通信システム、移動局装置、基地局装置、ランダムアクセス処理方法及び集積回路
【課題】タイミングの異なるセルで効率的にランダムアクセス手順を処理可能な通信システム、移動局装置、基地局装置、ランダムアクセス処理方法及び集積回路を提供する。
【解決手段】移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替える。
【解決手段】移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、移動局装置、基地局装置、ランダムアクセス処理方法及び集積回路に関し、特に、移動局装置が複数のセルを用いて基地局装置と無線接続している場合のランダムアクセス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)通信方式やリソースブロックと呼ばれる所定の周波数・時間単位の柔軟なスケジューリングの採用によって、高速な通信を実現させたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以降EUTRAと称する)が検討され、更にその発展形であるAdvanced EUTRA(LTE-Advancedとも称される)の検討が進められている。
【0003】
Advanced EUTRAでは、EUTRAとの互換性を維持しつつ、より高速なデータ伝送が可能な技術として、キャリア・アグリゲーション(Carrier Aggregation)が提案されている。キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域(キャリア周波数、コンポーネントキャリア(Component Carrier)とも称する)で送信された送信装置のデータを、異なる周波数帯域に対応する受信装置においてそれぞれ受信することで、データレートを向上させる技術である。なお、以後は下りリンク送信における受信装置のことを移動局装置、送信装置のことを基地局装置と記載し、上りリンク送信における受信装置のことを基地局装置、上りリンク送信における送信装置のことを移動局装置と記載するが、本発明の適用範囲はこれらの装置に限定する必要は無い。
【0004】
Advanced EUTRAのキャリア・アグリゲーションで用いられるコンポーネントキャリアは、プライマリコンポーネントキャリア(PCC: Primary Component Carrier)とセカンダリコンポーネントキャリア(SCC: Secondary Component Carrier)とに区別され、移動局装置が下りリンクのPCCで接続するセルをプライマリセル(PCell: Primary Cell)、下りリンクのSCCで接続するセルをセカンダリセル(SCell: Secondary Cell)と呼ぶ。プライマリセルには上りリンクコンポーネントキャリアが必ず含まれるが、セカンダリセルには含まれない場合がある。
【0005】
また、EUTRAの移動局装置は、基地局装置への初期接続時や、ハンドオーバー時、上りリンクの同期が外れている状態で上りリンクデータ送信あるいは下りリンクデータ受信を行なう必要がある時に、ランダムアクセス手順と呼ばれる上りリンクの送信タイミング調整(上りリンクの同期確立)のための処理を行う。このランダムアクセス手順は、現状のAdvanced EUTRAでは、プライマリセルのみで行うことが規定されている。(非特許文献1)
【0006】
なお、3GPPが規定する第3世代の基地局装置はノードB(NodeB)と称され、EUTRA及びAdvanced EUTRAにおける基地局装置はイーノードB(eNodeB)と称される。基地局装置は移動局装置が通信可能なエリアであるセルを管理し、セルは移動局装置と通信可能なエリアの大きさに応じてフェムトセルやピコセル、ナノセルとも称される。また、移動局装置がある基地局装置と通信可能であるとき、その基地局装置のセルは移動局装置の在圏セルであり、その他の基地局装置、または異なる周波数のセルは周辺セルと称される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】TS36.321v10.1.0 5.1.1,(http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/36321.htm)
【非特許文献2】TS36.300v10.3.0 10.1.5,(http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/36300.htm)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、現状のAdvanced EUTRAでは、ランダムアクセス手順はプライマリセルでのみ処理されるが、今後、プライマリセルと一部のセカンダリセルとで異なるタイミングでの送受信が必要となる場合などが想定される。この場合、プライマリセルでのランダムアクセス手順だけではセカンダリセルの上りリンクを同期することができない。
【0009】
上記の課題を鑑みて、本発明は、タイミングの異なるセルで効率的にランダムアクセス手順を処理することができる通信システム、移動局装置、基地局装置、ランダムアクセス処理方法及び集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本願の通信システムは、基地局装置と移動局装置とが、異なる複数の周波数帯域のセルを集約して通信を行なう通信システムであって、前記基地局装置は、下りリンク制御チャネルを用いて前記移動局装置にランダムアクセス手順の実行を指示し、前記移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えることを特徴とする。
【0011】
(2)また、本願の通信システムにおいて、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止することを特徴とする。
【0012】
(3)また、本願の通信システムにおいて、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信することを特徴とする。
【0013】
(4)また、本願の移動局装置は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置であって、前記移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行するランダムアクセス処理部を有することを特徴とする。
【0014】
(5)また、本願の移動局装置において、前記第1のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止することを特徴とする。
【0015】
(6)また、本願の移動局装置において、前記第1のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信することを特徴とする。
【0016】
(7)また、本願の基地局装置は、移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置と前記複数セルを介して通信を行なう基地局装置であって、前記基地局装置は、下りリンク制御チャネルを用いて前記移動局装置にランダムアクセス手順の実行を指示する際に、前記移動局装置に割り当てたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれる場合にのみ、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアの識別子を前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域に設定することを特徴とする。
【0017】
(8)また、本願のランダムアクセス処理方法は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置のランダムアクセス処理方法であって、前記移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行するステップを備えることを特徴とする。
【0018】
(9)また、本願のランダムアクセス処理方法において、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止することを特徴とする。
【0019】
(10)また、本願のランダムアクセス処理方法において、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信することを特徴とする。
【0020】
(11)また、本願の集積回路は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置の集積回路であって、前記集積回路は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行する機能を備えることを特徴とする。
【0021】
(12)また、本願の集積回路において、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止することを特徴とする。
【0022】
(13)また、本願の集積回路において、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、タイミングの異なるセルで効率的にランダムアクセス手順を処理可能な通信システム、移動局装置、基地局装置、ランダムアクセス処理方法及び集積回路を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る移動局装置1の一例を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局装置2の一例を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1において移動局装置1がランダムアクセス手順を選択するフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1における第2のランダムアクセス手順について説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態1の第2のランダムアクセス手順におけるコンポーネントキャリアを選択するフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態2における第2のランダムアクセス手順について説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態2の第2のランダムアクセス手順におけるコンポーネントキャリアを選択するフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る移動局装置1に対するコンポーネントキャリアの設定の一例を示した図である。
【図10】従来のAdvanced−EUTRAにおける非競合ベースランダムアクセス手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関する物理チャネルとキャリア・アグリゲーション、ランダムアクセス手順について説明する。
【0026】
(1)物理チャネル
EUTRA及びAdvanced EUTRAで使用される物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。物理チャネルは、基地局装置から移動局装置へ送信される下りリンクにおける下りリンクチャネルと、移動局装置から基地局装置へ送信される上りリンクにおける上りリンクチャネルとが存在する。物理チャネルは、EUTRA、及びAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
【0027】
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(セルID:Physical Cell Identity; PCI)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルのセルIDを特定する。
【0028】
物理報知情報チャネル(PBCH; Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、下りリンク共用チャネルを用いてレイヤ3メッセージで送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI; Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI; Tracking Area Identifier)などが通知される。
【0029】
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号である。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される下りリンク制御チャネル、または下りリンク共用チャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル固有RS(Cell-specific reference signals)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
【0030】
下りリンク制御チャネル(PDCCH; Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割当て情報の通知や、送信電力増減の指示、ランダムアクセス手順開始の指示などの目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自局宛の下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラントと呼ばれる無線リソース割当て情報を取得する必要がある。
【0031】
下りリンク共用チャネル(PDSCH; Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージとしてページングや報知情報を通知するためにも使用される。下りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0032】
上りリンク共用チャネル(PUSCH; Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に上りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0033】
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH; Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。物理ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、上りリンク制御チャネル未設定時の送信データのスケジューリング要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報の要求に物理ランダムアクセスチャネルを用いる。送信タイミング調整情報を受信した移動局装置は、送信タイミング調整情報の有効時間を設定し、有効時間中は送信タイミング調整状態、有効期間外は、送信タイミング非調整状態として上りリンクの状態を管理する。基地局装置は、移動局装置に対して個別プリアンブル系列(Dedicated preamble)を割り当てて、ランダムアクセス手順を開始させることも可能である。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
【0034】
(2)キャリア・アグリゲーション
キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域のセル(コンポーネントキャリア)を集約(アグリゲーション)して一つの周波数帯域のように扱う技術である。例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、移動局装置は100MHzの周波数帯域幅とみなしてアクセスすることが可能となる。なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数帯域であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数帯域であってもよい。例えば、使用可能な周波数帯域が800MHz帯域、2.4GHz帯域、3.4GHz帯域である場合、ある一つのコンポーネントキャリアが800MHz帯域、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯域、さらに別のコンポーネントキャリアが3.4GHz帯域で送信されていてもよい。
【0035】
また、同一周波数帯域、例えば2.4GHz帯域内の連続または不連続のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は20MHzより狭い周波数帯域幅であっても良く、各々異なっていても良い。
【0036】
基地局装置は、滞留しているデータバッファ量や移動局装置の受信品質、セル内の負荷やQoSなどの種々の要因に基づいて、移動局装置に割り当てる上りリンクまたは下りリンクのコンポーネントキャリアの数を増減することができる。
【0037】
具体的には、基地局装置は移動局装置に対するコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の追加やパラメータの修正、解放を移動局装置に通知することができる。前記通知には典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)が用いられる。例えば、基地局装置は移動局装置に対するコンポーネントキャリアの追加およびパラメータの修正を行う場合、セカンダリセル番号(sCellIndex)とそのセカンダリセル番号に対するパラメータとして、物理セル識別子やキャリア周波数情報、無線リソースに関するパラメータの設定情報などを移動局装置に通知し、通知された移動局装置は通知されたセカンダリセル番号のセカンダリセルが自局に既に設定されている場合は当該セカンダリセルのパラメータの修正とみなし、通知されたセカンダリセル番号が設定されていない場合はセカンダリセルの追加とみなす。また、コンポーネントキャリアの解放を行う場合、セカンダリセル番号が基地局装置から移動局装置に通知され、移動局装置は通知されたセカンダリセル番号のセカンダリセル情報を解放する。
【0038】
[本発明の通信ネットワーク構成の例]
図8は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数帯域(コンポーネントキャリア、Band1~Band3)を同時に用いて基地局装置2と無線接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置2が複数の周波数帯域毎に送信器21〜23(及び図示しない受信器)を備えており、各周波数帯域の制御を一つの基地局装置2で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。ただし、複数の周波数帯域が連続する周波数帯域であるなどの理由で、基地局装置2が一つの送信装置で複数の周波数帯域の送信を行なう構成であっても構わない。基地局装置2の送信装置によって制御される各周波数帯域の通信可能範囲はセルとしてみなされ、空間的に同一のエリアに存在する。このとき、各周波数帯域がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。
【0039】
ただし、後述する記載において、基地局装置2が形成するコンポーネントキャリアの周波数でカバーされるエリアのことをそれぞれセルと称して説明するが、これは実際に運用される通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアの一部のことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。本発明でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の主旨には影響しない。なお、移動局装置1は、リレー局装置(またはリピーター)を介して基地局装置2と無線接続されても良い。
【0040】
[コンポーネントキャリアの構成の設定例]
図9は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定する下りリンクコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係の一例を示した図である。図9中の下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2、及び下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC3と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC3はセル固有接続(Cell Specific Linkage)している。セル固有接続とは、例えば、移動局装置1がキャリア・アグリゲーションしていない場合に、基地局装置2にアクセス可能な上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係(連携関係)であり、典型的には報知情報でその対応関係が示される。上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係は、報知情報に周波数情報として明示的に指示されるか、または明示的に指示されない場合に運用周波数毎に一意に決められる上りリンクと下りリンクの規定の周波数差の情報を用いるなどして暗黙的に指示される。これらの方法に限らず、セル毎に上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係を示すことが可能であれば、これ以外の方法を用いて指示されても良い。
【0041】
これに対し、基地局装置2は、下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係を、セル固有接続とは別に移動局装置1毎に個別に設定(個別接続;UE Specific Linkage)することも可能である。個別接続は、基地局装置2から下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアが追加されるときに同時に設定される。図9の場合、ある移動局装置1が無線接続される上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2に対し、2つの下りリンクコンポーネントキャリア(DL_CC2、DL_CC3)が対応しており、DL_CC3とUL_CC2は個別接続されており、DL_CC1とDL_CC2はそれぞれUL_CC1とUL_CC2にセル固有接続されている。この場合、移動局装置1はDL_CC1〜DL_CC3で受信処理を行い、UL_CC1およびUL_CC2で送信処理を行う。すなわち、DL_CC1〜DL_CC3とUL_CC1〜UL_CC2は、移動局装置1が基地局装置2との通信に用いる接続コンポーネントキャリアであり、UL_CC3は、移動局装置1が基地局装置2との通信に用いない非接続コンポーネントキャリアである。典型的にはプライマリセルの上りリンクと下りリンクはセル固有接続され、セカンダリセルの上りリンクと下りリンクは個別接続される。
【0042】
さらに、上りリンクコンポーネントキャリアで移動局装置1が送信する際の送信電力調整には、下りリンクコンポーネントキャリアの受信品質(基地局装置2から送信された無線信号の電力が移動局装置1で受信されるまでに減衰した量を示すパスロス値など)が用いられる。プライマリセルの送信電力調整には、当該プライマリセルの下りリンクの受信品質が用いられる。一方、セカンダリセルの送信電力調整には、プライマリセルか当該セカンダリセルの下りリンクの受信品質のいずれか一方に基づく。セカンダリセルの送信電力調整のために、プライマリセルと当該セカンダリセルの何れの下りリンクの受信品質を利用するかは、報知情報あるいは移動局装置1毎に個別のレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)によって、基地局装置2から移動局装置1へ通知される。
【0043】
また、移動局装置1の消費電力低減およびリソース利用効率化のために、Advance EUTRAでは移動局装置1に割り当てられた(Configurationされた)セカンダリセルには2つの状態が定義されている。前記2つの状態の遷移は、基地局装置2から明示的または暗黙的に活性化(activation、アクティベーション)および不活性化(deactivation、ディアクティベーション)が指示されることにより、コンポーネントキャリア毎に行われる。移動局装置1は下りリンク受信と上りリンク送信のために、活性化しているコンポーネントキャリアを使用することはできるが、非活性化されたコンポーネントキャリアを使用することはできない。非活性化は、下りリンクと上りリンクとをペアとして管理しても良いし、独立して管理しても良い。
【0044】
(3)ランダムアクセス手順
ランダムアクセス手順には、競合ベースランダムアクセス(Contention based Random Access)と非競合ベースランダムアクセス(Non-contention based Random Access)の2つのアクセス手順がある。
【0045】
競合ベースランダムアクセスは、移動局装置間で衝突する可能性のあるランダムアクセス手順であり、基地局装置と接続(通信)していない状態からの初期アクセス時や、基地局装置と接続中であるが上りリンク同期が調整されていない状態で移動局装置に上りリンクデータ送信が発生した場合のスケジューリングリクエストなどに行われる。
【0046】
また、非競合ベースランダムアクセスは、移動局装置間で衝突が発生しないランダムアクセス手順であり、基地局装置と移動局装置が接続中であるが上りリンクの同期が調整されていない場合に、迅速に移動局装置と基地局装置との間の上りリンク同期をとるために用いられ、主にハンドオーバーや移動局装置の送信タイミングが有効でない場合等の特別な場合に基地局装置から指示されて移動局装置がランダムアクセス手順を開始する(非特許文献1)。非競合ベースランダムアクセスは、RRC(Radio Resource Control:Layer3)層のメッセージまたは下りリンク制御チャネルPDCCHの制御データにより指示される。
【0047】
図10を用いて、従来のAdvanced EUTRAにおけるキャリア・アグリゲーション時の下りリンク制御チャネルPDCCHを用いた非競合ベースランダムアクセス手順を説明する。まず、基地局装置は、ランダムアクセス手順に必要な情報を下りリンク制御情報(DCI; Downlink control information)として、プライマリセルの下りリンク制御チャネルPDCCHを用いて、移動局装置に通知する(メッセージ0、ステップS101)。ランダムアクセス手順のためのDCIは既定のフォーマット(Format1A)で通知され、ランダムアクセスプリアンブル送信リソース割り当て情報(PRACH Mask Index)およびプリアンブル番号(Preamble Index)が含まれる。
【0048】
自局宛の前記DCIが含まれるPDCCHを受信した移動局装置は、指定されたプリアンブル番号に対応するランダムアクセスプリアンブルをプライマリセルに割り当てられた上りリンクリソースを用いて送信する(メッセージ1、ステップS102)。
【0049】
基地局装置は、移動局装置からのランダムアクセスプリアンブルを検出すると、ランダムアクセスプリアンブルから移動局装置と基地局装置との間の送信タイミングのずれ量を算出し、下りリンク制御チャネルPDCCHに前記ランダムアクセスプリアンブルを送信した移動局装置宛の応答(ランダムアクセスレスポンス)を示すためのRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identity:ランダムアクセスレスポンス識別情報)を配置し、下りリンク共用チャネルPDSCHに、前記タイミングのずれ量に基づいた送信タイミング調整情報、スケジューリング情報、および受信したランダムアクセスプリアンブルの識別子情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージを送信する(メッセージ2、ステップS103)。
【0050】
移動局装置は、下りリンク制御チャネルPDCCHにRA−RNTIがあることを検出すると、下りリンク共用チャネルPDSCHに配置されたランダムアクセスレスポンスメッセージの中身を確認し、送信したランダムアクセスプリアンブルの情報が含まれている場合、ランダムアクセスレスポンスメッセージに含まれる送信タイミング調整情報から上りリンクの送信タイミングを調整する。移動局装置は、送信タイミング調整情報を受信した場合に、受信した送信タイミング調整情報が有効である場合は送信タイミングタイマーをスタートする。尚、この送信タイミングタイマーが満了すると調整した送信タイミングは無効となる。送信タイミングが有効の間、移動局装置は、基地局装置へのデータ送信が可能であり、送信タイミングが無効の場合、ランダムアクセスプリアンブルの送信のみが可能である。また、送信タイミング調整情報が有効な期間を上りリンク同期状態と言い、送信タイミングが有効でない期間を上りリンク非同期状態とも言う。
【0051】
ランダムアクセス手順完了以降の上りリンクの送信タイミングの更新は、例えば、基地局装置が移動局装置から送信される上りリンク参照信号(測定用参照信号、または、復調用参照信号)を測定して、送信タイミング調整情報を算出し、算出した送信タイミング調整情報含む送信タイミングメッセージを移動局装置に通知することで行なわれる。移動局装置は、基地局装置から通知された送信タイミング調整情報から上りリンクの送信タイミングを調整すると送信タイミングタイマーをリスタート(restart)する。尚、基地局装置も移動局装置と同じ送信タイミングタイマーを保持しており、送信タイミングメッセージを送信した場合に送信タイミングタイマーをスタート、または、リスタートする。このようにすることで、基地局装置と移動局装置で上りリンク同期状態を管理する。送信タイミングタイマーが満了すると調整した送信タイミングは無効となり、移動局装置は、ランダムアクセスプリアンブルの送信以外の上りリンク送信を停止する。
【0052】
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、本発明に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判定される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0053】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、ランダムアクセス手順の処理にセカンダリセルを含める場合の処理方法を示す。
【0054】
図1は、本発明の実施形態に係る移動局装置1の一例を示すブロック図である。本移動局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、測定処理部104、制御部105、ランダムアクセス処理部106、符号部107、変調部108、送信部109、上位レイヤ110、無線送信設定部111から構成される。
【0055】
受信に先立ち、上位レイヤ110は、移動局装置制御情報を制御部105に出力する。制御部105は、受信に関する移動局装置制御情報を受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103へ適切に出力する。受信制御情報は、受信スケジュール情報として、復調情報、復号化情報、受信周波数帯域の情報、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0056】
受信部101は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて基地局装置2から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部102へ出力する。復調部102は、受信信号を復調して復号部103へ出力する。復号部103は、受信制御情報に基づき復調された信号を正しく復号し、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ110へ出力する。上位レイヤ110は、下りリンク制御データにコンポーネントキャリアの追加、修正または解放などの情報や、割り当てられたコンポーネントキャリアの活性化/不活性化情報が含まれる場合はコンポーネントキャリア管理部104に当該情報を通知し、コンポーネントキャリア管理部104は、通知された内容に基づき、自局に既に割り当てられたセカンダリセル番号のコンポーネントキャリアのパラメータ修正や解放を行ったり、あるいは新たなセカンダリセル番号のコンポーネントキャリアのパラメータを記憶したり、各セカンダリセルの活性/不活性状態の記憶を行ったりする。なお、コンポーネントキャリアの活性化/不活性化情報は、上位レイヤ110を介さずに復号部103からコンポーネントキャリア管理部104に通知されてもよい。
【0057】
また、送信に先立ち、上位レイヤ110は、制御部105へ移動局装置制御情報を出力する。制御部105は、送信に関する移動局装置制御情報を送信制御情報として、ランダムアクセス処理部106、符号部107、変調部108、送信部109へ適切に出力する。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0058】
上位レイヤ310は、符号部107へ上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データを上りリンクチャネルに応じて適切に出力する。符号部107は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部108に出力する。変調部108は、符号部107で符号化された信号の変調を行なう。また、変調部108は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。
【0059】
送信部109は、変調部108から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。
【0060】
また、復号部103で復号した信号に自局宛のランダムアクセスプリアンブル送信指示のDCIが含まれていた場合、前記DCIは上位レイヤ110を通じて(あるいは復号部103から直接)ランダムアクセス処理部106に通知される。ランダムアクセス処理部106は、通知されたDCIと、コンポーネントキャリア管理部104から取得した各コンポーネントキャリア情報およびその活性/不活性状態の情報とに基づき、ランダムアクセス手順の方法を切り替えて、ランダムアクセス手順を開始する。
【0061】
上りリンク制御データが配置される上りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を構成する。移動局装置1のRRC部は上位レイヤ110の一部として存在する。また、ランダムアクセス処理部106は、移動局装置1のデータリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)の一部として存在する。図1において、その他の移動局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
【0062】
図2は、本発明の実施形態による基地局装置2の一例を示すブロック図である。本基地局装置2は、受信部201、復調部202、復号部203、制御部204、符号部205、変調部206、送信部207、ネットワーク信号処理部208、上位レイヤ209から構成される。
【0063】
上位レイヤ209は、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データを符号部205へ出力する。符号部205は、入力された各データを符号化し、変調部206へ出力する。変調部206は、符号化された信号の変調を行なう。また、変調部206は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。送信部207は、変調部206から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を図示しない1つ以上の送信器から既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に送信する。下りリンク制御データが配置される下りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRC(Radio Resource Control)メッセージ)を構成する。
【0064】
また、受信部201は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、後述する移動局装置1から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部202へ出力する。復調部202はデジタル信号を復調し、復号部203へ出力する。復号部203は、復調された信号を復号し、上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ209へ出力する。
【0065】
上位レイヤ209は、これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報を制御部204へ出力する。制御部204は、送信に関連する基地局装置制御情報は送信制御情報として、符号部205、変調部206、送信部207の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報は受信制御情報として、受信部201、復調部202、復号部203の各ブロックに適切に出力する。
【0066】
一方、ネットワーク信号処理部208は、複数の基地局装置2間(または制御局装置(MME)、ゲートウェイ装置(Gateway)、MCE)と基地局装置2との間の制御メッセージの送信または受信を行なう。制御メッセージはネットワーク回線を経由して送受信される。制御メッセージは、S1インターフェースやX2インターフェースやM1インターフェースやM2インターフェースと呼ばれる論理インターフェース上でやり取りされる。
【0067】
また、基地局装置2のRRC部は、上位レイヤ209の一部として存在する。図2において、その他の基地局装置2の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
【0068】
続いて、本実施形態の移動局装置1がPDCCHによりランダムアクセス手順を指示された場合のランダムアクセス処理方法について、図3を用いて説明を行なう。
【0069】
ここで、前述のDCI Format 1Aには、移動局装置1宛のデータが格納されているPDSCHのコンポーネントキャリアを示すキャリア指示領域(CIF; Carrier Indicator Field)と呼ばれる3ビットのデータが含まれる。
【0070】
本実施形態の移動局装置は、ランダムアクセス手順が開始されるセルを判断するために、従来ランダムアクセス手順の指示のためには使用されていなかったCIFを用いたランダムアクセス手順とCIFを用いないランダムアクセス手順とを、基地局装置2より設定されたランダムアクセスの設定の有無に応じて適切なタイミングで切り替えることを特徴とする。
【0071】
図3にランダムアクセス手順を選択するフローチャートを示す。図3において、まず移動局装置1は、コンポーネントキャリア管理部104で管理されている何れかのセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれるか否かを判断する(ステップS31)。ステップS31において物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれなかった場合、あるいはセカンダリセルが割り当てられていない場合、移動局装置1は第1のランダムアクセス手順を実行する(ステップS32)。具体的に第1のランダムアクセス手順は、従来のAdvanced EUTRAのランダムアクセス手順であるため説明を省略する。ステップS31において物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれる場合、移動局装置1は第2のランダムアクセス手順を実行する(ステップS33)。
【0072】
以下、第2のランダムアクセス手順について、図4を用いて説明する。図4において、基地局装置2は移動局装置1に対してランダムアクセスプリアンブルを割り当てるためにメッセージ0を送信する(ステップS41)。メッセージ0にはランダムアクセスプリアンブルを送信するリソースの割り当て情報およびプリアンブル番号が含まる。また、基地局装置2は、予め移動局装置1に通知したセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれている場合には、メッセージ0に含まれるCIFに、プライマリセルあるいはセカンダリセルとして基地局装置2が移動局装置1に割り当てたコンポーネントキャリアの何れかを特定する識別子を代入しておく。前記識別子は、基地局装置2から移動局装置1に対して送信されるRRC接続再設定メッセージ(RRCConnectionReconfiguration)で、セカンダリセルを割り当てたり解放したりする際に用いられる識別子であるセカンダリセル番号と同じ値(プライマリセルは識別子0であらわす)とすることが望ましいが、これに限らず、セカンダリセルの一部でのみランダムアクセス手順を実施可能とする場合(一部のセカンダリセルにのみ物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれる場合)には、それらのセルを同定できる識別子にしてもよい。
【0073】
メッセージ0を受信した移動局装置1は、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアの選択を行う(ステップS42)。
【0074】
図5にコンポーネントキャリアを選択するフローチャートを示す。図5において、移動局装置1はメッセージ0に含まれるCIFからコンポーネントキャリアの識別子を取得する(ステップS51)。次に、移動局装置1は、コンポーネントキャリア管理部104から取得したコンポーネントキャリアの割り当て情報を用いて、ステップS51で取得した識別子のコンポーネントキャリアが存在するか(割り当てられているか)を判断する(ステップS52)。前記識別子のコンポーネントキャリアが存在する場合はステップS53に遷移し、存在しない場合はステップS55に遷移する。ステップS52で前記識別子のコンポーネントキャリアが存在する場合、移動局装置1は前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態か否かを判断する(ステップS53)。前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態であればステップS54に遷移し、不活性状態であればステップS55に遷移する。ステップS53で前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態であれば、移動局装置1は前記識別子のコンポーネントキャリアを、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアに設定してフローを終了する(ステップS54)。
【0075】
ステップS52で、ステップS51で取得した識別子のコンポーネントキャリアが存在しない場合、あるいはステップS53で、前記識別子のコンポーネントキャリアが不活性状態である場合、ランダムアクセス手順を中止し、フローを終了する(ステップS55)。
【0076】
次に、移動局装置1は、ステップS42で設定されたコンポーネントキャリアで、当該コンポーネントキャリアに設定された物理ランダムアクセスチャネル設定に基づいたランダムアクセスプリアンブル(メッセージ1)を送信する(ステップS43)。
【0077】
ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置2は、当該ランダムアクセスプリアンブルが、自局が移動局装置1に対して設定したプリアンブル番号およびコンポーネントキャリアであることを確認し、PDCCHに前記ランダムアクセスプリアンブルを送信した移動局装置1宛の応答(ランダムアクセスレスポンス)を示すためのRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identity:ランダムアクセスレスポンス識別情報)を配置し、下りリンク共用チャネルPDSCHに、前記タイミングのずれ量に基づいた送信タイミング調整情報、スケジューリング情報、および受信したランダムアクセスプリアンブルの識別子情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージ(メッセージ2)を送信する(ステップS44)。ランダムアクセスレスポンスの少なくともPDCCHは、移動局装置1がランダムアクセスプリアンブルを送信した上りリンクのコンポーネントキャリアに対応する下りリンクコンポーネントキャリアで送信されることが望ましい。
【0078】
上述のように、移動局装置1は、基地局装置2より設定されたセカンダリセルと、セカンダリセルのランダムアクセスの設定(物理ランダムアクセスチャネル設定)に応じて、CIFを用いないランダムアクセス手順(第1のランダムアクセス手順)と従来ランダムアクセス手順の指示のためには使用されていなかったCIFを用いたランダムアクセス手順(第2のランダムアクセス手順)とを適切なタイミングで切り替えることで、無線リソースの使用量を増大させることなく、ランダムアクセス手順が開始されるセルを適切に判断することが可能となる。
【0079】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、CIFを用いたランダムアクセス手順の処理の別の一例を示す。
【0080】
本実施形態に用いる移動局装置1と基地局装置2の構成およびランダムアクセス手順の選択は、第1の実施形態における、それぞれ図1と図2および図3と同じ構成で良いため説明を省略する。
【0081】
以下、本実施形態における第2のランダムアクセス手順について、図6を用いて説明する。図6において、基地局装置2は移動局装置1に対してランダムアクセスプリアンブルを割り当てるためにメッセージ0を送信する(ステップS61)。メッセージ0にはランダムアクセスプリアンブルを送信するリソースの割り当て情報およびプリアンブル番号が含まる。また、基地局装置2は、予め移動局装置1に通知したセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれている場合には、メッセージ0に含まれるCIFに、プライマリセルあるいはセカンダリセルとして基地局装置2が移動局装置1に割り当てたコンポーネントキャリアの何れかを特定する識別子を代入しておく。前記識別子は、基地局装置2から移動局装置1に対して送信されるRRC接続再設定メッセージ(RRCConnectionReconfiguration)で、セカンダリセルを割り当てたり解放したりする際に用いられる識別子であるセカンダリセル番号と同じ値(プライマリセルは識別子0であらわす)とすることが望ましいが、これに限らず、セカンダリセルの一部でのみランダムアクセス手順を実施可能とする場合には、それらのセルを同定できる識別子であればよい。
【0082】
メッセージ0を受信した移動局装置1は、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアの選択を行う(ステップS62)。
【0083】
図7にコンポーネントキャリアを選択するフローチャートを示す。図7において、移動局装置1はメッセージ0に含まれるCIFからコンポーネントキャリアの識別子を取得する(ステップS71)。次に、移動局装置1は、コンポーネントキャリア管理部104から取得したコンポーネントキャリアの割り当て情報を用いて、ステップS71で取得した識別子のコンポーネントキャリアが存在するか(割り当てられているか)を判断する(ステップS72)。前記識別子のコンポーネントキャリアが存在する場合はステップS73に遷移し、存在しない場合はステップS75に遷移する。ステップS72で前記識別子のコンポーネントキャリアが存在する場合、移動局装置1は前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態か否かを判断する(ステップS73)。前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態であればステップS74に遷移し、不活性状態であればステップS75に遷移する。ステップS73で前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態であれば、移動局装置1は前記識別子のコンポーネントキャリアを、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアに設定してフローを終了する(ステップS74)。
【0084】
ステップS72で、ステップS71で取得した識別子のコンポーネントキャリアが存在しない場合、あるいはステップS73で、前記識別子のコンポーネントキャリアが不活性状態である場合、移動局装置1はプライマリセルを、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアに設定してフローを終了する(ステップS75)。
【0085】
次に、移動局装置1は、ステップS62で設定されたコンポーネントキャリアで、当該コンポーネントキャリアに設定された物理ランダムアクセスチャネル設定に基づいたランダムアクセスプリアンブル(メッセージ1)を送信する(ステップS64)。
【0086】
また、基地局装置2はステップS61の実行後、CIFで指定したコンポーネントキャリアおよびプライマリセルを、前記移動局装置1からランダムアクセスプリアンブルを待ち受けるコンポーネントキャリアとして設定する(ステップS63)。
【0087】
ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置2は、当該ランダムアクセスプリアンブルが、自局が移動局装置1に対して設定したプリアンブル番号およびコンポーネントキャリア(あるいはプライマリセル)であることを確認し、PDCCHに前記ランダムアクセスプリアンブルを送信した移動局装置1宛の応答(ランダムアクセスレスポンス)を示すためのRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identity:ランダムアクセスレスポンス識別情報)を配置し、下りリンク共用チャネルPDSCHに、前記タイミングのずれ量に基づいた送信タイミング調整情報、スケジューリング情報、および受信したランダムアクセスプリアンブルの識別子情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージ(メッセージ2)を送信する(ステップS65)。ランダムアクセスレスポンスの少なくともPDCCHは、移動局装置1がランダムアクセスプリアンブルを送信した上りリンクのコンポーネントキャリアに対応する下りリンクコンポーネントキャリアで送信されることが望ましい。
【0088】
上述のように、移動局装置1は、基地局装置2より設定されたセカンダリセルと、セカンダリセルのランダムアクセスの設定(物理ランダムアクセスチャネル設定)に応じて、CIFを用いないランダムアクセス手順(第1のランダムアクセス手順)と従来ランダムアクセス手順の指示のためには使用されていなかったCIFを用いたランダムアクセス手順(第2のランダムアクセス手順)とを適切なタイミングで切り替えることで、無線リソースの使用量を増大させることなく、ランダムアクセス手順が開始されるセルを適切に判断することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態では、移動局装置1に割り当てられたセカンダリセルが不活性状態である場合に、プライマリセルへのランダムアクセスプリアンブルの送信を許容することで、データ伝送の遅延を抑えることが可能となる。
【0090】
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。
【0091】
また、上記実施形態では、ランダムアクセス手順を選択する際に、自局に設定されたセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれているか否かを判断基準として用いているが、その他の個別メッセージでセカンダリセルにおけるランダムアクセス手順実施の可否を通知して、可否情報を判断基準として用いてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、ランダムアクセス手順を選択する際に、自局に設定されたセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれているか否かを判断基準として用いているが、移動局装置1に複数のセカンダリセルが割り当てられている場合、少なくとも1つのセカンダリセルパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれている場合に第2のランダムアクセス手順を選択するようにしてもよいし、特定の条件を満たすセカンダリセル(例えばプライマリセルとタイミングの異なる何れかのセカンダリセル)に物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれている場合に第2のランダムアクセス手順を選択するようにしてもよい。
【0093】
また、説明の便宜上、実施形態の移動局装置1及び基地局装置2を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置1及び基地局装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置1や基地局装置2の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0094】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0095】
また、上記各実施形態に用いた移動局装置1および基地局装置2の各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0096】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1…移動局装置
2…基地局装置
14〜16…受信器
21〜23…送信器
101、201…受信部
102、202…復調部
103、203…復号部
104…コンポーネントキャリア管理部
105、204…制御部
106…ランダムアクセス処理部
107、205…符号部
108、206…変調部
109、207…送信部
110、209…上位レイヤ
208…ネットワーク信号処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、移動局装置、基地局装置、ランダムアクセス処理方法及び集積回路に関し、特に、移動局装置が複数のセルを用いて基地局装置と無線接続している場合のランダムアクセス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)通信方式やリソースブロックと呼ばれる所定の周波数・時間単位の柔軟なスケジューリングの採用によって、高速な通信を実現させたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以降EUTRAと称する)が検討され、更にその発展形であるAdvanced EUTRA(LTE-Advancedとも称される)の検討が進められている。
【0003】
Advanced EUTRAでは、EUTRAとの互換性を維持しつつ、より高速なデータ伝送が可能な技術として、キャリア・アグリゲーション(Carrier Aggregation)が提案されている。キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域(キャリア周波数、コンポーネントキャリア(Component Carrier)とも称する)で送信された送信装置のデータを、異なる周波数帯域に対応する受信装置においてそれぞれ受信することで、データレートを向上させる技術である。なお、以後は下りリンク送信における受信装置のことを移動局装置、送信装置のことを基地局装置と記載し、上りリンク送信における受信装置のことを基地局装置、上りリンク送信における送信装置のことを移動局装置と記載するが、本発明の適用範囲はこれらの装置に限定する必要は無い。
【0004】
Advanced EUTRAのキャリア・アグリゲーションで用いられるコンポーネントキャリアは、プライマリコンポーネントキャリア(PCC: Primary Component Carrier)とセカンダリコンポーネントキャリア(SCC: Secondary Component Carrier)とに区別され、移動局装置が下りリンクのPCCで接続するセルをプライマリセル(PCell: Primary Cell)、下りリンクのSCCで接続するセルをセカンダリセル(SCell: Secondary Cell)と呼ぶ。プライマリセルには上りリンクコンポーネントキャリアが必ず含まれるが、セカンダリセルには含まれない場合がある。
【0005】
また、EUTRAの移動局装置は、基地局装置への初期接続時や、ハンドオーバー時、上りリンクの同期が外れている状態で上りリンクデータ送信あるいは下りリンクデータ受信を行なう必要がある時に、ランダムアクセス手順と呼ばれる上りリンクの送信タイミング調整(上りリンクの同期確立)のための処理を行う。このランダムアクセス手順は、現状のAdvanced EUTRAでは、プライマリセルのみで行うことが規定されている。(非特許文献1)
【0006】
なお、3GPPが規定する第3世代の基地局装置はノードB(NodeB)と称され、EUTRA及びAdvanced EUTRAにおける基地局装置はイーノードB(eNodeB)と称される。基地局装置は移動局装置が通信可能なエリアであるセルを管理し、セルは移動局装置と通信可能なエリアの大きさに応じてフェムトセルやピコセル、ナノセルとも称される。また、移動局装置がある基地局装置と通信可能であるとき、その基地局装置のセルは移動局装置の在圏セルであり、その他の基地局装置、または異なる周波数のセルは周辺セルと称される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】TS36.321v10.1.0 5.1.1,(http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/36321.htm)
【非特許文献2】TS36.300v10.3.0 10.1.5,(http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/36300.htm)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、現状のAdvanced EUTRAでは、ランダムアクセス手順はプライマリセルでのみ処理されるが、今後、プライマリセルと一部のセカンダリセルとで異なるタイミングでの送受信が必要となる場合などが想定される。この場合、プライマリセルでのランダムアクセス手順だけではセカンダリセルの上りリンクを同期することができない。
【0009】
上記の課題を鑑みて、本発明は、タイミングの異なるセルで効率的にランダムアクセス手順を処理することができる通信システム、移動局装置、基地局装置、ランダムアクセス処理方法及び集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本願の通信システムは、基地局装置と移動局装置とが、異なる複数の周波数帯域のセルを集約して通信を行なう通信システムであって、前記基地局装置は、下りリンク制御チャネルを用いて前記移動局装置にランダムアクセス手順の実行を指示し、前記移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えることを特徴とする。
【0011】
(2)また、本願の通信システムにおいて、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止することを特徴とする。
【0012】
(3)また、本願の通信システムにおいて、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信することを特徴とする。
【0013】
(4)また、本願の移動局装置は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置であって、前記移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行するランダムアクセス処理部を有することを特徴とする。
【0014】
(5)また、本願の移動局装置において、前記第1のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止することを特徴とする。
【0015】
(6)また、本願の移動局装置において、前記第1のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信することを特徴とする。
【0016】
(7)また、本願の基地局装置は、移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置と前記複数セルを介して通信を行なう基地局装置であって、前記基地局装置は、下りリンク制御チャネルを用いて前記移動局装置にランダムアクセス手順の実行を指示する際に、前記移動局装置に割り当てたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれる場合にのみ、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアの識別子を前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域に設定することを特徴とする。
【0017】
(8)また、本願のランダムアクセス処理方法は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置のランダムアクセス処理方法であって、前記移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行するステップを備えることを特徴とする。
【0018】
(9)また、本願のランダムアクセス処理方法において、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止することを特徴とする。
【0019】
(10)また、本願のランダムアクセス処理方法において、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信することを特徴とする。
【0020】
(11)また、本願の集積回路は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置の集積回路であって、前記集積回路は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行する機能を備えることを特徴とする。
【0021】
(12)また、本願の集積回路において、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止することを特徴とする。
【0022】
(13)また、本願の集積回路において、前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、タイミングの異なるセルで効率的にランダムアクセス手順を処理可能な通信システム、移動局装置、基地局装置、ランダムアクセス処理方法及び集積回路を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る移動局装置1の一例を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局装置2の一例を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1において移動局装置1がランダムアクセス手順を選択するフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1における第2のランダムアクセス手順について説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態1の第2のランダムアクセス手順におけるコンポーネントキャリアを選択するフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態2における第2のランダムアクセス手順について説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態2の第2のランダムアクセス手順におけるコンポーネントキャリアを選択するフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る移動局装置1に対するコンポーネントキャリアの設定の一例を示した図である。
【図10】従来のAdvanced−EUTRAにおける非競合ベースランダムアクセス手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関する物理チャネルとキャリア・アグリゲーション、ランダムアクセス手順について説明する。
【0026】
(1)物理チャネル
EUTRA及びAdvanced EUTRAで使用される物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。物理チャネルは、基地局装置から移動局装置へ送信される下りリンクにおける下りリンクチャネルと、移動局装置から基地局装置へ送信される上りリンクにおける上りリンクチャネルとが存在する。物理チャネルは、EUTRA、及びAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
【0027】
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(セルID:Physical Cell Identity; PCI)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルのセルIDを特定する。
【0028】
物理報知情報チャネル(PBCH; Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、下りリンク共用チャネルを用いてレイヤ3メッセージで送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI; Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI; Tracking Area Identifier)などが通知される。
【0029】
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号である。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される下りリンク制御チャネル、または下りリンク共用チャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル固有RS(Cell-specific reference signals)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
【0030】
下りリンク制御チャネル(PDCCH; Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割当て情報の通知や、送信電力増減の指示、ランダムアクセス手順開始の指示などの目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自局宛の下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラントと呼ばれる無線リソース割当て情報を取得する必要がある。
【0031】
下りリンク共用チャネル(PDSCH; Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージとしてページングや報知情報を通知するためにも使用される。下りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0032】
上りリンク共用チャネル(PUSCH; Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に上りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0033】
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH; Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。物理ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、上りリンク制御チャネル未設定時の送信データのスケジューリング要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報の要求に物理ランダムアクセスチャネルを用いる。送信タイミング調整情報を受信した移動局装置は、送信タイミング調整情報の有効時間を設定し、有効時間中は送信タイミング調整状態、有効期間外は、送信タイミング非調整状態として上りリンクの状態を管理する。基地局装置は、移動局装置に対して個別プリアンブル系列(Dedicated preamble)を割り当てて、ランダムアクセス手順を開始させることも可能である。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
【0034】
(2)キャリア・アグリゲーション
キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域のセル(コンポーネントキャリア)を集約(アグリゲーション)して一つの周波数帯域のように扱う技術である。例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、移動局装置は100MHzの周波数帯域幅とみなしてアクセスすることが可能となる。なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数帯域であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数帯域であってもよい。例えば、使用可能な周波数帯域が800MHz帯域、2.4GHz帯域、3.4GHz帯域である場合、ある一つのコンポーネントキャリアが800MHz帯域、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯域、さらに別のコンポーネントキャリアが3.4GHz帯域で送信されていてもよい。
【0035】
また、同一周波数帯域、例えば2.4GHz帯域内の連続または不連続のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は20MHzより狭い周波数帯域幅であっても良く、各々異なっていても良い。
【0036】
基地局装置は、滞留しているデータバッファ量や移動局装置の受信品質、セル内の負荷やQoSなどの種々の要因に基づいて、移動局装置に割り当てる上りリンクまたは下りリンクのコンポーネントキャリアの数を増減することができる。
【0037】
具体的には、基地局装置は移動局装置に対するコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の追加やパラメータの修正、解放を移動局装置に通知することができる。前記通知には典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)が用いられる。例えば、基地局装置は移動局装置に対するコンポーネントキャリアの追加およびパラメータの修正を行う場合、セカンダリセル番号(sCellIndex)とそのセカンダリセル番号に対するパラメータとして、物理セル識別子やキャリア周波数情報、無線リソースに関するパラメータの設定情報などを移動局装置に通知し、通知された移動局装置は通知されたセカンダリセル番号のセカンダリセルが自局に既に設定されている場合は当該セカンダリセルのパラメータの修正とみなし、通知されたセカンダリセル番号が設定されていない場合はセカンダリセルの追加とみなす。また、コンポーネントキャリアの解放を行う場合、セカンダリセル番号が基地局装置から移動局装置に通知され、移動局装置は通知されたセカンダリセル番号のセカンダリセル情報を解放する。
【0038】
[本発明の通信ネットワーク構成の例]
図8は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数帯域(コンポーネントキャリア、Band1~Band3)を同時に用いて基地局装置2と無線接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置2が複数の周波数帯域毎に送信器21〜23(及び図示しない受信器)を備えており、各周波数帯域の制御を一つの基地局装置2で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。ただし、複数の周波数帯域が連続する周波数帯域であるなどの理由で、基地局装置2が一つの送信装置で複数の周波数帯域の送信を行なう構成であっても構わない。基地局装置2の送信装置によって制御される各周波数帯域の通信可能範囲はセルとしてみなされ、空間的に同一のエリアに存在する。このとき、各周波数帯域がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。
【0039】
ただし、後述する記載において、基地局装置2が形成するコンポーネントキャリアの周波数でカバーされるエリアのことをそれぞれセルと称して説明するが、これは実際に運用される通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアの一部のことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。本発明でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の主旨には影響しない。なお、移動局装置1は、リレー局装置(またはリピーター)を介して基地局装置2と無線接続されても良い。
【0040】
[コンポーネントキャリアの構成の設定例]
図9は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定する下りリンクコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係の一例を示した図である。図9中の下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2、及び下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC3と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC3はセル固有接続(Cell Specific Linkage)している。セル固有接続とは、例えば、移動局装置1がキャリア・アグリゲーションしていない場合に、基地局装置2にアクセス可能な上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係(連携関係)であり、典型的には報知情報でその対応関係が示される。上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係は、報知情報に周波数情報として明示的に指示されるか、または明示的に指示されない場合に運用周波数毎に一意に決められる上りリンクと下りリンクの規定の周波数差の情報を用いるなどして暗黙的に指示される。これらの方法に限らず、セル毎に上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係を示すことが可能であれば、これ以外の方法を用いて指示されても良い。
【0041】
これに対し、基地局装置2は、下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係を、セル固有接続とは別に移動局装置1毎に個別に設定(個別接続;UE Specific Linkage)することも可能である。個別接続は、基地局装置2から下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアが追加されるときに同時に設定される。図9の場合、ある移動局装置1が無線接続される上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2に対し、2つの下りリンクコンポーネントキャリア(DL_CC2、DL_CC3)が対応しており、DL_CC3とUL_CC2は個別接続されており、DL_CC1とDL_CC2はそれぞれUL_CC1とUL_CC2にセル固有接続されている。この場合、移動局装置1はDL_CC1〜DL_CC3で受信処理を行い、UL_CC1およびUL_CC2で送信処理を行う。すなわち、DL_CC1〜DL_CC3とUL_CC1〜UL_CC2は、移動局装置1が基地局装置2との通信に用いる接続コンポーネントキャリアであり、UL_CC3は、移動局装置1が基地局装置2との通信に用いない非接続コンポーネントキャリアである。典型的にはプライマリセルの上りリンクと下りリンクはセル固有接続され、セカンダリセルの上りリンクと下りリンクは個別接続される。
【0042】
さらに、上りリンクコンポーネントキャリアで移動局装置1が送信する際の送信電力調整には、下りリンクコンポーネントキャリアの受信品質(基地局装置2から送信された無線信号の電力が移動局装置1で受信されるまでに減衰した量を示すパスロス値など)が用いられる。プライマリセルの送信電力調整には、当該プライマリセルの下りリンクの受信品質が用いられる。一方、セカンダリセルの送信電力調整には、プライマリセルか当該セカンダリセルの下りリンクの受信品質のいずれか一方に基づく。セカンダリセルの送信電力調整のために、プライマリセルと当該セカンダリセルの何れの下りリンクの受信品質を利用するかは、報知情報あるいは移動局装置1毎に個別のレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)によって、基地局装置2から移動局装置1へ通知される。
【0043】
また、移動局装置1の消費電力低減およびリソース利用効率化のために、Advance EUTRAでは移動局装置1に割り当てられた(Configurationされた)セカンダリセルには2つの状態が定義されている。前記2つの状態の遷移は、基地局装置2から明示的または暗黙的に活性化(activation、アクティベーション)および不活性化(deactivation、ディアクティベーション)が指示されることにより、コンポーネントキャリア毎に行われる。移動局装置1は下りリンク受信と上りリンク送信のために、活性化しているコンポーネントキャリアを使用することはできるが、非活性化されたコンポーネントキャリアを使用することはできない。非活性化は、下りリンクと上りリンクとをペアとして管理しても良いし、独立して管理しても良い。
【0044】
(3)ランダムアクセス手順
ランダムアクセス手順には、競合ベースランダムアクセス(Contention based Random Access)と非競合ベースランダムアクセス(Non-contention based Random Access)の2つのアクセス手順がある。
【0045】
競合ベースランダムアクセスは、移動局装置間で衝突する可能性のあるランダムアクセス手順であり、基地局装置と接続(通信)していない状態からの初期アクセス時や、基地局装置と接続中であるが上りリンク同期が調整されていない状態で移動局装置に上りリンクデータ送信が発生した場合のスケジューリングリクエストなどに行われる。
【0046】
また、非競合ベースランダムアクセスは、移動局装置間で衝突が発生しないランダムアクセス手順であり、基地局装置と移動局装置が接続中であるが上りリンクの同期が調整されていない場合に、迅速に移動局装置と基地局装置との間の上りリンク同期をとるために用いられ、主にハンドオーバーや移動局装置の送信タイミングが有効でない場合等の特別な場合に基地局装置から指示されて移動局装置がランダムアクセス手順を開始する(非特許文献1)。非競合ベースランダムアクセスは、RRC(Radio Resource Control:Layer3)層のメッセージまたは下りリンク制御チャネルPDCCHの制御データにより指示される。
【0047】
図10を用いて、従来のAdvanced EUTRAにおけるキャリア・アグリゲーション時の下りリンク制御チャネルPDCCHを用いた非競合ベースランダムアクセス手順を説明する。まず、基地局装置は、ランダムアクセス手順に必要な情報を下りリンク制御情報(DCI; Downlink control information)として、プライマリセルの下りリンク制御チャネルPDCCHを用いて、移動局装置に通知する(メッセージ0、ステップS101)。ランダムアクセス手順のためのDCIは既定のフォーマット(Format1A)で通知され、ランダムアクセスプリアンブル送信リソース割り当て情報(PRACH Mask Index)およびプリアンブル番号(Preamble Index)が含まれる。
【0048】
自局宛の前記DCIが含まれるPDCCHを受信した移動局装置は、指定されたプリアンブル番号に対応するランダムアクセスプリアンブルをプライマリセルに割り当てられた上りリンクリソースを用いて送信する(メッセージ1、ステップS102)。
【0049】
基地局装置は、移動局装置からのランダムアクセスプリアンブルを検出すると、ランダムアクセスプリアンブルから移動局装置と基地局装置との間の送信タイミングのずれ量を算出し、下りリンク制御チャネルPDCCHに前記ランダムアクセスプリアンブルを送信した移動局装置宛の応答(ランダムアクセスレスポンス)を示すためのRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identity:ランダムアクセスレスポンス識別情報)を配置し、下りリンク共用チャネルPDSCHに、前記タイミングのずれ量に基づいた送信タイミング調整情報、スケジューリング情報、および受信したランダムアクセスプリアンブルの識別子情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージを送信する(メッセージ2、ステップS103)。
【0050】
移動局装置は、下りリンク制御チャネルPDCCHにRA−RNTIがあることを検出すると、下りリンク共用チャネルPDSCHに配置されたランダムアクセスレスポンスメッセージの中身を確認し、送信したランダムアクセスプリアンブルの情報が含まれている場合、ランダムアクセスレスポンスメッセージに含まれる送信タイミング調整情報から上りリンクの送信タイミングを調整する。移動局装置は、送信タイミング調整情報を受信した場合に、受信した送信タイミング調整情報が有効である場合は送信タイミングタイマーをスタートする。尚、この送信タイミングタイマーが満了すると調整した送信タイミングは無効となる。送信タイミングが有効の間、移動局装置は、基地局装置へのデータ送信が可能であり、送信タイミングが無効の場合、ランダムアクセスプリアンブルの送信のみが可能である。また、送信タイミング調整情報が有効な期間を上りリンク同期状態と言い、送信タイミングが有効でない期間を上りリンク非同期状態とも言う。
【0051】
ランダムアクセス手順完了以降の上りリンクの送信タイミングの更新は、例えば、基地局装置が移動局装置から送信される上りリンク参照信号(測定用参照信号、または、復調用参照信号)を測定して、送信タイミング調整情報を算出し、算出した送信タイミング調整情報含む送信タイミングメッセージを移動局装置に通知することで行なわれる。移動局装置は、基地局装置から通知された送信タイミング調整情報から上りリンクの送信タイミングを調整すると送信タイミングタイマーをリスタート(restart)する。尚、基地局装置も移動局装置と同じ送信タイミングタイマーを保持しており、送信タイミングメッセージを送信した場合に送信タイミングタイマーをスタート、または、リスタートする。このようにすることで、基地局装置と移動局装置で上りリンク同期状態を管理する。送信タイミングタイマーが満了すると調整した送信タイミングは無効となり、移動局装置は、ランダムアクセスプリアンブルの送信以外の上りリンク送信を停止する。
【0052】
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、本発明に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判定される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0053】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、ランダムアクセス手順の処理にセカンダリセルを含める場合の処理方法を示す。
【0054】
図1は、本発明の実施形態に係る移動局装置1の一例を示すブロック図である。本移動局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、測定処理部104、制御部105、ランダムアクセス処理部106、符号部107、変調部108、送信部109、上位レイヤ110、無線送信設定部111から構成される。
【0055】
受信に先立ち、上位レイヤ110は、移動局装置制御情報を制御部105に出力する。制御部105は、受信に関する移動局装置制御情報を受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103へ適切に出力する。受信制御情報は、受信スケジュール情報として、復調情報、復号化情報、受信周波数帯域の情報、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0056】
受信部101は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて基地局装置2から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部102へ出力する。復調部102は、受信信号を復調して復号部103へ出力する。復号部103は、受信制御情報に基づき復調された信号を正しく復号し、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ110へ出力する。上位レイヤ110は、下りリンク制御データにコンポーネントキャリアの追加、修正または解放などの情報や、割り当てられたコンポーネントキャリアの活性化/不活性化情報が含まれる場合はコンポーネントキャリア管理部104に当該情報を通知し、コンポーネントキャリア管理部104は、通知された内容に基づき、自局に既に割り当てられたセカンダリセル番号のコンポーネントキャリアのパラメータ修正や解放を行ったり、あるいは新たなセカンダリセル番号のコンポーネントキャリアのパラメータを記憶したり、各セカンダリセルの活性/不活性状態の記憶を行ったりする。なお、コンポーネントキャリアの活性化/不活性化情報は、上位レイヤ110を介さずに復号部103からコンポーネントキャリア管理部104に通知されてもよい。
【0057】
また、送信に先立ち、上位レイヤ110は、制御部105へ移動局装置制御情報を出力する。制御部105は、送信に関する移動局装置制御情報を送信制御情報として、ランダムアクセス処理部106、符号部107、変調部108、送信部109へ適切に出力する。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0058】
上位レイヤ310は、符号部107へ上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データを上りリンクチャネルに応じて適切に出力する。符号部107は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部108に出力する。変調部108は、符号部107で符号化された信号の変調を行なう。また、変調部108は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。
【0059】
送信部109は、変調部108から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。
【0060】
また、復号部103で復号した信号に自局宛のランダムアクセスプリアンブル送信指示のDCIが含まれていた場合、前記DCIは上位レイヤ110を通じて(あるいは復号部103から直接)ランダムアクセス処理部106に通知される。ランダムアクセス処理部106は、通知されたDCIと、コンポーネントキャリア管理部104から取得した各コンポーネントキャリア情報およびその活性/不活性状態の情報とに基づき、ランダムアクセス手順の方法を切り替えて、ランダムアクセス手順を開始する。
【0061】
上りリンク制御データが配置される上りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を構成する。移動局装置1のRRC部は上位レイヤ110の一部として存在する。また、ランダムアクセス処理部106は、移動局装置1のデータリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)の一部として存在する。図1において、その他の移動局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
【0062】
図2は、本発明の実施形態による基地局装置2の一例を示すブロック図である。本基地局装置2は、受信部201、復調部202、復号部203、制御部204、符号部205、変調部206、送信部207、ネットワーク信号処理部208、上位レイヤ209から構成される。
【0063】
上位レイヤ209は、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データを符号部205へ出力する。符号部205は、入力された各データを符号化し、変調部206へ出力する。変調部206は、符号化された信号の変調を行なう。また、変調部206は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。送信部207は、変調部206から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を図示しない1つ以上の送信器から既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に送信する。下りリンク制御データが配置される下りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRC(Radio Resource Control)メッセージ)を構成する。
【0064】
また、受信部201は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、後述する移動局装置1から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部202へ出力する。復調部202はデジタル信号を復調し、復号部203へ出力する。復号部203は、復調された信号を復号し、上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ209へ出力する。
【0065】
上位レイヤ209は、これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報を制御部204へ出力する。制御部204は、送信に関連する基地局装置制御情報は送信制御情報として、符号部205、変調部206、送信部207の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報は受信制御情報として、受信部201、復調部202、復号部203の各ブロックに適切に出力する。
【0066】
一方、ネットワーク信号処理部208は、複数の基地局装置2間(または制御局装置(MME)、ゲートウェイ装置(Gateway)、MCE)と基地局装置2との間の制御メッセージの送信または受信を行なう。制御メッセージはネットワーク回線を経由して送受信される。制御メッセージは、S1インターフェースやX2インターフェースやM1インターフェースやM2インターフェースと呼ばれる論理インターフェース上でやり取りされる。
【0067】
また、基地局装置2のRRC部は、上位レイヤ209の一部として存在する。図2において、その他の基地局装置2の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
【0068】
続いて、本実施形態の移動局装置1がPDCCHによりランダムアクセス手順を指示された場合のランダムアクセス処理方法について、図3を用いて説明を行なう。
【0069】
ここで、前述のDCI Format 1Aには、移動局装置1宛のデータが格納されているPDSCHのコンポーネントキャリアを示すキャリア指示領域(CIF; Carrier Indicator Field)と呼ばれる3ビットのデータが含まれる。
【0070】
本実施形態の移動局装置は、ランダムアクセス手順が開始されるセルを判断するために、従来ランダムアクセス手順の指示のためには使用されていなかったCIFを用いたランダムアクセス手順とCIFを用いないランダムアクセス手順とを、基地局装置2より設定されたランダムアクセスの設定の有無に応じて適切なタイミングで切り替えることを特徴とする。
【0071】
図3にランダムアクセス手順を選択するフローチャートを示す。図3において、まず移動局装置1は、コンポーネントキャリア管理部104で管理されている何れかのセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれるか否かを判断する(ステップS31)。ステップS31において物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれなかった場合、あるいはセカンダリセルが割り当てられていない場合、移動局装置1は第1のランダムアクセス手順を実行する(ステップS32)。具体的に第1のランダムアクセス手順は、従来のAdvanced EUTRAのランダムアクセス手順であるため説明を省略する。ステップS31において物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれる場合、移動局装置1は第2のランダムアクセス手順を実行する(ステップS33)。
【0072】
以下、第2のランダムアクセス手順について、図4を用いて説明する。図4において、基地局装置2は移動局装置1に対してランダムアクセスプリアンブルを割り当てるためにメッセージ0を送信する(ステップS41)。メッセージ0にはランダムアクセスプリアンブルを送信するリソースの割り当て情報およびプリアンブル番号が含まる。また、基地局装置2は、予め移動局装置1に通知したセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれている場合には、メッセージ0に含まれるCIFに、プライマリセルあるいはセカンダリセルとして基地局装置2が移動局装置1に割り当てたコンポーネントキャリアの何れかを特定する識別子を代入しておく。前記識別子は、基地局装置2から移動局装置1に対して送信されるRRC接続再設定メッセージ(RRCConnectionReconfiguration)で、セカンダリセルを割り当てたり解放したりする際に用いられる識別子であるセカンダリセル番号と同じ値(プライマリセルは識別子0であらわす)とすることが望ましいが、これに限らず、セカンダリセルの一部でのみランダムアクセス手順を実施可能とする場合(一部のセカンダリセルにのみ物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれる場合)には、それらのセルを同定できる識別子にしてもよい。
【0073】
メッセージ0を受信した移動局装置1は、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアの選択を行う(ステップS42)。
【0074】
図5にコンポーネントキャリアを選択するフローチャートを示す。図5において、移動局装置1はメッセージ0に含まれるCIFからコンポーネントキャリアの識別子を取得する(ステップS51)。次に、移動局装置1は、コンポーネントキャリア管理部104から取得したコンポーネントキャリアの割り当て情報を用いて、ステップS51で取得した識別子のコンポーネントキャリアが存在するか(割り当てられているか)を判断する(ステップS52)。前記識別子のコンポーネントキャリアが存在する場合はステップS53に遷移し、存在しない場合はステップS55に遷移する。ステップS52で前記識別子のコンポーネントキャリアが存在する場合、移動局装置1は前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態か否かを判断する(ステップS53)。前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態であればステップS54に遷移し、不活性状態であればステップS55に遷移する。ステップS53で前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態であれば、移動局装置1は前記識別子のコンポーネントキャリアを、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアに設定してフローを終了する(ステップS54)。
【0075】
ステップS52で、ステップS51で取得した識別子のコンポーネントキャリアが存在しない場合、あるいはステップS53で、前記識別子のコンポーネントキャリアが不活性状態である場合、ランダムアクセス手順を中止し、フローを終了する(ステップS55)。
【0076】
次に、移動局装置1は、ステップS42で設定されたコンポーネントキャリアで、当該コンポーネントキャリアに設定された物理ランダムアクセスチャネル設定に基づいたランダムアクセスプリアンブル(メッセージ1)を送信する(ステップS43)。
【0077】
ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置2は、当該ランダムアクセスプリアンブルが、自局が移動局装置1に対して設定したプリアンブル番号およびコンポーネントキャリアであることを確認し、PDCCHに前記ランダムアクセスプリアンブルを送信した移動局装置1宛の応答(ランダムアクセスレスポンス)を示すためのRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identity:ランダムアクセスレスポンス識別情報)を配置し、下りリンク共用チャネルPDSCHに、前記タイミングのずれ量に基づいた送信タイミング調整情報、スケジューリング情報、および受信したランダムアクセスプリアンブルの識別子情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージ(メッセージ2)を送信する(ステップS44)。ランダムアクセスレスポンスの少なくともPDCCHは、移動局装置1がランダムアクセスプリアンブルを送信した上りリンクのコンポーネントキャリアに対応する下りリンクコンポーネントキャリアで送信されることが望ましい。
【0078】
上述のように、移動局装置1は、基地局装置2より設定されたセカンダリセルと、セカンダリセルのランダムアクセスの設定(物理ランダムアクセスチャネル設定)に応じて、CIFを用いないランダムアクセス手順(第1のランダムアクセス手順)と従来ランダムアクセス手順の指示のためには使用されていなかったCIFを用いたランダムアクセス手順(第2のランダムアクセス手順)とを適切なタイミングで切り替えることで、無線リソースの使用量を増大させることなく、ランダムアクセス手順が開始されるセルを適切に判断することが可能となる。
【0079】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、CIFを用いたランダムアクセス手順の処理の別の一例を示す。
【0080】
本実施形態に用いる移動局装置1と基地局装置2の構成およびランダムアクセス手順の選択は、第1の実施形態における、それぞれ図1と図2および図3と同じ構成で良いため説明を省略する。
【0081】
以下、本実施形態における第2のランダムアクセス手順について、図6を用いて説明する。図6において、基地局装置2は移動局装置1に対してランダムアクセスプリアンブルを割り当てるためにメッセージ0を送信する(ステップS61)。メッセージ0にはランダムアクセスプリアンブルを送信するリソースの割り当て情報およびプリアンブル番号が含まる。また、基地局装置2は、予め移動局装置1に通知したセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれている場合には、メッセージ0に含まれるCIFに、プライマリセルあるいはセカンダリセルとして基地局装置2が移動局装置1に割り当てたコンポーネントキャリアの何れかを特定する識別子を代入しておく。前記識別子は、基地局装置2から移動局装置1に対して送信されるRRC接続再設定メッセージ(RRCConnectionReconfiguration)で、セカンダリセルを割り当てたり解放したりする際に用いられる識別子であるセカンダリセル番号と同じ値(プライマリセルは識別子0であらわす)とすることが望ましいが、これに限らず、セカンダリセルの一部でのみランダムアクセス手順を実施可能とする場合には、それらのセルを同定できる識別子であればよい。
【0082】
メッセージ0を受信した移動局装置1は、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアの選択を行う(ステップS62)。
【0083】
図7にコンポーネントキャリアを選択するフローチャートを示す。図7において、移動局装置1はメッセージ0に含まれるCIFからコンポーネントキャリアの識別子を取得する(ステップS71)。次に、移動局装置1は、コンポーネントキャリア管理部104から取得したコンポーネントキャリアの割り当て情報を用いて、ステップS71で取得した識別子のコンポーネントキャリアが存在するか(割り当てられているか)を判断する(ステップS72)。前記識別子のコンポーネントキャリアが存在する場合はステップS73に遷移し、存在しない場合はステップS75に遷移する。ステップS72で前記識別子のコンポーネントキャリアが存在する場合、移動局装置1は前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態か否かを判断する(ステップS73)。前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態であればステップS74に遷移し、不活性状態であればステップS75に遷移する。ステップS73で前記識別子のコンポーネントキャリアが活性状態であれば、移動局装置1は前記識別子のコンポーネントキャリアを、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアに設定してフローを終了する(ステップS74)。
【0084】
ステップS72で、ステップS71で取得した識別子のコンポーネントキャリアが存在しない場合、あるいはステップS73で、前記識別子のコンポーネントキャリアが不活性状態である場合、移動局装置1はプライマリセルを、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアに設定してフローを終了する(ステップS75)。
【0085】
次に、移動局装置1は、ステップS62で設定されたコンポーネントキャリアで、当該コンポーネントキャリアに設定された物理ランダムアクセスチャネル設定に基づいたランダムアクセスプリアンブル(メッセージ1)を送信する(ステップS64)。
【0086】
また、基地局装置2はステップS61の実行後、CIFで指定したコンポーネントキャリアおよびプライマリセルを、前記移動局装置1からランダムアクセスプリアンブルを待ち受けるコンポーネントキャリアとして設定する(ステップS63)。
【0087】
ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置2は、当該ランダムアクセスプリアンブルが、自局が移動局装置1に対して設定したプリアンブル番号およびコンポーネントキャリア(あるいはプライマリセル)であることを確認し、PDCCHに前記ランダムアクセスプリアンブルを送信した移動局装置1宛の応答(ランダムアクセスレスポンス)を示すためのRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identity:ランダムアクセスレスポンス識別情報)を配置し、下りリンク共用チャネルPDSCHに、前記タイミングのずれ量に基づいた送信タイミング調整情報、スケジューリング情報、および受信したランダムアクセスプリアンブルの識別子情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージ(メッセージ2)を送信する(ステップS65)。ランダムアクセスレスポンスの少なくともPDCCHは、移動局装置1がランダムアクセスプリアンブルを送信した上りリンクのコンポーネントキャリアに対応する下りリンクコンポーネントキャリアで送信されることが望ましい。
【0088】
上述のように、移動局装置1は、基地局装置2より設定されたセカンダリセルと、セカンダリセルのランダムアクセスの設定(物理ランダムアクセスチャネル設定)に応じて、CIFを用いないランダムアクセス手順(第1のランダムアクセス手順)と従来ランダムアクセス手順の指示のためには使用されていなかったCIFを用いたランダムアクセス手順(第2のランダムアクセス手順)とを適切なタイミングで切り替えることで、無線リソースの使用量を増大させることなく、ランダムアクセス手順が開始されるセルを適切に判断することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態では、移動局装置1に割り当てられたセカンダリセルが不活性状態である場合に、プライマリセルへのランダムアクセスプリアンブルの送信を許容することで、データ伝送の遅延を抑えることが可能となる。
【0090】
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。
【0091】
また、上記実施形態では、ランダムアクセス手順を選択する際に、自局に設定されたセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれているか否かを判断基準として用いているが、その他の個別メッセージでセカンダリセルにおけるランダムアクセス手順実施の可否を通知して、可否情報を判断基準として用いてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、ランダムアクセス手順を選択する際に、自局に設定されたセカンダリセルのパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれているか否かを判断基準として用いているが、移動局装置1に複数のセカンダリセルが割り当てられている場合、少なくとも1つのセカンダリセルパラメータに物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれている場合に第2のランダムアクセス手順を選択するようにしてもよいし、特定の条件を満たすセカンダリセル(例えばプライマリセルとタイミングの異なる何れかのセカンダリセル)に物理ランダムアクセスチャネル設定が含まれている場合に第2のランダムアクセス手順を選択するようにしてもよい。
【0093】
また、説明の便宜上、実施形態の移動局装置1及び基地局装置2を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置1及び基地局装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置1や基地局装置2の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0094】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0095】
また、上記各実施形態に用いた移動局装置1および基地局装置2の各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0096】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1…移動局装置
2…基地局装置
14〜16…受信器
21〜23…送信器
101、201…受信部
102、202…復調部
103、203…復号部
104…コンポーネントキャリア管理部
105、204…制御部
106…ランダムアクセス処理部
107、205…符号部
108、206…変調部
109、207…送信部
110、209…上位レイヤ
208…ネットワーク信号処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と移動局装置とが、異なる複数の周波数帯域のセルを集約して通信を行なう通信システムであって、
前記基地局装置は、下りリンク制御チャネルを用いて前記移動局装置にランダムアクセス手順の実行を指示し、
前記移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順と
を切り替えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置であって、
前記移動局装置は、
自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行するランダムアクセス処理部を有することを特徴とする移動局装置。
【請求項5】
前記第1のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止する
ことを特徴とする請求項4記載の移動局装置。
【請求項6】
前記第1のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信する
ことを特徴とする請求項4記載の移動局装置。
【請求項7】
移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置と前記複数セルを介して通信を行なう基地局装置であって、
前記基地局装置は、下りリンク制御チャネルを用いて前記移動局装置にランダムアクセス手順の実行を指示する際に、
前記移動局装置に割り当てたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれる場合にのみ、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアの識別子を前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域に設定することを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置のランダムアクセス処理方法であって、
前記移動局装置は、
自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行するステップを備えることを特徴とするランダムアクセス処理方法。
【請求項9】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止する
ことを特徴とする請求項8記載のランダムアクセス処理方法。
【請求項10】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信する
ことを特徴とする請求項8記載のランダムアクセス処理方法。
【請求項11】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置の集積回路であって、
前記集積回路は、
自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行する機能を備えることを特徴とする集積回路。
【請求項12】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止する
ことを特徴とする請求項11記載の集積回路。
【請求項13】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子の情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信する
ことを特徴とする請求項11記載の集積回路。
【請求項1】
基地局装置と移動局装置とが、異なる複数の周波数帯域のセルを集約して通信を行なう通信システムであって、
前記基地局装置は、下りリンク制御チャネルを用いて前記移動局装置にランダムアクセス手順の実行を指示し、
前記移動局装置は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順と
を切り替えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置であって、
前記移動局装置は、
自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行するランダムアクセス処理部を有することを特徴とする移動局装置。
【請求項5】
前記第1のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止する
ことを特徴とする請求項4記載の移動局装置。
【請求項6】
前記第1のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が自局に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信する
ことを特徴とする請求項4記載の移動局装置。
【請求項7】
移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置と前記複数セルを介して通信を行なう基地局装置であって、
前記基地局装置は、下りリンク制御チャネルを用いて前記移動局装置にランダムアクセス手順の実行を指示する際に、
前記移動局装置に割り当てたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれる場合にのみ、ランダムアクセスプリアンブルを送信するコンポーネントキャリアの識別子を前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域に設定することを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置のランダムアクセス処理方法であって、
前記移動局装置は、
自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行するステップを備えることを特徴とするランダムアクセス処理方法。
【請求項9】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止する
ことを特徴とする請求項8記載のランダムアクセス処理方法。
【請求項10】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信する
ことを特徴とする請求項8記載のランダムアクセス処理方法。
【請求項11】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置と前記複数セルを介して通信を行なう移動局装置の集積回路であって、
前記集積回路は、
自局に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれるか否かによって、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いない第1のランダムアクセス手順と、
ランダムアクセス手順を行うセルの選択に、前記下りリンク制御チャネルに含まれるキャリア指示領域の情報を用いる第2のランダムアクセス手順とを切り替えて実行する機能を備えることを特徴とする集積回路。
【請求項12】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、ランダムアクセス手順を中止する
ことを特徴とする請求項11記載の集積回路。
【請求項13】
前記第1のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まれない場合に選択され、常にプライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記第2のランダムアクセス手順は、前記移動局装置に割り当てられたセカンダリセルのパラメータにランダムアクセスの設定が含まる場合に選択され、前記キャリア指示領域で通知された情報をコンポーネントキャリアの識別子の情報とみなし、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示しており、さらに前記コンポーネントキャリアが活性状態である場合には、前記コンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信し、
前記コンポーネントキャリアの識別子が前記移動局装置に割り当てられたコンポーネントキャリアを示していない、または前記コンポーネントキャリアが不活性状態である場合には、プライマリセルのコンポーネントキャリアでランダムアクセスプリアンブルを送信する
ことを特徴とする請求項11記載の集積回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−227746(P2012−227746A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93776(P2011−93776)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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