説明

通信装置、およびプログラム

【課題】ファクシミリ装置がFAXデータの転送結果を受信するための接続料金を低減し得る技術の提供を目的とする。
【解決手段】多機能機1は、PSTN3を介してFAX装置7からFAXデータ102を受信し、LAN5を介して多機能機9にFAXデータを送信する。多機能機1は、FAX装置7の電話料金が次に切り上がる時刻をセットし、セットした時刻までにFAXデータの送信をできない場合にFAX装置7との接続を切断する。また、多機能機1は、セットした時刻までに印刷結果104をFAX装置7に送信できない場合にFAX装置7との接続を切断する。FAX装置7との接続を切断後、印刷結果104を受信すると、FAX装置7と再接続された後、印刷結果104をFAX装置7に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FAX機能を有する通信装置が、受信したFAXデータを転送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
FAX機能を有する通信装置が、受信したFAXデータの転送結果をFAX送信元に通知する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ファクシミリ装置(FAX送信元)から受信した画データをインターネットファクシミリ装置に転送するファクシミリサーバ(通信装置)が、インターネットファクシミリ装置への画データの転送結果を、ファクシミリ装置に通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−324595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術では、ファクシミリ装置が画データの転送結果を受信する際にファクシミリ装置にかかる接続料金について全く考慮していない。
【0006】
そこで本発明は、ファクシミリ装置がFAXデータの転送結果を受信するための接続料金を低減し得る技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた本発明の通信装置は、FAX機能を有する通信装置であって、接続時間に応じて接続料金が増加する特定の回線を介して接続されるFAX装置からFAXデータを受信する第1の受信手段と、ネットワークを介して接続される他の通信装置へ前記FAXデータを送信する第1の送信手段と、前記FAX装置が前記FAXデータを前記通信装置に送信後、前記接続料金に関する特定のタイミングまでに、前記FAXデータの前記他の通信装置への転送結果に関する第1の情報を前記FAX装置に送信可能な場合に、前記FAX装置との接続を切断せず、前記特定のタイミングまでに、前記第1の情報を前記FAX装置に送信可能でない場合に、前記FAX装置との接続を切断する、接続切断手段と、前記第1の情報を前記FAX装置へ送信する第2の送信手段であって、前記FAX装置との接続が切断されている場合に、前記FAX装置との接続完了後、前記第1の情報を前記FAX装置へ送信し、前記FAX装置との接続が切断されていない場合に、該接続を利用して、前記第1の情報を前記FAX装置へ送信する、前記第2の送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
特定のタイミングまでに第1の情報をFAX装置へ送信可能な場合には、FAX装置との接続が切断されない。特定のタイミングまでに第1の情報をFAX装置へ送信可能でない場合には、FAX装置との接続が切断される。これにより、第1の情報を受信するためにFAX装置にかかる接続料金を低減させ得る。
【0009】
上記の通信装置において、前記特定のタイミングは、前記接続料金が切りあがるタイミングであるとよい。
【0010】
接続料金が切りあがるタイミングまでに第1の情報をFAX装置へ送信可能でない場合には、FAX装置との接続が切断される。これにより、FAX装置が第1の情報を受信するための接続料金を低減し得る。
【0011】
上記の通信装置において、前記FAX装置との接続を実行する接続手段、をさらに備え、前記第2の送信手段は、前記接続切断手段により前記FAX装置との接続が切断された場合に、前記接続手段による接続完了後、前記第1の情報を前記FAX装置へ送信するとよい。
【0012】
これにより、FAX装置と通信装置との接続が切断された場合でも、通信装置がFAX装置との接続を実行するため、FAX装置が第1の情報を受信するために接続料金が加算されることを抑制し得る。
【0013】
上記の通信装置において、前記第1の情報は、前記他の通信装置による前記FAXデータの出力結果情報を含み、前記通信装置は、前記第1の情報を、前記他の通信装置から受信する第2の受信手段をさらに備えるとよい。
【0014】
これにより、通信装置が他の通信装置から第1の情報を受信する場合でも、FAX装置が第1の情報を受信するための接続料金を低減し得る。例えば、他の通信装置から第1の情報を受信するために時間を要した場合でも、FAX装置が第1の情報を受信するための接続料金を低減しうる。
【0015】
上記の通信装置において、前記出力結果情報は、前記他の通信装置による前記FAXデータの出力成功、または、前記他の通信装置による前記FAXデータの出力失敗、を示し、前記第2の受信手段は、前記出力結果情報が出力失敗を示す場合に、前記他の通信装置が前記FAXデータの出力を失敗した理由を示す第2の情報を、前記他の通信装置から受信し、前記第2の送信手段は、前記第2の受信手段が前記第2の情報を受信した場合に、出力失敗を示す前記出力結果情報を含む前記第1の情報と、前記第2の情報と、を前記FAX装置へ送信する、とよい。
【0016】
これにより、FAX装置は、他の通信装置がFAXデータの出力に失敗した理由を知ることができる。
【0017】
上記の通信装置において、前記特定のタイミングまでに前記第1の情報を送信可能である場合に、前記FAX装置と接続されているかを判断する判断手段をさらに備え、前記第2の送信手段は、前記FAX装置と接続されていると判断された場合に、該接続を利用して、前記FAX装置へ前記第1の情報を送信し、前記FAX装置と接続されていないと判断された場合に、前記接続手段による接続完了後、前記FAX装置へ前記第1の情報を送信する、とよい。
【0018】
特定のタイミングまでにFAX装置へ第1の情報を送信可能であっても、FAX装置がタイムアウトしている恐れがある。上記の構成によれば、第1の情報をファクシミリ装置に送信できないといった事態が生じることを抑制することができる。
【0019】
上記の通信装置において、前記FAX装置と接続されていないと判断された場合において、前記通信装置が前記FAX装置と異なる他のFAX装置と接続されている場合に、前記接続手段は、前記他のFAX装置との接続切断後、前記FAX装置との接続を実行する、とよい。
【0020】
FAX装置と接続されていない場合に、他のFAX装置と接続されている場合がある。上記の構成によれば、他のFAX装置との接続切断後、FAX装置と接続され得る。
【0021】
なお、この発明は、デバイスおよびデバイスの制御方法、これらの方法またはデバイスの機能を実現するためのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態のFAX通信システムの構成を示す。
【図2】実施形態の各装置が実行する処理のシーケンス図を示す。
【図3】印刷結果対応表51を示す。
【図4】通話時間表53を示す。
【図5】図2の続きのシーケンス図を示す。
【図6】図2の続きのシーケンス図を示す。
【図7】図2の印刷結果送信処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態を図面に基づき説明する。
【0024】
(多機能機1の構成)
図1は、実施形態のFAX通信システムの構成を示す。
【0025】
多機能機1は、FAX機能、電話機能、印刷機能、スキャナ機能、コピー機能等の多機能を実行可能である。多機能機1は、操作手段11と、表示手段13と、印刷手段15と、スキャン手段17と、時計18と、記憶手段19と、マイク27と、スピーカー29と、PSTNインターフェイス31と、ネットワークインターフェイス33と、制御手段35と、を備える。操作手段11は、複数のキーを備える。ユーザは、操作手段11を操作することによって、様々な指示を多機能機1に入力することができる。表示手段13は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷手段15は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。スキャン手段17は、CCD、CIS等のスキャン機構である。時計18は、現在の時刻を示す。
【0026】
記憶手段19は、接続中FAX記憶領域21と、印刷結果対応表記憶領域23と、通話時間表記憶領域25と、接続時刻記憶領域26と、を備える。多機能機1は、FAX接続中である場合、現在接続されている相手先FAX装置の電話番号を接続中FAX記憶領域21に記憶する。多機能機1は、印刷結果対応表51(後述)を印刷結果対応表記憶領域23に記憶する。多機能機1は、通話時間表53(後述)を通話時間表記憶領域25に記憶する。多機能機1は、FAX接続中である場合、相手先FAX装置と接続された時刻を時刻記憶領域26に記憶するが詳細は後述する。
【0027】
多機能機1のユーザは、マイク27およびスピーカー29を用いて、PSTN3に接続されている別の電話機(図示略)と電話をすることができる。PSTNインターフェイス31は、一般公衆回線網であるPSTN(Public Switched Telephone Network)3に接続されている。多機能機1は、PSTNインターフェイス31を介して、FAX機能を備えるFAX装置7と接続可能である。多機能機1は、FAX装置7からFAXデータを受信する。
【0028】
ネットワークインターフェイス33は、LAN(Local Area Network)5に接続されている。多機能機1は、ネットワークインターフェイス33を介して、多機能機9と接続されている。多機能機1は、FAX装置7から受信したFAXデータを、多機能機9に送信する。制御手段35は、CPUを備える。制御手段35は、記憶手段19に記憶される図示しないプログラムにしたがって、本実施形態におけるFAXデータ転送処理を含む様々な処理を実行する。
【0029】
(多機能機9の構成)
多機能機9は、印刷機能、スキャナ機能、コピー機能等を備え、電話機能、FAX機能を備えない多機能機である。多機能機9は、FAX装置7から送信されるFAXデータを、多機能機1を介して受信する。
【0030】
多機能機9は、操作手段37と、表示手段39と、印刷手段41と、スキャン手段43と、記憶手段45と、制御手段47と、ネットワークインターフェイス49と、を備える。操作手段37と、表示手段39と、印刷手段41と、スキャン手段43と、ネットワークインターフェイス49とは、それぞれ多機能機1の操作手段11と、表示手段13と、印刷手段15と、スキャン手段17と、ネットワークインターフェイス33と、同様であるため詳細を省略する。制御手段47は、記憶手段45に記憶される図示しないプログラムにしたがって様々な処理を実行する。
【0031】
(多機能機1、多機能機9、FAX装置7が実行する処理)
続いて、図2から図7を参照して多機能機1、多機能機9、FAX装置7が実行する処理の内容について説明する。
【0032】
多機能機1は、PSTN3を介してFAX装置7から接続要求100を受信する(S2)。多機能機1が接続要求100を受信すると、多機能機1とFAX装置7とが接続される(S3)。多機能機1は、FAX装置7と接続されると、接続時刻記憶領域26に接続時刻を記憶する(S4)。具体的には、多機能機1は、時計18が示す現在の時刻を接続時刻記憶領域26に記憶する(S4)。多機能機1は、接続時刻を記憶すると、FAX装置7からFAXデータ102を受信する(S6)。
【0033】
多機能機1は、FAXデータ102の受信を完了すると、受信したFAXデータ102に、FAXIDを付与する(S8)。なお、多機能機1は、S8において、付与したFAXIDと、FAXデータ102の送信元であるFAX装置7の電話番号と、図3に示す印刷結果対応表51に格納する。FAX装置7の電話番号は、接続要求100に含まれている。ここで、印刷結果対応表51とは、FAXIDと、該FAXIDが付与されたFAXデータの送信元を示す送信元情報と、該FAXIDが付与されたFAXデータの多機能機9による印刷結果と、を対応付けるためのテーブルである。なお、印刷結果対応表51の印刷結果の欄には、印刷が成功したこと、または、印刷が失敗したこと、が記憶され、印刷が失敗した場合には、その失敗原因も記憶される。
【0034】
続いて、多機能機1は、次に料金が切り上がる時刻をセットする(S10)。具体的には、S4で記憶した接続時刻と、図4に示す通話時間表53と、を用いて次のような処理を行う。多機能機1は、まず、通話時間表53を用いて、FAX装置7の電話番号に対応する単位料金あたりの通話時間を取得する。通話時間表53は、電話番号の市外局番・市内局番に基づいて、電話番号と単位料金あたりの通話時間(以下、単位通話時間とよぶ)とを対応付けたテーブルである。多機能機1は、FAX装置7の電話番号に対応する単位通話時間を取得すると、S4で記憶した接続時刻から単位通話時間だけ経過した時刻を算出し(第1の算出時刻とする)、時計18が示す現在時刻と比較する。現在時刻が第1の算出時刻を過ぎている場合には、第1の算出時刻からさらに単位通話時間だけ経過した時刻を算出し(第2の算出時刻とする)、時計18が示す現在時刻と比較する。現在時刻が第2の算出時刻を過ぎていない場合、多機能機1は、第2の算出時刻を、次に料金が切り上がる時刻としてセットする。現在時刻が第2の算出時刻を過ぎている場合、第2の算出時刻からさらに単位通話時間だけ経過した時刻を算出し(第3の算出時刻とする)、時計18が示す現在時刻と比較し、現在時刻が第nの算出時刻を過ぎないと判断されるまで、上記処理を繰り返し、該第nの算出時刻を次に料金が切り上がる時刻としてセットする。なお、第nの算出時刻は、S4で記憶した時刻と、時計18が示す現在時刻との差を、単位通話時間で割り算することによって算出されてもよい。多機能機1は、次に料金が切り上がる時刻をセットすると、接続時刻記憶領域26に記憶した接続時刻をリセットする。
【0035】
続いて、多機能機1は、セットした時刻までにFAX転送できるか判断する(S12)。具体的には、多機能機1は、受信したFAXデータ102のデータサイズと、LAN5の最大接続速度(100Mbpsなど)とから、FAX転送に要する時間を算出する。そして、時計18が示す現在時刻から算出した時間だけ経過した時刻が、セットした時刻を経過するか否かを判断し、セットした時刻を経過する場合には、S12ではNoと判断し、セットした時刻を経過しない場合には、S12ではYesと判断する。なお、S12において、時計18が示す現在時刻からFAX転送に要する時間として算出した時間だけ経過した時刻が、セットした時刻より所定時間(例えば1分)遡った時刻を経過するか否かを判断し、セットした時刻より所定時間遡った時刻を経過する場合には、S12ではNoと判断し、セットした時刻より所定時間遡った時刻を経過しない場合には、S12ではYesと判断してもよい。これにより、LAN5の実際の接続速度が、ネットワークの混雑度により最大接続速度より遅くなっている場合でも、セットした時刻までにFAX転送できるかをより確実に判断できる。
【0036】
(セットした時刻までにFAX転送できる場合(S12:Yes))
多機能機1は、セットした時刻までにFAX転送できると判断した場合(S12:Yes)、FAXデータ102をS8で付与されたFAXIDとともに、多機能機9に転送する(S14)。多機能機9は、FAXデータ102とFAXIDとを受信すると、FAXデータ102の印刷を実行し(S16)、FAXデータ102の印刷結果104を、受信したFAXIDとともに多機能機1に送信する。なお、多機能機9は、印刷に成功すれば成功を示す印刷結果を多機能機1に送信し、印刷に失敗すれば、失敗原因とともに、失敗を示す印刷結果を多機能機1に送信する。
【0037】
多機能機1は、FAXデータ102とFAXIDとを多機能機9に転送すると、セットした時刻まで余裕があるかを判断する(S18)。具体的には、多機能機1は、時計18が示す現在時刻から1分だけ経過した時刻を算出し(以下、1分経過時刻と呼ぶ)、1分経過時刻と、S10でセットした時刻と、を比較する。1分経過時刻がセットした時刻を過ぎる場合には、現在時刻からセットした時刻まで1分の猶予もないため、S18ではNoと判断される。1分経過時刻がセットした時刻を過ぎない場合には、現在時刻からセットした時刻まで少なくとも1分間の余裕があるため、S18ではYesと判断される。
【0038】
多機能機1は、セットした時刻まで余裕があると判断すると、印刷結果の受信を待つ(S20)。具体的には、多機能機1は、5秒間、印刷結果の受信を待つ(S20)。続いて、多機能機1は、印刷結果を受信したかを判断し(S22)、印刷結果を受信していないと判断された場合(S22:No)、S18に戻り、上述のS18の判断を行う。そして、セットした時刻まで余裕があると判断されると(S18:Yes)、再度S22まで処理を進め、印刷結果を受信したと判断されるとS24に移行する。なお、多機能機1は、印刷結果104を受信すると、印刷結果対応表51の印刷結果の欄のうち、印刷結果104とともに受信したFAXIDに対応する欄内に、印刷結果104を記憶する。
【0039】
続いて、多機能機1は、印刷結果送信処理を行う(S24)。印刷結果送信処理とは、受信した印刷結果を、対応するFAX送信元に送信する処理であるが、詳細は後述する。なお、多機能機1は、印刷結果送信処理を行うと、印刷結果対応表51のうち、送信した印刷結果に対応する行を削除する。多機能機1は、印刷結果104をFAX装置7に送信すると、接続終了通知106を送信し(S25)、FAX装置7との接続を切断する(S26)。
【0040】
(セットした時刻までにFAX転送できない場合(S12:No))
続いて、図2のS12において、セットした時刻までにFAX転送できないと判断された場合について、図5を参照して説明する。
【0041】
多機能機1は、S12においてNoと判断されると、接続終了通知108をFAX装置7に送信し(S28)、FAX装置7との接続を切断する(S30)。続いて、多機能機1は、FAXデータ102をS8で付与されたFAXIDとともに、多機能機9に転送する(S32)。このように、セットした時刻までにFAX転送できない場合には、多機能機1は、FAX装置7との接続を切断した上でFAX転送を行う(S30、S32)。これは、多機能機1がFAX転送を完了するタイミングまでFAX装置7との接続を維持すると、FAX装置7にかかる電話料金が切り上がってしまうためである。多機能機9は、FAXデータ102とFAXIDとを受信すると、FAXデータ102の印刷を実行し(S16)、FAXデータ102の印刷結果104を、受信したFAXIDとともに多機能機1に送信する。なお、多機能機1は、印刷結果104を受信すると、印刷結果対応表51の印刷結果の欄のうち、印刷結果104とともに受信したFAXIDに対応する欄内に、印刷結果104を記憶する。
【0042】
多機能機1は、FAXデータ102とFAXIDとを多機能機9に転送すると、印刷結果の受信を待つ(S34)。具体的には、多機能機1は、5秒間、印刷結果の受信を待つ(S34)。続いて、多機能機1は、印刷結果を受信したかを判断し(S36)、印刷結果を受信していないと判断された場合(S36:No)、S34に戻り、印刷結果を受信したと判断されるまでS34およびS36を繰り返す。そして、印刷結果を受信したと判断されると(S36:Yes)、S38に移行する。
【0043】
多機能機1は、S38に移行すると、受信した印刷結果を対応するFAX装置へ送信するための接続処理を行う(S38)。具体的には、多機能機1は、印刷結果とともに受信したFAXIDに対応する送信元情報を印刷結果対応表51から抽出し、抽出した電話番号に対し接続要求110を送信する(S38)。本実施形態では、多機能機1は、接続要求104とともに受信したFAXIDに対応する送信元情報は、FAX装置7の電話番号であるため、多機能機1は、FAX装置7に接続要求110を送信する。多機能機1が接続要求110をFAX装置7に送信すると、多機能機1とFAX装置7とが再接続される(S40)。そして、多機能機1は、印刷結果104をFAX装置7に送信し(S42)、続いて、接続終了通知112をFAX装置7に送信し(S43)、FAX装置7との接続を切断する(S44)。
【0044】
このように、多機能機1は、S30によりFAX装置7との接続を切断後、印刷結果を受信すると、自身からの接続要求による再接続を用いて、FAX装置7へ印刷結果を送信する。これにより、FAX装置7は改めて多機能機1に発呼する必要がないため、印刷結果を受信するために電話料金がかかることがない。
【0045】
(セットした時刻まで余裕がない場合(S18:No))
続いて、図2のS18において、セットした時刻まで余裕がないと判断された場合について、図6を参照して説明する。図6における処理は、図5の処理と同様である。まず、一致点を説明する。図6のS128、接続終了通知208、S130、S134、S136、S138、接続要求210、S140、S142、S143、接続終了通知212、S144は、それぞれ順に図5のS28、接続終了通知108、S30、S34、S36、S38、接続要求110、S40、S42、S43、接続終了通知112、S44に、対応する。図6における処理は、図5のS32を備えない点で図5の処理と相違している。これは、図6における処理では、図2のS12によりセットした時刻までにFAX転送できると判断され(S12:Yes)、S14によりFAXデータの多機能機9への転送が行われたことによる相違である。
【0046】
このように、多機能機1は、セットした時刻まで余裕がない場合には(S18:No)、FAX装置7との接続を切断した上で印刷結果の受信を待つ(S134)。すなわち、セットした時刻まで余裕がない場合には、多機能機1が印刷結果104をFAX装置7に送信する十分な時間がない。したがって、多機能機1が、印刷結果104の送信が完了するタイミングまでFAX装置7との接続を維持すると、FAX装置7にかかる電話料金が切り上がってしまう。そのため、多機能機1は、FAX装置7との接続を切断した上で印刷結果の受信を待つのである。これにより、FAX装置7は、印刷結果を受信するために改めて多機能機1に発呼する必要がないため、印刷結果を受信するために電話料金がかかることがない。
【0047】
(印刷結果送信処理(S24))
続いて、図2のS24の印刷結果送信処理について、図7を参照して説明する。
【0048】
多機能機1は、印刷結果送信処理を開始すると、現在PSTN3に接続中かを判断する(S46)。具体的には、多機能機1は、PSTNインターフェイス31から接続される回線が閉結されているかを判断する。回線が閉結されていれば、S46でYesと判断され、回線が閉結されていなければ(すなわち回線が開いていれば)、S46でNoと判断される。
【0049】
多機能機1は、S46で現在PSTN3に接続中と判断した場合(S46:Yes)、相手はFAX送信元かを判断する(S48)。具体的には、多機能機1は次のような処理を行う。多機能機1は、現在接続されているFAX装置の電話番号を接続中FAX記憶領域21内(図1参照)に記憶している。多機能機1は、印刷結果とともに受信したFAXIDに対応する送信元情報を印刷結果対応表51から抽出する。そして、接続中FAX記憶領域21内に記憶している電話番号と、印刷結果対応表51から抽出した電話番号とを比較し、両者が一致する場合にはS48でYesと判断し、両者が一致しない場合には、S48でNoと判断する。
【0050】
多機能機1は、相手がFAX送信元であると判断すると(S48:Yes)、受信した印刷結果を現在接続中のFAX送信元へ送信する(S54)。一方、多機能機1は、相手がFAX送信元でないと判断すると(S48:No)、PSTN3との接続が切れるのを待つ(S50)。そして、接続が切れると、多機能機1は、FAX送信元へ再接続する(S52)。具体的には、多機能機1は、印刷結果とともに受信したFAXIDに対応する電話番号を印刷結果対応表51から抽出し、抽出した電話番号に接続要求を送信する。多機能機1は、FAX送信元と再接続されると、受信した印刷結果をFAX送信元へ送信する(S54)。
【0051】
一方、多機能機1は、S46で現在PSTN3に接続中でないと判断した場合(S46:No)、上記のS52へ移行し、FAX送信元へ再接続した上で、印刷結果を送信する(S54)。
【0052】
このように、印刷結果送信処理では、多機能機1は、FAX送信元と接続されているかにより処理が異なる。すなわち、多機能機1は、FAX送信元と接続されていれば、該接続を利用して印刷結果をFAX送信元に送信する。一方、FAX送信元と接続されていなければ、自らFAX送信元へ再接続し、印刷結果をFAX送信元に送信する。これは、多機能機1は印刷結果送信処理に移行するまで、FAX送信元に対し、接続終了通知を送信しないため(図2参照)、FAX送信元が、接続終了通知を受信するまでにタイムアウトしてしまう場合があるためである。FAX送信元は、多機能機1から接続終了通知を受信すればFAX送信が完了したとして自ら多機能機1との接続を切断するが、多機能機1から接続終了通知を受信しなければ、多機能機1との接続を一定時間(例えば5分)だけ維持して接続終了通知の受信を待つが、接続終了通知を受信しなければ、該一定時間を経過したタイミングで多機能機1との接続を切断するのである(すなわち、タイムアウト)。したがって、印刷結果送信処理において、多機能機1は、FAX送信元と接続されているかを確認した上で印刷結果を送信するのである。
【0053】
なお、通話時間表53は、多機能機1が名古屋市に設置された場合におけるテーブルである。多機能機1は、自身の電話番号を用いて、自身が設置されているエリアを特定し、該エリアに対応する通話時間表を外部記憶装置(エリア毎の通話時間表を記憶するサーバでもよいし、通話時間表を記憶する記憶媒体でもよい)から取得する。
【0054】
以上、実施形態について説明したが、本実施形態の多機能機1が「通信装置」に、多機能機9が「他の通信装置」に、制御手段35によるS6の処理が「第1の受信手段」に、S14、S32の処理が「第1の送信手段」に、S28、S128の処理が「接続切断手段」に、S24、S42、S142の処理が「第2の送信手段」に、S38、S138、S52の処理が「接続手段」に、S22、S36、S136の処理が「第2の受信手段」に、S48の処理が「判断手段」に、対応する。
【0055】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様を採ることができる。
【0056】
例えば、多機能機9は、電話機能およびFAX機能を備えない多機能機であると説明したが、電話機能およびFAX機能を備える多機能機であってもよい。
【0057】
また、例えば、図2のS12において、次に料金が切り上がる時刻をセットしたが、これに限らず、次に料金が切りかがる時刻からさらに単位通話時間だけ経過させた時刻をセットしても良い。また、図2のS12において、単位通話時間にかかわらず、時計18が示す現在時刻から所定時間(例えば2分)経過した時刻をセットしてもよい。これらの変形例の場合には、実施形態の場合に比べてFAX送信元にかかる電話料金は高くなるものの、FAX送信元が印刷結果を受信するまで多機能機1との接続を維持する場合に比べれば、FAX送信元にかかる電話料金は安くなる。
【0058】
また、図2のS12を省略し、FAX転送を実行と(S14)、セットした時刻まで余裕があるかの判断と、を並行してもよい(S18)。具体的には次のような処理になる。FAX転送に時間がかかり、セットした時刻まで余裕がなくなった場合には、S18でNoと判断され、FAX装置7との接続が切断される(図6)。一方、FAX転送がセットした時刻までに終了し、かつ、セットした時刻まで余裕がある場合には、S18でYesと判断され、S20へ移行する。
【0059】
また、多機能機1が、多機能機9による印刷結果をFAX装置7に送信する場合を例に説明したが、これに限らず、多機能機1は、印刷結果の代わりに、FAXデータ102の送信が成功したか否かを示す情報をFAX装置7に送信してもよい。この場合、多機能機1は、多機能機9の印刷処理を待つ必要がなくなるため、FAXデータの転送結果をより早くFAX装置7へ送信できる。なお、この場合には、多機能機9は、印刷機能を備えないPCであってもよい。
【0060】
また、多機能機1は、PSTN3により接続されるFAX装置7からFAXデータ102を受信する場合を例に説明したが、PSTN3に限らず、接続時間の増加に応じて料金が加算される接続回線であればよい。例えば、次世代電話網(Next Generation Network)によるFAX通信でも利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…多機能機、3…PSTN、5…LAN、7…FAX装置、9…多機能機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAX機能を有する通信装置であって、
接続時間に応じて接続料金が増加する特定の回線を介して接続されるFAX装置からFAXデータを受信する第1の受信手段と、
ネットワークを介して接続される他の通信装置へ前記FAXデータを送信する第1の送信手段と、
前記FAX装置が前記FAXデータを前記通信装置に送信後、前記接続料金に関する特定のタイミングまでに、前記FAXデータの前記他の通信装置への転送結果に関する第1の情報を前記FAX装置に送信可能な場合に、前記FAX装置との接続を切断せず、前記特定のタイミングまでに、前記第1の情報を前記FAX装置に送信可能でない場合に、前記FAX装置との接続を切断する、接続切断手段と、
前記第1の情報を前記FAX装置へ送信する第2の送信手段であって、前記FAX装置との接続が切断されている場合に、前記FAX装置との接続完了後、前記第1の情報を前記FAX装置へ送信し、前記FAX装置との接続が切断されていない場合に、該接続を利用して、前記第1の情報を前記FAX装置へ送信する、前記第2の送信手段と、
と、を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記特定のタイミングは、前記接続料金が切りあがるタイミングである、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記FAX装置との接続を実行する接続手段、をさらに備え、
前記第2の送信手段は、
前記接続切断手段により前記FAX装置との接続が切断された場合に、前記接続手段による接続完了後、前記第1の情報を前記FAX装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1の情報は、前記他の通信装置による前記FAXデータの出力結果情報を含み、
前記通信装置は、
前記第1の情報を、前記他の通信装置から受信する第2の受信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記出力結果情報は、前記他の通信装置による前記FAXデータの出力成功、または、前記他の通信装置による前記FAXデータの出力失敗、を示し、
前記第2の受信手段は、前記出力結果情報が出力失敗を示す場合に、前記他の通信装置が前記FAXデータの出力を失敗した理由を示す第2の情報を、前記他の通信装置から受信し、
前記第2の送信手段は、前記第2の受信手段が前記第2の情報を受信した場合に、出力失敗を示す前記出力結果情報を含む前記第1の情報と、前記第2の情報と、を前記FAX装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記特定のタイミングまでに前記第1の情報を送信可能である場合に、前記FAX装置と接続されているかを判断する判断手段をさらに備え、
前記第2の送信手段は、
前記FAX装置と接続されていると判断された場合に、該接続を利用して、前記FAX装置へ前記第1の情報を送信し、
前記FAX装置と接続されていないと判断された場合に、前記接続手段による接続完了後、前記FAX装置へ前記第1の情報を送信する、
ことを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記FAX装置と接続されていないと判断された場合において、前記通信装置が前記FAX装置と異なる他のFAX装置と接続されている場合に、
前記接続手段は、前記他のFAX装置との接続切断後、前記FAX装置との接続を実行する、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
FAX機能を有する通信装置を制御するためのプログラムであって、
コンピュータを、
接続時間に応じて接続料金が増加する特定の回線を介して接続されるFAX装置からFAXデータを受信する第1の受信手段、
ネットワークを介して接続される他の通信装置へ前記FAXデータを送信する第1の送信手段、
前記FAX装置が前記FAXデータを前記通信装置に送信後、前記接続料金に関する特定のタイミングまでに、前記FAXデータの前記他の通信装置への転送結果に関する第1の情報を前記FAX装置に送信可能な場合に、前記FAX装置との接続を切断せず、前記特定のタイミングまでに、前記第1の情報を前記FAX装置に送信可能でない場合に、前記FAX装置との接続を切断する、接続切断手段、
前記第1の情報を前記FAX装置へ送信する第2の送信手段であって、前記FAX装置との接続が切断されている場合に、前記FAX装置との接続完了後、前記第1の情報を前記FAX装置へ送信し、前記FAX装置との接続が切断されていない場合に、該接続を利用して、前記第1の情報を前記FAX装置へ送信する、前記第2の送信手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204905(P2012−204905A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65400(P2011−65400)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】