説明

通信方法及びシステム

本発明は、低電力記憶装置のドライブブロックとアプリケーションブロックとの間の通信を行う方法に関する。本方法は、前記アプリケーションブロックに関するアプリケーションについての知識を前記ドライブブロックに与える特定のコマンドをインタフェースにより前記アプリケーションブロックから送信するステップと、前記コマンドに応答して、前記ドライブブロックにおける低電力処理を発行するステップとに対応する実行可能な命令から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に低電力記憶装置のドライブブロックとアプリケーションブロックとの間の通信を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルフォトカメラ、ポータブルオーディオプレーヤー、携帯情報端末(PDA)、ナビゲーションシステム、携帯電話などのますます多くのアプリケーションが、埋め込み記憶装置を利用している。これらの携帯アプリケーションの大部分はバッテリーを使用しているため、低電力であることが必要とされる。低電力消費は、関係するシステムの適切な機能を保証するため、及び十分なバッテリー寿命を有するため極めて重要である(電力消費は、システムのアクティブなコンポーネントの最大電力消費、異なる可能性のあるモードに関する要求を満たすため利用される戦略、コマンドまたは制約などの異なるレベルのアクションの結果である)。
【0003】
このようなアプリケーションにおいて、記憶装置は通常は標準的なインタフェース(IDEやSCSIなど)によりアプリケーションに自体と接続されている。しかしながら、接続されているアプリケーションについての知識を有さず、最適な手段をとることができずスレーブとしてほとんど機能する装置は、可能な限り低電力となるように、すなわち、電力消費を低減するためできる限りのことを行なうように手段をとることが可能である。例えば、ドライブがアプリケーションに関してスレーブであるとき、電力消費を低減する可能な手段の1つは、数秒間エンジンをオンにし(モータースピンドル、レーザオンなど)、エンジンが完全にオフに切り替わる前に、その後に中間的ないくつかのステージによりスタンバイまたはスリープモードに切り替えるなどの戦略であるかもしれない(例えば、ラップトップのハードディスクは、同様の戦略を利用している)。しかしながら、それは現実的には最適な手段ではない。なぜならば、アプリケーションはエンジンがオフに切り替わる直後にデータを必要とするかもしれず、それは再びスピンアップする必要があるからである。
【0004】
ポータブルCDプレーヤーやポータブルMP3プレーヤーなどの完成品(アプリケーション+ドライブ)では、電力消費戦略の大部分はアプリケーションにおいて処理され、1つのドライブに1つのアプリケーションしかないため(または限られた数のアプリケーション)可能である。このとき、当該アプリケーションは、ドライブの電力消費をほとんど正確に知っており、電力消費戦略を留意することができる。より詳細には、約28ミリメータの直径を有するディスク上に1ギガバイトのデータを格納可能なモバイル光記憶装置SFFO(Small Form Factor Optical)が、図1を参照して説明される。
【0005】
図1の基本ブロック図のSFFOシステムは、コマンド/データインタフェース300により接続されるアプリケーションブロック100とSFFOドライブブロック200とを有する。SFFOドライブブロック200は、アプリケーションからのコマンド処理を行うと共に、アプリケーションブロック100と第1メモリ202(ランダムアクセスメモリ、すなわち、RAM)の間、第1メモリ202とSFFO基本エンジン203との間のデータ処理を行う。基本エンジン203自体は、ドライブの残りの部分から構成され、一方においてメモリ202に対する読み書きを行うチャネルコーデックと、他方において低レベルコマンドによりSFFOデータパス201により制御されるサーボシステムとを有する。
【0006】
アプリケーションブロック100は、コマンドをSFFOドライブブロック200、第2メモリ102(またはRAM)及びユーザ入出力段階103に送信し、ユーザデータ(MPEG映像、MP3音声など)を符号化または復号化し、入出力装置(キーボード、マイクロフォン、スピーカー、カメラ、ディスプレイなど)を制御するSFFOアプリケーション101を有する。SFFOアプリケーション101は、SFFOドライブブロック200と第2メモリ102との間のデータ処理を実行する。
【0007】
図1に示されるように、アプリケーションブロック100とドライブブロック200は共にあるサイズのRAMメモリを有し、スマートバッファリング及び低電力処理が、しばしばポータブルCDまたはMP3プレーヤーなどの製品に対し、上述のようにアプリケーションブロック100において行われる。当該処理がアプリケーションブロック100において実行される場合、アプリケーションは、当該アプリケーションから詳細な命令を受け取るドライブに関する知識を有する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、ドライブがもはやスレーブとして動作する必要のない他の解法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明は、本説明の導入部で定義されたような通信方法に関し、さらに、それは、前記アプリケーションブロックに関するアプリケーションについての知識を前記ドライブブロックに与える特定のコマンドをインタフェースにより前記アプリケーションブロックから送信するステップと、前記コマンドに応答して、前記ドライブブロックにおける低電力処理を発行するステップとに対応する実行可能な命令から構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明はまた、モバイル低電力記憶装置のドライブブロックとアプリケーションブロックとの間の通信を行うシステムであって、前記装置は、前記アプリケーションブロックと前記ドライブブロックとのインタフェースをとるよう動作可能な通信手段と、前記アプリケーションブロック上に備えられる実行可能な命令であり、前記アプリケーションブロックからの1以上のコマンドを実行するよう動作可能である装置インタフェースセットと、
を有することを特徴とするシステムに関する。
【0011】
本発明が、添付した図面を参照して具体例と共に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
アプリケーションに接続される既知の記憶装置では、アプリケーションは、ドライブの特徴を知っており(あるいは対策により学習し)、それらを用いてエンジンを駆動することが可能である。従って、ドライブがどのくらい最適に利用されるかは、アプリケーションに依存する。与えられた技術的解法によると、ユーザが当該装置の特徴としてドライブの最小電力消費を与えることを所望する場合、そして、システムのドライブブロックにおいてスマートバッファリング及び低電力処理が実行される場合、ドライブ自体は低電力となるよう戦略を制御し、このため、知能的機能がドライブに備えられ、アプリケーションから受け取った命令により賢く動作することが可能である。特に、それはドライブに関する詳細な知識をアプリケーションに与えることなく、電力消費に関して多くのことを実行することができる。
【0013】
このとき、複数のインタフェースが、アプリケーションと、IDE、SCSI、コンパクトフラッシュ(登録商標)、マルチメディアカードなどの「スマート」カードとの間で利用可能であるが、実際には、アプリケーションに関する知識をドライブに与えるコマンドセットはまだ存在せず、ドライブにアプリケーションに関する十分な情報を与えるいくつかの擬似MMCコマンド(アプリケーションタイプコマンド、アナウンスストリームコマンド、リードストリームコマンド、ライトストリームコマンド)が説明される。しかしながら、現在のシステムでは、ファイルシステムがアプリケーションに配備されていることを思い起こすかもしれない。ドライブは、電力消費について考慮する必要があるときにはより賢明になり、ファイルシステムもまたドライブに備えられてもよい。このことは、いくつかの効果を有する。すなわち、アプリケーションはディスク上のファイルの論理位置についてもはや何も知らないが、ドライブは、ファイルに関して多くのことを知っており、ディスク上のファイル配置法に関して自らの割当て戦略を実現するようにしてもよい。しかしながら、そのようなシステムは、既存のアプリケーション及びコマンドセットとは互換性がない。
【0014】
以下の説明は、SFFOドライブブロックを有するモバイル光記憶システムSFFOの場合において、アプリケーションに関する十分な情報をドライブに与えるため、アプリケーションとそれのドライブとの間で実現されるインタフェースに用いられるコマンドに関する詳細を与える。
【0015】
(A)アプリケーションタイプコマンド(図2の表を参照せよ)
それは、SFFOドライブがプラグインされるアプリケーションタイプを説明する。当該コマンドは、電力アップ時、しかしアプリケーションが情報を更新する必要があると考えるときに発行される。このコマンドの構造は、各バイトが以下の特定の使用を有する8ビットの12バイトを有する。
(1)オペレーションコード(8ビット)
(2)モバイルビット(1ビット):それは、SFFOドライブがモバイルアプリケーションにプラグインされる場合にアサートされる必要があり、すなわち、この場合、ドライブは衝撃保護のためメモリを確保する必要があるということを知っている(そしてまた、サーボループは衝撃を解消するためややタイトにされる必要がある)。
(3)装置タイプビット(2ビット):それらは、SFFOドライブがプラグインされる装置の種類をドライブに通知し、これらの値には例えば以下のようなものがある。
【0016】
00=デフォルト:電力問題は考慮されない(及びスマート処理もない)
01=電話:最大ユーザデータレート1Mbps,ピーク電力<600mW
10=ムーブ:最大ユーザデータレート10Mbps,ピーク電力<1W
11=クレードル:最大ユーザデータレート36Mbps,ピーク電力<7W
(4)最大ピーク電力(8ビット):それは、ドライブがミリワットにより発行可能な最大ピーク電力を与える(アプリケーションは、この任意的コマンドを処理中に発行してもよい。例えば、電話を受信すると、SFFOドライブの最大ピーク電力が低減される必要がある)。
(5)最大平均電力(8ビット):それは、ドライブがミリワットにより発行する最大平均電力を与える(アプリケーションはまた、当該任意的コマンドを処理中に発行するかもしれない)。
【0017】
(B)アナウンスストリームコマンド(図3の表を参照せよ)
(1)オペレーションコード
(2)リード/ライト(1ビット):ストリームが読み出しされる場合、あるいはディスクに書き込まれる場合
(3)ストリーム番号(7ビット):ストリームに関連付けされる当該一意的番号により、SFFOドライブはストリームについて何かを知る。
(4)ユーザデータレート(24ビット):kbps単位のユーザデータレート
(5)転送長(32ビット):ストリームの長さ
(6)フラグメントサイズ(16ビット):フラグメントに関する情報を与える(任意的)
(C)リードストリームコマンド(本例では、それはREAD(12)MMCコマンドへの拡張である):ドライブからデータブロックを読み込む(図4の表)
(D)ライトストリームコマンド(図5の表):同様に、それはWRITE(12)MMCコマンドへの拡張である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、モバイル光記憶装置のSFFOシステムの基本ブロック図を示す。
【図2】図2は、提案されたコマンドを示す表である。
【図3】図3は、提案されたコマンドを示す表である。
【図4】図4は、提案されたコマンドを示す表である。
【図5】図5は、提案されたコマンドを示す表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低電力記憶装置のドライブブロックとアプリケーションブロックとの間の通信を行う方法であって、
当該方法は、
前記アプリケーションブロックに関するアプリケーションについての知識を前記ドライブブロックに与える特定のコマンドをインタフェースにより前記アプリケーションブロックから送信するステップと、
前記コマンドに応答して、前記ドライブブロックにおける低電力処理を発行するステップと、
に対応する実行可能な命令から構成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記特定のコマンドは、少なくとも前記ドライブがプラグインされるアプリケーションタイプを記述子、電力状態を規定するアプリケーションタイプコマンドを有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、
前記アプリケーションタイプコマンドは、処理中に発行されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法であって、
前記特定のコマンドはまた、前記ドライブブロックに前記ストリームに関する情報を与えるアナウンスストリームコマンドを有することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、
前記アナウンスストリームコマンドは、処理中に変更されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4記載の方法であって、
前記特定のコマンドはまた、リードストリームコマンドとライトストリームコマンドとを有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法であって、
前記特定のコマンドはまた、携帯環境または非携帯環境などの動作環境及び/または携帯電話、ラップトップなどの装置タイプに関する情報の送信を伴うことを特徴とする方法。
【請求項8】
モバイル低電力記憶装置のドライブブロックとアプリケーションブロックとの間の通信を行うシステムであって、
前記装置は、
前記アプリケーションブロックと前記ドライブブロックとのインタフェースをとるよう動作可能な通信手段と、
前記アプリケーションブロック上に備えられる実行可能な命令であり、前記アプリケーションブロックからの1以上のコマンドを実行するよう動作可能である装置インタフェースセットと、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムであって、
前記コマンドは、少なくとも前記装置がプラグインされているアプリケーションタイプを記述子、電力状態を規定するアプリケーションタイプコマンドを有することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムであって、
前記装置がプラグインされる装置の種類を前記装置に通知する値は、
00=デフォルト:電力問題は考慮されない(及びスマート処理もない)
01=電話:最大ユーザデータレート1Mbps,ピーク電力<600mW
10=ムーブ:最大ユーザデータレート10Mbps,ピーク電力<1W
11=クレードル:最大ユーザデータレート36Mbps,ピーク電力<7W
であることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項9記載のシステムであって、
前記コマンドはまた、前記ストリームに関する情報を前記ドライブブロックに与えるアナウンスストリームコマンドを有することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムであって、
前記コマンドはまた、リードストリームコマンドとライトストリームコマンドとを有することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11記載のシステムであって、
前記コマンドはまた、携帯環境または非携帯環境などの動作環境及び/または携帯電話、ラップトップなどの装置タイプに関する情報の送信を有することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13記載のシステムであって、
前記コマンドは、処理中に変更されることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項8乃至14何れか一項記載のシステムであって、
前記低電力記憶装置は、モバイル光記憶装置であることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項8乃至14何れか一項記載のシステムであって、
当該システムは、SFFOドライブブロックを有するモバイル光記憶システムSFFO(Small Form Factor Optical)から構成されることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−505418(P2007−505418A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530675(P2006−530675)
【出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001667
【国際公開番号】WO2004/104816
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】