説明

通信端末装置

【課題】未知位置の発信源からの無線信号を所定信号強度で受信できる姿勢を取得する。
【解決手段】CPUは、受信する無線信号の信号強度を取得する受信強度取得部200、姿勢を検出する姿勢検出部100、既知位置の発信源から信号受信時に姿勢検出部100により検出される各姿勢と当該姿勢のときに取得される信号強度とを対応付けた基準パターン21を取得する基準パターン21と、未知位置の発信源から信号受信時に姿勢検出部100により検出される各姿勢と当該姿勢のときに取得される信号強度とを対応付けた受信パターン22とを取得するパターン取得部300、基準パターン21と受信パターン22において所定信号強度に対応付けられている姿勢同士を比較し、比較結果に基づき未知位置の発信源から受信するための姿勢を取得する最適姿勢取得部400と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信する通信端末装置に関し、特に、発信源から受信するための姿勢を特定する通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開平7−253446号公報)および特許文献2(特開平6−350516号公報)に開示されているように、地上局からの送信電波の電界強度を、車両に搭載した測定装置で測定し、地図と各測定点での電界強度を表示する装置が知られている。
【0003】
また、特許文献3(特開2004−212226号公報)および特許文献4(特開平10−142274号公報)ではヘリコプタまたは車両に搭載した測定装置で電波強度を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−253446号公報
【特許文献2】特開平6−350516号公報
【特許文献3】特開2004−212226号公報
【特許文献4】特開平10−142274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話などの移動体通信端末などの無線通信においてはスループット低下を防ぐためには、所望のAP(Access Pointの略)との位置関係においてより強い電波環境を取得する必要がある。
【0006】
ところが上述した特許文献では、ユーザが端末を手に持ったまま操作することによる環境の個体差を補正する機能は提供されていない。この個体差は、各ユーザの人体影響の差(誘電体の影響)、端末(製品)自体の個体差(受信アンテナパターンの個体差)などを指す。
【0007】
そのため、ユーザは強い電波環境を取得するために、自己の現在位置からどの方向に体を向ければよいか、または自己の位置からどの方向に移動すればよいか知ることができず、より良いロケーションを求めて闇雲に動き回る必要があった。
【0008】
それゆえに本発明の目的は、設置位置が未知の発信源からの無線信号を所定信号強度で受信できる姿勢を取得できる通信端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面に従う、通信端末装置は、無線通信のためのアンテナを有する通信端末装置であって、アンテナを介し発信源からの無線信号を受信するための無線部と、無線部による受信信号の信号強度を取得するための強度取得部と、通信端末装置の姿勢を検出するための姿勢検出部と、既知の位置に配置された既知の発信源からの無線信号を受信時に姿勢検出部により検出される各姿勢と、当該姿勢のときに強度取得部により取得される信号強度とを対応付けた基準パターンを取得するための基準パターン取得部と、未知の位置に配置された未知の発信源からの無線信号を受信時に姿勢検出部により検出される各姿勢と、当該姿勢のときに強度取得部により取得される信号強度とを対応付けた受信パターンを取得するための受信パターン取得部と、基準パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢と、受信パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢とを比較し、比較結果に基づき未知の発信源からの無線信号を受信するための姿勢を取得するための姿勢取得部と、姿勢取得部が取得した姿勢を表す情報を出力するための出力処理部と、を備える。
【0010】
好ましくは、通信端末装置は、所定の面を有する筐体を、さらに備え、姿勢検出部は、筐体が向いている方角について、初期の方角からの変位角度と、筐体の前記所定の面の地表面に対する傾き角度とを、姿勢として検出する。
【0011】
好ましくは、姿勢取得部は、基準パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢としての変位角度と、受信パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢としての変位角度との差に基づき、未知の発信源からの無線信号を受信するための姿勢として筐体を向けるべき方角を取得する。
【0012】
好ましくは、出力処理部は、姿勢取得部が姿勢として取得した筐体を向けるべき方角の情報を出力する。
【0013】
好ましくは、基準パターンを取得する場合には、初期の方角は、既知の発信源が配置された既知の位置に対応する方角を指す。
【0014】
好ましくは、姿勢検出部は、筐体の向いている方角として、所定の面に垂直である仮想的な軸が向いている方角を検出する。
【0015】
好ましくは、姿勢検出部は、傾き角度として、所定の面に水平である仮想的な軸の、地表面に垂直である仮想的な軸に対する傾き角度を検出する。
【0016】
好ましくは、所定の面に水平であり且つ直交するX軸とY軸、および所定の面に垂直であり且つX軸およびY軸と直交するZ軸を想定した場合の、地磁気のX軸およびY軸の成分を検出する第1センサと、筐体の回転角による加速度のZ軸の成分を検出する第2センサと、をさらに備え、姿勢検出部は、第1センサの検出結果に基づき傾き角度を検出し、および第2センサの検出結果に基づき変位角度を検出する。
【0017】
この発明の他の局面に従うと、アンテナを介し発信源からの無線信号を受信するための無線部と、プロセッサとを有すを通信端末装置における方法であって、プロセッサが、無線部が受信する無線信号の信号強度を取得する強度取得ステップと、プロセッサが、通信端末装置の姿勢を検出する姿勢検出ステップと、プロセッサが、既知の位置に配置された既知の発信源からの無線信号を受信時に姿勢検出ステップにより検出される各姿勢と、当該姿勢のときに強度取得ステップにより取得される信号強度とを対応付けた基準パターンを取得するステップと、プロセッサが、未知の位置に配置された未知の発信源からの無線信号を受信時に姿勢検出ステップにより検出される各姿勢と、当該姿勢のときに強度取得ステップにより取得される信号強度とを対応付けた受信パターンを取得するステップと、プロセッサが、基準パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢と、受信パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢とを比較し、比較結果に基づき未知の発信源からの無線信号を受信するための姿勢を取得する姿勢取得ステップと、プロセッサが、姿勢取得ステップにより取得した姿勢を表す情報を出力するステップと、を備える。
【0018】
この発明のさらに他の局面に従うと、上記の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、設置位置が未知の発信源からの無線信号を所定信号強度で受信できる姿勢を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に係る携帯電話機のハードウェア構成図である。
【図2】本実施の形態に係る携帯電話機の外観図である。
【図3】本実施の形態に係る5軸センサを説明する図である。
【図4】本実施の形態に係る姿勢毎に、信号強度を取得する動作を模式的に示す図である。
【図5】本実施の形態に係る信号強度を取得するための回転について説明する図である。
【図6】本実施の形態に係る携帯電話機に搭載される発信源探索の機能構成が示される図である。
【図7】本実施の形態に係る処理フローチャートである。
【図8】本実施の形態に係る処理フローチャートである。
【図9】本実施の形態に係る基準パターンと受信パターンの一例を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る最適姿勢の情報の表示例を示す図である。
【図11】本実施の形態に係る最適姿勢の情報の表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態では、無線LAN(Local Area Network)用のAP(Access Point)からの送信電波の電界強度により発信源であるAPの方角を特定する装置および方法を説明する。なお、ここでは、APは親機に相当し、APからの信号を受信する端末は子機に相当する。
【0022】
本実施の形態では通信端末装置として移動体端末の1例である携帯電話機を示すが、携帯電話機に限定されない。また、通信端末装置は、移動体端末に限定されず、移動しない固定端末に適用されてもよい。
【0023】
(構成)
図1には、本実施の形態に係る携帯電話機のハードウェア構成を示し、図2には外観を示す。
【0024】
図2を参照して、携帯電話機は折畳み可能な2つの筺体24,25を有する。筐体24には、画像などの各種情報を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)7および通話のための音声を出力するためのスピーカ55を備える。筐体25には、外部から操作可能なように設けられている数字キーなどの複数のキーからなる入力部8、通話のための音声を入力するためのマイク54を含む。入力部8は通信の開始/終了を指示するために操作されるスイッチ51と発信源特定のための無線LAN通信の開始/終了を指示するために操作されるスイッチ52を含む。ここでは、折畳み可能な2つの筺体24,25からなるクラムシェル型の携帯電話機を示したが、1つの筺体からなるものでもよい。
【0025】
図1を参照して携帯電話機は各部を集中的に制御および管理するためのCPU(Central Processing Unit)1、各種データおよびプログラムが格納されるROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などからなるメモリ2、画像データDi(i=1、2、3・・・、n)を一時的に格納するためのメモリ40を内蔵するカメラコントローラ4、カメラコントローラ4により制御されて、被写体を撮影し、撮影結果得られた被写体の画像データDiを出力するカメラ部5、LCDコントローラ6、LCDコントローラ6により制御されるLCD7、入力部8、無線通信のための無線系9およびアンテナ10、各部に電源を供給するためのシステム電源11、マイク54およびスピーカ55と音声の入出力を行うI/F(インターフェイス)回路12を含む。
【0026】
さらに、外部から着脱自在の各種のメモリ媒体15が装着されるドライバなどのメモリI/F(Interfaceの略)14、およびアンテナ10の発信源であるAPに対する姿勢を検出するための5軸センサ3を含む。5軸センサ3は、磁気センサ31および加速度センサ32を有する。
【0027】
無線系9は、符号化/復号化機能を有する。符号化/復号化機能により、アンテナ10を介して送受信するデジタル信号について送信可能なように符号化する機能、受信したデジタル信号について内部で処理可能なように復号する機能、および電波の信号強度を検出する機能を有する。カメラコントローラ4はカメラ部5により撮像して逐次出力される画像データDiを入力してメモリ40に一時的に格納する。一時的に格納される画像データDiは入力部8のキー操作に従う指示に応答して、メモリ40を経由しメモリ2に最終的に保存される。
【0028】
ここで、5軸センサ3について説明する。図3の(A)を参照して、5軸センサ3とアンテナ10はLCD7の表示画面を有する筐体24に内蔵されている。
【0029】
5軸センサ3は、携帯電話機の筐体24を地表面と水平になるように置いた場合において、その水平面内において直交する2つの軸(X軸とY軸)とこの2つの軸それぞれに直交し、かつ地表面に垂直のZ軸を想定したとき、X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれの方向についての地磁気成分を検出するための磁気センサ31と、X軸およびY軸のそれぞれの方向についての重力加速度成分を検出するための加速度センサ32とを含む。加速度センサ32は電圧信号(mV)であるX軸方向の重力加速度成分信号XV1とY軸方向の重力加速度成分信号YV1とを出力として導出する。磁気センサ31は、X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれについての電圧信号(mV)である地磁気成分を地磁気成分信号XV2、YV2およびZV2を出力として導出する。加速度センサ32と磁気センサ31は同時に能動化されることはなく、選択的に一方が能動化される。つまり、両者はCPU1が出力する選択指示信号151を入力し、入力した選択指示信号151が加速度センサ32の選択を示すときには加速度センサ32が検出動作して出力を導出し、選択指示信号151が磁気センサ31の選択を示すときには、磁気センサ31が検出動作して出力を導出する。
【0030】
携帯電話機において、上述のように5軸センサ3は、LCD7の画面が設けられた筐体24に内蔵されており、筐体24の主面および当該主面の裏面に沿う水平面内に、X軸およびY軸が定義されており、当該主面およびその裏面に対して垂直な方向にZ軸が定義されている。
【0031】
このように、磁気センサ31は、X,Y,Z軸に対する地磁気(磁束密度)を定量的に検出し、加速度センサ32は、携帯電話機に加わる加速度をX,Y,Z軸それぞれについて定量的に検出する。
【0032】
本実施の形態では、アンテナ10の姿勢の検出は、筐体24の向いている方角として、Z軸が向いている方角の検出と、X軸またはY軸の、地表面に垂直である仮想的な軸に対する傾き角度との検出による。
【0033】
本実施の形態では、発信源のAPを探索する場合に、ユーザは、携帯電話機を開いた状態でLCD7の画面を正面に見て、画面が地表面に対して略垂直となるよう携帯する。これにより、Y軸は地表面に対して略垂直となる。これを携帯電話機の所定傾き角度と称し、磁気センサ31が検出するX,Y,Z軸に対する地磁気(磁束密度)量が所定磁気量であると検出されると、所定傾き角度である判別する。
【0034】
図4は、携帯電話機(アンテナ10)の姿勢毎に、信号強度を取得する動作を模式的に示す図である。図4では、長方形状の絵柄は携帯電話機(アンテナ10)を指し、その傾き角度(0°、±45°、±90°)はY軸の傾き角度を表す。ここでは、ユーザはLCD7の画面を正面から見る姿勢で携帯電話機を携帯することから、携帯電話機(アンテナ10)の傾き角度は、ユーザの姿勢を表すとも言える。たとえば、+45°または+90°は仰向けに画面を見ている姿勢を指し、−45°または−90°は下向きに画面を見ている姿勢を指す。
【0035】
図4では中心CEにユーザが位置すると想定し、中心CEから延びる矢印は、ユーザが見る方角を指し、中心CEとする球の面に沿って延びる矢印は携帯電話機を傾き角度(0°、+45°、−45°)で携帯したユーザが、中心CEの固定位置で体の向きを1周(360°)回転する場合の携帯電話機(アンテナ10)の回転移動の軌跡を表す。
【0036】
図4を参照して変位について説明する。図4は、携帯電話機(アンテナ10)をZ軸に平行である傾き(図3の0°の傾き)で携帯したままのユーザが、中心CEで矢印Rの方向に1周(360°回転)する場合を模式的に示す。
【0037】
図5では、所定傾き角度で携帯電話機を携帯したユーザが所定周波数の無線信号を安定発信する既知SSID(Service Set Identifier)を有したAP(位置固定)の正面に位置し、当該位置を固定にしてR方向(右回り)に1周(360°)だけ体を回転する動作を開始する。なお、回転方向は、右回りではなく、左回りであってもよい。回転に伴うZ軸の方角について、回転開始時の初期の方角からの変位角度(回転角度)に着目すると、初期の開始位置では0°であり、回転にともない増加し1周すると360°となる。
【0038】
ここでは、アンテナ10は携帯電話機の筐体24の所定位置に固定して配置されることから、携帯電話機(より特定的には筐体24)の傾き角度および変位角度を検出することにより、アンテナ10の傾き角度および変位角度を検出することができる。
【0039】
図6には、携帯電話機に搭載される発信源探索のための機能構成が示される。図6の各部はCPU1が実行するプログラムにより、または当該プログラムと回路との組み合わせにより実現される。プログラムは、予めメモリ2に格納されており、CPU1が当該プログラムをメモリ2から読出し、実行することにより、各部の機能が実現される。図6には、CPU1が有するこれら機能と、関係する周辺部分が示される。
【0040】
図6を参照して、CPU1は、入力部8を介したユーザの指示の入力操作を受付ける操作受付部90、携帯電話機の傾き角度および変位角度から姿勢を検出するための姿勢検出部100、無線系9が受信する無線信号の信号強度を取得する信号強度取得部200、携帯電話機の各姿勢と、当該姿勢により受信する無線信号の信号強度とを対応付けしたパターンを取得するパターン取得部300、発信源からの信号を受信するための最適姿勢を取得するための最適姿勢取得部400、および表示処理部600を備える。表示処理部600は、取得した最適姿勢から表示用のデータを生成する表示データ生成部610を有し、表示用データに基づく画像をLCD7に表示するための表示処理部600を備える。
【0041】
姿勢検出部100は、傾き検出部110と移動検出部120とを含む。傾き検出部110は、磁気センサ31の出力に基づき地表面に対する携帯電話機の絶対的な傾き角度を検出する。移動検出部120は、加速度センサ32の出力に基づき、携帯電話機についての上述した変位角度(回転角度)を検出する。なお、変位角度検出のためには、加速度センサ32に代替してジャイロセンサーなどを用いてもよい。
【0042】
姿勢検出部100は、検出された傾き角度および変位角度の組みにより、携帯電話機(アンテナ10)の姿勢を検出する。
【0043】
信号強度取得部200は、無線系9から出力される受信レベル検出信号311に基づき、無線LANの受信信号の強度(以下、RSSI(Received Signal Strength Indicator)値(単位:dBm)という)を取得する。具体的には、無線系9はアンテナ10からの信号の入力端に図示しない電圧センサを有し、電圧センサはアンテナ10からの出力電圧値を検出し、受信レベル検出信号311として信号強度取得部200に出力する。信号強度取得部200は、受信レベル検出信号311が示す値と所定のアンテナファクタを用いてRSSI値を算出する。なお、本実施の形態では、無線LANの受信信号の信号強度(RSSI値)を計測するポイントをアンテナ10の受信信号の出力端としているが、この箇所に限定されるものではない。
【0044】
パターン取得部300は、既知の位置に配置された発信源APからの無線信号を受信時に検出される各姿勢と、当該姿勢のときに取得される信号強度とを対応付けた基準パターン21を取得する基準パターン取得部310と、未知の位置に配置された発信源APからの無線信号を受信時に検出される各姿勢と、当該姿勢のときに取得される信号強度とを対応付けた受信パターン22を取得する受信パターン取得部320と、を含む。取得されたこれらパターンは、メモリ2の所定領域に格納される。
【0045】
最適姿勢取得部400は、上述の未知の位置に配置された発信源APからの信号を所定信号強度(より、特定的には最大信号強度)で受信することができる姿勢を判別するために、基準パターン21と受信パターン22とを比較するパターン比較部410を有する。
【0046】
(処理)
図7と図8のフローチャートを参照して、本実施の形態による発信源APの探索処理について説明する。このフローチャートに従うプログラムは、予めメモリ2に格納されており、CPU1がプログラムをメモリ2から読出し、読出したプログラムを実行することにより処理が実現される。
【0047】
図7を参照して、まず、基準パターン21が取得される(ステップS3)。具体的な処理が図8に示される。図8を参照して、操作受付部90は、スイッチ52のユーザ操作に基づき、基準パターン21の取得指示が入力されるか否かを判定する(ステップT3)。操作受付部90が、スイッチ52が操作されないと判定する(ステップT3でNO)間は、ステップT3の処理が繰返される。
【0048】
スイッチ52が操作されたことを判定すると、操作受付部90は、受付けた操作内容に基づく基準パターン取得指示を出力する。基準パターン取得指示に応じて、基準パターン21を取得するための処理が開始される。
【0049】
なお、基準パターン21を取得する際には、ユーザは、携帯電話機を所定傾き角度で携帯しながら、所定周波数の無線信号を安定発信する既知SSIDを有したAP(位置固定)の正面に向き、その位置でZ軸を中心CEにして、図5のようにR方向(右回り)に体を1周(360°)回転させる。
【0050】
回転開始から回転終了するまでの期間においては、すなわちスイッチ52が操作されて、その後に操作されるまでの期間は、無線系9は既知SSIDに基づきAPから信号を受信する(ステップT5)。信号強度取得部200は、受信信号の信号強度を取得し、取得した信号強度をパターン取得部300に出力する(ステップT7)。
【0051】
また、R方向の回転に伴い姿勢検出部100により携帯電話機の姿勢の変化が検出され、検出された姿勢はパターン取得部300に出力される(ステップT9)。具体的には、移動検出部120は、回転に伴うX,Y,Z軸についての加速度成分を合成することにより、開始位置からの変位角度を検出する。回転する期間では、傾き検出部110は常時、所定傾き角度を検出する。姿勢検出部100は、回転に伴い検出される変位角度および所定傾き角度に基づく姿勢を検出し、パターン取得部300に出力する。ここでは、携帯電話機は常時、所定傾き角度であることから、検出される姿勢は、Z軸が向いている方角について、回転開始時の初期の方角からの変位角度(回転角度0°〜360°)によって表されるものとする。
【0052】
パターン取得部300の基準パターン取得部310は、入力する単位変位角度毎(たとえば、回転角度15°毎)に、当該角度と、対応して入力する信号強度とを関連付けてメモリ2の一時領域に格納する。
【0053】
1周を終えると、ユーザはスイッチ52を操作するので、操作受付部90は当該操作を受付け、受付けた操作内容に基づき、1周完了の通知を出力する。スイッチ52の操作がされない(ステップT11でNO)間は、処理はステップT5に戻り、姿勢と信号強度の取得が繰返される。
【0054】
1周し終えて、ユーザがスイッチ52を操作すると(ステップT11でYES)、基準パターン取得部310は、1周分について取得した一時領域のデータを、基準パターン21として格納する(ステップT13)。これにより、基準パターン21が取得される。
【0055】
なお、1周の終了判定は、スイッチ52の操作に代替して、変位角度が360°であることを検出したことに基づいて判定してもよい。
【0056】
図7の処理に戻る。次に、携帯電話機のユーザは、設置位置が未知の発信源であるAPとの通信を所望した場合に、当該APについての受信パターン22を取得する(ステップS5)。具体的には、ユーザは、上述と同様に所定傾き角度で携帯電話機を携帯しながら、その位置を固定に体を1周回転させる。
【0057】
なお、未知の発信源であるAPのSSIDは予め取得しているので、無線系9は当該APと通信可能であると想定する。1周回転の開始から終了するまでの期間において、図8に示した手順と同様にして、受信パターン取得部320により未知のAPについての受信パターン22が取得されてメモリ2に格納される。これにより、受信パターン22が取得される。
【0058】
次に、最適姿勢取得部400によって、設置位置が未知のAPと通信するための携帯電話機の最適姿勢の情報が取得される(ステップS9)。取得された情報に基づき表示データ生成部610により表示データが生成されて、表示処理部600により表示データに基づきLCD7に画像が表示される(ステップS11)。ここで、最適姿勢とは、未知のAPからの受信信号の信号強度が所定強度、より特定的には最大の信号強度である姿勢を指す。
【0059】
ステップS9では、パターン比較部410は、メモリ2の基準パターン21と受信パターン22とを比較し、比較結果に基づき、姿勢検出部420は最適姿勢を検出する。具体的な処理を、図9と図10を参照して説明する。
【0060】
図9には、本実施の形態によるメモリ2の基準パターン21と受信パターン22の一例が示され、図10には、最適姿勢の情報の表示例が示される。図9を参照して、基準パターン21と受信パターン22は、回転開始時におけるZ軸が指す方角を0°にして、R方向に回転する場合の15°毎の回転角度の変位に対応して、取得された信号強度(RSSI)を有する。図中、ΔE群は、基準パターン21の信号強度(RSSI−A)での最大値を基準(0dB)とした場合の偏差群を指し、Δe群は、受信パターン22の信号強度(RSSI−B)での最大値を基準(0dB)とした場合の偏差群を指す。図7の基準パターン21と受信パターン22に従えば、変位角度毎の信号強度は図10の(A)と(B)のように分布する。図10では、直交する2軸の交点が、携帯電話機(アンテナ10)の位置を指す。
【0061】
受信信号の信号強度が携帯電話機の姿勢によらず減衰することがないとすれば、図10の(A)の破線のパターンCRのように姿勢にかかわらず同一の信号強度となる。しかしながら、実際は、アンテナ10の回路定数などに起因する個体差、またはユーザの個体差などにより信号強度はパターンCRのようにはならず、実線のように減衰する。図10の(A)と(B)では、最大の信号強度の変位角度(回転角度)に対応する方向に電界強度のベクトルが示される。
【0062】
パターン比較部410は、メモリ2の基準パターン21と受信パターン22とからΔE群とΔe群とを算出し、ΔE群とΔe群それぞれにおける最大値に対応した回転角度(図9では回転角度“A”と“a”)を検出し、検出した回転角度を比較する。つまり、(a−A)を算出し、算出結果を比較結果として出力する。
【0063】
図9によれば、比較結果として(225°−315°)=90°(左回り)が出力される。したがって、ステップS9では、最適姿勢取得部400は、1周回転終了後に携帯電話機を所定傾き角度で携帯したまま、現在位置で左まわりに90°回転すると、軸Zの向きは最大信号強度で受信できる方向に一致し、その結果、アンテナ10により受信強度は最大となる旨の情報を出力する。
【0064】
表示処理部600は、最適姿勢取得部400からの情報をLCD7に表示する。具体的には、表示データ生成部610は、最適姿勢取得部400からの入力情報に基づき、最適姿勢を示すための画像データを生成する。たとえば、図10の(C)に示すように、現在のユーザの場所(位置)を直交した2本の直線の交点にして、交点に携帯電話機の絵柄のマークPCを配置し、図10の(A)のマークPCを、矢印Lが指すように左まわりに90°回転させた画像と、最大信号強度が取得された変位角度の方角と信号強度を指すベクトル画像とを含む画像がLCD7の表示される。
【0065】
図10の(C)の表示画像によれば、ユーザは、携帯電話機を所定角度で携帯したまま左まわりに90°だけ体を回転すれば、未知の発信源であるAPから最大の信号強度で受信できることを確認できる。また、その信号強度はベクトルの長さにより把握することができる。
【0066】
(変形例)
上述の実施の形態では、説明を簡単にするために、基準パターン21と受信パターン22を取得する際の携帯電話機は所定傾き角度であると想定したが、傾き角度を固定としない場合も、もちろん可能である。つまり、異なる傾き角度毎に、図7と図8の処理に従って、対応する基準パターン21を取得する。未知発信源のAPからの受信パターン22を取得する場合には、ユーザが携帯する携帯電話機の傾き角度を傾き検出部110により検出し、検出した傾き角度に対応の基準パターン21と、当該傾き角度での受信パターン22とを比較することで、最適姿勢を取得することもできる。
【0067】
また、未知の発信源である複数個のAPのそれぞれについて、上述同様にして最適姿勢と最大の信号強度とを取得して、図11のように表示してもよい。図11の画像は、直交する2直線の交点を携帯電話機の位置とし、その位置を中心に半径の異なる複数の円が同心円で描画される。各円の半径の長さは、受信強度の大きさを指し、交点に近いほど信号強度が大きいことを指す。図11の画像では、たとえば3個のAPの各マークが、当該APについて最大の信号強度を取得した方角において、当該信号強度に相当する円上の位置に描画されている。
【0068】
図7では、基準パターン21と受信パターン22とは連続して取得するようにしているが、処理は連続して行われなくてよい。また、パターンの取得順序は限定されず、受信パターン22を取得した後に、基準パターン21を取得するようにしてもよい。
【0069】
ここでは、最適姿勢の出力態様は表示としているが、音声で出力するようにしてもよい。
【0070】
本実施の形態によれば、携帯電話機に搭載した発信源探索装置を用いてAPからの受信信号の信号強度と携帯電話機(すなわちアンテナ10)のAPに対する姿勢を検出(測定)し、その検出結果から信号強度のパターンを作成する。パターンに基づき、APから最大の信号強度で受信することのできる姿勢(変位角度に基づく方角および傾き角度)を決定することができる。
【0071】
(他の実施の形態)
本実施の形態における処理方法は、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、携帯電話機に付属するメモリ媒体15(メモリ形状のカード、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、ROM、RAMなど)であって、CPU1が読取り可能な記録媒体に記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、ネットワークを介して無線系9により受信した携帯電話機の所定記憶領域へのダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0072】
提供されるプログラム製品は、メモリ2などのプログラム格納部にインストールされてCPU1により読出されて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
8 入力部、9 無線系、10 アンテナ、21 基準パターン、22 受信パターン、24,25 筺体、31 磁気センサ、32 加速度センサ、90 操作受付部、100 姿勢検出部、110 傾き検出部、120 移動検出部、151 選択指示信号、200 信号強度取得部、300 パターン取得部、310 基準パターン取得部、320 受信パターン取得部、400 最適姿勢取得部、410 パターン比較部、420 姿勢検出部、600 表示処理部、610 表示データ生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信のためのアンテナを有する通信端末装置であって、
前記アンテナを介し発信源からの無線信号を受信するための無線部と、
前記無線部による受信信号の信号強度を取得するための強度取得部と、
前記通信端末装置の姿勢を検出するための姿勢検出部と、
既知の位置に配置された既知の発信源からの無線信号を受信時に前記姿勢検出部により検出される各姿勢と、当該姿勢のときに前記強度取得部により取得される信号強度とを対応付けた基準パターンを取得するための基準パターン取得部と、
未知の位置に配置された未知の発信源からの無線信号を受信時に前記姿勢検出部により検出される各姿勢と、当該姿勢のときに前記強度取得部により取得される信号強度とを対応付けた受信パターンを取得するための受信パターン取得部と、
前記基準パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢と、前記受信パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢とを比較し、比較結果に基づき前記未知の発信源からの無線信号を受信するための姿勢を取得するための姿勢取得部と、
前記姿勢取得部が取得した姿勢を表す情報を出力するための出力処理部と、を備える、通信端末装置。
【請求項2】
前記通信端末装置は、所定の面を有する筐体を、さらに備え、
前記姿勢検出部は、
前記筐体が向いている方角について、初期の方角からの変位角度と、前記筐体の前記所定の面の地表面に対する傾き角度とを、前記姿勢として検出する、請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記姿勢取得部は、
前記基準パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢としての変位角度と、前記受信パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢としての変位角度との差に基づき、前記未知の発信源からの無線信号を受信するための姿勢として前記筐体を向けるべき方角を取得する、請求項2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記出力処理部は、
前記姿勢取得部が姿勢として取得した前記筐体を向けるべき方角の情報を出力する、請求項3に記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記基準パターンを取得する場合には、前記初期の方角は、前記既知の発信源が配置された既知の位置に対応する方角を指す、請求項2から4のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記姿勢検出部は、前記筐体の向いている方角として、前記所定の面に垂直である仮想的な軸が向いている方角を検出する、請求項2から5のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項7】
前記姿勢検出部は、前記傾き角度として、前記所定の面に水平である仮想的な軸の、地表面に垂直である仮想的な軸に対する傾き角度を検出する、請求項2から6のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項8】
前記所定の面に水平であり且つ直交するX軸とY軸、および前記所定の面に垂直であり且つ前記X軸および前記Y軸と直交するZ軸を想定した場合の、地磁気の前記X軸およびY軸の成分を検出する第1センサと、
前記筐体の回転角による加速度の前記Z軸の成分を検出する第2センサと、をさらに備え、
前記姿勢検出部は、前記第1センサの検出結果に基づき前記傾き角度を検出し、および前記第2センサの検出結果に基づき前記変位角度を検出する、請求項2から7のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項9】
アンテナを介し発信源からの無線信号を受信するための無線部と、プロセッサとを有すを通信端末装置における方法であって、
前記プロセッサが、前記無線部が受信する無線信号の信号強度を取得する強度取得ステップと、
前記プロセッサが、前記通信端末装置の姿勢を検出する姿勢検出ステップと、
前記プロセッサが、既知の位置に配置された既知の発信源からの無線信号を受信時に前記姿勢検出ステップにより検出される各姿勢と、当該姿勢のときに前記強度取得ステップにより取得される信号強度とを対応付けた基準パターンを取得するステップと、
前記プロセッサが、未知の位置に配置された未知の発信源からの無線信号を受信時に前記姿勢検出ステップにより検出される各姿勢と、当該姿勢のときに前記強度取得ステップにより取得される信号強度とを対応付けた受信パターンを取得するステップと、
前記プロセッサが、前記基準パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢と、前記受信パターンにおいて所定信号強度に対応付けられた姿勢とを比較し、比較結果に基づき前記未知の発信源からの無線信号を受信するための姿勢を取得する姿勢取得ステップと、
前記プロセッサが、前記姿勢取得ステップにより取得した姿勢を表す情報を出力するステップと、を備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−38493(P2013−38493A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170902(P2011−170902)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】