通信システム、中継装置及び通信方法
【課題】複数のデータをメッセージに含めて送信するに際し、メッセージに含められるデータの異常を通信装置が検知し、異常なデータに基づいて誤った制御が通信装置で行なわれることを防止することができる通信システム、中継装置及び通信方法を提供する。
【解決手段】通信装置である車載装置1c,1e,1fから送信されるデータc,e,fは、中継装置3aのデータベース31aに一旦記憶され、データc,e,fを必要とする車載装置1aへ、中継装置3aが一のメッセージにまとめて送信する。ただし、このときデータc,e,fのいずれかが異常であるか否かを中継装置3aが判断し、異常である場合は、メッセージの送信を中止するか又はデータc,e,fの内のいずれが異常であるかを特定するための特定情報を送信する。
【解決手段】通信装置である車載装置1c,1e,1fから送信されるデータc,e,fは、中継装置3aのデータベース31aに一旦記憶され、データc,e,fを必要とする車載装置1aへ、中継装置3aが一のメッセージにまとめて送信する。ただし、このときデータc,e,fのいずれかが異常であるか否かを中継装置3aが判断し、異常である場合は、メッセージの送信を中止するか又はデータc,e,fの内のいずれが異常であるかを特定するための特定情報を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを送受信する複数の通信装置と、通信装置間のデータの送受信を中継する中継装置とを含む通信システムに関する。特に、通信線への通信負荷を抑えて各通信装置の処理を効率化するために複数のデータをメッセージに含めて送信するに際し、メッセージに含められるデータの異常を通信装置が検知することができる通信システム、該通信システムに含まれる中継装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、複数の通信装置を接続し、各通信装置に夫々機能を割り振り、相互にデータを交換して多様な処理を行なわせるシステムが各分野で利用されている。例えば、車輌に配される車載LAN(Local Area Network)の分野では、通信装置としてECU(電子制御装置;Electronic Control Unit)を用い、各ECUに夫々特化させた処理を行なわせ、相互にデータを交換することにより、システムとして多様な機能を実現させている。
【0003】
各通信装置の機能の特化、また各通信装置が行なうことができる機能の増加に伴ない、通信媒体に接続される通信装置の数及び種別も増加する。更に、システムとして多様な機能が期待されるようになることから、各通信装置がデータを共有して連携する必要が生じ、送出されるデータの量は増加する。
【0004】
そこで、各通信装置を複数のグループに分け、グループ毎に通信線により接続する構成とし、グループ間は中継装置によって接続して異なるグループの通信装置間のデータの送受信を中継装置が中継して転送する構成とする場合がある。この場合、中継装置が各通信装置から送信されるデータをいずれも他の通信装置へ送信されるように転送する構成では、通信線における通信量を低減できない。更に、通信装置の故障等によりデータが不完全又は不正であっても転送してしまい、当該データを制御に用いる通信装置における処理に支障が発生する可能性がある。
【0005】
これに対し、特許文献1には中継装置がデータの内容によりデータを転送するか否かを決定し、データが不完全又は不正である場合にデータを転送しないと決定することにより不必要なデータの転送をなくすことができる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−16614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、各通信装置を複数のグループに分けた場合であっても各通信装置の制御に必要なデータを中継装置が全て転送する構成では通信線に送出されるデータの量は低減されない。通信線の通信負荷によっては異なるグループの通信装置に必要なデータのいずれかの送信が遅れ、通信装置が当該データが送信されることを待機し続ける状態となり得る。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数のデータを一のメッセージにまとめて送信する構成とすることにより通信負荷及び各通信装置における処理を効率化させることができると共に、メッセージに異常なデータが含まれる場合はメッセージの送信を中止する構成とすることにより、異常なデータに基づいて誤った制御が通信装置で行なわれることを防止することができる通信システム、該通信システムに含まれる中継装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、異常なデータが含まれる場合でもメッセージを送信する構成とすることにより、メッセージに含まれる他のデータが送信されなくなる事態を回避することができると共に、メッセージに含まれる異常なデータを特定することができる情報を送信する構成により、異常なデータによって通信装置で誤った制御が行なわれることを防止することができる通信システム、該通信システムに含まれる中継装置及び通信方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、中継装置からは送信するメッセージに含まれるデータの異常の有無を示す情報を送信しておき、データの異常がある場合には通信装置から異常なデータを特定する情報を要求する構成とすることにより、メッセージの構成及び中継装置、並びに通信装置間の送受信処理を簡易にしてシステムにおける通信負荷の低減、処理の効率化、及び誤った制御の防止を共に実現することができる通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る通信システムは、データを送受信する複数の通信装置と、該通信装置に通信線を介して接続されており、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶する記憶手段を備え、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信するようにしてある中継装置とを含む通信システムであって、前記中継装置は、各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、該異常判断手段によりデータが異常であると判断した場合、メッセージの送信を中止する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る通信システムは、データを送受信する複数の通信装置と、該通信装置に通信線を介して接続されており、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶する記憶手段を備え、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信するようにしてある中継装置とを含む通信システムであって、前記中継装置は、各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、該異常判断手段によりデータが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る通信システムは、前記中継装置は、メッセージを送信するに際し、前記異常判断手段による判断結果に基づく前記メッセージにおける異常なデータの有無を示す異常有無情報を共に送信する手段と、各通信装置からの要求を受信した場合に前記特定情報を送信する手段とを備え、前記通信装置は、メッセージを受信した場合、共に受信した前記異常有無情報により異常なデータが有ると示されているときは、前記中継装置へ前記特定情報の送信を要求する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る中継装置は、複数の外部装置と通信線を介して接続され、各外部装置からデータを受信する手段と、受信したデータを記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出したデータを各外部装置へ送信する手段とを備えて、外部装置間のデータの送受信を中継するようにしてある中継装置であって、受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータの内容が異常であるか否かを判断する手段と、データが異常であると判断した場合、前記メッセージの送信を中止する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る中継装置は、複数の外部装置と通信線を介して接続され、各外部装置からデータを受信する手段と、受信したデータを記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出したデータを各外部装置へ送信する手段とを備えて、外部装置間のデータの送受信を中継するようにしてある中継装置であって、受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータの内容が異常であるか否かを判断する手段と、データが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第6発明に係る通信方法は、データを送受信する複数の通信装置に通信線を介して接続する中継装置が、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶手段に記憶し、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信することによってデータを中継する通信方法であって、前記中継装置は、各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断し、データが異常であると判断した場合、前記メッセージの送信を中止することを特徴とする。
【0016】
第7発明に係る通信方法は、データを送受信する複数の通信装置に通信線を介して接続する中継装置が、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶手段に記憶し、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信することによってデータを中継する通信方法であって、前記中継装置は、各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断し、データが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信することを特徴とする。
【0017】
本発明では、通信システムを構成する各通信装置から送信されるデータは中継装置により受信されて記憶手段に記憶され、中継装置から各通信装置へは、各通信装置から受信された複数のデータが記憶手段から読み出されて一のメッセージにまとめられて各通信装置へ送信される。ただし、メッセージが送信されるに際し、中継装置によって送信するメッセージに異常なデータを含むか否かが判断され、異常なデータが含まれると判断された場合はメッセージの送信が中止される。
【0018】
本発明では、通信システムを構成する各通信装置から送信されるデータは中継装置により受信されて記憶手段に記憶され、中継装置から各通信装置へは、各通信装置から受信された複数のデータが記憶手段から読み出されて一のメッセージにまとめられて各通信装置へ送信される。メッセージが送信されるに際し、中継装置によって送信するメッセージに異常なデータを含むか否かが判断され、異常なデータが含まれると判断された場合は、メッセージに含まれる当該異常なデータを特定することができる特定情報が送信される。
【0019】
本発明では、中継装置から各通信装置へ送信されるメッセージに異常なデータが含まれると判断された場合、メッセージに異常なデータを含むか否かを示す異常有無情報が送信される。通信装置により受信された異常有無情報が異常なデータを含んでいることを示している場合、通信装置から中継装置へ特定情報の送信が要求され、要求に応じて中継装置から異常なデータを特定するための特定情報が送信される。
【発明の効果】
【0020】
本発明による場合は、各通信装置から送信されたデータは夫々随時中継装置により転送されるのではなく一旦記憶手段に記憶され、各通信装置に送信する際に記憶手段から読み出され、組み合わせられて一のメッセージとして送信される。これにより、随時転送されるよりも通信負荷を低減することができると共に、メッセージに含めるデータの組み合わせを当該データを受信する通信装置の制御に必要なデータの組み合わせとすることによって、通信装置側でも必要なデータをまとめて受信することができるので処理を効率化することができる。
【0021】
更に本発明による場合は、上述のように複数のデータが一のメッセージに含められて送信される構成としても、メッセージに異常なデータが含まれる場合はメッセージの送信が中止されるので、各通信装置で異常なデータを使用した誤った制御が行なわれてしまうことを防止することができる。
【0022】
本発明による場合は、メッセージに異常なデータが含まれる場合でもメッセージは送信されるので、メッセージに含まれる他の正常なデータが送信されなくなる事態を回避することができる。各通信装置はメッセージ中に異常なデータが含まれるときは異常なデータを特定することができる特定情報も受信するので、異常なデータを無視し、正常なデータを使用して制御を行なうことが可能になる。これにより、各通信装置で異常なデータを使用した誤った制御が行なわれてしまうことを防止することができる。
【0023】
本発明による場合は、メッセージに異常なデータが含まれる場合でもメッセージは送信されるので、メッセージに含まれる他の正常なデータが送信されなくなる事態を回避することができる。メッセージに異常なデータが含まれている場合、メッセージにおける異常なデータの有無を示す情報が送信されるので、メッセージを受信する通信装置側で異常なデータの有無の判断を行なうことができ、異常なデータが無い場合は特定情報を解析する必要がない。またこの場合、異常なデータの有無を示す情報は簡易な構成で実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明に係る通信システムを、CAN(Controller Area Network)プロトコルに準じてデータの送受信処理を行なう車載装置が複数接続される車載LANに適用した車載通信システムを例に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における車載通信システムの構成を示す模式図である。車載通信システムは、電子制御装置(ECU;Electronic Control Unit)を用いた車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fと、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1f間を夫々接続する通信線2a,2b,2cと、通信線2a,2b,2c間を接続する中継装置3a,3bと、中継装置3a,3b間を接続する通信線4とを備える。
【0026】
車載装置1a,1bは通信線2aに、車載装置1c,1dは通信線2bに、車載装置1e,1fは通信線2cに夫々バス型で接続されている。通信線2a,2bには中継装置3aが更にバス型に接続されている。中継装置3aは車載装置1a,1bが送信するデータを通信線2aを介して、車載装置1c,1dが送信するデータを通信線2bを介して夫々受信することが可能である。同様に、通信線2cには中継装置3bが更にバス型で接続されており、中継装置3bは車載装置1e,1fが送信するデータを通信線2cを介して受信することが可能である。
【0027】
中継装置3a,3bは通信線4を介して接続されており、相互にデータを送受信することが可能である。車載装置1a,1bは、異なる通信線2b,2cに接続される車載装置1c,1d,1e,1fと、中継装置3a,3bを介してデータを送受信することが可能である。
【0028】
車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは、測定値、計算値、制御値等の各種物理量の数値情報を含むデータの送信又はエンジン、ブレーキ等のマイクロコンピュータによる制御が可能な装置である。例えば車載装置1aは車速を検知する図示しないセンサに接続しており、センサから検知した車速のデータを通信線2aへ送出する。
【0029】
通信線2a,2b,2cは、CAN(Controller Area Network)のプロトコルに基づく通信線であり、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは通信線2a,2b,2cを介してCANに基づく信号の発生/検出によりデータの送受信が可能である。なお、実施の形態1における車載通信システムで使用する通信線2a,2b,2cはこれに限らず、LIN(Local Interconnect Network)、FlexRay(登録商標)等のプロトコルに基づくデータの送受信が可能であってもよい。さらに、送受信されるデータの種別に応じてデータの送受信のスピードが夫々異なる通信線2a,2b,2cで構成してもよい。
【0030】
中継装置3a,3bは、接続している通信線2a,2b,2cを介して車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fから送信された各種物理量の測定値、計算値、制御値等のデータを受信する。中継装置3a,3bは夫々、データベース31a,31bとして使用する記憶領域を備えており、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fから送信されたデータをデータベース31a,31bに記憶し、データベース31a,31bから読み出したデータを必要に応じて車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへ送信する。
【0031】
図1に示すように、中継装置3bは車載装置1e,1fから送信されたデータe,fをデータベース31bに記憶する。これらのデータe,fが車載装置1aで必要である場合、中継装置3bはこれらの車載装置1e,1fから送信されたデータe,fを中継装置3aへ送信するようにしてある。中継装置3aは車載装置1cから送信されたデータc、及び、中継装置3bから送信された車載装置1e,1fからのデータe,fをデータベース31aに記憶する。車載装置1aの制御に車載装置1c,1e,1fから送信されるデータc,e,fが必要な場合、中継装置3aは、データベース31aからデータc,e,fを読み出して車載装置1aへ送信する。
【0032】
このように中継装置3a,3bは、通信線2a,2b,2cを介して接続している車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1f夫々へデータベース31a,31bから必要なデータを読み出して分配するように送信する機能を有している。
【0033】
なお、実施の形態1における車載通信システムでは中継装置3a,3bが車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへデータを送信する際、各車載装置で必要なデータを1つのメッセージに含め、そのメッセージを送信する。図1に示すように、車載装置1aの制御に車載装置1c,1e,1fから送信されるデータが必要な場合、中継装置3aは車載装置1c,1e,1fから送信されるデータを受信する都度、車載装置1aへ送信するのではなく、一のメッセージに含めてまとめて送信する。
【0034】
ところで、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの内のいずれも故障の可能性があり、更に通信線2a,2b,2cの断線等の可能性がある。この場合、車載装置1c,1e,1fのいずれかからデータが送信されなくなる状態、又は送信されるデータの内容が不正な状態となり得る。データが送信されなくなる場合、中継装置3a,3bのデータベース31a,31bに記憶されているデータが更新されなくなる。したがってデータベース31a,31bに記憶されるデータは古いデータであり、その古いデータが各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへ送信されて使用される場合、夫々の制御に支障となる可能性がある。
【0035】
そこで実施の形態1における車載通信システムでは、中継装置3a,3bが各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fから送信されてデータベース31a,31bに記憶されているデータが正常であるか又は異常であるかを判断し、異常である場合はそのデータを含むメッセージの送信を中止する構成とする。これにより、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fでは、必要なデータを含むメッセージを受信できないことによりそのデータが異常であることを検知することができる。異常なデータによって誤った制御がなされることを防止することができる。
【0036】
図2は、実施の形態1における車載通信システムを構成する車載装置1a及び中継装置3aの内部構成を示すブロック図である。車載装置1aは、以下に示す各構成部の動作を制御する制御部10と、制御に必要なデータを記憶する記憶部11と、通信線2aとの通信を制御する通信制御部12とを備える。他の車載装置1b,1c,1d,1e,1fは、車載装置1aと同様の構成であることから詳細な説明を省略する。
【0037】
制御部10は、図示しない車輌のバッテリー、オルタネータ等の電力供給装置から電力の供給を受け、図示しない不揮発性の内臓メモリに記憶されている制御プログラムを読み出して実行し、各構成部の動作を制御する。
【0038】
記憶部11は揮発性のメモリからなり、制御部10は処理の過程で発生する各種情報、センサから入力された信号が表す測定値、中継装置3a及び車載装置1bから受信したメッセージを一時的に記憶する。
【0039】
通信制御部12は、ネットワークコントローラチップを有して通信線2aとの通信を実現する。車載装置1aの制御部10は、通信制御部12を介し通信線2aの信号線間に差動電圧を発生させてデータを送信し、信号線間の差動電圧を検出してデータを受信する。
【0040】
中継装置3aは、以下に示す各構成部の動作を制御する制御部30と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリからなる記憶部32と、通信線2aに接続されている第1通信制御部33と、通信線4に接続されている第2通信制御部34とを備える。中継装置3bについては中継装置3aと同様の構成であることから以下に示す構成及び処理手順についての詳細な説明を省略する。
【0041】
制御部30は、図示しない車輌のオルタネータ、バッテリー等の電力供給装置から電力の供給を受け、図示しない不揮発性の内臓メモリ又は記憶部32に記憶されている制御プログラムを読み出して実行し、各構成部の動作を制御する。
【0042】
中継装置3aの記憶部32には、制御部30が車載装置1a,1b,1c,1dから受信したデータ及び中継装置3bを介して車載装置1e,1fから受信したデータを記憶するデータベース31aのための記憶領域が設けられている。制御部30は、受信したデータから「車速」「操舵角」等の種別毎に、対応する具体的な測定値、計算値、制御値等の値をデータベース31aに記憶する。
【0043】
中継装置3aの第1通信制御部33は、通信線2a及び通信線2bを介して接続している各車載装置1a,1b,1c,1dとのデータの送受信を実現する。第2通信制御部34は、通信線4を介して接続している中継装置3bとのデータの送受信を実現する。
【0044】
中継装置3aの制御部30は、記憶部32のデータベース31aから各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fに必要なデータを夫々読み出して組み合わせ、メッセージを生成する。各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへ送信すべきデータの組み合わせが設定されており、その組み合わせの設定に従ってメッセージを生成するようにしてある。これにより、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fからデータが送信される都度、必要な車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへデータが転送されるよりも通信負荷を低減することができると共に、メッセージに含めるデータの組み合わせを、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御に必要なデータの組み合わせとなるように設計することにより、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fも必要なデータをまとめて受信することができ、処理を効率化することができる。
【0045】
また、中継装置3aの制御部30はメッセージを送信するに際し、含まれるデータの組み合わせに応じたメッセージIDをメッセージに付与して送信する。これにより、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは受信したメッセージに含まれるデータの種別を認識することが可能である。
【0046】
図3は、実施の形態1における中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージは、図3の説明図に示すように、ヘッダ部及びデータ部を含み、送信エラーを検知するためのCRC(Cyclic Redundancy Check)が付加されている。ヘッダ部はメッセージIDの他、データ部以降の長さが表わされる領域等を含む。データ部は送信されるデータの値を含む。図3の説明図に示される内容例では、データ部に含まれる具体的な値として「100」、「200」、「300」が含まれている。メッセージIDにより、夫々の値がいずれの種別のデータの値であるかが識別可能である。なお、制御部30により生成されるメッセージには更に、メッセージの終了を示すトレイラ部がCRCの後に続く構成でもよい。
【0047】
中継装置3aの制御部30は、前述したように、データベース31aに記憶されている各データについて正常であるか又は異常であるかを判断する機能を有している。制御部30は、各データについて正常であるか又は異常であるかを例えば以下のように判断する。まず、各データには種別毎にライフタイムを設定する。中継装置3aの制御部30は各車載装置1a,1b,1c,1d、若しくは中継装置3bを介して車載装置1e,1fからデータを受信した時点、又はデータベース31aに記憶した時点からの経過時間(エイジ;Age)を内臓するタイマに基づいて計測し、データベース31aにデータと共にエイジを記憶し、更新するようにしてある。中継装置3aの制御部30は、各データのエイジが、設定してあるライフタイム以下である場合は内容が新しく正常であると判断し、エイジがライフタイムを超えている場合は内容が古いとして異常であると判断する。
【0048】
図4は、実施の形態1における中継装置3aの記憶部32に記憶されているデータベース31aの内容例を示す説明図である。図4の説明図に示すように、データベース31aのレコードは、各データの種別毎に割り振られている識別情報(ID)、データの内容(値)、エイジ及びライフタイムにより構成されている。なお、エイジ及びライフタイムの値の単位は、1ミリ秒、10ミリ秒、1秒等の任意の単位である。
【0049】
図4の説明図に示される内容例では、ID「1」のデータの最新の値は「100」であることが示されており、ライフタイムとして「50」が設定されていることが示されている。更にIDが「1」のデータは車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fのいずれかから送信されてから又はデータベース31aに記憶されてから「10」経過していることが示されている。この場合、エイジ「10」がライフタイム「50」以下であるために新しいデータであり、制御部30により正常であると判断される。
【0050】
一方、ID「2」のデータの最新の値は「200」であるが、ライフタイム「50」に対してエイジが「80」であることが示されている。この場合、エイジ「80」がライフタイム「50」を超えていることから古いデータであり、制御部30により異常であると判断される。また、ID「3」のデータの最新の値は「300」であるが、ライフタイム「10」に対してエイジが「20」であることが示されている。この場合、エイジ「20」がライフタイム「10」を超えていることから古いデータであり、制御部30により異常であると判断される。
【0051】
なお、制御部30によってデータが正常であるか又は異常であるかが判断される際の判断基準は、上述に示したようにデータの内容が新しいか否かによる判断には限らない。例えば、データの種別によっては値が負となり得ないにも拘らず、記憶されている値が負の値である場合は異常であると判断してもよい。また、データベース31aに記憶されているデータの種別毎に、記憶されている値が夫々の物理量の値として正常であるか又は異常であるかを判断するための各値に対する閾値、時間経過に対する値の変動割合の閾値等を含む判断基準を記憶部32に記憶しておき、制御部30が判断基準に基づいて判断する構成でもよい。
【0052】
上述のように構成される車載通信システムにおいて、中継装置3aの制御部30がデータベース31aに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際に、そのメッセージに含めるデータが異常であるか否かに応じて送信を中止するか否かを判断する処理について説明する。
【0053】
図5は、実施の形態1における中継装置3aの制御部30が、データベース31aに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際の処理手順を示すフローチャートである。
【0054】
中継装置3aの制御部30は、データベース31aからメッセージを生成するためのデータを読み出し(ステップS11)、読み出したデータの内のいずれかが異常であるか否かを判断する(ステップS12)。中継装置3aの制御部30は、ステップS11で読み出したデータがいずれも正常であると判断した場合(S12:NO)、読み出したデータを含むメッセージを生成し(ステップS13)、生成したメッセージを送信し(ステップS14)、処理を終了する。
【0055】
中継装置3aの制御部30は、ステップS11で読み出したデータのいずれかが異常であると判断した場合(S12:YES)、メッセージの送信を中止し(ステップS15)、処理を終了する。
【0056】
図5のフローチャートに示した処理により、異常なデータを含むメッセージが送信されることを中止して、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fで古いデータを使用した誤った制御が行なわれてしまうことを防止することができる。また、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは所望のデータを含むメッセージが送信されないことにより、いずれかのデータが異常となったことを検知することも可能になる。
【0057】
(実施の形態2)
実施の形態1では、中継装置3aの制御部30は、メッセージを生成して送信する際にメッセージに含めるデータが異常であると判断した場合は、そのメッセージをいずれの車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへも送信しない構成とした。
【0058】
これに対し実施の形態2では、メッセージに含めるデータが異常であると判断した場合でもメッセージを送信する。ただし、実施の形態2ではメッセージに含まれるデータの内のいずれのデータが異常なデータであるかを特定することができる特定情報がメッセージに含まれて共に送信される構成とする。これにより、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、異常なデータを含むメッセージを受信した場合であっても異常なデータを無視し、他の正常なデータを使用して制御を行なうことが可能になる。
【0059】
実施の形態2における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様であるので詳細な説明を省略し、実施の形態1と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30が異常なデータを含むメッセージを生成して送信する処理及び生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0060】
図6は、実施の形態2における中継装置3aの制御部30が、データベース31aに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際の処理手順を示すフローチャートである。なお、メッセージの生成処理の要素は基本的に実施の形態1における処理手順と同様であるため、図5のフローチャートに示した処理手順と同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
実施の形態2でも、中継装置3aの制御部30は、メッセージを送信するために読み出したデータの内のいずれも正常であると判断した場合(S12:NO)、読み出したデータを含むメッセージを生成し(S13)、生成したメッセージを送信し(S14)、処理を終了する。
【0062】
一方で、中継装置3aの制御部30は、メッセージを送信するために読み出したデータの内のいずれかが異常であると判断した場合(S12:YES)、異常なデータがいずれであるかを特定することができる特定情報を含むメッセージを生成し(ステップS21)、生成したメッセージを送信し(S14)、処理を終了する。
【0063】
図7は、実施の形態2における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、異常なデータが含められる場合は図7の説明図に示すように、その異常なデータの具体的な値としてありえない「負」の値「−1」が含まれている。図7の説明図に示すようなメッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、メッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識し、データ部に含まれているID「2」及び「3」のデータの値が「負」の値であることから、ID「2」及び「3」のデータは異常である(古い)ことを検知し、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0064】
これにより、異常なデータを他に含むことで、送信されるべき重要度の高いデータを含むメッセージが送信されなくなることを防止することができる。異常なデータを特定することができる情報が共に送信されるため、車載装置では異常なデータを無視して正常なデータを使用した制御が可能になる。さらに、車載装置では異常なデータの種別(図7の説明図に示される内容例ではID「2」及び「3」のデータ)を認識することができるので、以降の制御において異常なデータを受信することができない場合の処理を別途起動しなおす等の対処が可能になる。
【0065】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態2同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信する構成とする。ただし、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2と異なる。
【0066】
実施の形態3における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0067】
図8は、実施の形態3における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、データ部に新たにデータの正常/異常を2進数で表現して示すフラグの領域が追加される。各フラグはデータが正常である場合は「0」で、異常である場合は「1」で示される。
【0068】
図8の説明図に示される内容例では、フラグ領域は「011」であり、データ部に含まれる3つのデータの内の2番目及び3番目のデータが異常であることを示している。つまり、図8の説明図に示される内容例ではID「1」、「2」及び「3」のデータの値がデータ部に含まれるが、ID「2」及び「3」のデータの値夫々「200」、「300」は異常である(古い)ことが示されている。
【0069】
図8の説明図に示すようなメッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、メッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識し、データ部に含まれているフラグ領域を読み出してID「2」及び「3」のデータは異常である(古い)ことを検知し、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0070】
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態2及び3と同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信し、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2及び3と異なる。
【0071】
実施の形態4における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0072】
図9は、実施の形態4における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、ヘッダ部のメッセージIDの領域を分割し、メッセージIDと共に新たにデータの正常/異常を2進数で表わして示すフラグの領域を含むように構成する。各フラグの解釈は実施の形態3における図8の説明図に示した内容例と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0073】
(実施の形態5)
実施の形態5では、実施の形態2乃至4と同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信し、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2乃至4と異なる。
【0074】
実施の形態5における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0075】
図10は、実施の形態5における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、本来はCRCのための領域を分割し、中継装置3の制御部30は、CRCを算出して本来のCRC領域を埋めた後、当該領域の前半部分にデータの正常/異常を2進数で示すフラグの領域を上書きする。したがって、本来のCRC領域全体をCRCの値であるとして読み出し、メッセージ全体のエラーチェックを行なう場合、エラーが発生していると判定されることになる。
【0076】
図10の説明図に示すようなメッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、メッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識するが、CRCの値によりエラーチェックを行なってエラーが発生していると判定されることにより、データ部に含まれるデータのいずれかが異常であることを検知することができる。その後、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、本来のCRC領域の前半部分をフラグ領域として読み出し、データ部に含まれる3つのデータの内の2番目及び3番目のデータが異常であること、即ちID「2」及び「3」のデータは異常である(古い)ことを検知し、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0077】
(実施の形態6)
実施の形態6では、実施の形態2及び3と同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信し、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2乃至5と異なる。
【0078】
実施の形態6における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0079】
図11は、実施の形態6における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、データ部に新たに誤り訂正(検出)符号が追加される。さらに、中継装置3aの制御部30はメッセージをバイナリデータで表わすが、データ部に含まれる異常なデータの値が表わされる領域の内のいずれかを1ビット反転させる。図11の説明図に示される内容例では、データの値「200」及び「300」(夫々10進数)を表わす領域の末尾のビットが夫々反転されて値が「201」及び「301」となっていることが示されている。図11の説明図に示される内容例で追加される誤り訂正符号は、3箇所の誤りビットを特定することができる誤り訂正符号であることが望ましい。なおこのとき中継装置3aの制御部30は、誤り訂正符号を算出し、異常なデータの値が表わされる領域のいずれかのビットを反転させた後に、CRCの値を算出して書き込む。これにより、CRCの値によるエラーチェックがされる場合、送信エラーが発生していないときは正常であると判定される。したがって、送信エラーによるビット誤りと、データが異常であることによるビット誤りとを区別することが可能になる。
【0080】
図11の説明図に示したようなメッセージの構成により、メッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、まずメッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識する。次に、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、誤り訂正符号によりID「2」及び「3」のデータの値が表わされている領域に誤りがあることを検出し、ID「2」及び「3」のデータの値が異常であり(古く)、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0081】
(実施の形態7)
実施の形態7では、実施の形態2乃至6同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信する。ただし、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2乃至6と異なる。実施の形態7ではデータが異常である場合に生成されるメッセージは異常なデータの有無を示す情報を含み、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは、受信したメッセージに異常なデータが含まれている場合は、いずれのデータが異常であるかを特定するための特定情報の送信を要求し、中継装置3a,3bの制御部30が要求に応答して特定情報を改めて送信する。
【0082】
即ち、実施の形態7における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用い、中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造、及び、車載装置1aからの問い合わせに応じて特定情報が中継装置3aから改めて送信される処理について以下に説明する。
【0083】
図12は、実施の形態7における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、データ部に新たに異常なデータの有無を2進数で表わして示すフラグの領域が追加される。フラグは異常なデータが無い場合は「0」であり、異常なデータが有る場合は「1」で示される。図12の説明図に示される内容例では、フラグ領域は「1」であり、データ部に異常なデータが有ることが示されている。
【0084】
図12の説明図に示すようなメッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、メッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識し、データ部に含まれているフラグ領域を読み出して当該メッセージに含まれるIDが「1」、「2」及び「3」のデータの内のいずれかが異常である(古い)ことを検知し、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0085】
図13及び図14は、実施の形態7における中継装置3aから車載装置1aへメッセージが送信された場合の、中継装置3a及び車載装置1a間での処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順の内のメッセージの生成処理の一部は基本的に実施の形態1における処理手順と同様であるため、図5のフローチャートに示した処理手順と同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0086】
中継装置3aの制御部30は、メッセージを送信するために読み出したデータの内のいずれも正常であると判断した場合(S12:NO)、読み出したデータに加えて異常なデータは無いことを示す異常有無情報を含むメッセージを生成し(ステップS301)、生成したメッセージを送信する(ステップS302)。
【0087】
車載装置1aの制御部10は、中継装置3aから送信されたメッセージを受信し(ステップS303)、異常有無情報に基づき受信したメッセージに異常なデータが有るか否かを判断する(ステップS304)。この場合、ステップS301により異常有無情報は異常なデータは無いことを示しているので、車載装置1aの制御部10は異常なデータは無いと判断し(S304:NO)、処理を終了する。この場合、受信したメッセージに含まれるデータはいずれも正常であるので、車載装置1aにおける制御に使用することができる。
【0088】
一方中継装置3aの制御部30は、メッセージを送信するために読み出したデータの内のいずれかが異常であると判断した場合(S12:YES)、異常なデータを特定するための特定情報を生成し(ステップS305)、読み出したデータに加えて異常なデータが有ることを示す異常有無情報を含むメッセージを生成し(ステップS306)、生成したメッセージを送信する(ステップS307)。
【0089】
車載装置1aの制御部10は、中継装置3aから送信されたメッセージを受信し(S303)、異常有無情報に基づき受信したメッセージに異常なデータが有るか否かを判断する(S304)。この場合、ステップS301により異常有無情報は異常なデータが有ることを示しているので、車載装置1aの制御部10は、異常なデータが有ると判断し(S304:YES)、いずれのデータが異常であるかを特定するための特定情報の送信を中継装置3aに要求する(ステップS308)。
【0090】
中継装置3aの制御部30は、車載装置1aからの特定情報の送信要求を受信し(ステップS309)、これに応じてステップS305で生成した特定情報を送信する(ステップS310)。
【0091】
車載装置1aの制御部10は、中継装置3aから送信された特定情報を受信し(ステップS311)、受信した特定情報に基づき受信したメッセージに含まれるデータの内のいずれが異常であるかを特定し(ステップS312)、処理を終了する。なお、このとき車載装置1aの制御部はステップS312で特定したデータについては無視して制御に使用しないようにする。
【0092】
このように実施の形態7では、メッセージ中の異常なデータの有無を示す異常有無情報と、いずれのデータが異常であるかを特定するための特定情報とが夫々別々に送信される。中継装置3a,3bから異常有無情報がメッセージに含められて送信されるので、メッセージを受信する車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1f側でメッセージ中の異常なデータの有無を判断することができる。この場合、異常なデータが無い場合は車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は処理をそのまま続行することができ、特定情報を解析する必要はなく、異常なデータが有る場合のみ特定情報を解析すればよい。またこの場合、異常なデータの有無を示す異常有無情報を1ビット追加するのみの簡易な構成で実現可能である。
【0093】
なお、実施の形態1では、メッセージに含めるデータのいずれかが異常(古いデータ)である場合は送信を中止し、実施の形態2乃至6ではメッセージに含めるデータのいずれかが異常であってもそのデータを特定することができる情報を共に送信する構成とした。本発明では他に、メッセージに含まれるデータの種別によって、異常なデータを含む場合は送信を停止するメッセージと、異常なデータを含む場合でも送信するメッセージとがある構成でもよい。この場合、異常なデータを含む場合でも送信するメッセージには、いずれのデータが異常であるかを特定することができる特定情報を付与して送信することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態1における車載通信システムの構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態1における車載通信システムを構成する車載装置及び中継装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における中継装置の制御部により生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図4】実施の形態1における中継装置の記憶部に記憶されているデータベース31aの内容例を示す説明図である。
【図5】実施の形態1における中継装置の制御部が、データベースに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2における中継装置の制御部が、データベースに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図8】実施の形態3における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図9】実施の形態4における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図10】実施の形態5における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図11】実施の形態6における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図12】実施の形態7における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図13】実施の形態7における中継装置から車載装置へメッセージが送信された場合の、中継装置及び車載装置間での処理手順を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態7における中継装置から車載装置へメッセージが送信された場合の、中継装置及び車載装置間での処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1a,1b,1c,1d,1e,1f 車載装置
2a,2b,2c,4 通信線
3a,3b 中継装置
10,30 制御部
31a,31b データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを送受信する複数の通信装置と、通信装置間のデータの送受信を中継する中継装置とを含む通信システムに関する。特に、通信線への通信負荷を抑えて各通信装置の処理を効率化するために複数のデータをメッセージに含めて送信するに際し、メッセージに含められるデータの異常を通信装置が検知することができる通信システム、該通信システムに含まれる中継装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、複数の通信装置を接続し、各通信装置に夫々機能を割り振り、相互にデータを交換して多様な処理を行なわせるシステムが各分野で利用されている。例えば、車輌に配される車載LAN(Local Area Network)の分野では、通信装置としてECU(電子制御装置;Electronic Control Unit)を用い、各ECUに夫々特化させた処理を行なわせ、相互にデータを交換することにより、システムとして多様な機能を実現させている。
【0003】
各通信装置の機能の特化、また各通信装置が行なうことができる機能の増加に伴ない、通信媒体に接続される通信装置の数及び種別も増加する。更に、システムとして多様な機能が期待されるようになることから、各通信装置がデータを共有して連携する必要が生じ、送出されるデータの量は増加する。
【0004】
そこで、各通信装置を複数のグループに分け、グループ毎に通信線により接続する構成とし、グループ間は中継装置によって接続して異なるグループの通信装置間のデータの送受信を中継装置が中継して転送する構成とする場合がある。この場合、中継装置が各通信装置から送信されるデータをいずれも他の通信装置へ送信されるように転送する構成では、通信線における通信量を低減できない。更に、通信装置の故障等によりデータが不完全又は不正であっても転送してしまい、当該データを制御に用いる通信装置における処理に支障が発生する可能性がある。
【0005】
これに対し、特許文献1には中継装置がデータの内容によりデータを転送するか否かを決定し、データが不完全又は不正である場合にデータを転送しないと決定することにより不必要なデータの転送をなくすことができる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−16614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、各通信装置を複数のグループに分けた場合であっても各通信装置の制御に必要なデータを中継装置が全て転送する構成では通信線に送出されるデータの量は低減されない。通信線の通信負荷によっては異なるグループの通信装置に必要なデータのいずれかの送信が遅れ、通信装置が当該データが送信されることを待機し続ける状態となり得る。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数のデータを一のメッセージにまとめて送信する構成とすることにより通信負荷及び各通信装置における処理を効率化させることができると共に、メッセージに異常なデータが含まれる場合はメッセージの送信を中止する構成とすることにより、異常なデータに基づいて誤った制御が通信装置で行なわれることを防止することができる通信システム、該通信システムに含まれる中継装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、異常なデータが含まれる場合でもメッセージを送信する構成とすることにより、メッセージに含まれる他のデータが送信されなくなる事態を回避することができると共に、メッセージに含まれる異常なデータを特定することができる情報を送信する構成により、異常なデータによって通信装置で誤った制御が行なわれることを防止することができる通信システム、該通信システムに含まれる中継装置及び通信方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、中継装置からは送信するメッセージに含まれるデータの異常の有無を示す情報を送信しておき、データの異常がある場合には通信装置から異常なデータを特定する情報を要求する構成とすることにより、メッセージの構成及び中継装置、並びに通信装置間の送受信処理を簡易にしてシステムにおける通信負荷の低減、処理の効率化、及び誤った制御の防止を共に実現することができる通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る通信システムは、データを送受信する複数の通信装置と、該通信装置に通信線を介して接続されており、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶する記憶手段を備え、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信するようにしてある中継装置とを含む通信システムであって、前記中継装置は、各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、該異常判断手段によりデータが異常であると判断した場合、メッセージの送信を中止する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る通信システムは、データを送受信する複数の通信装置と、該通信装置に通信線を介して接続されており、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶する記憶手段を備え、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信するようにしてある中継装置とを含む通信システムであって、前記中継装置は、各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、該異常判断手段によりデータが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る通信システムは、前記中継装置は、メッセージを送信するに際し、前記異常判断手段による判断結果に基づく前記メッセージにおける異常なデータの有無を示す異常有無情報を共に送信する手段と、各通信装置からの要求を受信した場合に前記特定情報を送信する手段とを備え、前記通信装置は、メッセージを受信した場合、共に受信した前記異常有無情報により異常なデータが有ると示されているときは、前記中継装置へ前記特定情報の送信を要求する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る中継装置は、複数の外部装置と通信線を介して接続され、各外部装置からデータを受信する手段と、受信したデータを記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出したデータを各外部装置へ送信する手段とを備えて、外部装置間のデータの送受信を中継するようにしてある中継装置であって、受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータの内容が異常であるか否かを判断する手段と、データが異常であると判断した場合、前記メッセージの送信を中止する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る中継装置は、複数の外部装置と通信線を介して接続され、各外部装置からデータを受信する手段と、受信したデータを記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出したデータを各外部装置へ送信する手段とを備えて、外部装置間のデータの送受信を中継するようにしてある中継装置であって、受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータの内容が異常であるか否かを判断する手段と、データが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第6発明に係る通信方法は、データを送受信する複数の通信装置に通信線を介して接続する中継装置が、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶手段に記憶し、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信することによってデータを中継する通信方法であって、前記中継装置は、各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断し、データが異常であると判断した場合、前記メッセージの送信を中止することを特徴とする。
【0016】
第7発明に係る通信方法は、データを送受信する複数の通信装置に通信線を介して接続する中継装置が、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶手段に記憶し、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信することによってデータを中継する通信方法であって、前記中継装置は、各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断し、データが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信することを特徴とする。
【0017】
本発明では、通信システムを構成する各通信装置から送信されるデータは中継装置により受信されて記憶手段に記憶され、中継装置から各通信装置へは、各通信装置から受信された複数のデータが記憶手段から読み出されて一のメッセージにまとめられて各通信装置へ送信される。ただし、メッセージが送信されるに際し、中継装置によって送信するメッセージに異常なデータを含むか否かが判断され、異常なデータが含まれると判断された場合はメッセージの送信が中止される。
【0018】
本発明では、通信システムを構成する各通信装置から送信されるデータは中継装置により受信されて記憶手段に記憶され、中継装置から各通信装置へは、各通信装置から受信された複数のデータが記憶手段から読み出されて一のメッセージにまとめられて各通信装置へ送信される。メッセージが送信されるに際し、中継装置によって送信するメッセージに異常なデータを含むか否かが判断され、異常なデータが含まれると判断された場合は、メッセージに含まれる当該異常なデータを特定することができる特定情報が送信される。
【0019】
本発明では、中継装置から各通信装置へ送信されるメッセージに異常なデータが含まれると判断された場合、メッセージに異常なデータを含むか否かを示す異常有無情報が送信される。通信装置により受信された異常有無情報が異常なデータを含んでいることを示している場合、通信装置から中継装置へ特定情報の送信が要求され、要求に応じて中継装置から異常なデータを特定するための特定情報が送信される。
【発明の効果】
【0020】
本発明による場合は、各通信装置から送信されたデータは夫々随時中継装置により転送されるのではなく一旦記憶手段に記憶され、各通信装置に送信する際に記憶手段から読み出され、組み合わせられて一のメッセージとして送信される。これにより、随時転送されるよりも通信負荷を低減することができると共に、メッセージに含めるデータの組み合わせを当該データを受信する通信装置の制御に必要なデータの組み合わせとすることによって、通信装置側でも必要なデータをまとめて受信することができるので処理を効率化することができる。
【0021】
更に本発明による場合は、上述のように複数のデータが一のメッセージに含められて送信される構成としても、メッセージに異常なデータが含まれる場合はメッセージの送信が中止されるので、各通信装置で異常なデータを使用した誤った制御が行なわれてしまうことを防止することができる。
【0022】
本発明による場合は、メッセージに異常なデータが含まれる場合でもメッセージは送信されるので、メッセージに含まれる他の正常なデータが送信されなくなる事態を回避することができる。各通信装置はメッセージ中に異常なデータが含まれるときは異常なデータを特定することができる特定情報も受信するので、異常なデータを無視し、正常なデータを使用して制御を行なうことが可能になる。これにより、各通信装置で異常なデータを使用した誤った制御が行なわれてしまうことを防止することができる。
【0023】
本発明による場合は、メッセージに異常なデータが含まれる場合でもメッセージは送信されるので、メッセージに含まれる他の正常なデータが送信されなくなる事態を回避することができる。メッセージに異常なデータが含まれている場合、メッセージにおける異常なデータの有無を示す情報が送信されるので、メッセージを受信する通信装置側で異常なデータの有無の判断を行なうことができ、異常なデータが無い場合は特定情報を解析する必要がない。またこの場合、異常なデータの有無を示す情報は簡易な構成で実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明に係る通信システムを、CAN(Controller Area Network)プロトコルに準じてデータの送受信処理を行なう車載装置が複数接続される車載LANに適用した車載通信システムを例に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における車載通信システムの構成を示す模式図である。車載通信システムは、電子制御装置(ECU;Electronic Control Unit)を用いた車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fと、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1f間を夫々接続する通信線2a,2b,2cと、通信線2a,2b,2c間を接続する中継装置3a,3bと、中継装置3a,3b間を接続する通信線4とを備える。
【0026】
車載装置1a,1bは通信線2aに、車載装置1c,1dは通信線2bに、車載装置1e,1fは通信線2cに夫々バス型で接続されている。通信線2a,2bには中継装置3aが更にバス型に接続されている。中継装置3aは車載装置1a,1bが送信するデータを通信線2aを介して、車載装置1c,1dが送信するデータを通信線2bを介して夫々受信することが可能である。同様に、通信線2cには中継装置3bが更にバス型で接続されており、中継装置3bは車載装置1e,1fが送信するデータを通信線2cを介して受信することが可能である。
【0027】
中継装置3a,3bは通信線4を介して接続されており、相互にデータを送受信することが可能である。車載装置1a,1bは、異なる通信線2b,2cに接続される車載装置1c,1d,1e,1fと、中継装置3a,3bを介してデータを送受信することが可能である。
【0028】
車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは、測定値、計算値、制御値等の各種物理量の数値情報を含むデータの送信又はエンジン、ブレーキ等のマイクロコンピュータによる制御が可能な装置である。例えば車載装置1aは車速を検知する図示しないセンサに接続しており、センサから検知した車速のデータを通信線2aへ送出する。
【0029】
通信線2a,2b,2cは、CAN(Controller Area Network)のプロトコルに基づく通信線であり、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは通信線2a,2b,2cを介してCANに基づく信号の発生/検出によりデータの送受信が可能である。なお、実施の形態1における車載通信システムで使用する通信線2a,2b,2cはこれに限らず、LIN(Local Interconnect Network)、FlexRay(登録商標)等のプロトコルに基づくデータの送受信が可能であってもよい。さらに、送受信されるデータの種別に応じてデータの送受信のスピードが夫々異なる通信線2a,2b,2cで構成してもよい。
【0030】
中継装置3a,3bは、接続している通信線2a,2b,2cを介して車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fから送信された各種物理量の測定値、計算値、制御値等のデータを受信する。中継装置3a,3bは夫々、データベース31a,31bとして使用する記憶領域を備えており、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fから送信されたデータをデータベース31a,31bに記憶し、データベース31a,31bから読み出したデータを必要に応じて車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへ送信する。
【0031】
図1に示すように、中継装置3bは車載装置1e,1fから送信されたデータe,fをデータベース31bに記憶する。これらのデータe,fが車載装置1aで必要である場合、中継装置3bはこれらの車載装置1e,1fから送信されたデータe,fを中継装置3aへ送信するようにしてある。中継装置3aは車載装置1cから送信されたデータc、及び、中継装置3bから送信された車載装置1e,1fからのデータe,fをデータベース31aに記憶する。車載装置1aの制御に車載装置1c,1e,1fから送信されるデータc,e,fが必要な場合、中継装置3aは、データベース31aからデータc,e,fを読み出して車載装置1aへ送信する。
【0032】
このように中継装置3a,3bは、通信線2a,2b,2cを介して接続している車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1f夫々へデータベース31a,31bから必要なデータを読み出して分配するように送信する機能を有している。
【0033】
なお、実施の形態1における車載通信システムでは中継装置3a,3bが車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへデータを送信する際、各車載装置で必要なデータを1つのメッセージに含め、そのメッセージを送信する。図1に示すように、車載装置1aの制御に車載装置1c,1e,1fから送信されるデータが必要な場合、中継装置3aは車載装置1c,1e,1fから送信されるデータを受信する都度、車載装置1aへ送信するのではなく、一のメッセージに含めてまとめて送信する。
【0034】
ところで、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの内のいずれも故障の可能性があり、更に通信線2a,2b,2cの断線等の可能性がある。この場合、車載装置1c,1e,1fのいずれかからデータが送信されなくなる状態、又は送信されるデータの内容が不正な状態となり得る。データが送信されなくなる場合、中継装置3a,3bのデータベース31a,31bに記憶されているデータが更新されなくなる。したがってデータベース31a,31bに記憶されるデータは古いデータであり、その古いデータが各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへ送信されて使用される場合、夫々の制御に支障となる可能性がある。
【0035】
そこで実施の形態1における車載通信システムでは、中継装置3a,3bが各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fから送信されてデータベース31a,31bに記憶されているデータが正常であるか又は異常であるかを判断し、異常である場合はそのデータを含むメッセージの送信を中止する構成とする。これにより、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fでは、必要なデータを含むメッセージを受信できないことによりそのデータが異常であることを検知することができる。異常なデータによって誤った制御がなされることを防止することができる。
【0036】
図2は、実施の形態1における車載通信システムを構成する車載装置1a及び中継装置3aの内部構成を示すブロック図である。車載装置1aは、以下に示す各構成部の動作を制御する制御部10と、制御に必要なデータを記憶する記憶部11と、通信線2aとの通信を制御する通信制御部12とを備える。他の車載装置1b,1c,1d,1e,1fは、車載装置1aと同様の構成であることから詳細な説明を省略する。
【0037】
制御部10は、図示しない車輌のバッテリー、オルタネータ等の電力供給装置から電力の供給を受け、図示しない不揮発性の内臓メモリに記憶されている制御プログラムを読み出して実行し、各構成部の動作を制御する。
【0038】
記憶部11は揮発性のメモリからなり、制御部10は処理の過程で発生する各種情報、センサから入力された信号が表す測定値、中継装置3a及び車載装置1bから受信したメッセージを一時的に記憶する。
【0039】
通信制御部12は、ネットワークコントローラチップを有して通信線2aとの通信を実現する。車載装置1aの制御部10は、通信制御部12を介し通信線2aの信号線間に差動電圧を発生させてデータを送信し、信号線間の差動電圧を検出してデータを受信する。
【0040】
中継装置3aは、以下に示す各構成部の動作を制御する制御部30と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリからなる記憶部32と、通信線2aに接続されている第1通信制御部33と、通信線4に接続されている第2通信制御部34とを備える。中継装置3bについては中継装置3aと同様の構成であることから以下に示す構成及び処理手順についての詳細な説明を省略する。
【0041】
制御部30は、図示しない車輌のオルタネータ、バッテリー等の電力供給装置から電力の供給を受け、図示しない不揮発性の内臓メモリ又は記憶部32に記憶されている制御プログラムを読み出して実行し、各構成部の動作を制御する。
【0042】
中継装置3aの記憶部32には、制御部30が車載装置1a,1b,1c,1dから受信したデータ及び中継装置3bを介して車載装置1e,1fから受信したデータを記憶するデータベース31aのための記憶領域が設けられている。制御部30は、受信したデータから「車速」「操舵角」等の種別毎に、対応する具体的な測定値、計算値、制御値等の値をデータベース31aに記憶する。
【0043】
中継装置3aの第1通信制御部33は、通信線2a及び通信線2bを介して接続している各車載装置1a,1b,1c,1dとのデータの送受信を実現する。第2通信制御部34は、通信線4を介して接続している中継装置3bとのデータの送受信を実現する。
【0044】
中継装置3aの制御部30は、記憶部32のデータベース31aから各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fに必要なデータを夫々読み出して組み合わせ、メッセージを生成する。各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへ送信すべきデータの組み合わせが設定されており、その組み合わせの設定に従ってメッセージを生成するようにしてある。これにより、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fからデータが送信される都度、必要な車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへデータが転送されるよりも通信負荷を低減することができると共に、メッセージに含めるデータの組み合わせを、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御に必要なデータの組み合わせとなるように設計することにより、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fも必要なデータをまとめて受信することができ、処理を効率化することができる。
【0045】
また、中継装置3aの制御部30はメッセージを送信するに際し、含まれるデータの組み合わせに応じたメッセージIDをメッセージに付与して送信する。これにより、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは受信したメッセージに含まれるデータの種別を認識することが可能である。
【0046】
図3は、実施の形態1における中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージは、図3の説明図に示すように、ヘッダ部及びデータ部を含み、送信エラーを検知するためのCRC(Cyclic Redundancy Check)が付加されている。ヘッダ部はメッセージIDの他、データ部以降の長さが表わされる領域等を含む。データ部は送信されるデータの値を含む。図3の説明図に示される内容例では、データ部に含まれる具体的な値として「100」、「200」、「300」が含まれている。メッセージIDにより、夫々の値がいずれの種別のデータの値であるかが識別可能である。なお、制御部30により生成されるメッセージには更に、メッセージの終了を示すトレイラ部がCRCの後に続く構成でもよい。
【0047】
中継装置3aの制御部30は、前述したように、データベース31aに記憶されている各データについて正常であるか又は異常であるかを判断する機能を有している。制御部30は、各データについて正常であるか又は異常であるかを例えば以下のように判断する。まず、各データには種別毎にライフタイムを設定する。中継装置3aの制御部30は各車載装置1a,1b,1c,1d、若しくは中継装置3bを介して車載装置1e,1fからデータを受信した時点、又はデータベース31aに記憶した時点からの経過時間(エイジ;Age)を内臓するタイマに基づいて計測し、データベース31aにデータと共にエイジを記憶し、更新するようにしてある。中継装置3aの制御部30は、各データのエイジが、設定してあるライフタイム以下である場合は内容が新しく正常であると判断し、エイジがライフタイムを超えている場合は内容が古いとして異常であると判断する。
【0048】
図4は、実施の形態1における中継装置3aの記憶部32に記憶されているデータベース31aの内容例を示す説明図である。図4の説明図に示すように、データベース31aのレコードは、各データの種別毎に割り振られている識別情報(ID)、データの内容(値)、エイジ及びライフタイムにより構成されている。なお、エイジ及びライフタイムの値の単位は、1ミリ秒、10ミリ秒、1秒等の任意の単位である。
【0049】
図4の説明図に示される内容例では、ID「1」のデータの最新の値は「100」であることが示されており、ライフタイムとして「50」が設定されていることが示されている。更にIDが「1」のデータは車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fのいずれかから送信されてから又はデータベース31aに記憶されてから「10」経過していることが示されている。この場合、エイジ「10」がライフタイム「50」以下であるために新しいデータであり、制御部30により正常であると判断される。
【0050】
一方、ID「2」のデータの最新の値は「200」であるが、ライフタイム「50」に対してエイジが「80」であることが示されている。この場合、エイジ「80」がライフタイム「50」を超えていることから古いデータであり、制御部30により異常であると判断される。また、ID「3」のデータの最新の値は「300」であるが、ライフタイム「10」に対してエイジが「20」であることが示されている。この場合、エイジ「20」がライフタイム「10」を超えていることから古いデータであり、制御部30により異常であると判断される。
【0051】
なお、制御部30によってデータが正常であるか又は異常であるかが判断される際の判断基準は、上述に示したようにデータの内容が新しいか否かによる判断には限らない。例えば、データの種別によっては値が負となり得ないにも拘らず、記憶されている値が負の値である場合は異常であると判断してもよい。また、データベース31aに記憶されているデータの種別毎に、記憶されている値が夫々の物理量の値として正常であるか又は異常であるかを判断するための各値に対する閾値、時間経過に対する値の変動割合の閾値等を含む判断基準を記憶部32に記憶しておき、制御部30が判断基準に基づいて判断する構成でもよい。
【0052】
上述のように構成される車載通信システムにおいて、中継装置3aの制御部30がデータベース31aに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際に、そのメッセージに含めるデータが異常であるか否かに応じて送信を中止するか否かを判断する処理について説明する。
【0053】
図5は、実施の形態1における中継装置3aの制御部30が、データベース31aに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際の処理手順を示すフローチャートである。
【0054】
中継装置3aの制御部30は、データベース31aからメッセージを生成するためのデータを読み出し(ステップS11)、読み出したデータの内のいずれかが異常であるか否かを判断する(ステップS12)。中継装置3aの制御部30は、ステップS11で読み出したデータがいずれも正常であると判断した場合(S12:NO)、読み出したデータを含むメッセージを生成し(ステップS13)、生成したメッセージを送信し(ステップS14)、処理を終了する。
【0055】
中継装置3aの制御部30は、ステップS11で読み出したデータのいずれかが異常であると判断した場合(S12:YES)、メッセージの送信を中止し(ステップS15)、処理を終了する。
【0056】
図5のフローチャートに示した処理により、異常なデータを含むメッセージが送信されることを中止して、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fで古いデータを使用した誤った制御が行なわれてしまうことを防止することができる。また、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは所望のデータを含むメッセージが送信されないことにより、いずれかのデータが異常となったことを検知することも可能になる。
【0057】
(実施の形態2)
実施の形態1では、中継装置3aの制御部30は、メッセージを生成して送信する際にメッセージに含めるデータが異常であると判断した場合は、そのメッセージをいずれの車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fへも送信しない構成とした。
【0058】
これに対し実施の形態2では、メッセージに含めるデータが異常であると判断した場合でもメッセージを送信する。ただし、実施の形態2ではメッセージに含まれるデータの内のいずれのデータが異常なデータであるかを特定することができる特定情報がメッセージに含まれて共に送信される構成とする。これにより、各車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、異常なデータを含むメッセージを受信した場合であっても異常なデータを無視し、他の正常なデータを使用して制御を行なうことが可能になる。
【0059】
実施の形態2における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様であるので詳細な説明を省略し、実施の形態1と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30が異常なデータを含むメッセージを生成して送信する処理及び生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0060】
図6は、実施の形態2における中継装置3aの制御部30が、データベース31aに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際の処理手順を示すフローチャートである。なお、メッセージの生成処理の要素は基本的に実施の形態1における処理手順と同様であるため、図5のフローチャートに示した処理手順と同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
実施の形態2でも、中継装置3aの制御部30は、メッセージを送信するために読み出したデータの内のいずれも正常であると判断した場合(S12:NO)、読み出したデータを含むメッセージを生成し(S13)、生成したメッセージを送信し(S14)、処理を終了する。
【0062】
一方で、中継装置3aの制御部30は、メッセージを送信するために読み出したデータの内のいずれかが異常であると判断した場合(S12:YES)、異常なデータがいずれであるかを特定することができる特定情報を含むメッセージを生成し(ステップS21)、生成したメッセージを送信し(S14)、処理を終了する。
【0063】
図7は、実施の形態2における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、異常なデータが含められる場合は図7の説明図に示すように、その異常なデータの具体的な値としてありえない「負」の値「−1」が含まれている。図7の説明図に示すようなメッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、メッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識し、データ部に含まれているID「2」及び「3」のデータの値が「負」の値であることから、ID「2」及び「3」のデータは異常である(古い)ことを検知し、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0064】
これにより、異常なデータを他に含むことで、送信されるべき重要度の高いデータを含むメッセージが送信されなくなることを防止することができる。異常なデータを特定することができる情報が共に送信されるため、車載装置では異常なデータを無視して正常なデータを使用した制御が可能になる。さらに、車載装置では異常なデータの種別(図7の説明図に示される内容例ではID「2」及び「3」のデータ)を認識することができるので、以降の制御において異常なデータを受信することができない場合の処理を別途起動しなおす等の対処が可能になる。
【0065】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態2同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信する構成とする。ただし、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2と異なる。
【0066】
実施の形態3における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0067】
図8は、実施の形態3における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、データ部に新たにデータの正常/異常を2進数で表現して示すフラグの領域が追加される。各フラグはデータが正常である場合は「0」で、異常である場合は「1」で示される。
【0068】
図8の説明図に示される内容例では、フラグ領域は「011」であり、データ部に含まれる3つのデータの内の2番目及び3番目のデータが異常であることを示している。つまり、図8の説明図に示される内容例ではID「1」、「2」及び「3」のデータの値がデータ部に含まれるが、ID「2」及び「3」のデータの値夫々「200」、「300」は異常である(古い)ことが示されている。
【0069】
図8の説明図に示すようなメッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、メッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識し、データ部に含まれているフラグ領域を読み出してID「2」及び「3」のデータは異常である(古い)ことを検知し、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0070】
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態2及び3と同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信し、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2及び3と異なる。
【0071】
実施の形態4における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0072】
図9は、実施の形態4における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、ヘッダ部のメッセージIDの領域を分割し、メッセージIDと共に新たにデータの正常/異常を2進数で表わして示すフラグの領域を含むように構成する。各フラグの解釈は実施の形態3における図8の説明図に示した内容例と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0073】
(実施の形態5)
実施の形態5では、実施の形態2乃至4と同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信し、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2乃至4と異なる。
【0074】
実施の形態5における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0075】
図10は、実施の形態5における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、本来はCRCのための領域を分割し、中継装置3の制御部30は、CRCを算出して本来のCRC領域を埋めた後、当該領域の前半部分にデータの正常/異常を2進数で示すフラグの領域を上書きする。したがって、本来のCRC領域全体をCRCの値であるとして読み出し、メッセージ全体のエラーチェックを行なう場合、エラーが発生していると判定されることになる。
【0076】
図10の説明図に示すようなメッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、メッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識するが、CRCの値によりエラーチェックを行なってエラーが発生していると判定されることにより、データ部に含まれるデータのいずれかが異常であることを検知することができる。その後、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、本来のCRC領域の前半部分をフラグ領域として読み出し、データ部に含まれる3つのデータの内の2番目及び3番目のデータが異常であること、即ちID「2」及び「3」のデータは異常である(古い)ことを検知し、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0077】
(実施の形態6)
実施の形態6では、実施の形態2及び3と同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信し、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2乃至5と異なる。
【0078】
実施の形態6における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用いて中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造について以下に説明する。
【0079】
図11は、実施の形態6における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、データ部に新たに誤り訂正(検出)符号が追加される。さらに、中継装置3aの制御部30はメッセージをバイナリデータで表わすが、データ部に含まれる異常なデータの値が表わされる領域の内のいずれかを1ビット反転させる。図11の説明図に示される内容例では、データの値「200」及び「300」(夫々10進数)を表わす領域の末尾のビットが夫々反転されて値が「201」及び「301」となっていることが示されている。図11の説明図に示される内容例で追加される誤り訂正符号は、3箇所の誤りビットを特定することができる誤り訂正符号であることが望ましい。なおこのとき中継装置3aの制御部30は、誤り訂正符号を算出し、異常なデータの値が表わされる領域のいずれかのビットを反転させた後に、CRCの値を算出して書き込む。これにより、CRCの値によるエラーチェックがされる場合、送信エラーが発生していないときは正常であると判定される。したがって、送信エラーによるビット誤りと、データが異常であることによるビット誤りとを区別することが可能になる。
【0080】
図11の説明図に示したようなメッセージの構成により、メッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、まずメッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識する。次に、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、誤り訂正符号によりID「2」及び「3」のデータの値が表わされている領域に誤りがあることを検出し、ID「2」及び「3」のデータの値が異常であり(古く)、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0081】
(実施の形態7)
実施の形態7では、実施の形態2乃至6同様に中継装置3a,3bの制御部30がメッセージを生成する際に含めるデータが異常である(古い)場合でもメッセージを送信する。ただし、含めるデータが異常である場合に中継装置3a,3bの制御部により生成されるメッセージの構成が実施の形態2乃至6と異なる。実施の形態7ではデータが異常である場合に生成されるメッセージは異常なデータの有無を示す情報を含み、車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fは、受信したメッセージに異常なデータが含まれている場合は、いずれのデータが異常であるかを特定するための特定情報の送信を要求し、中継装置3a,3bの制御部30が要求に応答して特定情報を改めて送信する。
【0082】
即ち、実施の形態7における通信システムのハードウェア構成、データベース31a,31bの構成は実施の形態1と同様である。さらに、中継装置3a,3bによりメッセージが生成されて送信される処理手順は実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態1及び2と共通する構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1及び2と同一の符号を用い、中継装置3aの制御部30により生成されるメッセージの構造、及び、車載装置1aからの問い合わせに応じて特定情報が中継装置3aから改めて送信される処理について以下に説明する。
【0083】
図12は、実施の形態7における中継装置3aの制御部30により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。メッセージの構成は実施の形態1で図3の説明図に示した構成と基本的に同様であるが、データ部に新たに異常なデータの有無を2進数で表わして示すフラグの領域が追加される。フラグは異常なデータが無い場合は「0」であり、異常なデータが有る場合は「1」で示される。図12の説明図に示される内容例では、フラグ領域は「1」であり、データ部に異常なデータが有ることが示されている。
【0084】
図12の説明図に示すようなメッセージを受信した車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は、メッセージIDにより、データのID「1」、「2」及び「3」の値がデータ部に含まれることを認識し、データ部に含まれているフラグ領域を読み出して当該メッセージに含まれるIDが「1」、「2」及び「3」のデータの内のいずれかが異常である(古い)ことを検知し、制御に使用すべきでないことを認識することが可能になる。
【0085】
図13及び図14は、実施の形態7における中継装置3aから車載装置1aへメッセージが送信された場合の、中継装置3a及び車載装置1a間での処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順の内のメッセージの生成処理の一部は基本的に実施の形態1における処理手順と同様であるため、図5のフローチャートに示した処理手順と同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0086】
中継装置3aの制御部30は、メッセージを送信するために読み出したデータの内のいずれも正常であると判断した場合(S12:NO)、読み出したデータに加えて異常なデータは無いことを示す異常有無情報を含むメッセージを生成し(ステップS301)、生成したメッセージを送信する(ステップS302)。
【0087】
車載装置1aの制御部10は、中継装置3aから送信されたメッセージを受信し(ステップS303)、異常有無情報に基づき受信したメッセージに異常なデータが有るか否かを判断する(ステップS304)。この場合、ステップS301により異常有無情報は異常なデータは無いことを示しているので、車載装置1aの制御部10は異常なデータは無いと判断し(S304:NO)、処理を終了する。この場合、受信したメッセージに含まれるデータはいずれも正常であるので、車載装置1aにおける制御に使用することができる。
【0088】
一方中継装置3aの制御部30は、メッセージを送信するために読み出したデータの内のいずれかが異常であると判断した場合(S12:YES)、異常なデータを特定するための特定情報を生成し(ステップS305)、読み出したデータに加えて異常なデータが有ることを示す異常有無情報を含むメッセージを生成し(ステップS306)、生成したメッセージを送信する(ステップS307)。
【0089】
車載装置1aの制御部10は、中継装置3aから送信されたメッセージを受信し(S303)、異常有無情報に基づき受信したメッセージに異常なデータが有るか否かを判断する(S304)。この場合、ステップS301により異常有無情報は異常なデータが有ることを示しているので、車載装置1aの制御部10は、異常なデータが有ると判断し(S304:YES)、いずれのデータが異常であるかを特定するための特定情報の送信を中継装置3aに要求する(ステップS308)。
【0090】
中継装置3aの制御部30は、車載装置1aからの特定情報の送信要求を受信し(ステップS309)、これに応じてステップS305で生成した特定情報を送信する(ステップS310)。
【0091】
車載装置1aの制御部10は、中継装置3aから送信された特定情報を受信し(ステップS311)、受信した特定情報に基づき受信したメッセージに含まれるデータの内のいずれが異常であるかを特定し(ステップS312)、処理を終了する。なお、このとき車載装置1aの制御部はステップS312で特定したデータについては無視して制御に使用しないようにする。
【0092】
このように実施の形態7では、メッセージ中の異常なデータの有無を示す異常有無情報と、いずれのデータが異常であるかを特定するための特定情報とが夫々別々に送信される。中継装置3a,3bから異常有無情報がメッセージに含められて送信されるので、メッセージを受信する車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1f側でメッセージ中の異常なデータの有無を判断することができる。この場合、異常なデータが無い場合は車載装置1a,1b,1c,1d,1e,1fの制御部10は処理をそのまま続行することができ、特定情報を解析する必要はなく、異常なデータが有る場合のみ特定情報を解析すればよい。またこの場合、異常なデータの有無を示す異常有無情報を1ビット追加するのみの簡易な構成で実現可能である。
【0093】
なお、実施の形態1では、メッセージに含めるデータのいずれかが異常(古いデータ)である場合は送信を中止し、実施の形態2乃至6ではメッセージに含めるデータのいずれかが異常であってもそのデータを特定することができる情報を共に送信する構成とした。本発明では他に、メッセージに含まれるデータの種別によって、異常なデータを含む場合は送信を停止するメッセージと、異常なデータを含む場合でも送信するメッセージとがある構成でもよい。この場合、異常なデータを含む場合でも送信するメッセージには、いずれのデータが異常であるかを特定することができる特定情報を付与して送信することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態1における車載通信システムの構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態1における車載通信システムを構成する車載装置及び中継装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における中継装置の制御部により生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図4】実施の形態1における中継装置の記憶部に記憶されているデータベース31aの内容例を示す説明図である。
【図5】実施の形態1における中継装置の制御部が、データベースに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2における中継装置の制御部が、データベースに記憶してあるデータからメッセージを生成して送信する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図8】実施の形態3における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図9】実施の形態4における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図10】実施の形態5における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図11】実施の形態6における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図12】実施の形態7における中継装置の制御部により、データのいずれかが異常であると判断された場合に生成されるメッセージの内容例を示す説明図である。
【図13】実施の形態7における中継装置から車載装置へメッセージが送信された場合の、中継装置及び車載装置間での処理手順を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態7における中継装置から車載装置へメッセージが送信された場合の、中継装置及び車載装置間での処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1a,1b,1c,1d,1e,1f 車載装置
2a,2b,2c,4 通信線
3a,3b 中継装置
10,30 制御部
31a,31b データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送受信する複数の通信装置と、該通信装置に通信線を介して接続されており、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶する記憶手段を備え、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信するようにしてある中継装置とを含む通信システムであって、
前記中継装置は、
各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、
該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、
前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、
該異常判断手段によりデータが異常であると判断した場合、メッセージの送信を中止する手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
データを送受信する複数の通信装置と、該通信装置に通信線を介して接続されており、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶する記憶手段を備え、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信するようにしてある中継装置とを含む通信システムであって、
前記中継装置は、
各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、
該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、
前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、
該異常判断手段によりデータが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
前記中継装置は、メッセージを送信するに際し、
前記異常判断手段による判断結果に基づく前記メッセージにおける異常なデータの有無を示す異常有無情報を共に送信する手段と、
各通信装置からの要求を受信した場合に前記特定情報を送信する手段と
を備え、
前記通信装置は、メッセージを受信した場合、共に受信した前記異常有無情報により異常なデータが有ると示されているときは、前記中継装置へ前記特定情報の送信を要求する手段と
を備えること
を特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
複数の外部装置と通信線を介して接続され、各外部装置からデータを受信する手段と、受信したデータを記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出したデータを各外部装置へ送信する手段とを備えて、外部装置間のデータの送受信を中継するようにしてある中継装置であって、
受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、
該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、
前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータの内容が異常であるか否かを判断する手段と、
データが異常であると判断した場合、前記メッセージの送信を中止する手段と
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項5】
複数の外部装置と通信線を介して接続され、各外部装置からデータを受信する手段と、受信したデータを記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出したデータを各外部装置へ送信する手段とを備えて、外部装置間のデータの送受信を中継するようにしてある中継装置であって、
受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、
該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、
前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータの内容が異常であるか否かを判断する手段と、
データが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する手段と
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項6】
データを送受信する複数の通信装置に通信線を介して接続する中継装置が、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶手段に記憶し、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信することによってデータを中継する通信方法であって、
前記中継装置は、
各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成するに際し、
前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断し、
データが異常であると判断した場合、前記メッセージの送信を中止する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項7】
データを送受信する複数の通信装置に通信線を介して接続する中継装置が、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶手段に記憶し、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信することによってデータを中継する通信方法であって、
前記中継装置は、
各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成するに際し、
前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断し、
データが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項1】
データを送受信する複数の通信装置と、該通信装置に通信線を介して接続されており、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶する記憶手段を備え、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信するようにしてある中継装置とを含む通信システムであって、
前記中継装置は、
各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、
該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、
前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、
該異常判断手段によりデータが異常であると判断した場合、メッセージの送信を中止する手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
データを送受信する複数の通信装置と、該通信装置に通信線を介して接続されており、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶する記憶手段を備え、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信するようにしてある中継装置とを含む通信システムであって、
前記中継装置は、
各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、
該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、
前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、
該異常判断手段によりデータが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
前記中継装置は、メッセージを送信するに際し、
前記異常判断手段による判断結果に基づく前記メッセージにおける異常なデータの有無を示す異常有無情報を共に送信する手段と、
各通信装置からの要求を受信した場合に前記特定情報を送信する手段と
を備え、
前記通信装置は、メッセージを受信した場合、共に受信した前記異常有無情報により異常なデータが有ると示されているときは、前記中継装置へ前記特定情報の送信を要求する手段と
を備えること
を特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
複数の外部装置と通信線を介して接続され、各外部装置からデータを受信する手段と、受信したデータを記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出したデータを各外部装置へ送信する手段とを備えて、外部装置間のデータの送受信を中継するようにしてある中継装置であって、
受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、
該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、
前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータの内容が異常であるか否かを判断する手段と、
データが異常であると判断した場合、前記メッセージの送信を中止する手段と
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項5】
複数の外部装置と通信線を介して接続され、各外部装置からデータを受信する手段と、受信したデータを記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出したデータを各外部装置へ送信する手段とを備えて、外部装置間のデータの送受信を中継するようにしてある中継装置であって、
受信した複数のデータを含むメッセージを生成する生成手段と、
該生成手段により生成したメッセージを各通信装置へ送信する手段と、
前記生成手段によりメッセージを生成するに際し、前記メッセージに含めるデータの内容が異常であるか否かを判断する手段と、
データが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する手段と
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項6】
データを送受信する複数の通信装置に通信線を介して接続する中継装置が、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶手段に記憶し、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信することによってデータを中継する通信方法であって、
前記中継装置は、
各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成するに際し、
前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断し、
データが異常であると判断した場合、前記メッセージの送信を中止する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項7】
データを送受信する複数の通信装置に通信線を介して接続する中継装置が、各通信装置からデータを受信し、受信したデータを記憶手段に記憶し、該記憶手段から読み出したデータを各通信装置へ送信することによってデータを中継する通信方法であって、
前記中継装置は、
各通信装置から受信した複数のデータを含むメッセージを生成するに際し、
前記メッセージに含めるデータが異常であるか否かを判断し、
データが異常であると判断した場合、前記データが異常なデータであることを特定するための特定情報を送信する
ことを特徴とする通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−27270(P2009−27270A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186052(P2007−186052)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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