説明

通信網のマネージメントネットワークの運用のための方法

【課題】冒頭の述べたような従来形式のマネージメントネットワークの効果的な運用方法を提供すること。
【解決手段】マネージャからエージェントに情報調整に関する問い合わせを送信するステップが含まれ、前記問い合せに対して、マネージャに既知の全てのオブジェクト及び/又はアラームの所定の時点以降に変更の行われた全ての属性を前記エージェントからマネージャに送信するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マネージャと、エージェントと、オブジェクトモデルを含んでおり、該オブジェクトモデルに従ってオブジェクトがオブジェクトクラスに割り当てられており、前記オブジェクトモデルは、マネージャとエージェントの間の通信のために用いられている、通信網のマネージメントネットワークの運用のための方法に関している。
【背景技術】
【0002】
TMN原理(Telecommunications Management Network)とも称されるマネージメントネットワークの原理によれば、通信システム、たとえば移動無線通信システムのような通信システムのマネージメントのために複数のマネージメントレイヤが存在している。この場合各レイヤは最上位層と最下位層を除いて二重の機能を、詳細にはマネージャ機能とエージェント機能を有している。マネージメントするシステム、いわゆるマネージングシステムにおいては、最下位層を除いて各レイヤが下位にあるレイヤのためのマネージャ機能を実施する。マネージメントされるシステム、いわゆるマネージドシステムでは、最上位層を除いて各レイヤが次に上位のレイヤのためのエージェント機能を与えられている。
【0003】
マネージャは、ネットワークの監視とコントロールのために次のような動作を開始する。すなわち自信がいわゆる"リクエスト"(これはエージェントによって実施される)を送信し、相応の応答通知、いわゆる"レスポンス"をエージェントから受け取る。いわゆる遠隔通信網のリソースとも称される遠隔通信網の要素(これらはTMN階層構造においてエージェントの役割を果たす)は、関連する出来事、いわゆる"イベント"(例えばアラームなど)を識別し、相応の通知、いわゆる"notifications"を作成し、それを出来事通知、いわゆる"イベントレポート"の形態でマネージャに伝送して効果的なネットワーク管理を可能にさせている。
【0004】
ネットワークマネージメントには、とりわけエラーマネージメント(Fault-Management)及び/又はコンフィグレーションマネージメント(Configuration Management)及び/又はセキュリティマネージメント(Security-Management)及び/又はアカウンティングマネージメント(Accounting-Management)及び/又はパフォーマンスマネージメント(Performance-Management)が含まれ得る。このネットワークマネージメントによって情報配信と管理のための適切な機構が提供されるべきであり、それによってネットワーク状態に関する包括的な画像が必要に応じて得られ、遠隔通信網の個々のオブジェクトが効果的に監視されるように構成される。
【0005】
マネージャ・エージェント間の通信は、いわゆるマネージメントインターフェースないしマネージャ・エージェントインターフェースを介して行われる。これはオブジェクト指向の環境の中で、次のような通信プロトコル、例えばITU−T X.711規格のCMIP(Common Management Information)又はCORBA(Common Object Request Broker Architecture)と、オブジェクトモデルによって識別される。オブジェクトモデルは、遠隔通信網のリソースのモデリングに用いられる。このモデリングの際にはこれらのリソースがオブジェクトクラスに分けられる。
【0006】
そのようなインターフェースは、例えば一方ではネットワークエレメントマネージメントレベル(Network Element Management Level)の間に存在し、他方ではネットワークエレメントレベル(Network Element Level)の間に存在する。このマネージャ・エージェントインターフェースの一例としてはネットワークエレメントマネージメントレベルのオペレーション・メンテナンスセンタOMC(Operation and Maintenance Center)があげられ、さらにネットワークエレメントレベルの側では、例えばGSM移動無線網の基地局システムBBS(Base Station System)の基地局や他の通信網の基地局、例えばUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)移動無線網のノードBs、あるいはIEEE 802.11規格のWLAN(Wireless Local Area Network)システムの無線アクセスポイントなどがあげられる。
【0007】
マネージメントインターフェースないしマネージャ・エージェントインターフェースも一方ではネットワークマネージメントレベル(Network Management Level)の間に存在し、他方ではネットワークエレメントマネージメントレベルの間に存在する。このマネージャ・エージェントインターフェースに対するネットワークデバイスの一例としては、例えばいわゆるGSMやその他の移動無線網ないし遠隔通信網において、例えばネットワークマネージメントレベルの側ではネットワークマネージメントセンタ(NMC(Network Management Center)があげられ、またネットワークエレメントマネージメントレベルの側ではオペレーション・メンテナンスセンタOMC(Operation and Maintenance Center)があげられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、冒頭の述べたような形式のマネージメントネットワークの効果的な運用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は本発明により、前記マネージャからエージェントに情報調整に関する問い合わせを送信するステップが含まれ、前記問い合せに対して、マネージャに既知の全てのオブジェクト及び/又はアラームの所定の時点以降に変更の行われた全ての属性が前記エージェントからマネージャに送信されるようにして解決される。
【0010】
本発明の別の有利な構成例及び改善例は従属請求項の対象である。
【0011】
本発明のマネージャとエージェントを含んだ遠隔通信網のマネージメントネットワークの運用方法によれば、前記マネージャとエージェントは、オブジェクトモデルを用いて相互に通信される。このオブジェクトモデルに従ってオブジェクトがオブジェクトクラスに割当てられている。マネージャは情報調整に関する問い合わせをエージェントに送信し、ないしはエージェントがマネージャから情報調整に関する問い合わせを受信する。本発明によれば前記マネージャが、前記問い合わせに基づいて、専ら所定の時点以降に変更が引き起こされたオブジェクト及び/又はアラームに関する情報をエージェントから受信し、ないしはエージェントはこの情報をマネージャに送信する。
【0012】
マネージャとエージェントはオブジェクトモデルを用いて相互に通信している。このオブジェクトモデルのオブジェクトクラスが割り当てられるオブジェクトとは、物理的構成要素若しくは論理的構成要素の抽象、すなわち管理された遠隔通信網のネットワークリソースであり、従ってこれらのネットワークリソースはオブジェクトとしてモデル化される。このオブジェクトに関しては、その具体的な構成やそのオブジェクトクラスへの割り当てに依存して様々なタイプの変更が可能である。
【0013】
アラームはイベントに基づいて存在する。オブジェクトがそのような"アラームイベント"を設定すると、アラームに関する報告のためのアラームレポートが送信される。このアラームは、アラームレポートを送信したオブジェクトに結び付ける。1つのアラームはそれ自体変更が可能な様々な状態を有し得る。さらにアラームは、属性、いわゆるアラーム情報も有し得る。これも変更が可能である。
【0014】
本発明による方法は、マネージャとエージェントの間で情報の同期化を可能にさせる。ただしこの場合は完全な同期化ではなく、部分的な同期化である。なぜなら全てのオブジェクト及び/又はアラームが同期化のパートではなく、所定の時点以降に変更を引き起こさせる条件を満たすだけのものだからである。その中には専ら所定の時点以降に変更が引き起こされたオブジェクト及び/又はアラームに関する情報は含まれない。所定の時点以降不変であるオブジェクト及び/又はアラームに関する情報を除いて、その他の情報も専ら所定の時点以降に変更を引き起こさせるオブジェクト及び/又はアラームに関する情報としてエージェントからの問い合わせに基づいてマネージャに送信可能である。
【0015】
所定の時点以降に変更を引き起こさせるオブジェクト及び/又はアラームに関する情報は、有利には1つのメッセージを含んでいるが、しかしながらそれはまた複数のメッセージにも分割可能である。マネージャやエージェントの他にさらに別の装置がマネージメントネットワークの構成要素として用いられてもよい。本発明による方法は、1つのエージェントが複数のマネージャに関連して実施してもよいし、1つのマネージャが複数のエージェントに関連して実施してもよい。
【0016】
本発明の有利な実施例によれば、所定の時点とはマネージャによって要求されたマネージャとエージェントの間の最後の情報調整の時点である。それによりマネージャは本発明による方法によれば、マネージャによって要求された最後の同期化以降に現れている変更に関する情報を提供する。この最後の同期化とは、完全な同期化か、あるいは本発明によれば部分的な同期化でもあり得る。最後の同期化の時点に対しては代替的にその他のイベントの時点も利用可能である。それにより例えばマネージャとエージェントの間の接続が中断された時点も利用できる。
【0017】
本発明の有利な実施例によれば、マネージャの問い合わせには、次のようなオブジェクトに関する情報も含まれる。すなわち所定の時点以降に変更が引き起こされたオブジェクト及び/又はアラームに関するエージェントの情報が関連付けられるオブジェクトに関する情報も含まれる。このことは必ずしもエージェントの全てのオブジェクト及び/又はアラームが変更の検査を受けなければならないことを意味するのではなく、マネージャの要求において示されたものだけを検査するだけでよい。アラームに関してはマネージャの問い合わせは、変更されたアラームが所定の対象にのみ該当することを示す。
【0018】
特に有利には、所定の時点以降に変更が引き起こされたオブジェクトに関する情報は、前記所定の時点以降のマネージャに既知の少なくとも1つのオブジェクトの少なくとも1つの属性に関する変更に関する情報を含んでいる。マネージャにオブジェクトが既知であることは、例えば次のようなことを意味する。すなわちマネージャがこのオブジェクトに関する情報、例えばオブジェクトの識別情報、オブジェクトのオブジェクトクラス、オブジェクトの属性と属性値を記憶していることを意味するか及び/又はマネージャが既にこのオブジェクトに関するメッセージをエージェントから受け取ったか又はエージェントに送信したことを意味する。属性の変更は例えば属性値の変更、属性の挿入又は属性の消去によって実現され得る。有利にはマネージャは本発明による部分同期の枠内において、自身に既知の全てのオブジェクト(場合によっては問い合わせにおいて特定されたオブジェクト)の所定の時点以降に変更された属性に関する情報を受ける。オブジェクトの属性の変更に関する情報は、有利にはそのつどのオブジェクトの識別情報、属性の識別情報、及び目下の属性値を含有する。
【0019】
付加的に若しくは代替的に有利には、所定の時点以降に変更が引き起こされたオブジェクトに関する情報は、前記所定の時点以降にマネージャに係わりかつ当該マネージャに未知の少なくとも1つのオブジェクトに関する情報を含んでいる。マネージャにオブジェクトが未知であることは、例えば次のようなことを意味する。すなわちマネージャがこのオブジェクトに関する情報を記憶していないことを意味するか及び/又はマネージャがまだこのオブジェクトに関するメッセージをエージェントから受け取っていないか又はエージェントに送信していないことを意味する。オブジェクトは、マネージャに対して次のようなとき、例えばマネージャによって監視されたオブジェクトのセットに付加されるときやマネージャによって監視されるべき装置が新たに設置されるとき、マネージャに既にオブジェクトとして既知であった装置が別のオブジェクトとして検出されるべきとき、時折マネージャによって監視されなかったオブジェクトが例えばオンサイトサービスのために再びマネージャによって監視されるべきときなどに関連性を持つ。マネージャにとってこれまで未知だったオブジェクトに関する情報は、有利にはオブジェクトの識別情報やオブジェクトの属性の識別情報及び目下の属性値を含んでいる。
【0020】
さらに付加的に若しくは代替的に有利には、所定の時点以降に変更が引き起こされたオブジェクトに関する情報は、前記所定の時点以後にマネージャとの関係が薄くなった当該マネージャに既知の少なくとも1つのオブジェクトに関する情報を含んでいる。オブジェクトは次のような場合にはマネージャとの関係が薄くなり得る。すなわち例えばマネージャによって監視されている複数のオブジェクトから離れる場合、例えば装置が遠隔通信網から離れる場合、事前にマネージャによって監視されていた装置が他のマネージャによって監視されるべき場合、マネージャにとって既にオブジェクトとして既知である装置が別のオブジェクトとして検出されるべき場合、あるオブジェクトが時折マネージャによって監視されるべきでない場合(例えばオンサイトサービスのため)などにはマネージャとの関係が薄くなる。
【0021】
本発明の別の実施例によれば、前記所定の時点以降に変更が引き起こされたアラームに関する情報は、前記所定の時点以後にエージェントによって受信及び/又は生成された少なくとも1つのアラームに関する情報を含んでいる。このことは例えばマネージャによって監視されているオブジェクトを表しているエージェントよりも下位のエージェントによって生成されたアラームに関連し、場合によってはエージェントからマネージャに転送されたアラームにも関連する。さらにこれはエージェントによって生成されたアラームにも関連する。
【0022】
有利には、前記所定の時点以降に変更が引き起こされたアラームに関する情報は、少なくとも1つのアラームの少なくとも1つの状態に関する前記所定の時点以降に行われた変更に関する情報を含んでいる。このアラームの状態とは、例えば"アクティブ""否定応答"の状態(すなわちアラーム原因がまだ存在しアラームが未確認の状態)や、"アクティブ""肯定応答"の状態(すなわちアラーム原因がまだ存在し、アラームは確認された状態)、"クリアー""否定応答"の状態(すなわちアラーム原因は取り除かれたがアラームがまだ確認されていない状態)、"クリアー""肯定応答"の状態(すなわちアラーム原因が取り除かれかつアラームも確認された状態)などがありえる。特に最後のケースではアラームがアラームリストから消去され得る。
【0023】
本発明の別の有利な実施例によれば、前記問い合わせはマネージャによって周期的に送信されるか及び/又はマネージャとエージェントの間の通信の再構築の後で送信される。例えばマネージャとエージェントの間の通信が時折中断された場合には、マネージャは、自身で通信障害の終了を確認したときに情報調整(データマッチング)のための問い合わせをエージェントに送信することができる。この問い合わせは通常の周期的に行われる問い合わせシーケンスに重なるように行われてもよいし、マネージャがこの問い合わせを任意の時点で送信するようにすることも可能である。
【0024】
本発明による、オブジェクトにオブジェクトクラスを割当てるオブジェクトモデルを用いて前記エージェントと通信するための手段と、情報調整に関する問い合わせを前記エージェントに送信するための手段とを有している、マネージャとエージェントを含んだ遠隔通信網のマネージメントネットワークのためのマネージャによれば、前記問い合わせに基づいて専ら所定の時点以降に変更が引き起こされたオブジェクト及び/又はアラームに関するエージェントからの情報を受信するための手段を有している。
【0025】
また本発明による、オブジェクトにオブジェクトクラスを割当てるオブジェクトモデルを用いて前記マネージャと通信するための手段と、情報調整に関する問い合わせを前記マネージャから受信するための手段とを有している、マネージャとエージェントを含んだ遠隔通信網のマネージメントネットワークのためのエージェントによれば、前記問い合わせに基づいて専ら所定の時点以降に変更が引き起こされたオブジェクト及び/又はアラームに関する前記マネージャへの情報を送信するための手段を有している。
【0026】
さらに本発明によるマネージメントネットワークは、前記本発明によるマネージャと前記本発明によるエージェントの他にさらなる装置も含み得る。
【0027】
本発明によるマネージャも本発明によるエージェントも特に本発明による方法の実施に適しており、これらのことはその他の改善例にも当てはまる。これについてはそれらはさらなる適切な手段を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】移動無線通信システムのマネージメントネットワークのセクションを表した図
【図2】本発明による方法のフローチャート
【実施例】
【0029】
以下の明細書では本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1に示されている移動無線通信システムのマネージメントネットワークのセクションは、3つのレベル、すなわちNM(Network Manager)レベル、NEM(Network Element Management)レベル、NE(Network Element)レベルからなっている。最上位レベルであるNMレベルの構成要素は、ネットワークマネージメントセンターNMC1とNMC2であり、これらは中間レベルであるNEMレベルの2つのオペレーション・メンテナンスセンターOMC1、OMC2と接続している。この2つのオペレーション・メンテナンスセンターOMC1,OMC2は、ネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2に対してエージェントとして機能する。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は、最下位レベルであるNEレベルの3つのネットワーク要素NE11、NE12,NE13と接続され、それに対してオペレーション・メンテナンスセンターOMC2は、2つのネットワーク要素NE21,NE22と接続されている。前記ネットワーク要素NE11,NE12,NE13,NE21,NE22は例えば基地局若しくはこの基地局のコントロール装置であり得る。
【0031】
移動通信システムのネットワークリソース、例えばネットワーク要素NE11,NE12,NE13,NE21,NE22は、ネットワークマネージメントの枠内で複数のオブジェクトクラスに分けられる。3GPPによれば通信毎にインターフェースを介してネットワークマネージメントセンター、オペレーションセンター、メンテナンスセンター間で例えば一般的な属性を有するベーシックなオブジェクトクラスManagedElement, ManagedFunctionを含んでいる1つのオブジェクトモデルが定められる。さらなるオブジェクトクラスは、例えばgsmCell, utranCell, btsSiteManager, bssFunction, mscServerFunction, rncFunction, hlrFunction, vlrFunction, sgsFunction, 及びggsnFunction である。
【0032】
各オブジェクトクラスは所定の演算、すなわちマネージャから当該オブジェクトクラスのオブジェクトに送信され得るコマンドや、所定の属性、すなわちマネージャから問い合わせされ場合によって処理されるべき特性、ネットワークマネージメントの枠内でそのつどのオブジェクトクラスのオブジェクトから送信される所定のメッセージ、並びに重要度の説明並びにオブジェクトクラスの特性及びその構成要素を介して定められる。一方のネットワークマネージメントセンターと他方のオペレーション・メンテナンスセンターの間で使用されるオブジェクトモデルないし所定のオブジェクトクラスは、種々異なる製造メーカーのオペレーション・メンテナンスセンターを統合し得るようにするために通常は包括的なものである。このことはマネージャの目的の一部が、オペレーション・メンテナンスセンターに下位にあるネットワーク要素に対して作用を与えられるようにすることに起因している。それにより例えばコンフィグレーションマネージメントをネットワーク要素の個々のハードウエアないしソフトウエア構成に対応させ、ひいては製造メーカーに対応させることが可能になる。ネットワークマネージメントセンターは頻繁に多数の異なるメーカーのオペレーション・メンテナンスセンターと接続されるので、オペレーション・メンテナンスセンターにおいてはOMC−NEインターフェースのハードウエアに関連するオブジェクトモデルのメッセージからOMC−NMCインターフェースの一般的なオブジェクトモデルのメッセージへの変換が行われる。
【0033】
各マネージャは操作を開始する1つ又は複数のネットワークリソース、すなわち要求を送信しそこから通知を受け取ることのできるネットワークリソースを監視する。これに対してマネージャは、自身に関連のあるネットワークリソース、つまり自身によって監視されるネットワークリソースがエントリーされているデータベースを有している。これについてはマネージャによって監視されるネットワークリソース毎にオブジェクトインスタンス(以下では単にオブジェクトとも称する)が生成される。例えば新たな基地局が設置されると、この基地局に相応する新たなオブジェクトが生成され、このオブジェクトは当該基地局の通常のオブジェクトクラスに割り当てられる。この新たなオブジェクトはマネージャのデータベースにエントリーされる。同じようなやり方で複数のオブジェクトを消去することも可能である。
【0034】
遠隔通信網における最適なマネージメント管理の前提は、関連のあるイベント通知のみを下位のエージェントからできるだけ早くマネージャに転送させることである。通常の条件のもとでは、つまりエージェントとマネージャの間の通信が正常に機能している場合には、このことはエージェント何に存在するフィルター機構を介して行われる(例えばイベントフォワーディングディスクリミネーター、いわゆるEFDsを用いたITU−T X.734規格のCMIPベースのマネージメントインターフェース"Event Report Management Function"又は通知チャネルを用いたCORBAベースのマネージメントインターフェースなど)。
【0035】
ネットワーク状態の更新イメージを得るためにマネージャは記憶されているマネージメント情報のためにエージェントと同期し得る。この目的のためには例えばコンフィグレーションデータ若しくはアラームに対する情報調整のための同期化手順("アライメント"手順とも称される)が利用される。オブジェクトのコンフィグレーションデータは、全ての通知とその値の量、すなわちオブジェクトの特性の全体像を表している。
【0036】
この種の複数の同期化過程は、様々なケースにおいて必要となる。列挙すれば例えば次のような場合である、すなわち、
a)中断の後とそれに続くマネージャとエージェントの間の通信の再構築の場合
b)所定のエージェント、いわゆる単なるエージェントがコンフィグレーションに係わる通知(例えば3GPP 標準 TS 32.662,"Configuration Management (CM); Kernel CM Information Service (IS), V6.3.0"において規定されたnotifyObjectCreation/ notifiyObjectDeletion/ notifyAttributeValueChangeなど)を生成しない場合、又はマネージャがそのようなコンフィグレーションに係わる通知を評価しない場合、これは"リアルタイム"の同期化が複雑であることによる。このようなケースでは同期化は少なくともマネージャによって周期的に開始されなければならない
c)他のシステムの理由からコンフィグレーションに係わる通知若しくはアラームが失われる可能性がある場合、すなわちマネージャ/エージェントの通信が中断されたにもかかわらずイベントに合わせた同期化が必要である場合などである。
【0037】
そのようなプロシージャは通常は、異なるメーカーのマネージャとエージェントの間で同期化を可能ならしめるために実施される。例えば3GPP TS 32.602標準の[Configuration Management (CM);Basic CM IntegrationReference (IRP): Information Service (IS) ,V6.0.0]は、オペレーションgetMoAttributesを定める。これはマネージャにエージェントによって管理されたコンフィグレーションデータを要求する。アラームの同期化に対しては3GPP TS 32.111-2標準[Fault Managiment ; Part 2 : Alarm Ingegration Reference Point (IRP): Information Service (IS)]がオペレーションgetAlarmList を定めている。このオペレーションはマネージャに全てのマネージメント情報の同期化、すなわちエージェントによる完全な情報調整の実施を許可している。前記情報調整がコンフィグレーションデータに関するものならば、マネージャは従来技術によれば監視されている全てのオブジェクトの全ての属性の更新値を、それぞれのオブジェクトの識別情報(MOI、Managed Object Instance)およびそのつどのオブジェクトのオブジェクトクラスの識別情報(MOI, Managed Object Class)と共に受信する。前記情報調整がアラームに関するものならば、マネージャは従来技法によれば自身に関係のある全てのアラームを受信する。このような完全な情報調整は、所定のネットワーク領域に関連させることも可能である。マネージャは自信にとって当該のマネージメント情報が既に既知であるかどうかに左右されることなく受信される。マネージャは個々のデータのどれが介在期間中に実際に変更されたかは知ることができないから、全体の同期化が開始されなければならない。前述した完全な同期化の結果は非常に長いものとなり、一般的なケースにおいては、とりわけマネージャ/エージェント通信の比較的短い中断の後では多くのオペレータにとってこのような不要な同期化期間は受け入れがたい。このことは、とりわけNM−EMインターフェースにおいて同期化すべきデータが大量であることを勘案すれば、特別な意味がある。というのもネットワークマネージメントセンターが時折故障するか若しくはコンフィグレーションに関する通知を評価しないときには、全てのオペレーション・メンテナンスセンターとの同期が必要となってくるからである。
【0038】
次に図2に基づき本発明による方法を以下の明細書においてコンフィグレーションデータの同期化に関連してオペレーション・メンテナンスセンターOMC1とネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2の間のNM−EMマネージメントインターフェースに対する例で説明する。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は、これらの2つのネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2の各々に対して、コンフィグレーション変更の動的なリスト(以下では変更リストとも称する)を管理している。このリストには最後の同期化以降に変更された全てのオブジェクトの識別情報がフルネーム(DN=distinguisched Name)の形態でエントリーされている。すなわち、
a)新しいが故に変更されたオブジェクト、すなわちこれまでマネージャによって監視されたオブジェクトのマネージャによって記憶されたデータベースにもエージェントによって記憶されたデータベースにも含まれていないオブジェクトであって、エージェントのデータベース内へ受け入れられ、マネージャのデータベースにもピックアップすべきオブジェクトに対しては、リストエントリが変更リスト内でオブジェクトの識別情報及び識別子"N(New)"と共に作成される
b)マネージャによって監視されたオブジェクトのマネージャ及びエージェントによって記憶されたデータベースに既に含まれている、変更されたオブジェクトに対しては、リストエントリが変更リスト内でオブジェクトの識別情報及び識別子"M(Modified)"と共に作成される。変更は次のようなことからなり得る。すなわちオブジェクトの1つの属性値又は複数の属性値が変更されたことや、例えばローカルオペレータの変更あるいは属性値の挿入ないし除去されたことなどである
c)消去されたが故に変更されたオブジェクト、すなわちこれまでマネージャによって監視されたオブジェクトのマネージャ並びにエージェントによって記憶されたデータベースに含まれていたオブジェクトであって、エージェントのデータベースから消去されマネージャのデータベースからも消去すべきオブジェクトに対しては、変更リスト内でリストエントリがオブジェクトの識別情報と識別子"D(Deleted)"と共に作成される。
【0039】
マネージャとエージェントの通信が最初に確立された場合には、関連するネットワークマネージメントセンターNMC1またはNMC2がオペレーション・メンテナンスセンターOMC1への完全な同期化を実施するための要求を送信する。それにより、時間軸の経過が下方に向けてプロットされている図2では、ネットワークマネージメントセンターNMC1が時点t0において3GPP TS 32.602準拠の要求getMoAttributes Requestをオペレーション・メンテナンスセンターOMC1へ送信し、さらにネットワークマネージメントセンターNMC2もそのようなオペレーションを時点t1にて送信する。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1はそのつど3GPP TS 32.602準拠のメッセージgetMoAttributes Responseで応答し、このメッセージは前述したように各マネージャによって監視された全てのオブジェクトとそれらの属性値を含んでいる。この完全な同期化の実施の後ではオペレーション・メンテナンスセンターOMC1の変更リストがそれぞれのマネージャに対して初期化され、それによって各ネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC毎にメッセージgetMoAttributes Responseの送信の後には空きの変更リストが存在する。
【0040】
マネージャ−エージェント通信の中断と再構築の後で例えばマネージャが自信のコンフィグレーションデータをもはや更新できないことを識別した場合には、このマネージャは固有のデータベースの再更新に対しては、最後の同期化過程以降に出現したコンフィグレーションデータの変更情報しか必要としない。本発明によれば、マネージャが最後の同期化以降に現れた変更をもたらすような方法が実施される。その場合に最後の同期化以降に変更されなかった余計な情報までもがエージェントによって転送されるようなことはない。この同期化は変更に限定される通知に基づいて、以下ではデルタ同期とも称する。デルタ同期を開始するために、ネットワークマネージメントセンターNMC1ないしNMC2は、メッセージgetConfigurationChanges Requestを以下に述べるパラメータと共にオペレーション・メンテナンスセンターOMC1へ送信する。すなわち、
−managerReference: このパラメータは関連するネットワークマネージメントセンターNMC1またはNMC2を一義的に同定する:
−basObjectInstance: この任意パラメータは1つのオブジェクトを、変更オブジェクト選択のためのオブジェクトツリーにおける開始点として識別される。オブジェクトツリーにおける当該基準オブジェクト下方に含まれる全てのオブジェクトは後続パラメータscopeの値に従って検査される:
−scope: この任意パラメータは前述した基準オブジェクトに基づいて特定される、これに対してはオブジェクトツリーにおいてマネージャ−エージェントインターフェースの下位におかれるオブジェクトに対して変更されたコンフィグレーションデータが同期されるべきである。このパラメータは標準化されたオペレーションgetMoAttributes: BASE OBJEDT ONLY, Nth LEVEL SUBORDINATES, BASE Nth LEVEL, BASE ALLなどと同じ値とみなされてもよい。
【0041】
パラメータbasObjectInstance及びscopeによってマネージャはデルタ同期の枠内で興味のあるオブジェクトに絞ることができる。特にマネージャはbasObjectInstanceとしてオブジェクトツリー内で最上位のインスタンスを使用し、scopeとして値BASE ALLを使用する。すなわちこのデルタ同期においては変更された全てのオブジェクトが考慮される。この選択は任意パラメータbasObjectInstanceとscopeが要求メッセージgetConfigurationChanges Requestの中で用いられない場合には、エージェントによって行われる。
【0042】
オペレーション・メンテナンスセンターOMC1はそのつどのネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2に割り当てられている変更リストの中でパラメータbasObjectInstance及びscopeに従ってオブジェクトを検索する。この検索過程の終了後にオペレーション・メンテナンスセンターOMC1は応答getConfigurationChanges Responseをそのつどのマネージャに以下の内容と共に送信する。すなわち、
−newObjectsList: これは変更リスト内の識別子"N"に応じて最後の同期化以降に新たに生成されたオブジェクトを有するリストに相応している。この場合各オブジェクト毎に更新されたオブジェクトクラス、"distinguished name"の形態のオブジェクト名、属性リスト(すなわち各属性毎の属性名と属性値)が含まれている:
−changedObjectList: これは変更リスト内の識別子"M"に相応して最後の同期化以降に変更されたオブジェクトを有するリストに相応している。ここでも各オブジェクト毎に更新されたオブジェクトクラス、オブジェクト名及び属性リストが特定される:
−deletedObjectslist: これは変更リスト内の識別子"D"に相応して最後の同期化以降に消去されたオブジェクトを伴うリストに相応している。各オブジェクト毎にオブジェクトクラスとオブジェクト名のみが特定される。
【0043】
メッセージgetConfigurationChanges Responseの送信の後ではそのつどのネットワークマネージメントセンターNMC1ないしNMC2に割り当てられた変更リストがオペレーション・メンテナンスセンターOMC1によって初期化される。
【0044】
図2では、前述したようなデルタ同期方法がネットワークマネージメントセンターNMC1によって周期的に開始されるケースが例示的に示されており、それに対してデルタ同期の実施のための要求は、マネージャ−エージェント通信の先の中断後の通信の再構築後にネットワークマネージメントセンターNMC2による行われる。例えばネットワークマネージメントセンターNMC1がコンフィグレーションに関する通知(例えばnotifyObjectCreation / notifyObjectDeletion / notifyAttributeValueChange )を何も評価しないようにし、それに対してネットワークマネージメントセンターNMC2はこれらの通知をサポートするようにすることも可能である。
【0045】
既に前述したように、時点t0と時点t1において、オペレーション・メンテナンスセンターOMC1とネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2の間では完全な同期化が行われる。
【0046】
時点t2の方法ステップ"MOCi, MOIichange"においては1つ又は複数のオブジェクトの属性がオブジェクトクラスMOCi(MOC: managed object class)のOMIi(MOI:managed object instance)によって識別され、OMCオペレータ又は自動再構成によって変更される。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は当該オブジェクトの識別情報を識別子"M"と共にネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2に割り当てられている変更リスト内へ入力する。さらにオペレーション・メンテナンスセンターOMC1は、実施された変更に関する情報提供のためのメッセージ、有利には標準化されたnotifyAttributeValueChange-通知を作成する。これはネットワークマネージメントセンターNMC2によってのみ評価される。なぜならネットワークマネージメントセンターNMC1はコンフィグレーションに関する通知は何も評価しないからである。ネットワークマネージメントセンターNMC2は、固有のデータベース情報をnotifyAttributeValueChange通知に応じて更新する。しかしながらエージェントはマネージャがこの通知を実際に評価したか否かを識別することはできない。
【0047】
時点t3では方法ステップ"MOCj, MOIjcreate"において新たなオブジェクトがオブジェクトクラスMOCjのOMIjによって識別され、OMCオペレータによって生成される。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は当該オブジェクトの識別情報を識別子"N"と共にネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2に割り当てられている変更リスト内へ入力する。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は当該オブジェクトの識別情報を識別子"M"と共にネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2に割り当てられている変更リスト内へ入力する。これはネットワークマネージメントセンターNMC2によってのみ評価される。すなわちネットワークマネージメントセンターNMC2は、固有のデータベース情報を相応に更新する。但しエージェントはマネージャがこの通知を実際に評価したか否かを再び識別することはできない。
【0048】
時点t4では、方法ステップINTERRUPTにおいてネットワークマネージメントセンターNMC2とオペレーション・メンテナンスセンターOMC1の間の通信が例えばネットワークマネージメントセンターNMC2の一時的な故障によって中断される。
【0049】
時点t5では、方法ステップ"MOCk, MOIk delete"において、オブジェクトクラスMOCkのMOIkによって識別され、OMCオペレータによって消去される。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は当該オブジェクトの識別情報を識別子"D"と共にネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2に割り当てられている変更リスト内へ入力する。さらにオペレーション・メンテナンスセンターOMC1は、実施された消去に関する情報提供のためのメッセージ、有利には標準化されたnotifyObjectDeletion-通知を作成する。これは失われる。なぜならネットワークマネージメントセンターNMC2とオペレーション・メンテナンスセンターOMC1の間の通信は中断されているからである。
【0050】
時点t6は、ネットワークマネージメントセンターNMC1とオペレーション・メンテナンスセンターOMC1の間の周期的な情報調整の時点に相応する。そのためネットワークマネージメントセンターNMC1はそのコンフィグレーションデータの更新のために要求メッセージgetConfigurationChanges Requestをオペレーション・メンテナンスセンターOMC1に送信する。この要求メッセージgetConfigurationChanges Requestは、ネットワークマネージメントセンターNMC1によって時点t0で開始されたの最後の同期化以降に変更された全てのコンフィグレーションデータの同期のために要求される。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1はネットワークマネージメントセンターNMC1に割り当てられている変更リストの中でオブジェクトインスタンスMOIi, MOIj, MOIk,を検出し、それらの変更はそれに続くオペレーション・メンテナンスセンターOMC1によってネットワークマネージメントセンターNMC1へ送信された応答メッセージgetConfigurationChanges Responseの中で以下のように通知される:すなわち、
−newObjectsList: < MOCi, MOIj, AttributListej >
−changeObjectsList: < MOCi, MOIi, AttributLIstei >
−deletedObjectslist: <MOCk, MOIk >
エージェントは引き続き全てのエントリーをネットワークマネージメントセンターNMC1の変更リストから消去する。
【0051】
時点t7では方法ステップ"MOCm, MOIm change"においてオブジェクトクラスMOCmのMOImによって識別された1つ又は複数のオブジェクト属性が変更される。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は当該オブジェクトの識別情報を識別子"M"と共にネットワークマネージメントセンターNMC1,NMC2に割り当てられている変更リスト内へ入力し、さらにnotifyAttributeValueChange-通知を作成する。これはネットワークマネージメントセンターNMC1によって無視され、それに対してネットワークマネージメントセンターNMC2はこの時点ではまだ達成可能でない。
【0052】
時点t8では方法ステップ"MOCi, MOIi change"においてオブジェクトの1つ又は複数の属性がオブジェクトクラスMOCiのMOIiによって識別され新たに変更される。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は当該オブジェクトの識別情報を識別子"M"と共にネットワークマネージメントセンターNMC1に割り当てられている変更リスト内へ入力される。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は、当該オブジェクトの識別情報が識別子"M"と一緒にネットワークマネージメントセンターNMC2の変更リスト内に既に存在し、従って新たなエントリーは要しない。また後続のnotifyAttributeValueChange-通知も失われる。なぜならネットワークマネージメントセンターNMC2とオペレーション・メンテナンスセンターOMC1の間の通信が損なわれるからである。
【0053】
変更リスト内の2つの同期化の間で同じオブジェクトに関する多重の変更を用いることにより以下のような手順が行われる。すなわち
−1つのオブジェクトがまず変更されてその後で消去される場合、当該オブジェクトの識別情報は変更リスト内で識別子"D"によってしかリストアップされない:
−1つのオブジェクトがまず生成され、引き続いて変更される場合、このオブジェクトの識別情報はさらに変更リスト内の識別子"N"によってリストアップされる。なぜならオブジェクトはそのつどのマネージャ毎に新しくなるからである:
−1つのオブジェクトがまず生成され、引き続き消去される場合、このオブジェクトはそのつどの変更リストから遠ざけられる。マネージャにとってこのオブジェクトは後続の同期化においては重要ではない:
−同じオブジェクトがまず消去され、引き続き新たに生成される場合、当該オブジェクトの識別情報は変更リスト内の識別子"M"と共に成り立つ。なぜならこのオブジェクトのマネージャは既に識別されているが、しかしながら場合によっては新たな生成によって属性値が変更される。
【0054】
時点t9ではネットワークマネージメントセンターNMC2とオペレーション・メンテナンスセンターOMC1の間で通信が再構築される。さらにこのネットワークマネージメントセンターNMC2は、要求getConfigurationChanges Requestを時点t1の最後の同期化以降に変更されたコンフィグレーションデータの同期化のためにエージェントに送信される。このエージェントはネットワークマネージメントセンターNMC2に割り当てられた変更リスト内で該当するオブジェクトを検出し、さらにメッセージgetConfigurationChanges ResponseがネットワークマネージメントセンターNMC2に以下の内容と共に送信される。:
−newObjectslist : < MOCj, MOIj , AttributListej >
−changedObjectisList: <MOCi, MOIi, AttributListej > これは時点t8での最後の変更のみを含み、時点t2における変更は含まれない:
−<MOC, MOI, AttributListe>
オペレーション・メンテナンスセンターOMC1は、引き続き全てのエントリーをネットワークマネージメントセンターNMC2の変更リストから消去する。
【0055】
ネットワークマネージメントセンターNMC2が時点t2での通知(notifyAttributeValueChange)と時点t3での通知t3(notifyObjectCreation)を受け取り評価したかどうかに係わらず、これらの変更はメッセージ getConfigurationChanges Response 内に含ませてもよい。このことは有利である。なぜならこれは3GPP-標準において最適に定められた通知として(notifyAttributeValueChange und notifyObjectCreation)大抵のエージェント若しくはマネージャからはサポートされていない。それによりここに記載されている方法は、エージェント若しくはマネージャにおける実施に依存していない。さらにエージェントにとっても、自身によって生成されたコンフィグレーションに関する通知がマネージャによって実際に評価されるか否かは未知である。
【0056】
時点t10ではネットワークマネージメントセンターNMC1が、メッセージgetConfigurationChanges Requestの送信により、時点t6以降に変更されたコンフィグレーションデータに対するデルタ同期を用いた新たなその周期的なデータの更新を開始する。オペレーション・メンテナンスセンターOMC1の応答getConfigurationChanges Response は以下の情報を含んでいる。すなわち、
−changedObjectisList:
<MOCi, MOIi, AttributListei >
<MOC, MOI, AttributListe>。
【0057】
エージェント応答の他の部分、すなわちnewObjectslist 及び deletedObjectslistは、省かれるか若しくは空きにされる。引き続きオペレーション・メンテナンスセンターOMC1はネットワークマネージメントセンターNMC1の変更リストからの全てのエントリーを消去する。
【0058】
この方法は完全なオブジェクトツリーのデルタ同期に対しても(MIT=Manegement Information Tree, つまり全てのオブジェクト全体)あるいはオブジェクトツリーの一部だけの使用もあり得る。3GPP TS 32.602標準の[Configuration Management (CM);Basic CM IntegrationReferencePoint (IRP): Information Service (IS) ,V6.0.0]においては、オペレーションgetContainment_が存在する。これはオブジェクトツリーの完全な同期化を引き起こす。本発明によれば、オブジェクトツリーのデルタ同期のためオペレーションgetContainmentChangesが、マネージャの要求メッセージgetContainmentChanges Request及びエージェントの応答メッセージgetContainmentChanges Response も含めて用いられる。オブジェクトツリーのデルタ同期のための当該方法によって、マネージャは新たな/変更された/消去されたオブジェクトのリストをそれらの属性なしで受信し、すなわちエージェントの応答メッセージgetContainmentChanges Responseはそのつどのオブジェクトとそのオブジェクトクラスの識別情報のみを含んでいる。
【0059】
前述した方法は、遠隔通信システムに依存しない。例えば移動無線通信システムにも、固定網(回線網)にも、その他のシステムにも使用可能である。さらにこの方法はマネージャとエージェントの間の通信プロトコルにも依存しない。そのため例えばCMIP、CORBA、又はその他のプロトコルが使用可能であり、マネージメントインターフェースの形式によってEM−NE、NM−EM若しくはその他のインターフェースが適用可能である。
【0060】
この方法はコンフィグレーションデータの迅速な同期化のために用いることができる。なぜなら最後の同期化以降の変更のみへの伝送の限定によって、マネージャに既知の冗長的な情報の伝送が省かれるからである。コンフィグレーション変化の通常量を引き合いに出せば、これまでに標準化されたプロシージャを用いてしか完全に同期化できなかったコンフィグレーションデータの総量に比べて、前述してきた方法は同期化期間の著しい短縮化を提供し、これは巨大なネットワークにおいては例えば少なくとも1/10に短縮される。この方法は特に有利には、エージェント及び/又はマネージャがコンフィグレーションに係わる通知をサポートしない。そのようなケースではデルタ同期化が周期的に開始される。ただしマネージャが自身の情報を迅速かつ効率的に更新状態にもたらすことができるようにするために、マネージャ−エージェント通信の再構築後だけはスタートされない。
【0061】
これまでに説明してきたコンフィグレーションデータのデルタ同期化のための方法は、アラームの同期化のために用いることもできる。このようなケースではエージェントの応答メッセージgetAkarnChanges Responseがマネージャの要求メッセージgetAlarmChanges Requestに対してアラームのデルタ同期化のために以下のような情報を含む、すなわち、
−newObjectslist : マネージャに係わる全ての新たなアラーム。すなわちエージェントに受け入れられるかないしはエージェントによって最後の同期化以降に生成されたアラーム
−changedObjectisList: その状態が最後の同期化以降に変更されたマネージャに係わる全てのアラーム、例えばアクティブアラームは"cleared"状態へセットされるが、オペレータによってまだ操作されないか若しくはまだ"cleared"でないことが確かめられる−deletedObjectslist: 最後の同期化以降に消去された、マネージャに係わる全てのアラーム、例えば介在期間の間に"cleared and acknowledged"の状態が達成されたアラーム。
【0062】
またコンフィグレーションデータとアラームのデルタ同期が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
NMC1 マネージャ
NMC2 マネージャ
OMC1 エージェント
MOIi オブジェクト
MOIj オブジェクト
MOIk オブジェクト
MOIm オブジェクト
MOCi オブジェクトクラス
MOCj オブジェクトクラス
MOCk オブジェクトクラス
MOCm オブジェクトクラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網のマネージメントネットワークの運用のための方法であって、
マネージャ(NMC1,NMC2)と、
エージェント(OMC1)と、
オブジェクトモデルを含んでおり、該オブジェクトモデルに従ってオブジェクト(MOIi, MOIj, MOIk, MOIm)がオブジェクトクラス(MOCi,MOCj,MOCk,MOCm)に割り当てられており、
前記オブジェクトモデルは、マネージャ(NMC1,NMC2)とエージェント(OMC1)の間の通信のために用いられている形式の方法において、
前記マネージャ(NMC1,NMC2)からエージェント(OMC1)に情報調整に関する問い合わせ(getConfigurationChanges Request)を送信するステップが含まれ、
前記問い合せに対して、マネージャに既知の全てのオブジェクト及び/又はアラームの所定の時点(t0,t1,t6)以降に変更の行われた全ての属性が前記エージェントからマネージャに送信されるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記問い合わせに対し、所定の時点以降にマネージャに係わりかつ当該マネージャに未知の少なくとも1つのオブジェクト及び/又はアラームに関する付加的または代替的な情報が送信される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記問い合わせに対し、所定の時点以降にマネージャとの関係がなくなりかつ当該マネージャに既知の少なくとも1つのオブジェクト及び/又はアラームに関する付加的または代替的な情報が送信される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記問い合わせに対し、
所定の時点以降に新たに生成されたオブジェクトを有するリストと、
所定の時点以降に変更されたオブジェクトを有するリストと、
所定の時点以降に消去されたオブジェクトを有するリストとが送信され、この場合前記所定の時点とは、マネージャとエージェントの間でマネージャによって要求された最後の情報調整の時点である、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記問い合わせに対し、
マネージャに係わる所定の時点以降の全ての新たなアラームを有するリストと、
マネージャに係わる所定の時点以降の全ての変更されたアラームを有するリストと、
マネージャに係わる所定の時点以降の全ての消去されたアラームを有するリストとが送信され、この場合前記所定の時点とは、マネージャとエージェントの間でマネージャによって要求された最後の情報調整の時点である、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記新たなアラームは、エージェントに受け入れられるかないしはエージェントによって生成されたアラームであり、前記変更されたアラームは、"cleared"状態へセットされるがまたオペレータによって操作されていないか若しくはまだ"cleared"状態にセットされていないことが確かめられるアラームであり、前記消去されたアラームとは、"cleared and acknowledged"の状態が達成されたアラームである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
1つのオブジェクト及び/又はアラームが所定の時点以降でかつ問い合わせの前にまず生成され、引き続き消去される場合、オブジェクト及び/又はアラームの両変更に関する情報は何もマネージャに送信されない、請求項1から6いずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−24252(P2011−24252A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211451(P2010−211451)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【分割の表示】特願2007−539560(P2007−539560)の分割
【原出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】