説明

通信システム、情報処理装置、通信制御方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】中継装置のような特別な装置を用いることなく、複数の通信端末に同一のデータを容易に転送すること。
【解決手段】通信端末100の情報処理部202が、入力部203から入力したデータを通信部Bを用いて通信端末110に送信するように制御し、また、通信端末110,120の情報処理部202が、通信部A200にて受信した他の通信端末からのデータを、前記データを受信した通信部A200とは異なる通信部B201から、前記データを受信した通信端末とは異なる通信端末に送信するように制御することにより、通信端末100の入力部203から入力したデータを通信端末110〜130にリレー転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報処理装置に同一のデータを配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、独立に個々の端末と赤外線通信を行い、それぞれの端末が送信したデータを他の端末へと転送する中継装置を用いたデータ通信技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願平10−209972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の方法は、中継装置を用意する必要があり、オフィス以外の環境で用いるには困難であった。
【0005】
例えば、空港のエアラインの事務所でマスタデータを管理し、そのエアラインが運営する航空機内で複数の端末に同一のデータを配信したい、また、実店舗でマスタデータを管理し、その店舗が運営している移動店舗などで複数の端末に同一のデータを配信したい、といったニーズがある。
【0006】
しかし、オフィス以外の環境では、上記特許文献1の中継装置のような特別な装置を用いることができないため、従来では、SDカードやUSBメモリ等を用いて、1台ずつ手作業で各端末にデータを入力していた。このため、端末の台数が多いときなど作業が非常に煩雑であった。
【0007】
そのため、オフィス以外の環境でも容易に実行可能なように、上記特許文献1の中継装置のような特別な装置を用いることなく、複数の通信端末に同一のデータを容易に配信可能な技術の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、複数の通信端末以外に中継装置のような特別な装置を用いることなく、複数の通信端末に同一のデータを容易に転送することができる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の通信手段を有する複数の情報処理装置がそれぞれ互いの通信手段同士で通信を行うことによりデータを前記複数の情報処理装置で順次リレー可能な通信システムであって、前記各情報処理装置は、データを入力する入力手段と、前記入力手段からデータが入力された場合には該入力したデータを前記通信手段を用いて他の情報処理装置に送信し、また、前記いずれかの通信手段にて他の情報処理装置からのデータを受信した場合には前記データを受信した通信手段とは異なる通信手段から前記データを受信した情報処理装置とは異なる他の情報処理装置に前記受信したデータを送信するように制御する制御手段と、を有し、前記いずれかの情報処理装置の入力手段から入力したデータを前記複数の情報処理装置の全てにリレー転送する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の情報処理装置以外に特別な装置を用いることなく、複数の情報処理装置に同一のデータを容易に転送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1を示す情報処理装置を用いた通信システム及びその通信制御の一例を示す図である。
【図2】実施例1の通信端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本実施例の端末における端末判断処理(端末が第一端末、第二端末、又は第三端末のいずれであるかを判断する処理)の流れを示したフローチャートである。
【図4】実施例1において第一端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。
【図5】実施例1において第二端末又は第三端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。
【図6】図1の通信端末100、110、120、130の表示部209に表示される通信結果の一例を示す図である。
【図7】実施例2において第一端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。
【図8】実施例2において第二端末又は第三端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施例3を示す情報処理装置を用いた通信システム及びその通信制御の一例を示す図である。
【図10】実施例3において第一端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1を示す情報処理装置を用いた通信システム及びその通信制御の一例を示す図である。
【0014】
図1において、100、110、120、130は、同一型の情報処理装置(以下、通信端末、又は、端末という)である。通信端末100、110、120、130は、端末の左右に一つずつ通信部(例えば、IrDA赤外線通信部)を有し、各通信端末の左側の通信部を通信部A、右側の通信部を通信部Bとする。そして、それぞれの通信端末の互いの通信部を該通信部の通信可能な距離内に近づけるように配置している。
【0015】
本実施例における各通信端末の配置は、各通信端末がそれぞれ互いの通信部同士で通信を行うことによりデータを前記複数の情報処理装置で順次リレー可能な配置であれば、どのような配置でもよい。例えば、図1(a)に示すように各通信端末が一直線上に配置されていても、図1(b),(c)に示すように各通信端末の位置がずれてジグザグに配置されていてもよい。勿論、本実施例における各通信端末の配置は、図1の配置に限定されるものではなく、曲線上に配置されていても、縦に配置されても、斜めに配置されていても、重ねて配置されていてもよい。なお、このような配置に端末を配置する場合、端末はユーザが手に持った状態であってもよい。以下、このような配置を、所定の配置という。
【0016】
なお、通信部A、通信部Bを設ける位置は通信端末の左側、右側に限定されるものではなく、複数の通信端末が所定の配置となった状態で、各通信端末がそれぞれ互いの通信部同士で通信を行うことによりデータを前記複数の通信端末で順次リレー可能な位置であればどのような位置でもよい。また、通信部A、通信部Bは、IrDA(Infrared Data Association)赤外線通信部、即ち、赤外線による光無線データ通信を行う通信部としているが、上述したように、複数の通信端末が所定の配置となった状態で各通信端末がそれぞれ互いの通信部同士で通信を行うことによりデータを前記複数の通信端末で順次リレー可能な通信方法であれば、どのような通信方法を用いる通信部あってもよい。有線通信部でもよい。
【0017】
以下、説明のために、100を第一端末、110、120を第二端末、130を第三端末という。また、各通信端末間で転送されるデータは2分割され、1つ目のデータをデータa、最終データをデータbとする。以下、各通信端末間で転送方法について簡単に説明する。
【0018】
まず、第一端末である通信端末100の右側の通信部Bよりデータaを送信し、第二端末である通信端末110の左側の通信部Aでデータaを受信する。
【0019】
次に、第二端末である通信端末110の右側の通信部Bより、同様のデータaを送信し、第二端末である通信端末120の左側の通信部Aで受信する。
【0020】
次に、第二端末である通信端末120の右側の通信部Bよりデータaを送信するのと同時に、第一端末である通信端末100からの右側の通信部Bよりデータbを送信し、データaを第三端末である通信端末130の左側の通信部A、データbを第二端末である通信端末110の左側の通信部Aでそれぞれ受信する。
【0021】
次に、第二端末である通信端末110の右側の通信部Bからデータbを送信し、第二端末である通信端末120の左側の通信部Aで受信する。次に、第二端末である通信端末120の右側の通信部Bからデータbを送信し、第三端末である通信端末130の左側の通信部Aで受信する。
【0022】
なお、第一端末である通信端末100、並びに第二端末である通信端末110及び120は、データbを送信完了した時点で、それぞれディスプレイにデータ通信完了の表示を行う。また、第三端末である通信端末130は、データbを受信完了した時点で、ディスプレイにデータ通信完了の表示を行う。
【0023】
以下、図2を参照して、図1に示した各通信端末の構成を説明する。
【0024】
図2は、実施例1の通信端末の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、本実施例の通信端末100、110、120、130、140(以下、単に通信端末)は、左部の通信部を通信部A200、右部の通信部を通信部B201とし、二つの通信部を持つことを特徴とする。
【0026】
なお、実施例1では、通信部A200、及び通信部B201は、赤外線通信を想定しているが、例えば製品のコストを下げるといった理由で、通信部に相当する赤外線の発光/受光素子は複数備えていても、送受信を制御するICチップは1つで、そのチップが制御対象とする発光/受光素子を切り替えて使うような機器構成となっている。このような構成の場合、ICチップが同時に制御できる発光/受光素子は1つのため、複数の通信部から同時にはデータの送受信が行えない。即ち、複数の通信部は、同時に通信不可能なものである。例えば、第二端末110がデータを送信している間は、その第二端末110に対して第一端末100がデータを送信しても受信されないことになるため、時間管理部205を設けて時間管理を行っている。
【0027】
入力部203は、全ての端末に送るべきデータが入力される部分であり、例えばUSBインタフェースやSDカードリーダ等であり、例えば、USBメモリやSDカードなどの着脱可能な記録媒体からデータを入力する。ユーザは、予めパーソナルコンピュータ(PC)に存在するデータを、USBメモリやSDカードなどの記録媒体にコピーし、その記録媒体を第一端末100に装着することにより、第一端末100の入力部203からデータを入力する。このような構成により、例えば、マスタデータを管理している場所と、端末が配置されている場所が異なり、かつ、端末が配置されている場所では端末同士の通信以外の通信インフラが使えない状況であっても、第一端末100にデータを入力して他の端末へデータを送信することができる。例えば、空港のエアラインの事務所でマスタデータを管理し、そのエアラインが運営する航空機内で第一端末100へデータ入力する場合や、実店舗でマスタデータを管理し、その店舗が運営している移動店舗などで第一端末100へデータを入力する場合にも適用可能である。なお、入力部203(USBインタフェース)を介して接続される外部装置(例えばPCやPDA)等からデータを入力する構成であってもよい。
【0028】
入力部203からデータが入力された場合、該入力されたデータは情報処理部202によりデータ分割部204へ送られる。
【0029】
データ分割部204は、情報処理部202より送られてきたデータを、等分もしくは指定サイズに分割する部分である。なお、データ量に応じて分割する数やサイズを変更することも可能である。図1では、説明を簡単にするために、2分割した場合について説明するが、3つ以上に分割する場合も本発明に含まれるものである。
【0030】
時間管理部205は、データaを送信した時間を計測し、該計測時間に基づく時間(実施例1では、計測時間の2倍の時間)を保存しておき、その時間が経過するごとに情報処理部202へ情報を送る部分である。送受信データ記憶部206は、送受信するためのデータを保存する。
【0031】
データ蓄積部207は、分割されたデータを保存する。データ統合部208は、受信したデータを統合する部分である。表示部209はディスプレイであり、情報処理部202により送られてきたデータの表示や、メッセージ、操作メニュー等の表示を行う。操作部211は、表示部209に表示される操作メニュー等を選択すること等により、端末を操作することができる。
【0032】
最終端末設定部210は、情報処理部202が内部のROM等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるアプリケーションの機能であり、操作部211の第三端末であることを示すボタンを押下することにより、その端末が第三端末であることを情報が最終端末設定部210に入力され保持される(設定される)。
【0033】
情報処理部202は、通信部A200、通信部B201、入力部203、データ分割部204、時間管理部205、送受信データ記憶部206、データ蓄積部207、データ統合部208、表示部209、最終端末設定部210、操作部211の制御を行う。
【0034】
以上のような構成の端末を操作して、図1で説明したような通信処理を行う。以下、具体的に説明する。
【0035】
例えば、PCからのマスタデータが格納されたUSBメモリなどが現場(航空機内等の端末を使用する現場)に持ち込まれた場合、作業者は、そのUSBメモリ内のデータを現場にある全ての端末にコピーする必要がある。そのコピーのために、作業者は、例えば図1に示したように、端末を並べ、操作部211から「データ通信」といったメニューを各端末上で実行する。その上で、第一端末(図1では端末100)にUSBメモリを装着するとともに、第三端末(図1では端末130)には第三端末であることを示すボタンを押す等の操作を操作部211で行う。上記の「データ通信」メニューが実行された端末では、図3に示す端末判断処理が開始される。
【0036】
図3は、本実施例の端末における端末判断処理(端末が第一端末、第二端末、又は第三端末のいずれであるかを判断する処理)の流れを示したフローチャートである。なお、このフローチャートの各ステップは、情報処理部202が内部のROM等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるものである。
【0037】
まず、情報処理部202は、最終端末設定部210に情報の入力があった(第三端末であることを示すボタンを押下されて最終端末である旨の設定がされた)か否かを判定する(S300)。
【0038】
そして、最終端末設定部210に情報が入力されたと判定した場合(S300でNo)、情報処理部202は、当該端末が第三端末であると判断し(S305)、本フローチャートの処理を終了する。なお、第三端末とは、n個の通信端末が直列に通信接続され、1番目の端末からn番目の端末へデータを順次転送する状態で、n番目の端末(図1の例では端末130)を示す。
【0039】
一方、最終端末設定部210に情報が設定されていないと判定した場合(S300でYes)、情報処理部202は、S301に処理を進める。
【0040】
S301では、情報処理部202は、入力部203にデータがあるか(入力部203に装着されている記録媒体に所定のデータが記憶されているか)確認する。なお、このデータは、固定ファイル名のデータであってもよいし、「データ通信」メニューが実行された際に指定されたファイル名のデータであってもよい。
【0041】
そして、入力部203にデータがあると判定した場合(S301でYes)、情報処理部202は、当該端末が第一端末と判断し(S302)、本フローチャートの処理を終了する。なお、第一端末とは、n個の通信端末が直列に通信接続され、1番目の端末からn番目の端末へデータを順次転送する状態で、1番目の端末(図1の例では端末100)を示す。
【0042】
一方、入力部203にデータがないと判定した場合(S301でNo)、情報処理部202は、通信部A200にデータが入ってきたかどうかを確認する(S303)。
【0043】
そして、通信部A200にデータが入ってきていないと判定した場合(S303でNo)、情報処理部202は、S301に処理を戻す。
【0044】
一方、通信部A200にデータが入ってきたと判定した場合(S303でYes)、情報処理部202は、当該端末が第二端末であると判断し(S304)、本フローチャートの処理を終了する。なお、第二端末とは、n個の通信端末が直列に通信接続されている状態で、2番目〜n−1番目の端末(図1の例では端末110〜120)を示す。
【0045】
また、上記S302,S304,S305の判断結果は、「データ通信」の実行が完了するまで、情報処理部202内の不図示の記憶装置に記憶しておくものとする。
【0046】
以下、実施例1における第一端末の処理について説明する。
【0047】
図4は、実施例1において第一端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。なお、このフローチャートの各ステップは、情報処理部202が内部のROM等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるものである。
【0048】
第一端末であると判断した場合、情報処理部202は、図4のフローチャートの処理を開始する。
【0049】
まず、情報処理部202は、入力部203にセットされた記録媒体内の所定のデータ(固定ファイル名のデータでも、「データ通信」メニューで指定されたファイル名のデータでもよい)をデータ分割部204へ送る(S400)。これにより、データ分割部204は、このデータを分割する。この際、データ分割部204は、データを等分、又は、「データ通信」メニュー等で指定された指定サイズに分割する。
【0050】
次に、情報処理部202は、データ分割部204より分割されたデータを、データ蓄積部207へ送る(S401)。これにより、データ蓄積部207は、分割されたデータを蓄積する。
【0051】
次に、情報処理部202は、データ蓄積部207に蓄積されている最初のデータを送受信データ記憶部206へ送る(S402)。これにより、送受信データ記憶部206は、このデータを記憶する。
【0052】
次に、情報処理部202は、通信部B201を用いて、送受信データ記憶部206に記憶されているデータを送信する(S403)。このとき、時間管理部205は、この送信時間(送信開始から送信完了までの時間)を測定し、該測定した送信時間に応じた時間(例えば、測定した送信時間+α)を保存する。そして時間管理部205は、更に前記保存した時間が経過した後に、通信許可情報を作成する。例えば、送信時間が60秒であった場合、時間管理部205は、該測定した60秒、又は送信時間のバラツキを考慮して60秒+α(例えばα=5秒)の時間を保存し、さらに60秒+αの時間が経過したら通信許可情報を作成する。
【0053】
そして、情報処理部202は、データの送信(上記S403)が完了すると、S404において、データ蓄積部207から次のデータを送受信データ記憶部206に上書きする。
【0054】
次に、情報処理部202は、時間管理部205が作成した通信許可情報を時間管理部205から受取るまで待機し、通信許可情報を時間管理部205から受取ると、通信許可情報受諾通知を時間管理部205に返す(S405)。
【0055】
次に、情報処理部202は、通信部B201を用いて、送受信データ記憶部206に記憶されているデータを送信する(S406)。なお、時間管理部205は、上記通信許可情報受諾通知を受取った時点から上記保存している時間(例えば、60秒+α)の2倍の時間が経過したら、次の通信許可情報を作成するものとする。
【0056】
そして、情報処理部202は、データの送信(上記S406)が完了すると、S407に処理を進める。
【0057】
S407では、情報処理部202は、送受信データ記憶部206に記憶されているデータ(即ち、上記S406で送信したデータ)が最終データであるか否かを判定する。
【0058】
そして、送受信データ記憶部206に記憶されているデータ(即ち、上記S406で送信したデータ)が最終データでないと判定した場合(S407でNo)、情報処理部202は、S404に処理を戻す。即ち、データ蓄積部207から次のデータを送受信データ記憶部206に上書きし(S404)、通信許可情報を受取り(S405)、通信部B201より送受信データ記憶部206にあるデータを送信する(S406)処理を繰り返す。なお、時間管理部205は、上記通信許可情報受諾通知を受取った時点から上記保存している時間(例えば、60秒+α)の2倍の時間が経過したら、次の通信許可情報を作成するものとする。
【0059】
即ち、情報処理部202は、各分割データを順次送信する場合、先の分割データの送信完了から次の分割データを送信するまでのインターバル(合間)を、少なくとも最初の分割データの送信時間(測定した時間)とするように制御する(送信インターバル制御)。図4のフローチャートでは、上記送信インターバル制御を実現する手順として、先の分割データの送信開始から、最初の分割データの送信時間(測定した時間)の2倍の時間が経過した後に、次の分割データを送信するといった手順を示している。しかし、上記送信インターバル制御を実現するものであれば、どのような手順であってもよい。例えば、先の分割データの送信完了から、最初の分割データの送信時間(測定した時間)の2倍の時間が経過した後に、次の分割データを送信するように制御するといった手順を用いてもよい。
【0060】
一方、送受信データ記憶部206に記憶されているデータ(即ち、上記S406で送信したデータ)が最終データであると判定した場合(S407でYes)、情報処理部202は、データ蓄積部207の全てのデータをデータ統合部208へ送る(S408)。これにより、データ統合部208は、全てのデータを統合する。
【0061】
その後、情報処理部202は、表示部209へ、通信が完了した旨の表示を行う表示命令を送る(S409)。これにより、表示部209は、通信が完了した旨の表示(例えば図6の表示600)を行う。
【0062】
以上の処理により、図1に示した端末100の動作を実現することができる。
【0063】
以下、実施例1における第二端末又は第三端末の処理について説明する。
【0064】
図5は、実施例1において第二端末又は第三端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。なお、このフローチャートの各ステップは、情報処理部202が内部のROM等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるものである。
【0065】
第二端末又は第三端末であると判断した場合、情報処理部202は、図5のフローチャートの処理を開始する。
【0066】
まず、情報処理部202は、通信部A200より受信されるデータを送受信データ記憶部206に上書き保存する(S500)。
【0067】
次に、情報処理部202は、上記S500で送受信データ記憶部206に保存したデータをデータ蓄積部207へ送る(S501)。これにより、データ蓄積部207は、このデータを蓄積する。
【0068】
次に、情報処理部202は、当該端末が第二端末であるか否かを判定する(S502)。
【0069】
そして、当該端末が第二端末であると判定した場合(S502でYes)、情報処理部202は、送受信データ記憶部206に保存されているデータを、通信部B201より送信し(S503)、S504に処理を進める。
【0070】
一方、当該端末が第二端末でない(第三端末である)と判定した場合(S502でNo)、情報処理部202は、そのままS504に処理を進める。
【0071】
次に、情報処理部202は、送受信データ記憶部206にあるデータ(即ち、通信部A200より受信したデータ)が最終データであるか否かを判定する。なお、最終データの判断方法の例(例1)〜(例3)を以下に示す。
【0072】
(例1)第一端末が分割した各データにヘッダを付加し、該ヘッダに、例えば4分割されたデータのうちの2番目であることを示す「2/4」といった情報を入れておき、第二端末、第三端末がこのヘッダを見て最終データかどうか判断する方法。
【0073】
(例2)第一端末が最初のデータにだけヘッダを付加し、そこに送信しようとしているデータの総サイズ(又は分割数)を書き込んでおき、第二端末、第三端末がそのサイズ分のデータ(又はその分割数分のデータ)を受信したら最終データと判断する方法。
【0074】
(例3)第一端末がデータ蓄積部207でデータを固定サイズに分割するようにし、第二端末、第三端末がそのサイズよりも小さいデータを受信したら、そのデータが最終データであると判断する方法。なお、最後のデータも固定サイズと同じとなる場合は、受信側である第二端末、第三端末で無視される特別なデータを第一端末で付加することによりデータサイズを調整するようにする。即ち、S501において、送受信データ記憶部206に記憶されているデータが、上記特別なデータの場合には、そのデータはデータ蓄積部207に送らないようにする。
【0075】
なお、最終データの判別方法は、上記(例1)〜(例3)に限定されるものではなく、他の方法を用いてもよい。
【0076】
そして、送受信データ記憶部206にあるデータ(即ち、通信部A200より受信したデータ)が最終データでないと判定した場合(S504でNo)、情報処理部202は、S500に処理を戻す。即ち、通信部A200より新たに受信されるデータを送受信データ記憶部に上書きし(S500)、送受信データ記憶部206のデータが最終データであるかどうか判断する過程(S504)までを繰り返す。
【0077】
一方、送受信データ記憶部206にあるデータ(即ち、通信部A200より受信したデータ)が最終データであると判定した場合(S504でYes)、情報処理部202は、データ蓄積部207に蓄積されている全てのデータをデータ統合部208へ送る(S505)。これにより、データ統合部208は、全てのデータを統合する。
【0078】
その後、情報処理部202は、表示部209へ、通信が完了した旨の表示を行う表示命令を送る(S506)。これにより、表示部209は、通信が完了した旨の表示(例えば図6の表示600)を行う。
【0079】
図6は、図1の通信端末100、110、120、130の表示部209に表示される通信結果の一例を示す図である。
【0080】
以上、図4〜図6に示したように、通信端末の情報処理部202は、入力部203からデータが入力された場合には、該入力したデータを分割した分割データを順次、通信部B201を用いて他の通信端末に送信するように制御する。なお、最初に送信した分割データの送信時間を計測し、先の分割データを送信完了してから次の分割データを送信するまでのインターバルを、少なくとも最初の分割データの送信時間(計測時間)とするように制御する。
【0081】
また、通信端末の情報処理部202は、通信部A200にて他の通信端末からのデータを受信した場合には、前記データを受信した通信部A200とは異なる通信部B201から前記データを受信した通信端末とは異なる他の通信端末に前記受信したデータを送信するように制御する。
【0082】
このような構成の複数の通信端末を所定の配置に保ち、一端(図1では左端)の通信端末の入力部からデータを入力することにより、各通信端末に同一のデータをリレー転送することができる。その際、個々の端末がデータの受け取り待ちをする時間を短縮し、全ての端末にデータを送信するまでの通信時間を短縮が可能である通信システムである。従って、アップデートなど、複数の同一仕様の通信端末に同一のデータを送信する場合などに好適である。また、特別なハードウェアを用意する必要もないため、オフィス以外の場所でも実行可能である。
【0083】
例えば、飛行機内のような電波の利用に制限がある場合の利用においても、IrDA赤外線通信部を用いて、複数の通信端末へのデータの配信について、通信時間の短縮、ユーザの手間を省くことが可能となる。
【0084】
なお、本実施例では、図1のように配置した場合、左端の端末からデータを入力して右の端末にデータを送信する構成を示した。しかし、右端の端末からデータを入力して左の端末にデータを送信する構成でもよい。
【実施例2】
【0085】
上記実施例1では、複数の通信端末を所定の配置に保ち、一端となる第一端末において分割したデータを順次、もう一端の方向にリレー転送することにより、複数の端末に同一データを配信する構成について説明した。実施例2では、一端となる第一端末から入力されたデータをそのまま(実施例1のような分割は行わず)もう一端の方向にリレー転送することにより、複数の端末に同一データを配信する構成について説明する。なお、実施例1と異なる構成・動作のみ説明をし、共通の構成・動作については説明を省略する。
【0086】
なお、実施例2の通信端末は、実施例1とは異なり、通信部A200の送受信を制御するICチップと、通信部B201の送受信を制御するICチップをそれぞれ備えた構成となっている。そのため、実施例2の通信端末は、通信部A200と通信部B201から同時にデータの送受信を行うことができる。即ち、通信部A200(通信部B201)でデータを受信している間も、通信部B201(通信部A200)からデータを送信することができる。
【0087】
実施例2の通信端末では、情報処理部202は、通信部A200と通信部B201を同時に有効にして、どちらがデータを受信したかを判定し、そのデータを受信していない通信部から他の端末に送信するように制御する。このため、実施例2では、複数の通信端末を配置する際、端末の向き(天地)の制約を受けないという効果を奏する。
【0088】
なお、実施例2の通信端末は、データ分割部204、時間管理部205、データ統合部208、最終端末設定部210を備えていなくてもよい。
【0089】
以下、実施例2における第一端末の処理について説明する。
【0090】
図7は、実施例2において第一端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。なお、このフローチャートの各ステップは、情報処理部202が内部のROM等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるものである。
【0091】
実施例2において、第一端末であると判断した場合、情報処理部202は、図7のフローチャートの処理を開始する。
【0092】
まず、情報処理部202は、入力部203に装着されている記録媒体からデータを入力し(S700)、該入力したデータを、送受信データ記憶部206へ送り、通信部B201より、他の端末(第二端末)へデータを送信する(S701)。
【0093】
次に、情報処理部202は、上記S701で行ったデータの送信が所定時間内に完了したか否かを判定する(S701)。
【0094】
そして、上記S701で行ったデータの送信が所定時間内に完了したと判定した場合(S702でYes)、情報処理部202は、S703において、表示部209へデータ通信完了の表示命令を送信する。これにより、表示部209は、データ通信完了の表示(例えば、図6の表示600)を行う。
【0095】
一方、上記S701で行ったデータの送信が所定時間内に完了しなかったと判定した場合(S702でNo)、情報処理部202は、S704に処理を進める。この場合、第一端末と他の端末(第二端末)との間に障害物がある、通信部同士が正しく向き合っていない等の原因が考えられる。そこで、情報処理部202は、S704において、表示部209へデータ通信エラーの表示命令を送信する。これにより、表示部209は、「通信エラーです」等の通信エラーとなった旨の表示を行う。
【0096】
なお、消費電力を考慮して、正常に通信が完了した場合、情報処理部202は、表示命令を送信せず、端末の電源をOFFにするように制御する構成でもよい。
【0097】
以下、実施例2における第二端末又は第三端末の処理について説明する。
【0098】
図8は、実施例2において第二端末又は第三端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。なお、このフローチャートの各ステップは、情報処理部202が内部のROM等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるものである。
【0099】
第二端末又は第三端末であると判断した場合、情報処理部202は、図8のフローチャートの処理を開始する。
【0100】
まず、情報処理部202は、通信部A200又は通信部B201よりデータを受信すると(S800でYes)、受信したデータを送受信データ記憶部206に上書き保存する。
【0101】
次に、情報処理部202は、上記S800のデータ受信は通信部A200からの受信か否かを判定する(S801)。
【0102】
そして、上記S800のデータ受信は通信部A200からの受信と判定した場合(S801でYes)、情報処理部202は、送受信データ記憶部206に記憶されているデータを、通信部B201から他の端末へ送信する(S802)。
【0103】
一方、上記S800のデータ受信は通信部A200からの受信ではない(通信部B201からの受信である)と判定した場合(S801でNo)、情報処理部202は、送受信データ記憶部206に記憶されているデータを、通信部A200から他の端末へ送信する(S803)。
【0104】
なお、上記S802又はS803のデータ送信は、上記S800のデータ受信が完了する前に開始することができる。
【0105】
次に、情報処理部202は、上記S802又はS803で行ったデータ送信が所定時間(データ量に応じて決定される時間)内に完了したか否かを判定する(S804)。
【0106】
そして、データ送信が所定時間内に完了したと判定した場合(S804でYes)、情報処理部202は、S805において、表示部209へデータ通信完了の表示命令を送信する。これにより、表示部209は、データ通信完了の表示(例えば、図6の表示600)を行う。
【0107】
一方、データ送信が所定時間内に完了していないと判定した場合(S804でNo)、情報処理部202は、S806に処理を進める。この場合、第二端末と他の端末(他の第二端末又は第三端末)との間に障害物がある、通信部同士が正しく向き合っていない等の原因が考えられる。そこで、情報処理部202は、S806において、表示部209へデータ通信エラー又は最終端末である旨の表示命令を送信する。これにより、表示部209は、「通信エラー、もしくは、最終端末です」等の通信エラーとなった旨又は最終端末である旨の表示を行う。
【0108】
なお、消費電力を考慮して、正常に通信が完了した場合、情報処理部202は、表示命令を送信せず、端末の電源をOFFにするように制御する構成でもよい。
【0109】
また、実施例2の通信端末に最終端末設定部210を設け、情報処理部202が、S800とS801の間に、最終端末であるか否かの判定を行い、最終端末であると判定した場合、S801以降の処理は実行せず、表示部209へデータ通信完了の表示命令を送信し、表示部209により、データ通信完了の表示(例えば、図6の表示600)を行って、本フローチャートの処理を終了するようにしてもよい。
【0110】
以上、図7、図8に示したように、通信端末の情報処理部202は、入力部203からデータが入力された場合には該入力したデータをそのまま(実施例1のような分割は行わず)通信部B201を用いて他の情報処理装置に送信するように制御する。
【0111】
また、通信端末の情報処理部202は、通信部A200にて他の情報処理装置からのデータを受信した場合には前記データを受信した通信部A200とは異なる通信部B201から前記データを受信した情報処理装置とは異なる他の情報処理装置に前記受信したデータを送信するように制御する。
【0112】
このような構成の複数の通信端末を所定の配置に保ち、一端の通信端末の入力部からデータを入力することにより、各通信端末に同一のデータをリレー転送することができる。従って、アップデートなど、複数の同一仕様の通信端末に同一のデータを送信する場合などに好適である。また、特別なハードウェアを用意する必要もない。
【0113】
また、通信部における送信・受信を固定しないため、例えば、左側にある通信端末から右側にある通信端末へのデータ配信、右側から左側への通信端末へのデータ配信のように、ユーザの利用環境や好みにあわせた選択が可能となる。
【0114】
また、通信部における送信・受信を固定しないため、複数の通信端末全てが同一方向に配置されていない(例えば、いずれかの通信端末が上下逆に配置されている)場合でもデータ配信が可能になり、ユーザの利便性がよい。
【0115】
以下、実施例2の変形例を説明する。
【0116】
上述した実施例2では、所定の配置に並べた端末群のうち、一端の端末からデータを入力してもう一端の方向の端末にデータを送信する構成を示した。しかし、端に配置されていない端末(例えば、中央付近に配置された端末)からデータを入力して、該データ入力した端末から両端方向の端末に、同時に、データを送信するように構成してもよい。
【0117】
例えば、図1の110を第一の端末として、図7のS701において、第一の端末の情報処理部202は、通信部A200及び通信部B201を用いて、通信部A200、通信部B201を介して通信可能な複数の端末(第二端末)へデータを同時に送信するように構成してもよい。なお、ここでは、通信部A200及び通信部B201を用いたデータの送信は、同時に開始するものとしたが、タイミングをずらして開始してもよい。
【0118】
よって、このような構成の複数の通信端末を所定の配置に保ち、いずれか端でない通信端末の入力部からデータを入力することにより、各通信端末に同一のデータを転送することができる。その際、個々の通信端末が受信待ちを行う時間が短くなり、通信時間の短縮が可能となる。もちろん、特別なハードウェアを用意する必要もないため、オフィス以外の場所でも実行可能である。
【0119】
なお、通信端末が通信部を3つ以上有する構成では、入力部からデータを入力する第一端末を中心に放射状に(スター型に)端末を配置し、入力部からデータを入力された第一端末が、3つ以上の通信部同時に用いて、該3つ以上の通信部を介して連なる3つ以上の通信端末にデータを同時送信する、即ち、第一端末を中心に放射状に(スター型に)データを同時送信するように構成してもよい。
【実施例3】
【0120】
実施例3として、実施例1の変形例を示す。
上記実施例1では、図1に示したように配置した端末群のうち、一端に配置された端末からデータを入力してもう一端方向の(片隣の)端末にデータを送信する構成を示した。実施例3では、端に配置されていない端末(例えば、中央付近に配置された端末)からデータを入力して、該データ入力した端末が2つの通信部を交互に用いて、両端方向の(両隣の)2つの端末にデータを送信するように構成する。
【0121】
図9は、本発明の実施例3を示す情報処理装置を用いた通信システム及びその通信制御の一例を示す図である。なお、図1と同一のものには同一の符号を付してある。
【0122】
図9において、140、150は、通信端末100、110、120、130と同一型の通信端末である。なお、図9に示した通信端末100、110、120、130、140、150は、図1(b),(c)に示したように、ジグザグに配置されていても、曲線上に配置されていても、縦に配置されても、斜めに配置されていてもよい。
【0123】
なお、こでは、説明のために、100を第一端末、110、120、140を第二端末、130、150を第三端末という。また、各通信端末間で転送されるデータは2分割され、1つ目のデータをデータa、最終データをデータbとする。以下、各通信端末間で転送方法について簡単に説明する。
【0124】
まず、第一端末である通信端末100の通信部Bよりデータaを送信し、第二端末である通信端末110の通信部Aでデータaを受信する。
【0125】
次に、第二端末である通信端末110の通信部Bよりデータaを送信するのと同時に、第一端末である通信端末100からの通信部Aよりデータaを送信する。そして、データaを第二端末である通信端末120の通信部A、第二端末である通信端末140の通信部Aでそれぞれ受信する。
【0126】
次に、第二端末である通信端末120の通信部Bよりデータaを送信するのと同時に、第二端末である通信端末140の通信部Bよりデータaを送信し、第一端末である通信端末100からの通信部Bよりデータbを送信する。そして、データaを第三端末である通信端末130の通信部A、第三端末である通信端末150の通信部Aでそれぞれ受信し、データbを第二端末である通信端末110の通信部Aで受信する。
【0127】
次に、第二端末である通信端末110の通信部Bよりデータbを送信するのと同時に、第一端末である通信端末100からの通信部Aよりデータbを送信する。そして、データbを第二端末である通信端末120の通信部A、第二端末である通信端末140の通信部Aでそれぞれ受信する。
【0128】
次に、第二端末である通信端末120の通信部Bよりデータbを送信するのと同時に、第二端末である通信端末140の通信部Bよりデータbを送信する。そして、データbを第三端末である通信端末130の通信部A、第三端末である通信端末150の通信部Aでそれぞれ受信する。
【0129】
なお、第一端末である通信端末100、並びに第二端末である通信端末110、120、140は、データbを送信完了した時点で、それぞれディスプレイにデータ通信完了の表示を行う。また、第三端末である通信端末130、150は、データbを受信完了した時点で、ディスプレイにデータ通信完了の表示を行う。
【0130】
実施例3では、端末判断処理(端末が第一端末、第二端末、又は第三端末のいずれであるかを判断する処理)は、実施例1の図3と同様とする。また、第二端末又は第三端末の処理についても、実施例1の図5と同様とする。
【0131】
なお、実施例3の通信端末は、時間管理部205を備えていなくてもよい。
【0132】
以下、実施例3における第一端末の処理について説明する。
【0133】
図10は、実施例3において第一端末と判断した場合の情報処理部202の制御の流れを示したフローチャートである。なお、このフローチャートの各ステップは、情報処理部202が内部のROM等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるものである。
【0134】
第一端末であると判断した場合、情報処理部202は、図10のフローチャートの処理を開始する。
【0135】
まず、情報処理部202は、入力部203にセットされた記録媒体内の所定のデータ(固定ファイル名のデータでも、「データ通信」メニューで指定されたファイル名のデータでもよい)をデータ分割部204へ送る(S1000)。これにより、データ分割部204は、このデータを分割する(等分もしくは指定サイズに分割)。
【0136】
次に、情報処理部202は、データ分割部204より分割されたデータを、データ蓄積部207へ送る(S1001)。これにより、データ蓄積部207は、分割されたデータを蓄積する。
【0137】
次に、情報処理部202は、データ蓄積部207に蓄積されている最初のデータを送受信データ記憶部206へ送る(S1002)。これにより、送受信データ記憶部206は、このデータを記憶する。
【0138】
次に、情報処理部202は、通信部B201を用いて、送受信データ記憶部206に記憶されているデータを送信する(S1003)。
【0139】
上記S1003の送信が完了すると、情報処理部202は、通信部A200を用いて、送受信データ記憶部206に記憶されているデータを送信する(S1004)。
【0140】
そして、情報処理部202は、データの送信(上記S1004)が完了すると、S1005に処理を進める。
【0141】
S1005では、情報処理部202は、データ蓄積部207から次のデータを送受信データ記憶部206に上書きする。
【0142】
次に、情報処理部202は、通信部B201を用いて、送受信データ記憶部206に記憶されているデータを送信する(S1006)。
【0143】
上記S1006の送信が完了すると、情報処理部202は、通信部A200を用いて、送受信データ記憶部206に記憶されているデータを送信する(S1007)。
【0144】
そして、情報処理部202は、データの送信(上記S1007)が完了すると、S1008に処理を進める。
【0145】
S1008では、情報処理部202は、送受信データ記憶部206に記憶されているデータ(即ち、上記S1007で送信したデータ)が最終データであるか否かを判定する。
【0146】
そして、送受信データ記憶部206に記憶されているデータ(即ち、上記S1007で送信したデータ)が最終データでないと判定した場合(S1008でNo)、情報処理部202は、S1005に処理を戻す。即ち、データ蓄積部207から次のデータを送受信データ記憶部206に上書きし(S1005)、通信部B201より送受信データ記憶部206にあるデータを送信する(S1006)、通信部A200より送受信データ記憶部206にあるデータを送信する(S1007)処理を繰り返す。
【0147】
一方、送受信データ記憶部206に記憶されているデータ(即ち、上記S1007で送信したデータ)が最終データであると判定した場合(S1008でYes)、情報処理部202は、データ蓄積部207の全てのデータをデータ統合部208へ送る(S1009)。これにより、データ統合部208は、全てのデータを統合する。
【0148】
その後、情報処理部202は、表示部209へ、通信が完了した旨の表示を行う表示命令を送る(S1010)。これにより、表示部209は、通信が完了した旨の表示(例えば図6の表示600)を行う。
【0149】
以上、図9、図10に示したように、通信端末の情報処理部202は、入力部203からデータが入力された場合には、該入力したデータを分割した分割データを、通信部A200及び通信部B201を交互に用いて、通信部A200、通信部B201を介して通信可能な2つの端末(図9では両隣の端末110、140)に送信する(同一のデータを送信する)ように制御する。また、通信端末の情報処理部202は、通信部A200又は通信部B201にて他の情報処理装置からのデータを受信した場合には、前記データを受信した通信部とは異なる通信部から前記データを受信した情報処理装置とは異なる他の情報処理装置に前記受信したデータを送信するように制御する。
【0150】
このような構成の通信端末を図9に示したように複数台並べ中心となる通信端末(図9では端末100)の入力部からデータを入力することにより、各通信端末に同一のデータを転送することができる。その際、個々の通信端末が受信待ちを行う時間がより短くなり、通信時間の短縮が可能となり、特別なハードウェアを用意する必要もない。
【0151】
以上、各実施例で示したように、本発明によれば、本発明の複数の通信端末以外に特別な装置を用いることなく、複数の通信端末に同一のデータを容易に転送することができる。
【0152】
例えば、空港のエアラインの事務所でマスタデータを管理し、そのエアラインが運営する航空機内で複数の端末に同一のデータを配信したい、また、実店舗でマスタデータを管理し、その店舗が運営している移動店舗などで複数の端末に同一のデータを配信したい、といった場合でも、容易に、同一のデータを複数の端末に配信することができる。
【0153】
なお、通信端末が通信部を3つ以上有する構成では、入力部からデータを入力する第一端末を中心に放射状に(スター型に)端末を配置し、入力部からデータを入力された第一端末が、3つ以上の通信部を輪番に用いて、該3つ以上の通信部を介して連なる3つ以上の通信端末にデータを送信する、即ち、第一端末を中心に放射状に(スター型に)データを送信するように構成してもよい。
【0154】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0155】
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0156】
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0157】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0158】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0159】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0160】
100 情報端末
110 情報端末
120 情報端末
200 通信部A
201 通信部B
202 情報処理部
203 入力部
204 データ分割部
205 時間管理部
206 送受信データ記憶部
207 データ蓄積部
208 データ統合部
209 表示部
210 最終端末設定部
211 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信手段を有する複数の情報処理装置がそれぞれ互いの通信手段同士で通信を行うことによりデータを前記複数の情報処理装置で順次リレー可能な通信システムであって、
前記各情報処理装置は、
データを入力する入力手段と、
前記入力手段からデータが入力された場合には該入力したデータを前記通信手段を用いて他の情報処理装置に送信し、また、前記いずれかの通信手段にて他の情報処理装置からのデータを受信した場合には前記データを受信した通信手段とは異なる通信手段から前記データを受信した情報処理装置とは異なる他の情報処理装置に前記受信したデータを送信するように制御する制御手段と、を有し、
前記いずれかの情報処理装置の入力手段から入力したデータを前記複数の情報処理装置の全てにリレー転送する、ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
複数の通信手段を有する複数の情報処理装置がそれぞれ互いの通信手段同士で通信を行うことにより1つに連なってデータを前記複数の情報処理装置で順次引き渡しながら通信可能な通信システムで用いられる情報処理装置であって、
データを入力する入力手段と、
前記入力手段からデータが入力された場合には該入力したデータを前記通信手段を用いて他の情報処理装置に送信し、また、前記いずれかの通信手段にて他の情報処理装置からのデータを受信した場合には前記データを受信した通信手段とは異なる通信手段から前記データを受信した情報処理装置とは異なる他の情報処理装置に前記受信したデータを送信するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記入力手段からデータが入力された場合には、該入力したデータを前記いずれかの通信手段から他の情報処理装置に送信する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記入力手段からデータが入力された場合には、該入力したデータを、前記複数の通信手段を用いて、前記他の複数の情報処理装置にそれぞれ送信するように制御する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記入力手段から入力したデータを複数の分割データに分割する分割手段と、
前記いずれかの通信手段で受信する前記各分割データを1のデータに統合する統合手段と、
前記分割手段で分割された複数の分割データのうち、前記通信手段により最初に送信される分割データの送信時間を計測する計測手段と、を有し、
前記複数の通信手段は、同時に通信不可能なものであり、
前記制御手段は、前記入力手段からデータが入力された場合には、前記分割手段により分割された各分割データを、前記いずれかの通信手段を用いて、他の情報処理装置に送信するように制御するものであり、前記各分割データを送信する場合のインターバルを、少なくとも前記計測手段で計測された計測時間とするように制御する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記入力手段から入力したデータを複数の分割データに分割する分割手段と、
前記いずれかの通信手段で受信する前記各分割データを1のデータに統合する統合手段と、を有し、
前記複数の通信手段は、同時に通信不可能なものであり、
前記制御手段は、前記入力手段からデータが入力された場合には、前記分割手段により分割された各分割データを、前記複数の通信手段を輪番に用いて、前記他の複数の情報処理装置にそれぞれ送信するように制御する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記分割手段は、データを等分又は指定サイズに分割する、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記入力手段からデータが入力された場合には前記各分割データの全ての送信が完了した場合に、また、前記いずれかの通信手段にて前記分割データを受信した場合には前記各分割データの全ての送信が完了した場合に、データの送信が完了した旨の表示を行う表示手段を、を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
当該情報処理装置が、前記リレーの最終の情報処理装置である旨を設定する設定手段と、
前記制御手段は、前記設定手段により前記最終の情報処理装置である旨の設定がなされている場合には、前記いずれかの通信手段にて他の情報処理装置からのデータを受信した場合であっても、前記受信したデータの送信を行わないように制御する、
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記複数の通信手段は、赤外線を用いてデータ通信を行う、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
複数の通信手段を有する複数の情報処理装置がそれぞれ互いの通信手段同士で通信を行うことによりデータを前記複数の情報処理装置で順次リレー可能な通信システムにおける通信制御方法であって、
前記いずれかの情報処理装置の制御手段が、前記入力手段から入力したデータを前記通信手段を用いて他の情報処理装置に送信するステップと、
前記いずれかの情報処理装置以外の情報処理装置の前記制御手段が、前記いずれかの通信手段にて受信した他の情報処理装置からのデータを、前記データを受信した通信手段とは異なる通信手段から、前記データを受信した情報処理装置とは異なる情報処理装置に、送信するステップと、を有し、
前記いずれかの情報処理装置の入力手段から入力したデータを前記複数の情報処理装置の全てにリレー転送する、ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項12】
複数の通信手段を有する複数の情報処理装置がそれぞれ互いの通信手段同士で通信を行うことにより1つに連なってデータを前記複数の情報処理装置で順次引き渡しながら通信可能な通信システムで用いられる情報処理装置における通信制御方法であって、
制御手段が、前記入力手段からデータが入力された場合に、該入力したデータを、前記通信手段を用いて、他の情報処理装置に送信するステップと、
前記制御手段が、前記いずれかの通信手段にて他の情報処理装置からのデータを受信した場合に、前記データを受信した通信手段とは異なる通信手段から、前記データを受信した情報処理装置とは異なる他の情報処理装置に、前記受信したデータを送信するステップと、
を有することを特徴とする通信制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項2乃至10のいずれか1項に記載された情報処理装置の手段として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、請求項2乃至10のいずれか1項に記載された情報処理装置の手段として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−257133(P2012−257133A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129760(P2011−129760)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】