透過電子顕微鏡
【課題】オートフォーカスを動作させても、画像の明るさが変化することがない透過電子顕微鏡を提供することにある。
【解決手段】オートフォーカスによって対物レンズの電流値が変化しても画像の明るさが変化しないように、収束レンズの電流値、電子銃のエミッション電流値、又はCCDカメラのゲインもしくは露光時間を調整することにより画像の明るさを調整する。
【解決手段】オートフォーカスによって対物レンズの電流値が変化しても画像の明るさが変化しないように、収束レンズの電流値、電子銃のエミッション電流値、又はCCDカメラのゲインもしくは露光時間を調整することにより画像の明るさを調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過電子顕微鏡に関し、特に、オートフォーカス機能を有する透過電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡では、広範囲で検索を行うとZ方向にずれが生じ、オートフォーカスを動作させると画像の明るさが変化する。例えば、透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する場合、画像の明るさの変化によって、検索効率が低下する。それによって観察データや分析データの信頼性が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、オートフォーカスを動作させても、画像の明るさが変化することがない透過電子顕微鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の透過電子顕微鏡によると、オートフォーカスによって対物レンズの電流値が変化しても、画像の明るさが変化しないように画像の明るさを調整する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の透過電子顕微鏡によると、オートフォーカスを動作させても、画像の明るさが変化することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1を参照して本発明による透過電子顕微鏡の例を説明する。本例の透過電子顕微鏡は、電子銃1、第1及び第2の収束レンズコイル2,3、第1及び第2の偏向コイル4,5、対物レンズコイル6、第1及び第2の電磁式試料イメージ移動用コイル7,8、第1及び第2の中間レンズコイル9,10、第1及び第2の投射レンズコイル11,12、励磁電源13〜23、デジタルアナログ変換器(DAC)24〜34、マイクロプロッセサ35、記憶装置36、演算装置37、CRTコントローラ38、CRT(モニタ)39、インターフェース(I/F)40〜41、倍率切替用ロータリーエンコーダ42、入力用ロータリーエンコーダ43、キーボード44、マウス45、RAM46、ROM47、画像取込みインターフェース48、TVカメラ制御部49、及び、TVカメラ50を有する。TVカメラ50は、光学レンズ51及びCCD52を有する。光軸上には、試料ステージ53及びシンチレータ54が設けられている。
【0007】
粒子を検索するとき、観察者は、キーボード44及びマウス45を使用して、視野を移動させ、検索対象の粒子を探す。ROM47に格納された透過電子像用のレンズデータを読み出し、デジタルアナログ変換器(DAC)24〜34に供給する。デジタルアナログ変換器(DAC)24〜34は、レンズ系のデータをアナログ信号に変換し、励磁電源13〜23に供給する。励磁電源13〜23は、各レンズ系のレンズコイル2,3,6,9〜12に電流を出力する。
【0008】
電子銃1によって生成された電子線は、第1及び第2の収束レンズコイル2,3により収束され、第1及び第2の偏向コイル4,5によって偏向され、対物レンズコイル6によって結像され、試料ステージ53上の試料に照射される。
【0009】
試料を透過した電子線は、第1及び第2の電磁式試料イメージ移動用コイル7,8、第1及び第2の中間レンズコイル9,10、及び、第1及び第2の投射レンズコイル11,12を経由して、シンチレータ54上に投影される。シンチレータ54は、透明ガラス上に塗布された蛍光体を有する。従って、蛍光体は、試料の透過像を発光する。発光した透過像は、透明ガラスを透過し、光学レンズ51を介して、CCD52によって受光される。CCD52は、受光した透過像を電気信号に変換し、それをTVカメラ制御部49に送信する。TVカメラ制御部49は画像データを、画像取込みインターフェース48を介して、マイクロプロッセサ35、RAM46、記憶装置36、及び、演算装置37に送信する。透過像は、RAM46、及び、記憶装置36に記憶され、CRT(モニタ)39によって表示される。
【0010】
本例の透過電子顕微鏡は、オートフォーカス機能、及び、画像の明るさを補正する明るさ調整機能を有する。透過電子顕微鏡のオートフォーカス機構は周知であり、ここでは詳細に説明しない。本例の透過電子顕微鏡は、更に、パターンマッチング機能を有するが、これも周知技術である。明るさ調整機能は、オートフォーカスによって対物レンズの電流値が変化したとき、画像の明るさが変化しないように制御を行う。即ち、オートフォーカスの前後において、画像の明るさが変化しないように制御する。
【0011】
オートフォーカス機能、パターンマッチング機能、及び、明るさ調整機能は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムによって構成されてよく、マイクロプロッセサ35、RAM46、記憶装置36、及び、演算装置37によって実現される。
【0012】
オートフォーカスによって対物レンズの電流値が変化したとき、先ず、最初の明るさ調整を行う。最初の明るさ調整を行なった画像の明るさをオートフォーカス前の画像の明るさと比較する。両者の一致度が低い場合には、最初の明るさ調整が不十分であり、再度明るさ調整を行う。こうして、明るさ調整を行なった画像の明るさがオートフォーカス前の画像の明るさと一致するまで、明るさ調整を行う。
【0013】
最初の明るさ調整では、オートフォーカス前の画像の明るさとオートフォーカス後の画像の明るさの比較に基づいて補正量を決める。2回目以降の明るさ調整では、オートフォーカス前の画像の明るさと、明るさ調整後の画像の明るさの比較に基づいて補正量を決める。
【0014】
画像の明るさを比較するとき、画像の輝度分布を比較してもよく、画像の輝度分布のピーク位置を比較してもよく、又は、画像のコントラストを比較してもよい。更に、CCDカメラの電流値を比較してもよい。画像の輝度分布を比較する場合、画像相関を用いた画像の移動度又は一致度を計算してもよい。
【0015】
画像の明るさは、基本的には、試料上の電子線密度によって決まる。従って、画像の明るさを補正するには、収束レンズ電流を変化させればよい。絞りを用いて試料上の電子線密度を調整してもよい。収束レンズ電流を変化させる代わりに、電子銃エミッション電流、CCDカメラのゲイン、露光時間等を調整してもよい。
【0016】
画像の明るさが変化しない対物レンズ電流と収束レンズ電流の関係を予め求めておいてよい。オートフォーカスによって対物レンズ電流値が変化したとき、このような関係より収束レンズ電流を求めれば、明るさ調整を行うことができる。同様に、画像の明るさが変化しない対物レンズ電流と電子銃エミッション電流の関係を予め求めておいてよい。オートフォーカスによって対物レンズ電流値が変化したとき、このような関係より電子銃エミッション電流を求めることにより、明るさ調整を行うことができる。
【0017】
本発明による透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索するとき、次の効果がある。(1)粒子を検索した画像と信頼性を表示できる。(2)粒子の検索効率を向上させることができる。(3)オートフォーカスにより変動する明るさを補正することができる。(4)変動した明るさを補正してオートフォーカスの精度を向上させる。従って、本発明による透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する場合に、観察データの信頼性を証明することができる。
【0018】
図2を参照して本発明による透過電子顕微鏡を用いて微小粒子を検索する方法の第1の例を説明する。ステップS101にて、検索精度及び検索対象の粒子のパターンを設定する。例えば、図5に示す入力画面にて、検索精度、検索対象の粒子の径、検索対象の粒子の楕円率を入力する。検索精度は、予め設定されている値を用いてもよい。ステップS102にて、検索対象の視野を設定する。図5に示す入力画面の左側にて示すように、試料メッシュの1つを指定する。ステップS103にて、視野を移動させる。視野の移動方法は、図23に示すように試料ステージ53を用いてもよいが、図24に示すように、偏向コイル4、5を用いて電磁的に視野を移動させてもよい。ステップS104にて視野の移動を停止する。
【0019】
ステップS105にて、画像I1を取り込み、RAM46に記憶する。画像I1はオートフォーカス前の画像である。この画像I1の輝度分布LUT1を求め、RAM46に記憶する。輝度分布LUT1は、図13に示すように、横軸に階調をとり、縦軸に画素数をとったときの輝度分布曲線(ヒストグラム)である。
【0020】
ステップS106〜ステップS112にて、オートフォーカスを行う。先ずステップS106にて、電子線を傾斜角αだけ傾斜させ、画像I1αを取り込み、RAM46に記憶する。例えば、図19に示す入力画面にて傾斜角αを入力する。
【0021】
試料上に正焦点がある場合には、電子線を傾斜させても、画像は移動しない。しかしながら、焦点がずれている場合には、電子線を傾斜させることにより画像は移動する。この現象を利用する。
【0022】
ステップS107にて、2つの画像I1、I1α間の移動量と一致度を計算する。移動量及び一致度の計算は後に説明する(a)及び(b)の方法を用いてよい。このとき、正規化相関で計算を行ってもよい。ステップS108にて、一致度が50%より大きいか否かを判定する。ここでは一致度の閾値として50%を用いた。
【0023】
一致度が50%より大きい場合には、ステップS111に進む。一致度が50%より大きくない場合には、ステップS109に進み、電子ビームの傾斜角を半分にする。ステップS110にて、対物レンズの電流値を変更し、ステップS107に戻る。
【0024】
ここで、一致度を大きくするために、電子線の傾斜角を半減したが、それは、図17及び図18に示すように、電子線の傾斜角は小さいほうが、補正精度及びその補正範囲は大きいからである。
【0025】
一致度が50%より大きくなったらステップS111にて、電子線の傾斜角が予め設定された値αであるか否かを判定する。電子線の傾斜角がαでない場合には、ステップS106に戻り、電子線の傾斜角をαにする。
【0026】
こうして、ステップS106からステップS111を繰り返すことにより、電子線の傾斜角がαであり、且つ、一致度が50%より大きくなる。
【0027】
ステップS112にて、傾斜角αを用いてデフォーカス量を計算し、それを対物レンズ電流にフィードバックする。デフォーカス量の計算は後に(f)にて説明する式を用いて行う。
【0028】
こうして、オートフォーカスが終わると、ステップS113にて、画像I2を取り込み、RAM46に記憶する。画像I2はオートフォーカス後の画像である。この画像I2の輝度分布LUT2を求め、RAM46に記憶する。ステップS114にて、オートフォーカス前後の画像の明るさを比較する。即ち、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1とオートフォーカス後の画像I2の輝度分布LUT2の相関を計算する。
【0029】
輝度分布の相関の計算方法については後に(d)にて説明する。即ち、後に(a)、(b)にて説明するように、画像相関を用いた一致度を計算してもよい。
【0030】
ステップS115にて、相関計算の結果を用いて明るさ調整を行う。明るさ調整は、収束レンズコイルの電流値を制御することによって行う。明るさ調整の方法として、エミッション電流の制御、CCDカメラのゲインの調整、露光時間の調整等がある。明るさ調整の方法は、図20及び図21に示す画面にて入力してよい。ステップS116にて、画像I3を取り込み、RAM46に記憶する。画像I3は明るさ調整後の画像である。この画像I3の輝度分布LUT3を求め、RAM46に記憶する。
【0031】
ステップS117にて、オートフォーカス前の画像と明るさ調整後の画像の明るさを比較する。即ち、画像I1の輝度分布LUT1と画像I3の輝度分布LUT3の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。ここでは一致度の閾値として50%を用いた。一致度の閾値として、ステップS101の検索精度の入力値を用いてもよいが、別に入力してもよい。
【0032】
輝度分布の一致度の計算方法については後に(d)にて説明する。即ち、後に(a)、(b)にて説明するように、画像相関を用いた一致度を計算してもよい。
【0033】
一致度が50%より大きい場合には、ステップS118に進む。一致度が50%より大きくない場合にはステップS115に戻り、再度明るさ調整を行う。こうして一致度が50%より大きくなったらステップS118に進む。図20及び図21に示す画面では、一致度が表示される。
【0034】
ステップS118にて、パターンマッチングを行い、粒子を検索する。ステップS119にて、パターンマッチングを行った画像I3とその輝度分布LUT3をRAM46に記憶する。また、画像I1の輝度分布LUT1と画像I3の輝度分布LUT3の相関値をRAM46に記憶する。図6に示すように検索した粒子数と検索精度(一致度)を表示することができる。
【0035】
ステップS120にて、視野を移動させる。ステップS121にて、全ての視野について粒子検索が終了したか否かを判定する。全ての視野について粒子検索が完了していない場合にはステップS103に戻る。全ての視野について粒子検索が完了したらこの処理を終了する。
【0036】
本例では、ステップS105にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1を保存し、ステップS114にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1とオートフォーカス後の画像I2の輝度分布LUT2の相関を計算する。また、ステップS117にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1と明るさ調整後の画像I3の輝度分布LUT3の一致度を求める。しかしながら、これらのステップにおいて、画像の輝度分布の代わりに、輝度分布のピーク位置、又は、画像のコントラストを用いてもよい。
【0037】
輝度分布のピーク位置を用いる場合を説明する。輝度分布のピーク位置は、図13に示すように、画像の輝度分布(ヒストグラム)から求めることができる。ステップS114にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布のピーク位置pLUT1とオートフォーカス後の画像I2の輝度分布のピーク位置pLUT2の相関を計算する。輝度分布のピーク位置の相関の計算方法については後に(e)にて説明する。即ち、2つのピーク位置の比、差等を用いる。
【0038】
ステップS117にて、画像I1の輝度分布のピーク位置pLUT1と画像I3の輝度分布のピーク位置pLUT3の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。輝度分布のピーク位置の一致度の計算方法については後に(e)にて説明する。即ち、2つのピーク位置の比を用いる。
【0039】
画像のコントラストを用いる場合を説明する。コンストラストは、図8に示すようにバックグランド強度I0に対する検索対象の粒子像の強度I1の比として表わされる。ステップS114にて、オートフォーカス前の画像I1のコントラストC1とオートフォーカス後の画像I2のコントラストC2の相関を計算する。コントラストの相関の計算方法については後に(h)にて説明する。即ち、2つのこのトラストの比、差等を用いる。
【0040】
ステップS117にて、画像I1のコントラストC1と画像I3のコントラストC3の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。コントラストの一致度の計算方法については後に(h)にて説明する。即ち、2つのコントラストの比を用いる。
【0041】
図3を参照して本発明による透過電子顕微鏡を用いて微小粒子を検索する方法の第2の例を説明する。図2の第1の例では、画像の輝度分布を用いたが、本例では、CCDカメラの電流値を用いる。尚、CCDカメラの電流値の測定方法は、図22に示す。図22については後に説明する。
【0042】
ステップS201からステップS204は、図2のステップS101からステップS104と同様である。ステップS205にて、画像I1を取り込み、RAM46に記憶する。画像I1はオートフォーカス前の画像である。CCDカメラの電流値A1を測定し、それを、RAM46に記憶する。
【0043】
ステップS206からステップS212までのオートフォーカスの処理は、図1のステップS106からステップS112までの処理と同様である。オートフォーカスが終わると、ステップS213にて、画像I2を取り込み、RAM46に記憶する。画像I2はオートフォーカス後の画像である。更に、CCDカメラの電流値A2を測定し、RAM46に記憶する。ステップS214にて、オートフォーカス前後の画像の明るさを比較する。即ち、オートフォーカス前の電流値A1とオートフォーカス後の電流値A2の相関を計算する。電流値の相関の計算方法の例は、後に(g)にて説明するように、2つの電流値の比又は差を計算する。ステップS215にて、相関計算の結果を用いて明るさ調整を行う。
【0044】
ステップS216にて、画像I3を取り込み、RAM46に記憶する。画像I3は明るさ調整後の画像である。CCDカメラの電流値A3を測定し、RAM46に記憶する。ステップS217にて、オートフォーカス前の画像と明るさ調整後の画像の明るさを比較する。即ち、電流値A1と電流値A3の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。
【0045】
2つの電流値の一致度の計算方法の例として、後に(g)にて説明するように、2つの電流値の比又は差を計算する。
【0046】
一致度が50%より大きい場合には、ステップS218に進む。一致度が50%より大きくない場合にはステップS215に戻り、再度明るさ調整を行う。こうして一致度が50%より大きくなったらステップS218に進む。
【0047】
ステップS218にて、パターンマッチングを行い、粒子を検索する。ステップS219にて、パターンマッチングを行った画像I3と電流値A3をRAM46に記憶する。また、画像I1の電流値A1と画像I3の電流値A3の相関値をRAM46に記憶する。図6に示すように検索した粒子数と検索精度を表示することができる。
【0048】
ステップS220及びステップS221の処理は、図2のステップS120及びステップS121の処理と同様である。
【0049】
図4を参照して本発明による透過電子顕微鏡を用いて微小粒子を検索する方法の第3の例を説明する。ステップS301からステップS312は、図1のステップS101からステップS112と同様である。即ち、オートフォーカスが終わるまで、図1の例と同様である。
【0050】
オートフォーカスによって対物レンズ電流値は新たな値に設定される。ステップS313にて、収束レンズコイルの電流値を、対物レンズ電流に対応した値に設定する。図15は、画像の明るさが変化しないための対物レンズの電流値と収束レンズの電流値の条件を示す。図15の曲線から、オートフォーカスによって得られた対物レンズ電流値に対応する収束レンズの電流値を読み取り、それを設定値とする。こうして本例では、収束レンズコイルの電流値を所定の値に設定することにより明るさ調整を行う。
【0051】
ステップS314にて、画像I2を取り込み、RAM46に記憶する。画像I2は明るさ調整後の画像である。この画像I2の輝度分布LUT2を求め、RAM46に記憶する。ステップS315にて、オートフォーカス前の画像と明るさ調整後の画像の明るさを比較する。即ち、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1と明るさ調整後の画像I2の輝度分布LUT2の相関を計算する。
【0052】
輝度分布の相関の計算方法については後に(d)にて説明する。即ち、後に(a)、(b)にて説明するように、画像相関を用いた一致度を計算してもよい。
【0053】
ステップS316にて、画像I1の輝度分布LUT1と画像I2の輝度分布LUT2の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。
【0054】
輝度分布の一致度の計算方法については後に(d)にて説明する。即ち、後に(a)、(b)にて説明するように、画像相関を用いた一致度を計算してもよい。
【0055】
一致度が50%より大きい場合には、ステップS317に進む。一致度が50%より大きくない場合には処理を終了する。本例では、明るさ調整として、収束レンズコイルの電流値を所定の値に設定した。従って、再度明るさ調整を行わない。
【0056】
ステップS317にて、パターンマッチングを行い、粒子を検索する。ステップS318にて、パターンマッチングを行った画像I2とその輝度分布LUT2をRAM46に記憶する。また、画像I1の輝度分布LUT1と画像I2の輝度分布LUT2の相関値をRAM46に記憶する。図6に示すように検索した粒子数と検索精度を表示することができる。
【0057】
ステップS319及びステップS320の処理は、図2のステップS120及びステップS121の処理と同様である。
【0058】
本例では、ステップS305にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1を保存し、ステップS314にて、明るさ調整後の画像I2の輝度分布LUT2を保存し、ステップS315にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1と明るさ調整後の画像I2の輝度分布LUT2の相関を計算する。しかしながら、これらのステップにおいて、画像の輝度分布の代わりに、輝度分布のピーク位置、又は、コントラストを用いてもよい。
【0059】
さらにこれらのステップにおいて、画像の輝度分布の代わりに、CCDカメラの電流値を用いてもよい。
【0060】
図5は粒子検索の入力画面の例を示す。入力画面の左側には、試料メッシュが表示される。入力画面の右下には、検索精度、検索対象の粒子の径、検索対象の粒子の楕円率を設定するフィールドが表示される。ユーザは、先ず、検索精度、粒子径及び楕円率を入力する。検索精度は、予め設定されていてもよい。次に、試料メッシュにて粒子検索を行う場所を設定する。
【0061】
図6は検索精度と検出結果を示す画面の例を示す。図6の例では、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1と明るさ調整後の画像I2の輝度分布LUT2の相関(一致度)を80%に設定したとき、検索対象の粒子が1個検出されたことを示す。画面の右側には、粒子を検出したときの画像が表示される。図7は、コンストラスト、検出された粒子数、及び、検索精度の例を示す。コンストラストが高いほど検索精度は高くなる。図8に示すようにコンストラストは、バックグランド強度I0に対する検索対象の粒子像の強度I1の比として表わされる。
【0062】
図9は、デフォーカス量とCCDカメラの電流比の関係を示す。横軸はデフォーカス量、縦軸はデフォーカス量がゼロのときの電流値I0に対するデフォーカス後の電流値I1の比である。図示のように、デフォーカス量が負から正に増加するとき、CCDカメラの電流値は増加することが判る。従って、CCDカメラの電流値を検出することによって、デフォーカス量を知ることができる。
【0063】
図10を参照して、対物レンズ電流値を変化させることにより画像の明るさが変化することを説明する。対物レンズ電流値を変化させると、対物前磁場と対物後磁場が変化する。図10には、対物前磁場のみを示す。対物レンズ電流値を変化させると、対物前磁場が変化し、破線にて示すように、電子線の照射領域が変化し、試料上の電子線密度が変化する。それによって、画像の明るさが変化する。尚、対物後磁場が変化することにより、焦点位置が変化する。
【0064】
図11は、従来の技術のように、オートフォーカス後に明るさを補正しない場合の画像の例を示す。左上の画像は、正焦点の画像、その右の画像は、負の側にずれている画像をオートフォーカスによって結像させて画像、下側の画像は、正の側にずれている画像をオートフォーカスによって結像させて画像を示す。図12は、本発明により、オートフォーカス後に明るさを補正した場合の画像の例を示す。左上の画像は、正焦点の画像、その右の画像は、負の側にずれている画像をオートフォーカスによって結像させて画像、下側の画像は、正の側にずれている画像をオートフォーカスによって結像させて画像を示す。図12の画像では、オートフォーカスの前後において明るさが変化しない。従って、本発明によると、オートフォーカスを行っても、正確に粒子を検出することができる。
【0065】
図13は、画像の輝度分布(ヒストグラム)及びピーク位置の例を示す。縦軸は画素数、横軸は階調である。輝度分布曲線の頂点がピーク位置であり、輝度分布の中心である。図13(a)はオートフォーカス前の輝度分布を示し、図13(b)はオートフォーカス後の輝度分布を示す。両者を比較すると判るように、本例では、オートフォーカス後に、画像の明るさが増加している。
【0066】
図15は、画像の明るさが変化しないための対物レンズの電流値と収束レンズの電流値の条件を示す。横軸は対物レンズの電流値、縦軸は収束レンズの電流値である。対物レンズの電流値が変化しても、収束レンズの電流値を図15の曲線より求めた値に設定することにより、画像の明るさの変化を回避することができる。
【0067】
図16は、対物レンズの電流値と試料表面上の電流値の関係を示す。横軸は対物レンズの電流値、縦軸は試料表面上の電流値である。試料表面上の電流値は、CCDカメラの電流値である。対物レンズの電流値が負から正に増加すると、試料表面上の電流値は減少する。試料表面上の電流値を検出することによって、対物レンズの電流値を知ることができる。
【0068】
図17は、倍率と補正精度の関係を示す。横軸は倍率、縦軸は補正精度(デフォーカス量)である。倍率が大きくなると、補正精度は急激に小さくなる。電子線の傾斜角α(0.5〜0.1度)を変化させて、倍率と補正精度の関係を調べた。電子線の傾斜角αが大きいほど、補正精度は小さくなる。
【0069】
図18は、倍率と補正範囲の関係を示す。横軸は倍率、縦軸は補正幅(デフォーカス量)である。倍率が大きくなると、補正幅は急激に小さくなる。電子線の傾斜角α(0.5〜0.1度)を変化させて、倍率と補正幅の関係を調べた。電子線の傾斜角αが大きいほど、補正幅は小さくなる。
【0070】
図19は、オートフォーカスの設定画面の例を示す。この画面は、電子線の傾斜角αを入力するためのフィールドを有する。
【0071】
図20は、明るさの補正を露光時間の制御によって行う場合の設定画面の例を示す。この画面は、露光時間の制御方法として、収束レンズ、電子銃エミッション電流、収束レンズによって修正された既定値のいずれかを選択するフィールドと、得られた検索精度(一致度)を表示するフィールドを有する。
【0072】
図21は、明るさの補正をCCDカメラの電流値の制御によって行う場合の設定画面の例を示す。この画面は、CCDカメラの電流値の制御方法として、収束レンズ、電子銃エミッション電流、CCDカメラのゲイン、CCDカメラの露光時間のいずれかを選択するフィールドと、得られた検索精度(一致度)を表示するフィールドを有する。この画面は、更に、輝度分布を表示するフィールドを有する。
【0073】
図22を参照して、CCDカメラの電流値の測定方法の例を説明する。本例では、CCDカメラに対して、電流検出器を備えたシンチレータ54が設けられている。
【0074】
図23及び図24は、視野の移動方法の例を示す。図23の例では、X方向の駆動装置53a、Y方向の駆動装置53b、及び、Z方向の駆動装置53cを備えた試料ステージ53を用いて視野を移動させる。図24の例では、偏向コイル4、5を用いて視野を移動させる。
【0075】
以下に、移動量の計算方法、一致度の計算方法、コントラストの計算方法、オートフォーカスにおけるデフォーカス量の計算方法、各種の検索精度の計算方法の例を説明する。
【0076】
(a) 移動量の計算方法
図14に示す画像相関の例を用いて、画像の移動量の計算方法を説明する。透過像1の一部を切り取った画像を透過像3とする。これをM×Nの画素数で記憶装置に、登録画像f1(m、n)として記録する。次に記録モード後に取込んだ画像を透過像2とする。これをM×Nの画素数で記憶装置に、参照画像f2(m、n)として記録する。但し、どちらも自然画像とし、m=0,1,2,・・・M-1、 n=0,1,2,・・・N-1である。
【0077】
f1(m,n) 、f2(m,n)の離散フーリエ画像F1(m,n) 、F2(m,n)はそれぞれ式(1)、(2)で定義される。
F1(u,v)=A(u,v)ejθ(u,v) (1)
F2(u,v)=B(u,v)ejφ(u,v) (2)
但し、u=0,1,2,・・・M-1、 v=0,1,2,・・・N-1である。A(u,v)、B(u,v)は振幅スペクトル、θ(u,v)、φ(u,v)は位相スペクトルである。
【0078】
位相相関では、2画像間で像の平行移動があった場合には相関のピークの位置が移動量だけずれる。以下に移動量の導出方法を説明する。
【0079】
まず、原画像f2(m,n)が、x方向にr’だけ移動したとしてf4(m,n)=f2(m+r’,n)とする。式(2)を式(3)のように変形する。
F4(u,v)=ΣΣ f2(m+r’,n)e -j2π(mu/M+nv/N)
=B(u,v)ej(φ+2πr’u/M) (3)
【0080】
振幅スペクトルB(u,v)を定数とすることにより、画像のコントラストに依存しない位相画像となる。画像f4の位相画像F’4 (u,v)は式(4)となる。
F4’(u,v)=ej(φ+2πr’u/M) (4)
【0081】
位相画像F’1(u,v)にF’2(u,v)の複素供役を乗ずることによって合成画像H14(u,v)は式(5)となる。
H14(u,v)=F’1(u,v)(F’2(u,v))*= ej(θ-φ-2πru/M ) (5)
【0082】
相関強度画像G14(r,s)は、合成画像H14(u,v)を逆フーリエ変換することによって式(6)となる。
G14(r,s)=ΣΣ(H14(u,v)) ej2π(ur/M+us/N)
=ΣΣ(ej(θ-φ-2πr’u/M )) ej2π(ur/M+us/N)=G12(r-r’) (6)
【0083】
式(6)より、2つの画像間でX方向に位置ずれ量r’が存在する場合、相関強度画像のピークの位置は-r’だけずれる。また、位相成分で相関計算するため、2つの画像で明るさやコントラストに違いがあっても移動量の計算が行える。2つの画像間でX方向に位置ずれ量が存在する場合は、相関強度画像の中心よりΔG(pixel)の位置にピークが発生する。例えば2つの画像間でX方向に2pixelのずれがあると、合成画像は2周期の波になる。これを逆フーリエ変換すると相関強度画像となり、中心から2pixelずれた位置にピークが発生する。
【0084】
このΔG(pixel)は検出器の受光面での移動量相当する。そこで、ΔGを試料面上の移動量Δxに変換する。検出器の受光面の径L、受光面上での透過電子顕微鏡の倍率M、検出器の受光面の画素数Lmとすると式(7)に示す。
Δx=ΔG(pixel)×L/Lm(pixel)/M (7)
Δxは2つ画像間の試料面上での移動量となる。
【0085】
(b) 一致度の計算方法
画像相関を用いて一致度を計算する方法を説明する。位相成分のみを用いた相関計算では、数学上位相のみを使用しているため相関強度に現れるピークはδピークとなる。
【0086】
例えば2つの画像間で1.5画素ずれると合成画像は1.5周期の波となる。これを逆フーリエ変換すると、相関強度画像の中心より1.5pixelずれた位置にδピークが立つが、1.5の画素は存在しないので、δピークの値は1pixel目と2pixel目に振り分けられる。
【0087】
ここで一致度が高い画素の重心を取って、この振り分けられた値から真のδピーク位置を計算すると1/10pixel程度の精度を計算結果が得られる。また、相関強度画像がδピークのため、2つの画像間における類似性の評価を相関強度画像のピークの高さによって行う。画像f1(m、n)、ピークの高さPeak(pixel)とすると一致度(%)を式(8)に示す。
一致度(%)=(Peak)/(m×n)×100 (8)
例えば処理画素数は128pixel×128pixelでPeakが16384(pixel)の場合は、一致度=(16384)/(128×128)×100=100 (%)となる。
【0088】
(c) コントラストCの計算方法
図8に示すようにラインプロファイルよりバックグランド強度I0と試料の高さを示す強度I1を用いて、式(9)にコントラストCを計算する。
【0089】
コントラストC=( I0 )/(I1 )×100 (9)
【0090】
(d) 相関計算を用いて検索精度を計算する方法
図13に示すように輝度分布を画像と考え、(a)又は(b)の画像相関を用いた移動量又は一致度を検索精度とする。
【0091】
(e) 輝度分布のピーク位置と検索精度(一致度)を計算する方法
図13に示すように輝度分布のピークの位置を式(10)によって求める。検索精度を式(11)によって求める。
ピーク位置=ピーク位置1−ピーク位置2 (10)
検索精度=(ピーク位置1)/(ピーク位置2)×100 (11)
【0092】
(f) 焦点を自動補正する方法(オートフォーカス)
式(7)で算出した試料上の移動量ΔXを式(12)に入れて、デフォーカス量Δfを計算する。
Δf=ΔX/(α×M)―CS×α2 (12)
ΔXは電子ビームの傾斜によって生じた移動量、Mは透過電子顕微鏡の倍率、CSは対物レンズの球面収差係数、αは電子ビームの傾斜角である。
【0093】
(g) 電流値より電流値の位置と検索精度(一致度)を計算する方法
電流値の位置を式(13)によって求め、検索精度を式(14)によって求める。
電流値の位置=電流値1−電流値2 (13)
検索精度=(電流値1)/(電流値2)×100 (14)
【0094】
(h) コントラストより位置と検索精度(一致度)を計算する方法
コントラストの位置を式(15)によって求め、検索精度を式(16)によって求める。
コントラストの位置=コントラスト1−コントラスト2 (15)
検索精度=(コントラスト1)/(コントラスト2)×100 (16)
【0095】
以上、本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の透過電子顕微鏡の構成を示す図である。
【図2】本発明の透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する方法の第1の例を示す図である。
【図3】本発明の透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する方法の第2の例を示す図である。
【図4】本発明の透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する方法の第3の例を示す図である。
【図5】本発明の透過電子顕微鏡において自動検索を行うときの入力画面の例を示す。
【図6】本発明の透過電子顕微鏡において検索結果である粒子検出数と検索精度を表示した画面の例を示す。
【図7】本発明の透過電子顕微鏡においてコントラスト、粒子検出数及び検索精度の関係を示す図である。
【図8】本発明の透過電子顕微鏡においてコントラストの計算方法を示す図である。
【図9】本発明の透過電子顕微鏡においてデフォーカス量とCCDカメラの電流比の関係を示す図である。
【図10】本発明の透過電子顕微鏡において対物前磁場と照射領域の関係を示す図である。
【図11】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカス後に明るさの補正しない画像を示す図である。
【図12】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカス後に明るさの補正した画像を示す図である。
【図13】本発明の透過電子顕微鏡において画像から求めた輝度分布の例を示す図である。
【図14】本発明の透過電子顕微鏡において画像相関の例を説明するための図である。
【図15】本発明の透過電子顕微鏡において明るさが変化しない対物レンズ電流値と収束レンズコイル電流値の関係を示す図である。
【図16】本発明の透過電子顕微鏡において対物レンズ電流値とCCDカメラの電流値の関係を示す図である。
【図17】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカスの補正精度を示す図である。
【図18】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカスの補正範囲を示す図である。
【図19】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカスの設定を行う入力画面の例を示す図である。
【図20】本発明の透過電子顕微鏡において露光時間の設定を行う入力画面の例を示す図である。
【図21】本発明の透過電子顕微鏡においてCCDカメラの設定を行う入力画面の例を示す図である。
【図22】本発明の透過電子顕微鏡においてCCDカメラの電流値の測定方法の例を示す図である。
【図23】本発明の透過電子顕微鏡において視野を移動させるための試料ステージの例を示す図である。
【図24】本発明の透過電子顕微鏡において視野を移動させるための電子線偏向系の例を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1:電子銃、2:第1収束レンズコイル、3:第2収束レンズコイル、4:第1偏向コイル、5:第2偏向コイル、6:対物レンズコイル、7:第1電磁式試料イメージ移動用コイル、8:第2電磁式試料イメージ移動用コイル、9:第1中間レンズコイル、10:第2中間レンズコイル、11:第1投射レンズコイル、12:第2投射レンズコイル、13〜23:励磁電源、24〜34:DAC、35:マイクロプロッセサ、36:記憶装置、37:演算装置、38:CRTコントローラ、39:CRT、40〜41:I/F、42:倍率切替用ロータリーエンコーダ、43:入力用ロータリーエンコーダ、44:キーボード、45:マウス、46:RAM、47:ROM、48:画像取込みインターフェース、49: TV制御部 、50:TV、51:光学レンズ、52:CCD、53:試料ステージ、54:シンチレータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過電子顕微鏡に関し、特に、オートフォーカス機能を有する透過電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡では、広範囲で検索を行うとZ方向にずれが生じ、オートフォーカスを動作させると画像の明るさが変化する。例えば、透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する場合、画像の明るさの変化によって、検索効率が低下する。それによって観察データや分析データの信頼性が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、オートフォーカスを動作させても、画像の明るさが変化することがない透過電子顕微鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の透過電子顕微鏡によると、オートフォーカスによって対物レンズの電流値が変化しても、画像の明るさが変化しないように画像の明るさを調整する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の透過電子顕微鏡によると、オートフォーカスを動作させても、画像の明るさが変化することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1を参照して本発明による透過電子顕微鏡の例を説明する。本例の透過電子顕微鏡は、電子銃1、第1及び第2の収束レンズコイル2,3、第1及び第2の偏向コイル4,5、対物レンズコイル6、第1及び第2の電磁式試料イメージ移動用コイル7,8、第1及び第2の中間レンズコイル9,10、第1及び第2の投射レンズコイル11,12、励磁電源13〜23、デジタルアナログ変換器(DAC)24〜34、マイクロプロッセサ35、記憶装置36、演算装置37、CRTコントローラ38、CRT(モニタ)39、インターフェース(I/F)40〜41、倍率切替用ロータリーエンコーダ42、入力用ロータリーエンコーダ43、キーボード44、マウス45、RAM46、ROM47、画像取込みインターフェース48、TVカメラ制御部49、及び、TVカメラ50を有する。TVカメラ50は、光学レンズ51及びCCD52を有する。光軸上には、試料ステージ53及びシンチレータ54が設けられている。
【0007】
粒子を検索するとき、観察者は、キーボード44及びマウス45を使用して、視野を移動させ、検索対象の粒子を探す。ROM47に格納された透過電子像用のレンズデータを読み出し、デジタルアナログ変換器(DAC)24〜34に供給する。デジタルアナログ変換器(DAC)24〜34は、レンズ系のデータをアナログ信号に変換し、励磁電源13〜23に供給する。励磁電源13〜23は、各レンズ系のレンズコイル2,3,6,9〜12に電流を出力する。
【0008】
電子銃1によって生成された電子線は、第1及び第2の収束レンズコイル2,3により収束され、第1及び第2の偏向コイル4,5によって偏向され、対物レンズコイル6によって結像され、試料ステージ53上の試料に照射される。
【0009】
試料を透過した電子線は、第1及び第2の電磁式試料イメージ移動用コイル7,8、第1及び第2の中間レンズコイル9,10、及び、第1及び第2の投射レンズコイル11,12を経由して、シンチレータ54上に投影される。シンチレータ54は、透明ガラス上に塗布された蛍光体を有する。従って、蛍光体は、試料の透過像を発光する。発光した透過像は、透明ガラスを透過し、光学レンズ51を介して、CCD52によって受光される。CCD52は、受光した透過像を電気信号に変換し、それをTVカメラ制御部49に送信する。TVカメラ制御部49は画像データを、画像取込みインターフェース48を介して、マイクロプロッセサ35、RAM46、記憶装置36、及び、演算装置37に送信する。透過像は、RAM46、及び、記憶装置36に記憶され、CRT(モニタ)39によって表示される。
【0010】
本例の透過電子顕微鏡は、オートフォーカス機能、及び、画像の明るさを補正する明るさ調整機能を有する。透過電子顕微鏡のオートフォーカス機構は周知であり、ここでは詳細に説明しない。本例の透過電子顕微鏡は、更に、パターンマッチング機能を有するが、これも周知技術である。明るさ調整機能は、オートフォーカスによって対物レンズの電流値が変化したとき、画像の明るさが変化しないように制御を行う。即ち、オートフォーカスの前後において、画像の明るさが変化しないように制御する。
【0011】
オートフォーカス機能、パターンマッチング機能、及び、明るさ調整機能は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムによって構成されてよく、マイクロプロッセサ35、RAM46、記憶装置36、及び、演算装置37によって実現される。
【0012】
オートフォーカスによって対物レンズの電流値が変化したとき、先ず、最初の明るさ調整を行う。最初の明るさ調整を行なった画像の明るさをオートフォーカス前の画像の明るさと比較する。両者の一致度が低い場合には、最初の明るさ調整が不十分であり、再度明るさ調整を行う。こうして、明るさ調整を行なった画像の明るさがオートフォーカス前の画像の明るさと一致するまで、明るさ調整を行う。
【0013】
最初の明るさ調整では、オートフォーカス前の画像の明るさとオートフォーカス後の画像の明るさの比較に基づいて補正量を決める。2回目以降の明るさ調整では、オートフォーカス前の画像の明るさと、明るさ調整後の画像の明るさの比較に基づいて補正量を決める。
【0014】
画像の明るさを比較するとき、画像の輝度分布を比較してもよく、画像の輝度分布のピーク位置を比較してもよく、又は、画像のコントラストを比較してもよい。更に、CCDカメラの電流値を比較してもよい。画像の輝度分布を比較する場合、画像相関を用いた画像の移動度又は一致度を計算してもよい。
【0015】
画像の明るさは、基本的には、試料上の電子線密度によって決まる。従って、画像の明るさを補正するには、収束レンズ電流を変化させればよい。絞りを用いて試料上の電子線密度を調整してもよい。収束レンズ電流を変化させる代わりに、電子銃エミッション電流、CCDカメラのゲイン、露光時間等を調整してもよい。
【0016】
画像の明るさが変化しない対物レンズ電流と収束レンズ電流の関係を予め求めておいてよい。オートフォーカスによって対物レンズ電流値が変化したとき、このような関係より収束レンズ電流を求めれば、明るさ調整を行うことができる。同様に、画像の明るさが変化しない対物レンズ電流と電子銃エミッション電流の関係を予め求めておいてよい。オートフォーカスによって対物レンズ電流値が変化したとき、このような関係より電子銃エミッション電流を求めることにより、明るさ調整を行うことができる。
【0017】
本発明による透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索するとき、次の効果がある。(1)粒子を検索した画像と信頼性を表示できる。(2)粒子の検索効率を向上させることができる。(3)オートフォーカスにより変動する明るさを補正することができる。(4)変動した明るさを補正してオートフォーカスの精度を向上させる。従って、本発明による透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する場合に、観察データの信頼性を証明することができる。
【0018】
図2を参照して本発明による透過電子顕微鏡を用いて微小粒子を検索する方法の第1の例を説明する。ステップS101にて、検索精度及び検索対象の粒子のパターンを設定する。例えば、図5に示す入力画面にて、検索精度、検索対象の粒子の径、検索対象の粒子の楕円率を入力する。検索精度は、予め設定されている値を用いてもよい。ステップS102にて、検索対象の視野を設定する。図5に示す入力画面の左側にて示すように、試料メッシュの1つを指定する。ステップS103にて、視野を移動させる。視野の移動方法は、図23に示すように試料ステージ53を用いてもよいが、図24に示すように、偏向コイル4、5を用いて電磁的に視野を移動させてもよい。ステップS104にて視野の移動を停止する。
【0019】
ステップS105にて、画像I1を取り込み、RAM46に記憶する。画像I1はオートフォーカス前の画像である。この画像I1の輝度分布LUT1を求め、RAM46に記憶する。輝度分布LUT1は、図13に示すように、横軸に階調をとり、縦軸に画素数をとったときの輝度分布曲線(ヒストグラム)である。
【0020】
ステップS106〜ステップS112にて、オートフォーカスを行う。先ずステップS106にて、電子線を傾斜角αだけ傾斜させ、画像I1αを取り込み、RAM46に記憶する。例えば、図19に示す入力画面にて傾斜角αを入力する。
【0021】
試料上に正焦点がある場合には、電子線を傾斜させても、画像は移動しない。しかしながら、焦点がずれている場合には、電子線を傾斜させることにより画像は移動する。この現象を利用する。
【0022】
ステップS107にて、2つの画像I1、I1α間の移動量と一致度を計算する。移動量及び一致度の計算は後に説明する(a)及び(b)の方法を用いてよい。このとき、正規化相関で計算を行ってもよい。ステップS108にて、一致度が50%より大きいか否かを判定する。ここでは一致度の閾値として50%を用いた。
【0023】
一致度が50%より大きい場合には、ステップS111に進む。一致度が50%より大きくない場合には、ステップS109に進み、電子ビームの傾斜角を半分にする。ステップS110にて、対物レンズの電流値を変更し、ステップS107に戻る。
【0024】
ここで、一致度を大きくするために、電子線の傾斜角を半減したが、それは、図17及び図18に示すように、電子線の傾斜角は小さいほうが、補正精度及びその補正範囲は大きいからである。
【0025】
一致度が50%より大きくなったらステップS111にて、電子線の傾斜角が予め設定された値αであるか否かを判定する。電子線の傾斜角がαでない場合には、ステップS106に戻り、電子線の傾斜角をαにする。
【0026】
こうして、ステップS106からステップS111を繰り返すことにより、電子線の傾斜角がαであり、且つ、一致度が50%より大きくなる。
【0027】
ステップS112にて、傾斜角αを用いてデフォーカス量を計算し、それを対物レンズ電流にフィードバックする。デフォーカス量の計算は後に(f)にて説明する式を用いて行う。
【0028】
こうして、オートフォーカスが終わると、ステップS113にて、画像I2を取り込み、RAM46に記憶する。画像I2はオートフォーカス後の画像である。この画像I2の輝度分布LUT2を求め、RAM46に記憶する。ステップS114にて、オートフォーカス前後の画像の明るさを比較する。即ち、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1とオートフォーカス後の画像I2の輝度分布LUT2の相関を計算する。
【0029】
輝度分布の相関の計算方法については後に(d)にて説明する。即ち、後に(a)、(b)にて説明するように、画像相関を用いた一致度を計算してもよい。
【0030】
ステップS115にて、相関計算の結果を用いて明るさ調整を行う。明るさ調整は、収束レンズコイルの電流値を制御することによって行う。明るさ調整の方法として、エミッション電流の制御、CCDカメラのゲインの調整、露光時間の調整等がある。明るさ調整の方法は、図20及び図21に示す画面にて入力してよい。ステップS116にて、画像I3を取り込み、RAM46に記憶する。画像I3は明るさ調整後の画像である。この画像I3の輝度分布LUT3を求め、RAM46に記憶する。
【0031】
ステップS117にて、オートフォーカス前の画像と明るさ調整後の画像の明るさを比較する。即ち、画像I1の輝度分布LUT1と画像I3の輝度分布LUT3の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。ここでは一致度の閾値として50%を用いた。一致度の閾値として、ステップS101の検索精度の入力値を用いてもよいが、別に入力してもよい。
【0032】
輝度分布の一致度の計算方法については後に(d)にて説明する。即ち、後に(a)、(b)にて説明するように、画像相関を用いた一致度を計算してもよい。
【0033】
一致度が50%より大きい場合には、ステップS118に進む。一致度が50%より大きくない場合にはステップS115に戻り、再度明るさ調整を行う。こうして一致度が50%より大きくなったらステップS118に進む。図20及び図21に示す画面では、一致度が表示される。
【0034】
ステップS118にて、パターンマッチングを行い、粒子を検索する。ステップS119にて、パターンマッチングを行った画像I3とその輝度分布LUT3をRAM46に記憶する。また、画像I1の輝度分布LUT1と画像I3の輝度分布LUT3の相関値をRAM46に記憶する。図6に示すように検索した粒子数と検索精度(一致度)を表示することができる。
【0035】
ステップS120にて、視野を移動させる。ステップS121にて、全ての視野について粒子検索が終了したか否かを判定する。全ての視野について粒子検索が完了していない場合にはステップS103に戻る。全ての視野について粒子検索が完了したらこの処理を終了する。
【0036】
本例では、ステップS105にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1を保存し、ステップS114にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1とオートフォーカス後の画像I2の輝度分布LUT2の相関を計算する。また、ステップS117にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1と明るさ調整後の画像I3の輝度分布LUT3の一致度を求める。しかしながら、これらのステップにおいて、画像の輝度分布の代わりに、輝度分布のピーク位置、又は、画像のコントラストを用いてもよい。
【0037】
輝度分布のピーク位置を用いる場合を説明する。輝度分布のピーク位置は、図13に示すように、画像の輝度分布(ヒストグラム)から求めることができる。ステップS114にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布のピーク位置pLUT1とオートフォーカス後の画像I2の輝度分布のピーク位置pLUT2の相関を計算する。輝度分布のピーク位置の相関の計算方法については後に(e)にて説明する。即ち、2つのピーク位置の比、差等を用いる。
【0038】
ステップS117にて、画像I1の輝度分布のピーク位置pLUT1と画像I3の輝度分布のピーク位置pLUT3の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。輝度分布のピーク位置の一致度の計算方法については後に(e)にて説明する。即ち、2つのピーク位置の比を用いる。
【0039】
画像のコントラストを用いる場合を説明する。コンストラストは、図8に示すようにバックグランド強度I0に対する検索対象の粒子像の強度I1の比として表わされる。ステップS114にて、オートフォーカス前の画像I1のコントラストC1とオートフォーカス後の画像I2のコントラストC2の相関を計算する。コントラストの相関の計算方法については後に(h)にて説明する。即ち、2つのこのトラストの比、差等を用いる。
【0040】
ステップS117にて、画像I1のコントラストC1と画像I3のコントラストC3の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。コントラストの一致度の計算方法については後に(h)にて説明する。即ち、2つのコントラストの比を用いる。
【0041】
図3を参照して本発明による透過電子顕微鏡を用いて微小粒子を検索する方法の第2の例を説明する。図2の第1の例では、画像の輝度分布を用いたが、本例では、CCDカメラの電流値を用いる。尚、CCDカメラの電流値の測定方法は、図22に示す。図22については後に説明する。
【0042】
ステップS201からステップS204は、図2のステップS101からステップS104と同様である。ステップS205にて、画像I1を取り込み、RAM46に記憶する。画像I1はオートフォーカス前の画像である。CCDカメラの電流値A1を測定し、それを、RAM46に記憶する。
【0043】
ステップS206からステップS212までのオートフォーカスの処理は、図1のステップS106からステップS112までの処理と同様である。オートフォーカスが終わると、ステップS213にて、画像I2を取り込み、RAM46に記憶する。画像I2はオートフォーカス後の画像である。更に、CCDカメラの電流値A2を測定し、RAM46に記憶する。ステップS214にて、オートフォーカス前後の画像の明るさを比較する。即ち、オートフォーカス前の電流値A1とオートフォーカス後の電流値A2の相関を計算する。電流値の相関の計算方法の例は、後に(g)にて説明するように、2つの電流値の比又は差を計算する。ステップS215にて、相関計算の結果を用いて明るさ調整を行う。
【0044】
ステップS216にて、画像I3を取り込み、RAM46に記憶する。画像I3は明るさ調整後の画像である。CCDカメラの電流値A3を測定し、RAM46に記憶する。ステップS217にて、オートフォーカス前の画像と明るさ調整後の画像の明るさを比較する。即ち、電流値A1と電流値A3の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。
【0045】
2つの電流値の一致度の計算方法の例として、後に(g)にて説明するように、2つの電流値の比又は差を計算する。
【0046】
一致度が50%より大きい場合には、ステップS218に進む。一致度が50%より大きくない場合にはステップS215に戻り、再度明るさ調整を行う。こうして一致度が50%より大きくなったらステップS218に進む。
【0047】
ステップS218にて、パターンマッチングを行い、粒子を検索する。ステップS219にて、パターンマッチングを行った画像I3と電流値A3をRAM46に記憶する。また、画像I1の電流値A1と画像I3の電流値A3の相関値をRAM46に記憶する。図6に示すように検索した粒子数と検索精度を表示することができる。
【0048】
ステップS220及びステップS221の処理は、図2のステップS120及びステップS121の処理と同様である。
【0049】
図4を参照して本発明による透過電子顕微鏡を用いて微小粒子を検索する方法の第3の例を説明する。ステップS301からステップS312は、図1のステップS101からステップS112と同様である。即ち、オートフォーカスが終わるまで、図1の例と同様である。
【0050】
オートフォーカスによって対物レンズ電流値は新たな値に設定される。ステップS313にて、収束レンズコイルの電流値を、対物レンズ電流に対応した値に設定する。図15は、画像の明るさが変化しないための対物レンズの電流値と収束レンズの電流値の条件を示す。図15の曲線から、オートフォーカスによって得られた対物レンズ電流値に対応する収束レンズの電流値を読み取り、それを設定値とする。こうして本例では、収束レンズコイルの電流値を所定の値に設定することにより明るさ調整を行う。
【0051】
ステップS314にて、画像I2を取り込み、RAM46に記憶する。画像I2は明るさ調整後の画像である。この画像I2の輝度分布LUT2を求め、RAM46に記憶する。ステップS315にて、オートフォーカス前の画像と明るさ調整後の画像の明るさを比較する。即ち、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1と明るさ調整後の画像I2の輝度分布LUT2の相関を計算する。
【0052】
輝度分布の相関の計算方法については後に(d)にて説明する。即ち、後に(a)、(b)にて説明するように、画像相関を用いた一致度を計算してもよい。
【0053】
ステップS316にて、画像I1の輝度分布LUT1と画像I2の輝度分布LUT2の一致度を求め、それが50%より大きいか否かを判定する。
【0054】
輝度分布の一致度の計算方法については後に(d)にて説明する。即ち、後に(a)、(b)にて説明するように、画像相関を用いた一致度を計算してもよい。
【0055】
一致度が50%より大きい場合には、ステップS317に進む。一致度が50%より大きくない場合には処理を終了する。本例では、明るさ調整として、収束レンズコイルの電流値を所定の値に設定した。従って、再度明るさ調整を行わない。
【0056】
ステップS317にて、パターンマッチングを行い、粒子を検索する。ステップS318にて、パターンマッチングを行った画像I2とその輝度分布LUT2をRAM46に記憶する。また、画像I1の輝度分布LUT1と画像I2の輝度分布LUT2の相関値をRAM46に記憶する。図6に示すように検索した粒子数と検索精度を表示することができる。
【0057】
ステップS319及びステップS320の処理は、図2のステップS120及びステップS121の処理と同様である。
【0058】
本例では、ステップS305にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1を保存し、ステップS314にて、明るさ調整後の画像I2の輝度分布LUT2を保存し、ステップS315にて、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1と明るさ調整後の画像I2の輝度分布LUT2の相関を計算する。しかしながら、これらのステップにおいて、画像の輝度分布の代わりに、輝度分布のピーク位置、又は、コントラストを用いてもよい。
【0059】
さらにこれらのステップにおいて、画像の輝度分布の代わりに、CCDカメラの電流値を用いてもよい。
【0060】
図5は粒子検索の入力画面の例を示す。入力画面の左側には、試料メッシュが表示される。入力画面の右下には、検索精度、検索対象の粒子の径、検索対象の粒子の楕円率を設定するフィールドが表示される。ユーザは、先ず、検索精度、粒子径及び楕円率を入力する。検索精度は、予め設定されていてもよい。次に、試料メッシュにて粒子検索を行う場所を設定する。
【0061】
図6は検索精度と検出結果を示す画面の例を示す。図6の例では、オートフォーカス前の画像I1の輝度分布LUT1と明るさ調整後の画像I2の輝度分布LUT2の相関(一致度)を80%に設定したとき、検索対象の粒子が1個検出されたことを示す。画面の右側には、粒子を検出したときの画像が表示される。図7は、コンストラスト、検出された粒子数、及び、検索精度の例を示す。コンストラストが高いほど検索精度は高くなる。図8に示すようにコンストラストは、バックグランド強度I0に対する検索対象の粒子像の強度I1の比として表わされる。
【0062】
図9は、デフォーカス量とCCDカメラの電流比の関係を示す。横軸はデフォーカス量、縦軸はデフォーカス量がゼロのときの電流値I0に対するデフォーカス後の電流値I1の比である。図示のように、デフォーカス量が負から正に増加するとき、CCDカメラの電流値は増加することが判る。従って、CCDカメラの電流値を検出することによって、デフォーカス量を知ることができる。
【0063】
図10を参照して、対物レンズ電流値を変化させることにより画像の明るさが変化することを説明する。対物レンズ電流値を変化させると、対物前磁場と対物後磁場が変化する。図10には、対物前磁場のみを示す。対物レンズ電流値を変化させると、対物前磁場が変化し、破線にて示すように、電子線の照射領域が変化し、試料上の電子線密度が変化する。それによって、画像の明るさが変化する。尚、対物後磁場が変化することにより、焦点位置が変化する。
【0064】
図11は、従来の技術のように、オートフォーカス後に明るさを補正しない場合の画像の例を示す。左上の画像は、正焦点の画像、その右の画像は、負の側にずれている画像をオートフォーカスによって結像させて画像、下側の画像は、正の側にずれている画像をオートフォーカスによって結像させて画像を示す。図12は、本発明により、オートフォーカス後に明るさを補正した場合の画像の例を示す。左上の画像は、正焦点の画像、その右の画像は、負の側にずれている画像をオートフォーカスによって結像させて画像、下側の画像は、正の側にずれている画像をオートフォーカスによって結像させて画像を示す。図12の画像では、オートフォーカスの前後において明るさが変化しない。従って、本発明によると、オートフォーカスを行っても、正確に粒子を検出することができる。
【0065】
図13は、画像の輝度分布(ヒストグラム)及びピーク位置の例を示す。縦軸は画素数、横軸は階調である。輝度分布曲線の頂点がピーク位置であり、輝度分布の中心である。図13(a)はオートフォーカス前の輝度分布を示し、図13(b)はオートフォーカス後の輝度分布を示す。両者を比較すると判るように、本例では、オートフォーカス後に、画像の明るさが増加している。
【0066】
図15は、画像の明るさが変化しないための対物レンズの電流値と収束レンズの電流値の条件を示す。横軸は対物レンズの電流値、縦軸は収束レンズの電流値である。対物レンズの電流値が変化しても、収束レンズの電流値を図15の曲線より求めた値に設定することにより、画像の明るさの変化を回避することができる。
【0067】
図16は、対物レンズの電流値と試料表面上の電流値の関係を示す。横軸は対物レンズの電流値、縦軸は試料表面上の電流値である。試料表面上の電流値は、CCDカメラの電流値である。対物レンズの電流値が負から正に増加すると、試料表面上の電流値は減少する。試料表面上の電流値を検出することによって、対物レンズの電流値を知ることができる。
【0068】
図17は、倍率と補正精度の関係を示す。横軸は倍率、縦軸は補正精度(デフォーカス量)である。倍率が大きくなると、補正精度は急激に小さくなる。電子線の傾斜角α(0.5〜0.1度)を変化させて、倍率と補正精度の関係を調べた。電子線の傾斜角αが大きいほど、補正精度は小さくなる。
【0069】
図18は、倍率と補正範囲の関係を示す。横軸は倍率、縦軸は補正幅(デフォーカス量)である。倍率が大きくなると、補正幅は急激に小さくなる。電子線の傾斜角α(0.5〜0.1度)を変化させて、倍率と補正幅の関係を調べた。電子線の傾斜角αが大きいほど、補正幅は小さくなる。
【0070】
図19は、オートフォーカスの設定画面の例を示す。この画面は、電子線の傾斜角αを入力するためのフィールドを有する。
【0071】
図20は、明るさの補正を露光時間の制御によって行う場合の設定画面の例を示す。この画面は、露光時間の制御方法として、収束レンズ、電子銃エミッション電流、収束レンズによって修正された既定値のいずれかを選択するフィールドと、得られた検索精度(一致度)を表示するフィールドを有する。
【0072】
図21は、明るさの補正をCCDカメラの電流値の制御によって行う場合の設定画面の例を示す。この画面は、CCDカメラの電流値の制御方法として、収束レンズ、電子銃エミッション電流、CCDカメラのゲイン、CCDカメラの露光時間のいずれかを選択するフィールドと、得られた検索精度(一致度)を表示するフィールドを有する。この画面は、更に、輝度分布を表示するフィールドを有する。
【0073】
図22を参照して、CCDカメラの電流値の測定方法の例を説明する。本例では、CCDカメラに対して、電流検出器を備えたシンチレータ54が設けられている。
【0074】
図23及び図24は、視野の移動方法の例を示す。図23の例では、X方向の駆動装置53a、Y方向の駆動装置53b、及び、Z方向の駆動装置53cを備えた試料ステージ53を用いて視野を移動させる。図24の例では、偏向コイル4、5を用いて視野を移動させる。
【0075】
以下に、移動量の計算方法、一致度の計算方法、コントラストの計算方法、オートフォーカスにおけるデフォーカス量の計算方法、各種の検索精度の計算方法の例を説明する。
【0076】
(a) 移動量の計算方法
図14に示す画像相関の例を用いて、画像の移動量の計算方法を説明する。透過像1の一部を切り取った画像を透過像3とする。これをM×Nの画素数で記憶装置に、登録画像f1(m、n)として記録する。次に記録モード後に取込んだ画像を透過像2とする。これをM×Nの画素数で記憶装置に、参照画像f2(m、n)として記録する。但し、どちらも自然画像とし、m=0,1,2,・・・M-1、 n=0,1,2,・・・N-1である。
【0077】
f1(m,n) 、f2(m,n)の離散フーリエ画像F1(m,n) 、F2(m,n)はそれぞれ式(1)、(2)で定義される。
F1(u,v)=A(u,v)ejθ(u,v) (1)
F2(u,v)=B(u,v)ejφ(u,v) (2)
但し、u=0,1,2,・・・M-1、 v=0,1,2,・・・N-1である。A(u,v)、B(u,v)は振幅スペクトル、θ(u,v)、φ(u,v)は位相スペクトルである。
【0078】
位相相関では、2画像間で像の平行移動があった場合には相関のピークの位置が移動量だけずれる。以下に移動量の導出方法を説明する。
【0079】
まず、原画像f2(m,n)が、x方向にr’だけ移動したとしてf4(m,n)=f2(m+r’,n)とする。式(2)を式(3)のように変形する。
F4(u,v)=ΣΣ f2(m+r’,n)e -j2π(mu/M+nv/N)
=B(u,v)ej(φ+2πr’u/M) (3)
【0080】
振幅スペクトルB(u,v)を定数とすることにより、画像のコントラストに依存しない位相画像となる。画像f4の位相画像F’4 (u,v)は式(4)となる。
F4’(u,v)=ej(φ+2πr’u/M) (4)
【0081】
位相画像F’1(u,v)にF’2(u,v)の複素供役を乗ずることによって合成画像H14(u,v)は式(5)となる。
H14(u,v)=F’1(u,v)(F’2(u,v))*= ej(θ-φ-2πru/M ) (5)
【0082】
相関強度画像G14(r,s)は、合成画像H14(u,v)を逆フーリエ変換することによって式(6)となる。
G14(r,s)=ΣΣ(H14(u,v)) ej2π(ur/M+us/N)
=ΣΣ(ej(θ-φ-2πr’u/M )) ej2π(ur/M+us/N)=G12(r-r’) (6)
【0083】
式(6)より、2つの画像間でX方向に位置ずれ量r’が存在する場合、相関強度画像のピークの位置は-r’だけずれる。また、位相成分で相関計算するため、2つの画像で明るさやコントラストに違いがあっても移動量の計算が行える。2つの画像間でX方向に位置ずれ量が存在する場合は、相関強度画像の中心よりΔG(pixel)の位置にピークが発生する。例えば2つの画像間でX方向に2pixelのずれがあると、合成画像は2周期の波になる。これを逆フーリエ変換すると相関強度画像となり、中心から2pixelずれた位置にピークが発生する。
【0084】
このΔG(pixel)は検出器の受光面での移動量相当する。そこで、ΔGを試料面上の移動量Δxに変換する。検出器の受光面の径L、受光面上での透過電子顕微鏡の倍率M、検出器の受光面の画素数Lmとすると式(7)に示す。
Δx=ΔG(pixel)×L/Lm(pixel)/M (7)
Δxは2つ画像間の試料面上での移動量となる。
【0085】
(b) 一致度の計算方法
画像相関を用いて一致度を計算する方法を説明する。位相成分のみを用いた相関計算では、数学上位相のみを使用しているため相関強度に現れるピークはδピークとなる。
【0086】
例えば2つの画像間で1.5画素ずれると合成画像は1.5周期の波となる。これを逆フーリエ変換すると、相関強度画像の中心より1.5pixelずれた位置にδピークが立つが、1.5の画素は存在しないので、δピークの値は1pixel目と2pixel目に振り分けられる。
【0087】
ここで一致度が高い画素の重心を取って、この振り分けられた値から真のδピーク位置を計算すると1/10pixel程度の精度を計算結果が得られる。また、相関強度画像がδピークのため、2つの画像間における類似性の評価を相関強度画像のピークの高さによって行う。画像f1(m、n)、ピークの高さPeak(pixel)とすると一致度(%)を式(8)に示す。
一致度(%)=(Peak)/(m×n)×100 (8)
例えば処理画素数は128pixel×128pixelでPeakが16384(pixel)の場合は、一致度=(16384)/(128×128)×100=100 (%)となる。
【0088】
(c) コントラストCの計算方法
図8に示すようにラインプロファイルよりバックグランド強度I0と試料の高さを示す強度I1を用いて、式(9)にコントラストCを計算する。
【0089】
コントラストC=( I0 )/(I1 )×100 (9)
【0090】
(d) 相関計算を用いて検索精度を計算する方法
図13に示すように輝度分布を画像と考え、(a)又は(b)の画像相関を用いた移動量又は一致度を検索精度とする。
【0091】
(e) 輝度分布のピーク位置と検索精度(一致度)を計算する方法
図13に示すように輝度分布のピークの位置を式(10)によって求める。検索精度を式(11)によって求める。
ピーク位置=ピーク位置1−ピーク位置2 (10)
検索精度=(ピーク位置1)/(ピーク位置2)×100 (11)
【0092】
(f) 焦点を自動補正する方法(オートフォーカス)
式(7)で算出した試料上の移動量ΔXを式(12)に入れて、デフォーカス量Δfを計算する。
Δf=ΔX/(α×M)―CS×α2 (12)
ΔXは電子ビームの傾斜によって生じた移動量、Mは透過電子顕微鏡の倍率、CSは対物レンズの球面収差係数、αは電子ビームの傾斜角である。
【0093】
(g) 電流値より電流値の位置と検索精度(一致度)を計算する方法
電流値の位置を式(13)によって求め、検索精度を式(14)によって求める。
電流値の位置=電流値1−電流値2 (13)
検索精度=(電流値1)/(電流値2)×100 (14)
【0094】
(h) コントラストより位置と検索精度(一致度)を計算する方法
コントラストの位置を式(15)によって求め、検索精度を式(16)によって求める。
コントラストの位置=コントラスト1−コントラスト2 (15)
検索精度=(コントラスト1)/(コントラスト2)×100 (16)
【0095】
以上、本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の透過電子顕微鏡の構成を示す図である。
【図2】本発明の透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する方法の第1の例を示す図である。
【図3】本発明の透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する方法の第2の例を示す図である。
【図4】本発明の透過電子顕微鏡によって微小粒子を検索する方法の第3の例を示す図である。
【図5】本発明の透過電子顕微鏡において自動検索を行うときの入力画面の例を示す。
【図6】本発明の透過電子顕微鏡において検索結果である粒子検出数と検索精度を表示した画面の例を示す。
【図7】本発明の透過電子顕微鏡においてコントラスト、粒子検出数及び検索精度の関係を示す図である。
【図8】本発明の透過電子顕微鏡においてコントラストの計算方法を示す図である。
【図9】本発明の透過電子顕微鏡においてデフォーカス量とCCDカメラの電流比の関係を示す図である。
【図10】本発明の透過電子顕微鏡において対物前磁場と照射領域の関係を示す図である。
【図11】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカス後に明るさの補正しない画像を示す図である。
【図12】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカス後に明るさの補正した画像を示す図である。
【図13】本発明の透過電子顕微鏡において画像から求めた輝度分布の例を示す図である。
【図14】本発明の透過電子顕微鏡において画像相関の例を説明するための図である。
【図15】本発明の透過電子顕微鏡において明るさが変化しない対物レンズ電流値と収束レンズコイル電流値の関係を示す図である。
【図16】本発明の透過電子顕微鏡において対物レンズ電流値とCCDカメラの電流値の関係を示す図である。
【図17】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカスの補正精度を示す図である。
【図18】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカスの補正範囲を示す図である。
【図19】本発明の透過電子顕微鏡においてオートフォーカスの設定を行う入力画面の例を示す図である。
【図20】本発明の透過電子顕微鏡において露光時間の設定を行う入力画面の例を示す図である。
【図21】本発明の透過電子顕微鏡においてCCDカメラの設定を行う入力画面の例を示す図である。
【図22】本発明の透過電子顕微鏡においてCCDカメラの電流値の測定方法の例を示す図である。
【図23】本発明の透過電子顕微鏡において視野を移動させるための試料ステージの例を示す図である。
【図24】本発明の透過電子顕微鏡において視野を移動させるための電子線偏向系の例を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1:電子銃、2:第1収束レンズコイル、3:第2収束レンズコイル、4:第1偏向コイル、5:第2偏向コイル、6:対物レンズコイル、7:第1電磁式試料イメージ移動用コイル、8:第2電磁式試料イメージ移動用コイル、9:第1中間レンズコイル、10:第2中間レンズコイル、11:第1投射レンズコイル、12:第2投射レンズコイル、13〜23:励磁電源、24〜34:DAC、35:マイクロプロッセサ、36:記憶装置、37:演算装置、38:CRTコントローラ、39:CRT、40〜41:I/F、42:倍率切替用ロータリーエンコーダ、43:入力用ロータリーエンコーダ、44:キーボード、45:マウス、46:RAM、47:ROM、48:画像取込みインターフェース、49: TV制御部 、50:TV、51:光学レンズ、52:CCD、53:試料ステージ、54:シンチレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子銃からの電子線を試料に照射する収束レンズと、試料上に電子線を収束させるための対物レンズと、透過像の画像データを取得する画像データ取得装置と、オートフォーカスを行うオートフォーカス機構と、オートフォーカスによって上記対物レンズの電流値が変化したとき上記試料の画像の明るさが変化しないように画像の明るさを調整する明るさ調整機構と、を有する透過電子顕微鏡。
【請求項2】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、上記収束レンズの電流値を変更することによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項3】
請求項2記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、予め求めた収束レンズ電流値と対物レンズ電流値の関係から上記収束レンズ電流値を求めることによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項4】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、上記電子銃のエミッション電流値を変更することによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項5】
請求項4記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、予め求めた電子銃のエミッション電流値と対物レンズ電流値の関係から上記電子銃のエミッション電流値を求めることによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項6】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、上記画像データ取得装置に含まれるCCDカメラのゲイン、又は、露光時間を調整することによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項7】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、オートフォーカス前の画像の明るさとオートフォーカス後の画像の明るさを比較して、明るさ調整を行うことを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項8】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、オートフォーカス前の画像の明るさと明るさ調整後の画像の明るさを比較して、明るさ調整を行うことを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項9】
請求項7又は8記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、画像の明るさを比較するとき、画像の輝度分布、画像の輝度分布のピーク位置、又は、画像のコントラストを比較することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項10】
請求項7又は8記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、画像の明るさを比較するとき、上記画像データ取得装置に含まれるCCDカメラに設けた電流検出装置によって検出した画像の電流値を比較することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項11】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整を行った後の画像を表示するモニタを有することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項12】
請求項11記載の透過電子顕微鏡において、上記モニタは、オートフォーカス前の画像と上記明るさ調整を行った後の画像の間の一致度と、画像の輝度分布を表示することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項13】
透過電子顕微鏡のオートフォーカス機構を用いてオートフォーカスを行うことと、オートフォーカス前の画像の明るさとオートフォーカス後の画像の明るさを比較することと、該比較の結果に基づいて画像の明るさを調整することと、を含み、上記画像の明るさの比較は、画像の輝度分布、画像の輝度分布のピーク位置、又は、画像のコントラストを比較することを含むことを特徴とする透過電子顕微鏡像の明るさ調整方法。
【請求項14】
請求項13記載の透過電子顕微鏡像の明るさ調整方法において、上記画像の明るさの比較は、CCDカメラに設けた電流検出装置によって検出した画像の電流値を比較することを含むことを特徴とする透過電子顕微鏡像の明るさ調整方法。
【請求項15】
電子銃からの電子線を試料に照射する収束レンズと、試料上に電子線を収束させるための対物レンズと、透過像の画像データを取得するCCDカメラと、該CCDカメラによって得られた透過像を表示するモニタと、パターンマッチングを行うパターンマッチング機構と、オートフォーカスを行うオートフォーカス機構と、オートフォーカスによって上記対物レンズの電流値が変化したとき試料の画像の明るさが変化しないように画像の明るさを調整する明るさ調整機構と、を有するパターン検索装置。
【請求項16】
請求項15記載のパターン検索装置において、上記明るさ調整機構は、オートフォーカス前の画像の明るさとオートフォーカス後の画像の明るさ又は明るさ調整後の画像の明るさを比較して、明るさ調整を行うことを特徴とするパターン検索装置。
【請求項17】
請求項16記載のパターン検索装置において、上記明るさ調整機構は、画像の明るさを比較するとき、画像の輝度分布、画像の輝度分布のピーク位置、又は、画像のコントラストの比較を行うことを特徴とするパターン検索装置。
【請求項18】
請求項16記載のパターン検索装置において、上記明るさ調整機構は、画像の明るさを比較するとき、上記CCDカメラに設けた電流検出装置によって検出した画像の電流値の比較を行うことを特徴とするパターン検索装置。
【請求項19】
請求項15記載のパターン検索装置において、上記明るさ調整機構は、上記収束レンズの電流値、上記電子銃のエミッション電流値、上記CCDカメラのゲイン、又は、露光時間を調整することによって画像の明るさを調整することを特徴とするパターン検索装置。
【請求項20】
請求項15記載のパターン検索装置において、上記モニタは、検索対象のパターンの形状を入力するフィールドと検索対象の視野を設定するフィールドを有する画面を表示することを特徴とするパターン検索装置。
【請求項1】
電子銃からの電子線を試料に照射する収束レンズと、試料上に電子線を収束させるための対物レンズと、透過像の画像データを取得する画像データ取得装置と、オートフォーカスを行うオートフォーカス機構と、オートフォーカスによって上記対物レンズの電流値が変化したとき上記試料の画像の明るさが変化しないように画像の明るさを調整する明るさ調整機構と、を有する透過電子顕微鏡。
【請求項2】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、上記収束レンズの電流値を変更することによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項3】
請求項2記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、予め求めた収束レンズ電流値と対物レンズ電流値の関係から上記収束レンズ電流値を求めることによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項4】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、上記電子銃のエミッション電流値を変更することによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項5】
請求項4記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、予め求めた電子銃のエミッション電流値と対物レンズ電流値の関係から上記電子銃のエミッション電流値を求めることによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項6】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、上記画像データ取得装置に含まれるCCDカメラのゲイン、又は、露光時間を調整することによって画像の明るさを調整することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項7】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、オートフォーカス前の画像の明るさとオートフォーカス後の画像の明るさを比較して、明るさ調整を行うことを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項8】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、オートフォーカス前の画像の明るさと明るさ調整後の画像の明るさを比較して、明るさ調整を行うことを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項9】
請求項7又は8記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、画像の明るさを比較するとき、画像の輝度分布、画像の輝度分布のピーク位置、又は、画像のコントラストを比較することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項10】
請求項7又は8記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整機構は、画像の明るさを比較するとき、上記画像データ取得装置に含まれるCCDカメラに設けた電流検出装置によって検出した画像の電流値を比較することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項11】
請求項1記載の透過電子顕微鏡において、上記明るさ調整を行った後の画像を表示するモニタを有することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項12】
請求項11記載の透過電子顕微鏡において、上記モニタは、オートフォーカス前の画像と上記明るさ調整を行った後の画像の間の一致度と、画像の輝度分布を表示することを特徴とする透過電子顕微鏡。
【請求項13】
透過電子顕微鏡のオートフォーカス機構を用いてオートフォーカスを行うことと、オートフォーカス前の画像の明るさとオートフォーカス後の画像の明るさを比較することと、該比較の結果に基づいて画像の明るさを調整することと、を含み、上記画像の明るさの比較は、画像の輝度分布、画像の輝度分布のピーク位置、又は、画像のコントラストを比較することを含むことを特徴とする透過電子顕微鏡像の明るさ調整方法。
【請求項14】
請求項13記載の透過電子顕微鏡像の明るさ調整方法において、上記画像の明るさの比較は、CCDカメラに設けた電流検出装置によって検出した画像の電流値を比較することを含むことを特徴とする透過電子顕微鏡像の明るさ調整方法。
【請求項15】
電子銃からの電子線を試料に照射する収束レンズと、試料上に電子線を収束させるための対物レンズと、透過像の画像データを取得するCCDカメラと、該CCDカメラによって得られた透過像を表示するモニタと、パターンマッチングを行うパターンマッチング機構と、オートフォーカスを行うオートフォーカス機構と、オートフォーカスによって上記対物レンズの電流値が変化したとき試料の画像の明るさが変化しないように画像の明るさを調整する明るさ調整機構と、を有するパターン検索装置。
【請求項16】
請求項15記載のパターン検索装置において、上記明るさ調整機構は、オートフォーカス前の画像の明るさとオートフォーカス後の画像の明るさ又は明るさ調整後の画像の明るさを比較して、明るさ調整を行うことを特徴とするパターン検索装置。
【請求項17】
請求項16記載のパターン検索装置において、上記明るさ調整機構は、画像の明るさを比較するとき、画像の輝度分布、画像の輝度分布のピーク位置、又は、画像のコントラストの比較を行うことを特徴とするパターン検索装置。
【請求項18】
請求項16記載のパターン検索装置において、上記明るさ調整機構は、画像の明るさを比較するとき、上記CCDカメラに設けた電流検出装置によって検出した画像の電流値の比較を行うことを特徴とするパターン検索装置。
【請求項19】
請求項15記載のパターン検索装置において、上記明るさ調整機構は、上記収束レンズの電流値、上記電子銃のエミッション電流値、上記CCDカメラのゲイン、又は、露光時間を調整することによって画像の明るさを調整することを特徴とするパターン検索装置。
【請求項20】
請求項15記載のパターン検索装置において、上記モニタは、検索対象のパターンの形状を入力するフィールドと検索対象の視野を設定するフィールドを有する画面を表示することを特徴とするパターン検索装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図9】
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【図17】
【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−242366(P2007−242366A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61540(P2006−61540)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】(000233550)株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ (112)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】(000233550)株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ (112)
【Fターム(参考)】
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