説明

通信ボード

【課題】接続した外部機器への十分な給電を行う通信ボードを提供する。
【解決手段】電子機器6に取り付けるための通信ボード1において、それぞれ互いに異なる通信形式で外部の機器と通信する複数の通信部42,43,44と、各通信部42〜44における通信について変換などの処理を行う通信回路4と、電子機器6から供給される供給電流(24V IN)を変圧して外部へ給電電流(7V OUT)として提供する電源回路5と、を有する。チョークコイル57は、出力用コンデンサ58を間に挟んで通信回路4の反対側に配設されている。また、電源回路5の部分にあたるプリント配線基板には、ベタGND部Gを設けている。また、このような電源回路5に対しては、電子機器6から、24V電源が入力端子51を通じて供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続した外部機器への十分な給電を行う通信ボードを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理技術と通信技術の発達普及に伴い、コンピュータなどの制御機器やプリンタなど制御対象の機器類といった各種電子機器に装着する通信ボードが広く用いられている。通信ボードによって対応する通信形式は多様であるが、各種機器類で用いられる代表例としてRS−232CやRS−485などがあり、これら両形式に対応して両形式間の変換を行うタイプも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−96111
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような従来の通信ボードは、それ自体の動作電力は取り付けられた機器から得るが、それ以外に変圧等の電源回路を有しなかったため、通信ボードと接続される外部機器への十分な給電ができないという課題があった。微弱な給電で稼動できる機器は極めて限定される。
【0004】
このため、プリンタなど電源を持たない外部機器に対しては別途ACアダプタなどの電源が必要であり、そのためのACアダプタ、電源コンセント、配線などが必要であった。また、これにより、システムや機器の導入維持の煩雑さやコストなどの負担が増えるだけでなく、そのようなACアダプタやコンセントにおけるプラグの接触不良など、全体の信頼性に影響する要素が増えるという課題もあった。
【0005】
なお、従来の通信ボードが電源回路を有しなかった背景の一部としては、電源回路に用いるチョーコクイルのノイズが、部品配置によっては通信回路に侵入しやすいことや、フィン状構造などで電源の放熱を行うヒートシンクのサイズ(面積や厚さ等)が大きいこともあった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、その目的は、接続した外部機器への十分な給電を行う通信ボードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様は、電子機器に取り付けるための通信ボードにおいて、それぞれ互いに異なる通信形式で外部の機器と通信する複数の通信部と、前記各通信部における通信を処理する通信回路と、前記電子機器から供給される供給電流を変圧して外部へ給電電流として提供する電源回路と、を有することを特徴とする。
【0008】
このように、対応する通信規格が互いに異なる複数の通信部を有する通信ボード上に変圧用の電源回路を設けることにより、通信部に接続した外部機器への電源供給が可能となり、ACアダプタなど煩雑な外部の電源や配線が省略できる。
【0009】
本発明の他の態様は、さらに、前記電源回路は、前記供給電流の入力用コンデンサと、前記入力用コンデンサと接続されたコンバータICと、前記コンバータICからの電流の変動を制限するチョークコイルと、前記チョークコイルの先に設けられ給電電流の出力用コンデンサと、を備え、前記チョークコイルは、前記出力用コンデンサを間に挟んで前記通信回路の反対側に配設されたことを特徴とする。
【0010】
このように、ノイズ源になりがちなチョークコイルを、通信回路から見て出力用コンデンサを間に挟んだ反対側に配置することにより、ノイズを出力用コンデンサで吸収し安定した通信品質を確保可能となる。
【0011】
本発明の他の態様は、さらに、前記電源回路の部分にあたるプリント配線基板に、ベタGND部を設けたことを特徴とする。
【0012】
このように、電源回路部分のプリント配線基板にベタGND部を設けることにより、放熱が確保され放熱用のフィンやヒートシンク、大型部品(コイルやコンデンサなど)等が不要となって電源回路が小型化でき、通信ボード上に無理なく電源回路を設置可能となる。また、電源回路をコンパクト化したレイアウトにより通信回路との分離独立を確保して電源ノイズを軽減し通信動作を安定化できる。
【0013】
本発明の他の態様は、さらに、前記複数の通信部のうち、少なくとも、第一の通信部は、RS−232の接続及び通信を行い、第二の通信部は、RS−485の接続及び通信を行うことを特徴とする。
【0014】
このように、RS−232とRS−485双方の入出力や変換を行う通信ボードへの本発明の適用により、高度な有用性と汎用性が実現できる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、対応する通信規格が互いに異なる複数の通信部を有する通信ボード上に変圧用の電源回路を設けることにより、通信部に接続した外部機器への電源供給が可能となり、ACアダプタなど煩雑な外部の電源や配線が省略できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の最良の実施形態について図1(構成図)に沿って説明する。なお、背景技術や課題で既に説明した内容と共通の前提事項は適宜省略する。
【0017】
〔構成〕
本実施形態は、電子機器6に取り付けるための通信ボード1で、この通信ボード1は、それぞれ互いに異なる通信形式で外部の機器と通信する複数の通信部42,43,44と、各通信部42〜44における通信について変換などの処理を行う通信回路4と、電子機器6から供給される供給電流(24V IN)を変圧して外部へ給電電流(7V OUT)として提供する電源回路5と、を有する。
【0018】
このうち電源回路5は、供給電流の入力用コンデンサ(セラミックコンデンサなど)53と、入力用コンデンサ53と接続された電源制御用のDC/DCコンバータIC55と、DC/DCコンバータIC55からの電流の変動を制限するチョークコイル57と、チョークコイル57の先に設けられ給電電流の出力用コンデンサ(電解コンデンサなど)58と、を備える。
【0019】
そして、チョークコイル57は、出力用コンデンサ58を間に挟んで通信回路4の反対側に配設されている。また、電源回路5の部分にあたるプリント配線基板には、図1で斜線で示すベタGND部Gを設けている。また、このような電源回路5にへの供給電流(24V IN)は、電子機器6から入力端子51を通じて供給される。
【0020】
また、通信回路4における通信部42及び43は、図示しない接続コネクタによりRS−232の接続及び通信を行い、通信部44は、図示しない接続コネクタによりRS−485の接続及び通信を行う。そして、通信部42には機器3の通信部32がRS−232Cケーブルで接続され、同様に、通信部43には他の機器7の通信部72が同様に接続される。さらに、機器3に対しては、RS−232Cケーブルの着脱部と別体又は一体に構成された電力供給部59並びに電力受領部39を介して、電源回路5からの給電電流(7V OUT)が伝達される。
【0021】
〔作用効果〕
上記のように構成された本実施形態では、対応する通信規格が互いに異なる複数の通信部42〜44を有する通信ボード1上に変圧用の電源回路5を設けることにより、通信部(例えば42)に接続したプリンタなどの外部機器3や2への電源供給が可能となり、ACアダプタなど煩雑な外部の電源や配線が省略できる。例えば、本出願人による実例では、+7V、最大4A出力(約30W)クラスの大電流で駆動する電子機器を動作させることができる。
【0022】
また、本実施形態では、電源回路5部分のプリント配線基板にベタGND部Gを設けることにより、放熱が確保され放熱用のフィンやヒートシンク、大型部品(コイルやコンデンサなど)等が不要となって電源回路5が小型化でき、60×100mmといったコンパクトな通信ボード1上に無理なく電源回路5を設置可能となる。また、電源回路5については上記のようにコンパクト化したレイアウトにより、通信回路4との分離独立を確保して電源ノイズを軽減し通信動作を安定化できる。
【0023】
また、本実施形態では、ノイズ源になりがちなチョークコイル57を、通信回路4から見て出力用コンデンサ58を間に挟んだ反対側に配置して通信回路4から離すことにより、ノイズを出力用コンデンサ58並びにベタGND部Gで吸収し安定した通信品質を確保可能となる。
【0024】
特に、本実施形態では、RS−232CとRS−485双方の入出力や変換を行う通信ボード1への本発明の適用により、高度な有用性と汎用性が実現できる。但し、対応する通信規格はこれらには限らず任意に選択できる。
【0025】
さらに、本出願人は、高効率のDC/DCコンバータを採用し、また、周辺部品として低ESRの入出力コンデンサや、高性能なチョークコイルを採用し、さらに、保護回路を適宜挿入して過電圧や過電流、加熱からの各回路の保護を図ることにより、コンパクトながら信頼性の高い通信ボードの実現に成功した。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す図。
【符号の説明】
【0027】
1…通信ボード
2,3,7…外部機器
4…通信回路
5…電源回路
6…電子機器
24,32,42,43,44,72…通信部
39…電力受領部
51…入力端子
53…入力用コンデンサ
57…チョークコイル
58…出力用コンデンサ
59…電力供給部
55…DC/DCコンバータIC
G…ベタGND部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に取り付けるための通信ボードにおいて、
それぞれ互いに異なる通信形式で外部の機器と通信する複数の通信部と、
前記各通信部における通信を処理する通信回路と、
前記電子機器から供給される供給電流を変圧して外部へ給電電流として提供する電源回路と、
を有することを特徴とする通信ボード。
【請求項2】
前記電源回路は、
前記供給電流の入力用コンデンサと、
前記入力用コンデンサと接続されたコンバータICと、
前記コンバータICからの電流の変動を制限するチョークコイルと、
前記チョークコイルの先に設けられ給電電流の出力用コンデンサと、
を備え、
前記チョークコイルは、前記出力用コンデンサを間に挟んで前記通信回路の反対側に配設された
ことを特徴とする請求項1記載の通信ボード。
【請求項3】
前記電源回路の部分にあたるプリント配線基板に、ベタGND部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の通信ボード。
【請求項4】
前記複数の通信部のうち、少なくとも、
第一の通信部は、RS−232の接続及び通信を行い、
第二の通信部は、RS−485の接続及び通信を行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の通信ボード。

【図1】
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【公開番号】特開2007−299209(P2007−299209A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126707(P2006−126707)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】