説明

通信ノード装置、通信システム及びそれらに用いる宛先受信インタフェース選択方法

【課題】 各ノード装置に搭載された通信インタフェースの通信リソースの最適活用を図ることが可能な通信ノード装置を提供する。
【解決手段】 通信ノード装置(送信ノード装置101)は、複数の通信インタフェース(送信インタフェース201−1,201−2及び受信インタフェース202−1,202−2)を備え、対向装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とし、複数の送信インタフェース各々を介して対向装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を送信インタフェース及び受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する手段(受信インタフェース集合計算部204)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信ノード装置、通信システム及びそれらに用いる宛先受信インタフェース選択方法に関し、特に複数のインタフェースを備えた通信ノード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送信ノードと受信ノードとの間の複数の通信経路を多重化する機構としては、特許文献1及び特許文献2等に開示されたシステムがある。これら特許文献1及び特許文献2に記載のシステムにおいて、多重化経路の性能は、多重化対象である各経路の性能に依存する。
【0003】
特に、無線環境においては、各経路の性能が動的に変動するため、特許文献1及び特許文献2に開示されている技術では、経路の通信性能を監視し、その監視結果に応じて最適な負荷を各経路に与えることによって、経路間の遅延差によるジッタを回避しつつ、通信リソースの有効活用を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4396859号公報
【特許文献2】特許第4000479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1及び特許文献2に記載のシステムにおいて、各経路の性能は、経路を構成する個々の通信リンクや、経由する個々の網のリソース制御によって変動する。
【0006】
したがって、経路を構成するリンクが変更可能であれば、能動的に経路自体の性能を制御することが可能となるが、一般に特定の通信インタフェース間の経路を構成するリンクは、経由する網の管理者によってしか変更できない。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、各ノード装置に搭載された通信インタフェースの通信リソースの最適活用を図ることができる通信ノード装置、通信システム及びそれらに用いる宛先受信インタフェース決定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による通信ノード装置は、複数の通信インタフェースを備え、対向装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信ノード装置であって、
複数の送信インタフェース各々を介して前記対向装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する手段を備えている。
【0009】
本発明による通信システムは、送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムであって、
前記送信ノード装置は、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する手段を備えている。
【0010】
本発明による宛先受信インタフェース決定方法は、送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムに用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記送信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行している。
【0011】
本発明による他の宛先受信インタフェース決定方法は、複数の通信インタフェースを備え、対向装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信ノード装置に用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記通信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記対向装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行している。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、各ノード装置に搭載された通信インタフェースの通信リソースの最適活用を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態による送信ノード装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による通信システムの動作例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による通信システムの動作例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による通信システムの動作例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による通信システムの動作例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態による通信システムの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明による通信システムの概要について説明する。本発明による通信システムは、送信ノード装置、受信ノード装置ともに複数の通信インタフェースを備え、送信ノード装置と受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信が可能である。
【0015】
また、本発明による通信システムは、送信ノード装置の複数の送信インタフェースの各々について、当該インタフェースを介して受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定できる受信インタフェースの集合を、各送信インタフェース及び各受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて、複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するよう変更する手段を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の通信システムは、送信ノード装置、受信ノード装置ともに複数の通信インタフェースを有しており、送信ノード装置の各通信インタフェース及び受信ノード装置の各通信インタフェースの通信状態を監視可能である。
【0017】
この監視は、例えば、通信インタフェース自体が検知する、無線の電波強度等の環境情報によってもよいし、特許文献3(特開2008−294902号公報)に開示されるような、特定通信インタフェースを含むリンクの通信帯域の計測手段を利用してもよい。
【0018】
その上で、本発明では、目的とするノード装置間データ通信の状態を最適化するように、各々の送信インタフェースについて、データ通信の宛先とする受信インタフェースの集合を選択する。
【0019】
特定の通信インタフェース間の経路の性能は、送信ノード装置、受信ノード装置ともに制御することはできない。そこで、本発明は、経路の起点である送信インタフェースと経路の終点である受信インタフェースとの組み合わせである送受信対自体を、最適な性能を実現するように変更することで、送信ノード装置及び受信ノード装置に搭載された通信インタフェースの通信リソースの最適活用を図る。
【0020】
本発明の第1の実施の形態としては、送信ノード装置、受信ノード装置ともに、一般に異なる基地局に接続され、通信方式も異なる無線端末を複数搭載し、基地局間は有線の高速通信網で相互に接続されている通信システムにおいて本発明を適用する場合について説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態による送信ノード装置の構成例を示すブロック図である。図1において、送信ノード装置101は、送信インタフェース201−1,201−2と、受信インタフェース202−4,202−5と、性能推定処理部203と、受信インタフェース集合計算部204と、多重化送信処理部205と、多重化受信処理部206と、入出力端子207と、受信インタフェース集合テーブル601と、性能情報テーブル602とを備えて構成されている。
【0022】
外部プロセス103から入出力端子207を経て受信されたデータは、多重化送信処理部205に入力され、ここで負荷分散やジッタ抑制制御に基づいて送信インタフェース201−1または送信インタフェース201−2のいずれかを介して受信ノード装置に転送される。
【0023】
一方、受信ノード装置等からの逆方向の多重化通信データやインタフェースの性能に関する情報は、受信インタフェース202−4または受信インタフェース202−5を介して受信され、多重化受信処理部206に入力される。
【0024】
さらに、外部プロセス103に転送すべきデータは、入出力端子207に、またフィードバックされる性能情報は、性能推定処理部203に入力される。送信インタフェース201が自インタフェースの性能に関係する情報を監視できる場合には、その情報も性能推定処理部203に送られる。
【0025】
性能推定処理部203は、入力された性能関連情報から自ノード装置の送信インタフェース及び受信インタフェースの性能推定を行い、結果を性能情報テーブル602に格納する。
【0026】
受信インタフェース集合計算部204は、性能情報テーブル602に保持されているインタフェースの性能情報を基に、多重化通信リンクの性能を最大化するように、各送信インタフェースに対して宛先とする受信インタフェースの集合を決定し、その結果を受信インタフェース集合テーブル601に格納する。
【0027】
多重化送信処理部205は、データ送信にあたり、送信に用いる送信インタフェースのみではなく、受信インタフェース集合テーブル601で定義される、送信インタフェースと受信インタフェースとの対を決定し、受信インタフェースを特定したデータを送信インタフェースに入力する。
【0028】
尚、双方向通信を行う場合には、送信ノード装置101及び受信ノード装置の構成は同一であり、多重化送信されたデータを受信した際に下流のノード装置に転送可能なよう再整形するための処理が多重化受信処理部206で行われる。
【0029】
図2は本発明の第1の実施の形態による通信システムの構成例を示すブロック図である。図2において、本発明の第1の実施の形態による通信システムは、送信ノード装置101と、受信ノード装置102と、送信インタフェース201(201−1,201−2)と、受信インタフェース202(202−1〜202−3)と、無線基地局301(301−1〜301−5)と、高速有線通信網401とから構成されている。送信ノード装置101及び受信ノード装置102は、例えば外部プロセス103−1から外部プロセス103−2への送信データを転送するために相互の通信を行う。
【0030】
図2に示す構成は、例えば、インタネットに接続可能な公衆無線回線端末を複数搭載したノード装置間で通信を行うシステムに相当する。この場合、送信ノード装置101と受信ノード装置102とが公衆無線回線端末を複数搭載したノード装置、送信インタフェース201と受信インタフェース202とが公衆無線端末、高速有線通信網401がインタネット、外部プロセス103がこのシステムを利用するユーザ端末にそれぞれ相当する。
【0031】
本実施の形態では、送信ノード装置101と受信ノード装置102とが、上記の特許文献3に示されるような多重化通信を、送信インタフェース201と受信インタフェース202との対で定義される経路を複数用いて行うものとする。
【0032】
図3〜図5は本発明の第1の実施の形態による通信システムの動作例を示す図である。まず、図3を用いて本実施の形態による通信システムの動作について説明する。ここで、送信ノード装置101は、自ノード装置の送信インタフェース201及び受信ノード装置102の受信インタフェース202の推定性能情報を、性能情報テーブル602上に保持している。
【0033】
送信ノード装置101は、利用可能な帯域の情報を取得し、性能情報参照テーブル602上に保持している。また、送信ノード装置101は、この情報に基づき、各送信インタフェース201に対応して宛先の受信インタフェース202の集合を決定し、受信インタフェーステーブル601上に保持している。
【0034】
本例では、送信インタフェース201−1に受信インタフェース集合{202−1,202−2}が、送信インタフェース201−2に受信インタフェース集合{202−3}がそれぞれ対応している。
【0035】
その結果、送信ノード装置101と受信ノード装置102との間の通信経路として、送信インタフェース201−1から受信インタフェース202−1までの経路501−1、送信インタフェース201−1から受信インタフェース202−2までの経路501−2、送信インタフェース201−3から受信インタフェース202−3までの経路501−3がそれぞれ構成される。
【0036】
このように、宛先の受信インタフェース202が決定されたのは、送信ノード装置101と受信ノード装置102との間で利用できる帯域が最大化されるためである。このとことは次のように説明される。
【0037】
受信ノード装置102の受信インタフェース202の帯域の合計値は、受信インタフェース202−1の300Kbps,受信インタフェース202−2の100Kbps,受信インタフェース202−3の100Kbpsを合計して500Kbpsとなる。これ以上、受信ノード装置102が受信するのは不可能であるから、500Kbpsが送信ノード装置101から受信ノード装置102への通信帯域の上限となる。
【0038】
しかるに、通信経路501−1は受信インタフェース202−1で終端されるので、通信経路501−1を転送される帯域の上限は受信インタフェース202−1の通信速度である300Kbpsとなる。
【0039】
同様に、通信経路501−2は100Kbps,通信経路501−3は100Kbpsが上限となる。ここで、受信インタフェーステーブル601から、通信経路501−1及び通信経路501−2は、送信インタフェース201−1を起点とするが、この2つの経路の転送帯域の上限の合計は400Kbpsである。この数値は送信インタフェース201−1の利用可能帯域500Kbpsより小さいので、送信インタフェース201−1は、通信経路501−1と通信経路501−2とを同時に利用してもボトルネックとならない。
【0040】
同様に、送信インタフェース201−2は、通信経路501−3を利用してもボトルネックにならない。よって、合計の通信帯域として、送信ノード装置101から受信ノード装置102への通信低域の上限である500Kbpsが達成される。但し、これには、高速通信網401が通信経路501−1,501−2,501−3を全て同時に利用してもボトルネックにならないことが前提となる。
【0041】
以上のような、送信ノード装置101から受信ノード装置102への通信低域の上限に等しい転送帯域は、送信ノード装置101が各送信インタフェース201と受信インタフェース202との集合の誤った対応を選択した場合には、達成不可となる。
【0042】
このような例を図4に示す。ここで、各通信インタフェースの利用可能帯域は図3の例と同様であるが、受信インタフェーステーブル601上の受信インタフェースの集合が異なる。
【0043】
この例では、送信インタフェース201−1は受信インタフェース202−2への通信経路501−2と、受信インタフェース202−3への通信経路501−1とを同時に利用してもボトルネックとならない。この2つの経路の合計帯域の上限の合計である200Kbpsよりも送信インタフェース201−1の利用可能帯域が大きいためである。
【0044】
しかしながら、送信インタフェース201−2の利用可能帯域100Kbpsは、宛先とする受信インタフェース202−1の利用可能帯域300Kbpsより利用可能帯域が小さいためにボトルネックとなる。その結果、通信経路501−3の通信帯域は、送信インタフェース201−2の利用可能帯域に等しい100Kbpsとなる。
【0045】
したがって、この例の受信インタフェーステーブル601に示される宛先の受信インタフェース202の組み合わせでは、利用可能な合計帯域が通信経路501−1,501−2,501−3の帯域の合計である300Kbpsであり、これは送信ノード装置101から受信ノード装置102への通信低域の上限500Kbpsより小さい。
【0046】
但し、図4に示される宛先の受信インタフェース202の組み合わせも、各インタフェースの状態によっては最適となる。このような例を図5に示す。図5の性能情報テーブル602上に示される各通信インタフェースの利用可能帯域に対しては、図4と同様の送信インタフェース201と受信インタフェース202との組み合わせが最適であり、送信ノード装置101から受信ノード装置102への転送帯域の上限である700Kbpsを達成できる。
【0047】
本実施の形態における受信インタフェース集合計算部204は、例えば図4のような状態を検知すると、図3のように受信インタフェース集合テーブル601を更新することで、経路設定による帯域利用効率の低下を防ぐ。
【0048】
ここで、受信インタフェース集合テーブル601の算出方法は任意であるが、例えば本実施の形態のように送信インタフェース201が2個、受信インタフェース202が3個であれば、受信インタフェース202の集合は空集合も含めて8通りであり、これを各送信インタフェース201に適用しても合計16通りであるので、その全てについて合計の利用可能帯域を評価し、最大のものを選択する等の計算方法が考えられる。
【0049】
上述した本発明の第1の実施の形態では、送信ノード装置101から受信ノード装置102への転送帯域を最適化対象としているが、これは他の性能指標でもよいし、また複数の性能指標の組み合わせでもよい。
【0050】
図6は本発明の第2の実施の形態による通信システムの動作例を示す図である。この図6を参照して、本発明の第2の実施の形態による最適化対象をデータ損失率とした場合の動作について説明する。本発明の第2の実施の形態では、送信ノード装置101の多重化通信処理部208は、送信インタフェース201−1及び送信インタフェース201−2に対して同一のデータを送信し、いずれかの送信インタフェースから送信されたデータが損失した際にもう片方の通信により救済する冗長化通信を行っているものとする。
【0051】
この場合、冗長化の効果を最大化することは、両方の送信インタフェースから送信された同一データが双方とも損失する確率を最小化することに相当する。尚、本実施の形態では、性能情報参照テーブル602が、各インタフェースを終端とする無線部における損失率の推定値を保持する。
【0052】
ここで、本実施の形態による、送信インタフェース201の各々に対する受信インタフェース202の集合の割り当て結果は、送信インタフェース201−1に対して受信インタフェース202−3、送信インタフェース201−2に対して受信インタフェース202−1となる。但し、送信インタフェース201への帯域制限のため、各送信インタフェース201には1つの受信インタフェース202しか割り当てられないと仮定している。
【0053】
この選択結果によれば、通信経路501−1のデータ損失率は、送信インタフェース201−1の0.5%と受信インタフェース202−3の0.5%との和である1.0%と近似される。
【0054】
一方、通信経路501−2のデータ損失率は、上記と同様に、送信インタフェース201−2の0.1%と受信インタフェース202−1の0.1%との和である0.2%と近似される。
【0055】
すると、通信経路501−1と通信経路502−2との双方に送信された同一データが両方とも損失する確率は、通信経路501−1の損失率1.0%と通信経路501−2の損失率0.2%の積である0.002%となる。
【0056】
例えば、他の受信インタフェース割り当てとして、送信インタフェース201−1に受信インタフェース202−1を、送信インタフェース201−2に受信インタフェース202−3を割り当てた場合に、上記と同様に、双方の送信インタフェース201−1,201−2から送信されたデータの損失率を計算すると、0.0036%となる。
【0057】
つまり、利用する送信ノード装置101及び受信ノード装置102の通信インタフェースの集合が同じであっても、送信インタフェース201と受信インタフェース202との対応により損失率が変わるため、本実施の形態では、送信ノード装置101の受信インタフェース集合計算部204が、時間とともに変動する各インタフェースの損失率の推定結果に基づき、最適な送信インタフェース201と受信インタフェース202との対応を動的に決定する。
【0058】
上述した本発明の第1及び第2の実施の形態では、いずれの送信インタフェースも高速有線通信網401を経て受信インタフェースへのデータを送信する構成であるのに対し、本発明の第3の実施の形態では、高速有線通信網401を経ずに受信ノード装置へのデータ送信が可能な送信インターフェースがある構成をとっている。
【0059】
図7は本発明の第3の実施の形態による通信システムの動作例を示す図である。この図7を参照して、本発明の第3の実施の形態による通信システムの動作について説明する。
【0060】
本発明の第3の実施の形態による通信システムでは、送信インタフェース201−1、受信インタフェース202−1,202−2が高速有線通信網401に、送信インタフェース201−2、受信インタフェース202−3が通信網402に接続され、また高速有線通信網401と通信網402とが互いに接続されているものとする。
【0061】
この場合、全ての送信インタフェースは、いずれの受信インタフェースとも通信可能であり、例えば多重化リンクの通信速度を最適化するには、上記の本発明の第1の実施の形態が適用可能である。
【0062】
本実施の形態では、最適化対象が通信の継続性であり、性能情報テーブル602が各インタフェースの接続先の通信網と、他の接続網との故障の独立性の情報を保持している。継続性の意味は、通信の予期せぬ停止が発生しにくいことである。
【0063】
本実施の形態では、高速有線通信網401と通信網402との通信障害が互いに独立しているものと仮定しているので、いずれかに障害が生じても、通信を継続できるよう通信経路を設定することで、いずれかの網障害が通信継続に影響する可能性を低減することができる。
【0064】
この場合、受信インタフェース集合計算部204は、受信インタフェース集合テーブル601に示されるように、送信インタフェース201−1には受信インタフェース202−1,201−2からなる集合を、また送信インタフェース201−2には受信インタフェース202−3のみをそれぞれ対応させる。
【0065】
これは、送信インタフェース201−1から送信されるデータと、送信インタフェース201−2から送信されるデータとが、独立でない高速有線通信網を経由しないように対応を計算した結果である。また、各端末の接続先の通信網が変化した際には、送信インタフェースと受信インタフェースとの対応が再計算されることとなる。これは、例えば携帯電話等の公衆無線端末が自動的に網をローミングする際等に発生する。
【0066】
本発明の第3の実施の形態では、最適化される性能を通信の継続性としているが、本実施の形態の考え方は、経由する通信網や通信サービスに独立に発生する事象に影響される性能の最適化に一般的に適用することができる。例えば、多重化通信において、網管理者による盗聴の可能性を最小化する目的にも、本実施の形態を適用することができる。
【0067】
多重化通信においては、多重化対象となる通信経路の一部を盗聴しても、全体の情報が再現できないため、単一の通信網を全ての通信経路が経由しない限りは、いずれの網の管理者も完全な盗聴を行えない。
【0068】
したがって、本実施の形態を用いて、端末毎の接続先通信網または接続サービス相互の盗聴発生の独立性を管理し、各送信インタフェースから送信されるデータが、独立でない通信網または通信サービスを共有しないように送信インタフェースと受信インタフェースの集合とを対応付けることで、盗聴に対する安全性が高まることになる。
【0069】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下の記載に限定されない。
【0070】
[付記1]
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムであって、
前記送信ノード装置は、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する手段を有し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路を並列に用いた多重化通信の帯域であることを特徴とする通信システム。
【0071】
[付記2]
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムであって、
前記送信ノード装置は、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する手段を有し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路で同一のデータを転送する冗長化通信の損失率の小ささであることを特徴とする通信システム。
【0072】
[付記3]
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムであって、
前記送信ノード装置は、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する手段を有し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路を並列に用いた多重化通信の継続性であり、
前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能が、接続する通信網または通信サービス相互の障害発生事象の独立性であることを特徴とする通信システム。
【0073】
[付記4]
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムであって、
前記送信ノード装置は、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する手段を有し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路に分散して送信される秘密情報の盗聴耐性であり、
前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能が、接続する通信網または通信サービス相互の盗聴発生事象の独立性であることを特徴とする通信システム。
【0074】
[付記5]
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムに用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記送信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路を並列に用いた多重化通信の帯域であることを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。
【0075】
[付記6]
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムに用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記送信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路で同一のデータを転送する冗長化通信の損失率の小ささであることを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。
【0076】
[付記7]
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムに用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記送信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路を並列に用いた多重化通信の継続性であり、
前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能が、接続する通信網または通信サービス相互の障害発生事象の独立性であることを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。
【0077】
[付記8]
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムに用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記送信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路に分散して送信される秘密情報の盗聴耐性であり、
前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能が、接続する通信網または通信サービス相互の盗聴発生事象の独立性であることを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。
【0078】
[付記9]
複数の通信インタフェースを備え、対向装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信ノード装置に用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記通信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記対向装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路を並列に用いた多重化通信の帯域であることを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。
【0079】
[付記10]
複数の通信インタフェースを備え、対向装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信ノード装置に用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記通信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記対向装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路で同一のデータを転送する冗長化通信の損失率の小ささであることを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。
【0080】
[付記11]
複数の通信インタフェースを備え、対向装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信ノード装置に用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記通信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記対向装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路を並列に用いた多重化通信の継続性であり、
前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能が、接続する通信網または通信サービス相互の障害発生事象の独立性であることを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。
【0081】
[付記12]
複数の通信インタフェースを備え、対向装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信ノード装置に用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記通信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記対向装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行し、
前記通信の性能が、前記複数の通信経路に分散して送信される秘密情報の盗聴耐性であり、
前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能が、接続する通信網または通信サービス相互の盗聴発生事象の独立性であることを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。
【符号の説明】
【0082】
101 送信ノード装置
102 受信ノード装置
103,103−1,103−2 外部プロセス
201−1,201−2 送信インタフェース
202−1〜202−5 受信インタフェース
203 性能推定処理部
204 受信インタフェース集合計算部
205 多重化送信処理部
206 多重化受信処理部
207 入出力端子
301,301−1〜301−5 無線基地局
401 高速有線通信網
501−1〜501−3 通信経路
601 受信インタフェース集合テーブル
602 性能情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信インタフェースを備え、対向装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信ノード装置であって、
複数の送信インタフェース各々を介して前記対向装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する手段を有することを特徴とする通信ノード装置。
【請求項2】
前記通信の性能が、前記複数の通信経路を並列に用いた多重化通信の帯域であることを特徴とする請求項1記載の通信ノード装置。
【請求項3】
前記通信の性能が、前記複数の通信経路で同一のデータを転送する冗長化通信の損失率の小ささであることを特徴とする請求項1記載の通信ノード装置。
【請求項4】
前記通信の性能が、前記複数の通信経路を並列に用いた多重化通信の継続性であり、
前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能が、接続する通信網または通信サービス相互の障害発生事象の独立性であることを特徴とする請求項1記載の通信ノード装置。
【請求項5】
前記通信の性能が、前記複数の通信経路に分散して送信される秘密情報の盗聴耐性であり、
前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能が、接続する通信網または通信サービス相互の盗聴発生事象の独立性であることを特徴とする請求項1記載の通信ノード装置。
【請求項6】
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムであって、
前記送信ノード装置は、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する手段を有することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
送信ノード装置及び受信ノード装置各々が複数の通信インタフェースを備え、前記送信ノード装置と前記受信ノード装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信システムに用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記送信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記受信ノード装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行することを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。
【請求項8】
複数の通信インタフェースを備え、対向装置との間で複数の通信経路を同時に用いた通信を可能とする通信ノード装置に用いる宛先受信インタフェース選択方法であって、
前記通信ノード装置が、複数の送信インタフェース各々を介して前記対向装置に転送するデータの宛先として指定可能な受信インタフェースの集合を前記送信インタフェース及び前記受信インタフェース各々の通信性能の変化に応じて前記複数の通信経路を同時に用いた通信の性能を最大化するように変更する処理を実行することを特徴とする宛先受信インタフェース選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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