムは両性樹脂であるので、この樹脂は、450mlへのリン酸ジルコニウム容量の減少を可能にして、Ca++およびMg++イオンを吸着する必要がある。
【0142】
図12bおよび12cは、論議される種々の代替からの2つの代替を示す。
【0143】
図12bおよび12cは、この研究における改変されたカートリッジを示す。平衡吸着等温研究から、腹膜透析溶液中の10mg/dl尿素窒素の濃度で600mlの樹脂カラムが必要であることが示された。従って、カートリッジI(図6b)中の樹脂のサイズは、600mlである。図2bでは、(カートリッジI)第1の層はウレアーゼであり、第2の層は、リン酸ジルコニウム(pH=6.5、容量=200mL)であり、第3の層は、炭酸塩形態にある酸化ジルコニウム(pH=9.48、容量=100mL)であり、第4の層は、リン酸ジルコニウム(pH=6.5、容量=400mL)であり、そして第5の層は、ヒドロキシル形態にある酸化ジルコニウム(pH=7.38、容量=30mL)であり、最後の層は炭素である。用いられる第3の酸化ジルコニウム(高pH)は、カチオンを吸着するのみならず、それはまた、リン酸ジルコニウム樹脂のpHを上昇し得る。この樹脂で用いられる対イオンは、重炭酸イオン、炭酸イオンまたはヒドロキシルであり得る。この層は、カルシウム、マグネシウムを吸着し得、それ故、リン酸ジルコニウムの層のサイズは、それがアンモニアを吸着するためのみであるときは低減する。リン酸イオンもまた、その他のカチオンとともにこの層に吸着される。第5の層は酸化ジルコニウム(pH=7.38)であり、リン酸イオンおよびある程度のナトリウムを吸着するために用いられる。しかし、リン酸ジルコニウム樹脂からリン酸イオンの浸出がない場合、この層は必要ではない。最後の層は炭素であり、これは再び、いずれの場所にも配置され得る。
【0144】
図14a、14bおよび14cは、総治療時間に亘る、pH、ナトリウムおよびビカーボネートのプロフィールを示す。表5は、pH、ナトリウムおよびビカーボネートのプロフィールを要約している。15リットルの患者バッグ中のpHは、7.49から6.9になっている。ナトウリムが患者(15リットルのバッグ)から除去され、約57mEqが除去されている。これら樹脂は、それが、初期には、約20分程度の間にナトリウムを除去し、そして次にカートリッジがゆっくりとナトリウムを後ろに添加するように設計されている。同様の傾向が、重炭酸塩の場合にも観察されており、また約22.5mEqの重炭酸塩が15リットルの患者に戻して添加される。この実験では、図14dに示されるように、4.94gmの尿素窒素が処理され(10.6gmの尿素)、これは、353mmol/Lのアンモニアおよび176mmolの重炭酸塩を生じる。Redyカートリッジ運転では、124mEqのナトリウムが添加されたが、本発明の本発明者のカートリッジでは、5mEqのみのナトリウムが循環中に戻して添加される。本発明のカートリッジでは、正味の重炭酸塩利得は、約59mEqであった。しかし、このカートリッジの運転では、重炭酸塩は完全に除去された。15リットルの患者ループ中のpHは、6.15に低下し、そしてすべての重炭酸塩が除去された。
【0145】
図12cは、図10に記載される実験のセットアップで用いられたカートリッジIIを示す。リン酸ジルコニウムの量は、450mlまで減少させた。層2および4は、10.52および7.33のpHにある炭酸塩および重炭酸塩形態にある酸化ジルコニウムであった。表6は、この運転からの結果を要約する。この運転では、層2における酸化ジルコニウムのpHは、それがカチオンに対するより良好な容量を有するようにより高かった。約97.5mEqのナトリウムが15リットルの患者バッグから除去され、そして15mEqの重炭酸塩が除去された。62mEqのナトリウムの正味の除去があった。5mEqの重炭酸塩の添加が流れ中にある。重炭酸塩プロフィールは、この運転で改良され得る。ここで、本発明者らはまた、同じ量の尿素を除去するためにリン酸ジルコニウムの量を減少した。
【0146】
図15a、15bおよび15cは、全治療時間に亘るpH、重炭酸塩およびナトウリムプロフィールを示す。図15dは、尿素変換を示す。この実験では、重炭酸塩樹脂のより高いpHを利用し、そしてまたリン酸ジルコニウム樹脂は450mlのみであった。
【0147】
【表5】
【0148】
【表6】
【0149】
【表7】
本明細書に記載されている現在好ましい実施形態に対する種々の変更および改変は当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変更および改変は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、かつその意図される利点を無くすことなくなされ得る。それ故、このような変更および改変は、添付の請求項によってカバーされること意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【公開番号】特開2010−155139(P2010−155139A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92674(P2010−92674)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【分割の表示】特願2008−251900(P2008−251900)の分割
【原出願日】平成14年10月1日(2002.10.1)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【分割の表示】特願2008−251900(P2008−251900)の分割
【原出願日】平成14年10月1日(2002.10.1)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】
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