説明

通信システム

【課題】 端末が複数のサービスを要求する場合あってもポーリング通信の通信量を抑制することができる通信システムを提供する。
【解決手段】 複数のサーバ12と、宅内機器2と、NATルータ3と、サーバ12から宅内機器2に対する通信要求を受信した後に宅内機器2から質問信号を受信した場合に、サーバ12からの通信要求があることの応答信号を宅内機器2に返信するポーリングサーバ11とを備え、宅内機器2は、サーバ12からの通信要求があることの応答信号をポーリングサーバ11から受信した場合に、当該通信要求を送信したサーバ12に対して通信を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバと端末との間で通信を行う通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、サーバによって端末の状態を把握するための手段として、ポーリングサーバを備えたポーリング通信システムが下記の特許文献1等で知られている。
【0003】
このポーリング通信システムは、複数の宅内機器と接続されて、当該複数の宅内機器と通信するサーバシステムであって、通常、宅内機器は、複数のポーリングサーバに分散して、ポーリング通信を行う。センターサーバは、各宅内機器と情報の授受を行うイベントが発生した場合に、当該宅内機器の通信要求を複数のポーリングサーバに送信し、宅内機器によってポーリングサーバに質問パケットが送信されると、ポーリングサーバはセンターサーバ通信要求があったことを表す応答パケットを返信する。これによって、宅内機器がセンターサーバにパケット要求をし、センターサーバから宅内機器にパケットが送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−172048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のポーリング通信システムは、端末が複数のサービスサーバと接続する場合に、複数のサービスごとのポーリング通信をしていると、端末が要求するサービスが多くなるほどポーリング通信に要する通信量が多くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、端末が複数のサービスを要求する場合あってもポーリング通信の通信量を抑制することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する第1の発明に係る通信システムは、第1ネットワークに設けられた複数のサーバと、第2ネットワークに設けられた端末と、前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間に設けられ、前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間で通信されるパケットを中継する中継装置と、前記第1ネットワークに設けられ前記サーバから前記端末に対する通信要求を受信した後に前記端末から質問信号を受信した場合に、前記サーバからの通信要求があることの応答信号を前記端末に返信するポーリングサーバとを備え、前記端末は、前記サーバからの通信要求があることの応答信号を前記ポーリングサーバから受信した場合に、当該通信要求を送信したサーバに対して通信を開始することを特徴とする。
【0008】
第1の発明に係る通信システムであって、第2の発明は、前記ポーリングサーバは、前記サーバが前記端末との間で通信を行う優先度を示す優先度情報を記憶する記憶手段を備え、前記ポーリングサーバは、前記端末から質問信号を受信した場合に、前記応答信号に、前記サーバからの通信要求及び前記優先度情報を含めて前記端末に返信し、前記端末は、前記応答信号に含まれている優先度情報に基づいて前記通信要求をしたサーバに対する通信開始順序を決定することを特徴とする。
【0009】
第1の発明に係る通信システムであって、第3の発明は、前記サーバは、前記ポーリングサーバに送信する通信要求に、通信相手となる端末に要求する属性情報を含め、前記ポーリングサーバは、前記端末から質問信号を受信した場合に、前記応答信号に、前記サーバからの通信要求及び前記属性情報を含めて前記端末に返信し、前記端末は、前記応答信号に含まれている属性情報に基づく端末情報を、前記通信要求をしたサーバに対して送信することを特徴とする。
【0010】
第1の発明に係る通信システムであって、第4の発明は、前記ポーリングサーバは、前記サーバに予め設定された固有の属性情報を記憶しておき、前記応答信号に、前記固有の属性情報を含めることを特徴とする。
【0011】
第3又は第4の何れかの発明に係る通信システムであって、第5の発明は、前記ポーリングサーバは、前記応答信号に含める情報を秘匿するか否かを示す秘匿判断情報を有し、前記応答信号に含める情報が前記秘匿判断情報によって秘匿が不要である場合に、当該応答信号に含める情報を含む応答信号を前記端末に返信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のサーバをポーリングサーバに接続し、ポーリングサーバがサーバから通信要求を受信した場合に、ポーリングサーバによって、サーバからの通信要求があることの応答信号を端末に返信し、端末からサーバに対して通信を開始する。このような本発明によれば、端末が複数のサービスを要求する場合あってもポーリング通信の通信量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態として示すポーリング通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態として示すポーリング通信システムにおいて、複数のサービスサーバから通信要求が発生した様子を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態として示すポーリング通信システムにおいて、複数のサービスサーバに対して優先度の順に宅内機器2から通信を開始する様子を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態として示すポーリング通信システムにおいて、各部間において授受される信号を示すシーケンス図である。
【図5】比較例としてのポーリング通信システムを示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態として示すポーリング通信システムにおいて、サービスサーバのプロパティ情報をポーリングサーバに記憶しておく様子を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
本発明を適用したポーリング通信システムは、例えば図1に示すように構成される。このポーリング通信システムは、サーバシステム1、顧客宅内の宅内機器2、及び、中継装置としてのNAT(Network Address Translation)ルータ3を備える。
【0016】
このポーリング通信システムにおいて、サーバシステム1はIPネットワークNWといった第1ネットワークに設けられている。一方、宅内機器2は、第1ネットワークとは異なる顧客宅内ネットワークといった第2ネットワークに備えられる。NATルータ3は、第1ネットワークと第2ネットワークとの間に設けられている。
【0017】
このポーリング通信システムにおいて、NATルータ3が存在するために、顧客宅内に構築された第2ネットワークへは、第1ネットワークからは通信できない。すなわち、第1ネットワークから送信されたグローバルアドレスでは、顧客宅内においてプライベートアドレスが付与されている宅内機器2にはパケットは届かない。したがって、このポーリング通信システムにおいては、宅内機器2からサービスサーバ12に対して通信を開始する必要がある。このため、サービスサーバ12が宅内機器2に対する通信を要求したことを宅内機器2が認識するために、宅内機器2とポーリングサーバ11との間でポーリング通信を行う。
【0018】
このポーリング通信システムにおいて、サーバシステム1には、複数のサービスサーバ12A,12B,12C(以下、総称する場合には単に「サービスサーバ12」と呼ぶ。)が含まれる。また、サーバシステム1は、複数のサービスサーバ12と通信可能なポーリングサーバ11を備えている。なお、図1では、単一のポーリングサーバ11に対して3つのサービスサーバ12A,12B,12Cが接続されている例を示しているが、これに限るものではない。
【0019】
サービスサーバ12A,12B,12Cは、それぞれ、異なる属性(機能)を備えている。すなわち、サービスサーバ12A,12B,12Cは、それぞれ異なるソフトウェアによって動作し、宅内機器2との間で異なる情報を授受する。
【0020】
サービスサーバ12Aは、例えば、顧客宅内のセキュリティを管理するサービス機能を備えている。サービスサーバ12Aは、顧客宅内におけるセキュリティに関する電気錠、防犯センサ等のセキュリティ情報を取得し、異常が発生した時にユーザに保持される携帯端末にセキュリティ情報を提供する。
【0021】
サービスサーバ12Bは、例えば、ユーザに保持された携帯端末や宅内機器2からの要求によって顧客宅内の各デバイスを遠隔操作するサービス機能を備えている。サービスサーバ12Bは、ユーザに保持された携帯端末から顧客宅内に備えられた空調装置等を制御する制御信号が供給された場合に、宅内機器2に対して制御信号を送信する。
【0022】
サービスサーバ12Cは、例えば、顧客宅内のデバイスの電力等を管理するサービス機能を備えている。サービスサーバ12Cは、顧客宅内に備えられた単位時間(1日や1時間等)の電力量や、瞬間電力等の情報を取得するときに、当該情報を送信するよう宅内機器2を制御する。
【0023】
ポーリングサーバ11は、第1ネットワークにおいてサーバシステム1に含まれる複数のサービスサーバ12と通信可能となっている。ポーリングサーバ11は、IPネットワークNWを含む第1ネットワークを介して第2ネットワークにおける宅内機器2との間でポーリング通信を行う。ポーリングサーバ11は、サービスサーバ12から宅内機器2との間で通信を要求する通信要求を受信する。ポーリングサーバ11は、宅内機器2からポーリング通信における質問信号を受信した場合に、サービスサーバ12から通信要求があった場合に、当該通信要求を含む応答信号を宅内機器2に返信する。
【0024】
宅内機器2は、所定の期間ごとにポーリングサーバ11に対して質問信号を送信し、当該質問信号に対する応答信号を受信するという、ポーリング通信を行う。宅内機器2は、複数のサービスサーバ12が提供するサービスを享受するために、複数のサービスサーバ12に接続されたポーリングサーバ11に対して質問信号を送信する。宅内機器2は、応答信号に通信要求が含まれていた場合に、当該通信要求をポーリングサーバ11に送信したサービスサーバ12との間で直接通信を行う。
【0025】
このようなポーリング通信システムの動作を、図1における手順(1)、(2)、(3)に沿って説明する。
【0026】
先ず、手順(1)において、宅内機器2は、所定のポーリング通信間隔となると、NATルータ3を介して、質問信号をポーリングサーバ11に対して送信する。ポーリングサーバ11は、質問信号を受信したことに応じて、サービスサーバ12から通信要求を受信しているか否かを判定する。サービスサーバ12から通信要求を受信していない場合、ポーリングサーバ11は、通信要求がない旨を含む応答信号を宅内機器2に返信する。
【0027】
一方、手順(2)において、宅内機器2との接続を要求するサービスサーバ12Aは、ポーリングサーバ11に対して通信要求を送信する。ポーリングサーバ11は、サービスサーバ12Aから通信要求を受信すると、当該受信した通信要求を記憶しておく。
【0028】
その後、手順(1)によって、宅内機器2がポーリングサーバ11に質問信号を送信する。ポーリングサーバ11は、質問信号を受信すると、サービスサーバ12Aからの通信要求を受信しているので、当該通信要求を含む応答信号を宅内機器2に返信する。
【0029】
宅内機器2は、ポーリングサーバ11から通信要求を含む応答信号を受信すると、当該応答信号に含まれる通信要求を取り出す。宅内機器2は、当該通信要求によって、サービスサーバ12Aが通信を要求していることを認識する。
【0030】
これにより、宅内機器2は、手順(3)において、通信要求に応じてサービスサーバ12Aにパケット要求を送信して、通信要求を送信したサービスサーバ12Aに対して通信を開始する。サービスサーバ12Aは、宅内機器2からパケット要求を受信したことに応じて、宅内機器2に対して応答パケットを送信できる。
【0031】
その後、例えばサービスサーバ12Aが宅内におけるセキュリティ情報を要求するコマンドを送信した場合、宅内機器2は、宅内における電気錠の状態や、防犯センサやカメラの検出結果といった情報を取得する。これにより、宅内機器2は、サービスサーバ12Aが要求したセキュリティ情報を送信できる。
【0032】
以上のように、このポーリング通信システムによれば、宅内機器2が複数のサービスサーバ12との間で通信を行う必要がある場合であっても、ポーリングサーバ11にポーリング通信を集約する。これにより、宅内機器2は、それぞれのサービスに対してポーリング通信を行う必要はない。また、このポーリング通信システムによれば、複数のサービスサーバ12が宅内機器2との間で通信を要求する場合であっても、ポーリングサーバ11に対して通信要求を集約できる。
【0033】
また、このポーリング通信システムにおいて、図2に示すように、宅内機器2がポーリング通信を行う所定のポーリング通信間隔内に複数のサービスサーバ12からサーバシステム1に対して通信要求が送信されることがある(手順(5))。この場合、宅内機器2は、手順(4)によってサービスサーバ12A及びサービスサーバ12Cの2つとの間で通信を開始する必要があると認識できる。これにより、宅内機器2は、各サービスサーバ12A、サーバシステム12Cに対して略同時にパケット要求を送信する(手順(6a)(6b))。これにより、このポーリング通信システムによれば、単一のポーリング通信間隔において2つのサービスサーバ12から通信要求があった場合であっても、手順(4)において単一の質問信号を送信するのみで、2つの通信要求を受信できる。
【0034】
以上より、このポーリング通信システムによれば、ポーリングサーバ11に宅内機器2及びサービスサーバ12のポーリング通信を集約でき、各宅内機器2から各サービスサーバ12にそれぞれポーリング通信を行った場合と比較して通信量を低減できる。これにより、このポーリング通信システムによれば、宅内機器2やサービスサーバ12が増加しても、当該増加分によって通信帯域が逼迫されることを抑制できる。
【0035】
また、このポーリング通信システムにおいて、単一のポーリング通信間隔において2つのサービスサーバ12から通信要求があった場合、宅内機器2は、サービスサーバ12の優先度情報に基づいて動作することが望ましい。
【0036】
このようなポーリング通信システムにおいて、ポーリングサーバ11は、サービスサーバ12が宅内機器2との間で通信を行う優先度を示す優先度情報を記憶する記憶手段を備えておく。この優先度情報は、例えば、サービスサーバ12の属性によって設定される。例えば、緊急度の高いセキュリティ情報を扱うサービスサーバ12の優先度は“高”とし、緊急度が低い電力情報を扱うサービスサーバ12は“低”とする、などといった設定例が挙げられる。また、優先度情報は、宅内機器2を操作するユーザによって任意に決定されても良い。
【0037】
ポーリングサーバ11は、宅内機器2から質問信号を受信した場合に、応答信号に、サービスサーバ12からの通信要求及び優先度情報を含めて宅内機器2に返信する(手順(4))。このとき、ポーリングサーバ11は、通信要求を送信したサービスサーバ12の通信要求に併せて、当該サービスサーバ12の優先度情報を付加する。
【0038】
宅内機器2は、応答信号を受信すると、応答信号に含まれている優先度情報に基づいて、通信要求をしたサービスサーバ12に対する通信開始順序を決定する。サービスサーバ12Aの方がサーバシステム12Cよりも優先度が高い場合、宅内機器2は、先に、サービスサーバ12Aに対してパケット要求を送信し(手順(6))、次いで、サーバシステム12Cに対してパケット要求を送信する(手順(7))。
【0039】
以上のように、このポーリング通信システムによれば、宅内機器2が行う所定のポーリング通信間隔内で複数のサービスサーバ12から通信要求が発生した場合であっても、優先度に応じて宅内機器2が複数のサービスサーバ12との間で通信を開始できる。したがって、緊急度が高いサービスサーバ12との間では宅内機器2から迅速に接続を確保するといった効果を発揮できる。
【0040】
上述したポーリング通信システムにおける具体例について、図4を参照して説明する。この動作例においては、サーバシステム1にはサービスサーバ12Aとサービスサーバ12Bとの2つが含まれるものとする。
【0041】
先ず宅内機器2は、所定のポーリング通信間隔ごとに質問信号C1,C2を送信する。この質問信号C1,C2を送信した期間内においては、サービスサーバ12A、12Bからポーリングサーバ11に通信要求がないので、ポーリングサーバ11は、通信要求がない旨の応答信号R1,R2を宅内機器2に送信する。
【0042】
その後、宅内機器2向けデータの要求が発生すると、サービスサーバ12Aは、ポーリングサーバ11に対して通信要求C11を送信する。これによりポーリングサーバ11は、サービスサーバ12Aの通信要求を記憶する。
【0043】
その後、宅内機器2からポーリングサーバ11に質問信号C3が送信されると、ポーリングサーバ11は、当該質問信号C3に応答した応答信号R3を宅内機器2に送信する。このとき、ポーリングサーバ11は、先にサービスサーバ12Aからの通信要求を受信しているので、応答信号R3に、サービスサーバ12Aから送信された通信要求を含める。
【0044】
宅内機器2は、ポーリングサーバ11から応答信号R3を受信すると、当該応答信号R3から通信要求を取得する。この通信要求によって、宅内機器2は、サービスサーバ12Aが自身と通信する要求をしていることを認識する。これにより、宅内機器2は、サービスサーバ12Aに、当該サービスサーバ12Aからの通信内容を取得するためのパケット要求C12を送信する。
【0045】
サービスサーバ12Aは、宅内機器2からパケット要求C12を取得する。サービスサーバ12Aは、パケット要求C12を受信すると、当該パケット要求C12に応答して、宅内機器2に向けたデータR12を送信する。この宅内機器2に向けたデータとしては、顧客宅内に備えられた各種のセンサのセンサ値を取得する命令や、空調機器や照明機器、防犯機器を制御する命令が挙げられる。
【0046】
宅内機器2は、NATルータ3を介して、サービスサーバ12Aから送信された宅内機器2に向けたデータR12を取得する。宅内機器2は、宅内機器2に向けたデータR12を取得したことに応じて、当該データR12に従って動作して、各種のセンサ値の取得や、各種の機器の制御等を行う。
【0047】
また、サービスサーバ12Bからポーリングサーバ11に通信要求C21が送信された場合にも同様に、ポーリングサーバ11は、宅内機器2からの質問信号C4に対して、応答信号R4を宅内機器2に送信する。この応答信号R4には、サービスサーバ12Bが接続を要求していることを含める。これにより、宅内機器2は、サービスサーバ12Bにパケット要求C13を送信し、サービスサーバ12Bから宅内機器2に向けたデータR13を取得できる。
【0048】
このように、ポーリング通信システムによれば、サービスサーバ12から宅内機器2に直接に接続できなくても、宅内機器2からポーリング通信を行うことによって、サービスサーバ12の要求に応じて宅内機器2とサービスサーバ12とを接続できる。
【0049】
また、ポーリング通信システムにおける他の動作例としては、質問信号C5及び応答信号R5が送受信された後のポーリング通信間隔において、2つのサービスサーバ12A、12Bから通信要求C14、C22が送信される場合がある。この場合、ポーリングサーバ11は、サービスサーバ12A及びサービスサーバ12Bの2つの通信要求を記憶する。
【0050】
その後に、宅内機器2からポーリングサーバ11に質問信号C6が送信された場合、ポーリングサーバ11は、サービスサーバ12A及びサービスサーバ12Bから送信された通信要求がる旨を含む応答信号R6を宅内機器2に送信する。また、ポーリングサーバ11は、予め記憶しておいたサービスサーバ12の優先度情報を応答信号R6に含めても良い。
【0051】
宅内機器2は、応答信号R6を受信したことに応じて、略同時に、パケット要求C15,C17を送信し、サービスサーバ12A及びサービスサーバ12Bから宅内機器2に向けたデータR15,R17を受信できる。
【0052】
宅内機器2は、応答信号R6に優先度情報が含まれていた場合において、サービスサーバ12Bよりサービスサーバ12Aの方が優先度が高い場合には、先ず、サービスサーバ12Aにパケット要求C15を送信して宅内機器2に向けたデータR15を取得する。その後に、宅内機器2は、サービスサーバ12Bにパケット要求C16を送信して宅内機器2に向けたデータR16を取得する。
【0053】
以上のように、ポーリング通信システムによれば、複数のサービスを宅内機器2が利用する場合あっても、ポーリング通信の通信量を抑制することができる。
【0054】
本実施形態との比較例としてのポーリング通信システムを挙げて説明すると、図5に示すようになる。3つのサービスが3つの各サービスサーバ12A、サービスサーバ12B、サービスサーバ12Cに分かれていた場合、宅内機器2は、3つのサービスサーバ12に対して質問信号を送信して、応答信号を得なければならない。また、サービスの種類によっては、例えばセキュリティ情報等は、緊急度が高く、高い頻度でポーリング通信を行う必要がある。
【0055】
これに対し、本願のポーリング通信システムによれば、複数のサービスサーバ12が存在する場合であっても、単一のポーリングサーバ11に対してポーリング通信を行えば良く、通信量を抑制できる。
【0056】
また、このポーリング通信システムは、サービスサーバ12からポーリングサーバ11に送信する通信要求に、プロパティ情報(属性情報)を含めても良い。このプロパティ情報は、サービスサーバ12の属性を示す情報である。例えば、プロパティ情報としては、サービスサーバ12が宅内機器2に要求する情報や、サービスサーバ12が宅内機器2に対して制御したい内容がある。
【0057】
ポーリングサーバ11は、サービスサーバ12からプロパティ情報を受信した場合、その後に宅内機器2から質問信号を受信した応答信号に、通信要求及びプロパティ情報を含める。宅内機器2は、応答信号を受信すると、当該応答信号に含まれたプロパティ情報を取得できる。これに対し、宅内機器2は、プロパティ情報に基づく宅内機器2の情報(端末情報)を取得して、サービスサーバ12に送信するパケット要求に含める。
【0058】
サービスサーバ12は、パケット要求に含まれた宅内機器2の情報を取り出し、自身がポーリングサーバ11に送信したプロパティ情報に基づく情報を取得できる。
【0059】
具体的には、図4における通信要求C11に、サービスサーバ12Aのプロパティ情報を含める。ポーリングサーバ11は、通信要求と共に、サービスサーバ12Aから送信されたプロパティ情報を記憶しておく。その後、ポーリングサーバ11は、宅内機器2から質問信号C3が送信されたことに対し、応答信号R3にプロパティ情報を含めて宅内機器2に送信する。宅内機器2は、プロパティ情報を参照して、プロパティ情報に基づく情報(端末情報)をパケット要求に含めてサービスサーバ12Aに直接返信できる。
【0060】
以上より、このポーリング通信システムによれば、ポーリングサーバ11から宅内機器2に送信する応答信号に、必要なプロパティ情報を含めることができ、通信要求に応じて端末からサービスサーバ12に通信する回数を削減できる。したがって、このポーリング通信システムによれば、上述した実施形態と併せて、更に通信帯域の圧迫を抑制できる。
【0061】
更に、本発明の実施形態として示すポーリング通信システムにおいて、ポーリングサーバ11が、サービスサーバ12に予め設定されたプロパティ情報(固有の属性情報)を記憶しておき、応答信号に、プロパティ情報を含めても良い。
【0062】
具体的には、図6に示すように、ポーリングサーバ11は、自身に接続されたサービスサーバ12Aのプロパティ情報(A)=5及びサービスサーバ12Bのプロパティ情報(B)=7を記憶しておく。このプロパティ情報は、サービスサーバ12A及びサービスサーバ12Bにより指定されたデフォルト(初期化)のプロパティ情報である。このデフォルトのプロパティ情報は、サービスサーバ12A及びサービスサーバ12Bの固有の情報である。この情報は、例えば、数値で特定されたセキュリティ情報、電力・エネルギー情報等が含まれる。この具体例においては、サービスサーバ12Aのデフォルトのプロパティ情報は“5”であり、サービスサーバ12Bのデフォルトのプロパティ情報は“7”である。
【0063】
サービスサーバ12A及びサービスサーバ12Bからポーリングサーバ11に通信要求が無い場合において、宅内機器2がポーリングサーバ11に質問信号C1を送信する。ポーリングサーバ11は、通信要求が無くても、当該質問信号C1に対する応答信号R1に、サービスサーバ12A及びサービスサーバ12Bのデフォルトのプロパティ情報を格納する。これにより、宅内機器2は、ポーリングサーバ11に接続されているサービスサーバ12A及びサービスサーバ12Bのデフォルトのプロパティ情報を取得できる。その後、質問信号C2、応答信号R2が送受信された場合も同様である。
【0064】
その後、サービスサーバ12Aにおいて宅内機器2から取得する情報が変更した場合、サービスサーバ12Aは、当該変更した情報を送信するよう値が“8”のプロパティ情報を含む通信要求C11をポーリングサーバ11に送信する。
【0065】
ポーリングサーバ11は、変更されたプロパティ情報を含む通信要求C11を受信すると、サービスサーバ12Aのプロパティ情報を“8”に変更して、記憶する。その後、宅内機器2から質問信号C3が送信され、ポーリングサーバ11が当該質問信号C3を受信する。ポーリングサーバ11は、通信要求がなく、サービスサーバ12Aによって変更されたプロパティ情報“8”を含む応答信号R3を送信する。
【0066】
その後、サービスサーバ12Bにおいて宅内機器2から取得する情報が変更した場合、サービスサーバ12Bは、当該変更した情報を送信するよう値が“9”のプロパティ情報を含む通信要求C21をポーリングサーバ11に送信する。
【0067】
ポーリングサーバ11は、変更されたプロパティ情報を含む通信要求C21を受信すると、サービスサーバ12Bのプロパティ情報を“9”に変更して、記憶する。その後、宅内機器2から質問信号C4が送信され、ポーリングサーバ11が当該質問信号C4を受信する。ポーリングサーバ11は、通信要求がなく、サービスサーバ12Bによって変更されたプロパティ情報“9”を含む応答信号R4を送信する。
【0068】
その後のポーリング通信間隔にて、宅内機器2は、質問信号C5を送信すると、ポーリングサーバ11は、通信要求がなく、サービスサーバ12Aのプロパティ情報が“8”、サービスサーバ12Bのプロパティ情報が“9”である応答信号R5を送信する。
【0069】
更にサービスサーバ12Aのプロパティ情報が“1”に変更した場合、サービスサーバ12Aは、当該通信要求C12に、自身のプロパティ情報“1”を送信する。これにより、ポーリングサーバ11は、サービスサーバ12Aのプロパティ情報を更に変更できる。
【0070】
以上のように、このポーリング通信システムによれば、サービスサーバ12自身で自己のデフォルトのプロパティ情報をポーリングサーバ11に記憶させる。また、サービスサーバ12は、変更したプロパティ情報をポーリングサーバ11に記憶させることができる。これにより、ポーリングサーバ11は、宅内機器2から質問信号を受信した場合に、応答信号にサービスサーバ12のデフォルトのプロパティ情報又は変更したプロパティ情報を記憶し、送信できる。したがって、宅内機器2は、サービスサーバ12のプロパティ情報に基づいた端末情報をサービスサーバ12に送信できる。
【0071】
その後においては、宅内機器2からポーリングサーバ11に質問信号C8,C9が送信されても、ポーリングサーバ11は、質問信号C8,C9に対して、記憶しているプロパティ情報を含めた応答信号R8,R10を返信できる。
【0072】
このように、ポーリング通信システムは、サービスサーバ12の通信要求があった場合に、ポーリングサーバ11に記憶しておいたプロパティ情報に基づいて宅内機器2からサービスサーバ12に接続できる。したがって、このポーリング通信システムによれば、宅内機器2とサービスサーバ12との間の通信量を抑制して、更に通信帯域の逼迫を抑制できる。
【0073】
更に、上述したポーリング通信システムにおいて、ポーリングサーバ11は、宅内機器2に送信する応答信号に含める情報を秘匿するか否かを示す秘匿判断情報を有していることが望ましい。ポーリングサーバ11は、応答信号に含める情報が秘匿判断情報によって秘匿が不要である場合に、当該応答信号に含める情報を含む応答信号を宅内機器2に返信する。
【0074】
このようなポーリング通信システムにおいて、ポーリングサーバ11は、上述したように、通信要求と共にサービスサーバ12から送信されるプロパティ情報、又は、ポーリングサーバ11に記憶しておいたプロパティ情報を秘匿する。このため、ポーリングサーバ11は、予め記憶している秘匿判断情報と、プロパティ情報とを比較する。この秘匿判断情報は、例えば、ポーリングサーバ11に接続されたサービスサーバ12が通信する情報の内容を示すプロパティ情報と、当該プロパティ情報を秘匿するか否かを示すテーブルデータである。ポーリングサーバ11は、サービスサーバ12からプロパティ情報を受信した場合に、当該プロパティ情報を秘匿するか否かを判定する。プロパティ情報を秘匿するべきと判断した場合、ポーリングサーバ11は、サービスサーバ12との間で授受する情報を秘匿する旨の情報を応答信号に含める。
【0075】
宅内機器2は、ポーリングサーバ11から応答信号を受信した場合に、情報を秘匿する旨の情報が含まれていることを認識できる。宅内機器2は、情報を秘匿する場合には、予めサービスサーバ12との間で設定された暗号化方式及び暗号キーを使用して、サービスサーバ12にパケット要求を送信する。これにより、ポーリング通信システムは、宅内機器2からサービスサーバ12との間でどのような情報を授受するかを秘匿できる。
【0076】
また、このポーリング通信システムは、サービスサーバ12から宅内機器2に送信される情報も秘匿することが望ましい。この場合、サービスサーバ12は、宅内機器2との間で設定された暗号化方式及び暗号キーを使用して、サービスサーバ12に宅内機器2に向けたデータを送信する。これにより、ポーリング通信システムは、サービスサーバ12によって宅内機器2に要求する情報がどのような情報化を秘匿できる。
【0077】
更に、このポーリング通信システムは、サービスサーバ12によって要求された結果として宅内機器2からサービスサーバ12に送信する情報も秘匿することが望ましい。これにより、ポーリング通信システムは、例えば宅内機器2からサービスサーバ12にセキュリティ情報を送信する場合に、当該セキュリティ情報を秘匿できる。
【0078】
以上のように、このポーリング通信システムによれば、ポーリングサーバ11と宅内機器2との間や、宅内機器2とサービスサーバ12との間で授受する情報を秘匿できる。これにより、このポーリング通信システムによれば、複数のサービスサーバ12がポーリングサーバ11に接続され、宅内機器2が単一のポーリングサーバ11に接続する場合であっても、宅内機器2が通信する情報の漏洩を抑制できる。
【0079】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
1 サーバシステム
2 宅内機器
3 NATルータ
11 ポーリングサーバ
12A,12B,12C サービスサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ネットワークに設けられた複数のサーバと、
第2ネットワークに設けられた端末と、
前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間に設けられ、前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間で通信されるパケットを中継する中継装置と、
前記第1ネットワークに設けられ前記サーバから前記端末に対する通信要求を受信した後に前記端末から質問信号を受信した場合に、前記サーバからの通信要求があることの応答信号を前記端末に返信するポーリングサーバとを備え、
前記端末は、前記サーバからの通信要求があることの応答信号を前記ポーリングサーバから受信した場合に、当該通信要求を送信したサーバに対して通信を開始することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記ポーリングサーバは、前記サーバが前記端末との間で通信を行う優先度を示す優先度情報を記憶する記憶手段を備え、
前記ポーリングサーバは、前記端末から質問信号を受信した場合に、前記応答信号に、前記サーバからの通信要求及び前記優先度情報を含めて前記端末に返信し、
前記端末は、前記応答信号に含まれている優先度情報に基づいて前記通信要求をしたサーバに対する通信開始順序を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記ポーリングサーバに送信する通信要求に、通信相手となる端末に要求する属性情報を含め、
前記ポーリングサーバは、前記端末から質問信号を受信した場合に、前記応答信号に、前記サーバからの通信要求及び前記属性情報を含めて前記端末に返信し、
前記端末は、前記応答信号に含まれている属性情報に基づく端末情報を、前記通信要求をしたサーバに対して送信すること
を特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記ポーリングサーバは、前記サーバに予め設定された固有の属性情報を記憶しておき、前記応答信号に、前記固有の属性情報を含めることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記ポーリングサーバは、前記応答信号に含める情報を秘匿するか否かを示す秘匿判断情報を有し、前記応答信号に含める情報が前記秘匿判断情報によって秘匿が不要である場合に、当該応答信号に含める情報を含む応答信号を前記端末に返信することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−8214(P2013−8214A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140658(P2011−140658)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】