説明

透過率と圧力下吸収率が改善された吸水性ポリマー構造体

【解決課題】超吸収体を多く含む吸収性層又はコア等の衛生用品(おむつ等)における尿等の水性流体の輸送を促進し、衛生用品の着用感を向上させること。
【解決手段】吸収性ポリマー構造体の製造方法であって、i)未処理の吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、ii)未処理の吸水性ポリマー構造体を、2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩と接触させる工程と、を含む方法。また、本発明は、前記方法によって得られる吸水性ポリマー構造体、吸水性ポリマー構造体、吸水性ポリマー構造体及び基材を含む複合体、複合体の製造方法、前記方法によって得られる複合体、吸水性ポリマー構造体又は複合体を含む化学製品(例えば発泡体、成形品、繊維)、吸水性ポリマー構造体又は複合体の化学製品における使用、超吸収性ポリマー構造体の表面処理における塩の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー構造体の製造方法、前記方法によって得られる吸水性ポリマー構造体、吸水性ポリマー構造体、吸水性ポリマー構造体及び基材を含む複合体、複合体の製造方法、前記方法によって得られる複合体、吸水性ポリマー構造体又は複合体を含む化学製品(例えば発泡体、成形品、繊維)、吸水性ポリマー構造体又は複合体の化学製品における使用、超吸収性ポリマー構造体の表面処理における塩の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は非水溶性の架橋ポリマーであり、大量の水性液体(特に体液、具体的には尿または血液)を吸収し、膨潤してヒドロゲルを形成し、流体を圧力下で保持することができる。このような特性を有するため、吸水性ポリマーは主として衛生用品(おむつ、失禁用品又は生理用ナプキン等)に使用されている。通常、超吸収体は架橋剤の存在下で酸性基含有モノマーをラジカル重合することによって製造される。モノマー組成、架橋剤、重合条件及び重合によって得られるヒドロゲルの加工条件を選択することにより、異なる吸収特性を有するポリマーを製造することができる。また、例えば化学変性デンプン、セルロース、ポリビニルアルコールを使用したグラフトポリマーの製造方法(ドイツ特許第26 12 846号)も異なる吸収特性を有するポリマーを製造するために使用することができる。
【0003】
現在市販されている超吸収体は、実質的に架橋ポリアクリル酸又は架橋デンプン−アクリル酸グラフトポリマーからなり、カルボキシル基が水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液によって部分的に中和されている。
【0004】
審美的・環境的な理由から、衛生用品をより小さく、薄くする傾向が高まっている。衛生用品の保持能力を維持するためには、上述した要請を満たすために容積の大きい綿毛の割合を減少させなければならない。その結果、超吸収体にはさらなる液体の輸送及び分散能力(透過性)が必要とされる。
【0005】
超吸収体材料の透過性は、浸透した液体を膨潤状態で輸送し、三次元的に分散させる能力である。膨潤した超吸収体ゲルにおいては、この過程はゲル粒子間の隙間を介した毛管輸送によって生じる。膨潤した超吸収体粒子による液体の輸送は拡散の法則に従うものであり、非常に時間を要し、衛生用品の使用時における液体の分散には全く寄与しない。ゲル安定性の不足のために毛管輸送を行うことのできない超吸収体材料の場合には、材料を繊維マトリックスに埋め込むことによってゲル閉塞現象を防止して粒子を分離している。新世代のおむつ構造では、吸収層には流体の輸送を促すための繊維材料がほとんど又は全く設けられていない。従って、流体を輸送することができる十分な毛管空間を膨潤ゲルが有するように、超吸収体は膨潤状態において十分に高い安定性を有することが必要である。
【0006】
高いゲル安定性を有する超吸収体材料を得るために、ポリマーの架橋度を高めることが考えられる。この場合には、膨潤能力と保持能力が必然的に減少することになる。ドイツ特許出願第196 46 484号に記載されているように異なる架橋剤とコモノマーの組み合わせを最適化することにより透過性を向上させることができるが、例えば超吸収体のみからなる層をおむつやおむつ構造体に組み込むことを可能とするレベルではない。
【0007】
また、超吸収体特性を向上させるために、ポリマー粒子の表面を後処理することもできる。従来の表面処理としては、例えば、吸水性ポリマー構造体の表面の後架橋、吸水性ポリマー構造体の表面の無機化合物への接触、無機化合物の存在下での吸水性ポリマー構造体の表面の後架橋が挙げられる。
【0008】
例えば、ドイツ特許出願公開第199 09 653 A1号及びドイツ特許出願公開第199 09 838 A1号は、水性又は漿液性液体又は血液を吸収する粉末状の表面後架橋されたポリマーであって、酸性基含有モノマーからなり、水溶液内において表面後架橋剤(好ましくは硫酸アルミニウム)でコーティングされ、後架橋されたポリマーを開示している。これらの文献に開示されたポリマーは、従来のポリマーと比較して有利な吸収特性、特に高い透過性を有する。
【0009】
ドイツ特許出願公開第102 49 821 A1号は、表面後架橋され、高い透過性を有する吸水性ポリマー構造体であって、未処理の吸水性ポリマー構造体を架橋剤と無機ゾル(例えば、ケイ酸ゾル)によって表面処理ことにより得られる吸水性ポリマー構造体を開示している。
【0010】
従来の表面変性(特に透過性を向上させるための無機塩又は無機ゾルによる吸水性ポリマー構造体の処理)の不利な点は、透過性は向上するが、圧力下吸収能力が大きく低下してしまうことである。圧力下吸収能力が低下すると、衛生用品は湿潤後(特に数回の湿潤後)に漏れを生じる傾向が高くなる。
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102 49 821 A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することにある。
【0012】
本発明の目的は、特に、超吸収体を多く含む吸収性層又はコア等の衛生用品(おむつ等)における尿等の水性流体の輸送を促進し、衛生用品の着用感を向上させることにある。
【0013】
本発明の別の目的は、上記利点を有する超吸収体及び超吸収体を含む複合体の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、可能な限り薄く、吸水性ポリマー構造体を多く含有し、良好な使用特性を有する衛生用品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した目的は、吸水性ポリマー構造体の製造方法であって、
i)未処理の吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
ii)未処理の吸水性ポリマー構造体を、30〜210℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは160〜190℃の温度で、2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩と接触させる工程と、を含む方法によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の方法の別の実施形態では、以下の条件(a1)〜(a3)の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは全てを満たす。
(a1)未処理の吸水性ポリマー構造体は、金属酸化物、好ましくは遷移金属酸化物、より好ましくは酸化亜鉛とは接触させない。
(a2)未処理の吸水性ポリマー構造体は、ポリカチオン、好ましくは3,000g/molを超える分子量を有する有機ポリカチオン、より好ましくはジアリルジメチルアンモニウムクロライドのポリマーとは接触させない。
(a3)未処理の吸水性ポリマー構造体は、37.5g/g未満の本明細書に記載した試験方法により測定した保持率を有する。
【0017】
意外なことに、吸水性ポリマー構造体を透過性向上剤で表面処理した場合にみられる場合が多い圧力下吸収率の低下を、2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩を透過性向上剤として使用することにより抑制することができることが判明した。
【0018】
本発明において使用する「未処理」という用語は、工程i)で用意した未処理の吸水性ポリマー構造体を、2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩と接触させていないことを意味する。ただし、「未処理」という用語は、吸水性ポリマー構造体が表面後架橋等の他の表面変性手段によって変性されていることを除外するものではない。
【0019】
工程i)で用意する未処理の吸水性ポリマー構造体は、好ましくは繊維、発泡体又は粒子であり、特に好ましくは繊維及び粒子であり、より好ましくは粒子である。
【0020】
本発明に係る好ましいポリマー繊維は、織糸として織物に組み込むか、織物に直接組み込むことができる寸法を有する。本発明によれば、ポリマー繊維は、1〜500mm、好ましくは2〜500mm、より好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、より好ましくは5〜60デニールの直径を有することが好ましい。
【0021】
本発明に係る好ましいポリマー粒子は、10〜3,000μm、好ましくは20〜2,000μm、より好ましくは150〜850μm又は150〜600μmのERT 420.2−02に準拠した平均粒径を有する。300〜600μmの粒径を有するポリマー粒子の量は、後架橋された吸水性ポリマー粒子の総重量に対して、少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%であることが特に好ましい。
【0022】
工程i)で用意する吸水性ポリマー構造体の好適な実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、
(α1)20〜99.999重量%、好ましくは55〜98.99重量%、特に好ましくは70〜98.79重量%のエチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩、又はプロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー、又はそれらの混合物(少なくともエチレン性不飽和酸性基含有モノマー、好ましくはアクリル酸を含む混合物が特に好ましい)と、
(α2)0〜80重量%、好ましくは0〜44.99重量%、特に好ましくは0.1〜44.89重量%の、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜2.5重量%の1種以上の架橋剤と、
(α4)0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0〜20重量%、好ましくは2.5〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%の水と、
(α6)0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.1〜8重量%の1種以上の添加剤と、を含む(なお、(α1)〜(α6)の合計重量は100重量%である)。
【0023】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的又は完全に中和されていてもよく、部分的に中和されていることが好ましい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、少なくとも25mol%、特に好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは50〜90mol%が中和されていることが好ましい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーについては、ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号を参照する。ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。また、重合後に部分的又は完全に中和を行うこともできる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。酸と共に水溶性塩を生成する塩基も使用することができる。複数の塩基を使用した混合中和も可能である。アンモニア及びアルカリ金属水酸化物による中和が好ましく、水酸化ナトリウム及びアンモニアによる中和が特に好ましい。
【0024】
また、遊離酸性基がポリマー中に多く含まれるため、ポリマーは酸性領域のpHを有する。酸性の吸水性ポリマーは、遊離塩基性基、好ましくはアミン基を有するポリマーによって少なくとも部分的に中和されていてもよい。この塩基性基含有ポリマーは、前記酸性ポリマーに比べて塩基性である。これらのポリマーは「混合床イオン交換性吸収性ポリマー」(MBIEAポリマー)として文献に記載されており、特に国際公開第WO99/34843 A1号に開示されている。国際公開第WO99/34843 A1号の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。通常、MBIEAポリマーは、アニオンを交換できる塩基性ポリマーと、塩基性ポリマーと比較すると酸性であって、カチオンを交換できるポリマーとからなる組成物である。塩基性ポリマーは、塩基性基を含有し、通常は塩基性基又は塩基性基に変換可能な基を有するモノマーを重合することによって得られる。そのようなモノマーは、一級、二級又は三級アミン又は対応するホスフィン又はこれら官能基の少なくとも2つを含む。そのようなモノマーとしては、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシサイクリン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルマールダシン、メラミン、それらの第2級または第3級アミン誘導体等が挙げられる。
【0025】
好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、国際公開第WO2004/037903 A2号においてエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)として記載されている化合物である。国際公開第WO2004/037903 A2号の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。特に好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、アクリル酸及びメタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
【0026】
本発明に係る方法の一実施形態によれば、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)がアクリルアミド、メタアクリルアミド又はビニルアミドである吸水性ポリマー構造体を使用する。
【0027】
アクリルアミド及びメタクリルアミド以外の好ましい(メタ)アクリルアミドは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体である。使用できるビニルアミドは、例えばN−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンである。これらのモノマーのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0028】
本発明に係る方法の別の実施形態によれば、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)が水溶性モノマーである吸水性ポリマー構造体を使用する。水溶性モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0029】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては水分散性モノマーも好ましい。好ましい水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルである。
【0030】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、イソブチレンも挙げられる。
【0031】
架橋剤(α3)としては、国際公開第WO2004/037903 A2号に架橋剤(α3)として記載されている化合物を好ましくは使用する。これらの架橋剤のうち、水溶性架橋剤が好ましい。水溶性架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、アクリル酸1mol当たり9molのエチレンオキシドを使用して製造されたアリルノナエチレングリコールアクリレートが最も好ましい。
【0032】
水溶性ポリマー(α4)としては、部分的または完全に加水分解したポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマーを、好ましくは重合前にポリマー構造体に添加することができる。これらのポリマーの分子量は、ポリマーが水溶性であれば限定されない。好ましい水溶性ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体又はポリビニルアルコールである。水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコール等の合成ポリマーは、重合させるモノマーのグラフト基材としても使用することができる。
【0033】
添加剤(α6)としては、希釈剤、臭気結合剤、界面活性剤、酸化防止剤や、ポリマー構造体の製造に使用される添加剤(重合開始剤等)を好ましくはポリマー構造体に添加することができる。
【0034】
工程i)で用意するポリマー構造体の一実施形態では、ポリマー構造体は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のカルボキシレート基含有モノマーを含む。また、本発明では、成分(α1)は、少なくとも20mol%、特に好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは60〜85mol%が中和されたアクリル酸を、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%の量で含むことが好ましい。
【0035】
未処理の吸水性ポリマー構造体は、上記モノマー、コモノマー、架橋剤、水溶性ポリマー及び添加剤を各種重合法により重合することによって製造することができる。重合方法としては、例えば、好ましくは押出機等の混錬反応器内で行う塊状重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。
【0036】
溶液重合は水を溶媒として行うことが好ましい。溶液重合は連続的又は非連続的に行うことができる。開始剤及び反応溶液の温度、種類、量等の反応条件に関しては、従来技術から様々な条件が知られている。通常使用される方法は、米国特許第4,286,082号、ドイツ特許第27 06 135号、米国特許第4,076,663号、ドイツ特許第35 03 458号、ドイツ特許第35 44 770号、ドイツ特許第40 20 780号、ドイツ特許第42 44 548号、ドイツ特許第43 23 001号、ドイツ特許第43 33 056号、ドイツ特許第44 18 818号に記載されている。これらの文献の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0037】
通常、重合は開始剤によって開始させる。重合を開始させるための開始剤としては、超吸収剤の製造において通常使用される重合条件下でフリーラジカルを発生する開始剤を使用することができる。また、重合性水性混合物に対する電子線の作用によって重合を開始させることもできる。また、上述した開始剤を使用せずに、光開始剤の存在下において高エネルギー放射線の作用によって重合を開始させることもできる。重合開始剤は、本発明に係るモノマー溶液に溶解又は分散されていてもよい。開始剤としては、国際公開第WO2004/037903 A2号に記載されている開始剤等の、フリーラジカルに分解する公知の化合物を使用することができる。
【0038】
吸水性ポリマー構造体の製造には、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、アスコルビン酸を含むレドックス系を使用することが特に好ましい。
【0039】
ポリマー構造体の製造には、逆懸濁重合及び乳化重合を使用することもできる。これらの方法では、保護コロイド又は乳化剤を使用し、モノマー(α1)及び(α2)の部分的に中和された水溶液を疎水性有機溶媒中に分散させ、フリーラジカル開始剤によって重合を開始させる。架橋剤は、モノマー溶液に溶解するか、モノマー溶液と共に添加するか、重合時に必要に応じて個別に添加する。グラフト基材としての水溶性ポリマー(α4)は、モノマー溶液として添加してもよく、油相に直接添加してもよい。次に、水を混合物から共沸除去し、ポリマーを濾別する。
【0040】
溶液重合、逆懸濁重合、乳化重合のいずれの場合にも、モノマー溶液に溶解した多官能架橋剤内での重合及び/又は重合工程時における適当な架橋剤とポリマーの官能基との反応によって架橋を行うことができる。このプロセスは、例えば米国特許第4,340,706号、ドイツ特許第37 13 601号、ドイツ特許第28 40 010号、国際公開第96/05234 A1号に記載されている。これらの文献の対応する開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0041】
溶液重合又は逆懸濁重合及び乳化重合によって得られるヒドロゲルは、別の工程で乾燥させる。
【0042】
特に、溶液重合の場合には、乾燥前にヒドロゲルを粉砕することが好ましい。粉砕は公知の粉砕装置(例えば肉挽機(mincer))を使用して行う。
【0043】
ヒドロゲルの乾燥は、適当な乾燥機又はオーブン内で行うことが好ましい。例えば、回転式チューブ炉、流動床乾燥機、プレート乾燥機、パドル乾燥機、赤外線乾燥機が例として挙げられる。本発明では、ヒドロゲルの乾燥は、水分が0.5〜25重量%、好ましくは1〜10重量%となるまで行うことが好ましく、乾燥温度は通常は100〜200℃である。乾燥により得られた吸水性ポリマー構造体は、特に溶液重合によって得た場合には、別の工程で粉砕し、上述した所望の粒径に篩い分けることができる。乾燥した吸水性ポリマー構造体の粉砕は、ボールミル等の適当な機械的粉砕装置内で行うことが好ましい。
【0044】
好適な実施形態では、本発明に係る工程i)で用意する未処理の吸水性ポリマー構造体は、以下の特性(ERT:EDANA推奨試験)の少なくとも1つを有する。
(A)ERT 440.2−02に準拠した0.9重量%食塩水の最大吸収量(粒子の場合には全粒子部分に対して測定)が少なくとも10〜1,000g/g、好ましくは20〜500g/g、より好ましくは50〜100g/g。
(B)ERT 470.2−02に準拠した16時間後の抽出可能部分(粒子の場合には全粒子部分に対して測定)が未処理の吸水性ポリマー構造体の30重量%未満、好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満。
(C)ERT 460.2−02に準拠した嵩密度(粒子の場合には全粒子部分に対して測定)が300〜1,000g/l、好ましくは400〜900g/l、より好ましくは500〜800g/l。
(D)1リットルの水内における吸水性ポリマー前駆体1gのERT 400.2−02に準拠したpH(粒子の場合には全粒子部分に対して測定)が4〜10、好ましくは4.5〜9、より好ましくは5〜8。
(E)ERT 442.2−02に準拠して測定した0.3psiの圧力下における吸収率(粒子の場合には全粒子部分に対して測定)が10〜26g/g、好ましくは13〜25g/g、より好ましくは13.5〜24g/g。
F.ERT 441.2−02に準拠して測定した保持率(CRC)(粒子の場合には全粒子部分に対して測定)が20〜50g/g、好ましくは25〜45g/g、より好ましくは27〜40g/g。
【0045】
本発明に係る方法の一実施形態では、工程i)において用意するポリマー構造体は以下の特性又は特性の組み合わせを有する:(A),(B),(C),(D),(E),(F),(A)(E),(B)(E),(C)(E),(D)(E),(E)(F),(B)(E),(B)(F),(E)(F)(G)。このうち、(D),(E),(F),(E)(F),(D)(E)(F)が好ましく、(D)(E)(F)がより好ましい。
【0046】
本発明に係る方法の工程ii)では、工程i)で用意した未処理の吸水性ポリマー構造体を、2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩と接触させる。
【0047】
2価以上の金属カチオンは、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Al3+、Fe2+、Fe3+、Ga3+、Ti4+、Zr4+、Cu2+、Zn2+からなる群から好ましくは選択され、Al3+が最も好ましい。
【0048】
有機塩基は、少なくとも部分的に脱プロトン化された1価、2価又は3価のカルボン酸であることが好ましく、脱プロトン化された1価カルボン酸が特に好ましい。また、ヒドロキシカルボン酸も好ましく、少なくとも部分的に脱プロトン化された1価、2価又は3価のヒドロキシカルボン酸が特に好ましく、1価のヒドロキシカルボン酸が特に好ましい。
【0049】
特に好ましいアニオンは、以下の酸、アニス酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グリセリンリン酸、グルタル酸、クロロ酢酸、クロロプロピオン酸、けい皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、フマル酸、プロピオン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、マロン酸、マレイン酸、酪酸、イソ酪、イミジノ酢酸、リンゴ酸、イソチオン酸、メチルマレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、クロトン酸、シュウ酸、サリチル酸、グルコン酸、没食子酸、ソルビン酸、グルコン酸、脂肪酸、特にステアリン酸、アジピン酸、p−ヒドロキシ安息香酸の対応する塩基である。これらの塩基のうち、酒石酸塩及び乳酸塩が好ましく、乳酸塩が最も好ましい。
【0050】
本発明に係る方法の特に好適な実施形態では、工程ii)において乳酸アルミニウムを含む塩を使用する。好ましくは、塩の少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは100重量%が乳酸アルミニウムである。乳酸アルミニウムに加えて、1種又は2種以上の他のカチオンを使用することも好ましい。そのようなカチオンは、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Al3+、Fe2+、Fe3+、Ga3+、Ti4+、Zr4+、Cu2+、Zn2+からなる群から選択される1価又は2価以上の金属カチオンからなる群から好ましくは選択される。また、乳酸アルミニウムに加えて、他のアニオンが塩に含まれていてもよく、上述したアニオンが好ましい。また、乳酸アルミニウムに加えて、他の金属の酸化物又は混合酸化物が含まれていてもよく、上述した金属イオンの酸化物が好ましい。例えば、塩を含む溶液は、第2の塩として、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、好ましくは上述したアニオンの1種のアルカリ金属塩、好ましくは溶液に主として含まれる塩のアニオンを含むことが好ましい場合がある。特に、乳酸リチウムと乳酸ナトリウムが挙げられる。第2の塩の使用量は、溶液に主として含まれる塩に対して、0.001〜25重量%、特に好ましくは0.01〜17重量%、より好ましくは0.1〜12重量%であることが好ましい。
【0051】
本発明の別の実施形態では、有機塩基とは異なる他のアニオンを使用することが好ましい。有機塩基とは異なるアニオンは好ましくは無機塩基である。無機塩基は好ましくは脱プロトン化された無機酸である。そのような酸としては、2以上のプロトンを放出することができる酸が挙げられる。特に、硫黄、窒素又はリンを含む酸が挙げられ、硫黄又はリンを含む酸が特に好ましい。硫黄を含む酸、特に硫酸及びその塩としての硫酸塩が塩基として特に適している。本発明に係る方法の特に好適な実施形態では、工程ii)において硫酸アルミニウムを含む塩を他の塩として使用する。好ましくは、他の塩の少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは100重量%が硫酸アルミニウムである。2つの異なるアニオンは、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1、より好ましくは1:5〜5:1の割合で使用することができる。
【0052】
また、本発明では、工程ii)において、未処理の吸水性ポリマー構造体を、未処理の吸水性ポリマー構造体の重量に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜7.5重量%、より好ましくは0.1〜5重量%の量で塩と接触させることが好ましい。
【0053】
本発明に係る方法の工程ii)において、塩と未処理の吸水性ポリマー構造体を混合することによって塩を未処理の吸水性ポリマー構造体と接触させることが好ましく、適当な混合装置としては、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高回転数でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)を挙げることができる。
【0054】
また、塩は、溶媒と、溶媒に溶解又は分散させた塩とを含む流体F又は乾燥した塩粉末として未処理の吸水性ポリマー構造体と接触させることができる。適当な溶媒としては、水、水と混和する有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール又はそれらの有機溶媒の混合物又は水とそれらの有機溶媒の混合物が挙げられ、溶媒として水を使用することが最も好ましい。未処理の吸水性ポリマー構造体を溶媒と塩とを含む流体Fと接触させる場合には、流体Fは、流体Fの全重量に対して、0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜25重量%の塩を含むことが好ましい。
【0055】
本発明に係る方法の特に好適な実施形態では、工程ii)において、未処理の吸水性ポリマー構造体を、未処理の吸水性ポリマー構造体の重量に対して、0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜2.5重量%の溶媒の存在下で塩と接触させることが好ましい。
【0056】
工程ii)において、未処理の吸水性ポリマー構造体は、30〜210℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは160〜195℃の温度で塩と接触させることが有利である。接触時間は、10〜300分間、好ましくは15〜180分間、より好ましくは20〜120分間であることが好ましい。
【0057】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の表面処理方法の一実施形態では、工程ii)において、未処理の吸水性ポリマー構造体を粉末状の塩と接触させる。この場合、吸水性ポリマー構造体を溶媒の非存在下で塩と接触させる。
【0058】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の製造方法の上記実施形態では、方法は、
i)好ましくは表面後架橋された未処理の吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
ii)好ましくは表面後架橋された未処理の吸水性ポリマー構造体を、30〜300℃、好ましくは100〜250℃、より好ましくは110〜200℃、特に好ましくは115〜180℃の温度で塩を含む微粒子成分と接触させる工程と、を好ましくは含む。別の実施形態では、接触温度は30〜200℃、好ましくは50〜160℃、特に好ましくは50〜160℃、より好ましくは100〜140℃である。
【0059】
粉末塩の少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%が、10〜1,000μm、好ましくは50〜800μm、特に好ましくは100〜600μm、より好ましくは200〜400μmの、例えば篩分析又はコールターカウンタによる公知の粒径測定方法によって測定した平均粒径(重量平均)を有することが好ましい。
【0060】
また、本発明に係る方法の上記実施形態では、微粒子成分は粉末塩に加えてバインダーを含むことが好ましく、バインダーも好ましくは粉末状であり、バインダーの少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%が、10〜1,000μm、好ましくは50〜800μm、特に好ましくは100〜600μm、より好ましくは200〜400μmの、例えば篩分析又はコールターカウンタによる公知の粒径測定方法によって測定した平均粒径(重量平均)を有する粒子であることが好ましい。
【0061】
本発明の別の実施形態では、塩を固体として後架橋溶液に添加し、遅くとも後架橋溶液を好ましくは表面後架橋されていない未処理の吸水性ポリマー構造体に添加するまでに、塩は後架橋溶液に溶解されていることが好ましい。次に、未処理のポリマー構造体と、後架橋剤と、塩とを含む混合物に対して、後架橋に通常使用され、本明細書に記載する加熱処理を行う。
【0062】
本発明の別の実施形態では、塩は好ましくは水溶液である後架橋溶液に添加する。そして、後架橋溶液の溶媒の量に対して、1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%の塩濃度を好ましくは有する後架橋剤/塩溶液を得る。次に、未処理のポリマー構造体と、後架橋剤と、塩とを含む混合物に対して、後架橋に通常使用され、本明細書に記載する加熱処理を行う。以下に詳述する第2の塩を添加することによって混合物を安定化させることができる。ここでは、以下に示す第2の塩の使用量も好ましい。
【0063】
この場合、バインダーが主成分として有機化合物を含み、有機化合物が好ましくは20℃で固体であることが特に好ましい。
【0064】
有機化合物は、好ましくは直鎖状ポリマー、好ましくはポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリオレフィン、ポリビニルエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリイミド(特にポリエーテルイミド)、ポリイミン、硫黄含有ポリマー(特にポリスルホン)、ポリアセタール(特にポリオキシメチレン)、フッ化プラスチック(特にポリフッ化ビニリデン)、スチレン−オレフィンコポリマー、ポリアクリレート、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、これらのポリマーの2種以上の混合物からなる群から選択される直鎖状ポリマーであることが特に好ましく、重縮合体、特にポリエーテルが特に好ましく、直鎖状ポリエーテルがより好ましい。
【0065】
特に好適な直鎖状ポリエーテルは、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレン又はプロピレンモノマーの統計学的(statistical)又はブロック状配置を有するポリ(エチレン又はプロピレン)グリコール、あるいはこれらのポリアルキレングリコールの少なくとも2種の混合物である。
【0066】
ドイツ特許出願公開第103 34 286号に熱可塑性接着剤として記載されているポリマーも好適な直鎖状ポリマーである。ドイツ特許出願公開第103 34 286号の熱可塑性接着剤に関する開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0067】
塩に加えてバインダーを使用する場合には、未処理の吸水性ポリマー構造体を、30〜200℃、好ましくは50〜160℃、より好ましくは70〜140℃の温度で微粒子成分と接触させることが特に好ましい。これらの温度において、特に未処理の吸水性ポリマー構造体の表面に微粒子が固定される。
【0068】
バインダーを使用する場合、バインダーの使用量は、吸水性ポリマー構造体の重量に対して、0.0001〜5重量%、特に好ましくは0.001〜2重量%であることが好ましい。微粒子成分とバインダーの割合は、20:1〜1:20、好ましくは10:1〜1:10、より好ましくは10:1〜2:1であることが好ましい。
【0069】
粉末塩を吸水性ポリマー構造体と接触させる本発明に係る方法の上記実施形態では、方法は、工程i)において、未処理の吸水性ポリマー構造体を用意することに加えて、粉末塩及び必要に応じて粉末状のバインダーを含む微粒子成分を用意することを含む。微粒子成分を未処理の吸水性ポリマー構造体に接触させる方法としては様々な方法が考えられる。
【0070】
また、粉末塩を吸水性ポリマー構造体に接触させる本発明に係る方法の上記実施形態では、微粒子又は微粒子凝集体及び吸収性ポリマー構造体を可能な限り均一に分散させるために、工程ii)の後に、未処理の吸水性ポリマー構造体及び微粒子成分の混合物を10分間〜5時間、好ましくは30分間〜3時間にわたって混合する工程ii)を行うことが有利である場合がある。混合には公知の混合装置を使用することができる。この工程では、未処理の吸水性ポリマー構造体及び微粒子成分の混合物を、工程ii’)における固定後の温度を有するミキサーに導入し、好ましくは連続的に、混合中に混合物を低温、好ましくは室温に冷却することができる。
【0071】
本発明に係る方法の一実施形態では、方法は、工程i)及びii)に加えて、
iii)吸水性ポリマー構造体を表面後架橋する工程を含み、
工程iii)は、工程ii)の実施前、実施中又は実施後に行うことができる。
【0072】
表面後架橋では、乾燥したポリマー構造体又は乾燥しておらず、好ましくは粉砕したヒドロゲルを好ましくは有機化学表面後架橋剤と接触させる。特に、後架橋剤が後架橋条件において液体ではない場合には、後架橋剤と溶媒とを含む流体Fとして後架橋剤をポリマー粒子又はヒドロゲルに接触させることが好ましい。好ましい溶媒としては、流体Fに関連して上述した溶媒が挙げられる。また、後架橋剤は、流体Fの全重量に対して、5〜75重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%の量で流体Fに含まれることが好ましい。
【0073】
本発明に係る方法において、流体Fとポリマー構造体を混合することによってポリマー構造体又は粉砕したヒドロゲルを流体Fと接触させることが好ましく、適当な混合装置としては、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高回転数でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)を挙げることができる。
【0074】
後架橋では、吸水性ポリマー構造体を、吸水性ポリマー構造体の重量に対して、20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下の溶媒(好ましくは水)と接触させることが好ましい。
【0075】
本発明では、好ましくは球状粒子であるポリマー構造体を使用する場合には、粒子状ポリマー構造体の外部領域のみを流体F(後架橋剤)と接触させることが好ましい。
【0076】
本発明に係る方法で使用される化学後架橋剤としては、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応又は開環反応によってポリマーの官能基と反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物が好ましい。本発明に係る方法で使用する後架橋剤としては、国際公開第WO2004/037903 A2号に架橋剤IIとして記載されている化合物が好ましい。
【0077】
これらの化合物のうち、縮合後架橋剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オンが特に好ましい。
【0078】
後架橋剤又は後架橋剤を含む流体Fと接触させたポリマー構造体又はヒドロゲルは、50〜300℃、好ましくは75〜275℃、特に好ましくは150〜250℃に加熱し、ポリマー構造体の外部領域を内部領域よりも架橋させる(後架橋)。加熱時間は、ポリマー構造体の所望の特性プロファイルが熱によって損なわれる時間によって制限される。
【0079】
上述した後架橋による表面変性は、工程ii)の実施前、工程ii)の実施前、実施中又は実施後に行うことができる。後架橋を工程II)の実施前に行う場合、工程II)において、表面後架橋させた吸水性ポリマー構造体を、乾燥した塩又は流体Fに含まれる塩と接触させる。
【0080】
後架橋を工程II)の実施中に行う場合、未処理の吸水性ポリマー構造体を、
・溶媒の非存在下、
・流体F及びFとして、
・溶媒と、後架橋剤と、塩とを含む流体Fとして、又は
・溶媒と後架橋剤の非存在下において塩を含む流体Fとして後架橋剤及び塩と接触させ、
得られた混合物を後架橋のために上述した温度に加熱する。
【0081】
後架橋を工程II)の実施後に行う場合、必要に応じて溶媒の非存在下又は流体Fとして上述したように未処理の吸水性ポリマー構造体を塩と接触させ、次に表面変性させた吸水性ポリマー構造体を表面後架橋させる。
【0082】
また、上述した目的は、内部領域と、内部領域を取り囲む外部領域とを含む吸水性ポリマー構造体であって、吸水性ポリマー構造体の80重量%超、好ましくは少なくとも85重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは95重量%超が、50〜90mol%、好ましくは60〜85mol%、特に好ましくは65〜80mol%が中和されたアクリル酸からなり、以下の特性を有する吸水性ポリマー構造体によって達成される。
A1 本明細書に記載する試験方法に準拠して測定した生理食塩水透過率(saline flow conductivity:SFC)が115×10−7cms/g超、好ましくは125×10−7cms/g超、より好ましくは135×10−7cms/g超、さらに好ましくは145×10−7cms/g超、特に好ましくは165×10−7cms/g超。
B1 ERT 442.2−02に準拠して測定した0.7psiの圧力下における吸収率(AAP0.7)が25.9g/g超、好ましくは26.4/g超、特に好ましくは26.9g/g超、より好ましくは27.5g/g超。
C1 ERT 441.2−02に準拠して測定した保持率(CRC)が少なくとも25g/g、好ましくは少なくとも27g/g、特に好ましくは28g/g超、より好ましくは少なくとも29g/g。
D1 吸水性ポリマー構造体の粒子の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%が150〜850μmの粒径を有し、吸水性ポリマー構造体の粒子の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも8重量%、特に好ましくは少なくとも12重量%が150〜250μmの粒径を有する粒径分布。また、150〜250μmの粒径を有する吸水性ポリマー構造体の粒子の量は、吸水性ポリマー構造体の粒子の全量に対して、5〜30重量%、好ましくは7〜25重量%、特に好ましくは10〜20重量%、より好ましくは11〜15重量%であることが好ましい。
【0083】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の一実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、上記特性A1〜D1(特にA1)に加えて以下の特性を有する。
E1.欧州特許出願第0 752 892 A1号に準拠して測定したPUP値が少なくとも31g/g、好ましくは少なくとも32g/g、最も好ましくは少なくとも33g/g。
【0084】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、少なくとも31g/g、好ましくは少なくとも32g/g、最も好ましくは少なくとも33g/gのPUP値と共に、100×10−7cms/gを超える本明細書に記載する試験方法に準拠して測定した生理食塩水透過率(SFC)を有することが特に好ましい。
【0085】
また、上述した目的は、内部領域と、内部領域を取り囲む外部領域とを含む吸水性ポリマー構造体であって、吸水性ポリマー構造体の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%が、50〜90mol%、好ましくは60〜85mol%、特に好ましくは65〜80mol%が中和されたアクリル酸からなり、吸水性ポリマー構造体の外部領域が2価以上の金属カチオンを含む塩を含み、以下の特性を有する吸水性ポリマー構造体によって達成される。
A2 本明細書に記載する試験方法に準拠して測定した生理食塩水透過率(SFC)が89×10−7cms/g超、好ましくは115×10−7cms/g超、特に好ましくは125×10−7cms/g超、より好ましくは135×10−7cms/g超、特に好ましくは145×10−7cms/g超、さらに好ましくは160×10−7cms/g超。
B2 ERT 442.2−02に準拠して測定した0.7psiの圧力下における吸収率(AAP0.7)が24.7g/g超、好ましくは25.9/g超、特に好ましくは26.5g/g超、より好ましくは27g/g超、特に好ましくは27.5g/g超。
C2 ERT 441.2−02に準拠して測定した保持率(CRC)が少なくとも25g/g、好ましくは少なくとも27g/g、特に好ましくは27.2g/g超、より好ましくは28g/g超、特に好ましくは少なくとも29g/g。
D2 好ましくは、吸水性ポリマー構造体の粒子の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%が150〜850μmの粒径を有し、吸水性ポリマー構造体の粒子の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも8重量%、特に好ましくは少なくとも12重量%が150〜250μmの粒径を有する粒径分布。また、150〜250μmの粒径を有する吸水性ポリマー構造体の粒子の量は、吸水性ポリマー構造体の粒子の全量に対して、5〜30重量%、好ましくは7〜25重量%、特に好ましくは10〜20重量%、より好ましくは11〜15重量%であることが好ましい。
【0086】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の一実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、上記特性A2〜D2(特にA1)に加えて以下の特性を有する。
E2 欧州特許出願第0 752 892 A1号に準拠して測定したPUP値が少なくとも31g/g、好ましくは少なくとも32g/g、最も好ましくは少なくとも33g/g。
【0087】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、少なくとも31g/g、好ましくは少なくとも32g/g、最も好ましくは少なくとも33g/gのPUP値と共に、100×10−7cms/gを超える本明細書に記載する試験方法に準拠して測定した生理食塩水透過率(SFC)を有することが特に好ましい。
【0088】
特性D1及びD2に関しては、本発明の別の実施形態では、吸水性ポリマー構造体の粒子の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%が150〜850μmの粒径を有し、1〜20重量%、好ましくは5〜17重量%、特に好ましくは7〜15重量%が150〜250μmの粒径を有し、15〜79重量%、好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは30〜50重量%が250〜600μmの粒径を有し、残りの粒子が600μmを超え、850μm以下の粒径を有する。
【0089】
特性D1及びD2に関しては、本発明の別の実施形態では、吸水性ポリマー構造体の粒子の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%が150〜850μmの粒径を有し、1〜20重量%、好ましくは5〜17重量%、特に好ましくは7〜15重量%が150〜250μmの粒径を有し、30〜79重量%、好ましくは40〜79重量%、特に好ましくは60〜78重量%が250〜600μmの粒径を有し、残りの粒子が600μmを超え、850μm以下の粒径を有する。
【0090】
吸水性ポリマーの場合、特にドイツ特許出願第10 2004 005 417 A1号の段落[0055]に記載されているように、本発明に係る吸水性ポリマー構造体は全粒径範囲にわたる粒径を有する粒子を有することができる。場合によっては、比較的少数の粒子は150〜850μmの範囲外の粒径を有する。例えば、10〜1,200μm、40〜1,000μm、45〜850μm、100〜800μm、100〜700μmの粒径範囲の粒子も観察されている。本発明に係るポリマー構造体では、特性D1及びD2に関する説明はこれらの粒径範囲にも該当する。
【0091】
また、上述した目的は、上述した方法によって得られる吸水性ポリマー構造体であって、内部領域と、内部領域を取り囲む外部領域とを含み、吸水性ポリマー構造体の外部領域が2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩を含む吸水性ポリマー構造体によって達成される。
【0092】
また、上述した目的は、吸水性ポリマー構造体であって、内部領域と、内部領域を取り囲む外部領域とを含み、吸水性ポリマー構造体の外部領域が2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩を含み、以下の特性を有する吸水性ポリマー構造体によって達成される。
A3 本明細書に記載する試験方法に準拠して測定した生理食塩水透過率(SFC)が少なくとも30×10−7cms/g、好ましくは少なくとも50×10−7cms/g、特に好ましくは少なくとも70×10−7cms/g、より好ましくは少なくとも90×10−7cms/g、特に好ましくは少なくとも130×10−7cms/g、さらに好ましくは少なくとも155×10−7cms/g。
B3 ERT 442.2−02に準拠して測定した0.7psiの圧力下における吸収率(AAP0.7)が少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、より好ましくは少なくとも26g/g、特に好ましくは少なくとも27g/g。
【0093】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の一実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、上記特性(SFT値及びAAP値)に加えて、少なくとも31g/g、特に好ましくは少なくとも32g/g、最も好ましくは少なくとも33g/gの欧州特許出願第0 752 892 A1号に準拠して測定したPUP値を有する。本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、少なくとも31g/g、好ましくは少なくとも32g/g、最も好ましくは少なくとも33g/gのPUP値と共に、100×10−7cms/gを超える本明細書に記載する試験方法に準拠して測定した生理食塩水透過率(SFC)を有することが特に好ましい。
【0094】
SFC、AAP、CRC、PUP等の特性の上限値を設定することもできる。SFCの上限値は、180×10−7cms/g、200×10−7cms/g、250×10−7cms/g、350×10−7cms/g又は500×10−7cms/gであってもよい。AAPの上限値は、30g/g、35g/g又は45g/gであってもよい。CRCの上限値は、35g/g、45g/g又は50g/gであってもよい。PUPの上限値は、40g/g、50g/g又は60g/gであってもよい。
【0095】
2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩としては、本発明に係る方法に関連して上述した塩、カチオン、アニオンが好ましい。
【0096】
また、吸水性ポリマー構造体の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に少なくとも90重量%がカルボン酸基含有モノマーからなり、カルボン酸基含有モノマーが、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%の、少なくとも20mol%、特に好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは60〜85mol%が中和されたアクリル酸を含むことが好ましい。
【0097】
また、本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、吸水性ポリマー構造体の外部領域が吸水性ポリマー構造体の内部領域よりも高い架橋度を有することが好ましい。本発明に係る好ましい吸水性ポリマー構造体は、繊維、発泡体又は粒子であり、繊維及び粒子が好ましく、粒子が特に好ましい。
【0098】
本発明に係る好ましいポリマー繊維は、織糸として織物に組み込むか、織物に直接組み込むことができる寸法を有する。本発明によれば、ポリマー繊維は、1〜500mm、好ましくは2〜500mm、より好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、より好ましくは5〜60デニールの直径を有することが好ましい。
【0099】
本発明に係る好ましいポリマー粒子は、10〜3,000μm、好ましくは20〜2,000μm、より好ましくは150〜850μm又は150〜600μmのERT 420.2−02に準拠した平均粒径を有する。300〜600μmの粒径を有するポリマー粒子の量は、後架橋された吸水性ポリマー粒子の総重量に対して、少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%であることが特に好ましい。
【0100】
また、上述した目的は、上述した吸水性ポリマー構造体又は本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体と、基材とを含む複合体によって達成される。本発明に係る吸水性ポリマー構造体と基材とは強固に結合していることが好ましい。基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどのポリマー、金属、不織布、綿毛、薄織物、織布、天然または合成繊維、その他の発泡体からなるシートが好ましい。また、本発明に係る複合体は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体及び基材に加えて、熱可塑性材料等の添加剤も含むことができる。
本発明に係る複合体の好適な実施形態では、複合体は吸収層、コア又はワイプ(wipe)である。
【0101】
本発明に係る特に好ましい吸収層は、米国特許第5,599,335号に吸収部材として記載されている吸収層であり、米国特許第5,599,335号の特に吸収層内に含まれる繊維及び添加剤及び吸収層の製造方法に関する開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0102】
本発明に係る複合体、好ましくは本発明に係る吸収層の好適な実施形態では、複合体又は吸収層は、複合体又は吸収層の全重量の約15〜100重量%、好ましくは約30〜100重量%、特に好ましくは約50〜99.99重量%、より好ましくは約60〜99.99重量%、さらに好ましくは約70〜99重量%の本発明に係る吸水性ポリマー構造体を含む少なくとも1つの領域を含み、当該領域は少なくとも0.01cm3、好ましくは少なくとも0.1cm3、より好ましくは少なくとも0.5cm3の体積を有することが好ましい。
【0103】
また、本発明に係る吸収層は、少なくとも0.02g/cm、好ましくは少なくとも0.03g/cm、特に好ましくは0.02〜0.12g/cm、より好ましくは0.03〜0.11g/cmの単位面積あたりの重量を有し、約20mm以下、好ましくは15mm以下、最も好ましくは10mm以下の厚みを有することが好ましい。
【0104】
本発明に係る吸収層の好適な実施形態では、吸収層は、約500cm以下、好ましくは約350cm以下、特に好ましくは約300cm以下の表面積を有する。
【0105】
本発明に係る複合体は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体又は本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体と、基材と、任意の添加剤とを接触させることによって製造することが好ましい。接触は、ウェットレイド法、エアレイド法、圧縮、押出又は混合によって行うことが好ましい。
【0106】
本発明に係る複合体の製造方法の一実施形態では、方法は、
A)基材を用意する工程と、
B)好ましくは表面後架橋された未処理の吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
C)微粒子成分を用意する工程と、
D)基材を吸水性ポリマー構造体と接触させる工程と、
E)吸水性ポリマー構造体を微粒子成分と接触させる工程と、
F)微粒子の少なくとも一部を吸水性ポリマー構造体の表面に固定する工程と、を含む。
【0107】
微粒子成分としては、粉末塩を使用する本発明に係る吸水性ポリマー構造体の製造方法の一実施形態に関連して好ましい微粒子として上述した微粒子成分が好ましい。特に、粉末塩と粉末バインダーの混合物が好ましい。
【0108】
本発明に係る複合体の製造方法の上記実施形態の変形では、基材を用意し、ポリマー構造体を基材の表面の全体又は所定の領域に塗布(好ましくは分散)することによって基材と好ましくは表面後架橋された未処理の吸水性ポリマー構造体とを接触させる。次に、例えば基材の表面のポリマー構造体上に微粒子成分を散布することによって基材の表面の吸水性ポリマー構造体を微粒子成分と接触させる。その後、微粒子成分をポリマー構造体の表面上に固定する。固定は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体の表面処理方法に関連して上述した加熱によって行うことが好ましい。従って、本発明に係る複合体の製造方法の上記実施形態の上記変形では、工程E)を工程D)の実施後に行う。
【0109】
本発明に係る複合体の製造方法の上記実施形態別の変形では、最初に基材を用意する。次に、好ましくは表面後架橋された未処理のポリマー構造体を基材の表面全体又は所定の領域に塗布(好ましくは散布)することによって基材と接触させる。ポリマー構造体を基材と接触させる前に、例えば、ポリマー構造体を基材の表面に散布する前に、微粒子成分をポリマー構造体と混合することによって吸水性ポリマー構造体を微粒子成分と接触させる。吸水性ポリマー構造体を基材と接触させた後、ポリマー構造体の表面に微粒子成分を固定させる。従って、本発明に係る複合体の製造方法の上記実施形態の上記変形では、工程E)を工程D)の実施前に行う。
【0110】
また、本発明は上述した方法によって得られる複合体に関する。
【0111】
また、本発明は、本発明に係るポリマー構造体又は複合体を含む化学製品に関する。好ましい化学製品は、発泡体、成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、液体吸収性衛生用品、植物/菌類生育調節剤・植物保護活性物質の担体、建設材料の添加剤、包装材料、土壌添加剤である。
【0112】
また、本発明は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体、本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体、複合体又は上述した方法によって得られる複合体の、上述した化学製品、特に衛生製品、洪水対策、水の遮断、土壌の水分制御又は食品処理における使用に関する。
【0113】
以下、試験方法及び実施例を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0114】
試験方法
【0115】
SFC値の測定
膨潤状態における透過性(生理食塩水透過率=SFC)の測定は、国際公開第WO95/22356号に記載された方法に準拠して行った。篩いを備えた円筒状容器に、約0.9gの超吸収体材料(粒子の場合には全粒子部分)を秤量し、篩いの表面上に慎重に分散させた。超吸収体材料をJAYCO合成尿内で0.7psiの圧力下で1時間にわたって膨潤させた。超吸収体の膨潤高さを確認後、目盛り付きの供給容器から0.118M NaCl溶液を一定の静水圧で膨潤ゲル層に通過させた。測定時には膨潤ゲル層を特別な円筒状篩いで覆い、ゲル上で0.118M NaCl溶液が均一に分散し、ゲル床特性の条件(測定温度:20〜25℃)が測定時に一定になるようにした。膨潤した超吸収体に作用する圧力は0.7psiとした。コンピューターと秤を使用して、ゲル層を通過する流体の量を時間の関数として20秒間隔で10分間にわたって測定した。膨潤ゲル層内における流速(g/秒)を、勾配外挿法による回帰分析及び2〜10分間における流量の時間点t=0における中間点の測定によって決定した。SFC値(K)はcms/g−1で示し、以下のように算出した。
【0116】
【数1】

(t=0):流速(g/秒)
:ゲル層の厚み(cm)
r:NaCl溶液の濃度(1.003g/cm3
A:測定用円筒状容器内のゲル層の上面の面積(28.27cm2
ΔP:ゲル層に作用する静圧(4,920dyne/cm2
K:SFC値
【0117】
保持率の測定
保持率(CRC)は、ERT(EDANA(欧州不織布協会)推奨試験(EDANA recommended Test))に準拠して測定した。
【0118】
圧力下吸収率の測定
0.7psiの圧力下での圧力下吸水率(AAP)は、ERT442.2−02に準拠して測定した。
【0119】
粒径の測定
粒径は、本明細書に記載する篩いを使用してERT 420.2−02に準拠して測定した。
【0120】
(実施例)
A.SAP(超吸収体ポリマー)粒子の調製
水酸化ナトリウム溶液(532.82gの50% NaOH)によって75mol%を中和したアクリル酸 640g、水 801.32g、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート 1.016g、モノアリルポリエチレングリコール−450−アクリレート 2.073gからなるモノマー溶液から窒素パージにより溶存酸素を除去し、次にモノマー溶液を開始温度の4℃に冷却した。開始温度に達した後に、開始剤溶液(HO 10gに溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム 0.6g、HO 10gに溶解した35%過酸化水素水 0.014g、HO 2gに溶解したアスコルビン酸 0.03g)を添加した。終了温度の約100℃に達した後、得られたゲルを肉挽機で粉砕し、乾燥キャビネット内において150℃で2時間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、2mmの篩いを備えた粉砕機「SM10」で粉砕し、粒径が150〜850μmの粉末(=粉末A)(粒径:150μmの網目サイズ:13%、300μmの網目サイズ:15%、400μmの網目サイズ:13%、500μmの網目サイズ:15%、600μmの網目サイズ:20%、710〜850μmの網目サイズ:24%)に篩い分けた。粉末の物性を表1に示す。
【0121】
比較例1(後架橋剤と硫酸アルミニウムによる従来の表面変性)
粉末A 100gを、炭酸エチレン(EC) 1.0g、Al(SO 0.6g、脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉末Aを循環乾燥機内で185℃で30分間加熱した。このようにして粉末A1を得た(粒径:150μmの網目サイズ:13%、300μmの網目サイズ:15%、400μmの網目サイズ:12%、500μmの網目サイズ:15%、600μmの網目サイズ:20%、710〜850μmの網目サイズ:25%)。粉末の物性を表1に示す。
【実施例1】
【0122】
(後架橋剤と乳酸アルミニウムの溶液による本発明に係る表面変性)
粉末A 100gを、炭酸エチレン 1.0g、乳酸アルミニウム 0.6g、脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉末Aを循環乾燥機内で185℃で30分間加熱した。このようにして粉末A2を得た(粒径:150μmの網目サイズ:12%、300μmの網目サイズ:16%、400μmの網目サイズ:14%、500μmの網目サイズ:14%、600μmの網目サイズ:21%、710〜850μmの網目サイズ:23%)。粉末の物性を表1に示す。
【実施例2】
【0123】
(後架橋剤と乳酸アルミニウムによる本発明に係る表面変性、後架橋前は固体)
粉末A 100gを、乳酸アルミニウム粉末(粒径: 45〜150μm:85%、>150μm:9%、<45μm:6%)0.6gと10分間十分に混合し、炭酸エチレン 1.0gと脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉体Aを循環乾燥機内で185℃で30分間加熱した。このようにして粉末A3を得た(粒径:150μmの網目サイズ:14%、300μmの網目サイズ:14%、400μmの網目サイズ:13%、500μmの網目サイズ:15%、600μmの網目サイズ:19%、710〜850μmの網目サイズ:25%)。
【実施例3】
【0124】
(後架橋剤と乳酸アルミニウムによる本発明に係る表面変性、後架橋後は固体)
粉末A 100gを、炭酸エチレン 1.0gと脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉体Aを循環乾燥機内で185℃で30分間加熱した。次に、粉末を、乳酸アルミニウム粉末(粒径: 45〜150μm:85%、>150μm:9%、<45μm:6%)0.6gと10分間十分に混合した。このようにして粉末A4を得た(粒径:150μmの網目サイズ:15%、300μmの網目サイズ:14%、400μmの網目サイズ:13%、500μmの網目サイズ:14%、600μmの網目サイズ:19%、710〜850μmの網目サイズ:25%)。
【実施例4】
【0125】
(後架橋剤と乳酸アルミニウムによる本発明に係る表面変性、後架橋後は液体)
粉末A 100gを、炭酸エチレン 1.0gと脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉体Aを循環乾燥機内で170℃で30分間加熱した。次に、粉末を、乳酸アルミニウム 0.6gを脱イオン水 3gに溶解した溶液と30分間十分に混合して粉末を得た。混合物を130℃で30分間乾燥して粉末A5を得た(粒径:150μmの網目サイズ:12%、300μmの網目サイズ:15%、400μmの網目サイズ:14%、500μmの網目サイズ:15%、600μmの網目サイズ:18%、710〜850μmの網目サイズ:26%)。
【実施例5】
【0126】
(後架橋剤、乳酸アルミニウム、硫酸アルミニウムの溶液による本発明に係る表面変性)
粉末A 100gを、炭酸エチレン 1.0g、乳酸アルミニウム 0.2g、硫酸アルミニウム 0.4g、脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉体Aを循環乾燥機内で185℃で30分間加熱した。このようにして粉末A6を得た(粒径:150μmの網目サイズ:12%、300μmの網目サイズ:15%、400μmの網目サイズ:14%、500μmの網目サイズ:15%、600μmの網目サイズ:20%、710〜850μmの網目サイズ:24%)。粉末の物性を表1に示す。
【実施例6】
【0127】
(後架橋剤、乳酸アルミニウム、硫酸アルミニウムの溶液による本発明に係る表面変性)
粉末A 100gを、炭酸エチレン 1.0g、乳酸アルミニウム 0.3g、硫酸アルミニウム 0.3g、脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉体Aを循環乾燥機内で190℃で30分間加熱した。このようにして粉末A7を得た(粒径:150μmの網目サイズ:12%、300μmの網目サイズ:15%、400μmの網目サイズ:13%、500μmの網目サイズ:15%、600μmの網目サイズ:20%、710〜850μmの網目サイズ:25%)。粉末の物性を表1に示す。
【0128】
【表1】

0.3psiで測定
**×10−7cms/g
【0129】
B.SAP粒子の調製
水酸化ナトリウム溶液(202.054gの50% NaOH)によって70mol%を中和したアクリル酸 260g、水 505.899g、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート 0.409g、モノアリルポリエチレングリコール−450−アクリレート 1.253gからなるモノマー溶液から窒素パージにより溶存酸素を除去し、次にモノマー溶液を開始温度の4℃に冷却した。開始温度に達した後に、開始剤溶液(HO 10gに溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム 0.3g、HO 10gに溶解した35%過酸化水素水 0.07g、HO 2gに溶解したアスコルビン酸 0.015g)を添加した。終了温度の約100℃に達した後、得られたゲルを肉挽機で粉砕し、乾燥キャビネット内において150℃で2時間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、2mmの篩いを有する粉砕機「SM10」で粉砕し、150〜850μmの粒径を有する粉末B及びC(表2を参照)に篩い分けた。
【0130】
【表2】

【0131】
比較例2(後架橋剤と硫酸アルミニウムによる従来の表面変性)
粉末B 100gを、炭酸エチレン(EC) 1.0g、Al(SO 0.6g、脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉体Bを循環乾燥機内で170℃で90分間加熱した。このようにして粉末B1を得た(粒径:150μmの網目サイズ:7%、250μmの網目サイズ:43%、600〜850μmの網目サイズ:50%)。粉末の物性を表3に示す。
【0132】
比較例3(後架橋剤と硫酸アルミニウムによる従来の表面変性)
粉末Cを粉末Bの代わりに使用した以外は比較例2と同様な操作を行った。このようにして粉末C1を得た(粒径:150μmの網目サイズ:12%、250μmの網目サイズ:75.5%、600〜850μmの網目サイズ:12.5%)。粉末の物性を表4に示す。
【実施例7】
【0133】
(後架橋剤と固体の乳酸アルミニウムの溶液による本発明に係る表面変性)
粉末B 100gを、炭酸エチレン 1.0g、固体の乳酸アルミニウム 0.6g、脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉末Bを循環乾燥機内で185℃で30分間加熱した。このようにして粉末B2を得た(粒径:150μmの網目サイズ:9%、250μmの網目サイズ:40%、600〜850μmの網目サイズ:51%)。粉末の物性を表3に示す。
【実施例8】
【0134】
(後架橋剤と固体の乳酸アルミニウムの溶液による本発明に係る表面変性)
粉末Cを粉末Bの代わりに使用した以外は実施例7と同様な操作を行った。このようにして粉末C2を得た(粒径:150μmの網目サイズ:11.5%、300μmの網目サイズ:76%、600〜850μmの網目サイズ:12.5%)。粉末の物性を表4に示す。
【実施例9】
【0135】
(後架橋剤と乳酸アルミニウム溶液の溶液による本発明に係る表面変性)
粉末B 100gを、炭酸エチレン 1.0g及び脱イオン水 1.457gの第1の溶液及び乳酸アルミニウム 0.6gの28% NaOH安定化乳酸アルミニウム溶液(第2の溶液)と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。NaOH安定化乳酸アルミニウム溶液は、アルミン酸ナトリウム 0.0625mol(7.38g)を水 15mlに溶解し、NaOH(50% NaOH水溶液溶液 2.5ml)0.0475molを添加し、85% 乳酸の混合物をゆっくりと添加し、pH 4.5となるまで水 20mlで希釈して調製した(乳酸 0.29mol=31.0g)。次に、水溶液で覆われた粉末Bを循環乾燥機内で185℃で30分間加熱した。このようにして粉末B3を得た(粒径:150μmの網目サイズ:9%、250μmの網目サイズ:40%、600〜850μmの網目サイズ:51%)。粉末の物性を表3に示す。
【実施例10】
【0136】
(後架橋剤と乳酸アルミニウム溶液の溶液による本発明に係る表面変性)
粉末Cを粉末Bの代わりに使用した以外は実施例9と同様な操作を行った。このようにして粉末C3を得た(粒径:150μmの網目サイズ:11.5%、250μmの網目サイズ:76%、600〜850μmの網目サイズ:12.5%)。粉末の物性を表4に示す。
【実施例11】
【0137】
粉末B 100gを、乳酸アルミニウム粉末(粒径: 45〜150μm:85%、>150μm:9%、<45μm:6%)0.6gと10分間十分に混合し、炭酸エチレン 1.0gと脱イオン水 3gの溶液と混合した。溶液は、0.45mmのカニューレを備えた注射器によってミキサー内のポリマー粉末に塗布した。次に、水溶液で覆われた粉体Bを循環乾燥機内で170℃で90分間加熱した。このようにして粉末A4を得た(粒径:150μmの網目サイズ:14%、300μmの網目サイズ:13%、400μmの網目サイズ:13%、500μmの網目サイズ:15%、600μmの網目サイズ:19%、710〜850μmの網目サイズ:25%)。
【実施例12】
【0138】
粉末Cを粉末Bの代わりに使用した以外は実施例8と同様な操作を行った。このようにして粉末C4を得た(粒径:150μmの網目サイズ:11.5%、300μmの網目サイズ:76%、600〜850μmの網目サイズ:12.5%)。
【0139】
【表3】

×10−7cms/g
【0140】
【表4】

×10−7cms/g
【0141】
C.SAP粒子の調製
実施例Bと同様にしてSAP粒子を調製し、2種類の粉末D及びEを得た。粉末D及びEの粒径を表5に示す。
【0142】
【表5】

【実施例13】
【0143】
粉末E 100gを、170℃で90分間加熱した以外は実施例7と同様に処理した。このようにして粉末E1を得た。粉末の物性を表6に示す。
【実施例14】
【0144】
粉末E 100gを、170℃で90分間加熱した以外は実施例9と同様に処理した。このようにして粉末E2を得た。粉末の物性を表6に示す。
【0145】
【表6】

×10−7cms/g
【実施例15】
【0146】
粉末D 100gを、170℃で90分間加熱した以外は実施例7と同様に処理した。このようにして粉末D1を得た。粉末の物性を表7に示す。
【実施例16】
【0147】
粉末D 100gを、170℃で90分間加熱した以外は実施例9と同様に処理した。このようにして粉末D2を得た。粉末の物性を表7に示す。
【0148】
【表7】

×10−7cms/g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマー構造体の製造方法であって、
i)未処理の吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
ii)前記未処理の吸水性ポリマー構造体を、2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩と接触させる工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記2価以上の金属カチオンがAl3+カチオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機塩基が脱プロトン化された1価、2価又は3価のカルボン酸である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機塩基が乳酸塩アニオンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記塩が乳酸アルミニウムを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機塩基と異なる他のアニオンを使用する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記他のアニオンが無機塩基である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記無機塩基が脱プロトン化された無機酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記無機塩基が2以上のプロトンを放出する脱プロトン化された酸である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記無機塩基が硫酸塩アニオンである、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記工程ii)において、前記未処理の吸水性ポリマー構造体を、前記未処理の吸水性ポリマー構造体の重量に対して0.001〜10重量%の前記塩と接触させる、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記工程ii)において、前記未処理の吸水性ポリマー構造体を、前記未処理の吸水性ポリマー構造体の重量に対して15重量%以下の溶媒の存在下で前記塩と接触させる、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記工程i)及びii)に加えて、
iii)前記吸水性ポリマー構造体を表面後架橋する工程を含み、
前記工程iii)を前記工程ii)の実施前、実施中又は実施後に行う、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法によって得られる吸水性ポリマー構造体であって、内部領域と、前記内部領域を取り囲む外部領域と、を含み、前記吸水性ポリマー構造体の前記外部領域が、2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩を含む吸水性ポリマー構造体。
【請求項15】
内部領域と、前記内部領域を取り囲む外部領域と、を含む吸水性ポリマー構造体。
【請求項16】
前記吸水性ポリマー構造体の80重量%超が50〜85mol%が中和されたアクリル酸からなり、前記吸水性ポリマー構造体が以下の特性を有する、請求項15に記載の吸水性ポリマー構造体。
A1 本明細書に記載する試験方法に準拠して測定した生理食塩水透過率(SFC)が115×10−7cms/g超。
B1 ERT 442.2−02に準拠して測定した0.7psiの圧力下における吸収率(AAP0.7)が25.9g/g超。
C1 ERT 441.2−02に準拠して測定した保持率(CRC)が少なくとも25g/g。
D1 前記吸水性ポリマー構造体の粒子の少なくとも80重量%が150〜850μmの粒径を有し、前記吸水性ポリマー構造体の粒子の少なくとも5重量が150〜250μmの粒径を有する粒径分布。
【請求項17】
前記吸水性ポリマー構造体の少なくとも80重量%が50〜85mol%が中和されたアクリル酸からなり、前記吸水性ポリマー構造体の前記外部領域が、2価以上の金属カチオンを含む塩を含み、前記吸水性ポリマー構造体が以下の特性を有する、請求項15に記載の吸水性ポリマー構造体。
A2 本明細書に記載する試験方法に準拠して測定した生理食塩水透過率(SFC)が89×10−7cms/g超。
B2 ERT 442.2−02に準拠して測定した0.7psiの圧力下における吸収率(AAP0.7)が24.7g/g超。
C2 ERT 441.2−02に準拠して測定した保持率(CRC)が少なくとも25g/g。
【請求項18】
前記吸水性ポリマー構造体の前記外部領域が、2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩を含み、前記吸水性ポリマー構造体が以下の特性を有する、請求項15に記載の吸水性ポリマー構造体。
A3 本明細書に記載する試験方法に準拠して測定した生理食塩水透過率(SFC)が少なくとも30×10−7cms/g。
B3 ERT 442.2−02に準拠して測定した0.7psiの圧力下における吸収率(AAP)が少なくとも20g/g。
【請求項19】
前記2価以上の金属カチオンがAl3+カチオンである、請求項14、17又は18に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項20】
前記有機塩基が脱プロトン化された1価、2価又は3価のカルボン酸である、請求項14、18又は19に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項21】
前記有機塩基が乳酸塩アニオンである、請求項20に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項22】
前記塩が乳酸アルミニウムを含む、請求項14及び18〜21のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項23】
前記有機塩基と異なる他のアニオンを含む、請求項14及び18〜22のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項24】
前記他のアニオンが無機塩基である、請求項23に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項25】
前記無機塩基が脱プロトン化された無機酸である、請求項24に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項26】
前記無機塩基が2以上のプロトンを放出する脱プロトン化された酸である、請求項24又は25に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項27】
前記無機塩基が硫酸塩アニオンである、請求項24〜26のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項28】
請求項14〜27のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体と、基材と、を含む複合体。
【請求項29】
請求項14〜27のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体と、基材と、任意の添加剤とを接触させる、複合体の製造方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法により得られる複合体。
【請求項31】
請求項14〜27のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体又は請求項28又は30に記載の複合体を含む、発泡体、成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸収性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料。
【請求項32】
請求項14〜27のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体又は請求項28又は30に記載の複合体の、発泡体、成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸収性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、活性物質の制御放出のための土壌添加剤又は建設材料における使用。
【請求項33】
2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む塩の、吸水性ポリマー構造体の表面処理における使用。

【公表番号】特表2009−534482(P2009−534482A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505786(P2009−505786)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003475
【国際公開番号】WO2007/121937
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(308007985)エフォニック ストックハウゼン ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】