説明

通信システム、通信端末装置、サーバ装置及びクラウド転送用ボックスの設定方法

【課題】通信端末装置とサーバ装置とを相互に接続する際の設定を容易に行うことができる通信システムを提供する。
【解決手段】通信端末装置は、原稿データが蓄積される原稿蓄積ボックスを有する記憶部と、通信端末装置とサーバ装置とが相互に接続されたことを検出する検出部と、検出部により接続が検出された際に、原稿蓄積ボックスに関する属性情報をサーバ装置に送信する属性情報送信部と、原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして設定する設定部と、を有し、サーバ装置は、属性情報送信部より送信された属性情報に基づいて、通信端末装置に対して指示を送信する指示送信部と、クラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送する転送部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄積された原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送する通信システム並びにこれに用いられる通信端末装置及びサーバ装置に関する。また、本発明は、通信端末装置とサーバ装置とが相互に接続された際に、通信端末装置の原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして設定するクラウド転送用ボックスの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを利用してコンピュータ資源を提供する新しいサービス形態として、クラウドコンピューティングサービス(以下、「クラウドサービス」という)が注目されている。このクラウドサービスを利用することにより、ユーザは、インターネットを通じて提供されるサービス及びストレージ等のコンピュータ資源を、その所在を意識することなく利用することができる。
【0003】
クラウドサービスを利用するためには、まず、ユーザは、クラウドサービス用のサーバ装置にUSB機器(例えば、スキャナ及びUSBメモリ等)を接続する。次いで、ユーザは、パーソナルコンピュータ等を用いて、クラウドサービスによって提供されるウェブページにアクセスし、クラウドサービスを利用するための各種設定等を行う。これによりクラウドサービスの利用が可能になり、ユーザが例えばスキャナで原稿をスキャンすることにより、スキャンされた原稿データは、サーバ装置によってインターネットを介してクラウドサービスに転送される。このようにクラウドサービスに転送された原稿データは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等を用いることにより、いつでも閲覧することができる。
【0004】
このようなクラウドサービス用のサーバ装置に接続されるUSB機器として、上述したスキャナ及びUSBメモリ以外に、例えば特許文献1に開示されている通信端末装置としての複合機(MFP:Multi Function Peripherals)を用いることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−189028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の複合機をクラウドサービス用のサーバ装置と接続する際には、ユーザは、例えばパーソナルコンピュータ等を用いて、クラウドサービスによって提供されるウェブページにアクセスし、クラウドサービスを利用するための各種設定等を行う必要がある。そのため、ユーザは、クラウドサービス用のサーバ装置と複合機とを接続する度に、上述した煩雑な設定作業を行わなければならず、利便性が著しく低下する。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、通信端末装置とサーバ装置とを相互に接続する際の設定を容易に行うことができる通信システム、通信端末装置、サーバ装置及びクラウド転送用ボックスの設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る通信システムは、原稿データが蓄積される通信端末装置と、前記通信端末装置に蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送するサーバ装置と、を備え、前記通信端末装置は、原稿データが蓄積される原稿蓄積ボックスを有する記憶部と、前記通信端末装置と前記サーバ装置とが相互に接続されたことを検出する検出部と、前記検出部により接続が検出された際に、前記原稿蓄積ボックスに関する属性情報を前記サーバ装置に送信する属性情報送信部と、前記サーバ装置からの指示を受信した際に、前記原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして設定する設定部と、を有し、前記サーバ装置は、前記属性情報送信部より送信された前記属性情報に基づいて、前記通信端末装置に対して前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を送信する指示送信部と、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データをインターネットを介して前記クラウドサービスに転送する転送部と、を有しており、前記通信端末装置の前記設定部は、前記サーバ装置の前記指示送信部より送信された指示に基づいて、前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する。
【0009】
この構成によれば、通信端末装置とサーバ装置とが相互に接続された際に、原稿蓄積ボックスがクラウド転送用ボックスとして自動的に設定されるので、ユーザが煩雑な設定作業を行う必要がなく、利便性を高めることができる。また、通信端末装置に搭載された既存の原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして利用することができ、原稿蓄積ボックスの汎用性を高めることができる。
【0010】
また、前記記憶部は、前記原稿蓄積ボックスを複数有しており、前記属性情報は、前記複数の原稿蓄積ボックスのうち、前記クラウド転送用ボックスとして使用可能であると予め登録された特定の原稿蓄積ボックスに関する情報であり、前記指示送信部は、前記属性情報送信部より送信された前記属性情報に基づいて、前記通信端末装置に対して前記特定の原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を送信し、前記通信端末装置の前記設定部は、前記サーバ装置の前記指示送信部より送信された指示に基づいて、前記特定の原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、複数の原稿蓄積ボックスのうち、クラウド転送用ボックスとして使用可能であると予め登録された特定の原稿蓄積ボックスを、クラウド設定用ボックスとして設定することができる。
【0012】
また、前記記憶部は、前記原稿蓄積ボックスを複数有しており、前記属性情報は、前記複数の原稿蓄積ボックスのうち、原稿データが蓄積されていない空きの原稿蓄積ボックスに関する情報であり、前記指示送信部は、前記属性情報送信部より送信された前記属性情報に基づいて、前記通信端末装置に対して前記空きの原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を送信し、前記通信端末装置の前記設定部は、前記サーバ装置の前記指示送信部より送信された指示に基づいて、前記空きの原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、複数の原稿蓄積ボックスのうち、原稿データが蓄積されていない空きの原稿蓄積ボックスを、クラウド転送用ボックスとして設定することができる。
【0014】
また、前記通信端末装置は、さらに、原稿を光学的に読み取ることにより原稿データを生成する読取部を有し、前記読取部により生成された原稿データは、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積可能であることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、読取部により生成された原稿データを、クラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスに蓄積することができる。
【0016】
また、前記通信端末装置は、さらに、外部の通信端末装置からの原稿データをファクシミリ受信するファクシミリ受信部を有し、前記ファクシミリ受信部により受信された原稿データは、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積可能であることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、ファクシミリ受信部により受信された原稿データを、クラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスに蓄積することができる。
【0018】
また、前記通信端末装置は、さらに、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを前記クラウドサービスに転送することを許可する転送許可部を有し、前記転送許可部が原稿データの転送を許可するときには、前記ファクシミリ受信部により受信された原稿データは、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積され、前記転送許可部が原稿データの転送を許可しないときには、前記ファクシミリ受信部により受信された原稿データは、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積されないことが好ましい。
【0019】
この構成によれば、必要に応じて、クラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データがクラウドサービスに転送されることを許可する又は許可しないように設定することができる。
【0020】
また、前記サーバ装置は、複数のクラウドサービスに対応しており、前記サーバ装置は、さらに、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスより取得した原稿データの転送先を前記複数のクラウドサービスのうちから選択する選択部を有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、選択部によって、クラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスより取得した原稿データの転送先を複数のクラウドサービスのうちから選択することができる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る通信端末装置は、原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送するためのサーバ装置と接続された通信端末装置であって、原稿データが蓄積される原稿蓄積ボックスを有する記憶部と、前記通信端末装置と前記サーバ装置とが相互に接続されたことを検出する検出部と、前記検出部により接続が検出された際に、前記原稿蓄積ボックスに関する属性情報を前記サーバ装置に送信する属性情報送信部と、前記原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして設定する設定部と、を備え、前記属性情報送信部が前記属性情報を前記サーバ装置に送信することにより、前記サーバ装置から前記設定部に対して、前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示が送信され、前記設定部は、前記サーバ装置より送信された指示に基づいて、前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する。
【0023】
この構成によれば、通信端末装置とサーバ装置とが相互に接続された際に、原稿蓄積ボックスがクラウド転送用ボックスとして自動的に設定されるので、ユーザが煩雑な設定作業を行う必要がなく、利便性を高めることができる。また、通信端末装置に搭載された既存の原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして利用することができ、原稿蓄積ボックスの汎用性を高めることができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係るサーバ装置は、通信端末装置の原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送するサーバ装置であって、前記サーバ装置と前記通信端末装置とが相互に接続された際に、前記通信端末装置より送信された前記原稿蓄積ボックスに関する前記属性情報に基づいて、前記通信端末装置に対して前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を送信する指示送信部と、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データをインターネットを介して前記クラウドサービスに転送する転送部と、を備え、前記指示送信部が前記通信端末装置に対して指示を送信することにより、前記通信端末装置において、前記原稿蓄積ボックスが前記クラウド転送用ボックスとして設定される。
【0025】
この構成によれば、通信端末装置とサーバ装置とが相互に接続された際に、原稿蓄積ボックスがクラウド転送用ボックスとして自動的に設定されるので、ユーザが煩雑な設定作業を行う必要がなく、利便性を高めることができる。
【0026】
また、本発明の一態様に係るクラウド転送用ボックスの設定方法は、原稿データが蓄積される原稿蓄積ボックスを有する通信端末装置と、前記原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送するサーバ装置と、を備える通信システムにおけるクラウド転送用ボックスの設定方法であって、前記通信端末装置において、前記通信端末装置と前記サーバ装置とが相互に接続されたことを検出するステップと、前記通信端末装置と前記サーバ装置との接続が検出された際に、前記原稿蓄積ボックスに関する属性情報を前記通信端末装置から前記サーバ装置に送信するステップと、送信された前記属性情報に基づいて、前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を前記サーバ装置から前記通信端末装置に送信するステップと、送信された前記指示に基づいて、前記通信端末装置において前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定するステップと、を含む。
【0027】
この構成によれば、通信端末装置とサーバ装置とが相互に接続された際に、原稿蓄積ボックスがクラウド転送用ボックスとして自動的に設定されるので、ユーザが煩雑な設定作業を行う必要がなく、利便性を高めることができる。また、通信端末装置に搭載された既存の原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして利用することができ、原稿蓄積ボックスの汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、通信端末装置とサーバ装置とが相互に接続された際に、原稿蓄積ボックスがクラウド転送用ボックスとして自動的に設定されるので、ユーザが煩雑な設定作業を行う必要がなく、利便性を高めることができる。また、通信端末装置に搭載された既存の原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして利用することができ、原稿蓄積ボックスの汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1に係る通信システムの構成を示す概念図である。
【図2】図1の通信端末装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図1の通信端末装置及びサーバ装置の特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【図4】ボックス名の変更前における、原稿蓄積ボックスのボックス番号、ボックス名及び属性情報を示す図である。
【図5】図1の通信システムにおける、クラウド転送用ボックスの設定の流れを示すシーケンス図である。
【図6】ボックス名の変更後における、原稿蓄積ボックスのボックス番号、ボックス名及び属性情報を示す図である。
【図7】原稿をスキャナで読み取ることにより生成された原稿データを、クラウドサービスに転送する流れを示すシーケンス図である。
【図8】操作パネルに表示された原稿蓄積ボックスの選択画面を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る通信システムの構成を示す概念図である。
【図10】図9の通信端末装置及びサーバ装置の特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【図11】ボックス名の変更前における、原稿蓄積ボックスのボックス番号、ボックス名及び属性情報を示す図である。
【図12】ボックス名の変更後における、原稿蓄積ボックスのボックス番号、ボックス名及び属性情報を示す図である。
【図13】操作パネルに表示された原稿蓄積ボックスの選択画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る通信システム、通信端末装置、サーバ装置及びクラウド転送用ボックスの設定方法の各種実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、ステップ及びステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲のみによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の目的を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0031】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に係る通信システム1の構成を示す概念図である。図示の通信システム1では、例えばオフィス2内に構築されたLAN3(Local Area Network)を介して、通信端末装置4、サーバ装置5、ルータ6及びパーソナルコンピュータ7が相互に接続されている。
【0032】
通信端末装置4は、本実施の形態では複合機で構成されている。この通信端末装置4は、PSTN8(Public Switched TelephoneNetworks:公衆電話交換回線網)を介して、ファクシミリ送受信の相手先となる外部の相手通信端末装置9に接続されている。
【0033】
サーバ装置5は、クラウドサービス10に対応しており、ルータ6及びインターネット11を介してクラウドサービス10に接続されている。通信端末装置4とサーバ装置5とは、例えばUSBケーブル12(図3参照)を介して相互に接続されている。
【0034】
クラウドサービス10には、サービスサーバ13が含まれている。このサービスサーバ13には、後述するようにクラウドサービス10に転送(アップロード)された原稿データ等が記憶される。なお、クラウドサービス10には多数のサーバ等が含まれるが、説明の便宜上、図1では1台のサービスサーバ13のみを図示している。
【0035】
図2は、通信端末装置4のハードウェア構成を示す図である。通信端末装置4は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)14、ROM(Read Only Memory)15、RAM(Random Access Memory)16、モデム17、NCU(Network Control Unit)18、操作パネル19、ディスプレイ20、スキャナ21、プリンタ22、LANI/F(Local Area Network InterFace)23及びUSBI/F(Universal Serial Bus InterFace)24を備えている。
【0036】
CPU14は、ROM15に格納された制御プログラム25を実行するプロセッサである。
【0037】
ROM15は、制御プログラム25等を保持する読み出し専用メモリである。
【0038】
RAM16は、CPU14が制御プログラム25を実行するときに使用するワークエリアであり、スキャナ21により読み込まれた原稿データ等を一時的に保持する揮発性の記憶領域等を有する読み書き可能なメモリである。
【0039】
モデム17は、外部の相手通信端末装置9に対してファクシミリ送信される原稿データを変調する、或いは、外部の相手通信端末装置9からファクシミリ送信されてきた原稿データを復調するファックスモデムである。
【0040】
NCU18は、PSTN8と接続される回線終端装置である。
【0041】
操作パネル19は、ユーザによる操作、例えば、通信端末装置4の電源をオン、オフする旨の指示及びスキャナ21により原稿等の読み取りを開始する旨の指示等を受け付けるパネルである。
【0042】
ディスプレイ20は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)等で構成される。このディスプレイ20には、後述する原稿蓄積ボックスの一覧等が表示される。
【0043】
スキャナ21は、原稿の内容をCCD(Charge Coupled Device)等で光学的に読み取る(スキャンする)ことにより、原稿データを生成する。スキャナ21により読み取られた原稿等は、例えば、モデム17によりファクシミリ送信される、或いは、プリンタ22にてプリント出力される。
【0044】
プリンタ22は、例えばスキャナ21で読み取られた原稿等、或いは、相手通信端末装置9からPSTN8、NCU18及びモデム17を介して受信した原稿データをプリント出力する。
【0045】
LANI/F23は、通信端末装置4とLAN3とを相互に接続するための通信アダプタである。
【0046】
USBI/F24は、通信端末装置4とUSB機器(本実施形態ではサーバ装置5)とを相互に接続するための通信アダプタである。
【0047】
図3は、本実施の形態に係る通信端末装置4及びサーバ装置5の特徴的な機能構成を示すブロック図である。なお、図3に図示された通信端末装置4では、図2に示されるハードウェア構成によって発揮される通信端末装置4の機能構成のうち、本発明に関連する機能構成のみが抽出されている。
【0048】
まず、通信端末装置4の機能構成について説明する。通信端末装置4は、機能的には、USBインターフェース部25、記憶部26及び制御部27を備えている。
【0049】
USBインターフェース部25は、例えば図2におけるUSBI/F24によって実現される。このUSBインターフェース部25には、USBケーブル12の一端部が着脱自在に接続される。
【0050】
記憶部26は、原稿データを蓄積するための複数個(本実施の形態では30個)の原稿蓄積ボックスを有している。この記憶部26は、例えば図2におけるRAM16によって実現される。また、記憶部26には、図4に示すように、30個の原稿蓄積ボックスの各々について予め設定されたボックス番号、ボックス名及び属性情報が記憶されている。例えば、ボックス番号「1」の原稿蓄積ボックスのボックス名は「BOX1」であり、属性情報は「ボックス名変更不可」である。ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスのボックス名は「BOX29」であり、属性情報は「クラウド転送用ボックスとして設定可能(ファクシミリ受信)」である。ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスのボックス名は「BOX30」であり、属性情報は「クラウド転送用ボックスとして設定可能(スキャン)」である。
【0051】
属性情報とは、原稿蓄積ボックスの属性に関する情報である。例えば、ボックス番号「1」の原稿蓄積ボックスの属性情報は、ボックス名の変更ができないように設定されていることを表す情報である。ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスの属性情報は、ファクシミリ受信された原稿データを蓄積するためのクラウド転送用ボックスとして設定可能であることを表す情報である。ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスの属性情報は、スキャナ21により生成された原稿データを蓄積するためのクラウド転送用ボックスとして設定可能であることを表す情報である。即ち、30個の原稿蓄積ボックスのうち、ボックス番号「29」及び「30」の原稿蓄積ボックスが、クラウド転送用ボックスとして設定可能であると予め登録されている。
【0052】
後述するように、ボックス番号「29」及び「30」の原稿蓄積ボックスがクラウド転送用ボックスとして設定された際には、これらの原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データは、サーバ装置5によってクラウドサービス10に転送される。なお、上述した原稿蓄積ボックスの属性情報は、例えばパーソナルコンピュータ7を用いて、通信端末装置4によって提供されるウェブページ上で設定することができる。
【0053】
制御部27は、読取部28、ファクシミリ受信部29、検出部30、属性情報送信部31、指示受信部32、設定部33及び転送許可部34を備えている。この制御部27は、例えば図2における制御プログラム25によって実現される。
【0054】
読取部28は、イメージセンサ等で構成され、原稿を光学的に読み取ることにより原稿データを生成する。読取部28により生成された原稿データは、30個の原稿蓄積ボックスのうちいずれかに蓄積される。この読取部28は、例えば図2におけるスキャナ21によって実現される。
【0055】
ファクシミリ受信部29は、外部の相手通信端末装置9からファクシミリ送信された原稿データを受信する。このファクシミリ受信部29は、例えば図2におけるモデム17によって実現される。
【0056】
検出部30は、通信端末装置4とサーバ装置5とが相互に接続されたことを検出する。具体的には、通信端末装置4のUSBインターフェース部35とサーバ装置5のUSBインターフェース35(後述する)とがUSBケーブル12を介して相互に接続された状態で、通信端末装置4の電源をオンにしたときに、検出部30は接続を検出する。或いは、通信端末装置4の電源がオンの状態で、通信端末装置4のUSBインターフェース部25とサーバ装置5のUSBインターフェース部35とをUSBケーブル12を介して相互に接続したときに、検出部30は接続を検出する。
【0057】
属性情報送信部31は、検出部30により通信端末装置4とサーバ装置5との接続が検出されたことを受けて、記憶部26に記憶された30個の原稿蓄積ボックスの各々の属性情報(ボックス番号及びボックス名の情報を含む)をサーバ装置5に送信する。
【0058】
指示受信部32は、サーバ装置5の指示送信部39(後述する)から送信された指示を受信する。
【0059】
設定部33は、指示受信部32により受信した指示に基づいて、30個の原稿蓄積ボックスのうち特定の原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして設定するとともに、上記特定の原稿蓄積ボックスのボックス名を変更する。
【0060】
転送許可部34は、ファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データをクラウドサービス10に転送することについての許可を行う。転送許可部34が原稿データの転送を許可するときには、ファクシミリ受信部29により受信された原稿データは、ファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスに蓄積される。転送許可部34が原稿データの転送を許可しないときには、ファクシミリ受信部29により受信された原稿データは、ファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスに蓄積されない。この場合には、原稿データは、通常のファクシミリ受信用の原稿蓄積ボックスに蓄積される。なお、転送許可部34による原稿データの転送の許可及び不許可は、ユーザが操作パネル19を操作することにより切り替えることができる。
【0061】
次に、サーバ装置5の機能構成について説明する。サーバ装置5は、USBインターフェース部35及び制御部36を備えている。
【0062】
USBインターフェース部35には、USBケーブル12の他端部が着脱自在に接続される。これにより、通信端末装置4のUSBインターフェース部25とサーバ装置5のUSBインターフェース部35とがUSBケーブル12を介して相互に接続される。
【0063】
制御部36は、検出部37、属性情報受信部38、指示送信部39及び転送部40を備えている。
【0064】
検出部37は、上述した通信端末装置4の検出部30と同様に、通信端末装置4とサーバ装置5とが相互に接続されたことを検出する。
【0065】
属性情報受信部38は、通信端末装置4の属性情報送信部31より送信された、30個の原稿蓄積ボックスの各々の属性情報を受信する。
【0066】
指示送信部39は、属性情報受信部38により受信された属性情報に基づき、30個の原稿蓄積ボックスのうち特定の原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして設定する旨の指示を通信端末装置4に送信する。同時に、指示送信部39は、属性情報受信部38により受信された属性情報に基づき、上記特定の原稿蓄積ボックスのボックス名を変更する旨の指示を通信端末装置4に送信する。
【0067】
転送部40は、クラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスに原稿データが蓄積されているかを定期的に(例えば、10分毎に)チェックする。原稿データが蓄積されている場合には、原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データを、インターネット11を介してクラウドサービス10に転送(アップロード)する。
【0068】
次に、図5を用いて、本実施の形態の通信システム1におけるクラウド転送用ボックスの設定方法について説明する。図5は、本実施の形態の通信システム1におけるクラウド転送用ボックスの設定の流れを示すシーケンス図である。
【0069】
まず、通信端末装置4のUSBインターフェース部25とサーバ装置5のUSBインターフェース部35とがUSBケーブル12を介して相互に接続された状態で、ユーザは、通信端末装置4の操作パネル19を操作して通信端末装置4の電源をオンにする。これにより、通信端末装置4の検出部28及びサーバ装置5の検出部37はそれぞれ、通信端末装置4とサーバ装置5とが相互に接続されたことを検出する(S11,S12)。なお、通信端末装置4の電源がオンの状態で、ユーザが通信端末装置4のUSBインターフェース部25とサーバ装置5のUSBインターフェース部35とをUSBケーブル12を介して相互に接続してもよい。
【0070】
通信端末装置4の属性情報送信部31は、検出部30により通信端末装置4とサーバ装置5との接続が検出されたことを受けて、30個の原稿蓄積ボックスの各々の属性情報をサーバ装置5に送信する(S13)。この属性情報は、サーバ装置5の属性情報受信部38によって受信される(S14)。
【0071】
サーバ装置5の指示送信部39は、属性情報受信部38により受信された属性情報に基づき、30個の原稿蓄積ボックスのうち、クラウド転送用ボックスとして設定すべき原稿蓄積ボックスを決定する(S15)。具体的には、指示送信部39は、30個の原稿蓄積ボックスのうち、「クラウド転送用ボックスとして設定可能(ファクシミリ受信)」という属性情報を有する、ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスをファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして決定する。また、指示送信部39は、30個の原稿蓄積ボックスのうち、「クラウド転送用ボックスとして設定可能(スキャン)」という属性情報を有する、ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスをスキャン用のクラウド転送用ボックスとして決定する。
【0072】
その後、指示送信部39は、ボックス番号「29」及び「30」の原稿蓄積ボックスをそれぞれクラウド転送用ボックスとして設定する旨の指示を通信端末装置4に送信する(S16)。同時に、指示送信部39は、ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX29」から「RX(Cloud Service)」に変更し、ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX30」から「SCAN(Cloud Service)」に変更する旨の指示を通信端末装置4に送信する(S16)。
【0073】
指示送信部39より送信された指示は、通信端末装置4の指示受信部32により受信される(S17)。設定部33は、指示受信部32により受信された指示に基づき、ボックス番号「29」及び「30」の原稿蓄積ボックスをそれぞれファクシミリ受信用及びスキャン用のクラウド転送用ボックスとして設定する(S18)。同時に、設定部33は、ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX29」から「RX(Cloud Service)」に変更し、ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX30」から「SCAN(Cloud Service)」に変更する(S18)。ボックス番号「29」及び「30」の原稿蓄積ボックスのボックス名は、図6に示すように変更される。
【0074】
次に、図7を用いて、スキャナ21により生成された原稿データをクラウドサービス10に転送する流れについて説明する。図7は、原稿をスキャナ21で読み取ることにより生成された原稿データを、クラウドサービス10に転送する流れを示すシーケンス図である。
【0075】
まず、ユーザは、図8に示すように、操作パネル19を操作して、スキャン用のクラウド転送用ボックスとして設定されたボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスを選択した後に(S31)、スキャナ21(読取部28)に原稿を読み取らせる(S32)。なお、スキャンモードにおいては、操作パネル19において、ファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして設定されたボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスをグレーアウト表示させ、原稿をスキャンする際にこの原稿蓄積ボックスの選択を受け付けないようにすることが好ましい。スキャナ21により生成された原稿データは、選択されたボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスに蓄積される(S33)。
【0076】
サーバ装置5の転送部33は、スキャン用のクラウド転送用ボックスとして設定されたボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスを定期的にチェックする(S34)。この原稿蓄積ボックスに原稿データが蓄積されている場合には、蓄積された原稿データが通信端末装置4からサーバ装置5に送信されることにより(S35)、転送部33は、蓄積された原稿データを取得する(S36)。原稿データが取得された際には、ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスに蓄積されていた原稿データは自動的に削除される(S37)。その後、転送部33は、取得した原稿データをルータ6及びインターネット11を介してクラウドサービス10に転送する(S38)。転送された原稿データは、クラウドサービス10のサービスサーバ13に記憶される(S39)。
【0077】
なお、スキャナ21により読み取られた原稿データをクラウドサービス10に転送しないときには、ユーザは次のような操作を行えばよい。即ち、ユーザは、操作パネル19を操作して、ボックス番号「29」及び「30」以外の原稿蓄積ボックス、即ち、ボックス番号「1」〜「28」の原稿蓄積ボックスのいずれかを選択する。その後、スキャナ21に原稿を読み取らせることにより、原稿データは、選択されたボックス番号「1」〜「28」の原稿蓄積ボックスのいずれかに蓄積され、例えばLAN3を介してパーソナルコンピュータ7に転送される。
【0078】
また、ファクシミリ受信した原稿データをクラウドサービス10に転送する流れについて説明する。まず、ユーザは、操作パネル19を操作することにより、通信端末装置4の転送許可部34が原稿データの転送を許可するように設定する。相手通信端末装置9からの原稿が通信端末装置4のファクシミリ受信部29にてファクシミリ受信された際には、ファクシミリ受信された原稿データは、ファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして設定されたボックス番号「29」の原稿蓄積用ボックスに蓄積される。その後、上述したS34〜S39と同様の処理が行われる。これにより、上述と同様にして、ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データは、ルータ6及びインターネット11を介してクラウドサービス10に転送される。
【0079】
なお、転送許可部34が原稿データの転送を許可しないように設定されている場合には、ファクシミリ受信された原稿データは、ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスには蓄積されない。この場合、原稿データは、通常のファクシミリ受信用の原稿蓄積ボックス、例えば、ボックス番号「10」の原稿蓄積ボックスに蓄積される。例えば、ボックス番号「10」の原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データは、プリンタ22によりプリント出力される。
【0080】
このように原稿データがクラウドサービス10に転送されることにより、例えばパーソナルコンピュータ7又は携帯端末装置41(図1参照)を用いて、原稿データをインターネット11を介して閲覧することができる。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態では、通信端末装置4とサーバ装置5とが相互に接続された際に、原稿蓄積ボックスがクラウド転送用ボックスとして自動的に設定されるので、ユーザが煩雑な設定作業を行う必要がなく、利便性を高めることができる。また、通信端末装置4に搭載された既存の原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして利用することができ、原稿蓄積ボックスの汎用性を高めることができる。
【0082】
なお、原稿データが画像データである場合には、クラウドサービス10に転送される画像データの形式は、サーバ装置5にて設定することができる。また、クラウドサービス10への原稿データの転送が完了した際に、サーバ装置5から通信端末装置4等に対して転送完了の通知がされるように設定することもできる。
【0083】
[実施の形態2]
図9は、本実施の形態に係る通信システム1’の構成を示す概念図である。本実施の形態では、サーバ装置5’は、2つのクラウドサービス、即ち、第1のクラウドサービス10a及び第2のクラウドサービス10bに対応している。第1のクラウドサービス10a及び第2のクラウドサービス10bにはそれぞれ、第1のサービスサーバ13a及び第2のサービスサーバ13bが含まれている。
【0084】
図10は、本実施の形態に係る通信端末装置4’及びサーバ装置5’の特徴的な機能構成を示すブロック図である。本実施の形態では、サーバ装置5’はさらに、選択部50を備えている。この選択部50は、ファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして設定された原稿蓄積ボックスより取得された原稿データの転送先を、第1のクラウドサービス10a及び第2のクラウドサービス10bのうちから選択する。選択部50により原稿データの転送先として第1のクラウドサービス10aが選択されたときには、転送部40’は、ファクシミリ受信された原稿データを第1のクラウドサービス10aに転送する。また、選択部50により原稿データの転送先として第2のクラウドサービス10bが選択されたときには、転送部40’は、ファクシミリ受信された原稿データを第2のクラウドサービス10bに転送する。
【0085】
通信端末装置4’の記憶部26’は、原稿データを蓄積するための複数個(本実施の形態では30個)の原稿蓄積ボックスを有している。また、記憶部26’には、図11に示すように、30個の原稿蓄積ボックスの各々について予め設定されたボックス番号、ボックス名及び属性情報が記憶されている。例えば、ボックス番号「1」の原稿蓄積ボックスのボックス名は「BOX1」であり、属性情報は「原稿データの蓄積あり」である。ボックス番号「28」の原稿蓄積ボックスのボックス名は「BOX28」であり、属性情報は「原稿データの蓄積なし」である。ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスのボックス名は「BOX29」であり、属性情報は「原稿データの蓄積なし」である。また、ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスのボックス名は「BOX30」であり、属性情報は「原稿データの蓄積なし」である。
【0086】
即ち、本実施の形態では、ボックス番号「1」〜「27」の原稿蓄積ボックスの属性情報はいずれも、原稿データが蓄積された空きでない原稿蓄積ボックスであることを表す情報である。また、ボックス番号「28」、「29」及び「30」の原稿蓄積ボックスの属性情報はいずれも、原稿データが蓄積されていない空きの原稿蓄積ボックスであることを表す情報である。
【0087】
サーバ装置5’の指示送信部39’は、属性情報受信部38’により受信された属性情報に基づき、30個の原稿蓄積ボックスのうち、クラウド転送用ボックスとして設定すべき原稿蓄積ボックスを決定する。具体的には、指示送信部39’は、30個の原稿蓄積ボックスのうち、「原稿データの蓄積なし」という属性情報を有するボックス番号「28」の原稿蓄積ボックスを、ファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして決定する。指示送信部39’は、30個の原稿蓄積ボックスのうち、「原稿データの蓄積なし」という属性情報を有するボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスを、第1のクラウドサービス用且つスキャン用のクラウド転送用ボックスとして決定する。また、指示送信部39’は、30個の原稿蓄積ボックスのうち、「原稿データの蓄積なし」という属性情報を有するボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスを、第2のクラウドサービス用且つスキャン用のクラウド転送用ボックスとして決定する。
【0088】
このように決定した後に、指示送信部39’は、ボックス番号「28」、「29」及び「30」の原稿蓄積ボックスをそれぞれクラウド転送用ボックスとして設定する旨の指示を通信端末装置4’に送信する。同時に、指示送信部39’は、ボックス番号「28」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX28」から「RX(Cloud Service 1,2)」に変更する旨の指示を通信端末装置4’に送信する。また、指示送信部39’は、ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX29」から「SCAN(Cloud Service 1)」に変更する旨の指示を通信端末装置4’に送信する。さらに、指示送信部30’は、ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX30」から「SCAN(Cloud Service 2)」に変更する旨の指示を通信端末装置4’に送信する。
【0089】
通信端末装置4’の設定部33’は、指示受信部32’により受信された指示に基づき、ボックス番号「28」をファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして設定する。また、設定部33’は、ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスを第1のクラウドサービス用且つスキャン用のクラウド転送用ボックスとして設定する。さらに、設定部33’は、ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスを第2のクラウドサービス用且つスキャン用のクラウド転送用ボックスとして設定する。
【0090】
同時に、設定部33’は、ボックス番号「28」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX28」から「RX(Cloud Service 1,2)」に変更する。また、設定部33’は、ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX29」から「SCAN(Cloud Service 1)」に変更し、ボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスのボックス名を「BOX30」から「SCAN(Cloud Service 2)」に変更する。ボックス番号「28」、「29」及び「30」の原稿蓄積ボックスのボックス名は、図12に示すように変更される。
【0091】
次に、スキャナ21(図2参照)により生成された原稿データを第1のクラウドサービス10aに転送する流れについて説明する。まず、ユーザは、図13に示すように、操作パネル19(図2参照)を操作して、スキャン用のクラウド転送用ボックスとして設定されたボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスを選択した後に、スキャナ21(読取部28)に原稿を読み取らせる。読取部28により生成された原稿データは、選択されたボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスに蓄積される。その後、上記実施の形態1で説明したS34〜S39と同様の処理が行われる。これにより、上述と同様にして、ボックス番号「29」の原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データは、ルータ6及びインターネット11を介して第1のクラウドサービス10aに転送される。
【0092】
なお、読取部28により生成された原稿データを第2のクラウドサービス10bに転送する場合には、ユーザは、操作パネル19を操作して、スキャン用のクラウド転送用ボックスとして設定されたボックス番号「30」の原稿蓄積ボックスを選択すればよい。
【0093】
また、ファクシミリ受信した原稿データを第1のクラウドサービス10aに転送する流れについて説明する。なお、選択部50により、原稿データの転送先が第1のクラウドサービス10aに設定されている場合について説明する。まず、ユーザは、操作パネル19を操作することにより、通信端末装置4’の転送許可部34が原稿データの転送を許可するように設定する。相手通信端末装置9からの原稿が通信端末装置4’のファクシミリ受信部29にてファクシミリ受信された際には、原稿データは、ファクシミリ受信用のクラウド転送用ボックスとして設定されたボックス番号「28」の原稿蓄積用ボックスに蓄積される。その後、上述したS34〜S39と同様の処理が行われる。これにより、上述と同様にして、ボックス番号「28」の原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データは、ルータ6及びインターネット11を介して第1のクラウドサービス10aに転送される。
【0094】
従って、上記実施の形態1と同様に、通信端末装置4’とサーバ装置5’とが相互に接続された際に、原稿蓄積ボックスがクラウド転送用ボックスとして自動的に設定されるので、ユーザが煩雑な設定作業を行う必要がなく、利便性を高めることができる。また、通信端末装置4’に搭載された既存の原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして利用することができ、原稿蓄積ボックスの汎用性を高めることができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、空きの原稿蓄積ボックスが3つある場合について説明した。例えば空きの原稿蓄積ボックスが4つ以上ある場合には、サーバ装置5’の指示送信部39’は、最初に見つけた3つの空きの原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして設定するように指示することができる。
【0096】
また、本実施の形態では、サーバ装置5’の選択部50は、原稿データの転送先として第1のクラウドサービス10a及び第2のクラウドサービス10bのいずれかを選択したが、第1のクラウドサービス10a及び第2のクラウドサービス10bの両方を選択するように構成することもできる。この場合には、原稿データは、第1のクラウドサービス10a及び第2のクラウドサービス10bの両方に転送される。
【0097】
以上、本発明の通信システム、通信端末装置、サーバ装置及びクラウド転送用ボックスの設定方法について、実施の形態1及び2に基づいて説明したが、本発明は、これら実施の形態1及び2に限定されるものではない。これらの実施の形態に対して当業者が思い付く変形を施して得られる形態、及び、これらの実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
【0098】
例えば、親展受信として原稿データがファクシミリ受信された場合には、原稿データをクラウドサービスに転送しないように、通信端末装置側で設定することもできる。
【0099】
なお、原稿蓄積ボックスに関する属性情報が予め設定されていない場合には、複数個の原稿蓄積ボックスのうち、任意の原稿蓄積ボックスをクラウド設定用ボックスとして強制的に割り当てることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、通信端末装置とサーバ装置とを相互に接続する際の設定を容易に行うことができる通信システム、通信端末装置、サーバ装置及びクラウド転送用ボックスの設定方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1,1’ 通信システム
4,4’ 通信端末装置
5,5’ サーバ装置
9 相手通信端末装置
10 クラウドサービス
10a 第1のクラウドサービス
10b 第2のクラウドサービス
11 インターネット
28 読取部
29 ファクシミリ受信部
30,37 検出部
31,31’ 属性情報送信部
33,33’ 設定部
34 転送許可部
39,39’ 指示送信部
40,40’ 転送部
50 選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿データが蓄積される通信端末装置と、
前記通信端末装置に蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送するサーバ装置と、を備え、
前記通信端末装置は、
原稿データが蓄積される原稿蓄積ボックスを有する記憶部と、
前記通信端末装置と前記サーバ装置とが相互に接続されたことを検出する検出部と、
前記検出部により接続が検出された際に、前記原稿蓄積ボックスに関する属性情報を前記サーバ装置に送信する属性情報送信部と、
前記サーバ装置からの指示を受信した際に、前記原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして設定する設定部と、を有し、
前記サーバ装置は、
前記属性情報送信部より送信された前記属性情報に基づいて、前記通信端末装置に対して前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を送信する指示送信部と、
前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データをインターネットを介して前記クラウドサービスに転送する転送部と、を有しており、
前記通信端末装置の前記設定部は、前記サーバ装置の前記指示送信部より送信された指示に基づいて、前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する
通信システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記原稿蓄積ボックスを複数有しており、
前記属性情報は、前記複数の原稿蓄積ボックスのうち、前記クラウド転送用ボックスとして使用可能であると予め登録された特定の原稿蓄積ボックスに関する情報であり、
前記指示送信部は、前記属性情報送信部より送信された前記属性情報に基づいて、前記通信端末装置に対して前記特定の原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を送信し、
前記通信端末装置の前記設定部は、前記サーバ装置の前記指示送信部より送信された指示に基づいて、前記特定の原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記原稿蓄積ボックスを複数有しており、
前記属性情報は、前記複数の原稿蓄積ボックスのうち、原稿データが蓄積されていない空きの原稿蓄積ボックスに関する情報であり、
前記指示送信部は、前記属性情報送信部より送信された前記属性情報に基づいて、前記通信端末装置に対して前記空きの原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を送信し、
前記通信端末装置の前記設定部は、前記サーバ装置の前記指示送信部より送信された指示に基づいて、前記空きの原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信端末装置は、さらに、原稿を光学的に読み取ることにより原稿データを生成する読取部を有し、
前記読取部により生成された原稿データは、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積可能である
請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記通信端末装置は、さらに、外部の通信端末装置からの原稿データをファクシミリ受信するファクシミリ受信部を有し、
前記ファクシミリ受信部により受信された原稿データは、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積可能である
請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信端末装置は、さらに、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを前記クラウドサービスに転送することを許可する転送許可部を有し、
前記転送許可部が原稿データの転送を許可するときには、前記ファクシミリ受信部により受信された原稿データは、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積され、
前記転送許可部が原稿データの転送を許可しないときには、前記ファクシミリ受信部により受信された原稿データは、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積されない
請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、複数のクラウドサービスに対応しており、
前記サーバ装置は、さらに、前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスより取得した原稿データの転送先を前記複数のクラウドサービスのうちから選択する選択部を有する
請求項5又は6に記載の通信システム。
【請求項8】
原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送するためのサーバ装置と接続された通信端末装置であって、
原稿データが蓄積される原稿蓄積ボックスを有する記憶部と、
前記通信端末装置と前記サーバ装置とが相互に接続されたことを検出する検出部と、
前記検出部により接続が検出された際に、前記原稿蓄積ボックスに関する属性情報を前記サーバ装置に送信する属性情報送信部と、
前記原稿蓄積ボックスをクラウド転送用ボックスとして設定する設定部と、を備え、
前記属性情報送信部が前記属性情報を前記サーバ装置に送信することにより、前記サーバ装置から前記設定部に対して、前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示が送信され、前記設定部は、前記サーバ装置より送信された指示に基づいて、前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する
通信端末装置。
【請求項9】
通信端末装置の原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送するサーバ装置であって、
前記サーバ装置と前記通信端末装置とが相互に接続された際に、前記通信端末装置より送信された前記原稿蓄積ボックスに関する前記属性情報に基づいて、前記通信端末装置に対して前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を送信する指示送信部と、
前記クラウド転送用ボックスとして設定された前記原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データをインターネットを介して前記クラウドサービスに転送する転送部と、を備え、
前記指示送信部が前記通信端末装置に対して指示を送信することにより、前記通信端末装置において、前記原稿蓄積ボックスが前記クラウド転送用ボックスとして設定される
サーバ装置。
【請求項10】
原稿データが蓄積される原稿蓄積ボックスを有する通信端末装置と、前記原稿蓄積ボックスに蓄積された原稿データを取得し、取得した原稿データをインターネットを介してクラウドサービスに転送するサーバ装置と、を備える通信システムにおけるクラウド転送用ボックスの設定方法であって、
前記通信端末装置において、前記通信端末装置と前記サーバ装置とが相互に接続されたことを検出するステップと、
前記通信端末装置と前記サーバ装置との接続が検出された際に、前記原稿蓄積ボックスに関する属性情報を前記通信端末装置から前記サーバ装置に送信するステップと、
送信された前記属性情報に基づいて、前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定する指示を前記サーバ装置から前記通信端末装置に送信するステップと、
送信された前記指示に基づいて、前記通信端末装置において前記原稿蓄積ボックスを前記クラウド転送用ボックスとして設定するステップと、を含む
クラウド転送用ボックスの設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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