説明

通い箱

【課題】個数確認のダブルチェックを効率よく行うことができる通い箱を、低コストで提供すること。
【解決手段】通い箱は、物品を固定するための固定部が一面に複数形成されたケースと、ケースの固定部に物品が配置された状態で、物品を収容するようにケースと嵌合される蓋体と、を備える。ケースの各固定部を仕切る仕切り部には、固定部に対応して固定部の並び順に通し番号が表示されている。また、蓋体には、ケースの固定部に収容された物品を確認するための物品確認用窓部が各固定部に対応して複数形成されるともに、ケースの仕切り部に表示された通し番号を確認するための番号確認用窓部が、各通し番号に対応して複数形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送するための通い箱に関し、特にケースに物品を全数分ではなく端数分配置した状態で作業者が物品の個数を確認し、ケースに蓋体がされた状態で、別の作業者が物品の個数を再度確認するダブルチェックに適した通い箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、物品を搬送するための通い箱が知られている。特許文献1に示される通い箱は、物品(フィルムカートリッジ)を収納可能な凹部(収納部)を複数有するケース(箱体)と、ケースに重ね合わせられて物品を被覆する蓋体と、物品を保持する複数の孔部を有し、ケースの収納部形成面(天面)に固定される保持部材と、を備えている。そして、保持部材における孔部近傍に、収納部に対応して番号が表示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−302180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、ケースに保持部材を接着固定した状態で、作業者が保持部材の孔部を介してケースの凹部に物品を配置することとなる。このため、物品を端数分配置した場合でも、保持部材に表示された番号から、作業者は配置後に物品の個数を効率よく確認することができる。
【0005】
しかしながら、個数を確認するために、箱体とは別の保持部材を必要とする。すなわち、部品点数が多いため、コストが増加する。また、ケースに蓋体をした状態で、物品を配置する作業者とは別の作業者が、再度物品の個数を確認する際には、蓋体を取り外し、ケースに配置されている物品を視認しなければならない。このため、作業効率が悪い。
【0006】
なお、特許文献1には、蓋体として透明度の高いものとすると、蓋体を外すことなく物品の有無や本数の確認が可能との記載もある。しかしながら、蓋体の材料として透明度の高い材料を採用しなければならず、コストが増加する。また、材料選択の自由度も低い。さらには、透明といえど、蓋体を介して保持部材の番号を確認しなければならないため、番号の確認がしにくく、作業効率が低下する。なお、透明な蓋体を介して、ケースに配置された物品の個数を確認することも考えられるが、この場合も作業効率が低下する。さらには、保持部材の番号表示を大きくすることで、透明な蓋体を介しての視認性を向上させることも考えられるが、この場合、番号表示部分が大きいため、通い箱に収納できる物品の個数が少なくなり、コストが増加する。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、個数確認のダブルチェックを効率よく行うことができる通い箱を、低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の通い箱は、
物品を固定するための固定部が一面に複数形成されたケースと、
ケースの固定部に物品が配置された状態で、物品を収容するようにケースに嵌合される蓋体と、を備える。
【0009】
そして、ケースの一面において各固定部を仕切る仕切り部には、固定部に対応して固定部の並び順に通し番号が表示され、
蓋体には、ケースの固定部に収容された物品を確認するための物品確認用窓部が各固定部に対応して複数形成されるともに、ケースの仕切り部に表示された通し番号を確認するための番号確認用窓部が、各通し番号に対応して複数形成されていること特徴とする。
【0010】
これによれば、作業者は物品の配置後に、通し番号によって効率よく物品の個数を確認(把握)することができる。特に、ケースに物品を全数(例えば80個)分ではなく端数(例えば20個)分配置する場合であっても、効率よく物品の個数を確認(把握)することができる。
【0011】
また、蓋体には、物品を確認するための物品確認用窓部と通し番号を確認するための番号確認用窓部が形成されている。このため、ケースに蓋体をした状態で、物品を配置する作業者とは別の作業者が、再度物品の個数を確認する際に、蓋体を取り外さずとも、物品確認用窓部と番号確認用窓部を介して、物品と通し番号を併せて確認することができる。したがって、蓋体をした状態においても、効率よく物品の個数を確認(把握)することができる。
【0012】
また、従来のように、ケース及び蓋体とは別の部材を必要としないため、部品点数を削減することができる。また、蓋体の材料として透明度の高い材料を採用しなくとも良い。このため、従来に較べてコストを低減することもできる。
【0013】
以上より、本発明の通い箱によれば、個数確認のダブルチェックを効率よく行うことができる。また、このような通い箱を、低コストで提供することができる。
【0014】
請求項2に記載のように、
同一の固定部に対応する物品確認用窓部と番号確認用窓部とが、一体的に連結していることが好ましい。
【0015】
これによれば、物品確認用窓部と番号確認用窓部とが連結されておらず、離れて設けられている構成に較べて、作業効率を向上することができる。また、異なる固定部に対応する番号用確認窓部を介して通し番号を読む読み違いを低減することができる。
【0016】
請求項3に記載のように、
物品確認用窓部が、物品の位置ズレを抑制するための保持部を兼ねる場合、
物品確認用窓部と番号確認用窓部との連結部分の幅が、物品確認用窓部にて保持される物品の部分の外径よりも狭いと良い。
【0017】
このように、物品確認用窓部が保持部を兼ねる構成とすると、搬送中などに、通い箱内において物品の位置がずれる(荷崩れする)のを、固定部とともに効果的に抑制することができる。
【0018】
また、物品確認用窓部と番号確認用窓部とが、一体的に連結していながらも、番号確認用窓部側へ物品が移動するのを防ぐことができる。
【0019】
請求項4に記載のように、
物品用確認窓部のほうが番号確認用窓部よりも大きいと良い。
【0020】
これによれば、番号確認用窓部のほうが大きい構成に較べて、通い箱に収容できる物品の個数を増やすことができる。すなわち、コストをより低減することができる。
【0021】
次いで、請求項5に記載の通い箱は、
物品を固定するための固定部が一面に複数形成されたケースと、
ケースの固定部に物品が配置された状態で、物品を収容するようにケースに嵌合される蓋体と、を備える。
【0022】
そして、ケースの一面において各固定部を仕切る仕切り部には、固定部に対応して固定部の並び順に通し番号が表示され、
蓋体には、ケースの固定部に収容された物品を確認するための物品確認用窓部が各固定部に対応して複数形成されるともに、物品確認用窓部を仕切る仕切り部の表面に、物品確認用窓部に対応して、物品確認用窓部の対応する固定部の並び順に通し番号が表示されていること特徴とする。
【0023】
これによれば、ケースに物品を全数(例えば80個)分ではなく端数(例えば20個)分配置する場合であっても、作業者は物品の配置後に、通し番号によって効率よく物品の個数を確認(把握)することができる。
【0024】
また、蓋体には、物品を確認するための物品確認用窓部が形成されるとともに、ケースの通し番号に対応して通し番号が表示されている。このため、ケースに蓋体をした状態で、物品を配置する作業者とは別の作業者が、再度物品の個数を確認する際に、蓋体を取り外さずとも、物品確認用窓部を通して見える物品と、蓋体の通し番号とを併せて確認することができる。したがって、蓋体をした状態においても、効率よく物品の個数を確認(把握)することができる。
【0025】
また、従来のように、ケース及び蓋体とは別の部材を必要としないため、部品点数を削減することができる。また、蓋体の材料として透明度の高い材料を採用しなくとも良い。このため、従来に較べてコストを低減することもできる。
【0026】
以上より、本発明の通い箱によっても、個数確認のダブルチェックを効率よく行うことができる。また、このような通い箱を、低コストで提供することができる。
【0027】
請求項6に記載のように、
蓋体における仕切り部の表面には、物品確認用窓部及び該物品確認用窓部に対応する通し番号を、互いに区画する区画線が表示された構成とすると良い。
【0028】
これによれば、区画線によって区画された1つの領域内に、1組の物品確認用窓部及び通し番号のみが存在するため、読み違いを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る通い箱の概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】ケースの概略構成を示す上面視平面図である。
【図3】蓋体の概略構成を示す上面視平面図である。
【図4】通い箱に製品を収容した状態を示す上面視平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】変形例を示す上面視平面図である。
【図7】第2実施形態に係る通い箱の概略構成を示す上面視平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各図において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、図4、図6、図7では、物品(製品100)を区別するために、便宜上ハッチングを施している。
【0031】
(第1実施形態)
図1に示す通い箱10は、例えば車両の制御に用いられる圧力センサなどの製品100(図5参照)を出荷する際の搬送用の通い箱として構成されている。この通い箱10は、ケース20と蓋体30とを備える。ケース20及び蓋体30の構成材料は特に限定されるものではない。例えばPP、発泡スチレンなどを採用することができる。なお、製品100が、特許請求の範囲に記載の物品に相当する。
【0032】
ケース20は、少なくともその一面21aに製品100が配置される凹部23を複数有するものである。この凹部23が、特許請求の範囲に記載の固定部に相当する。本実施形態のケース20は、平面矩形状の底部21(図5参照)と、該底部21の矩形端部の4辺に立設された側壁部22と、を有しており、側壁部22の上面22a側に開口する箱状をなしている。そして、底部21の内面が、製品100が配置される一面21aとなっている。以下、一面21aを底部内面21aと示す。図2に示すように、この底部内面21aには、複数の凹部23、一例として80個の凹部23が8行×10列の配置で形成されている。
【0033】
そして、ケース20の各凹部23を仕切る仕切り部24には、凹部23に対応して凹部23の並び順に通し番号N1が表示されている。本実施形態では、上記したように、底部内面21aに対して凹部23が形成されており、底部内面21aのうち、凹部23を除く部分が仕切り部24となっている。
【0034】
凹部23の配置は、図2の紙面上下方向において、上端が一行目、下端が8行目となっている。一方、紙面左右方向において、左端が1列目、右端が10列目となっている。このように配置された凹部23に対し、作業者は、1行目の左端から右端に向けて製品100を配置する。そして、1行目の配置が完了すると、2行目について、左端から右端に向けて製品100を配置する。このため、仕切り部24には、作業者の作業順に応じて、凹部23の近傍に通し番号N1が表示されている。すなわち、1行目、且つ、1列目の凹部23近傍に通し番号N1として1が表示され、8行目、且つ、10列目の凹部23近傍に通し番号N1として80が表示されている。本実施形態では、図2に示すように、凹部23の右上に、対応する通し番号N1が表示されている。
【0035】
蓋体30は、ケース20の凹部23に製品100が配置された状態で、製品100を収容するようにケース20に嵌合されるものである。本実施形態では、箱状のケース20の開口を塞ぐように、ケース20に嵌合される。具体的には、図1に示すように、ケース20における側壁部22の上面22a側から箱の内部空間に一部が配置される矩形柱状の基部31と、基部31の上端から延びたフランジ32と、を有している。蓋体30の上面30aは、基部31とフランジ32とにより平坦となっている。このような構成の蓋体30は、基部31の一部がケース20の箱内に配置された状態で、フランジ32の上面30aと反対の面がケース20における側壁部22の上面22aに当接し、ケース20に嵌合されるようになっている。
【0036】
この蓋体30には、ケース20の凹部23に収容された製品100を確認するための製品確認用窓33が形成されている。製品確認用窓33は、特許請求の範囲に記載の物品確認用窓部に相当し、各凹部23に対応して複数形成されている。すなわち、1つの凹部23につき、1つの製品確認用窓33が形成されている。この製品確認用窓33は、蓋体30の基部31を貫通して設けられている。
【0037】
また、蓋体30には、ケース20の仕切り部24に表示された通し番号N1を確認するための番号確認用窓34が形成されている。番号確認用窓34は、特許請求の範囲に記載の番号確認用窓部に相当し、各通し番号N1に対応して複数形成されている。すなわち、1つの通し番号N1につき、1つの番号確認用窓34が形成されている。この番号確認用窓34は、蓋体30の基部31を貫通して設けられている。
【0038】
そして、同一の凹部23に対応する製品確認用窓33と番号確認用窓34とが、一体的に連結して1つの窓35をなしている。この窓35は、その輪郭が達磨状をなしている。すなわち、輪郭が貫通方向で一定の円形状をなす製品確認用窓33と、輪郭が貫通方向で一定の円形状をなし、その開口面積S2が製品確認用窓33の開口面積S1よりも小さい番号確認用窓34とを、連結してなる。
【0039】
また、本実施形態では、製品確認用窓33が、該製品確認用窓33の貫通方向に垂直な方向において、製品100の位置ズレを抑制するための保持部を兼ねている。製品100は、図5に示すように、ハウジング内にセンサチップなどが収容された本体部101と、該本体部101に連結され、センサチップに測定流体を導くための圧力導入孔を有する突出部102と、本体部101に対して突出部102と反対側で連結された外部接続用のコネクタ部103を有する。そして、この製品100のうち、突出部102がケース20の凹部23に配置され、コネクタ部103が、蓋体30の製品確認用窓33に配置される。製品確認用窓33の貫通方向に垂直な方向において、コネクタ部103の外形は、製品確認用窓33の輪郭に対応した円形状となっている。また、製品確認用窓33の直径は、コネクタ部103の外径に対して若干大きい値(例えば+10%程度)となっている。このため、製品確認用窓33にて製品100(コネクタ部103)を保持することができる。なお、製品100のコネクタ部103は、製品確認用窓33に配置された状態で、蓋体30の上面30aから突出せず、上面30aよりも下方に位置している。すなわち、製品100は通い箱10に収容されている。
【0040】
さらに、本実施形態では、製品確認用窓33と番号確認用窓34との連結部分の幅W1が、製品確認用窓33にて保持される製品100の部分(コネクタ部103)の外径W2よりも狭くなっている。
【0041】
次に、製品100を出荷するまでの、作業者が行う作業について説明する。以下においては、ケースに製品100を全数分(80個分)ではなく端数分(20個分)配置し手出荷する際の例について説明する。
【0042】
先ず作業者Aは、ケース20に表示された通し番号N1の順に、対応する凹部23へ製品100を配置する。例えば製品100を20個配置する場合、作業者Aは、ケース20の凹部23に、1行目の左端から右端に向けて製品100を配置する。そして、1行目の配置が完了すると、2行目について、左端から右端に向けて製品100を配置する。この配置が完了すると、作業者Aは、ケース20に配置された製品100の個数を確認する。そして、所定の個数(この場合、20個)であると、作業者Aは、製品100を収容するように、ケース20に蓋体30を嵌合させる。この状態を図4に示す。
【0043】
次に、作業者Aとは別の作業者Bが、出荷前の個数確認を行う。このとき、作業者Bは、蓋体30を外すことなく、製品100の個数を確認する。具体的には、蓋体30に形成された製品確認用窓33を介して製品100を確認しつつ、番号確認用窓34を介してケース20の通し番号N1を確認する。この作業により、製品100の現認と、個数の確認をすることができる。このように、個数のダブルチェックを経て、製品100は出荷される。
【0044】
次に、上記した通い箱10の特徴部分の効果について説明する。
【0045】
本実施形態では、ケース20の仕切り部24に、凹部23に対応して通し番号N1が表示されている。このため、作業者(作業者A)は製品100をケース20に配置した後に、通し番号N1によって効率よく製品100の個数を確認(把握)することができる。特に、図4に例示するように、ケース20に製品100を全数(例えば80個)分ではなく端数(例えば20個)分配置する場合であっても、効率よく製品100の個数を確認(把握)することができる。
【0046】
また、蓋体30には、製品100を確認するための製品確認用窓33と通し番号N1を確認するための番号確認用窓34が形成されている。このため、ケース20に蓋体30をした状態で、製品100を配置する作業者(作業者A)とは別の作業者(作業者B)が、再度製品100の個数を確認する際に、蓋体30を取り外さずとも、製品確認用窓33と番号確認用窓34を介して、製品100と通し番号を併せて確認することができる。したがって、蓋体30をした状態においても、効率よく製品100の個数を確認(把握)することができる。
【0047】
また、従来のように、ケース20及び蓋体30とは別の部材を必要としないため、部品点数を削減することができる。また、蓋体30の材料として透明度の高い材料を採用しなくとも良い。このため、従来に較べてコストを低減することもできる。
【0048】
以上より、本実施形態の通い箱10によれば、個数確認のダブルチェックを効率よく行うことができる。また、このような通い箱10を、低コストで提供することができる。
【0049】
また、本実施形態では、同一の凹部23に対応する製品確認用窓33と番号確認用窓34とが、1つの窓35として一体的に連結されている。これにより、製品確認用窓33と番号確認用窓34とが連結されておらず、離れて設けられている構成に較べて、製品100と対応する通し番号N1との確認がしやすく、作業者(作業者B)は、個数確認の作業効率を向上することができる。また、異なる凹部23に対応する番号確認用窓34を介して通し番号N1を読む読み違いを低減することができる。しかしながら、図6に示すように、蓋体30において、製品確認用窓33と番号確認用窓34とが連結されておらず、離れて設けられた構成を採用することもできる。
【0050】
また、本実施形態では、蓋体30に形成された製品確認用窓33が、製品100のコネクタ部103を保持する保持部を兼ねている。これにより、凹部23のみにより製品100が固定される構成に較べて、搬送中などに、通い箱10内において製品100の位置がずれる(荷崩れする)のを抑制することができる。しかしながら、製品確認用窓33が製品100を保持しない構成、すなわち、ケース20に配置された製品100を確認するための覗き窓としての機能のみを有する構成を採用することもできる。
【0051】
また、本実施形態では、製品確認用窓33と番号確認用窓34との連結部分の幅W1が、製品確認用窓33にて保持される製品100の部分(コネクタ部103)の外径W2よりも狭くなっている。これにより、製品確認用窓33と番号確認用窓34とが、一体的に連結して1つの窓35を構成しながらも、番号確認用窓34側へ製品100が移動するのを防ぐことができる。しかしながら、幅W1が、製品確認用窓33にて保持される製品100の部分(コネクタ部103)の外径W2と等しい構成や、外径W2よりも広い構成を採用することもできる。例えば、楕円形状の輪郭を有する窓35を採用しても良い。特に、製品確認用窓33が製品100を保持する機能を有さなくて良い場合には、窓35の形状の自由度が向上する。
【0052】
さらに、本実施形態では、製品確認用窓33の開口面積S1のほうが、番号確認用窓34の開口面積S2よりも大きくなっている。これによれば、製品確認用窓33の開口面積S1を同じとすると、番号確認用窓34のほうが大きい構成に較べて、通い箱10に収容できる製品100の個数を増やすことができる。すなわち、コストをより低減することができる。しかしながら、通し番号N1を確認しやすくするために、番号確認用窓34の開口面積S2のほうが、製品確認用窓33の開口面積S1よりも大きい構成とすることもできる。
【0053】
(第2実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した通い箱10と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、通い箱10を構成する蓋体30に、ケース20に表示された通し番号N1を確認するための番号確認用窓34が形成される例を示した。これに対し、本実施形態では、番号確認用窓34に代えて、製品確認用窓33を仕切る仕切り部36の上面30aに、製品確認用窓33に対応して、製品確認用窓33の対応する凹部23の並び順に通し番号N2が表示されていること特徴とする。なお、蓋体30の基部31のうち、製品確認用窓33を除く部分が仕切り部36となっている。また、仕切り部36の上面30aが、特許請求の範囲に記載の仕切り部の表面に相当する。
【0054】
換言すれば、蓋体30には、製品100を確認するための製品確認用窓33が形成されるとともに、仕切り部36の上面30aに、ケース20の通し番号N1に対応して通し番号N2が表示されている。例えば、通し番号N1が「1」の凹部23に配置された製品100を確認するための製品確認用窓33に対しては、通し番号N2として「1」が表示されている。本実施形態では、蓋体30の上面30aに、通し番号N2が印刷されている。
【0055】
図7に示す蓋体30においては、第1実施形態に示したケース20の通し番号N1の並び順に対応して、製品確認用窓33の近傍に通し番号N2が表示されている。具体的には、図7に示す製品確認用窓33の配置を、ケース20の凹部23同様、紙面上端で1行目、下端で8行目、紙面左端で1列目、右端で10列目とする。そして、1行目、且つ、1列目の製品確認用窓33近傍に通し番号N2として1が表示され、8行目、且つ、10列目の製品確認用窓33近傍に通し番号N2として80が表示されている。本実施形態では、図7に示すように、製品確認用窓33の右上に、対応する通し番号N2が表示されている。
【0056】
さらに、蓋体30における仕切り部36の上面30aに、製品確認用窓33及び該製品確認用窓33に対応する通し番号N2を、互いに区画する区画線37が表示されている。本実施形態では、図7に示すように、格子状の区画線37が印刷により表示されている。
【0057】
次に、製品100を出荷するまでの、作業者が行う作業について説明する。以下においては、ケースに製品100を全数分(80個分)ではなく端数分(20個分)配置し手出荷する際の例について説明する。
【0058】
作業者Aは、第1実施形態と同じ作業をする。すなわち、ケース20に表示された通し番号N1の順に、対応する凹部23へ製品100を配置する。例えば製品100を20個配置する場合、ケース20の凹部23に、1行目の左端から右端に向けて製品100を配置する。そして、1行目の配置が完了すると、2行目について、左端から右端に向けて製品100を配置する。この配置が完了すると、作業者Aは、ケース20に配置された製品100の個数を確認する。そして、所定の個数(この場合、20個)であると、作業者Aは、製品100を収容するように、ケース20に蓋体30を嵌合させる。この状態を図7に示す。
【0059】
次に、作業者Aとは別の作業者Bが、出荷前の個数確認を行う。このとき、作業者Bは、蓋体30を外すことなく、製品100の個数を確認する。具体的には、蓋体30に形成された製品確認用窓33を介して製品100を確認しつつ、蓋体30の上面30aに表示された通し番号N2を確認する。この作業により、製品100の現認と、個数の確認をすることができる。このように、個数のダブルチェックを経て、製品100は出荷される。
【0060】
次に、上記した通い箱10の特徴部分の効果について説明する。
【0061】
本実施形態では、ケース20の仕切り部24に、凹部23に対応して通し番号N1が表示されている。このため、作業者(作業者A)は製品100をケース20に配置した後に、通し番号N1によって効率よく製品100の個数を確認(把握)することができる。特に、ケース20に製品100を端数(例えば20個)分配置する場合であっても、効率よく製品100の個数を確認(把握)することができる。
【0062】
また、蓋体30には、製品100を確認するための製品確認用窓33が形成されるとともに、該製品確認用窓33に対応する通し番号N2が表示されている。このため、ケース20に蓋体30をした状態で、製品100を配置する作業者(作業者A)とは別の作業者(作業者B)が、再度製品100の個数を確認する際に、蓋体30を取り外さずとも、製品確認用窓33により製品100を確認しつつ通し番号N2により個数を確認することができる。したがって、蓋体30をした状態においても、効率よく製品100の個数を確認(把握)することができる。
【0063】
また、本実施形態においても、従来のように、ケース20及び蓋体30とは別の部材を必要としないため、部品点数を削減することができる。また、蓋体30の材料として透明度の高い材料を採用しなくとも良い。このため、従来に較べてコストを低減することもできる。
【0064】
以上より、本実施形態の通い箱10によっても、個数確認のダブルチェックを効率よく行うことができる。また、このような通い箱10を、低コストで提供することができる。
【0065】
また、本実施形態では、蓋体30における仕切り部36の上面30aに、区画線37が表示されている。このため、区画線37によって区画された1つの領域内に、1組の製品確認用窓33及び通し番号N2のみが存在しており、これにより作業者(作業者B)の読み違いを低減することができる。しかしながら、蓋体30として、区画線37が表示されない構成を採用することもできる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0067】
ケース20の固定部は、凹部23に限定されるものではない。例えば、製品100の凹部に挿入配置される凸部を採用することもできる。
【0068】
ケース20と蓋体30の態様は、上記例に限定されるものではない。例えば箱状のケース20に嵌合される蓋体30を、上記例においてフランジ32を有さず、基部31のみからなる構成としても良い。また、ケース20を平板とし、蓋体30を一面に開口する箱状としても良い。
【0069】
製品確認用窓33、番号確認用窓34の輪郭形状は上記例に限定されるものではない。例えば矩形状としても良い。
【0070】
通し番号N1、通し番号N2、区画線37が、いずれも印刷により、対応するケース20、蓋体30において表示される例を示した。しかしながら、表示の手法としては印刷に限定されるものではない。表示されたシールを貼りつけても良い。凹凸により、区画線37などを構成しても良い。
【符号の説明】
【0071】
10・・・通い箱
20・・・ケース
21・・・底部
21a・・・底部内面(一面)
23・・・凹部(固定部)
24・・・仕切り部
30・・・蓋体
30a・・・上面
33・・・製品確認用窓(物品確認用窓部)
34・・・番号確認用窓(番号確認用窓部)
36・・・仕切り部
37・・・区画線
100・・・製品
N1・・・(ケースに表示された)通し番号
N2・・・(蓋体に表示された)通し番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を固定するための固定部が一面に複数形成されたケースと、
前記ケースの固定部に物品が配置された状態で、前記物品を収容するように前記ケースに嵌合される蓋体と、を備えた通い箱であって、
前記ケースの一面において各固定部を仕切る仕切り部には、前記固定部に対応して前記固定部の並び順に通し番号が表示され、
前記蓋体には、前記ケースの固定部に収容された物品を確認するための物品確認用窓部が各固定部に対応して複数形成されるともに、前記ケースの仕切り部に表示された通し番号を確認するための番号確認用窓部が、各通し番号に対応して複数形成されていること特徴とする通い箱。
【請求項2】
同一の前記固定部に対応する前記物品確認用窓部と前記番号確認用窓部とが、一体的に連結していることを特徴とする請求項1に記載の通い箱。
【請求項3】
前記物品確認用窓部が、物品の位置ズレを抑制するための保持部を兼ねており、
前記物品確認用窓部と前記番号確認用窓部との連結部分の幅が、前記物品確認用窓部にて保持される物品の部分の外径よりも狭いことを特徴とする請求項2に記載の通い箱。
【請求項4】
前記物品用確認窓部のほうが前記番号確認用窓部よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の通い箱。
【請求項5】
物品を固定するための固定部が一面に複数形成されたケースと、
前記ケースの固定部に物品が配置された状態で、前記物品を収容するように前記ケースに嵌合される蓋体と、を備えた通い箱であって、
前記ケースの一面において各固定部を仕切る仕切り部には、前記固定部に対応して前記固定部の並び順に通し番号が表示され、
前記蓋体には、前記ケースの固定部に収容された物品を確認するための物品確認用窓部が各固定部に対応して複数形成されるともに、前記物品確認用窓部を仕切る仕切り部の表面に、前記物品確認用窓部に対応して、前記物品確認用窓部の対応する固定部の並び順に通し番号が表示されていること特徴とする通い箱。
【請求項6】
前記蓋体の仕切り部の表面には、前記物品確認用窓部及び該物品確認用窓部に対応する通し番号を、互いに区画する区画線が表示されていることを特徴とする請求項5に記載の通い箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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