説明

通信により外部から与えられた画像部品を用いて動画作品を自動制作して表示する電子看板装置

【課題】大きな費用をかけずに、通信網を利用して外部から支援を受け、多彩な動画作品をつぎつぎと表示する電子看板の運用を実現する。
【解決手段】主コンピューター1は外部コンピューターから作品番号Aおよびスクリプト番号Bが記述された指示電文を受信したとする。この指示電文を受信した主コンピューター1は、スクリプト番号Bに対応するスクリプトCをスクリプトテーブルから抽出する。スクリプトCには、使用する複数の画像部品の部品番号と、動画制作規則が記述されている。主コンピューター1は、スクリプトCに基づいて動画作品を自動制作し、制作した動画作品に作品番号Aを付けて作品データベースに格納する。作品データベースに作品番号Aの動画作品が既存であれば書き換えられる。なければ作品番号Aの動画作品が作品データベースに新登録される。このことと運用スケジュールの内容との組み合わせにより、指示電文を受けてあらたに制作された動画作品が表示に供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば飲食店・小売店・パチンコ店・理美容室などの店頭やビル壁面に設置されて広告映像などを公衆に向けて表示する電子看板装置(デジタルサイネージ)に関し、とくに、インターネットなどの通信網を介して他のコンピューターと通信可能に接続された電子看板装置において、他のコンピューターから通信により与えられた画像部品を用いて動画作品を自動制作して表示するものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3957843号公報「スケジュール管理機能を備えた表示制御装置」の発明では、番組データベースに登録されている番組名称をモニタに一覧表示させて、操作入力手段により番組を指定する操作入力を受け付け、指定された複数の番組の番組IDの順列とセット名称とセットIDとを対応付けて番組セット表に登録するとともに、時間枠組をモニタに表示させて、操作入力手段により時間枠組にセットIDを対応付けする操作入力を受け付け、受け付けたセットIDと時間枠組の対応関係によりスケジュール管理表を作成する方式とし、デジタルサイネージの運用の簡便化と分かりやすさを実現している。
【0003】
特許第4522516号公報「線形イルミネーション制御データ作成装置およびプログラム記憶媒体」の発明では、各種の商業施設などにおいて多数のLEDランプ群をそれぞれ独立制御する線形イルミネーションシステムを多彩な表現で発光させるための制御データを、とくに専門知識がなくても発光パターンの時系列的な変化を確認しながら容易に作成し変更できるようにしている。
【0004】
特開平8−235373号公報「構造的イメージの画像編集装置および方法」の発明では、構造的イメージ(SI:Structured Image)フォーマットの画像を適切なユーザーインターフェイスを用いて変更し、メモリの有効オープン編集環境下でそれ以前に行った編集操作(オペレーション)に制限なしにアクセスすることを可能とする。構造的イメージは、個々のオブジェクトを含む多様なデータ型と、前記多様なデータ型がその上に表現されるフレームであるペーストボードとを含み、画像編集装置は、前記構造的イメージの階層的な表示を生成するSI構造エディタと、前記SI構造エディタに接続され、前記多様なデータ型をそれぞれ対応する高位の表現形式に結び付けて編集するSI画像エディタとを含む。
【0005】
特開2010−39549号公報「複合コンテンツ作成システム、複合コンテンツ表示方法及び表示プログラム」の発明では、複合コンテンツ表示プログラムは、各素材表示コンポーネントプログラムファイルを実行せしめ、サーバ装置の記憶部に記憶された素材ファイルを順次呼び出すようにし、また、複合コンテンツ表示プログラムにタイマープログラム部を設け時間を管理せしめ、このタイマープログラム部により端末装置の演算記憶装置で実行されるタイマーの経過時間に基づいて、各素材表示コンポーネントプログラムファイルを実行せしめ動かす。
これにより、従来のように動画ファイルの時間経過に依存することがなく、複数の動画ファイルなどを複合コンテンツに組み込むことができるなど、複合コンテンツの作成の自由度を大きくすることができるようになる。
また、素材表示コンポーネントプログラムファイルに各素材ファイルを表示または素材ファイルの表示方法の制御のための命令実行プログラムを設け、さらに、複合コンテンツ表示プログラムにタイマー連動プログラムを設けたので、各素材表示コンポーネントプログラムファイルに他の素材表示コンポーネントプログラムファイルを容易に連動せしめることができる。
【0006】
特開2006−93852号公報「データ加工装置、映像編集装置、プログラム」の発明では、コンピュータープログラムは、映像の加工方法を登録し該登録された複数の加工方法のうち入力映像の加工に使用する加工方法を指定するための手段と、入力映像に対し該指定された加工方法に従って加工処理を施す手段と、該加工処理が施された映像を出力する手段と、前記複数の加工方法を識別するための映像の各々を表示する手段としてコンピューターを動作させる。
【0007】
特開2004−62615号公報「番組制作方法」の発明は、スクリプト言語で記述された番組を生成し編集するために、番組の作成に必要な番組スクリプトのサンプルを、あらかじめ番組テンプレートとして、各番組の種別に応じて複数用意し、これら番組テンプレートの中から任意のものを選択することにより番組スクリプトが自動的に設定されるようになっている。ここで、番組テンプレートには動画ファイルも含まれ、番組テンプレートの内容が動画の再生により確認できるようになっている。
【0008】
特開2011−81509号公報「画像処理システムおよび画像処理装置」の発明は、遠隔地で撮像される画像を使用して簡便にかつシームレスに再生することを目的として創作された。
当該発明は、携帯端末と、携帯端末とネットワークを介して接続されて携帯端末に同期して動作可能な情報管理装置と、情報管理装置とネットワークを介して接続されて情報管理装置に同期して動作可能な画像処理装置を備える画像処理システムにおいて、携帯端末は、画像を撮像し、撮像される画像に関する画像データを記憶し、記憶される画像データが更新されたことを検知し、記憶される画像データが更新されたことが検知された場合、記憶される新たな画像データを情報管理装置に対して送信し、情報管理装置は、携帯端末から携帯端末に記憶される新たな画像データを受信し、受信された新たな画像データを写真データベースに記憶し、写真データベースが更新されたことを検知し、写真データベースが更新されたことが検知された場合、写真データベースが更新されたことを示す更新通知を携帯端末と画像処理装置に送信し、画像処理装置は、画像を表示し、情報管理装置から情報管理装置の写真データベースが更新されたことを示す更新通知を受信し、更新通知が受信された後、情報管理装置の写真データベースに新たに記憶された画像データを情報管理装置から受信し、受信された画像データから特徴量を抽出し、抽出された画像データの特徴量に基づいて、予め定義されるテンプレートファイルに従ったスライドショーを生成し、生成されたスライドショーを再生する構成としている。
【0009】
特開2011−82789号公報「音声付き動画制作・配信サービスシステム」の発明では、静止画を基に手軽、かつ、安価に各種の音声付き動画を制作し、配信を行いたいという希望者の要望に沿い、インターネット動画配信市場拡大に寄与し得る音声付き動画制作・配信サービスシステムを実現し提供することを目的として創作された。
当該発明は、動画制作側端末と、動画制作支援管理装置と、一般利用者側端末と、これらの間の通信を行うインターネットとを有する音声付き動画制作・配信サービスシステムであって、前記動画制作支援管理装置は、動画制作側端末へブラウザ上で動作する静止画ファイル指定、静止画に関連するテキスト文字入力用の支援プログラムの提供を行い、動画制作側端末から送信される一枚の静止画ファイル、関連するテキスト文字を受信して、音声合成プログラムによるテキスト文字からの音声合成ファイルの生成、及び音声付き動画作成プログラムによる音声合成ファイル、静止画ファイルからの音声付き動画の制作を行い、制作した音声付き動画の前記動画制作側端末への配信を行うとともに、インターネットを通じてデスクトップパソコン、ノートパソコン、携帯電話のような一般利用者側端末への配信を可能にし、前記動画制作側端末は、前記支援プログラムに基づき指定した静止画ファイル、関連するテキスト文字を動画制作支援管理装置に送信するとともに、前記動画制作支援管理装置から配信される音声付き動画に対する前記支援プログラムによる管理を行うように構成したものである。
【発明の開示】
【0010】
===発明が解決しようとする課題===
商店経営者が自分のお店の宣伝にホームページを活用することはかなり以前から一般的に行われているため、ホームページ制作や活用に関する豊富な知識をもった人が社会に数多く存在し、お店の人は自分でホームページを制作できなくても、専門家に依頼して好みのホームページを比較的安価に制作してもらえる環境が整っている。
【0011】
ところが電子看板の有効活用に関しては、上記のような望ましい環境が整っているとはいえない。そのため店頭の電子看板で「営業中」といった単純な電飾表示を繰り返すような利用形態が散見される。表現力の豊かな動画を表示できる高性能な電子看板装置を導入しても、その性能を活かし、周囲の人々の関心を惹きつける多彩な動画をつぎつぎと表示するような運用は簡単ではない。そのため小規模な商店の電子看板は、数種類の画像を長期間繰り返し表示し続けるような単調な運用になりがちである。
【0012】
この発明の基本的な目的は、電子看板装置を導入した飲食店や小売店などの店舗において、電子看板の運用担当者が特別な専門知識を持ち合わせていなくても、インターネットなどの通信網を利用して外部の専門家の支援を受けることで、観者の関心を惹きつける多彩な動画作品をつぎつぎと表示する電子看板の運用を実現できるようにすることにある。
【0013】
ただし、そのために多くの費用をかけて良いわけではない。支援を受ける専門家に支払うべき報酬額がきわめて安くなるように、専門家が行うべき支援作業が専門家にとってはごく簡単なものですむようにすることと、多くの種類の動画作品をつぎつぎと更新しつつ表示する運用のために通信費用が高くなる(通信時間が長くなる)ことを回避できるようにすることが重要なポイントとなる。この2つのポイントを解決課題と認識して本発明が創作された。
【0014】
===発明の概要===
この発明の電子看板装置の典型的な実施の形態は、概略、以下の事項により成立するものである。
(A)電子看板装置の中枢はコンピューターであり、インターネットなどの通信網を介して外部のコンピューターと通信可能である。
(B)電子看板装置には運用スケジュールが記憶されている。運用スケジュールは、動画作品を特定する作品番号を時系列に記述している。その作品番号の順番に従って複数種類の動画作品がつぎつぎと表示される。
【0015】
(C)動画作品は電子看板装置において自動制作される。
(D)1つの実施形態では、あらかじめ自動制作された動画作品が記憶部に格納されていて、運用スケジュールに従って指定の動画作品が読み出されて表示される。
(E)別の実施形態では、運用スケジュールに従ってある動画作品を表示する際、その動画作品が自動制作されて表示される。
【0016】
(F)動画作品の自動制作には複数の画像部品が使用される。典型的な画像部品は、静止画データや文字列あるいはアニメーションデータである。
(G)動画作品の自動制作は、電子看板装置のコンピューターが記憶部に格納されているスクリプト(簡易プログラム)に従って行う。スクリプトは、複数の画像部品を用いて動画作品を自動制作するための動画制作規則を含んでいる。
【0017】
(H)多数の異なる画像部品が電子看板装置の記憶部に格納されており、各画像部品には部品番号がついている。外部コンピューターが電子看板装置と通信し、外部コンピューターの側で調達した部品番号付きの画像部品を電子看板装置に送信し、電子看板装置は受信した画像部品を記憶部に格納する。
【0018】
(I)多数の異なるスクリプトが電子看板装置のコンピューターに格納されており、各スクリプトにはスクリプト番号がついている。
(J)1つの実施形態では、スクリプトに、使用する複数の画像部品を特定する部品番号が含まれており、これにより自動制作すべき動画作品が特定される。
(K)別の実施形態では、スクリプトには部品番号が含まれておらず、スクリプトに複数の部品番号を指定することで、自動制作すべき動画作品を特定する。つまりスクリプトは汎用品となる。
【0019】
(L)電子看板装置にあらたな動画作品を投入する(自動制作させる)場合、外部コンピューターはその旨の指示電文を電子看板装置に伝える。指示電文には、動画作品につける作品番号が含まれている。指示電文には、動画作品の制作に用いるスクリプトのスクリプト番号が含まれている。スクリプトに部品番号が含まれない実施形態では、指示電文に複数の部品番号が含まれている。
【0020】
(M)外部コンピューターは、必要に応じて、あらたに制作した運用スケジュールを電子看板装置に送りつけ、電子看板装置は受信した運用スケジュールを記憶部に格納する。
(N)外部コンピューターは、必要に応じて、あらたに制作したスクリプト番号付きのスクリプトを電子看板装置に送りつけ、電子看板装置は受信したスクリプトを記憶部に格納する。
【0021】
===発明の効果===
電子看板装置に記憶されている運用スケジュールに従って指定された作品番号の動画作品がつぎつぎと表示される。運用スケジュールを変更することで表示される動画作品の種類や表示順を簡単に変えることができる。
【0022】
動画作品は複数の画像部品を用いてスクリプトに従って電子看板装置において自動制作される。動画作品はそれなりにデータ量が大きい。典型的な画像部品は静止画データや文字列あるいはアニメーションデータであり、スクリプトは簡易プログラムである。画像部品やスクリプトのデータ量は、これらによって自動制作される動画作品のデータ量に比してきわめて小さい。もちろん、前記指示電文として外部コンピューターから電子看板装置に送る作品番号やスクリプト番号や部品番号は、さらにデータ量が小さい。
【0023】
電子看板装置による表示内容を豊富化したり更新するために、外部コンピューターから電子看板装置にデータ量の大きい動画作品をたくさん送りつける必要はなく、上記の指示電文(作品番号やスクリプト番号や部品番号)あるいは画像部品やスクリプトを送りつければ良い。したがって通信するデータ量はきわめて小さくてすみ、通信費用はごく安上がりになる。
【0024】
外部コンピューターを上述のように運用する外部の専門家は、動画作品をみずから制作する技術を習得している必要はない。外部コンピューター運用員は、上述した運用スケジュールと、作品番号と、スクリプト番号が付されたスクリプトと、部品番号が付された画像部品の論理的関係性を前提とし、上記の指示電文(作品番号やスクリプト番号や部品番号)あるいは画像部品やスクリプトを電子看板装置に適宜に送りつける運用操作を行う業務知識があればよい。したがって、電子看板を運用するお店側が業務委託費として外部に支払う費用もごく安上がりになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】前景として使用される6個の画像部品
【図2】スクリプトに含まれる動態規則の解説
【図3】画像部品Aを用いた短編動画のコマ送り解説
【図4】画像部品Dを用いた短編動画のコマ送り解説
【図5】電子看板装置の概略構成
【発明を実施するための形態】
【0026】
===動画作品の自動制作===
まず最初に、スクリプトに基づいて動画作品を自動制作する具体的な実施例について説明する。実施例としての典型的なスクリプトは、30秒の動画作品を自動制作するための動画制作規則を記述している。30秒の動画作品は、1編が5秒の短編動画を6種類つなげたものである。
【0027】
5秒の長さの1編の短編動画は、2個の画像部品を使用して自動制作される。2個の画像部品のうちの一方は背景となり、他方は前景となる。背景となる画像部品は、典型例としてはアニメーションデータからなり、たとえば流動する銀河のような光の帯を表現した5秒のアニメーションを創りだす。前景となる動画部品は、典型例としては文字列あるいは静止画データである。
【0028】
5秒の長さの1編の短編動画は2個の画像部品を使用して自動制作され、1個の動画作品は6個の短編動画をつなげた30秒の作品である。したがって、1個の動画作品には、背景となる6個の画像部品と、前景となる6個の画像部品が使用される。ただし、6個の短編動画において同じ画像部品を使用することを妨げないので、1個の動画作品で12個の異なる画像部品を使用しなくてはならないわけではない。
【0029】
スクリプトは、6編の短編動画を自動制作するための動画制作規則を記述している。1編の短編動画を制作するための動画制作規則は、背景として指定された画像部品(アニメーションデータ)に基づいて5秒の背景動画を生成し、その背景動画の上に、前景として指定された画像部品(文字列や静止画)を画面中の表示位置や大きさや姿勢(傾き・回転など)を動画的に変化させつつ表示させる態様を規定している。ここで、前景となる画像部品を動画的に変化させる態様を規定する記述のことを動態規則と称する。
【0030】
つまり、スクリプトは、1編5秒の短編動画の動画制作規則として、背景の画像部品の識別子と、前景の画像部品の識別子と、上記の動態規則が規定され、この規定が6編分の順列として記述されたものである。なお、画像部品の識別子としては、各画像部品の部品番号をスクリプト中に直接的に記載する実施態様と、スクリプトとは別に与えられる画像部品の部品番号とのリンクを記載する実施形態とがある。
【0031】
図1は、1個の動画作品において前景として使用される6個の画像部品の具体例を示している。画像部品A〜Fの順列は、この順番で各5秒の短編動画を自動制作して6編分つなげた30秒の動画作品を自動制作することを表している。この例において、4番目の画像部品Dは静止画データであり、他の5個の画像部品は文字列である。
【0032】
図2においては、スクリプトの動画制作規則として記述される17種類の動態規則の概要を解説している。さきに説明したように、動態規則とは、前景として指定された画像部品を、背景となる5秒間のアニメーション動画中に、どのように登場させてどのように変化させるのかを記述したものである。なお、スクリプトの動画制作規則として、生成される動画作品に使用される定型的画像部品を含めることも可能としている。
【0033】
図2に示す動態規則には0番〜16番の規則番号を付けている。たとえば6番の動態規則は、画像部品である文字列画像が画面の上から落ちてきて画面の下辺にぶつかってバウンドする5秒間のアニメーションをつくり出す内容であることが解説してある。この規則には、文字列画像を点滅させるかフラッシュさせることが不確定なバリエーション要素として含まれているとともに、画面中で傾けるバリエーション要素も含まれている。なお、図2におけるモーション名とはこの実施例の創作途上での作業の便のためにつけたものにすぎない。
【0034】
図3においては、図1の画像部品Aを用いて自動制作された5秒の短編動画を8コマのコマ送りで表現している。図4においては、図1の画像部品Dを用いて自動制作された5秒の短編動画を8コマのコマ送りで表現している。文字列である画像部品B、C、E、Fについてもそれぞれを前景として用いた5秒間の短編動画が生成される。
【0035】
以上のようにして、1個のスクリプトに基づいて、図1に示す6個の画像部品A〜Fをそれぞれ前景として用いた6編の短編動画が自動制作され、画像部品A〜Fの順番でつなげた30秒の1個の動画作品が自動制作される。なお、ここまでの説明により、スクリプトの動画制作規則として、生成される動画作品に使用される定型的画像部品を含めることも可能であることは当業者に明らかであろう。
【0036】
===電子看板装置の構成===
この発明の電子看板装置のハードウエア構成は一般的な電子看板装置ととくに変わりはない。図5に概略構成を示すように、電子看板装置は、主コンピューター1と、表示制御装置2と、ディスプレイ3とからなる。主コンピューター1は、ビデオメモリ4にビットマップ形式の画像データを逐次書き込み、表示制御装置2がビデオメモリ4から画像データを逐次読み出してディスプレイ3に供給することで、主コンピューター1が送り出した画像データがディスプレイ3に表示される。
【0037】
主コンピューター1は、インターネットなどの通信網を介して他のコンピューター(外部コンピューターとする)と通信可能に接続されている。主コンピューター1のハードディスク5には、作品データベースおよび運用スケジュールが格納されている。作品データベースには、作品番号で区別された複数の動画作品が集約されている。運用スケジュールは、複数の作品番号を時系列に記述したものであり、その記述形式はどのようなものでもかまわない。
【0038】
主コンピューター1は、運用スケジュールに基づいて「いまどの作品番号の動画作品を表示するのか」を決定し、その作品番号の動画作品をデータベースから抽出し、その画像データをビデオメモリ4に逐次書き込む処理を行う。これにより運用スケジュールで規定された順番でデータベースの動画作品がつぎつぎと表示される。主コンピューター1は、外部コンピューターからスケジュール変更電文を受信した際、電文内容に従ってハードディスク5の運用スケジュールを書き換える。以上が電子看板装置のよく知られた構成である。
【0039】
===部品データベースとスクリプトテーブル===
主コンピューター1のハードディスク5には、部品データベースとスクリプトテーブルが格納されている。部品データベースには、部品番号で区別された複数の画像部品が集約されている。スクリプトテーブルには、スクリプト番号で区別された複数のスクリプトが集約されている。ここで「画像部品」および「スクリプト」は、「発明を実施するための形態」の欄における最初の項目「動画作品の自動制作」で説明したものである。
【0040】
===指示電文(第1実施例)===
主コンピューター1は外部コンピューターから指示電文を受信する。第1実施例の指示電文は、作品番号およびスクリプト番号が記述されている。ここでは、作品番号Aおよびスクリプト番号Bが記述された指示電文を受信したとする。この指示電文を受信した主コンピューター1は、スクリプト番号Bに対応するスクリプトCをスクリプトテーブルから抽出する。スクリプトCには、前述したように、使用する複数の画像部品の部品番号と、動画制作規則が記述されている。
【0041】
主コンピューター1は、スクリプトCに基づいて前記の要領で動画作品を自動制作し、制作した動画作品に前記指示電文で与えられた作品番号Aを付けて作品データベースに格納する。作品データベースに作品番号Aの動画作品が既存であれば書き換えられる。なければ作品番号Aの動画作品が作品データベースに新登録される。このことと運用スケジュールの内容との組み合わせにより、指示電文を受けてあらたに制作された動画作品が表示に供される。
【0042】
===第1発明の特定事項===
上記した第1実施例に対応する第1発明は、以下の事項(11)〜(18)により特定されるものである。
(11)記憶部と制御部と表示部と通信部を備え、通信網を介して他のコンピューターと通信可能な電子看板装置であること
(12)記憶部は、作品番号が付された動画作品と、運用スケジュールと、スクリプト番号が付されたスクリプトと、部品番号が付された画像部品を格納すること
(13)運用スケジュールは、複数の作品番号を時系列に記述すること
(14)制御部は、運用スケジュールに記述された作品番号の時系列に従って該当する動画作品を記憶部から抽出して表示部により表示させること
(15)制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信した部品番号付きの画像部品を記憶部に格納すること
(16)制御部は、作品番号Aとスクリプト番号Bを含んだ指示電文を通信網を介して他のコンピューターから受信した際、スクリプト番号Bに対応するスクリプトCを記憶部から抽出してスクリプトCを起動すること
(17)スクリプトは、複数の部品番号と、複数の画像部品を用いて動画作品を自動制作するための動画制作規則を含むこと
(18)起動されたスクリプトCは、スクリプトCに記述された複数の部品番号の画像部品Dを記憶部から抽出し、画像部品Dを動画制作規則に従って編集加工して動画作品を自動制作し、当該動画作品に前記作品番号Aを付けて記憶部に格納する処理を制御部に行わせること
【0043】
===指示電文(第2実施例)===
第2実施例においては、スクリプトテーブル中のスクリプトには、部品番号が直接記述されておらず、別途に与えられる複数の部品番号の順列を動画制作規則にどのように取り込むのかのリンク情報が規定されている。外部コンピューターが送信して主コンピューター1が受信する指示電文には、作品番号Aとスクリプト番号Bと複数の部品番号Dが記述されている。
【0044】
上記の指示電文を受信した主コンピューター1は、スクリプト番号BのスクリプトCをスクリプトテーブルから抽出するとともに、部品番号Dの画像部品E(複数の集合を意味している)を部品データベースから抽出し、スクリプトCおよび画像部品Eに基づいて前記の要領で動画作品を自動制作し、制作した動画作品に前記指示電文で与えられた作品番号Aを付けて作品データベースに格納する。以下は第1実施例と同じである。
【0045】
===第2発明の特定事項===
上記した第2実施例に対応する第2発明は、以下の事項(21)〜(28)により特定されるものである。
(21)記憶部と制御部と表示部と通信部を備え、通信網を介して他のコンピューターと通信可能な電子看板装置であること
(22)記憶部は、作品番号が付された動画作品と、運用スケジュールと、スクリプト番号が付されたスクリプトと、部品番号が付された画像部品を格納すること
(23)運用スケジュールは、複数の作品番号を時系列に記述すること
(24)制御部は、運用スケジュールに記述された作品番号の時系列に従って該当する動画作品を記憶部から抽出して表示部により表示させること
(25)制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信した部品番号付きの画像部品を記憶部に格納すること
(26)制御部は、作品番号Aとスクリプト番号Bと複数の部品番号Dを含んだ指示電文を通信網を介して他のコンピューターから受信した際、スクリプト番号BのスクリプトCを記憶部から抽出するとともに、部品番号Dの画像部品Eを記憶部から抽出し、画像部品EをスクリプトCに与えてスクリプトCを起動すること
(27)スクリプトは、複数の画像部品を用いて動画作品を自動制作するための動画制作規則を含むこと
(28)起動されたスクリプトCは、画像部品Eを動画制作規則に従って編集加工して動画作品を自動制作し、当該動画作品に前記作品番号Aを付けて記憶部に格納する処理を制御部に行わせること
【0046】
===動画作品を表示する際に自動制作する第3発明と第4発明===
ここまで説明した実施例では、運用スケジュールにより特定された作品番号の動画作品を作品データベースから抽出して表示していた。これに対して第3発明および第4発明においては、運用スケジュールに基づいて「つぎはこのスクリプトに従って制作する動画作品を表示する」あるいは「つぎはこのスクリプトとこれら画像部品に従って制作する動画作品を表示する」ことを決定し、動画作品を前記のように自動制作しながら同時に表示する方式を採用するものである。この方式と第1発明や第2発明と組み合わせて統合した電子看板装置を構成することもできることは、ここまでの説明により当業者に明らかであろう。
【0047】
===第3発明の特定事項===
第3発明は以下の事項(31)〜(37)により特定されるものである。
(31)記憶部と制御部と表示部と通信部を備え、通信網を介して他のコンピューターと通信可能な電子看板装置であること
(32)記憶部は、部品番号が付された画像部品と、スクリプト番号が付されたスクリプトと、運用スケジュールを格納すること
(33)制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信した部品番号付きの画像部品を記憶部に格納すること
(34)運用スケジュールは、複数のスクリプト番号を時系列に記述すること
(35)制御部は、運用スケジュールに基づいて1つのスクリプト番号が特定された際、当該スクリプト番号のスクリプトAを記憶部から抽出してスクリプトAを起動すること
(36)スクリプトは、複数の部品番号と、複数の画像部品を用いて動画作品を自動制作するための動画制作規則を含むこと
(37)起動されたスクリプトAは、スクリプトAに記述された複数の部品番号の画像部品Bを記憶部から抽出し、画像部品Bを動画制作規則に従って編集加工して動画作品を自動制作し、当該動画作品を表示部に表示させる処理を制御部に行わせること
【0048】
===第4発明の特定事項===
第4発明は以下の事項(41)〜(48)により特定されるものである。
(41)記憶部と制御部と表示部と通信部を備え、通信網を介して他のコンピューターと通信可能な電子看板装置であること
(42)記憶部は、部品番号が付された画像部品と、スクリプト番号が付されたスクリプトと、運用スケジュールを格納すること
(43)制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信した部品番号付きの画像部品を記憶部に格納すること
(44)運用スケジュールは、複数の作品番号を時系列に記述すること
(45)作品番号は、1つのスクリプト番号および複数の部品番号を特定すること
(46)制御部は、運用スケジュールに基づいて1つの作品番号が特定された際、当該作品番号により特定されるスクリプト番号のスクリプトAを記憶部から抽出するとともに、当該作品番号により特定される複数の部品番号の画像部品Bを記憶部から抽出し、画像部品BをスクリプトAに与えてスクリプトAを起動すること
(47)スクリプトは、複数の画像部品を用いて動画作品を自動制作するための動画制作規則を含むこと
(48)起動されたスクリプトAは、動画制作規則に従って画像部品Bを編集加工して動画作品を自動制作し、当該動画作品を表示部に表示させる処理を制御部に行わせること
【0049】
===画像部品やスクリプトの更新===
主コンピューター1は、通信網を介して外部コンピューターから与えられる情報に基づいて運用スケジュールの内容を更新することをすでに説明した。これと同様にして、主コンピューター1は、通信網を介して外部コンピューターから与えられる部品番号付きの画像部品をデータベースに登録したり、スクリプト番号付きのスクリプトをテーブルに登録する。これにより電子看板装置の表示内容を簡単かつ頻繁に更新することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部と表示部と通信部を備え、通信網を介して他のコンピューターと通信可能な電子看板装置であって、
記憶部は、作品番号が付された動画作品と、運用スケジュールと、スクリプト番号が付されたスクリプトと、部品番号が付された画像部品を格納し、
運用スケジュールは、複数の作品番号を時系列に記述し、
制御部は、運用スケジュールに記述された作品番号の時系列に従って該当する動画作品を記憶部から抽出して表示部により表示させ、
制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信した部品番号付きの画像部品を記憶部に格納し、
制御部は、作品番号Aとスクリプト番号Bを含んだ指示電文を通信網を介して他のコンピューターから受信した際、スクリプト番号Bに対応するスクリプトCを記憶部から抽出してスクリプトCを起動し、
スクリプトは、複数の部品番号と、複数の画像部品を用いて動画作品を自動制作するための動画制作規則を含み、
起動されたスクリプトCは、スクリプトCに記述された複数の部品番号の画像部品Dを記憶部から抽出し、画像部品Dを動画制作規則に従って編集加工して動画作品を自動制作し、当該動画作品に前記作品番号Aを付けて記憶部に格納する処理を制御部に行わせる
電子看板装置。
【請求項2】
記憶部と制御部と表示部と通信部を備え、通信網を介して他のコンピューターと通信可能な電子看板装置であって、
記憶部は、作品番号が付された動画作品と、運用スケジュールと、スクリプト番号が付されたスクリプトと、部品番号が付された画像部品を格納し、
運用スケジュールは、複数の作品番号を時系列に記述し、
制御部は、運用スケジュールに記述された作品番号の時系列に従って該当する動画作品を記憶部から抽出して表示部により表示させ、
制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信した部品番号付きの画像部品を記憶部に格納し、
制御部は、作品番号Aとスクリプト番号Bと複数の部品番号Dを含んだ指示電文を通信網を介して他のコンピューターから受信した際、スクリプト番号BのスクリプトCを記憶部から抽出するとともに、部品番号Dの画像部品Eを記憶部から抽出し、画像部品EをスクリプトCに与えてスクリプトCを起動し、
スクリプトは、複数の画像部品を用いて動画作品を自動制作するための動画制作規則を含み、
起動されたスクリプトCは、画像部品Eを動画制作規則に従って編集加工して動画作品を自動制作し、当該動画作品に前記作品番号Aを付けて記憶部に格納する処理を制御部に行わせる
電子看板装置。
【請求項3】
記憶部と制御部と表示部と通信部を備え、通信網を介して他のコンピューターと通信可能な電子看板装置であって、
記憶部は、部品番号が付された画像部品と、スクリプト番号が付されたスクリプトと、運用スケジュールを格納し、
制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信した部品番号付きの画像部品を記憶部に格納し、
運用スケジュールは、複数のスクリプト番号を時系列に記述し、
制御部は、運用スケジュールに基づいて1つのスクリプト番号が特定された際、当該スクリプト番号のスクリプトAを記憶部から抽出してスクリプトAを起動し、
スクリプトは、複数の部品番号と、複数の画像部品を用いて動画作品を自動制作するための動画制作規則を含み、
起動されたスクリプトAは、スクリプトAに記述された複数の部品番号の画像部品Bを記憶部から抽出し、画像部品Bを動画制作規則に従って編集加工して動画作品を自動制作し、当該動画作品を表示部に表示させる処理を制御部に行わせる
電子看板装置。
【請求項4】
記憶部と制御部と表示部と通信部を備え、通信網を介して他のコンピューターと通信可能な電子看板装置であって、
記憶部は、部品番号が付された画像部品と、スクリプト番号が付されたスクリプトと、運用スケジュールを格納し、
制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信した部品番号付きの画像部品を記憶部に格納し、
運用スケジュールは、複数の作品番号を時系列に記述し、
作品番号は、1つのスクリプト番号および複数の部品番号を特定し、
制御部は、運用スケジュールに基づいて1つの作品番号が特定された際、当該作品番号により特定されるスクリプト番号のスクリプトAを記憶部から抽出するとともに、当該作品番号により特定される複数の部品番号の画像部品Bを記憶部から抽出し、画像部品BをスクリプトAに与えてスクリプトAを起動し、
スクリプトは、複数の画像部品を用いて動画作品を自動制作するための動画制作規則を含み、
起動されたスクリプトAは、動画制作規則に従って画像部品Bを編集加工して動画作品を自動制作し、当該動画作品を表示部に表示させる処理を制御部に行わせる
電子看板装置。
【請求項5】
スクリプトの動画制作規則は、生成される動画作品に使用される定型的画像部品を含んでいる
請求項1〜4のいずれかに記載の電子看板装置。
【請求項6】
制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信した運用スケジュールを記憶部に格納する
請求項1〜4のいずれかに記載の電子看板装置。
【請求項7】
制御部は、通信網を介して他のコンピューターから受信したスクリプト番号付きのスクリプトを記憶部に格納する
請求項1〜4のいずれかに記載の電子看板装置。

【図2】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−12931(P2013−12931A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144681(P2011−144681)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(390008109)アビックス株式会社 (16)
【Fターム(参考)】