説明

通信システム及び通信システムの制御方法

【課題】 転送設定の事実を電話装置のユーザに表示することができる通信システム及びその制御方法を提供する。
【解決手段】 SIPサーバ22のCPU24により、IP電話10への発信に対してIP電話10とは別のIP電話19、20に転送設定され、その転送設定された事実がIP電話10の表示パネル18に表示される。これにより、IP電話10のユーザは表示パネル18に表示された事実を確認することにより、そのIP電話10が転送設定されていることを知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバと単数又は複数のIP電話装置(IP電話)などをIPネットワークで接続した通信システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VoIP(Voice over Internet Protocol)を用いて音声通話を行うIP電話装置(IP電話)が普及し始めている。VoIPとは、インターネットやイントラネットのようなIPネットワーク上で音声通話を実現する技術である。VoIPでは、デジタル符号化した音声信号を一定の時間毎に区切ってパケット化し、IPネットワークを使用して送信する。IPネットワークは回線使用効率が高いため、従来の電話回線を使用するよりも通話料金にかかるコストが少ないという利点がある。
【0003】
また、IP電話のもう一つの特徴として、VoIP以外のプロトコルを使用して、音声通信以外の通信機能を実装できるという点がある。例えば、IP電話の装置設定を行う場合、IP電話の小さな表示パネルと少ない操作ボタンで装置の設定を行うことは非常に煩わしい作業である。しかし、例えば、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を使用して外部(例えばPCのブラウザ)からIP電話へ接続する機能をIP電話に実装させることにより、PCのブラウザからIP電話の設定を変更したり、また例えば、IP電話の通信ログをPCのブラウザから参照したりすることが可能となる。
【0004】
ここで、上記IP電話とサーバとをネットワークで接続した通信システムについても従来から知られている。この通信システムでは、所定のIP電話に対して外部(外線電話)から発信があった場合やグループ内部(内線電話)から発信があった場合には、サーバを介してそのIP電話に通信接続され、また、そのIP電話から外部(外線電話)に対して発信した場合や内部(内線電話)に対して発信した場合にもサーバを介して通信接続される。すなわち、IP電話に着信する場合もIP電話から発信する場合もサーバを介して通信接続される。
【0005】
ところで、このような通信システムでは、所定のIP電話に対して外部(外線電話)又は内部(内線電話)から発信があった場合には、別のIP電話に転送(無条件転送)できるように、サーバ側で設定(制御)することがある。この場合、転送設定される対象となったIP電話には、全く着信が行われない。
【0006】
なお、上記従来技術は公用の技術であり、本発明は公用の技術をもとに開発したものである。このため、出願人は、特許出願の時において本発明に関連する文献公知発明の存在を知らず、文献公知発明の名称その他の文献公知発明に関する情報の所在の記載を省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、転送設定される対象となるIP電話のユーザがサーバ側で転送設定されたことを認識していなかった場合には、サーバから転送設定が解除されるまでは、そのIP電話に着信がされないことになる。また、自分でIP電話からサーバに対して転送設定したことを忘れていた場合には、自分で転送設定したことについて思い出し転送設定を解除するまでは、そのIP電話に着信がされないことになる。この結果、重要な相手先から電話を待っている場合などには、そのIP電話では着信が行われないため、不具合となる。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、転送設定の事実を電話装置のユーザに表示することができる通信システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、電話装置とサーバとを有し、前記サーバを介して前記電話装置に通信接続される通信システムであって、前記電話装置は、所定の情報を表示する表示手段を有し、前記サーバは、前記電話装置への発信に対して前記電話装置とは別の電話装置に転送させる転送設定を行い、転送設定の事実を前記表示手段に表示させる制御手段を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記電話装置の起動時に、転送設定された事実が前記表示手段に表示されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の通信システムにおいて、前記表示手段には、転送先の情報である転送先情報が表示されることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信システムにおいて、転送設定に関する内容に変更が生じた場合には、その変更された内容が前記表示手段に表示されることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、電話装置とサーバとを有し、前記サーバを介して前記電話装置に通信接続される通信システムの制御方法であって、前記サーバの制御手段により前記電話装置への発信に対して前記電話装置とは別の電話装置に転送設定されるとともに、転送設定された事実が前記電話装置の表示手段に表示されることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の通信システムの制御方法において、前記電話装置の起動時に、転送設定された事実が前記表示手段に表示されることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の通信システムの制御方法において、前記表示手段には、転送先の情報である転送先情報が表示されることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の通信システムの制御方法において、転送設定に関する内容に変更が生じた場合には、その変更された内容が前記表示手段に表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、サーバの制御手段により、電話装置への発信に対して電話装置とは別の電話装置に転送設定され、その転送設定された事実が電話装置の表示手段に表示される。これにより、電話装置のユーザは表示手段に表示された事実を確認することにより、その電話装置が転送設定されていることを知ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、電話装置の起動時に転送設定された事実が表示手段に表示されることにより、ユーザは電話装置を起動する度に転送設定されていることを確認することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、表示手段には転送先の情報である転送先情報が表示されることにより、電話装置のユーザはその転送先の情報を知ることができる。この結果、ユーザの電話装置から転送設定がされていた場合の着信の有無や着信内容などについて転送先の電話装置のユーザなどから知ることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、転送設定に関する内容に変更が生じた場合には、その変更された内容が表示手段に表示されることにより、電話装置のユーザは、転送設定の変更内容について、その都度知ることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、サーバの制御手段により電話装置への発信に対して電話装置とは別の電話装置に転送設定され、その転送設定された事実が電話装置の表示手段に表示される。これにより、電話装置のユーザは表示手段に表示された事実を確認することにより、その電話装置が転送設定されていることを知ることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、電話装置の起動時に転送設定された事実が表示手段に表示されることにより、ユーザは電話装置を起動する度に転送設定されていることを確認することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、表示手段には転送先の情報である転送先情報が表示されることにより、電話装置のユーザはその転送先の情報を知ることができる。この結果、ユーザの電話装置から転送設定がされていた場合の着信の有無や着信内容などについて転送先の電話装置のユーザなどから知ることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、転送設定に関する内容に変更が生じた場合には、その変更された内容が表示手段に表示されることにより、電話装置のユーザは、転送設定の変更内容について、その都度知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の一実施形態に係る通信システムについて、図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の通信システムは、IP電話10と、他のIP電話19、20と、SIPサーバ22と、を有しており、これらはネットワークにより通信接続されている。
【0027】
ここで、IP電話10は、制御部12と、メモリ14と、操作ボタン群16と、表示パネル18と、を備えている。
【0028】
制御部12は、IP電話10の各構成部材の駆動を有機的に制御して、IPネットワークを用いた通信処理を統括制御するものである。また、制御部12は、各装置(例えば、表示パネル18)の制御や、データの計算、データ加工処理等を行う中枢部分となっている。また、制御部12は、操作ボタン群16からの入力により外部(外線電話)又は内部(内線電話)からIP電話10に対して発信があった場合に他のIP電話19、20に転送する転送モードの設定(転送設定)や、この転送モードの設定を解除することができる。具体的には、転送モードの設定やその解除は、IP電話10の制御部12がSIPサーバ22のCPU24に対して制御信号を出力することにより実現される。また、操作ボタン群16から転送先に関する情報を入力することにより、SIPサーバ22のRAM26に記憶できるようになっている。
【0029】
メモリ14は、各種データを記録するための媒体である。具体的にはROMやRAMで構成されている。
【0030】
操作ボタン群16は、ユーザがIP電話10を用いて音声通信もしくはデータ通信等を行う際の各種指示をIP電話10に対して行うための入力インタフェースである。具体的には、ダイアルボタン、短縮ダイアルボタン、プレゼンス状態登録ボタン、などを含んでいる。
【0031】
表示パネル18は、ユーザに対してIP電話10が保持している各種情報を表示するための出力インタフェースである。この表示パネル18は、SIPサーバ22のCPU24からの制御信号に基づいて制御され、転送モードの設定になっている場合には、転送モードの設定になっていることを示すメッセージや転送先に関する情報(例えば、転送先の電話番号、そのユーザ名、設置場所など)が表示パネル18に表示される。
【0032】
また、IP電話10には、表示パネル18とは別に、転送モードであることを示すための表示部(例えば、LEDランプなど)を設け、転送モードの場合にその表示部にその事実を表示させる(例えば、LEDランプを発光させるなど)ようにしてもよい。
【0033】
なお、他のIP電話19、20についても、IP電話10と同様の構成になっている。
【0034】
SIPサーバ22は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いてIP電話10間の通信制御を行う通信制御装置である。SIPとは、転送機能や発信者番号通知機能などを備えた通話制御プロトコルの一種であり、同系統のプロトコルと比較して接続にかかる時間が短いという特徴を持つ。SIPサーバ22は、クライアント(例えばIP電話10、19、20)がアドレスを登録するレジスタサーバ、クライアントに代わってアドレスを検索するプロキシサーバ、クライアントから受け取った接続要求を別のアドレスに転送するリダイレクトサーバなどの機能を備えている。
【0035】
SIPサーバ22は、CPU24と、RAM26と、入力操作部28と、を有している。CPU22は、所定のIP電話10に外部(外線電話)又は内部(内線電話)から発信があった場合に別のIP電話19、20に転送する転送モードの設定やあるいはその解除を行う。また、RAM26は、転送先となる他のIP電話19、20に関する情報(例えば、転送先のIP電話19、20の電話番号、そのユーザ名、設置場所など)をデータとして記憶する。入力操作部28は、CPU24に転送モードの設定をするための情報や転送モードを解除するための情報を入力するためのものである。なお、転送先となるIP電話19、20に関する新たな情報をRAM26に記憶させていくことにより、IP電話19、20に関する情報が更新され、新たな転送先を設定することができる。
【0036】
次に、本実施形態の通信システムの制御方法について、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0037】
図1及び図2に示すように、SIPサーバ22のCPU24により転送モードの設定がされているか否かが判断される(S100)。SIPサーバ22のCPU24により転送モードの設定がされていると判断されると、転送先のIP電話に関する情報が変更されているか否かが判断される(S120)。転送先のIP電話に関する情報が変更されていないと判断されると、IP電話10の表示パネル18に、転送モードが設定されているメッセージ(例えば、「転送モード中」など)と、転送先を示す情報(例えば、転送先のIP電話の電話番号、そのユーザ名、設置場所など)が表示される(S140)。一方、転送先のIP電話に関する情報が変更されていると判断されると、IP電話10の表示パネル18に、転送モードが設定されているメッセージ(例えば、「転送モード中」など)と、変更された事実を示すメッセージ(例えば、「転送変更あり」など)と、変更先を示す情報(例えば、変更先のIP電話の電話番号、そのユーザ名、設置場所など)が表示される(S160)。
【0038】
以上のように、SIPサーバ22のCPU24により、IP電話10への発信に対してIP電話10とは別のIP電話19、20に転送設定され、その転送設定された事実がIP電話10の表示パネル18に表示されることにより、IP電話10のユーザは、表示パネル18に表示された事実を確認することにより、そのIP電話10が転送設定されていることを知ることができる。
【0039】
特に、表示パネル18には転送先の情報である転送先情報が表示されることにより、IP電話10のユーザはその転送先の情報も併せて知ることができる。この結果、ユーザのIP電話10から別のIP電話19、20に転送設定がされていた場合の着信の有無や着信内容などについて転送先のIP電話19、20のユーザなどから知ることができる。
【0040】
また、転送設定に関する内容に変更が生じた場合には、その変更された内容がIP電話10の表示パネル18に表示されることにより、IP電話10のユーザは、転送設定の変更内容についてその都度知ることができる。
【0041】
なお、IP電話10の表示パネル18への転送設定に関する事実、転送先あるいは変更先の表示は、IP電話10の起動時に行うことが好ましい。これにより、ユーザはIP電話10を起動する度に転送設定に関する全ての内容を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る通信システムの制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10 IP電話(電話装置)
18 表示パネル(表示手段)
19 IP電話(別の電話装置)
20 IP電話(別の電話装置)
22 SIPサーバ(サーバ)
24 CPU(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話装置とサーバとを有し、前記サーバを介して前記電話装置に通信接続される通信システムであって、
前記電話装置は、所定の情報を表示する表示手段を有し、
前記サーバは、前記電話装置への発信に対して前記電話装置とは別の電話装置に転送させる転送設定を行い、転送設定の事実を前記表示手段に表示させる制御手段を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記電話装置の起動時に、転送設定された事実が前記表示手段に表示されることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記表示手段には、転送先の情報である転送先情報が表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
転送設定に関する内容に変更が生じた場合には、その変更された内容が前記表示手段に表示されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
電話装置とサーバとを有し、前記サーバを介して前記電話装置に通信接続される通信システムの制御方法であって、
前記サーバの制御手段により前記電話装置への発信に対して前記電話装置とは別の電話装置に転送設定されるとともに、転送設定された事実が前記電話装置の表示手段に表示されることを特徴とする通信システムの制御方法。
【請求項6】
前記電話装置の起動時に、転送設定された事実が前記表示手段に表示されることを特徴とする請求項5に記載の通信システムの制御方法。
【請求項7】
前記表示手段には、転送先の情報である転送先情報が表示されることを特徴とする請求項5又は6に記載の通信システムの制御方法。
【請求項8】
転送設定に関する内容に変更が生じた場合には、その変更された内容が前記表示手段に表示されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の通信システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−352339(P2006−352339A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173822(P2005−173822)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】